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Dragon's Jazz Corner

「ライブ・レポート・2007」


■太田朱美・カルテット 太田朱美(fl)、石田衛(p)、織原良次(elb)、橋本学(ds) 2007/11/17
■ジュニア・マンス・トリオ ジュニア・マンス(p)、リチャード・デイビス(b)、アキラ・タナ(ds) 2007/11/10
■クリスチャン・ジェイコブ・トリオ クリスチャン・ジェイコブ(p)、トレイ・ヘンリー(b)、レイ・ブリンカー(ds) 2007/10/10
■早坂紗知・トリオ 早坂紗知(as,ss)、新澤健一郎(p)、永田利樹(b) 2007/09/14
■セルジュ・デラート・トリオ セルジュ・デラート(p)、パスカル・コンボー(b)、ジャン・マリク・ラジャディエ(ds) 2007/07/29
■鈴木良雄・トリオ 鈴木良雄(b)、海野雅威(p)、小山太郎(ds) 2007/06/29
■ジョージ・コリガン・トリオ
&クラウディア・アクーニャ
ジョージコリガン(p)、ビセンテ・アーチャー(b)、E.J.ストリックランド
クラウディア・アクーニャ(vo)
2007/06/21
■土濃塚隆一郎&板垣光弘 土濃塚隆一郎(fhn)、板垣光弘(p) 2007/06/15
■高田ひろ子・トリオ 高田ひろ子(p)、安カ川大樹(b)、池長一美(ds)、
ゲスト:竹中俊二(elg)、勘座光(ds)
2007/06/04
■ごめんね/後藤輝夫・カルテット 後藤輝夫(ts)、橋本信二(g)、諸岡大也(org)、小泉高之(ds) 2007/06/01
■寺下誠・クインテット 寺下誠(p)、高瀬龍一(tp)、安保徹(ts)、
香川祐史(b)、磯見博(ds)
2007/05/25
■太田朱美・カルテット 太田朱美(fl)、石田衛(p)、織原良次(elb)、橋本学(ds) 2007/05/04
■林栄一&久保島直樹 林栄一(as)、久保島直樹(p) 2007/03/16
■西村和彦・トリオ&鈴木道子 西村和彦(p)、佐瀬正(b)、久米雅之(ds)、鈴木道子(vo) 2007/02/19
■渋さチビーズ/不破大輔・カルテット 不破大輔(b)、立花秀樹(as)、小森慶子(as,ss)、岡村太(ds) 2007/02/16
■水谷浩章・カルテット 水谷浩章(b)、中牟礼貞則(g)、外山明(ds)、太田朱美(fl,bfl) 2007/02/03
■宮野裕司・カルテット 宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds) 2007/01/12

[ライブ・レポート]
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年



太田朱美(fl)、石田衛(p)、織原良次(elb)、橋本学(ds)を聴いてきました。

太田朱美さん(fl)を聴いたのは3回目になります。
最初は水谷浩章さん(b)と中牟礼貞則さん(g)のトリオで2006年の1月。
2回目は今年の5月で今回と同じメンバーのライブでした。
その時に水谷さんのプロデュースでレコーディングをするという話がありました。
今回はそのCD発売記念ライブの一環として行なわれたものです。
なお、正式なCD発売は来年の1月中旬に予定されているようです。
すでにCDは完成していて先行発売しているということで早速購入してきました。
今週の「最近の愛聴盤」で紹介、もちろん、メンバー4人のサイン入りです。
演目はそのCDの中からが中心でメンバー全員が張り切って演奏していました。
和気あいあいとして楽しげに演奏していたのが印象に残りました。
太田さんは現在女性フルート奏者としては最も注目を集めている存在だと思います。
幅広い音楽性を持っているので可能性は大きく広がっています。
彼女のおしゃべりがまた面白くて、なんとなくとぼけているのが大うけでした。
益々人気が出るでしょうし、これからの活躍を大いに期待しています。
ドラムスの橋本学さんが絶好調でした。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/11/17




ジュニア・マンス(p)、リチャード・デイビス(b)、アキラ・タナ(ds)(ゲスト)を聴いてきました。

この二人の魅力は1曲目に凝縮されていました。
超スロー・テンポで演奏された「Take The A Train」は素晴らしかったです。
二人のデュオ・・・この抜群のブルース感とスイング感は一朝一夕に出るものではありません。
ゆったりとした流れの中に深く味わいのあるグルービーな感覚はたまりませんでした。
「本物のジャズ」を聴いたような気がして、大ベテランの風格と円熟味を十分に堪能しました。
ピアノ・ソロやベース・ソロを間に挟んだライブ構成は体力面も考えたと思います。

79歳のジュニア・マンスはかくしゃくとしたものでまだまだ元気です。
モダン・ジャズというより、もう一つ前のビ・パップの味を強く出していました。
ホンキー・トンク・ピアノの影響も強く感じました。
彼のブルース感覚は格別でこれだけ味のあるジャズ・ピアニストは少ないでしょうね。
これには強烈な印象が残りました。

リチャード・デイビスは77歳でちょっと身体が重たいかなと感じました。
70年代前後には実力、人気共にナンバー・ワンを誇っただけにそのベース・プレイは凄いです。
多彩な表現力を駆使して、ベースにはこれだけの可能性があるのかと思い知らされました。
まさにベースという楽器を使いきって手の内に入れています。
エンタテイナーとしても楽しめたし、この超一級のベース奏者が見ることが出来て幸せでした。
思うに彼を最初に見たのは40年くらい前でサド・ジョーンズ&メル・ルイス・オーケストラでした。

アキラ・タナは55歳、あちこちのセッションに引っ張りだこの人気ドラマーです。
この日系二世の活躍は嬉しいですね。

演目は「Take The A Train」、「Moanin'」、「Blue Bossa」、「Someday My Prince Will Come」など。
この二人の真髄はスロー・バラードにあります。

At The "Swinghall" Musashinoshi On 2007/11/10



クリスチャン・ジェイコブ(p)、トレイ・ヘンリー(b)、レイ・ブリンカー(ds)を聴いてきました。

クリスチャン・ジェイコブ(p)は故メイナード・ファーガソン(tp)がプロデュースしたアルバムで
目ざとい日本のピアノ・トリオ・ファンの注目を集めました。
今回の自己のトリオを率いての来日公演はライブ・レコーディングを予定しているとのことです。
アメリカで活躍しているのでヨーロッパ・ピアノとは一味違うリズム感とスイング感を持っています。
ファースト・アルバムの「Top Down」からスタート、日本の「花」、「夏の思い出」、スタンダードの「Just In Time」、
「I Got Rhythm」、珍しいところではミシェル・ペトルチアーニ(p)の「Even Mice Dance」などを聴かせてくれました。
日本の「花」と「夏の思い出」ではアレンジャーとしての才能と魅力も十分に感じることができました。
ファーガソンが大いに評価した理由がこれで分かったような気がします。
日本の四季の曲を取り上げたそうですが聴けなかった秋と冬は何の曲だったのかが気になっています。
トリオのコンビネーションは良く手慣れている感じがしました。
ただ、惜しむらくはドラムスがちょっと弱いと思ったのは私だけかな。

後記
曲目についての情報をジャズ仲間のA.tomyさんから得ました。
秋は「赤とんぼ」で冬は「雪の降る街を」だそうです。
「春:花」、「夏:夏の思い出」、「秋:赤とんぼ」、「冬:雪の降る街を」。
気になっていたのですがこれでスッキリしました。

At The "JZ Brat" Shibuya On 2007/10/10



早坂紗知(as、ss)、新澤健一郎(p)、永田利樹(b)を聴いてきました。

早坂さんを見るのは久し振りでだいぶイメージが変わっていたのでちょっと驚きました。
以前はもっと過激で突っ張っていました。
しかし、そのキャリアが十分に生かされていてラテンやバラードの表現力は素晴らしかったです。
アルトとソプラノを駆使して、時には同時に吹いてカーク風の迫力あるサウンドを作り出していました。
個性的で低音域の使い方がとても上手です。
低音の使い方が上手なのは大西順子(p)さんなどにも感じるので女性の特性でしょうか。
最近の若い女性サックス奏者では足元にも及びませんね。
現在の日本の女性サックス奏者としてはトップ・クラスの実力でしょう。
ブラジルのラテンやブルガリアの民謡、チャーリー・ヘイデン、ローランド・カークの曲など、
オリジナルを含めてパワフル&エネルギッシュに聴かせてくれました。
注目すべきピアニストの一人、新澤健一郎さんも多彩なアプローチで興味深かったです。
フリーの洗礼も受けているようなので幅広い音楽性を持っています。
これからの活動と成長が本当に楽しみです。
永田さんはゴリゴリとした重厚なベース・プレイでリズム・ラインをがっちりと支えていました。
このトリオは魅力があるので機会があったらまた見に行きたいと思っています。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/09/14



セルジュ・デラート(p)、パスカル・コンボー(p)、ジャン‐マルク・ラジュディエ(ds)を聴いてきました。

セルジュ・デラートは初来日、作品は澤野工房によって日本に紹介されました。
最初のアルバムの「ルッキング・アップ」はミシェル・ペトルチアーニ(p)の有名曲ですが、
セルジュはミシェルの父親のトニー・ペトルチアーニ(g)のグループにいたようです。
影響を受けたミュージシャンとしてはレッド・ガーランド、ウィントン・ケリー、ハンク・ジョーンズ、
トミー・フラナガン、マッコイ・タイナーの各ピアニストの名前を挙げています。
その通りに、このトリオのライブはスイング感溢れる演奏で気持ち良く、時間がとても短く感じられました。
ピアノの小気味良いタッチ、抜群のノリは気分爽快、粋で上品な一面を持つフレンチ・ジャズを満喫しました。
スタンダード中心の選曲は聴き易く、もちろん、先述の「ルッキング・アップ」も演奏してくれました。
パスカルはヨーロッパの伝統的なベース奏者で堅実、加えてドラムのジャン‐マルクの上手さは特筆ものです。
幅広い音楽性を持つドラマーで、その多彩な表現力とテクニック、安定感は抜群でした。

At The "Swinghall" Musashinoshi On 2007/07/29



鈴木良雄(b)、海野雅威(p)、小山太郎(ds)を聴いてきました。

今、日本で一番の売れっ子ピアニストはこの海野雅威さんでしょうね。
海野さんを見るのは4回目になると思います。
鈴木さんとの組み合わせは2回目だったか。
やはりこのトリオは人気がありますね。
金曜日の夜と相まってライブ・ハウスは座る場所がないほどの大盛況でした。
大声援、大喝采を浴びてプレイヤーとしても気合が入らざるを得ません。

鈴木良雄さんは今年の5月に海野さんをフューチュアーしたニュー・アルバムを出しています。
演目はそのCDからの曲が中心でした。
ファースト・ステージではアップテンポで演奏された「Falling In Love With Love」、
セカンドはピアノとベースのデュオで演奏された鈴木さんのオリジナル・バラードの「For You」が聴きものでした。
「For You」はアルバムのタイトルになっている曲です。
海野さんのしなやかで美しくスイング感溢れる演奏には惚れ惚れします。
絶妙なタッチはたまりませんねー、これは天性のものなのでしょうか。
初めて見たのは2年前の24歳の時だったので現在は26歳、順調に成長していると思いました。
これからの日本のジャズ・ピアノ界を背負って立つ期待の若手の1人です。
小山太郎さんを見たのも久し振りになります。
慌てず騒がず、相手とのコンビネーションを大事にするいいドラマーになりました。
3人は個別には演っていてもトリオで演奏するのは初めてだそうです。
しかし、初めてとはとても思わないほど息の合ったプレイを聴かせてくれました。
このトリオの相性はとても良いのでこれからも共演することが多くなると思います。
鈴木さんは言わずと知れた日本ジャズ・ベース界の重鎮ですね。
真ん中にズシンと重しが加わって安定感のあるオーソドックスでご機嫌なピアノ・トリオが聴けました。

At The "Sometime" Kichijoji On 2007/06/29



ジョージ・コリガン・トリオ&クラウディア・アクーニャを聴いてきました。

ジョージ・コリガン(p)、ビセンテ・アーチャー(b)、E・J・ストリックランド(ds)のトリオを聴くのは2回目です。
前回はゲストにマーク・ターナー(ts)とトニー・ラカトシュ(ts)でした。
今回はゲストがクラウディア・アクーニャ(vo)ということで興味津々で出かけました。
コリガンは引っ張りだこの人気ピアニストで年齢は38歳、まさに今が旬の脂が乗り切っています。
ビセンテ・アーチャーは31歳、派手さはありませんが安定感のある堅実なベーシストです。
E・J・ストリックランドは最も若い28歳、双子の兄弟にマーカス・ストリックランド(ts)がいます。
共に将来を嘱望される注目のプレイヤーです。
本場ニューヨークのジャズ・シーンを体感したいならこのトリオがピッタリでしょう。

まずは手始めに新作からの曲目を演奏しました。
コリガンはバラードからアップテンポまで自在に展開させていきます。
エンニオ・モリコーネの”Cinema Paradiso”は前回も演奏していたので好きな曲なんでしょうね。
コリガンが最初に手にしたのはトランペットだそうですが、ここでは「枯葉」を披露してくれました。
多くの引き出しを持っているというか、多彩な表現力には才能を感じずにはいられません。
特にアクーニャが歌うラテン・ナンバーにも苦もなく合わせてしまう実力はさすがだと思いました。
E・J・ストリックランドは若いだけにエネルギッシュにグイグイと煽ってきます。
反面、スローな曲にはまだ物足りなさは残りました。
落ち着いたアーチャーとのコンビの対比が面白かったです。

クラウディア・アクーニャは南米のチリ出身、長い黒髪、黒のロング・ドレスで登場。
さらりとした歌声は心地良かったです。
やはりその真髄はスペイン語で歌うラテン・ナンバーにあります。
ゆったりとしたノリには眠くなってしまいそうな気だるさが最高です。
スタンダードでは「シークレット・ラブ」、「チャイルド・イズ・ボーン」、「ラバー・マン」などを聴かせてくれました。

At The "JZ Brat" Shibuya On 2007/06/21



土濃塚隆一郎(flh)、板垣光弘(p)を聴いてきました。

1年半のアメリカ武者修行を経て土濃塚隆一郎さんがどう変化したか、興味がありました。
相変わらずの頬と首の筋肉のふくらみには驚かされます。
初めて見た人はもうそれだけで凄いと思うでしょうね。
Lotus Blossom」、「Blue In Green」、「You Don't Know What Love Is」、
「Night And Day」、「Child Is Born」、「Red Clay」、「How Insensitive」、
「Sugar」、「Autumn Leaves」などのスタンダードやジャズの名曲を中心に聴かせてくれました。
サド・ジョーンズ、フレディ・ハバードの曲を演奏したところからも彼のこだわりがみえるようです。
マイルス・デイビス、ケニー・ドーハム、アート・ファーマーの演奏で有名な曲もあります。
パワフルでエネルギッシュは相変わらず、バラード・プレイに長足の進歩が認められました。
旧知の板垣光弘さんとのコンビネーションは抜群、息もぴったりの熱演でした。
板垣さんは指が立っているというか切れ味の良いピアノを聴かせてくれました。
両者のスイング感とリズム感がいいのでこの二人のコラボレーションは聴き応えがあります。
デュオではどうかという懸念は一発で吹っ飛んで、デュオこそが真髄だったと思わせる出来です。
この日は特にライブ・ハウスの雰囲気が最高で静かにじっくりと聴くことができました。
観客の皆さんが落ち着いていて静か、物音一つしませんでした。
まるでコンサート・ホールで聴いているような感じでした。
観客が演奏にはまり込むとこういう雰囲気になるのですね。
当然、これがプレイヤーにも通じていって、二人も絶好調で乗りに乗っていました。
長くライブに通っていますがこんなことは初めての経験です。
いやー、素晴らしかった。本当に行って良かったです。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/06/15



高田ひろ子(p)、安カ川大樹(b)、池長一美(ds)を聴いてきました。

高田さんは初見、女性らしいまろやかで優しいタッチのピアノを聴かせてくれました。
キース・ジャレット(p)やエンリコ・ピエラヌンツィ(p)の曲を演奏したことでもその雰囲気はつかめると思います。
安カ川さんは日本を代表するベーシストの1人で安定感は十分です。
しっとりと聴かせたアルコ・ソロにも痺れました。
池長さんは私の一押しのドラマーで、表現力豊かな語るドラムは素晴らしいの一言です。
安カ川さんと池長さんのコンビネーションは抜群、ドラムとピアノ・ベースとのコラボレーションも聴きものでした。
構成はオリジナルとスタンダードがバランス良く組み合わされていて、上記のキースやエンリコ、
スティーヴ・スワロウ(b)の曲も演りました。
スタンダードは「When I Fall In Love」、「All Of You」、「Stella By Starlight」、
「All The Things You Are」、「You Don't Know What Love Is」など。
なお、この日はゲストで2人が登場する幸運にも恵まれました。
1人は竹中俊二さん(g)でエレキギターで奏でる「Stella By Starlight」が新鮮、
もう1人は米国帰りのドラマーの勘座光さんで「You Don't Know What Love Is」を聴くことができました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2007/06/04



ごめんね / 後藤 輝夫(sax)、橋本 信二(g)、諸岡 大也(org)、小泉 高之(ds)を聴いてきました。

日本人のオルガン入りのジャズを聴くのは初めてなので楽しみにして行きました。
やはりオルガンが入るとブルージーでアーシーな感覚になります。
後藤輝夫さんはテナーとソプラノ・サックスを駆使してソウルフルな演奏を聴かせてくれました。
ギターの橋本信二さんは安定感があるプレイが身上、乗りも良く安心して聴いていられます。
小泉高之さんのドラムはグルーブ感溢れるタイトなリズムを繰り出していました。
このベテラン3人に若手のオルガニストの諸岡大也さんが加わる編成です。
諸岡さんにはこれからも精進を期待しています。
馴染みのあるスタンダードが4ビートのリズムに乗って心地良く演奏されました。
「WHEN YOU LOOK TONIGHT」、「POINCIANA」、「MY ONE AND ONLY LOVE」、「SUMMERTIME」、
「WHAT A WONDERFUL WORLD」、「BODY AND SOUL」など。
スタンリー・タレンタイン(ts)の「マイナー・チャンプ」という曲を演奏しましたがこれがピッタリでした。
思い出したのはジミー・スミス(org)のBN盤、「MIDNIGHT SPECIAL」と「BACK AT THE CHIKEN SHACK」でした。
メンバーはジミー・スミス、スタンリー・タレンタイン、ケニー・バレル(g)、ドナルド・ベイリー(ds)です。
ここいらへんが”ごめんね”が目指すサウンドなのかなと思いました。
この日はちょうど誕生日の人がいて、バースデー・ケーキを運ぶ際、
「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」を演奏してくれてライブ・ハウスは大いに盛り上がりました。
ところで”ごめんね”のグループ名の由来が気になりました。
リーダーの後藤輝夫さんのサイト名が「Go-men.net」で続けて読むと”ごめんね”になりますね。
文句なく楽しめる演奏なのでみんなで盛り上がるにはお薦めです。


At The "Sometime" Kichijoji On 2007/06/01



寺下誠(p)、高瀬龍一(tp)、安保徹(ts)、香川裕史(b)、礒見 博(ds)を聴いてきました。

まずは「気分爽快、大満足」の一言から始まります。
寺下誠グループの評判は聞いていましたが実際に聴くのは今回が初めてです。
オーソドックスでストレートなジャズの王道を行くクインテットを聴かせてもらいました。
ライブ・ハウスは超満員、スイング感溢れるステージに観客も大ノリ、拍手喝采でした。
グイグイと突っ走しりながら煽るリズム・セクションが強力無比、3人のコンビネーションも抜群です。
寺下さんの強烈なコード・ワークとソロは久々にピアノが打楽器であることを再認識させられました。
香川さんの強靭なベース・ワーク、特にウォーキング・ベースには自然と体が揺れてしまいます。
礒見さんはリズム感抜群、自在に変化するパーカッシブなドラムスも強力でこちらは自然に足が動きました。
このトリオにプッシュされて高瀬さんと安保さんが乗るという構図です。
しかし、このフロント・ラインが熱いながらも意外にクールでこの組み合わせが絶妙で実に良かったです。
高瀬さんのトランペットは渋い、まろやかな音色で印象に残りました。
マイルス・デイビス、アート・ファーマー、フレディ・ハバードの流れでしょうか。
ご存知、安保さんはデクスター・ゴードンばりの野太く落ち着いたテナーを聴かせてくれました。
曲目はモンク、ショーター、オリジナルなど、バラードの「Day Dream」、
題名は忘れたけど「三波春夫に捧げる曲」なんていうのもありました。
エキサイティングで熱気溢れるソロの応酬はジャズ・ライブの原点か。
私は大いに楽しめました。
むずかしいことは何もなし、「飲んで、食べて、ジャズを聴く」、そんな爽やかな気分にさせてくれたライブでした。


At The "Sometime" Kichijoji On 2007/05/25



太田朱美(fl)、石田衛(p)、織原良次(elb)、橋本学(ds)を聴いてきました。

期待のフルート奏者、太田朱美さんのニューバンドは「Risk Factor」と言うそうです。
人気があるのでライブ・ハウスは超満員の大盛況ぶりでした。
ベテランの味のあるライブもいいですがここでは元気溌剌の若手の迫力あるライブを堪能しました。
現在、デビューCDを制作中ということでそこで演奏されるオリジナルが中心でした。
前半では美しいバラードの「トキ」にウットリとしてしまいましたよ。
後半は一気に聴かせた組曲になっている5曲が圧巻でした。
スタンダードは前後半で1曲づつ、「All The Things You Are」と「Speak Low」でした。
バックのメンバーのグイグイと突っ走るグルーブ感も良かったです。
これは新譜が出たら絶対に買わねばなりませんね。
プロデュースする水谷浩章(b)さんも見に来ていました。

実はこの日は恒例の「CD聴きの会」のオフ会がありました。
オフ会中にリハーサル風景を見ました。
ちょうど私の持って行ったチャノ・ドミンゲス(p)の「アナ・マリア」(ウエイン・ショーターの作曲)がかかっていたのですが、
それに合わせて演奏していたのが印象に残りました。
フルートにはピッタリの曲なのでひょっとしたら本番でもと思いましたがこれは考えが甘かったです。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/05/04




林栄一(as)&久保島直樹(p)を聴いてきました。

林栄一さんを聴くのは2回目になります。
前回は竹内直さん(ts,bcl)とのサックス・バトルでフリー・インプロゼーションの嵐でした。
サックス同士だとどこへ吹っ飛んでいってしまうのか正直不安でしたが、
相手がピアノとなるとやはり安定感と安心感があります。
林さんは実に多くの引き出しを持っていてその多彩な表現力は驚異的です。
刺激的なフレーズが次々と編み出されてきました。
30分を越す熱演もあって気力、体力とも十分です。
久保島直樹さんは初見ですが独特のリズム感とタッチを持っています。
バド・パウエル〜セロニアス・モンク〜マル・ウォルドロンとみましたがどうでしょうか。
コード・ワークも魅力的でソロ・ピアノでも相当に面白いのではないかと思いました。
二人は長年の付き合いのようでコンビネーションも抜群です。
見て聴いて楽しめる、存分に「林栄一の世界」を堪能することが出来ました。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/03/16




西村和彦(p)、佐瀬正(b)、久米雅之(ds)、鈴木道子(vo)を聴いてきました。

西村和彦さんは透明感のある美しいピアノを弾きます。
3月には全曲オリジナルのソロアルバムを出す予定があるそうです。
今回見たのは2ステージ、2、3曲のトリオ演奏からスタート、その後に鈴木道子さんの登場です。
ヴォーカルは大体このパターンが多いですね。
このトリオは西村さんを中心にした端正で上品なピアノ・トリオという印象でした。
美しいピアノをバックが柔らかく支えるという展開です。
久米雅之さんのドラムも安定感十分、しっとりとしていていいです。
佐瀬正さんは初見、こちらも落ち着いたいいベーシストです。
この組み合わせは初めてと聞きました。
鈴木道子さんはお気に入りのヴォーカリストの一人です。
前回見たのは去年の7月、その時のバックは吉田桂一トリオでした。
(吉田 桂一(p) 佐々木 悌二(b) 渡辺 文男(ds))
ディープな声質の割りにストレートな歌い方をするのでしつこくありません。
それを知ってか知らずか、西村さんとは異質の組み合わせと言ってお客さんを笑わせていました。
全然違和感がないどころか、ちょうどいい案配のコラボレーションになっています。
お得意の「all or nothing at all」から始まり、「come rain or come shine」、
「my old flame」などを聴かせてくれました。


At The "Sometime" Kichijoji On 2007/02/19




渋さチビ〜ズ=不破大輔(b)、立花秀輝(as)、小森慶子(as,ss)、岡村太(ds)を聴いてきました。

今年はフリー系を含めてちょっと濃いめのジャズも聴いてみようかと思っています。
それで渋さ知らズのチビーズに行ってきました。
不破さんと岡村さんはサポートに徹して、フロント2人が主役、この競演は聴き応えがありました。
小森慶子さんを聴くのは松風鉱一カルテットに続いて今度が2回目です。
つくづく最近の女性サックス奏者は元気があると思います。
アルトとソプラノ・サックスを駆使して精力的なプレイを展開してくれました。
前回はたしかバス・クラリネットも披露しています。
私が驚いたのは立花秀樹さん・・・この人は上手いです。
変幻自在の強力なアルト奏者なのでこれからが本当に楽しみなプレイヤーだと思います。
渋さ知らズのオリジナルが中心で1曲、1曲が長いです。
目一杯のプレイとド迫力のジャズを聴いて大満足です。
マスターが書いた「エンターテイメント・ジャズの最高峰!」に嘘はなかった。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/02/16




「閑話休題」

「ドラ盤演奏曲目リスト」と「ドラ盤演奏者リスト」を作成してから早1年が経ちました。
こうして整理してみると、新しい発見も多く感慨深いものがあります。

「ドラゴン盤演奏曲目リスト」
最初は70曲程度で始めましたが現在95曲になっています。
1曲増える度に「あー、こんな曲もあったなあー」と思いを新たにしています。
「何で今頃・・・」と思う曲も多いです。
「ALONE TOGETHER」のトップは変わりませんでした。
さて、今後の展開はどうなるでしょうか。


「ドラゴン盤演奏者リスト」

ピアノのブラッド・メルドー、ベースのラリー・グレナディア、
ドラムスのビリー・ハートのトップは不動で相変わらず強いです。
この1年を通して最も変化があったのはやはりテナー・サックス部門でした。
私自身が個人的にテナー・サックス好きということが一番大きいと思います。
現在はクリス・チーク、マーク・ターナー、クリス・ポッターに最も注目しています。
必然的に聴く枚数も多くなってくるので上位進出は当然の結果ですね。

2007/02/18




水谷浩章(b)、中牟礼貞則(g)、外山明(ds)、太田朱美(fl,bfl)を聴いてきました。

水谷トリオとフォノライト・トリオが合体してフォノライト・カルテットになったそうです。

水谷さんは「フォノライト・カルテット・タイプA」と紹介して観客を笑わせていました。
Aは朱美さんのAだそうです。
ちょうど去年の今頃、水谷、中牟礼、太田のトリオを聴きました。
その時は太田さんの体調がイマイチかなと思ったのですが今回は好調でした。
美しく繊細、そのやわらかでまろやかな音色には魅力がいっぱいです。
フルートの新星として益々人気が急上昇すると思います。
それが証拠にライブ・ハウスは超満員でした。
それにしても外山さんが加わることによって厚みがグンと増しました。
意外性のあるユニークなドラミングは一見の価値あり、見て聴いているとワクワクします。
中牟礼さんの落ち着いた味わい深いプレイ、水谷さんの安定感のある強靭なベース。
曲目の構成はジャズ・スタンダードとオリジナルの組み合わせ。
特にスティービー・ワンダーの「YOU AND I」は素晴らしかったので強く印象に残りました。
2月3日は節分ということで春にこだわり、水谷さんは曲目を色々と考えていたようですが、
アンコールはミシェル・ルグランの「YOU MUST BELIEVE IN SPRING」ということで納まりました。
なお、当日の模様はjjazz.netが収録していて、後日ネット配信されるとのことです。

ここでは、また一つ魅力的なカルテットが加わりました。
■宮野裕司カルテット=宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds)
■松風鉱一カルテット=松風鉱一(sax,fl)、加藤崇之(g)、水谷浩章(b)、外山明(ds)
■フォノライト・カルテット=水谷浩章(b)、中牟礼貞則(g)、外山明(ds)、太田朱美(fl,bfl)
皆さんにもお勧めできるので、機会があれば是非聴いてみて下さい。


At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/02/03



■宮野裕司(as)、中牟礼貞則(g)、吉野弘志(b)、池長一美(ds)を聴いてきました。


私の2007年のライブは大好きなこのカルテットから始まりました。
回を重ねるごとにグループとしての密度が濃くなって4人のコラボレーションは最高です。
それぞれのインタープレイも自由自在で聴きどころは各所にあります。
宮野さんのやわらかでまろやかなアルト・サックスの音色は個性的で一聴の価値は十分、
中牟礼さんの味わい深いギター・プレイもまたいいです、これは年齢を重ねないと出ない味ですね。
吉野さんも生き生きと弾んでいます、アルコ・ソロもじっくりと聴かせてくれました。
池長さんの語るドラムは印象的かつ個性的で何度聴いてもワクワクしてしまいます。
全員が気負わず自然体を感じさせるスタイルがなんとも好ましいです。
要はグループとしても素晴らしいし、各人の技量も申し分ありません。
一人でも多くのジャズ・ファンにこの雰囲気を味わって欲しいですね。
サム・リバース(ts)、スティーブ・スワロウ(b)、ハーブ・エリス(g)などの曲を取り上げていました。
「Body&Soul」や「Beautiful Love」も良かった。
このグループの演奏はなんとか記録に残して欲しいと願っています。

At The "No Trunks" Kunitachi On 2007/01/12




[ライブ・レポート]
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