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Dragon's Jazz Corner

「ライブ・レポート・2011」

注:詳しいライブ・レポートは下↓へスクロールしてご覧下さい。

■橋本信二&大口純一郎&梶原まり子 橋本信二(g)、大口純一郎(p)、梶原まり子(vo) 2011/12/05
■勘座光・カルテット 勘座光(ds)、宮川純(p)、大塚義将(b)、ゲスト:市原ひかり(tp) 2011/11/28
■増田ひろみ&松本茜 増田ひろみ(as)、松本茜(p) 2011/11/18
■カート・ライケンバック カート・ライケンバック(vo)、福井ともみ(p)、俵山昌之(b)、岡田朋之(ds) 2011/11/12
■ニッキ・パロット・カルテット&
スコット・ハミルトン
ニッキ・パロット(b,vo)、 スコット・ハミルトン(ts)
ヤコブ・フィッシャー(g)、ジョン・ディ・マルティーノ(p)、ティム・ホーナー(ds)
2011/11/04
■宮野裕司・カルテット 宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds) 2011/10/22
■小林陽一&J・J・M 小林陽一(ds)、谷殿明良(tp,flh)、原川誠司(as)、宮川純(p)、高道晴久(b) 2011/10/15
■後藤浩二・トリオ/「the EROS」 後藤浩二(p)、岡田勉(b)、江藤良人(ds) 2011/10/03
■藤陵雅裕・カルテット 藤陵雅裕(as,ss)、福田重男(p)、高瀬裕(b)、安藤正則(ds) 2011/09/26
■纐纈歩美・カルテット 纐纈歩美(as)、納谷嘉彦(p)、俵山昌之(b)、小山太郎(ds) 2011/09/11
■レミ・パノシアン・トリオ&
ティグラン・ハマシアン・ソロピアノ
レミ・パノシアン(p)、マキシム・デルポート(b)、フレデリック・ペティプレス(ds)
ティグラン・ハマシアン(p)
2011/09/05
■平山恵勇・トリオ 平山恵勇(ds)、古川 初穂(p)、グレッグ・リー(b) 2011/08/29
■山下弘治・New Quintet 山下弘治(b)、高瀬龍一(tp)、浜崎航(ts)、堀秀彰(p)、加納樹麻(ds) 2011/08/12
■宮下博行・トリオ&矢野眞道
     &a・i
宮下博行(p)、矢野眞道(vo)、佐藤有介(b)、金井塚秀洋(ds)
ゲスト:石川真奈美(vo), 中村早智(vo))
2011/07/31
■有明のぶこ・トリオ 有明のぶこ(vib)、野本晴美(p)、吉野弘志(b) 2011/07/16
■チャリート チャリート(vo)、福田重男(p)、河原秀夫(b)、ジーン・重村(ds) 2011/06/25
■シーマス・ブレイク・カルテット シーマス・ブレイク(ts)、
デヴィッド・キコスキ(p)、マット・クローシー(b)、アリ・ホーニッグ(ds)
2011/05/15
■竹内直・トリオ 竹内直(bcl)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b) 2011/03/04
■中村恭士・トリオ 中村恭士(b)、百々徹(p)、小川慶太(ds)
ゲスト:TOKU(vo)
2011/02/28
■酒井俊 酒井俊(vo)、田中信正(p)、太田朱美(fl) 2011/02/06
■本多俊之・カルテット REMATCH/本多俊之(ss)、馬場孝喜(g)、川村竜(b)、奥平真吾(ds) 2011/02/04
■続木徹・カルテット 続木徹(p)、大山日出男(as,fl)、古野光昭(b)、安藤正則(ds)
ゲスト:斉田佳子(vo)
2011/01/25
■多田誠司・The MOST 多田誠司(sax)、上村信(b)、大坂昌彦(ds) 2011/01/14
■小林陽一&J・J・M 小林陽一(ds)、松島啓之(tp)、浜崎航(sax)、熊谷泰昌(p)、高道晴久(b) 2011/01/09


[ライブ・レポート]
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年




■橋本信二&大口純一郎&梶原まり子を聴いてきました。
橋本信二(g)、大口純一郎(p)、梶原まり子(vo)

橋本信二(g)さんと大口純一郎(p)さんのデュオは素晴らしかったです。
改めてデュオの良さの認識を新たにしました。
まさしく目からうろこが落ちました。
今までの私はライブでのデュオは避ける傾向にあったからね。

演目はポピュラーが多くてスンダードとオリジナルの組み合わせです。
バート・バカラックやスティービー・ワンダー、ブラジル音楽など。
聴いたことはあってもあまり馴染みのある曲は少なかった。
それだけでも新鮮だったけれど、なんといっても二人の阿吽の呼吸が絶妙だったです。
長い付き合いで気心が知れてるというか、二人の醸し出す雰囲気がなんとも居心地が良かった。
自然体でリラックスしているのが聴き手にも伝わってくるんです。
自在のインタープレイは二人の信頼感の証しでしょうね。
特に橋本さんが「シャッ、シャッ、」と刻むリズム・ギターは最高だった。
リズムはやっぱりジャズの基本だと思いました。
安定感のある大口さんのピアノといい、まさに大人のジャズの醍醐味を味あわせてくれました。
バカラックの「ルック・オブ・ラブ」、オリジナルの「Little Journey」はもういうことなしです。

梶原まりこさんの歌には主張があります。
いつも思うのですが心に染み込むというより踏み込まれる感じがするんです。
それだけインパクトがあるし個性的です。
ジャズ・テイストが濃い「バット・ノット・フォー・ミー」には見事に一本取られた。
クリスマス・シーズンということで「Have Yourself A Merry Little Christmas」も聴かせてくれました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/12/05



■勘座光・カルテットを聴いてきました。
勘座光(ds)、宮川純(p)、大塚義将(b)、ゲスト:市原ひかり(tp)

やっぱり若い人の演奏を聴くのは楽しいです。
ジャズは永遠に不滅だと思いますよ。
勘座光(ds)さんを聴くのは3回目になります。
最初は4年前だったか、高田ひろ子・トリオのゲスト出演でした。
その時の印象が良かったんです。
2回目は去年のポール・フラッシャー(ts)さんのライブでようやく再会しました。
その勘座さんが率いる若手カルテットということですぐに行こうと決めました。

演目はメンバーのオリジナルにスタンダードの組み合わせです。
スタンダードは「Star Eyes」、「Close To You」、「Stable Mates」、「My Shining Hour」といったところ。

スタンダードといっても変拍子にアレンジされているので新鮮味がありました。
変拍子は最近の若手プレイヤーの流行でもありますね。
7拍子の「Star Eyes」やバート・バカラックの名曲「Close To You」は聴き応えがありました。
どういう展開になるのか興味津々・・・一筋縄ではいかないスリルとサスペンスに溢れています。
一番の聴きどころは宮川純(p)さんと勘座さんの掛け合いにありました。
宮川さんが仕掛けて勘座さんが応えるという構図です。
二人の実力の証しが見えた・・・このインタープレイが面白かった。

難点を言えば終わり方でしょうか。
全体的に長いような感じがしました。
ライブを見ているとこの終わり方というのがけっこう気になります。
一番良くないのがずるずると長引かせて中々終わらないというパターンです。
折角いい演奏をしても終わりで台無しになります。
ビシッと終わって余韻を残すのが最高だと思います。
「終わり良ければ全て良し」になる場合もあるし。

勘座さんはフレキシブルなプレイヤーでいかようにも対応できるのが魅力、
さすがにこの日はちょっと緊張していたようで硬かったですが・・・。
宮川さんのピアノはいいですね。
キラキラとした音色と巧みなフレーズは才能がほとばしる感じがします。
硬軟織り交ぜたヨーロッパスタイルのピアノは魅力十分です。
まだ24歳の若手は未完の大器・・・その伸びしろは大きいと思う・・・益々の精進を期待します。
市原ひかりさんは初見ですがもちろん名前だけは知っていましたよ。
ライブで女性トランペッターを聴いたのは初めてかもしれません。
元々女性ジャズ・トランペッターは少ないからね。
今もカナダ出身のイングリット・ジェンセンくらいしか思い浮かばないです。
市原さんはバラードが良かった。
クールで女性らしい繊細さを持ち合わせています。
ハイ・トーンに苦しいところがあったけれど無理することもないんじゃないかな。
大塚義将(b)さんは温もりを感じるベーシスト。
表情もやわらかくていかにも人柄がいい好青年という印象です。
音色も温かくソフト・・・ホーンライクなベースソロが聴きどころになりました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/11/28




■増田ひろみ&松本茜を聴いてきました。
増田ひろみ(as)、松本茜(p)

増田ひろみさんは数回、松本茜さんは2回ほど見ています。
この二人の組み合わせにも興味がありました。

演目はバップ曲にスタンダードの構成で面白い選曲になっています。
セロニアス・モンク(p)、チャーリー・ミンガス(b)、チャーリー・パーカー(as)、レニー・トリスターノ(p)、
デューク・エリントン(p)、オスカー・ペティフォード(b)、バド・パウエル(p)などがずらりと並びました。

1st:
「I Mean You」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「Grandfather's Waltz」、
「Duke Ellington's Sound of Love」、「Donna Lee & Back Home」

2nd:
「Satin Doll」、「Sometime Ago」、「Tricotism」、「In The Still Of The Night」、
「I Love You」、「Cheryl」
アンコールは「Cleopatra's Dream」

1、2曲は軽く肩慣らしで3曲からぐっと乗ってきました。
松本さんが持って来たという「Grandfather's Waltz」は懐かしかったです。
この曲はスタン・ゲッツ(ts)やビル・エバンス(p)で聴いています。
もう1曲「Sometime Ago」もワルツで演奏されました。
3拍子のワルツは優雅なので女性プレイヤーに向いていると思います。
ここが一番の聴きどころになりました。

増田さんは低音部が個性的です。
ビブラートをきかせたむせび泣く低音の魅力がありました。
クールな高音部と相まって独特の世界を持っています。
松本さんが持参の初めての曲も多かったようですが達者にこなしていました。
ミンガスの「Duke Ellington's Sound of Love」やペティフォードの「Tricotism」は難曲です。
アンコールの「Cleopatra's Dream」には驚きました。
これをサックスで聴いた記憶はほとんどありません。
とても新鮮だったです。

松本さんはまだ24歳になったばかりの注目の女性ピアニストです。
初リーダー・アルバムには「フィニアスに恋して」との題名が付いていました。
名手、フィニアス・ニューボーンを目指すということでしょうか。
若鮎のように指が鍵盤を飛び跳ね、鍵盤からは音が弾けるように飛び出してきます。
文字通り一音一音が粒立つように次々と弾け飛んでくるんです。
ピュアな音色とこのキラキラとした感性は素晴らしいと思いました。
古きストライド・ピアノの良さと新しい感覚のコラボレーションは温故知新を体現しています。
すでにあちこちで起用されていますがこれからの活躍は間違いないところです。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2011/11/18



■カート・ライケンバックを聴いてきました。
カート・ライケンバック(vo)
福井ともみ(p)、俵山昌之(b)、岡田朋之(ds)

カート・ライケンバックは懇意にしているジャズ・カフェのTさんの一押しです。
歌い出した途端に私は「ウーム」と唸ってしまいましたよ。
スーツ姿のジェントルマンは素晴らしい歌声の持ち主でした。
深くソフトで艶があって声量も十分・・・あたたかく包み込まれるような歌声だったです。
加えてスイング感も抜群なので男性ジャズ・ボーカルの真髄を味合わさせてもらいました。
これがたった1メートル先で歌っているんだからもうたまりませんよ。
初めはやや手探り状態のところがありましたが進むに連れてグングン良くなってきました。

演目はスタンダードが中心で聴きやすく楽しめました。
「With A Song In My Heart」、「Here's To Life」、「The Way You Look Tonight」、
「I Thought About You」、「Come Dance With Me」、「All The Way」、「The More I See You」、
「My Foolish Heart」、「Lush Life」、「Flexible」、「Teach Me Tonight」、「My Romance」、
「Speak Low」、「I Remember You」など。
アンコールは「Day By Day」、「Time After Time」の2曲でした。

相変わらず曲名については定かでありません。
やっぱりバラードが聴きどころになりました。
「All The Way」は最高
「Here's To Life」や「Lush Life」はジャズ本来の魅力がいっぱいです。
端正というか、丁寧な発音にも驚かされました。
アレンジも面白く普通はスローで歌われる曲がアップ・テンポになって一味違う展開になってました。
「Teach Me Tonight」、「My Romance」、「Speak Low」などがそうでした。

ジャズ・ボーカルの世界は女性が中心で男性はいまひとつ肩身が狭いですね。
カート・ライケンバックもその例にもれず遅咲きの歌手です。
でも十分な実力と豊かな人生経験があるので歌には安心感、安定感が漂っていました。
自然体でスーッと心に入ってくる感じはいつまでも浸っていたいと思いましたよ。
観客の多くがこの心地良い歌声をもっと聴いていたいと思ったんじゃないかな。
だからアンコールも2曲・・・もっと聴きたい気もしました。

バックは福井ともみ(p)さんを中心にしたトリオです。
福井さんは元気いっぱい、切れ味のある強力なタッチで盛り上げていました。
俵山昌之(b)さんと岡田朋之(ds)さんのバッキングの上手さが光りました。
共に好センスの持ち主・・・寄り添うように一体化してくるリズムには痺れた。


At The "Cafe' Sings" Kunitachi On 2011/11/12



■ニッキ・パロット・カルテット&スコット・ハミルトンを聴いてきました。
ニッキ・パロット(b,vo)、スコット・ハミルトン(ts)
ヤコブ・フィッシャー(g)、ジョン・ディ・マルティーノ(p)、ティム・ホーナー(ds)

ニッキ・パロットとスコット・ハミルトンの組み合わせも楽しみにしていました。
最初にこの二人が現れてデュオからスタート、曲目は多分「Yardbird Suite」だったと思うけど
最近曲の名前が出てこなくて困っています。
ここから順次ヤコブ・フィッシャー(g)〜ジョン・マルティーノ(p)〜ティム・ホーナー(ds)と
一人づつ増えるごとに1曲という構成でした。
ヤコブは「枯葉」だったけどあとの二人は思い出せなかった。

やはりスコット・ハミルトンは貫禄十分でした。
特にバラードにおける聴かせどころは心憎いばかりでした。
ホギー・カーマイケル作の「Stardust」に「Skylark」は絶品の一語。
堂々たるバラード奏法は音色といい楽器のコントロールも申し分ありません。
特に間合いというかタイミングというか、超スローでもまったくテンポがぶれないです。
スイング感も抜群で彼が入ると演奏の躍動感がぐっと増しました。

ニッキ・パロットは長身で細身でスタイルがいいブロンド美人です。
スリットが入った黒のロング・ドレスを着ての登場で大人の女性の魅力もある。
だいたいが男勝りの女性ジャズ・ウーマンのイメージがちょっと狂いました。
声はシルキ・ーボイスで可愛らしく、スマートな女性ベーシストは好みのタイプです。
尊敬しているのはレイ・ブラウンのようですね。
オーソドックスなベース・プレイを聴かせてくれました。

ウッド・ベースを弾きながら歌う姿は「ホーッ!」っという感じがしました。
こういう光景は初めて見たのでとても新鮮に映ったんです。
さて肝心の歌ですが「Fever」、「Besame Mucho」や「Blues」などはいまひとつでした。
渋みを求める濃い曲には透明感のある声や歌い方がマッチしないと思いました。
選曲に問題ありと思ってこのままで終わるのかと懸念しましたが
「You'd Be So Nice To Come Home To」が素晴らしかった。
あまり歌い込まないほうがいい感じでサラリと歌える曲なら声質にも合っていると思います。

ヤコブ・フィッシャー(g)はガット・ギターを使用、アコースティックな響きが効果を上げていました。
テクニシャンだけど弾き過ぎる傾向があって趣にはやや欠けるところがありました。
初来日でちょっと張り切りすぎたところがあったのかもしれませんね。

ジョン・ディ・マルティーノ(p)はロマンチィックな響きを持ったピアニストです。
華麗なたたずまいで実に心地良いピアノを聴かせてくれました。
今回は出番が少なかったけれどカルテットで演奏された「Yesterdays」は出色の出来でした。
ギターが入っているので控え目になりました。
正直なところ、これはもう少し聴きたかったですね。

ティム・ホーナー(ds)は当初のドラマー(アルヴィン・アトキンソン)とは変更されていました。
ティムはボストンで活躍中のドラマーだと思いますがオーソドックスなスタイルの持ち主です。


At The "Swinghall" Musashinoshi On 2011/11/04



■宮野裕司・カルテットを聴いてきました。
宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds)

久し振りにお気に入りのメンバーを聴きに行きました。
結成当時から追いかけていますが6年目になったのかな。
聴くたびに思うのですが素晴らしいですよ。
個性的で超クールなサウンドと室内音楽的な雰囲気も持っています。
これに魅せられるファンが少しづつ増えてきているのは嬉しいです。

演目は宮野裕司(as)さんからリー・コニッツ(as)やポール・デスモンド(as)、
中牟礼貞則(g)さんからジム・ホール(g)の曲、それにスタンダードの組み合わせです。
スタンダードは「The Touch Your Lips」、「Two for the Road」、
「Long Ago and Far Away」、「Darn That Dream」、「Chelsea Bridge」など

この日、圧巻だったのはジム・ホールの「Careful」です。
何度か聴いたことがありますが改めて興味深い曲だと思いました。
トリッキーなテーマと面白い音使いをしています。
最初、池長一美さんのドラムから入って中牟礼さんが加わり、さらに吉野弘志(b)さん、
最後に宮野さんのアルトがテーマを奏でる。
宮野さんの独特の音色とスタイル、味わい深い中牟礼さん、
吉野さんは安定感抜群でアルコ・ソロは感動的、池長さんのメロディアスなドラムス。
4人が織りなす前衛的なリズムと幾何学的な音色に不思議な感覚に陥ってしまいます。
いつもとは違う感じなんですがなんか気持がいいんです。
なんだろうねこの感覚は?・・・自分でも気が付かないツボを押されているような・・・。
このグループにはいつでもそんな感覚が付きまとってきます。
出てくるサウンドは抑圧的で超クールなんだけど根底にはスイング感と熱い思いが潜んでいるからかもしれません。
ここは一人一人のプレイもさることながらメンバー同士のインタープレイが一番の聴きどころになります。
「ああ言えばこう言う」、「こう言えばああ言う」というような会話形式の演奏ですね。

このグループは益々密度が濃くなって進化しています。
この独特の雰囲気はこのメンバーしか出せないと思います。
本当にもっと知られて欲しいです。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2011/10/22




■小林陽一&J・J・Mを聴いてきました。
小林陽一(ds)、谷殿明良(tp,flh)、原川誠司(as)、宮川純(p)、高道晴久(b)

小林陽一&ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズは文句なしに楽しめるバンドです。
このメンバーを見た時にすぐに行くことを決めました。
一度見たいと思っていた若手の注目株の二人が名前を連ねていたからです。
谷殿明良(tp)さんと宮川純(p)さん。

演目は「Going Home」、「Social Call」、「Nearness Of You」、「Mood Indigo」、
「Moon River」、「Out Of Nowhere」、アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの曲、
谷殿さんのオリジナルが3曲など、アンコールは「What A Wonderful World」でした。

谷殿さんは28歳、トランペッターは数少ないので若手の登場はそれだけで嬉しいです。
丸みのある暖色系の音色を持っていました。
ラッパがよく鳴っていて明るく爽やかな音色が特徴だと思います。
選んだバラードは「Nearness Of You」・・・これも嬉しかったなぁ〜。
今一番お気に入りの曲だからです。
聴きたいと思っているとなぜかよく演奏されるのが不思議です。
特筆すべきはその作曲、編曲能力でしょうね。
バラードの「春の雨」だったか・・・これが素晴らしかった。

宮川さんは名古屋出身の24歳のピアニストです。
イケメンで細身、ビジュアル的にも申し分ありません。
外見はともかく内容が凄かった。
感性がほとばしるキラキラしたピアノを聴かせてくれました。
切れのあるタッチと美しいフレーズ、スイング感も抜群です。
バッキングの上手さは天性のものでしょうか。
つい聴き入ってしまうほどの心地良さです。
女性ファンの心を鷲づかみ・・・胸にキューンとくる感じでしょうね。

今回、新しい発見があったのも嬉しかったです。
それが原川誠司(as)さんです。
まったくの初見でしたがどうもアメリカから帰ってきたばかりのようですね。
実に個性的で魅力的なアルト・サックスを聴きました。
珍しいタイプのアルト奏者です。
深く野太い音色の持ち主で息の吹き込みのコントロールが上手い。
低音から高音まで太さのコントロールが利くので多彩な表現が可能だと思います。
ボビー・ワトソン(as)級の面白さで今後の活躍は間違いないところ。
選んだバラードがエリントンの「Mood Indigo」でこれまた珍しい選択じゃないかな。
最後に渋いノドを聴かせてくれたのでボーカルも得意とみました。
大いに期待しています。

小林さんの疾走感と高道晴久(b)さんの躍動感がこのグループの生命線で決め手になっています。
二人の繰り出す強力なリズム・ラインはご機嫌です。
ここのフロント2管はバランスよく魅力十分、加えて宮川さんのピアノが新鮮そのものでした。
若手がライバル心を燃やして張り合っている部分もあって熱気に溢れる演奏が聴けました。
いやぁ〜、楽しかった、面白かったです。

2週間ほど東北ツアーに行ってきたと言っていました。
最後の曲は必ず「この素晴らしき世界」を演奏したそうです。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/10/15




■後藤浩二・トリオ/「the EROS」を聴いてきました。
後藤浩二(p)、岡田勉(b)、江藤良人(ds)

後藤浩二さんを初めて聴いたのは4年前です。
名古屋に凄いピアニストがいるとのふれ込みでした。

*KOJI GOTO TRIO / HOPE
koji goto(p), larry grenadier(b), harvey mason(ds)
2007/VideoArts/

2007年の作品、バックがラリー・グレナディア(b)とハービー・メイソン(ds)です。
これが素晴らしいアルバムで評判になりました。
以来、ライブで聴いてみたいと思いながら延び延びになって今回ようやくその機会を得ました。

演目はメンバーのオリジナルにスタンダードの構成で、
2009年にこのメンバーで出したアルバム(The Eros/Quiet Thrill)が中心です。
スタンダードは「The fool on the hill」、「 Softly as in a morning sunrise」、
「Cheryl」、「The days of wine and roses」、「My one and only love」、
「Nearness of you」、等々。

およそ力のあるピアニストはみな独自の間合いとタッチを持っていると思います。
後藤さんもその例にもれず絶妙な間合いと繊細かつ力強いタッチを兼ね備えていました。
演奏には1曲1曲に起承転結の物語性があって自己の世界を創り出しています。
私は大石学(p)さんと同じような感覚を持ちました。
知らず知らずのうちにその深遠な世界に引き込まれてしまいます。
後藤さんはミシェル・ペトルチアーニ(p)に心酔しているようですね。
「ペトの隣に墓を建てたい」と言っていました。
ちなみにペトの隣はショパンだそうです。

共演は岡田勉(b)さんと江藤良人(ds)さんです。
これまた豪快さと繊細さを持ち合わせた強力なリズム・セクションなので文句なしです。
江藤さんのオリジナルも2曲演奏されましたがこれがロマンチックでした。
ドラマーは概してロマンチックな曲を書くので面白いと思います。
何ででしょうか?

ちなみにこのグループには「The EROS」という名前が付いています。
名前の由来を後藤さんに聞いてみました。
名古屋の懇意のライブ・ハウスの店主が付けてくれたそうです。
このトリオを聴いた時にそう感じるものがあったんでしょうね。

予想通り、重量級のピアノ・トリオが聴けました。
押し引き自在、音に力のあるメンバーでお薦めです。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/10/03



■藤陵雅裕・カルテットを聴いてきました。
藤陵雅裕(as,ss)、福田重男(p)、高瀬裕(b)、安藤正則(ds)

去年の11月に横浜で聴いて以来何度か見に行っています、
フュージョン・テイストを持つノリのいいサウンドが心地良いからです。
熱心なファンも多いようであちこちから声がかかっていました。

この日圧巻だったのは先日不慮の事故で急逝したセシル・モンロー(ds)さんに捧げた曲でした。
藤陵さんのオリジナル、「Dear My Friend」が心に沁みた。
・・・なんだか胸にジーンと響いてきて聴き入ってしまいました。
2008年に出したアルバム「Mindscape」の1曲目に入っています。
マービン・ゲイの「What's Going On」のリズム・アレンジも面白く、
スティービー・ワンダーの「Too High」と共に聴きどころになりました。
オリジナルとの構成もちょうど良い感じです。

藤陵さんはソプラノ・サックスの響きが良くその艶やかでよどみないフレーズが魅力。
福田重男(p)さんの美しくメロディアスなタッチは健在です。
高瀬裕(b)さんは東日本を励ますグループを結成して支援活動しているそうです。
今回、特に注目したのは安藤正則(ds)さんで私の周りでもファンが多いです。
安藤さんの魅力はいったい何でしょうね。
なんとなく身体が揺れてくる呪術的なドラムの響きにあるかな。
お腹にドドドン、ドドドンと響く・・・心の奥底に届いて気持が高揚してくるんです。
アフリカン・リズム、もちろん日本の伝統的な太鼓の響きもあります。
・・・・・そうだ、これは「お祭り」だよ。
アイデア豊かなドラム・ソロはパワフルでスピード感に溢れています。
女性ファンが多いのも納得できます。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/09/26



■纐纈歩美・カルテットを聴いてきました。
纐纈歩美(as)、納谷嘉彦(p)、俵山昌之(b)、小山太郎(ds)

纐纈(こうけつ)歩美さん、珍しい名字で一度見たら忘れられません。
纐纈は染めに関係のある言葉のようです。
同時にNHKの大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」エンディングテーマでもお馴染みだと思います。
そんなこともあって見に行きました。

纐纈さんはまだ23歳ですがすでに2枚のアルバムを出しています。
すらりとした細身の美形、年齢よりは大人びた感じがしました。
さて、その実力のほどは・・・興味深かったです。

演目はメンバーのオリジナル、スタンダード、モダンジャズの名曲の構成。
まずは「You Stepped Out Of A Dream」からのスタートで軽く肩慣らし、
スタンダードは他に「Autumn In New York」、「How Deep Is The Ocean」など。
リー・コニッツの「Sub-Conscious-Lee」やジョージ・ラッセルの「Ezz-Thetic」や
オーネット・コールマンの「Blues Connotation」では生き生きとした瑞々しいプレイを聴かせてくれました。
これには驚いたなぁ〜・・・むずかしい曲ほどいいんです。
この若さで難曲を軽々と吹きこなしてしまうのはやはり只者ではなかった。
抜群のセンスの持ち主であちこちで話題になるのは当然だと思います。
音色はやわらかく繊細で癒し系、胸に響いてくるものがありました。
近年、女性サックス奏者の活躍が目覚ましいですがこの纐纈さんもその一人です。
今後の益々の精進を期待しています。

納谷嘉彦さんは幅広い音楽性を持つピアニスト。
その多彩な表現力は魅力に溢れていました。
スイング感に溢れるタッチとロマンチックな味わいは納谷さんならではものでしょうね。
俵山昌之さんも名手の一人、強力なベース・ラインは安定感十分です。
今回のキーマンは小山太郎さんのドラムスにあったと思います。
手数が多くグイグイと突っ走るドラミングで煽りに煽っていました。
つまりベテランの名手3人が纐纈さんを強力にサポートする構図です。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/09/11



■レミ・パノシアン・トリオ&ティグラン・ハマシアン・ソロピアノを聴いてきました。
レミ・パノシアン(p)、マキシム・デルポート(b)、フレデリック・ペティプレス(ds)
ティグラン・ハマシアン(p)

レミ・パノシアンもティグラン・ハマシアンの名前は知りませんでした。
でも、チラシのジャケット写真を見ると「あぁ〜、これか〜」と思いました。
ジャケットで覚えていることも多いものですね。
2セットは各1セット(1時間)づつの構成です。

レミ・パノシアン・トリオ
1983年フランス生まれ、ミシェル・ペトルチアーニ(p)を見てジャズに開眼したそうです。
フランスの若手トリオを見る機会はないので興味深く聴きました。
演目はオリジナル中心です。
チラシにはあのE・S・T(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)を継ぐ存在とありました。
たしかにポップス、ロック色が強く変拍子の嵐という感じ。
決め手はピアノとドラムスの対応能力でピアノは多彩な表現力を持ち手数も多い。
ドラムスは擬音や効果音を含め、パーカッシブなドラミングは迫力十分。
しかし4ビートはほとんどないので聴き続けるのは少々しんどいかなと思いました。
やっぱり年ですね。

ティグラン・ハマシアン・ソロ・ピアノ
1987年アルメニア生まれ、2006年に19歳にしてモンク・コンペで優勝した鬼才だそうです。
スタンダードの「When You Wish upon a Star」(星に願いを)の展開から始まりました。
基本的に音数が少なくクールな持ち味、独特のリズム感は東欧的、アラブ的なもの。
個性的で魅力溢れる旋律にライブ・ハウスはシーンとなりました。
曲が終わるたびに拍手喝采、アラブ特有の細かく揺れる感覚は心地良かったです。
独自の世界を持っているので彼の良さを生かすにはソロ・ピアノが最善かもしれません。
ただモンクが1曲もなかったのは残念でした。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/09/05



■平山恵勇・トリオを聴いてきました。
平山恵勇(ds)、古川初穂(p)、グレッグ・リー(b)

平山恵勇さんのドラミングは見ていて面白いです。
共演の古川初穂(p)さんにも興味がありました。
6弦ベースを駆使するグレッグ・リーさんとのトリオならどんなサウンドが聴けるのか。
コンテンポラリーなムードを持つピアノ・トリオを予想して楽しみに出かけて行きました。

演目はオリジナル、ハービー・ハンコック(p)、ウエイン・ショーター(ts)、ジョン・マクラフリン(g)、
チック・コリア(p)の曲など、それにバラードのスタンダードが加わる構成でした。
「In A Sentimental Mood」、「My Romance」。
フュージョン世代の洗礼を受けたプレイが聴けました。

特にショーターの「Footprints」、マクラフリンの「Little Miss Valley」?が素晴らしかった。
3人がそれぞれに独自のリズム感を持っていてそのリズム・パターンが瞬時に変化する。
それに合わせて音が速射砲というか機関銃のように飛び出てくる。
それぞれのアイデアやリズムのアプローチを相手に伝えてそれにそれぞれが対応する。
一期一会のジャム・セッション的でもありスリル満点、それはジャズの醍醐味でもありますね。
単純な4・ビートはほとんど聴くことはできませんでした。
アイデア豊かな感性を持ったバランスの良いトリオといえます。

平山さんのドラミングは予想した音が出てきたためしがありません。
だからこそ面白い・・・この個性的で変態的なリズムはいったいどこからくるのか?
古川(p)さんはフュージョンからフリーまで相手なりに対応できる幅広い音楽性を持つ才人とみました。
クロスオーバー&フュージョン色の強い多彩なリズムのトリオにはピッタリの人選だと思いました。
先鋭的で硬質なピアノ・タッチは魅力十分です。
バラードのアプローチも一筋縄ではいかないねじれ加減がユニークでした。
安定感のあるグレグ・リー(b)さんはここでのキーマンになっていました。
このファンキー&ソウルなサウンドはリーさんなしでは考えられません。

平山さんとちょっと話をしました。
私:「平山さんはサンペイちゃんと呼ばれていますがなぜですか?」
平山さん:「平山を逆にして山平(サンペイ)ちゃん」。
私:「あ〜、なるほどね〜」
私:「独特のドラミングですがどんなドラマーを聴いていますか?」
平山さん:「ビニー・カウリタやデニス・チェンバースです。」
出てきた名前はラテン系、フュージョン系ドラマーの名手達でした。
これまた「なるほど〜」と納得した次第です。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/08/29



■山下弘治・New Quintetを聴いてきました。
山下弘治(b)、高瀬龍一(tp)、浜崎航(ts)、堀秀彰(p)、加納樹麻(ds)

フロントがトランペットとテナー・サックスの王道クインテット編成なので興味津々で出かけて行きました。
山下弘治(b)さん、高瀬龍一(tp)さんの中堅どころと
浜崎航(ts)さん、堀秀彰(p)さん、加納樹麻(ds)さんの若手の組み合わせも魅力十分です。

演目はオリジナル、スタンダードと山下さんならではベース奏者の曲など。
バップ色豊かなオリジナル。
スタンダードは「You Stepped Out of a Dream」、「Just In Time」。
デイブ・ホランド(b)やジョージ・ムラツ(b)の曲が選ばれたのは世代を感じさせます。

山下さんは腰の入った端正なベーシストで安定感は十分、バラードにおけるアルコ・ソロは圧巻でした。
高瀬さんはクールなトランぺッターで山下さんとは同年代で気心も知れています。
この山下&高瀬ラインがしっかりしているので安心感がありました。
こんな中での若手3人のプレイは面白かったです。
ここでのキーマンは加納さんでビシバシと押し出してくるドラミングは豪快そのもの。
フレキシブルな感性に磨きがかかり荒々しく野性味が増しました。
売出し中の異色サックス奏者、浜崎さんの思い切りのいいプレイも光りました。
クールでソフトな音色が持ち味ですが深くワイルドな部分が出てくればもっと良くなると思います。
堀さんの流麗かつ華麗なタッチ、フレーズはどこまでも美しく、女性ファンが多いのもうなずけます。

アップ・テンポで突っ走る演奏にはカーッと身体が熱くなりました。
典型的なハード・バップ・サウンドは実に気持ちが良かったです。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/08/12



■宮下博行・トリオ&矢野眞道&a・iを聴いてきました。
宮下博行(p)、佐藤有介(b)、金井塚秀洋(ds)
矢野眞道(vo)
ゲスト:石川真奈美(vo), 中村早智(vo)

関西を中心に活躍する宮下さんのピアノは年に1、2回聴く機会があります。
昨年の5月にもここでライブがあり、その時のゲストが矢野眞道(vo)さんでした。
宮下・トリオの評判が良く、矢野さんのヴォーカルも聴いてみたいということで実現したようです。
またゲストにコーラスが加わったのにも興味がありました。

今回のトリオはドラマーが交代して金井塚秀洋さんになりました。
佐藤有介(b)さんはピッチやリズムの安定感が増し、より堅実味も深まりました。
金井塚さんはオーソドックスなドラマーで相手なりに合わせてくるタイプとみました。
この二人に支えられて宮下さんのヨーロピアン・テイストの特徴がよく出たと思います。
動きが少なく大人しめの演奏になりましたがその分安心感が漂っていました。
特にただ1曲のスタンダードの「That's All」はコミカルな味が出て良かったです。
オリジナルではスイング感溢れる「The NY Point」がベストか。

矢野さんはまさに正統派のジャズ・ボーカリストです。
圧倒的な声量と声質と誇る素晴らしい歌声の持ち主です。
男性ジャズ・ボーカルはノリや味が主流、
彼のように語りかけるようにじっくりと歌い上げるタイプは少ないと思います。
ソフトでやさしく丁寧な歌唱法・・・そういう意味でも貴重な存在になっています。
「I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life」、
やはりゆったりとしたバラードが聴きどころになりました。

ゲストに石川真奈美(vo)さんと,中村早智(vo)さんが登場して
矢野さんを含めてボーカル・ユニット「a・i」の登場です。
女二人の男一人のユニットも珍しいんじゃないかな。
まずは「The Girl from Ipanema」で軽くジャブ、「Straight No Chaser」、
「 I Left My Heart In Sanfrancisco」、「In A Mellow Tone」などを聴かせてくれました。

会場は女性客が多く超満員の盛況でした。
ピアノ・トリオ、ソロ・ボーカル、コーラスと中身の濃いライブが楽しめたと思います。


At The "Cafe' Sings" Kunitachi On 2011/07/31



■有明のぶこ・トリオを聴いてきました。
有明のぶこ(vib)、野本晴美(p)、吉野弘志(b)

こう暑いとジャズ聴きの意欲も減退しますね。
こんな時には爽やかなヴァイブラフォンの音が聴きたいということで出かけて行きました。
最初から見たかったのに出掛けにゴタゴタしてファーストの途中からになってしまった。

「Old Folks」、「Besame Mucho」、「Moon Ray」、「Once I Loved」、
「A Ghost Of A Chance」、「In A Sentimental mood」など。
アンコールは「Body And Soul」

演目はスタンダード、ラテンの名曲にオリジナルを交えての構成です。
予想通り、暑い夏の夜にはヴァイブはピッタリの音色でした。
特にラテン系の演奏はどことなく気だるくて癒された。
ついジッと目を閉じて聴いてしまうほどの心地良さです。
ライブではめったに聴けないラテンの名曲「Besame Mucho」や「Moon Ray」が聴けたのは嬉しかった。
ベストはアントニオ・カルロス・ジョビンの「Once I Loved」で、これをワルツで演奏するのも珍しいです。

有明のぶこ(vib)さんは初見でしたが女性らしい繊細なタッチの持ち主でした。
気負うところのない自然体で素直な演奏ぶりがいいです。
そのソフトでしなやかな音色はどこまでも爽やかに響いて気持が良かった。
野本晴美(p)さんとの組み合わせも効を奏したと思います。
野本さんはカチッとした切れのあるタッチの硬派な感覚を持つピアニストです。
二人の硬軟のコンビネーションが抜群でした。
このトリオの決め手はやはり吉野弘志(b)さんでしょうね。
よく知られた中央線ジャズの代表的ベーシストです。
ドラム・レスのトリオには欠かせないキーマンになっていました。
的確なビートを刻むウォーキング・ベースは素晴らしかったなぁ〜。
吉野さんの多彩なリズムに乗って二人の女性が躍動する構図です。
組み合わせの妙・・・バランスの良いトリオなのでこれからも期待したいです。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2011/07/16



■チャリートを聴いてきました。
チャリート(vo)、福田重男(p)、河原秀夫(b)、ジーン・重村(ds)

チャリートさんを聴くのははぼ1年振りです。
今回もバックの組み合わせに興味がありました。
チャリートさんは南国系で暑い夏がぴったりのような気がします。
いつも明るく楽しいパフォーマンスには元気をもらえます。
急に行きたくなったのでファーストの途中からになりました。

「So In Love」、「Besame Mucho」、「One Note Samba」、「Bridges」、
「The Shadow of Your Smile」、「Almost Like Being in Love」、
「Lately」、「Imagine」、「Love For Sale」、「Round Midnight」など

構成はノリのいいラテン系を中心にバラードとの組み合わせです。
その時の気分次第で自由自在の展開を見せてくれるので常に新鮮な気持になります。
やはり普段はあまり聴けない歌に惹かれました。
ミルトン・ナシメントの名曲「Bridges」は最高、スティービー・ワンダーの「Lately」も良かった。

バックのメンバーはそれぞれ幅広い音楽性の持ち主でポップスの香りもあります。
福田重男(p)さんは名手の一人、包み込むようなやさしさがあります。
メロディアスですが明るく爽やかなタッチが心地良いです。
河原秀夫さんはウッド・ベースとエレキ・ベースを持ち替えての演奏です。
ノリのいいベース・プレイには定評があります。
河原さんは時々、ダンスも披露してくれますがこれがまた玄人はだしの素晴らしさなんですよ。
ジーン・重村さんもまた明るいキャラクターでメリハリの利いたドラミングを聴かせてくれました。
このトリオはチャリートさんにはピッタリの人選じゃないかな。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/06/25



■シーマス・ブレイク・カルテットを聴いてきました。
シーマス・ブレイク(ts)、デヴィッド・キコスキ(p)、マット・クローシー(b)、アリ・ホーニッグ(ds)

このカルテットには興味がありました。
シーマス・ブレイク、デヴィッド・キコスキ、特にアリ・ホーニッグのドラムは聴いてみたいと思いました。
シーマスは新感覚を持つサックス奏者としてサイド・マンとして引っ張りだこになっています。
ジョシュア・レッドマンやマーク・ターナーと比べて控え目なところが評価されているのか・・・。
実際に見てみるとやはり真面目で端正な性格のようで演奏スタイルもそのままでした。
普通にしていたらジャズ・マンには見えないんじゃないかな。
これはベーシストのマット・クローシーにも同じような印象を持ちました。

反面、キコスキとホーニッグは天真爛漫でヤンチャな感じがしました。
ホーニッグは硬質で筋肉質、エネルギッシュに叩きっぱなしだったのには驚きました。
ヨーロッパ・タイプの繊細なドラマーをイメージしていたのでまったく予想が狂ったんです。
やはり実際に見て聴いてみないとCDだけでは分からないところがありますね。
マイペースで突っ走るキコスキとホーニッグの掛け合いは面白かったです。
スピード感と存在感のあるこの二人にシーマスが食われてしまう場面も多々ありました。

それがシーマスがいまひとつ突き抜けない理由かもしれませんね。
シーマスは2002年のセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションの優勝者で実力もあります。
やわらかなフィンガリングで達者なサックス奏者ですがやや控え目で大人しい感じがしました。
もっと華か個性が欲しい気がする・・・思いっきり吹ききって主張してもいい。

シーマスとマットの冷静とキコスキとホーニッグの情熱の対比が面白いグループでした。
どちらかに偏ると平凡になるので味のある人選ということになります。
キコスキとホーニッグは手数が多い・・・我慢して欲しい部分もある・・・これが評価の分かれ目かな。
見ていると楽しいけれど聴いているのは疲れる感じがします。

演目はオリジナルが中心で1曲平均15分の長丁場。
1、2セットとも3曲づつでアンコールと合わせて全7曲でした。
スタンダードは「Smoke gets in your eyes」(煙が目にしみる)だけです。
このグループはキコスキ&ホーニッグの疾走感が魅力なのでバラードはいまひとつだと思います。


At The "Swinghall" Musashinoshi On 2011/05/15



■竹内直・トリオを聴いてきました。
竹内直(bcl)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)

竹内直さんは去年バス・クラリネットだけの作品を出して好評を博しました。
今回はそのバス・クラだけのライブということで期待を持って出かけました。
(注:バス・クラリネットはB♭調楽器、テナー・サックスやソプラノ・サックスと同じ)
メンバーはそのアルバムでも共演したジャズ・ギターの重鎮、中牟礼貞則さんと
中央線ジャズ・ベースの名手、吉野弘志さんです。
そういうこともあって熱心なファンがたくさん聴きに来ていました。

演目はアルバム・タイトル曲の「Obsidian」、「I've Never Been In Love Before」、
「Lotus Blossom」、「All The Way」、「Beautiful Love」、「You Are My Everything」、
「Try A Little Tenderness」、「East Of The Sun」、
その他、エディット・ピアフの曲やオリジナルもありました。
アンコールは「Softly, As In A Morning Sunrise」でした。

これだけじっくりとバス・クラを聴く機会がなかったので改めてこの楽器の良さを再認識しました。
深味のある音色とかすれ具合がなんともいい味わいでスタンダードがとても新鮮に聞えました。
楽器の性格上ゆったりとした流れになるのと肉声に近い感じがするので聴いていて疲れないです。
竹内さんもいつもの激しさとは打って変わってしっとりとしたクールな一面を見せてくれました。
混沌としたフリーの世界から徐々にまとまりを見せた「Beautiful Love」はもう最高だったなぁ〜。
「All The Way」やピアフのシャンソンも良かった。

中牟礼さんも絶好調でグングンと乗ってくるのが分かりました。
あまりの心地良さについスーッと眠りそうになったほどです。
吉野さんの安定したベースラインは今ライブの決め手になったと思います。
達者なアルコ・プレイにはいつも感心してしまいます。
これだけの演奏を聴かせれば当然ながらアンコールの声がかかりますね。
期待通りの素晴らしいライブを見ました。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2011/03/04



■中村恭士・トリオ
中村恭士(b)、百々徹(p)、小川慶太(ds)
ゲスト:TOKU(vo)

中村恭士(b)さんは2006年に初めて聴きました。
西藤大信(g)さんやドミニク・ファリナッチ(tp)との共演だったですがもの凄いベーシストがいると思いました。
それ以来注目しています。
現在はニューヨークのジャズ・シーンで先進のマイロン・ウォルデン(ts)等のグループで活躍中です。
今回、日本で初めてのリーダー・ライブということで楽しみに出かけました。
共演は共にニューヨークで活躍するプレイヤーの百々徹(p)さんと小川慶太(ds)さんです。

スタンダードにオリジナルを交えて色々な曲想で聴かせてくれました。
演目はこんな感じだったと思います。

1st
「I Should Care」、「Driftin' (Herbie Hancock)」、「オリジナル(百々)」、
「オリジナル(中村)」、「For All We Know」、「So In Love」、「Stablemates」

2nd
「オリジナル(百々)」、「I Hear A Rhapsody」、「Laverne Walk(Oscar Pettiford)」、
「Fly Me To The Moon」、「Nearness Of You」、「That's All」
アンコール:「Smile」

私は中村さんと百々さんの組み合わせは去年も見ています。
今回は真ん前に陣取って見ましたが興奮しましたよ。
多彩な表現力を持ち正確な音程とリズム感覚はさすが、アルコ・プレイも上手い。
最も尊敬するベーシストはレイ・ブラウンだそうです。
その師匠格に当るオスカー・ペティフォードの曲も披露してくれました。
刻々と変化するリズムとそれぞれが即座に対応する能力は凄いです。
アプローチが新鮮で刺激的、躍動感に溢れリズムが押し出すように揺れてきました。
スタンダードも単純ではなく、4ビートと変拍子の組み合わせで7とか9拍子に変化する。
正確なリズムとピッチが持ち味なのでベースとドラムのグルーブ感がうねる。
アップ・テンポになるほど安定感が増す感じがしました。
ニューヨークの先進のピアノ・トリオの一端を体感させてくれました。
百々さんはすでに熱心なジャズ・ファンの中でかなり知られている存在だと思います。
百々さんの右手も強力そのもので、長い指がしなやかに鍵盤上を疾走しました。
グングンとスピードに乗ってもまったくストレスを感じさせない鮮やかさです。
百々さんのオリジナルはモンク・ライクで面白く、演奏するたびに新たな発見があるそうです。
小川慶太(ds)さんは初めて見ました。
オーソドックスながらちょっと低めのセッティングは前に突っ込んでくる感じ。
ドドドドと波がうねるようなドラミングも素晴らしい。
小川さんはニコニコとして楽しそうだったのが印象に残りました。

後半、スペシャル・ゲストとして登場したTOKU(vo)さんには驚きました。
中村さんに声を掛けられて現れた時は「え〜、なんで〜!」って思いました。
聞けばこの3人と西日本を中心にツアーをしてきたばかりだそうです。
TOKUさんは2000年のデビュー作以来聴いたことがなかったんです。
この時はフリューゲル・ホーンとヴォーカルで和製チェット・ベイカーという触れ込みでした。
でも、その後はまったくノーマークで、すでに8枚のCDをリリースしているのも知らなかった。
久し振りに聴いたら、その渋くディープな歌声は衝撃的だったです。
フラリとちょっと遊びにきた感じと会場のアット・ホームな雰囲気もあったでしょうね。
リラックスしていて自然体、まさにジャズ・ボーカルの魅力そのもの。
ベースとのデュオで「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」はスキャットを交えての
素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。
圧巻だったのはバラードの「ニアネス・オブ・ユー」でゆったりとしたノリは最高、
歌声にもマッチして、これにはジーンときた。
プレイヤーも思わず顔を見合わせてニヤリとしたほどの出来です。
アンコールで「スマイル」・・・会場のみんなで「ス・マ・イ・ル〜」を合唱して大いに盛り上がりました。


At The "Cafe' Sings" Kunitachi On 2011/02/28



■酒井俊・トリオを聴いてきました。
酒井俊(vo)、田中信正(p)、太田朱美(fl) 

酒井俊さんは時々ふと聴きたくなります。
メッセージ性が強く、独特の深遠な世界にグイと引き込まれそうになる。
だからそうそう気軽に聴きに行くわけにもいきません。
偶然出会ったジャズ友はまるで演劇を見ているようだと言っていました。

演目は阪神淡路大震災を唄った「満月の夕」、お馴染みの「4丁目の犬」、
静かにしっとりと語るような「見上げてごらん夜の星を」は絶品、
「何があってもあの人は私のいい人なの」と唄う「My Man」もいい・・・等々。

途中で浅川マキ(vo)さんの思い出を語っていました。
亡くなったばかりの古澤良治郎(ds)さんに話が及ぶと涙々だったです。
感受性の豊かな俊さんは数少ない魂の唄い手・・・実にセクシーだと思う。
語りと唄の組み合わせはクセがあって重たいけれど即興的なのでまさにジャズそのものです。
俊さんの真髄はライブにあるので是非足を運んでみて下さい。

田中信正さんはこういうシチュエーションにはピッタリにピアニストです。
主張するピアノ音が会場に響き渡る・・・クールでアバンギャルドな雰囲気を持っています。
太田朱美(fl)さんはあまりに劇場的なので戸惑ったかもしれませんね。
音楽の即興とはやや趣が違います。
でも慣れるにつれ表情豊かになってきました。
酒井さんと共演することによってまた大きくなるんじゃないかな。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/02/06



■本多俊之・カルテットを聴いてきました。
REMATCH/本多俊之(ss)、馬場孝喜(g)、川村竜(b)、奥平真吾(ds)

久し振りに本多俊之さんを見ました。
本多さんは作曲家として映画、ドラマ、CM、その他、多忙な毎日だと思います。
30年前のバンド、「バーニング・ウェイブ」で共演した奥平真吾さんとの再会セッションを楽しんでいるようでした。

演目はチック・コリアが3曲にメンバーのオリジナル、もちろん本多さんの代表作の「マルサの女」も演ってくれました。
全体的にはアップ・テンポで疾走感のある曲が聴きどころになりました。
ソプラノ・サックスを使用してのアイデア豊かなフレーズと切れの良いプレイは存在感十分です。
スピードに乗って突き抜ける音には迫力がありました。
反面、バラードはソプラノ・サックスの性格上、少々音が高過ぎるかもしれません。
本多さんは近年、奥平さんがニューヨークから帰国したことに触発されてセッションを開始したと言っていました。
その奥平真吾さんは幼少の頃、アフリカのナイロビに住んでいたそうです。
それで太鼓の音になんとなく”呪術的な響き”があるのかと思いました。
叩いて叩いて叩きまくる、タイトで鋭いドラム・プレイにはゾクゾクしました。
タイトルにも「REMATCH」とあるように主役は明らかにこの二人のコラボレーションです。

ギブソン・ジャズ・ギター・コンテストで優勝経験を持つ馬場孝喜さんにも興味がありました。
初めて見ましたが実に超クールなギタリストです。
1stではアンプの音量が小さくていまひとつでしたが2ndは調整してグンと音が前面に出てきました。
テクニシャンで上手いですがいまひとつ控え目で大人しい感じがしました。
あまり抑揚がないのが持ち味か・・・「ギュワ〜ン」ともっと主張する音があってもいいと思いました。
川村竜(b)さんは辛島文雄・トリオで何度か見ています。
身体が大きく重量級なので軽く弾いているようでも力のあるベース音が響いてきます。
伸びのあるホーン・ライクなベース・ソロに特徴がありました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/02/04



■続木徹・カルテットを聴いてきました。
続木徹(p)、大山日出男(as,fl)、古野光昭(b)、安藤正則(ds)
ゲスト:斉田佳子(vo)

続木徹さんのカルテットは去年の年末にも見ました。
ホーン奏者やトリオのメンバーを替え、常に変化と新鮮さを求めているようなので注目していきたいです。

演目は「Out Of Nowhere」、「So In Love」、「You've Changed」、
「Stella By Starlight」、「Once I Loved」、「Firm Roots」、
「Miyako」、「Straight No Chaser」、「Up Jumped Spring」など。

2曲目の「So In Love」が素晴らしかった。
この曲は起承転結がむずかしいと続木さんが言っていました。
どうしてこれが一番の聴きどころになりました。

今回の目的は大山日出男さんを見ることにありました。
ご存知、「原信夫とシャープス・アンド・フラッツ」のリード・アルト奏者として活躍していた名手です。
速さや強弱に左右されない、まったく同じタイミングで吹く、リラックスしていて力が入っていません。
実にスムーズなアーティキュレーションとフィンガリングの持ち主でした。
続木さんは相変わらずの切れ味で多彩なピアノ・プレイ。
若手の注目株のドラマー、安藤正則さんも荒々しくワイルド部分を見せてくれました。
古野光昭さんは余裕十分で、大らかな懐が深いベース・プレイが持ち味です。
ゲストには斉田佳子(vo)さんが登場、思ったより太くディープな声質を持っていました。
「You And The Night And The Music」ともう1曲かな。
もう少し聴きたかったですが時間の関係で途中で失礼しました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/01/25




■多田誠司・The MOSTを聴いてきました。
多田誠司(as,ss)、上村信(b)、大坂昌彦(ds)

多田誠司さんが率いる「The MOST」は昨年10周年を迎えたそうです。
アルバムも5枚を数え、その新譜が良かったので聴いてみたいと出かけました。
ところが片倉真由子(p)さんがインフルエンザでダウンしてトリオ演奏になりました。
ここでの片倉さんには期待していたので本当に残念です。
早い回復を願っています。
やはり若い人でも予防接種は受けた方がいいと思いますよ。

いつもはオリジナル中心だそうですがこの日はスタンダードを混じえて聴かせてくれました。
多田さんは「スタンダードも出来るということを見せたい」と言って笑わせました。

「Have You Met Miss Jones」、「Body And Soul」、「In Your Own Sweet Way」、
「Good Morning Heartache」、「Cherokee」など。

この強力無比なトリオも面白かったです。
多田さん、上村信(b)さん、大坂昌彦(ds)さんが真正面からぶつかり合いました。
気心が知れているので”あ・うん”の呼吸もありました。
多田さんはアルトにソプラノを駆使、よどみないフレーズと力強い音色は健在です。
上村さんがフューチャーされる場面も多く、その強靭なベース・プレイも堪能しました。
大坂さんは緩急自在、抜群のリズム感を持っています。
その多弁で多彩なドラミングには目が釘付けになりました。

3人が醸し出す雰囲気は重厚で存在感は十分です、
トライアングルがカチッと決まった硬派のジャズは聴き応えがあります。
特にアップ・テンポの曲では心にグッと踏み込まれる感じがしました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2011/01/14



■小林陽一&J・J・Mを聴いてきました。
小林陽一(ds)、松島啓之(tp)、浜崎航(sax)、熊谷泰昌(p)、高道晴久(b)

今年最初のライブ・レポートはノリノリのハード・パップ・バンドになりました。
気分爽快になるので新年の幕開けにはピッタリです。

演目はオリジナルを含めて「Social Call」、「Opus de Funk」、「What's New」、「Dat Dere」、
「Girl Talk」、「Round Midnight」、「Hanky Panky」、「I Get A Kick Out Of You」」など、
ジジ・グライス(as)、ホレス・シルバー(p)、ボビー・ティモンズ(p)、
セロニアス・モンク(p)、デクスター・ゴードン(ts)・・・バップの名曲が満載です。

この小林陽一&ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズは去年の9月以来2回目です。
ここはなんといってもグングンと突っ走る疾走感が素晴らしいです。
小林さんと高道晴久(b)さんが繰り出すご機嫌なリズムに乗って各ソロイストが躍動します。
松島啓之(tp)さんの切れのあるプレイは安定感十分で、小林さんと共に強力なラインを形成しています。
注目はやはり若手の浜崎航(ts)さんと熊谷泰昌(p)さんになると思います。
浜崎さんはだいぶ馴染んできましたね。
アップ・テンポでは長足の進歩が感じられ、反面バラードは今一歩というところか。
特に高音部に力と伸びが欲しいと思いました。
松島さんとのコンビはリーモーガン&ベニー・ゴルソンを彷彿とさせるものでした。
熊谷さんの成長も著しく、この日は聴いていて「ずいぶんと黒いなぁ〜」と感じました。
この感覚は初めてだったですが流麗でスマートな中にも粘っこさがありました。
これが熊谷さんの個性になってくると思います。

実に気持いいバンドなので是非ライブ・ハウスに足を運んで聴いてみて下さい。

At The "Sometime" Kichijoji On 2011/01/09




[ライブ・レポート]
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