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(480) HARRY ALLEN / MEETS TRIO DA PAZ

harry allen(ts),
romero lubambo(g), nieson matta(b), duduka da fonseca(ds),

2007/SWING BROS/


ハリー・アレン(ts)とトリオ・ダ・パズのスタンダード作品集です。
今作はラテン・ファンなら誰でもが聴きたいと思う絶好の企画でしょうね。
ハリーはボサノバものが得意で何枚もの作品を残しています。
でもこれはちょっと毛色が違っていて、主役はトリオ・ダ・パズでハリーが客演した感じかな。
それほどサンバやボサノバのリズムが特徴的です。
トリオ・ダ・パズはニューヨークで活躍するブラジル人の人気グループです。
ロメロ・ルバンボ(g)の生ギター中心としたこの3人が繰り出すリズムと雰囲気が素晴らしい。
ハリーがまたバックにピタリとハマった軽快で味のある演奏を聴かせてくれました。
ハリーとルバンボのデュオで演奏された(6)「I CONCENTRATE ON YOU」は心に響いた。
やわらかなブラジルの風に乗った一味違うスタンダード集で楽しめました。


(くつろぎ系)




(479) ERIC ALEXANDER QUARTET / SUNDAY IN NEW YORK

eric alexander(ts),
john hicks(p), john webber(b), joe farnswarth(ds)

2005/Venus Records/


先週に引き続いてエリック・アレキサンダー(ts)を聴いています。
この頃、ヴィーナス・レーベルからはバラード集が出ているので谷間の作品になるのかな。
「ジェントル・バラッズ」・シリーズです。
そちらと遜色なくむしろ一ひねりある分、全体的な構成や内容はこちらが上かもしれません。
エリックもさることながら、特に故ジョン・ヒックス(p)が参加しているのは本当に嬉しいです。
亡くなるほぼ1年前の作品になるのでこの後は1、2枚あるかどうかというところだと思います。
大人し目で切れ味にも欠けますがまだまだ元気なプレイを聴かせてくれました。
ベスト・プレイはそのヒックスのオリジナル(2)「AVOTCJA」でテンポの良さが光ります。
(7)「ALONE TOGETHER」や(3)「DEARLY BELOVED
」も良かった。
スタンダード集ということで気持良く大らかに歌い上げています。

(くつろぎ系)




(478) KENICHI SHIMAZU TRIO / THE COMPOSERS U

嶋津健一(p)、加藤慎一(b)、岡田佳大(ds)

2009/Roving Spirits


先週に引き続いて嶋津健一さんのアルバムです。
こちらはジョニー・マンデル作品集です。
一貫したバラード作品集で研ぎ澄まされた美しいピアノが聴けました。
(3)「GRIEF AND RELIEF」はライブでも素晴らしかった。
3者が持ち味を生かした好バランスのピアノ・トリオだと思います。
グッと抑えた演奏には適度な緊張感と刺激があります。

2枚組を買うのはつらいので1枚だけならどうか。
ミシェル・ルグランかジョニー・マンデルかということもあるでしょうね。
構成やメリハリを買うならTを、バラードを味わうならUになります。

(中間系)




(477) KENICHI SHIMAZU TRIO / THE COMPOSERS T

嶋津健一(p)、加藤慎一(b)、岡田佳大(ds)

2009/Roving Spirits


評価の高いピアニストの嶋津健一さんは気になる存在でした。
今作はミシェル・ルグランにスポットを当てたもので昨年出た2枚組のCDの一枚目です。
(2枚目はジョニー・マンデル作品集)
オリジナルが6曲にミシェル・ルグランが4曲の構成です。
嶋津さんのスイング感と美しいピアノの音色はルグランの旋律にピタリとはまります。

先日、嶋津さんの参加したライブを見に行きました。
中村誠一(ts)、大森明(as)、嶋津健一(p)、沼上励(b))、横山 和明(ds)
ライブ・レポートには書きませんでしたがこのCDは嶋津さんから手渡しで入手したものです。
熱心なファンが多く聴きに来ていて嶋津さんの人気の程がうかがえました。

バラードにおけるしっとりとした美しさとアップ・テンポにおける抜群のノリの対比が聴きどころ。
そういった意味で(3)「ARE YOU FEELING BLUE ?」〜(4)「YOU! NAME IT」に注目しました。
けれんみのない気持のいいピアノ・トリオが聴けます。

(中間系)




(476) ERIC ALEXANDER QUARTET & QUINTET / TEMPLE OLYMPIC ZEUS

eric alexander(ts),
david hazeltime(p), nat reeves(b), joe farnswarth(ds)

jim rotondi(tp)(1,2,6)

2007/HIGH NOTE/


ジャズ・ファンはその時々で聴きたいものや好みが変わってきます。
ちょっと前まで、テナー奏者でいえばマーク・ターナー、クリス・チーク、クリス・ポッターが好きだった。
でも今はスコット・ハミルトン、エリック・アレキサンダー、ハリー・アレンというところをよく聴いています。
特にこのエリック・アレキサンダーには新たな可能性を感じています。
一時期はあまりにあちこちに出現するので食傷気味になって全然聴かない時期がありました。
ところが1、2年前になるかな、
*ERIC ALEXANDER QUARTET / IT'S ALL IN THE GAME(2006/HighNote/)
を聴いて愕然としました。
ストレートでダイナミック、よどみないフレーズと艶やかな音色で完全にノック・アウトされました。
こういっては何ですが日本企画盤では気が付かないことが多いんです。
スタンダードやバラードをオーソドックスに演奏することが求められますから。

過ぎてから気付くことも多いけれど2005年〜07年頃にエリックは一つのピークを迎えたのではないか。
で、この頃のリーダー作品をショップで見かけると買っています。
ただ今のところは、あえてネットで注文するまでは至っていません。

ここは気心の知れた「ワン・フォー・オール」のメンバーでリラックスした演奏を繰り広げています。
エリックは普段通りで目立たないけど中身は濃いと思う・・・どこまで技を追求していくのか。

(中間系)




(475) YOICHI KOBAYASHI & J. J. M / A NIGHT IN TUNISIA

谷殿明良(tp)、浜崎航(ts)、
三木成能(p)、高道晴久(b)、小林陽一(ds)

2010/Monky's Records/


「ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ」・・・小林陽一(ds)さんが満を持して結成しました。
以前にも一時期この名前を使ったこともあるようですが今ほどしっくりくる時はないと思います。
小林さんほどアート・ブレイキー(ds)を敬愛している人はいないからです。
「小林陽一&グッド・フェローズ」からどれほどの若手ミュージシャンが育っていったでしょうか。

ここでの聴きどころは谷殿明良(tp)さんと浜崎航(ts)さんのフレッシュなフロント2管になります。
特にトランペッターの層は薄いので谷殿さんの登場は嬉しいですね。
トランペットとテナー・サックスの組み合わせは王道クインテットです。
三木成能さんも注目のピアニストですがここでも随所でグッとくるプレイを聴かせています。
高道晴久(b)さんと小林さんのリズムは強力です。

今作にはジャズの楽しさを感じさせるスイング感に溢れた心地良い演奏が詰まっていました。
谷殿さんと浜崎さんのオリジナルもいい。
表題曲になった(10)「A NIGHT IN TUNISIA」も聴きものです。

(くつろぎ系)




(474) FAR EAST JAZZ ENSEMBLE / LIVE AT STAR EYES

安ヵ川大樹(b)、佐々木史郎(tp,flh)、松島啓之(tp,flh)、
中路英明(tb)、近藤和彦(as,ss)、小池修(ts,ss,fl)、
浜崎航(ts,fl)、堀秀彰(p)、大阪昌彦(ds)

2010/DAIKI MUSICA INC/


安ヵ川大樹(b)さんプロデュースの珍しい九重奏団です。
実力者と若手の組み合わせ・・・これは文句なしに良かった。
メンバーのオリジナルの8曲が中心でスタンダードは1曲だけです。
中でも堀秀彰(p)さんと浜崎航(ts)さんの若手二人のオリジナルに注目しました。
各人に十分なソロ・スパースが与えられて聴きどころが満載です。
特に(6)「BUT BEAUTIFUL」における中路英明(tb)さんのソロには感動しました。
美しいハーモニーには涙が出そうになる。

これを聴いたら日本人ジャズ・プレイヤーの実力を体感できますよ。
素晴らしいの一語・・・世界に誇る日本のジャズ・・・万歳。

(中間系)




(473) MARK SOSKIN QUARTET / MAN BEHIND THE CURTAIN

mark soskin(p), jay anderson(b), bill stewart(ds)
ravi coltrane(ts,ss)

2009/kind of blue/


二人の珍しい名前を見かけたので購入しました。
マーク・ソスキン(p)とラヴィ・コルトレーン(ts)です。
ソスキンは地味ですがソニー・ロリンズ(ts)のグループで活躍していました。
オーソドックスで安定感のあるピアニスト・・・もっと評価されてもいいと思う。
ソスキンがテナー・サックス奏者を相手に選ぶのは順当なところです。
ラヴィ・はジョン・コルトレーン(ts)の息子。
偉大な父を持つ二代目がつらい立場にあるのはよく耳にします。
そんなこともあるのか、ラヴィも突っ張っていたので以前は重たいプレイ振りでした。
しかし、ソスキンがリーダーならそう硬いこともないだろうと予想しました。
メンバーもジェイ・アンダーソン(b)にビル・ステュアート(ds)という渋い人選です。

選曲はオリジナル3曲とスタンダード6曲の構成です。
ベスト・トラックはより軽い感じに仕上がった(1)「HEATHER ON THE HILL」かな。
(3)「INVITATION」や表題曲の(5)「MAN BEHIND THE CURTAIN」も良かった
(4)「FOR ALL WE KNOW」ではラヴィの父親譲りのバラードが聴けて面白かったです。
こんな風にストレートに吹いてしまえばいいのにと思いますが・・・。
(7)「FOR HEAVEN'S SAKE」はソプラノ・サックスとテナー・サックスの多重録音です。


(まじめ系)




(472) WALTER SMITH V QUINTET / LIVE IN PARIS

walter smith V(ts), ambrose akinmusire(tp),
aaron goldberg(p), matt brewer(b), marcus gilmore(ds)

2009/Spece Time/


ウォルター・スミス・三世を聴くのは3枚目になります。
西藤ひろのぶ(g)さんとSEAN JONES(tp)のアルバムでした。
先進のテナー奏者として若手の注目株の一人といえると思います。

ウォルター・スミスはジャケットの雰囲気からしてジョン・コルトレーン(ts)にソックリですね。
演目にはオリジナルの他、ベニー・ゴルソン(ts)やサム・リバース(ts)の曲が取り上げられています。
どうやらここいらへんにルーツがあるようです。
ライブ盤ということもあって熱い演奏を聴くことができました。
構成の面白さもあって(1)〜(4)までのメンバーのオリジナルが真骨頂だと思います。
続くゴルソンの(5)、ゴールド・バーグの(6)、リバースの(7)の解釈、展開も面白かったです。
特に(4)「HIMORME」と(6)「SHED」が聴きどころか。
Ambrose Akinmusire(tp)とMatt Brewer(b)は初見ですが各所で突き抜ける演奏が聴けました。
先週紹介したアーロン・ゴールドバーグがここでも素晴らしいプレイを聴かせています。
彼がいなかったら何処へ飛んでいたのか分からない危うさがあるので救われたのではないかな。
マーカス・ギルモア(ds)はダニー・グリセット(p)のライブで見たばかりなので記憶に新しいです。
少々重たいですが聴き応えのある好盤です。

(まじめ系)




(471) AARON GOLDBERG TRIO & QUARTET / HOME

aaron goldberg(p), reuben rogers(b), eric harland(ds)
mark turner(ts)(1,5,9)

2010/Sunnyside/


アーロン・ゴールドバーグは新感覚ピアニストとして忘れてはならない存在です。
今作はそのゴールドバーグの代表作になったと思います。
選曲もオリジナルが3曲、モンク、ジョビン、スティービー、マンデルまで良く考えられている構成です。
今が旬のトリオのバランスも素晴らしく、マーク・ターナー(ts)が3曲に参加しているのも魅力です。
私は1曲目の美しさにぐっと引き込まれてしまいました。
私的ベストは(9)「AZE'S BLUZES」でした。
ただ硬いだけでなく根っこにはスイング感があるのでこれが素晴らしい。
スタンダードの解釈も新鮮でゴールドバーグの実力を余すところなく伝えた好盤です。
しっとりとした聴きどころ満載のアルバムでお薦め。
マーク・ターナーは指に大怪我をしたということで心配していましたがどうやら大丈夫のようですね。

(中間系)




(470) EMIL VIKLICKY TRIO / LIVE IN VIENNA

emil viklicky(p), frantisek uhlir(b), laco troppi(ds)

2010(2007/Rec)/CUBE/


エミール・ヴィクリツキー(p)は初見、それこそビックリしました。
チェコのベテラン・ピアニストですが、すでにピアノ・トリオ・ファンにはよく知られているようです。
聴いた途端にその音色に参った・・・ガツンときてかなりのインパクトがありました。
力強いタッチ、スイング感に溢れ、流れるような魅力的なフレーズ、何もかもが個性的で美しいです。
さすがチェコですね、クラシックで鍛えられた技量は見事なものです。
キース・ジャレット(p)とレイ・ブラウン(b)を2曲を除いてはメンバーのオリジナル。
ライブ盤にしては1曲づつがそれほど長くなくまとまっています。
ユッタリと入って徐々に盛り上がっていく、熟練の技が光る珠玉の作品集。
ライブとは信じられないほどの完成度の高さでトリオとしてのバランスも素晴らしいです。
特にベーシストがまた凄いプレイを聴かせてくれました。

しかし、つくづく世界は広いですね。
まだまだ知られざる?名手がいっぱい隠れていると思います。
安定感のある王道・ピアノ・トリオで文句なしの一枚です。

(中間系)




(469) HIROMI MASUDA QUARTET / MAYBE SEPTEMBER

増田ひろみ(as),
gene dinovi(p), neil swainson(b), ernesto cervini(ds)

2010/Marshmallow/


今作はライブ会場で購入しました。
初リーダー・アルバムの共演がカナダのジーン・ディノヴィ・トリオになりました。
いきなり超ベテランの名手が相手では相当に緊張したと思います。
でも見事にそれをやり遂げたので大きな自信になったでしょうね。

演目はぶっつけ本番のスタンダードが中心です。
表題曲になったバラードの(4)「MAYBE SEPTENBER)」とラテンの(8)「TICO TICO」がこだわりか。
前者はロマンチックなスロー・バラードにおける表現力と後者はサックスでは至難の曲に挑戦しています。
私的ベストはピアノレス・トリオで演奏された(4)「WHAT IS THIS THING CALLED LOVE」でした。
抜群の緊張感でスウェインソン(b)とチェルヴィーニ(ds)のリズムがいかに素晴らしいかの証明になりました。
(2)「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」も負けず劣らずの内容でいいです。
こちらはリフから入る意表を突く展開になりました。
アタックの強さ、スイング感、フレーズ、伸び伸びとプレイしていて申し分ありません。
続いて前述の(8)、(4)、(9)「FLY ME TO THE MOON」、(6)「ALL THE THINGS YOUR ARE

(7)「THE SHADOW OF YOUR SMILE」も聴きどころがあります。
スタンダードでもアプローチの仕方によって十分刺激的になることを実感しました。

増田ひろみさんの根っこはレニー・トリスターノ(p)派のリー・コニッツ(as)だと思います。
ライブ・レポートでも書きましたが、ちょっとかすれたような独特の音色は心地良いです。
改めてこれほどクールな感覚を出せる女性プレイヤーは少ないと思いました。
楽器の音色は人の声と同じでそれぞれに好みがありますね。
増田さんの高過ぎず低過ぎずの丸みのある音色は聴いていて疲れません。
まるで歌を聴いているような気分になりました。
もう一人の主役はベーシストのニール・スウェインソンと思います。
そっと寄り添うようで刺激を与えるベース・ラインはまったく素晴らしいです。
随所で展開されるベース・ソロにも聴きどころは十分です。
ディノヴィさんは控え目でしたが(7)、(9)ではさすがのプレイを聴かせてくれました。
若手ドラマーのアーネスト・チェルヴィーニはディノヴィさんの秘蔵っ子のようです。

今作はプレイヤーの音楽性を重視した良心的な作品に仕上がっています。
もちろん、まだ荒削りですがそれをはるかに上回る魅力的なアルバムです。
初リーダー・アルバムでここまで自由にできるのはそうはないと思います。
プロデューサーの厚意を感じました。

(中間系)




(468) DON MENZA & JOE HAIDER TRIO /BILEIN

don menza(ts,fl),
joe haider(p), christopher gordan(b), paul kreibith(ds)

1998/JHM Records/


ドン・メンザ(ts)の珍しい名前を見かけたので購入してみました。
1998年の作品なので、以前、見たような気がしますが買ってから気が付いた。
最近どうもこういうことが多くなってきました。
名前や曲名を思い出せないことも多い・・・ちょっと前なら思い出そうとした・・・でも今はそのままにしています。
無理に思い出そうとすると疲れるからねぇ〜・・・・・もうダメか。

ジョー・ハイダーはドイツ出身のヨーロッパでは知られたピアニスト、レーベルも彼個人のものです。
そのトリオにメンザが客演したアルバムでリラックスした演奏を聴くことができました。
メンザは長くビックバンドで活躍していたテナー、フルート奏者ですがその実力は確かです。
豪快な音色の持ち主で、ここでも多彩な表現力を駆使していて大張り切りなのがうかがえます。
オリジナルが中心だけれど全体を覆う大人のムードは味わい深いものがあります。
(1)「BILEIN」のノリ、(2)「IT'S APRIL AGAIN」のバラードを聴けばその素晴らしさが分かると思います。
ジョー・ハイダー・トリオは文句なしの出来、(3)「BROADBOTTOM」では痺れました

メンザは正直、少々抑えのきかないところもありますがそこはご愛嬌というところか。

(中間系)




(467) SCOTT HAMILTON QUARTET / NOCTURNES & SERENADES

scott hamilton(ts),
john pearce(p), dave green(b), steve brown(ds)
2006/Concord/


スコット・ハミルトン(ts)の珠玉のバラード作品集です。
私は時々、オーソドックスなジャズ・バラードが聴きたくなります。
そんな時にはスコット・ハミルトンを選ぶことになりますがやっぱり安心感があります。
テナー・サックス奏者のバラード集はそれこそ数が多いですね。
でも、昔ながらのスイング・スタイルを感じさせるものはそうはありません。
コールマン・ホーキンスやベン・ウエブスターの流れを受け継いだのはハミルトンです。
この流れを踏襲してくれたプレイヤーがいて本当に良かったと思います。

ハミルトンはデビュー時からスタイルはまったく変わっていません。
ワン・アンド・オンリーの世界を持っています。
MAN WITH A HORN」から始まる今作はハミルトンの諸作の中でも一番濃い感じがしました。
徹底したバラード・プレイは抜群のテンポのキープ力を見せてくれました。
バックを固めるのはジョン・ピアース(p)をはじめイギリスの3人です。
私的ベストは(9)「BY THE RIVER SAINTE MARIE」ですがこのスイング感が素晴らしい。
その他にも聴きどころが多いです。
ただ、あまりに情感豊かなので、「わぁ〜、これはちょっと・・・」と思う人もいるでしょうね。

(くつろぎ系)



(466) JOHN FEDCHOCK NY SEXTET / LIVE AT THE RED SEA JAZZ FESTIVAL

john fedchock(tb), scott wendholt(tp,fhn), walt weiskopf(ts),
allen farnham(p), david finck(b), dave ratajczak(ds)

2010/Capri Records/


ジャケットを見た時にトロンボーンがリーダーの3管編成は面白そうと思いました。
3管といえばジャズ・メッセンジャーズやアート・ファーマーのジャズテットを思い出します。
しかし、イメージはちょっと違ってビックバンド風というか、よりモダンな展開を見せています。
ここはメンバー構成も興味深いものがありますね。
リーダーのジョン・フェドコック(tb)をはじめ、ビック・バンドで活躍したプレイヤーが多いです。
フェドコックのオリジナルが4曲にトム・ハレル(tp)とデューク・エリントンを取り上げています。
分厚いアンサンブルとハーモニーを十分に楽しむことができました。
(3)「ELVIN'S EMPIRE」〜(4)「MOON ALLEY」はライブとは思えない完成度の高い演奏。
(5)「キャラバン」の盛り上がりも楽しめました。
ウォルト・ワイスコフ(ts)、スコット・ウェンドホルト(tp)、多才なアレン・ファーナム(p)のプレイも聴きどころ。
ビック・バンド・ファンにもお薦めできます。

(中間系)




(465) MARC CARY FOCUS TRIO / LIVE 2009

marc cary(p), david ewell(b), sameer gupta(ds)
2010/MOTEMA MUSIC/


マーク・キャリーも好きなピアニストの一人です。
最初に聴いたのはロイ・ハーグローブ(tp)作品だったか、ラッセル・ガン(tp)のアルバムでも良かった。
ワイルドで野性的、個性味溢れるピアニストです。
フレーズを繰り返すのはグラント・グリーン(g)のピアノ版という雰囲気もあって一度聴いたら忘れられません。
直球よりも変化球が多めですが古さと新しさの段差が実に面白いです。
ファンキー&ソウル、かと思うとモダンでフリーな展開をみせるアプローチやフレーズもある。
やっぱりこういうのはアメリカでしょうね、、ヨーロッパでは出てこないピアニストだと思います。
ヒップホップ風にソウルフルに疾走するビート感が面白い、この手のサウンドはドラマーが決め手になります。
うねる波のように押し寄せる多弁なドラミングが新鮮かつ印象的で魅力あります。
連打するピアノとドラムスのコラボレーション、自然に身体が揺れてくるグルーブ感がたまらないです。
彼らの目指すサウンドはオリジナルにあり・・・このノリはもう最高。
(6)「KC-BISMILLAH KHAN」、(7)「MINOR MARCH」も聴きどころになります。
背筋がゾクゾクとするほどの真っ黒で刺激的なピアノ・トリオが聴けました。
このライブ盤はマーク・キャリーの代表作になるのではないかな。
選曲構成も良く、1枚を通して楽しめる独特の味を持つピアノ・トリオ作品でお薦めです。

(中間系)



(464) MIKE MELITO QUINTET & SEXTET / IN THE TRADITION

mike melito(ds), grant stewart(ts), john swana(tp),
paul hofmann(p), neal miner(b), bob sneider(g)(3,5,6,8,9)
2008/Mike Melito/


題名が「IN THE TRADITION」は予想通り、4ビートのホッとする演奏が詰まっていました。
リーダーのマイク・メリト(ds)をはじめ、ピアニスト、ベーシスト、ギタリストは初見です。
ここではグラント・スチュアート(ts)とジョン・スワナ(tp)の組み合わせに興味を持ちました。
私はテナー・サックスとトランペットのフロントが大好きで見かけると大抵買うことになります。

曲目はソニー・クラーク(p)、バリー・ハリス(p)、ハンク・モブレイ(ts)、タッド・ダメロン(p)など、
スタンダードの(6)「SKYLARK」、オリジナルの2曲を含めて嬉しい選曲になっています。
実にやわらかい仕上がりで聴きやすいです。
間違いなく楽しめるアルバムだと思いましたが事実その通りになりました。

ドラマーのリーダー・アルバムにはハズレが少ないですがここでも人選に成功したと思います。
グラント・スチュアート(ts)とジョン・スワナ(tp)がいいです。
二人ともいまひとつ大人しい感じなので、でしゃばることが少なく好センスなプレイヤーですね。
反面、なにか物足りないところがあるのも事実・・・でも、ここではそれが見事に生きました。
ギター入りのセクステットは珍しいけれど、メリトのトータルなサウンド作りが素晴らしい。
ボサノバ好きには(3)「THE DOLPHIN」も入っていてソツがありません。
むずかしいことは何もない、選曲、構成もよく考えられているので安心してお薦めできます。
ただ、自主制作盤だと思えるので入手は困難かもしれませんね。
同じドラマーのジョー・ラ・バーベラが絶賛のコメントを寄せています。


(くつろぎ系)



(463) SCOTT HAMILTON SCANDINAVIAN FIVE / LIVE AT NEFERTITI

scott hamilton(ts), ulf wakenius(g),
jan lundgren(p), jesper bodilsen(b), kristian leth(ds),

2009/Stunt Records/


スコット・ハミルトン(ts)のスウェーデンのジャズ・クラブ、「ネフェルティティ」でのライブ盤です。
CDとDVDの2枚組になっていて大徳用盤、こういうのは大歓迎です。
ハミルトンのオーソドックスなスタイルはまったく変わらないのでいつも通りのサウンドと展開。
ここの注目はスカンジナビアン・ファイブと名付けられた共演メンバーにあると思います。
ウルフ・ワケニウス(g)、ヤン・ラングレン(p)、イエスパー・ボディルセン(b)といったところが参加しました。
焦点はやはり「北欧の貴公子」、ヤン・ラングレン(p)でしょうね。
イケメンで女性に人気ですがジャズ・ピアニストしての実力も申し分ありません。
爽やかなタッチとまろやかなフレーズはハッとさせるほど美しいです。

正直、CDよりもDVDが断然良くて価値があります。
リラックスしたライブの模様がそのまま伝わってきて面白かったです。
アイ・コンタクトで意思の疎通を図るところなど、ライブならではの雰囲気が伝わってきました。
音楽監督はラングレンだったようですね。
DVDではラングレンの存在感とワケニウスやボディルセンのプレイも見どころになります。
盛り上がったのは(1)「MOVE」、ベスト・プレイは(4)「BYE BYE BLACKBIRD」か。

(くつろぎ系)




(462) MYRON WALDEN QUINTET / MOMENTUM

myron walden(ts), darren barrett(tp),
david bryant(rhodes),
中村恭士(b), kendrick scott(ds)
2009/Demi Sounds Records/


マイロン・ウォルデン(ts)を最初に聴いたのは1996年のラッセル・ガン(tp)の作品でした。
その後もジェレミー・ペルト(tp)、最近ではブライアン・ブレイド(ds)の「フェロウシップ」で聴きました。
現在は37歳ということなので順調に成長してきたと思います。
当初はアルト・サックスでしたがどうやらテナー・サックスに転向したようですね。

今作は全てマイロンのオリジナルで占められていて意欲作だと思います。
ダーレン・バーレット(tp)とデヴィッド・ブライアント(p)は初見、
中村恭士(b)さんはHPのライブ・レポートや片倉真由子(p)さんの作品などで何度か紹介しています。
バークリーからジュリアードに学んだ逸材で期待のベーシストです。
ケンドリック・スコット(ds)も先進のドラマーとして売り出し中です。
この二人のリズム・セクションが強烈、加えてブライアントのローズが絡むと懐かしいサウンドになりました。

テナー・サックスにトランペットのフロントにピアノ・トリオは王道クインテットの組み合わせ。
おまけにローズ使用とくればもうお分かりですね。
お手本は初期のエレクトリックなマイルス・デイビス・クインテットです。
ズバリ、(5)「MILES」なんて曲名もあります。
1曲目「OF THREE WORLDS」を聴いてもらえばこのグループの魅力が分かると思います。
(2)「THE ROAD AHEAD」、(7)「WHAT GOES UP MUST COME DOWN」も良かった。
一番の聴きどころは(3)「PULSE」かな・・・ゆったりと刺激的で味のある演奏が展開されています。

ちなみにこのグループのライブ・アルバムも同時発売されています。
期待の程が分かりますね。
現在のニューヨークのジャズ・シーンの一片を切り取ったお薦めのジャズ・アルバムです。

(まじめ系)




(461) GLADYS KNIGHT / BEFORE ME

gladys knight(vo),
chris botti(tp), roy hargrove(flh), david "fathead" newman(ts),
steve wilson(as), russell malone(g), jeff mironov(g),
joe sample(p), billy childs(p),
john clayton(b), david finck(b), jeff hamilton(ds), etc
2006/Verve/


ライブを聴きに行って、休憩時間にかかっている曲にドキッとする時があります。
これもそんな中の一枚でした。
「いいねぇ〜、これは誰ですか?」とたずねると・・・・・返事は「グラディス・ナイト」でした。
グラディス・ナイトといえばソウル系モータウン・レコードの看板歌手だったじゃないですか。
”グラディス・ナイト&ザ・ピップス”の「Neither One Of Us」は良かった。
今作はその彼女のスタンダード集で発売時には相当話題になったらしいです。
事実、知った時にすぐ入手しようとしたら一時的に廃盤状態になっていて、ようやく再プレスされました。

ストリングス・オーケストラをバックにゴージャズに歌い上げています。
バックにはそうそうたるメンバーが名前を連ねていました。
グラディスの持ち味であるソウル・フィーリングに満ちたスタンダード集で素晴らしい仕上がりです。
聴きどころが多いですが特に(3)「Good Morning Heartache」と(5)「God Bless the Child」、
(8)「Someone to Watch Over Me」、(9)「But Not for Me」が良かった。

私としてはボーカルの愛聴盤は珍しいです。

(中間系)



(460) YOSHIO SUZUKI / MY DEAR PIANISTS

鈴木良雄(b)、
ケイ・赤城(p)、秋吉敏子(p)、小曽根真(p)、
イサオササキ(p)、野力奏一(p)、山本剛(p

2009/55Records/


日本を代表するベーシスト、鈴木良雄さんの音楽活動40周年の記念盤だそうです。
鈴木さんが長年温めてきたアイデアが実現されました。
6人の素晴らしいピアニストとの共演でこれまた贅沢なアルバムに仕上がっています。
鈴木さんのライブにも時々出かけますが若手との共演が楽しみです。
ここでは8曲、ライブでもオリジナルが中心で作曲家としての才能にも溢れています。
そのオリジナルは人柄を表していてやさしくて温かくて美しい曲が多いです。
ここでも6人のピアニストがそれぞれに美しいプレイを聴かせてくれました。
メンバーは語る必要がない実力者揃いです。
ただ勉強不足でイサオササキさんは初めて聴きました。
ベスト・トラックは一番若い野力さんとの表題曲にもなった(4)「MY DEAR FRIENDS」かな。
美しいメロディと寄り添うような鈴木さんのベースとそれぞれのピアニストの思いを聴いてみて下さい。
気持が落ち着き、穏やかにやさしくなれます。

(くつろぎ系)




(459) DAVID KIKOSKI TRIO / LIVE AT SMALLS

david kikoski(p), hans glawischnig(b), obed calvaire(ds)
2009/SMALLS LIVE/


デヴィッド・キコスキ(p)・トリオのライブ盤です。
オリジナルが3曲とジョー・ヘンダーソン(ts)、チャーリー・パーカー(as)が選ばれています。
収録曲は5曲、気合乗りは十分でそれぞれ10分を超える熱演になりました。
キコスキの魅力は甘さ控え目のストレート・アヘッドなピアノ・プレイにあると思います。
ルーツはマッコイ・タイナー(p)、力強いタッチと思い切りがよく硬質で一本気なところが感じられます。
スロー・テンポはいまひとつでグイグイと突っ走るピアノがいいです。
良かったのは(5)「GREY AREAS」でこれが素晴らしい。
「おいおい、これは〜」・・・途中で私は座り直して聞き耳を立ててしまいましたよ。
ピアノとドラムスのコンビネーションが凄い、中盤の盛り上がりが圧巻で背筋がゾクゾクとしました。


今回、新しいメンバーを起用して名実共にキコスキーのトリオになったと思います。
ベースのHans Glawischnigはデヴィッド・サンチェス(ts)やミゲール・ゼノン(as)と共演、
ラテンや一癖あるサウンドだったのでこういうストレートなジャズは初めてです。
若手のドラマーのObed Calvaireはフィリップ・デザック(tp)のアルバムで聴いたことがあります。
二人共に要注目のプレイヤーになりましたが特にオベッド・カルヴァイアー(ds)は魅力十分です。


(中間系)



(458) JON IRABAGON QUARTET & QUINTET/ THE OBSERVER

jon irabagon(as,ts), nicholas payton(tp)(2,8)
kenny barron(p), bertha hope(p)(9), rufus reid(b), victor lewis(ds)

2009/Concord/


ジョン・イラバゴン(sax)は初見、クラリネット奏者でもあるようです。
このメジャー・レーベルのデビュー作は相当気合が入っていると思われます。
それはケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、ヴィクター・ルイス(ds)の起用からもうかがえます。
2曲にはニコラス・ペイトン(tp)が参加しています。
オリジナル7曲、その他3曲の構成、ジジ・グライス(as)やトム・マッキントッシュ(tb)の曲は珍しいです。
比較的地味なプレイヤーの作品をとりあげているので選曲からも人柄を表しているような気がします。
さらにエルモ・ホープ(p)の曲(9)「BARFLY」ではホープの奥さんのバーサが参加しているのも貴重です。
やや大人しめですが多彩な奏法を聴かせてくれてストレートなジャズ・アルバムに仕上がっています。
もう少し迫力が欲しい気がしますが長く愛聴できる通好みのアルバムといえるかもしれません。
私はグライスの(3)「THE INFANT'S SONG」のバラードの表現力に注目しました。
安定感のあるサックス・ワン・ホーン・作品は安心してお勧めできます。

(中間系)




(457) KURT ROSENWINKEL TRIO / REFLECTIONS

kurt rosenwinkel(g), eric revis(b), eric harland(ds)
2009/WOMMUSIC/


先進のギタリスト、カート・ローゼンウィンケル・トリオのスタンダード作品集です。
このアルバムの存在は知っていましたが延び延びになってライブ会場で入手しました。
2010年ライブ・レポート参照

カートの名前を最初に知ったのは90年代初めだったか、ゲイリー・バートン(vib)のアルバムでした。
名前からみてもドイツ系ということはすぐに分かりますね。
まだ若かった(20歳そこそこ)こともあって、その時は特別印象に残りませんでした。
その後、マーク・ターナー(ts)、クリス・チーク(ts)、ペリコ・サンビエト(as)、
クリス・ポッター(ts)などの先進のサックス奏者と共演して徐々に頭角を現してきました。
上下に伸び縮みする独特の浮揚感を持ったサウンドは誰にも似ていない彼独自のものです。
2000年に入るとそれこそあちこちから引っ張りだこになります。
その個性的なギター・プレイは彼をニューヨークの最先端をいくギタリストに成長させました。
最大の特徴は「クール+気だるさ」にあります。
最初はちょっととっつきにくいと思いますが慣れてくると心地良いリズムになってくるんです。

今回、ライブと今作を聴いて、ルーツはジョー・パス(g)とジム・ホール(g)かなと思いました。
ジョン・アバークロンビー(g)の雰囲気もある。
テクニックはもちろんのこと、エフェクターを上手に使ってサウンド作りをしています。
今作ではセロニアス・モンク(p)とウエイン・ショーター(ts)を2曲づつ演奏しているので好みも分かりました。
面白かったのはモンクの(1)「REFLECTIONS」、オリジナルの(4)「EAST COAST LOVE AFFAIR」、
ショーターの(6)「ANA MARIA」のボサノバのリズムだったです。
ライブでは共演のエリック・リーヴィス(b)とエリック・ハーランド(ds)も見たかったけれど、
特に超売れっ子のハーランドは難しかったかもしれませんね。

ストレートでオーソドックスを基調にしながらも、一味違うジャズ・ギター・トリオの好盤です。
思ったよりずっと良かった。

(中間系)




(456) MASAHIKO TOGASHI BALLAD COLLECTION / MY WONDERFUL LIFE

佐藤允彦(p),
渡辺貞夫(as), 日野皓正(tp), 峰厚介(ts,ss)

山下洋輔(p)
2009/Ratspack Record/


故富樫雅彦(ds)さんのバラードを演奏しようという興味深い企画です。
この曲想、このメンバー、この内容なら話題になることは確実な情勢でしたね。
盟友の佐藤允彦(p)さんを中心に渡辺貞夫(as)さん、日野皓正(tp)さん、峰厚介(ts,ss)さんの組み合わせ。
さらに山下洋輔さんのソロ・ピアノまで加わっています。
こんな贅沢なCDはもう出ないんじゃないかな。
それこそジャズ・ファンなら必携だと思いますよ。

それぞれに聴きどころがあるし、聴く人がそれぞれに感じて好きな曲を聴けばいいと思います。
3人のホーン奏者がどういう思い入れで吹いたかを考えるのも面白いですね。
私が一番しっくりきたのは峰さんだったけど・・・さて、みなさんはどうでしょうか?

(くつろぎ系)




(455) MAGNUS HJORTH TRIO / SOMEDAY.Live in Japan

magnus hiorth(p), petter eldh(b),
池長一美(ds)
2010/Cloud/


マグナス・ヨルト(p)、ペーター・エルド(b)、池長一美(ds)のライブ盤が出ました。
2009年ライブ・レポート参照

これほど緊張感のある刺激的な演奏はそうそう聴けないと思います。
ライブを重ねるごとに気心が知れて親密さを増すのは自然の理です。
そういった意味では最終日が一番まとまったと思います。
しかし、収録されたこの3日間のライブを聴いてみるとそれぞれに良さがありました。
特に圧巻なのはやはり初日でしょうね。
ぶっつけ本番の緊張感が伝わってきてよりスリリングな内容になりました。
私は(5)「MILESTONES」にガツンときてしまいました・・・これはいいです。
グイグイと突っ走るマグナスとペーターのフレッシュで瑞々しいプレイはどうでしょう。
それに反応しようとする池長さんの心の昂ぶりと息使いが聞えました。
プレイヤーの思いがそのまま伝わってくるような気がします。
最初は手探りで始まって互いの反応を見ながら徐々に盛り上がっていく、
どんな展開になるのかまったく先が見えない、
プレイヤーも観客も一体になって作り上げていく臨場感がありました。
こういうライブ盤は数が少ないと思います。
CD化までは未定だったと思うのでプレイヤーにとっても自由度が大きかったこともあるでしょうね。
だからこそプレイヤーのそのまんまの姿を切り取ったライブ盤になったのかもしれません。
録音はたった2本のマイクだけでワンポイント収録という珍しいものだそうです。
聴いてもらえば分かりますが信じられない音の良さです。
この録音方式はオーディオ・ファンからも注目されるのではないかな。

思えばこれはプロデューサーのYさんの思い入れから始まりました。
デンマークで聴いたマグナスに惚れ込み、日本の池長一美と共演させたいという思い。
それが日本でのライブにつながり、このCD発売にもつながりました。
お気に入りのミュージシャンを全力で応援する・・・ジャズ・ファンの究極の望みを実現した形になりますね。
CDに入れる選曲も紆余曲折があったと聞いています。
出来上がってみると見事にジャズ・ファンの願いを結実させたと思います。
この5月にはCD発売記念ライブが予定されているし、デンマークでのCD制作も決まっているとのこと。
マグナス・ヨルト・トリオはこの日本で認められて世界に飛躍することになりそうです。

なお、私にマグナスを紹介してくれたジャズ友のmanaさんがCDに渾身のライナー・ノーツを書いているのも嬉しい。

(中間系)




(454) STEVE KUHN TRIO & JOE LOVANO / MOSTLY COLTRANE

steve kuhn(p), david finck(b), joey baron(ds)
joe lovano(ts)

2009/ECM/


スティーブ・キューン・トリオ&ジョー・ロバーノのジョン・コルトレーン作品集です。
去年の「みんなのベスト3」にも挙げられていました。
ドイツのECMは確固たるポリシーを持っている数少ないレーベルの一つだと思います。
独特の音作りに惹かれるファンも多いのではないかな。

演目はコルトレーン9曲、キューンのオリジナル2曲とスタンダード2曲を含めて全13曲です。
コルトレーン作品集でも一般的にはあまり馴染みのない曲を多く取り上げているようですね。
選曲良し、構成良し、あくまでキューンがコルトレーンをやるとこうなるという感じで個性があります。
キューンはライブで何度か見ましたがいわゆる異相の持ち主で目が鋭く天才肌のピアニストだと思いました。
同じような感覚をチック・コリア(p)にも持った思いがあります。

ベーシストのデヴィッド・フィンクは共演歴も長く、気心が知れています。
ドラマーはビリー・ドラモンドからジョーイ・バロンに代わっていますが絶妙な人選でしょうね。
サウンド的にピタリとハマっていると思います。
さて、ここのジョー・ロバーノ(ts)はどうだろう?
ロバーノも一癖二癖ある個性派のサックス奏者なのでぶつかるかも知れないと思っていました。
ところが聴いてみると直球勝負で相性抜群、キューンの相手ならこのくらいの力がないといけません。
二人が堂々と五分に渡り合っているので実にバランスがいい仕上がりになっています。
どれから聴いても楽しめるアルバムは少ないですがこれはそんな中の一枚です。
75分を超える収録時間もただ長いだけじゃない、制作者の意気込みと好意を感じました。

(中間系)




(453) ATSUSHI IKEDA QUARTET with YOSHIRO OKAZAKI
/ HERE WE ARE


池田篤(as,ts)、辛島文雄(p)、島田剛(b)、高橋徹(ds)
岡崎好朗(tp)

2009/PITT INN/


ライブ・ハウス(ライブ・レポート参照)で購入しました。
メンバーも興味深いですが内容も素晴らしいので、これはかなりいいんじゃないかと思います。
池田篤(sax)さんのニュー・カルテットに岡崎好朗(tp)さんの組み合わせです。
辛島文雄(p)さんがサイドで入っているのも珍しいですが盟友の池田さんとあっては外せませんね。
フロント2管の王道クインテットで日本の最高峰の<モダン・ジャズ>が聴けます。
「自然に身体が揺れてくる感覚」・・・いやー、これはどうしょうもなくいいですよ。

(1)「A FLOWER IS A LOVESOME THING」はピアノとのデュオで池田さんのバラード・プレイが満喫できます。
その他、全7曲はオリジナル2曲にチャーリー・ミンガス(b)2曲、モンク(p)2曲の構成がまたシブいです。
ストレートなハード・バップ・ジャズはクールでありながら熱い演奏、ライブならでは臨場感もあります。
モンクの曲は多くのプレイヤーが演奏していて聴く機会も多いですがここでミンガスが聴けるのも嬉しかった。
それにしてもミンガスの曲は改めていいなと思いました。
ミンガス自身の演奏はおどろおどろしく暗くて重いですがそのムードを踏襲しても面白くありません。
でも、こんな風にスマートに演奏されると実に個性的で新鮮な感じを受けました。
曲の良さが浮き上がってきます。
そんなわけで(3)、(4)、(5)と続く流れは最高、私的ベストは(4)「FALLS」でした。

ライブ一発録りの緊張感も感じられて、池田さん、辛島さん、岡崎さんのコンビネーションが素晴らしい。
特にアメリカから帰ってから精力的に活動している岡崎さんは今一番輝いているトランペッターだと思います。
「乗ってるなぁ〜、切れてるなぁ〜」という表現がピッタリで背筋がゾクゾクとしました。
安定感のある高橋徹(ds)さん、気鋭の島田剛(b)さんのグイグイと押してくるリズムセクションも好演しています。
このブループはお勧めです。
チャンスがあったら是非ライブを見に行って下さい。


--帯中よりの抜粋--
「ジャズもできるミュージシャンではなく、ジャズができるミュージシャン達による白熱のライブ!!」

(中間系)




(452) DONNY McCASLIN TRIO / RECOMMENDED TOOLS

donny mccaslin(ts), hans glawischnig(b), johnathan blake(ds)

2008/Koch/


二人の方が去年の「みんなのベスト3」に名前を挙げているドニー・マッカスリン(ts)の作品です。
1曲を除いてはオリジナルでテナー、ベース、ドラムスのトリオで演奏されています。
個性的な演奏、ノリもいい、グイグイと突っ走る独特の音楽空間には魅力がいっぱいです。
存分にサックスを手の内に入れているというか、しゃべるが如く自在に操るのには驚きました。
フレーズを短く切ってパッパッパと吹く・・・まるで言葉を発しているみたいに聞える。
そう、ラップ・ミュージックのようです。
テナー・サックス奏者では中々に似た人はいないかもしれません。
でもエリック・ドルフィー(as,fl、bcl)には近いのではと思いましたよ。

私的ベストはビリー・ストレイホーンの手になるただ1曲のスタンダードでした。
印象的なテーマを持つバラードの(5)「ISFAHASN」でこれが素晴らしい出来です。
本来は野太く豪快なテナーをか細く弱々しく頼りない音色で吹くのは現在の流行か。
表現方法がグンと広がるので多くのサックス奏者が積極的にこの奏法を取り入れています。
そういえば最近「草食系男子」なる言葉をよく聞きますね。
全体的にジョナサン・ブレイク(ds)の存在感が光り、二人のコンビネーションも聴きどころになっています。
その他の曲ではやや一本調子の感があるところが残念だったかも知れません。
あと1、2曲くらいのスタンダードか、ゲストが入ればもっと良かったと思います。

(5)が素晴らしかっただけに惜しい・・・今作は多分ここが評価の分かれ目になると思います。

私はマッカスリンを何年か前に何度か聴いたことがありましたがまったくのノーマークでした。
幅広い音楽性を持ち可能性を感じさせるテナー奏者。
こういうプレイヤーに目が向くのは大したものだと思います。

(まじめ系)




(451) QUARTETTO TREVI feat. MAX IONATA / NIGHT WALK

max ionata(ts),
roberto tarenzi(p), dario rosciglioe(b), marcello di leonardo IV(ds)
2009/Norma Blu/


マックス・イオナタ(ts)の名前は耳に入っていましたが実際に聴くのは初めてです。
イタリア・ジャズ界ではトランペッターのファブリッツオ・ボッソを間に挟んで、サックス奏者では
「ハイ・ファイブ」のダニエル・スカナピエコ(ts)とこのマックス・イオナタが高評価されているようですね。
注:「HIGH FIVE」はイタリアのグループ名

まずは艶があって美しいサックスの音色に惹かれました。
サウンドもストレートでよどみないフレーズに満ちて、スマートで華やかな感じがしました。
ただどうもここいらへんが評価の分かれ道になりそうなのでもう何枚か聴いてみたいと思います。

今作は聴いてもらえればすぐに分かると思いますがジョン・コルトレーン・カルテットを彷彿とさせるものです。
実にスムーズに展開するので聴き易いことこの上ありません。
比較するには適当な(3)「GREENSLEEVES」と(5)「BOLIVIA」が入っているもの良かった。
私が気に入ったのは最もコルトレーン色の薄い(9)「VILIA」だったのも皮肉ですが、
こういう軽めのテーマを持つ曲も面白いと思いました。

もうひとつ、ロベルト・タレンジのマッコイ・タイナーばりのピアノにも注目ですね。
ベースとドラムスが今一つ控え目ですが全体的には骨太のガッチリとした作りで聴き応えがありました。

(中間系)




(450) STEVE DAVIS QUARTET / ELOQUENCE

steve davis(tb),
hank jones(p), nat reeves(b), joe farnsworth(ds)
guests:roy hargrove(tp), steve nelson(vib), john lee(bg)

2009/Jazz Legacy/


中堅のトロンボーン奏者のスティーブ・デイビスの新作です。
デイビスはエリック・アレキサンダーの”ワン・フォー・オール”やチック・コリアの”オリジン”で知られています。
オランダのクリス・クロス・レーベルからリーダー作が何枚も出ています。
思うに私はほとんどトロンボーン奏者のアルバムは買っていません。
特別深い理由はないですがなんでだろう?
トロンボーン奏者そのものが極端に少なく地味なイメージもあって手が伸びないのかもしれませんね。
ドラ盤演奏者リストでもトロンボーン奏者はケビン・ユーバンクスがたった一人だけ。
それもサイド・マンなのでこれではどうしょうもない感じがしました。

ここではピアニストに大御所で91歳の怪物ハンク・ジョーンズを迎えてのストレートなジャズ作品です。
演目はそのハンクのオリジナルを含めてジャズの名曲ばかりです。
当然ながらJ.J.ジョンソン(tb)の名曲(11)「LAMENT」も入っています。
やっぱりハンク・ジョーンズに気を遣ったのか、聴き易いですがやや刺激に欠けると思いました。
しょうがない気もするけどデイビスの場合はもうちょっと鋭く尖がった方がいいですね。
ゲストにはロイ・ハーグローブ(tp)やスティーブ・ネルソン(vib)を迎えて新味を出しています。
セクステットで演奏されるのが(3)、(4)、(5)、ヴァイブを加えたクインテット編成が(7)、(8)です。
でも、今作は思い切ってワン・ホーンで通したほうが良かったかも。
(6)「MY SHIP」が最高の1曲でハンク・ジョーンズのソロも素晴らしい・・・これには参った。
ファンキーでノリノリのウエス・モンゴメリー(g)の(9)「ROAD SONG」もいい。


ところでこのレーベルを買ったのは2枚目ですがジャケットがケースに収まらない特殊なデザインです。
この取り扱いには困りますがなぜこんなことになるのか、理解できません。

(くつろぎ系)




(449) SUMIKO YOSEYAMA / INTERLUDE

与世山澄子(vo),
南博(p), 安ヵ川大樹(b), 菊池成孔(ts)

2005/Tuff Beats/


沖縄在住の与世山澄子(vo)さんの評判も聞くので一度聴いてみたいと思っていました。
強烈な個性を感じてショックを受けた・・・一度聴いたら忘れられません。
根っこはビリー・ホリデイですがそういうことを考える自体が無意味です。
やっぱり自分独自の世界を持っているミュージシャンは凄いですね。
深い深い海の底・・・魂を揺さぶられる歌声です。
ぐーっとその世界に引き込まれてしまいました。
どれも表現力が素晴らしい・・・・・(5)「IF」は新鮮でした。
南さんのピアノを始め安ヵ川さんと菊池さん、共演者も個性ある名手揃いで心に沁みました。

まるでライブを聴いているような臨場感のあるアルバムに仕上がっています。


(まじめ系)




(448) FREDRIK LINDBORG QUARTET / THE ONE

fredrik lindborg(ts)
gustav lundgren(g), keiji rabson(b), moussa fadera(ds)
2009/Imogena/


スウェーデンのフレドリク・リンドボーグ(ts)はお初です。
今作はまずインパクトのあるジャケットに惹かれました。
内容を見てみるとギター・トリオをバックのテナーサックスのワン・ホーンアルバムです。
面白そうだなと思って購入しましたがこれが大当たりの大正解です。
一聴するやいなやルーツは明らかにソニー・ロリンズにあるのが一目瞭然でした。
音色は顔に似合わず野太く豪快、コールマン・ホーキンス〜ベン・ウエブスターやロリンズのテナーの王道をいきます。
ジーン・アモンズ〜イリノイ・ジャケー、デクスター・ゴードンの流れもあるし相当面白いプレイヤーです。

全10曲は7曲のオリジナルとその他3曲の構成です。
レギュラー・カルテットとしての歴史も長いようなのでコンビネーションは抜群、完成度も高いです。
全体を通して目立たず騒がず、ギタリストのグスタフ・ラングレンの趣味の良さも光ります。
ギターがバックのカルテットの面白さはギターはピアノほど多弁ではないのでサックスの存在感が増します。
それほど違和感がなく、すぐにギター・レスのトリオに変化できるのも大きな魅力です。
最初は少々とっつきにくいかもしれませんが聴いているうちに段々良くなってくるのは必定です。
特にロリンズを彷彿とさせるカリプソ・ナンバーの(2)「I FEEL LUCKY」と(7)「THE ONE」には心底痺れた。
セロニアス・モンク(p)の(4)「ASK ME NOW」の表現力や(8)「DEARLY BELOVED」のノリも素晴らしいです。
軽い4ビートの(11)「I CONCENTRATE ON YOU」では色気も十分でもうたまりませんよ。
何たる贅沢な時間・・・「これはいいなぁ〜」・・・久し振りに追いかけてみたいテナー奏者が現れました。
先進のアメリカじゃ多分出て来ない、懐古主義が色濃く残るヨーロッパだからこそ現れる逸材です。

(まじめ系)




(447) MANUEL VALERA TRIO / CURRENTS

manuel valera(p,key), james genus(b,elb), ernesto simpson(ds)
2009/MaxJazz/


マヌエル・ヴァレラ(p)のリーダー作を聴くのは3枚目になります。
ヴァレラはキューバ出身のピアニストでラテン系ピアニストに共通する明るさと切れ味を持っています。
しかし、幅広く器用なピアニストなので前2作はホーン入りでやや焦点がぼやけた感じになりました。
それでこのトリオ作には期待しましたが予想通りの仕上がりで良かったです。
(1)「NUMERICO」から疾走感溢れる演奏でグイと引きつけられてしまいました。
(3)「BALADA PARA ISABEL」のバラードや(4)「WEE SAY」のモンク的でない表現も聴きどころです。
(6)「ODE TO KENNY」には”Dedicated to Kenny Kirkland"という副題が付いています。
続く(7)「DIENDA」はその故ケニー・カークランド(p)の作品ということでこの2曲が断然素晴らしいです。
言われてみれば似ているところがあるので相当に好きだったようですね。
表題曲の(10)「CURRENTS」と(8)「HINDSIGHT」はキーボードを駆使しています。
多分ここいらへんがヴァレラが目指すサウンドだと思います。

ドラムスのアーネスト・シンプソンはドラ盤(403)「Helio Alves Quartet/It's Clear」

記憶に留めておかねばならないと思いましたがその通りになりました。
存在感のあるパーカッシブなドラミングは魅力十分です。

(中間系)




(446) HEATH BROTHERS / ENDURANCE

jimmy heath(ts,ss)
jeb patton(p), david wong(b), albert"tootie"heath(ds)
2009/Jazz Legacy/


久々のヒース・ブラザーズのアルバムです。
ジャズ界には兄弟プレイヤーも多いですがそれぞれが大活躍かというと意外に少ないですね。
このヒース・ブラザーズは数少ない例外的存在です。
長兄の故パーシー・ヒースはM・J・Q(モダン・ジャズ・カルテット)の名ベーシスト。
次兄のジミー・ヒースは作編曲にも優れた才能を持つ多才なサックス奏者。
一番下のアル・ヒースはあちこちに引っ張りだこのモダンな感覚を持つドラマーです。

それぞれが超多忙で共演も中々実現しなかったですが70年代になってようやく可能になりました。
今作は10年ぶりの作品、ジミーは83歳、アルは74歳になりました。
ジミー・ヒースはそれこそジミなプレイヤーだと思いますが私は好きでした。
普通、「リトル・ジャイアント」といえばジョニー・グリフィン(ts)を指しますね。
でも、私は勝手にもう一人の「リトル・ジャイアント」はジミー・ヒースだと思っていました。
ここでも7曲にオリジナルを提供していて作曲者としての才能も知らしめています。
(4)「BALLAD FROM LEADERSHIP SUITE」のバラードは最高です。
(5)「DUSK IN THE CITY」のジェブ・パットンのピアノも聴きどころになりました。
1曲だけスタンダードの(7)「AUTUMN IN NEW YORK」を入れたのも憎い構成。

全体を漂うこのゆったりとした乗りのスイング感がいいです。
今作は暮のせわしない時に聴いてホッとしました。
音色もリズムもビートもやさしくてやわらかくて、心安らぐサウンドで良かったです。
80歳を過ぎた管楽器奏者がここまで吹けるのは驚異的、ジミーはやっぱりリトル・ジャイアントでした。
敬意を表してのドラ盤入りです。

(くつろぎ系)




(445) MARCUS PRINTUP QUARTET / BIRD OF PARADISE

marcus printup(tp),
ted nash(ts,as), 中村健吾(b), 高橋信之介(ds)
riza hequibal(harp)(2,3,4,6,9)

2007/SteepleChase/


先日聴いたマーカス・プリンタップ(tp)が良かったのでさかのぼって聴いてみました。
今作はチャーリー・パーカー・トリビュート・アルバムです。
トランペッターのパーカー作品集は珍しいのとピアノレス・カルテットが聴きどころになります。
メンバーに中村健吾(b)さんと高橋信之介(ds)さんが参加しているのが嬉しいですね。
本線はピアノレス・カルテットの演奏にあり、なぜここにハープが加わる必要があるのかと思いました。
もっとも、4人の気合が入った演奏が続くのでハープのやさしい音色を聴くとほっとする部分があります。
ベストは急速調の(7)「THE HYMN」、スイング感溢れる(5)「DONNA LEE」、(8)「QUASIMODO」も良かった。
(11)「BIRD FEATHERS」おけるテッド・ナッシュ(as)のソロに突き抜けた部分があります。

マーカスとテッドのコンビネーションは抜群でクールで安定感のある演奏を聴かせてくれました。
ただ、上手いとは思うがもう少しガツンとくるところが欲しかったのも事実です。
中村さんと高橋さんの二人が繰り出すリズムがこれを支えています。
中村さんは日本を代表するベーシスト、アメリカに渡った高橋さんの成長は著しいです。
現在は共にニューヨークに拠点をおいて活躍中です。

(まじめ系)




(444) ARI AMBROSE & STEPHEN RILEY QUARTET / TENER TREATS TWO

ari ambrose(ts), stephen riley(ts),
jay anderson(b), matt wilson(ds)
2009/SteepleChase/


テナー・サックスが2本のピアノレス・カルテットですが面白そうなので買ってみました。
最初は慣れていないせいか、その重たいサウンドがしっくりきませんでした。
でも、聴いているうちに「段々良くなる法華の太鼓」みたいになってきました。
そしてハマりました・・・万人向けじゃないですがいいですよ。
以前なら2テナーと聞けば「あ〜、テナー合戦ね」で済みましたがこれは違います。
2テナーによるバトルも人気でしたが、これは対決ではなくて協調スタイルです。
同じ楽器のハーモニーとアンサブルが新鮮なので、これも流行しそうな気がします。
注目のアリ・アンブローズとステフェン・リレイ・・・タイプの違う二人のテナー奏者の共演。
ここではクールで軽いテナー(リレイ)と野太く重いテナー(アンブローズ)の組み合わせになっています。
私がまず聴きたかったのは(2)「WAVE」と(5)「SCRAPPLE FROM THE APPLE」でした。
ボサノバはテナー向き、チャーリー・パーカーもサックス奏者の登竜門なのでスンナリ聴けました
その他では(3)「BACK HOME IN INDIANA」の掛け合いと
(7)「HOW HIGH THE MOON」でのコラボレーションが聴きどころです。
ちなみに今作はこの組み合わせの2枚目のアルバムだそうです。


(まじめ系)




(443) MEETING POINT / SQUINTESSENCE

eric alexander(ts), jim rotondi(tp,flh),
andrei kondakov(p), dmitri kolesnik(b), lenny white(ds)
2008/55 Records/


今作はロシア2人にアメリカ3人の組み合わせです。
ミーティング・ポイントというグループですが実質的にはコレスニク(b)&コンダコフ(p)の双頭バンドです。
なんとなく異色に感じるのはリーダーの2人がロシア出身ということと無縁でないと思います。
それでハード・バップ・アルバムでは珍しい「まじめ系」になりました。
メンバーのオリジナルが中心で気合乗りも違うし新鮮というか、意欲的で重量級ハード・バップが聴けました。
ドラムスが目立つのも最近の流行かもしれません。

ロシア伝統のクラシックに培われたアンドレイ・コンダコフ(p)とドミトリ・コレスニク(b)は名手です。
特に4曲のオリジナルを提供しているコンダコフのピアノ・プレイは聴きどころになります。
エリック・アレキサンダー(ts)については御多分にもれずというか、私も一時期食傷気味になっていました。
しかし、このところは完全に一皮むけて独自の個性を発揮してきたように思います。
ジム・ロトンディ(tp)はエリックとは「ワン・フォー・オール」以来の盟友の仲でコンビネーションもバッチリです。
レニー・ホワイト(ds)の多彩なドラミングにも注目しました。

ベストは(6)「UNO DOS ADIOS」かな。
私はトニー・ウィリアムス(ds)・クインテットを思い出してしまいました。

それぞれのオリジナルの演奏ぶりも面白かったです。

(まじめ系)




(442) MATTIAS SVENSSON TRIO / HEAD UP HIGH

mattias svensson(b), bill mays(p), joe la barbera(ds)
2009/Five Star Records/


今作はまずメンバーの組み合わせに興味を持ちました。
スウェーデンのベーシスト、マティアス・スベンソンにビル・メイズ(p)とジョー・ラ・バーベラ(ds)です。
スベンソンはヤン・ラングレン(p)・トリオで知られていて、話題の石田幹雄(p)さんのCDにも参加していました。
ビル・メイズはストレートでバップ色の強い、よくスイングするベテラン・ピアニストです。
ジョー・ラ・バーベラはいわずと知れた晩年のビル・エバンス・トリオのドラマーですね。
なんと面白い組み合わせなのか・・・一体どんなトリオで、どんな音が出てくるのかと思いました。

ストレート・アヘッドでオーソドックスながら力のあるピアノ・トリオが聴けました。
メイズもラ・バーベラもいつもとは一味違う派手で攻撃的な演奏を聴かせています。
この組み合わせにはみんなが刺激を受けているのを感じました。
演奏者自身が刺激を受けている・・・ライブでも感じますがこういうパターンが一番いいようです。
このトリオの良さは表題曲の(1)「HEAD UP HIGH」に全て現れているような気がします。
(2)「IT COULD HAPPEN TO YOU」と(3)「LULLABY OF THE LEAVES」
も聴きどころ。
やや粗いかなとは思いますがジャム・セッション的な意外性と面白さが魅力です。
なお今作はマティアス・スベンソンの初リーダー・アルバムだそうです。

(中間系)




(441) MASAYUKI KUME QUINTET / 21

久米雅之(ds)、関根敏行(p)、佐瀬正(b)、
井上淑彦(ts,ss)、秋山卓(as)

2009/Nonet/


久米雅之(ds)さんのニュー・アルバムです。
1曲を除いて全て自身のオリジナルで占められています。
ドラマーのリーダー作は数多くありますが全部が自分のオリジナルというのは珍しいと思います。
聴いてもらえば一目瞭然、久米さんにはメロディ・メーカーとしての才能もあります。
このグループの特徴的サウンドは爽やかな南風のイメージでまろやかな感じがします。
そういう意味では(1)「VERDE」が一番のお気に入りになりました。
最近とみに好きな曲の(4)「A FOGGY DAY」が入っていたのも購入のきっかけになりました。
このアレンジがカッコ良かったし、このグループの実力を知る演奏になっています。
バラードの(5)「REQUIEM」も切なく美しかったのでこちらを一番手に取る人が多いかもしれません。
最初から最後まで1曲1曲をじっくりと聴いていくと味のある仕上がりになっています。

さて、メンバーを見てみると関根敏行さんのピアノに注目するファンも多いでしょうね。
私の周りにもこの関根さんと井上淑彦(ts)さんに心酔するジャズ仲間がいます。
佐瀬正さんは太くて温かい音を出すベーシストです。
先日も書きましたが期待の秋山卓(as)さんは体調を崩して休養中とのことです。
一日も早い回復を祈りたいと思います。

--帯中よりの抜粋--
「ドラムが歌う楽器だなんて知らなかった。 久米さんに会うまでは・・・」
--チャカ--

(中間系)




(440) TAKEHISA TANAKA TRIO / TOO YOUNG

田中武久(p)、井上陽介(b)、大坂昌彦(ds)

2008/JEWEL SOUND/


今作は大阪在住のジャズ仲間のGさんが教えてくれました。
田中武久(p)さんは初めてですが共演者を見ればその実力は推して知るべしですね。
現在のトップ・プレイヤーの井上陽介(b)さんと大坂昌彦(ds)さんがメンバーです。
田中さんはライブ・ハウスのプレイヤーズ・オーナーということで外には出てきません。
しかし、今年75歳のまさに熟成された味わいはどこまでも深くて噛みごたえがあります。
このピアノを聴いているとジーンと心に沁みると同時に包み込まれるような感じになりました。
ちょっとこの感動を言葉に表すのはむずかしいですね。
なんといっても1曲目の「THE OLD COUNTRY」が素晴らしいんです。
この絶妙なスイング感はもうどうにもならない・・・。
ナット・アダレイ(cor)の手になるこの曲のベスト・プレイだと断言します。
表題曲の(4)「TOO YOUNG」や(6)「ALMOST BLUES」も絶品です。
3人の名人が織りなすしっとりとして艶やかなスタンダード作品集はピアノ・トリオの傑作です。

それにしても知らないということは恐ろしいです。
これほどの名手がいたとは・・・紹介してくれたGさん、どうもありがとうね。

--帯中よりの抜粋--
ジャズ魂の煌めきと陰影
孤高のピアニスト田中武久が大坂晶彦(ds)・井上陽介(b)を迎え、
真のジャズファンに贈る待望のスタンダード集!


(くつろぎ系)




(439) TOMOKI TAKAHASHI QUARTET / FEELING GOOD

高橋知己(ts,ss)、
津村和彦(g)、工藤精(b)、斉藤良(ds)

2009/AKETA'S DISK/


高橋知己さんはエルヴィン・ジョーンズ(ds)との共演歴もあるコルトレーン派のサックス奏者です。
これは今年出た高橋さんの新作ですがコンサート会場で購入しました。
オリジナルが3曲にその他6曲は興味ある選曲構成になっています。
かっちりとしたテナー・サックスのワン・ホーン・ギター・カルテットが聴けました。
最近、こういう傾向のジャズは聴いていなかったと思います。
以前はよくこういうジャズを聴いていたような気がしてなんだかホッとしました。、
高橋さんのサックスを聴いているとなんか安心するんですよ。
日本の演歌を聴いているような気がします。
それも五木ひろしさんというよりは森進一さんや北島三郎さんという感じです。

幅広い音楽性を持つ津村和彦(g)さんと斉藤良(ds)さんの存在が大きいです。
高橋さん、工藤精(b)さんの純ジャズ派との組み合わせの妙が味わえます。
一見異質のように思いますがこれがぶつかると独特のサウンドになって面白いです。
表題曲の(4)「FEELING GOOD」は新味、このメンバーじゃないと出来ないんじゃないかな。
なんといっても(7)「LONELY WOMAN」のバラードが素晴らしいです。最高です。
11分強の熱演が聴ける(6)「ELEVATION」も聴きどころになりました。
女性トロンボーン奏者のメルバ・リストンの(5)「RAINBOW」も美しかった。

剛毅なテナー・サックスはもとより(5)、(6)で聴ける繊細なソプラノ・サックスが実にいいですよ。

--帯中よりの抜粋--
「日本を代表するサックス! 郷愁、哀愁、日本の原風景も・・・
この心をうばう、あふれる自然美!!」
--天才アケタ--

(中間系)




(438) NAOKI IWANE QUINTET & SEXTET / DESERTED ISLAND

岩根直樹(as), 池田和裕(g),
george dulin(p), chris tordini(b), tommy crane(ds)
george garzone(ts)(5,6,7,8)
2007/What'sNew Records/WNCJ-2175


リーダーの岩根直樹(as)さんをはじめ全員が初見のフレッシュなメンバーです。
もちろん、ゲストのジョージ・ガーゾーン(ts)を除いてはですが。
岩根さんはガーゾーンが絶賛している期待のアルト奏者です。
元々はピアノ〜ドラム奏者だったようですがサックスに転向したと書いてありました。

初リーダー・アルバムですが全曲がメンバーのオリジナルです。
自分達の音楽を発信するとの意気込みを感じました。
現在のニューヨーク・コンテンポラリー・シーンの先頭を走っているのは誰か?
ひとつは間違いなくカート・ローゼンウィンケル(g)&マーク・ターナー(ts)の路線だと思います。
1曲目の「TWENTIETH CENTURY BEBOP」を聴いた時にはそのラインだと思いました。
ところが聴いているうちに段々違ってきてより軽快で東洋風な感じが出てきました。
ふと思ったんですが、か細く頼りない音色でフレーズをつないでいく奏法が今流行っているのではないかと。
一般的に賞賛の言葉として使われる「力強く切れのある奏法」とは一線を画した音作りです。
(5)、(6)を聴くと日本の雅楽に通じるというか、そんな感じがしました。

もう変拍子は当たり前ですね。
師匠のガーゾーンが目立たずそのサウンドに合わせているのが面白かったです。
(5)「TUNE NUMBER ZERO」における掛け合い、(7)では弾け具合といった聴き比べも楽しかった
(8)「CONCEPT OF PEACE」はテーマを持った組曲になっていてフリーの要素もあります。
岩根直樹さんと池田和裕さんの名前は忘れないでおきましょう。

--帯中よりの抜粋--
「直樹の音色、アイデア、クリエイティビティーは新鮮かつ独創性に満ちあふれ、
彼の音楽は常に新たな領域を作り出している」
--ジョージ・ガーゾーン--

(まじめ系)




(437) JOHN TCHICAI QUARTET / IN MONK'S MOOD

john tchicai(as),
george colligan(p,org), steve laspina(b), billy drummond(ds)
2009/SteepleChase/


このアルバムを見た時、ジョン・チカイ・・「いぇー、珍しい、まだ元気だったんだ。」と思いました。
「なんか、モンクある?」・・・ジャケット写真も硬派そのもののゴツイいい顔してますね。
60年代、ジョン・チカイは筋金入りのフリー・ジャズ・アルト・サックス・プレイヤーでした。
盟友ラズウェル・ラッド(tb)とのニューヨーク・アート・カルテットが最も知られているか、
フリー・ジャズ・ファンならアーチー・シェップ(ts)の「フォー・フォア・トレーン」と、
ジョン・コルトレーン(ts)の「アセンション」は必聴盤だと思います。
私は元々フリー系は得手じゃないのでその後はまったく名前を見ることもなかったです。
チカイはデンマーク出身なのでヨーロッパを中心に活動していたんでしょうね。
それが突然目の前に現れて「モンクス・ムード」とは・・・即、飛びついてしまいましたよ。

やっぱり一味も二味も違いました・・・ムードあります。
濃く、おどろおどろしたところもあるし、淡く、爽やかなところもあるし、実に味わい深いです。
表題曲の「MONK'S MOOD」は(1)と(10)の2テイクが収録されています。
(5)「ROUND ABOUT MIDNIGHT」にはオルガンを使ってきましたがこの表現力が凄い。
スタンダードの(7)「EASY STREET」はノスタルジックですごく新鮮でした。
(8)「RUBY MY DEAR」は涙が出そうになったし、そのほかも聴きどころがいっぱいです。
一般的にフリー系のアルト奏者は音に力があって、澄んだキレイな音色を持っています。

素晴らしいセロニアス・モンク作品集・・・みなさんも是非この演奏を味わってみて下さい。
食べず嫌いはいけません。
チカイの断トツの存在感に共演者も霞んでしまいました。
軽くいなされて揉まれたジョージ・コリガン(p,org)にとってもいい経験だったと思います。

(まじめ系)




(436) CHRISTIAN HERLUF PEDERSEN QUARTET / ALLIANCE

christian herluf pedersen(ts),
fredrik hermansson(p), kristian lind(b), bjorn sima(ds)
2009/Stockholm Jazz Records/


スウェーデンのクリスチャン・ハーラフ・ペダーセン(ts)は初見。
CDショップでの評判が良さそうなので購入してみました。
8曲は自身のオリジナルでプロデュースも本人、自主制作盤に近いんじゃないか思います。
曲想がやや平面的なので演奏内容もそれにつれて一本調子の感があります。
やはり2、3曲のスタンダードを入れて欲しかったです。
(5)「SULEIMAN」ではジョン・コルトレーンの影響を感じさせるそのままのプレイが聴けます。
4ビートでグイグイと疾走する(7)「YOU WISH」が心地良かった。
フレデリク・ハーマンソンの瑞々しいピアノに注目、ビョーン・シマのドラムスも目立つ一枚です

メンバーの今後の成長を期待して先取りしておきたいと思います。

(まじめ系)




(435) ANDREA MARCELLI TRIO / SUNDANCE

andrea marcelli(ds), thomas clausen(p), davide petrocca(p)
2008/55 Records/


先週に引き続いて乗れるピアノ・トリオが2枚続きました。
リーダーはイタリア人ドラマーのアンドレア・マルチェリです。
このアンドレアとトーマス・クラウセン(p)はライブで見たばかりで今作もそこで入手しました。
ヨーロッパといっても南に位置するイタリア盤は明るい感じでやはり土地柄が出ますね。
イタリアとデンマークのコラボレーションは興味深いものがありました。
アンドレアは相手なりに合わせてくる安定したドラミングの好センスのドラマーです。

そんなバックに支えられてトーマスは伸び伸びと演奏していると思います。
先日見たライブでも感じましたがトーマスのタッチが強くてこれが個性になっています。
叙情的&静謐なプレイを感じさせるとはいえ一般的な北欧系ピアニストとは一線を画します。
若い頃にジャッキー・マクリーンやデクスター・ゴードンいった強力なサックス奏者との共演の影響かもしれません。
大人しく弾いていたらまったく目立たなくなりますから・・・おのずとタッチも強くなるでしょう。

オリジナルを含め選曲構成はよく考えられていると思います。
ライブでも美しい(1)「A HOUSE IS NOT A HOME」や(11)「CARO MIO BEN」は沁みました。

ビル・エバンスの(2)「WALTZ FOR DEBBY」は外せないところ・・・極めつけの素晴らしさです。
スタンダードはもちろんのこと、私はこのトリオの特徴を表すオリジナルの3曲が気に入りました。


(中間系)




(434) CAROL KIDD / DREAMSVILLE

carol kidd(vo),
paul harrison(p), nigel clark(g), mario caribe(b), alyn cosker(ds)
2008/LINN RECORDS/


私の周りにヴォーカル好きなジャズ・ファンも多いこともあって最近ヴォーカルも聴くようになりました。
今作は先日の集まりで紹介されたものですがキャロル・キッドはもちろん初めてです。
ふくよかなジャケット写真にも惹かれました。
しっとりとした声質に歌も上手い、ジャズ・テイストはかなり濃くて味わい深いです。
特にギターとのコンビネーションが抜群でグッときてしまいました。
と思ったらギターのニゲルとキャロルの2曲のオリジナル(これがいいです)が入っていました。
さもありなんと思うほど相性の良さで表題曲の(6)「DREAMSVILLE」は最高の仕上がり、
ここから(7)「THERE GOES MY HEART」への流れが素晴らしいです。
バラードの(1)「IT NEVER ENTERED MY MIND」、(10)「DO YOU BELIEVE ?」、
(11)「STARS FELL ON ALABAMA」などの出来が良くて、
テンポを早めた(2)「HOW DEEP IS THE OCEAN」は新味ですがこれはイマイチでした。

(中間系)




(433) JAMES PEARSON TRIO / SWING THE CLUB

james pearson(p), sam burgess(b), chris dagley(ds)
2009/Diving Duck Recordings/


最近、スイング感溢れるピアノ・トリオが聴きたいと思っていました。
ちょうどそんな折に見つけたのがこのアルバムです。
イギリスの尖がった若手トリオですがもちろん初見です。
ロンドンの老舗ライブ・ハウスの「ロニー・スコット」でのライブ盤なら間違いないだろうと思いました。
表題も「Swing The Club」になっているし・・・。

結果は大正解、もう無条件に楽しくて気持良いことこの上なしのピアノ・トリオの作品です。
近年、これほどスイングする演奏は聴いたことがありません。
強烈なドライブ感と刺激的なタッチに痺れることは請合います。
1曲目の「CARAVAN」がメチャクチャにカッコ良くてグイと引き込まれてしまいました。
ちょっと大きめの音量で聴けば一発で幸せな気分になれますよ。
続く(2)「ALONE TOGETHER」とか(7)「LULLABY OF THE LEAVES」がまたいいんだな。
イギリス盤らしくビートルズの2曲が含まれているのも嬉しいですね。
こういう掛け値なしに楽しめるアルバムって少なくなったと思います。
かといって甘くて軟弱かというと決してそうではなく聴かせどころはちゃんとわきまえています。
バラードの表現力も素晴らしいです。
(6)「THE VERY THOUGHT OF YOU」なんかにはガツンときました。
あんまりむずかしいのは苦手、ノリノリでハッピーになりたい方へのお勧めのアルバムです。


(中間系)




(432) TED NASH QUARTET / THE MANCINI PROJECT

ted nash(ts,as,ss,afl,piccolo)
frank kimbrough(p), rufus reid(b), matt wilson(ds)
2008/Palmetto/


先週お話したようにテッド・ナッシュ(sax)を聴いてみましたが予想通りに面白かったです。
テッド・ナッシュはルイ・ベルソン(ds)やウィントン・マルサリス(tp)のビック・バンドにいたようです。
そういうことであまり聴く機会がなかったですが隠れた才人というところでしょうか

今作はヘンリー・マンシーニ作品集ですが渋い選曲になっています。
ヘンリーマンシーニといえばロマンチックな映画音楽ですね。
しかし有名スタンダードの「ムーン・リバー」とか「酒とバラの日々」とかはやっていないのがミソ。
「シャレード」や「ひまわり」もありません。
原曲の持つイメージとはまったく違う展開に驚かされました。
自己のスタイルを貫き通してのジャズをやっていて新鮮さを感じるアルバムです。

メンバー的にも興味がありました。
フランク・キンブローも一筋縄ではいかないピアニストでこれまた個性の強いピアニストです。
根っこはビル・エバンス(p)ですがポール・ブレイ(p)いったところも見えます。
さらにここでは比較的地味なベーシストかなと思っていたルーファス・リードの存在感が光ります。
まろやかでよく伸びるベース音が心地よいです。
そういえば最近、ルーファスの再評価につながる場面によく出くわしていますよ。
ドラムスのマット・ウィルソンを含めて渋い選択だと思いました。


ベスト・プレイは(2)「DREAMSVILLE」で、これまたまったく意表を突かれた展開になっています。
ムードもロマンチックもありません。
ピアノレス・トリオで演奏される前半と後半のピアノ・トリオのコントラストが光る1曲です。
(6)「ティファニーで朝食を」におけるルーファスのプレイも聴きどころ。


(まじめ系)




(431) MARCUS PRINTUP QUINTET / LONDON LULLABY

marcus printup(tp), ted nash(ts),
eric reed(p), barak mori(b), willie jones V(ds)
2009/SteepleChase/


マーカス・プリンタップも気になるトランペッターです。
ウィントン・マルサリスに似て生真面目なところがあります。
前回、ドラ盤にしたチェコのピアノ・トリオとの共演盤(ドラ盤335参照)は素晴らしかったです。

さて今作は1曲目の「RECORDA-ME」を聴くとそのコンセプトが明らかになります。
狙いはケニー・ドーハム&ジョー・ヘンダーソンの名盤「ページ・ワン」(BlueNote4140)だと思いました。
現在のトランペッターの主流はクリフォード・ブラウンの流れを汲むテクニックを生かして鋭く鳴り響くか、
あるいはマイルス・デイビス、またチェット・ベイカーのクールなラインに集約されているのか。
モダン・ジャズにはもう一つのラインがあるのを忘れてはいけませんね。
よりまろやかで温かい音色を持つアート・ファーマー〜ケニー・ドーハムのラインです。
これを聴くとマーカス・プリンタップにはその二人を受け継ぐ貴重な存在になる可能性があります。
もちろん、テクニックもクールさも併せ持っていますが・・・。


選曲も中々に凝っています。
ジョー・ヘンダーソンが2曲、マイルス、ビル・エヴァンスと面白いのはオーネット・コールマンの選曲です。
このオーネットの(6)「TEARS INSIDE」はピアノレス・カルテットで演奏されますが最高です。
その他オリジナル2曲にスタンダード、ジョビンのボサノバと聴きどころも多いです。

共演陣ではサックスのテッド・ナッシュが素晴らしいです。
あまりにいいので私はこの人を聴いたことがあるだろうかと思って早速調べてみました。
かろうじて1枚だけありましたがジョン・ピザレリ(g,vo)盤ではこの良さが分かりませんでした。
これから何枚か聴いてみるつもりです。
(8)「A SHADE OF JADE」におけるエリック・リード(p)のマッコイ・タイナー風なプレイにも注目しました。

(中間系)




(430) ELIANE ELIAS TRIO / PLAYS LIVE

eliane elias(p), marc johnson(b), joey baron(ds)

2009(Rec 2002)/Somethin'else/


イリアーヌ・イリアスの2002年のアムステルダムでのライブ盤です。
彼女のピアノ・プレイはヴォーカルでのボサノバ・テイストと違って辛口で重厚になります。
ここが評価の分かれ道、気分によってある時いきなりガツンとくる可能性があります。
で、今回はどうだったかというと少々重く感じて疲れました。
もうちょっとスピード感と切れ味が欲しいような気がします。
(5)のメドレーはソロ・ピアノです。
チャールス・ミンガス(b)の(6)「PEGGY'S BLUE SKYLIGHT」がベスト・トラックか。
こだわりのあるプレイは聴き応えあり、ジャケットの写真同様に超クールな内容です。

ところで、イリアーヌはいくつだと思いますか。
来年で50歳、美しいですね、ますます磨きがかかっています。
マーク・ジョンソン(夫)は偉い!!

(まじめ系)




(429) RONNIE CUBER QUARTET / RONNIE

ronnie cuber(bs)
helen sung(p), boris kozlov(b), johnathan blake(ds)
2009/SteepleChase/


ロニー・キューバーさんがようやく出してくれましたという感じです。
思うにバリトン・サックス奏者のワン・ホーン・アルバムって本当に少ないですね。
アメリカのクールなジェリー・マリガン〜ニック・ブリグノラのラインは消えたような気がします。
ペッパー・アダムス〜ロニー・キューバー〜ゲイリー・スマリアンの線はかろうじて残っているか。
でも若手?のスマリアンになるといささか趣が違ってきます。
あとはハミエット・ブルーイェットですがフリー系、ジェームス・カーターも専門家じゃないしね。

若い頃のキューバーのパワフルなバリトンは凄いですよ。ハミエットといい勝負です。
以前、バリトン・オフ会を開いた時に大音量で聴いたらみんなぶっ飛んでしまいました。
バリトンのフュージョン盤を作っているのも彼だけで中々にユニークなバリトン奏者です。
年齢は68歳でハミエットと同年代です。


というわけでこのキューバーの久々の新アルバムはバリトン・ファンにとっては喜ばしい限りです。
やや大人しめだけどパワフルな音色は健在、ただ色気とか艶とかにはちょいと欠けますが・・・。
良かったのはチャーリー・パーカーの(7)「AH LEU CHA」でバリトンでやると面白かったです。
バップ・テイストが溢れる(3)、(5)も聴きどころ、あとミシェル・ルグランの2曲も良かった。


もうひとつ強調したいのはヘレン・サング(p)のプレイです。
抜群のスイング感と瑞々しいピアノには参ってしまいました。
以前、一度紹介したことがありましたが(ドラ盤227/Helen Sung Trio参照)成長は著しいです。
リーダーのロニー・キューバーが後回しというか、霞んでしまうほどの素晴らしさです。
ボリス・コズロフ(b)、ジョナサン・ブレイク(ds)の起用も渋いと思います。


今までバリトン・サックスに馴染みがない方とか、まだ聴いたことのない方も十分に楽しめます。
バリトンの魅力いっぱいの聴きやすくてお勧めの一枚なので安心してお買い求め下さい。

(中間系)




(428) MAYUKO KATAKURA TRIO / INSPIRATION

片倉真由子(P)、中村恭士(b)、carl allen(ds)
2009/M&I Records/


片倉真由子(p)さんの初リーダー・アルバムです。
片倉さんは洗足学園〜バークリー〜ジュリアードで学んだ才媛です。
2006年にはアメリカの「メリー・ルー・ウイリアムス・コンペ」で優勝したとありました。
現在日本各地のライブ・シーンで最も注目されているピアニストだと思います。

初リーダー・アルバムというのはそのプレイヤーの音楽性が現れやすいものです。
どんな作品を取り上げているかにも重要なヒントが隠されているでしょう。
オリジナル5曲にその他5曲のバランスや構成もいいです。
曲目を見てみるとオリジナルにはマッコイ・タイナーやフレディ・レッドの名前があります。
さらにマイルス・デイビスやセロニアス・モンクの曲も演奏していますね。

片倉さんは女性らしく繊細でしなやかなタッチと美しい音色の持ち主です。
(1)「BLUES FOR TYNER」の疾走感溢れるプレイ、
テンポのいい(3)「SECRET LOVE」や(4)「NO BLUES」におけるノリ、
(2)「RISING」や(7)「RUBY MY DEAR」のバラード・プレイ、
新鮮なアプローチをみせる(9)「A FOGGY DAY」
のスタンダードの解釈も聴きどころになりました。
私的ベストは(7)「RUBY MY DEAR」で、若いのにバラードの展開が実に巧みだと思います。
最近の若手では珍しいのではないかな、無理なくとてもスムーズに聞えました。

共演の中村恭士さんは片倉さんと共に学んだ仲でこちらも新進気鋭の楽しみなベーシストです。
カール・アレン(ds)はジュリアードの先生です。
やはりカールの存在感が光っていて、若い二人をうまくリードしていると思います。

曲想も多彩で片倉さんの全体像がつかめるよくできたアルバムに仕上がっています。
思うにこれほど注意深く聴いたのは久し振りでした。


(中間系)




(427) THE MONTEREY QUARTET /
LIVE AT THE 2007 MONTEREY JAZZ FESTIVAL


dave holland(b), gonzalo rubalcaba(p), chris potter(ts), eric harland(ds)
2009/UNIVERSAL/


メンバーを見た時、このアルバムは外せないなぁーと思いました。
なぜだか注文してからだいぶ待たされたけど予想にたがわぬ素晴らしい内容でした。
一番聴きたかったのはゴンザロ・ルバルカバ(p)です。
自己の作品だと難解でイマイチですが、こういうところに出ると物凄いプレイをします。
加えて注目のクリス・ポッター(ts)、エリック・ハーランド(ds)が共演となると見逃せません。
デイブ・ホランド(b)がまとめ役ということでうまくまとまったと思います。

驚いたのは全曲がメンバーのオリジナルでスタンダードが1曲もないことです。
ジャズ・フェスティバルでこんなことがあるんでしょうか。
4人が2曲づつ提供しているので曲想も多彩で新鮮そのものです。
それだけに刺激的でインパクトがありました。

現在のジャズ・シーンの一片を切り取った最高峰のジャズが聴けます。
お薦めの一枚です。

(まじめ系)




(426) REUBEN WILSON TRIO & QUARTET / AZURE TE

reuben wilson(org), rodney jones(g), j.t.lewis(ds)
kenny garrett(as)(1,2,7)

2009/Showplace Records/


今年の私のテーマはソウル・ファンキー路線なのでオルガン・ジャズも外せません。
リューベン・ウィルソンはブルー・ノート後期にデビューしたオルガニストでポップス色も強いです。
ここでの最大の聴きものはケニー・ギャレット(as)でしょうね。
ギャレットのやや尖がっているR&Bもたまりませんよ。
オーソドックスなリューベンやロドニー・ジョーンズ(g)との絡みが聴きどころになります。
でも、共演はたった3曲でした・・・これって詐欺じゃないのか。
やっぱり、チャーリー・パーカーの(1)「SCRAPPLE FROM THE APPLE」は良かったです。
トリオで演奏されたソウルな(3)「STELLA BY STARLIGHT」も面白い。

(くつろぎ系)




(425) BOB ALBANESE TRIO & IRA SULLIVAN / ONE WAY / DETOUR

bob albanese(p), tom kennedy(b), wlllard dyson(ds)
ira sullivan(ts,ss,afl,per)(2,4,6,8,9,10)
2009/Zoho Music/


ボブ・アルバネス(p)は初見、冷めた目で見つめるジャケットに惹かれました。
加えてアイラ・サリバンの共演です。
裏を見るとサリバンがサックスやフルートを吹いています。
アイラ・サリバンってトランペットじゃなかったけ?・・・サックスも吹くのかと興味を持ちました。
ジャケ買いは運不運があるけれど結果は大当たりでした。
アルバネスは一見北欧風のピアニストかと思いましたが音使いはかなりひねています。
それにアメリカン風味が入るとこうなるのかと思います。
内に秘めた熱を感じて私は大いに気に入りました。
ベスト・トラックはやはり表題曲の(3)「ONE WAY / DETOUR」かな。
ピアノ、ベース、ドラムスのトリオが三位一体となってグングンきました。
純ジャズ路線からはややずれているプレイヤーがリアル・ジャズに挑戦している面白さがあります。
トム・ケネディ(b)はフュージョン系のデイブ・ウェックル(ds)とか木住野佳子(p)さんとかと共演しています。
ドラムスのウィラード・ダイソンも初めてですが存在感がありました。

もう一つの聴きどころ、サリバンのサックスやフルートはクールでいいですよ。
繊細でか細くてなんか頼りない音なんですけどそれがまた新鮮で個性的になっています。
枯れた渋い演奏を聴かせてくれました。やはり、伊達に年を取ってはいませんね。
トリオ良し、カルテット良しの掘り出し物の一枚になりました。

(中間系)




(424) CARSTEN DAHL TRIO / IN OUR OWN SWEET WAY

carsten dahl(p), mads vinding(b), alex riel(ds)

2009(2005〜2007Rec)/Storyville Records/


カーステン・ダール(p)の新譜です。
共演がマッズ・ヴィンディング(b)、アレックス・リール(ds)とくればまず外れはありません。
新録音ではなくて2005〜2007年にかけてのライブ音源です。
ライブとはいってもその完成度は高いので驚かされました。
三人が織りなす圧倒的なパフォーマンスに心が動かされることは必至です。
スタンダードに新しい息吹を吹き込む・・・多くは語れないほどダールが凄い。
じっくりと聴き込んだら本当に素晴らしいです。
ピアノ・トリオ・ファンには必聴のアルバムだと思います。

(中間系)




(423) DONAVAN MURADIAN QUINTET / STRAIGHT AHEAD VOL.2

kye palmer(tp), chuck manning(ts),
curtis brengle(p), larry muradian(b), jeff donavan(ds)
2009/Live To 2 Track Records/


ドナヴァン&ムラディアン・クインテットは2回目の登場です。
カリフォルニアのパサディナを中心に活動しているハード・バップ・グループです。
前作の「DMQ LIVE」は「ドラ盤」(No274)になりました。
メンバーも同じですが今作はスタジオ録音盤なのでより繊細な仕上がりになっています。
トランペット、テナーサックスのフロントはジャズの王道クインテットの組み合わせです。
前作同様にむずかしいことは何もなくて、ただただ聴いていて気持いいです。
バップの名曲、ソニー・クラークの「BLUE MINOR」が聴けるのも嬉しいじゃありませんか。
続くホギー・カーマイケルの「SKYLARK」のバラードも渋いです。
ラテンの軽快なテンポで演奏される「夜は千の眼を持つ」も聴きどころになりました。


(くつろぎ系)




(422) PETER BEETS TRIO / FIRST DATE LIVE

peter beets(p), marius beets(b), jeff hamilton(ds)
2009(1996 Rec)/Maxanter Records/


オランダ出身のピアニスト、ピーター・ビーツを聴くのも久し振りです。
この新譜はどこかで見たことのあるジャケットだと思いながら購入しました。
なぜか、ビーツのジャケットはどことなく似ているんです。
ビーツには「FIRST DATE」というアルバムがあります。
スタジオ録音盤で2001年に出ていますが、その前日のライブを収録した発掘盤です。
当然ながらメンバーも同じで曲目も6曲でダブっています。

選曲はオリジナル3曲とディジー・ガレスピー(tp)やオスカー・ペティフォード(b)のビ・パップが並んでいます。
近く、初来日公演の予定がありその記念盤だそうですが13年前ではちょっと無理がありますね。
しかし、中身は中々に濃いと思います。
ヨーロッパの伝統的なピアノとは一線を画したパワフルなピアノが最大の魅力です。
ビーツ兄弟が若さにまかせて突っ走っていてジェフ・ハミルトンの攻撃的なドラムスも聴きどころです。
ハイライトはそのまんまの曲名も(2)「BEBOP」で熱いプレイが聴けました。

(中間系)




(421) JUNKO ONISHI TRIO / MUSICAL MOMENTS

大西順子(P), 井上陽介(b),
gene jackson(ds)
reginald veal(b)(10), herlin riley(ds)(10)
2009/Somethin'else/


大西順子さんは好きなピアニストだったのでアルバムもけっこう持っています。
ライブにもよく行きました。
1999年に出した「FRAGILE」にはちょっと迷いがあったんじゃないかな。

今作はたっぷりと充電期間を置いた大西さんのほぼ10年ぶりの新作です。
エリック・ドルフィー(as,fl,bcl)の3曲が目を引きます。
ピアニストならデューク・エリントンやセロニアス・モンク、バド・パウエルの影響はあるでしょう。
それはもちろんですが以前から私はむしろチャーリー・ミンガス(b)を強くイメージしていました。
おどろおどろしい低音の魅力・・・ミンガスをピアノでやるとこうなるのではないかと・・・。
ミンガス=ドルフィーのラインもあるしね。
普通、女性(男性でも)はこういう音使いはしませんよ。
まずは(1)「ハット・アンド・ベアード」にその特徴がよく出ていると思います。
(3)「バック・イン・ザ・デイズ」と(8)「G.W」の疾走感溢れるトリオが快調です。
グイグイと突っ走れば元気をもらえるし、これはクセになります。
反面、バラードやソロ(2、5、9)の3曲はいまひとつの味、私にはちょっと合わなかった。

井上陽介(b)さんの起用は文句のないところ。
ドラムスは評価が分かれるところですが大西さんは間違いなくこういうドラムスが好みです。
ミンガス・グループのダニー・リッチモンド(ds)を意識しているところがあるかもしれませんね。

それからライブ音源のボーナス・トラックの(10)が素晴らしかったです。
16分強のメドレーに心底痺れた、このノリ、このパワーは大西さんの真髄でしょう。
なぜわざわざここに収録したかが十二分に納得できる内容です。
ライブ盤として独立したCDで出しても良かったと思いますが・・・なんらかの理由ありと推測します。

色んな意見が出ていて、これほどみんなが楽しめて話題になったCDも珍しいです。
いずれにせよ、強烈な個性を発揮しているトリオ・アルバムです。
大西順子さんは健在でした。

(まじめ系)