[トップページ]



ジャズのよもやま話


(1)マイルス・デイビスのこと

17歳のマイルス・デイビスを、セントルイスで見出したのは、ディジ−・ガレスピーで、そのディジーの後釜として、チャーリー・パーカーのグループに参加したことから、マイルスは、ジャズの主流を歩むこととなりました。
チャーリー・パーカーとバド・パウエルの2人との共演が彼に与えた影響は、さぞ大きかったことでしょうね。

マイルスが1955年に新しいコンボを作る時ソニー・ロリンズに声をかけましたが断られ、当時ディジーガレスピー楽団でくすぶっていたジョン・コルトレーンが参加することになりました。
この選択は結果的に正解だったと思います。
マイルスとロリンズでは、とても長続きしたとは思いません。
その時、ロリンズは、どこに行ったかといいますと、これがなんとクリフォード・ブラウンとマックス・ローチのコンボ、さぞかしマイルスは、頭にきたと思いますよ。
マイルスがむかついた、ただ1人のトランペッターは・・・あのゆくよかなサウンド、豊かな歌心・・クリフォード・ブラウンだったろうと私は確信しています。

これは、有名な話ですが、マイルスは、マイナーなプレステイジからメジャーのCBSへの移籍を考えていましてプレステイジとの契約が残っていたマイルスは、2日間で4枚のレコードを吹き込みます。
ワーキン/リラクシン/スティ―ミン/クッキンの4枚、プレステイジは、1年に1枚づつ発売して抵抗しました

それにしてもマイルス・コンボにおけるハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウイリアムスの3人は素晴らしいですね
モダン・ジャズ史上、最高かつ最強のリズム・セクションだと思います。
彼らが参加しているアルバムは、何度聴いても興奮してしまいます。
やっぱりマイルスはスゴイです。




(2)ジョン・コルトレーンのこと

何の変哲もないプレイヤーが、超一流プレイヤーに変身して行くのを、彼ほどハッキリと私の目の前に見せてくれた人はいません。
マイルス・デイビスが彼を見抜いた理由は、何だったんでしょうね。

マイルスから独立して自己のグループを結成し、好アルバムを連発、最後は、神懸り的になって、さすがのマッコイ・タイナーやエルビン・ジョーンズも 退団してしまいましたが、私は幸運にも彼の東京公演を見ることが出来ました。
若いファラオ・サンダースやラシッド・アリと猛烈なプレイを繰り広げてくれました。
私の見たライブでは、最高のものだと言えます。
彼より若いテナーマンは、そのほとんどが彼の影響を受けていると言っても 差し支えないでしょう。

オーネット・コールマンを聞いて、いきなり理解出来る人は、少ないですよね。
そんな場合は、ジョン・コルトレーンの足跡をたどるのが、一番分かり易いと思いますよ。
その後に、オーネットを聞くと、見えなかったものが見えてくるという訳です。

つまり彼もまた、モダンジャズの歴史そのものなのです。


(3)私のCDの買い方について

時々近くのCDショップに行って、良さそうだなと思うアルバムを買います。
もう長い間私はジャズ関係の本を読まないので、先入観念は全然ありません。
知らないアルバムは自分のカンだけが頼りです。
音楽の良し悪しは、私観的なものですから、あとは自分の感性を信じるしかありません。

もちろん私のホームページの愛聴盤もまったく個人的なものです。
そんな訳で、偶然いいアルバムに出会うとホントにもうけた気になりますが、ハズレもまた多くなるのが欠点です。

ただ困ったことに、S・J誌選定・ゴールドディスクのマークには、どうしても目が向いてしまいます。
迷いながら大抵の場合購入することになるのですが、やっぱり当たりハズレは、一番少ないと思います。

確か最初のゴールドディスクは、当時、超幻の名盤と言われたトミー・フラナガンの「オーバー・シーズ」だったと記憶しています。


(4)チャ―ルス・ミンガスのこと

チャ―ルス・ミンガスは、長い間ベースの第一人者として君臨していました。
チャ―ルス・ミンガスの音楽は、ミンガスミュージックとも呼ばれて、非常に個性的です。
それゆえ好き嫌いが分かれるところですが、グループサウンズとしての魅力があります。

何といっても在籍したメンバーがすごいです。
ピアノですと、マル・ウォルドロン、ホレス・パーラン、ポール・ブレイ、ジャッキー・バイヤード、
ドン・プーレン等々。

ホーンなら、エリック・ドルフィー、ジャッキー・マクリーン、ブッカ―・アービンジョン・ハンディ、
ジョージ・アダムス、テッド・カーソン、
チャ―ルス・マクファーソン、ローランド・カーク等々、と個性派揃いでホントに面白いです。

主流派からは、ちょっと外れていますが、私はこの人達が大好きで、良く聞きました。
ミンガスのリーダーとしての能力の高さがここに示されています。


(5)セロニアス・モンクのこと

ジャズ界で個性的だといえば、この人のことを忘れるわけにはいきません。
マイルス・デイビスが、「オレのソロの時はピアノをひくな」といったくらい、そのあまりの個性の強さに、共演者がいやがったというエピソードは有名です。

それゆえ彼の場合は、ソロピアノが一番良いという意見も多いですね。
1人なら誰にも邪魔されずに自分の世界に没頭出来るというわけです。
モンクスミュージックは中々魅力的で、一度好きになるとのめり込みますから、要注意なのですよ。

モダンジャズの名曲「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」は、彼の作曲ですが、マイルスの演奏で有名になったというのも良く出来た話で面白いと思います


(6)レコード(CD)の収集について

レコード(CD)収集の鉄則は、「レコードは見つけた時に買え」ということです。
そもそもジャズレコードは、それほど売れるものではないので、発売数が少ないです。
だから、今あなたの目の前にあったとしても、すぐに売り切れ廃盤になります。
売れ筋のレコード以外は、再発売も難しい状況になって、2度と入手出来ないかも知れないし、入手出来たとしても、何年先になるか分かりません。

それに「あなたの肩越しにそのレコードを狙っている人がいる」というのも事実です。
私もこれで何回も痛い目に会っていますが、分かっちゃいるけどやめられないタイプで、逃がしたレコードのジャケットは、目に焼き付いています。
あ〜ぁまた思い出してしまった

追伸
現在恋愛中の方も多いと思います。
彼女または彼氏に貴重なCDをプレゼントするのは、絶対にやめましょう。
今は熱く燃え上がっていて、何もかも捧げたくもなるでしょうが、二度と戻ってこない可能性も高いです。
もしどうしてもの場合には、新しいものをプレゼントしましょう。
経験者は語る。


(7)チャーリー・パーカーとバド・パウエルのこと

モダンジャズをこの二人なくして、語ることは出来ません。
マイルス・デイビスが、「ジャズの天才は、チャーリー・パーカーとバド・パウエルの 二人だけだ」、と言ったそうですが、まさにその通りだと思います。

チャーリー・パーカーは、朝から晩まで何をしていてもジャズだった人だそうですが、バド・パウエルもモダン・ピアノに与えた影響は絶大です。

二人とも薬と酒におぼれてぼろぼろになり、後年は満足なプレイも出来なくなった点も 良く似ています。
天才には天才なりの悩みがあったのでしょうね。


(8)ジェリー・マリガンのこと

つい先日ジェリー・マリガンが、96年に68歳で亡くなったことを知りました。
私が初めて買ったジャズレコードが彼のものだったので、格別の思いがあります。

バリトン・サックスという余り一般的でない低音楽器なので、どこかもどかしい演奏になりますが、なんともいえない安心感を与えてくれました。
それに作編曲能力を生かした美しいアンサンブルとハーモニーも私は好きでした。

また一つジャズの巨人の星が消えてしまいました。
それにしても、3年も前に亡くなっているのに、知らなかったのですから、まったくの浦島太郎もいいところです。
そういえば、トニー・ウイリアムスのことを知ったのも最近でした。
少しはジャズ関係の本でも読まないといけませんかね、


(9)クリフォード・ブラウンのこと

たら、ればは、いけませんが、もしもクリフォード・ブラウンが生きていたら、マイルス・デイビスとの関係は、どうなっていたのでしょうか。
興味がつきないところです。

アート・ブレイキー・クィンテットのバード・ランドにおけるライブで、司会のピー・ウィ―・マーケットの「ニュー・トランペット・センセーション、クリフォード・ブラウン」から始まる演奏には、心底からシビレました。

それが26歳の若さで、リッチー・パウエル夫妻と共に交通事故で、亡くなるなんて、本当に天才は早死にするんだなと思いました。
ベニー・ゴルソン作の「アイ・リメンバー・クリフォード」は、私の大好きな曲の1つです。


(10)ソニー・ロリンズのこと

ソニー・ロリンズを見出したのは、マイルス・デイビスです。
ジョン・コルトレーンに唯一対抗出来るテナー・サックス・プレイヤーとして、我が道を歩んでいました。

テキサス・テナーの流れを汲むその豪快な音色は、まさに圧倒的な迫力があります。
カリプソやボサノバにおける演奏も王者の名にふさわしい貫禄です。
それに歌ものにおける独特の節回しにも、なんとも言えない味わいがあります。

代表作として、「サキソフォン・コロッサス」と、ライヴでは「カッティング・エッジ」をお薦めします。


彼の演奏にどことなくユーモアを感じるのは、私だけなのでしょうか。




目次に戻る

2ぺージ目に進む