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Dragon's Jazz Corner

今週のジャケットのコメント6


NO.801〜以降。

*10周年を記念したNO.442以降のドラ盤紹介ではジャケットも掲載しています。(2008/03/30)





(1000) ERIC DOLPHY SEXTET / LAST RECORDINGS
eric dolphy(as,bcl), donald byrd(tp), nathan davis(ts),
jack dieval(p), jacques hess(b), franco monzecci(ds),
jacky bambou(cong)(2,3)
1964Rec/West Wind/

1  Springtime
2  GW
3  245
4  Serene

「今週のジャケット」紹介も1000枚になりました。
エリック・ドルフィ(as,bcl)のラスト・レコーディングスです。
今作が出る前は「Last Date」(Fontana)がドルフィ最後のアルバムとして知られていました。
1964年6月2日オランダ、ミシャ・メンゲルベルク(p)、ジャック・ショールス(b)、ハン・ベニンク(ds)です。

今作はフランス・パリで1964年6月11日録音・・・名実ともに最後の録音になると思います。
ドルフィが亡くなったのは1964年6月29日(36歳)なので18日前の録音になります。
ドナルド・バード(tp)、ネイザン・デイヴィス(ts)とのフロント3管は分厚くて面白かったです。

ドルフィは特別鬼気迫るというわけでもなく普通に吹いています。
この時はまだ体調はそれほど悪くなかったと思うけど・・・。
内容は「Last Date」が上だけど、ドルフィ最後の作品として「コレクターズ・アイテム」にはなりますね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2019/02/17




(999) CARLOS GARNETT / BLACK LOVE
carlos garnett(ts,as,ss,vo), charles sullivan(tp), mauricio smith(fl),
allan gumbs(p), reggie lucas(g), buster williams(b)(2,6), alex blake(b)(1,4,5),
norman conners(ds), billy hart(ds)(2), mtume(per), dee dee bridgewater(vo), etc
1974Rec/Muse/

1  Black Love
2  Ebonesque
3  Banks Of The Nile
4  Mother Of The Future
5  Taurus Woman
6  Banks Of The Nile (Alternate Take)
7  Taurus Woman (Alternate Take)

カルロス・ガーネット(sax)の代表作と目されているアルバムです。
カルロス・ガーネットは後期マイルス・デイヴィス・グループに在団したテナー奏者です。
典型的なコルトレーン奏法だけど音色が柔らかいので聴き易いです。
昨年私はガーネットを再評価してけっこう聴いていました。

全5曲は全てガーネット自身のオリジナルです。
録音当時30代半ばで脂が乗りきっていました。
チャールス・サリヴァン(tp)、アラン・ガムス(p)、アレックス・ブレイク(b)、ノーマン・コナーズ(ds)、
エムトゥーメ(per)、ディー・ディー・ブリッジウォーター(vo)などの才人達の共演も嬉しい。
ファンク・ビートに乗ったソウル&ファンキーなブラック・ジャズの一枚に仕上がっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2019/02/10




(998) ARCHIE SHEPP & ERIC LE LANN QUINTET / LIVE IN PARIS
archie shepp(ts), neric le lann(tp),
richard clements(p), wayne dockery(b), stephen mccraven(ds)
1996/Arcade/

1  Delicated To Bessie Smith
2  Hope Two
3  The Man I Love
4  Ask Me Now
5  Circle
6  Twins Valse
7  Things Ain't What They Used To Be

アーチー・シェップ(ts)紹介の最後のアルバムです。
シェップとフランスのトランぺッターのエリック・ル・ランの共演盤です。
シェップは管楽器奏者との共演が少ないので貴重な一枚といえます。

全7曲はシェップ2曲、ルラン2曲、その他3曲の構成です。
トランペットとテナー・サックスの王道2管クインテットのハード・バップ・アルバム。
ライブ盤なのでシェップの生の息吹がそのまま伝わってきます。
もちろん若い頃の激しさはないけれど音楽そのものを楽しんでいる気がする。
モンクの(4)「Ask Me Now」のバラード、(1)と(7)ではシェップの歌声も聴けました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2019/02/03




(997) ARCHIE SHEPP QUARTET / BALLADS FOR TRANE
archie shepp(ts),
albert dailey(p), reginald workman(b), charles persip(ds)
1977/Denon/

1  Soul Eyes
2  You Don't Know What Love Is
3  Wise One
4  Where Are You ?
5  Darn That Dream
6  Theme For Ernie

一枚のアルバムが後世に与える影響はどうなんだろう?
「ジョン・コルトレーンのバラード」は後のテナー・サックス奏者のお手本になった。
多くのサックス奏者が同じようなアルバムを作っています。
そしてそのほとんどがコルトレーンに捧げる形になっている。

今作はシェップのそんなアルバムです。
コルトレーンはシェップが師と仰ぐ存在なので当たり前といえば当たり前かな。
シェップのバラード奏法が満喫出来ました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2019/01/27




(996) ARCHIE SHEPP & NIELS=HENNING ORSTED PEDERSEN / LOOKING AT BIRD
archie shepp(ts), niels-henning orsted pedersen(b)
1980/SteepleChase/

1  Moose The Mooche
2  Embraceable You
3  Ornithology
4  Billie's Bounce
5  Yardbird Suite
6  Blues For Alice
7  How Deep Is The Ocean
8  Confirmation

先週に続いてアーチー・シェップ(ts)のデュオ・アルバムです。
今回の相手はニールス・ペデルセン(b)です。
シェップのチャーリー・パーカー作品集です。
聴いていて思うのはバードはやはりシェップにとっても「永遠のあこがれ」だったということ。
シェップも若い頃は一所懸命にバードの後姿を追っていた。

全8曲はバード作が5曲とその他3曲の構成です。
ペデルセンのベース・ラインに乗ってシェップが縦横無尽に展開する。
やっぱり何もかもが素晴らしいと思いました。
バードの(8)「Confirmatin」は難曲でサックス奏者が上手くなると必ずやりたがる曲です。
シェップもずいぶんと練習したと思いますよ・・・味わい深い演奏を聴かせてくれました。
ここでのペデルセンもまた聴きどころになりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2019/01/20




(995) ARCHIE SHEPP & HORACE PARLAN / GOIN' HOME
srchie shepp(ts), horace parlan(p)
1977/SteepleChase/

1  Goin' Home
2  Nobody Knows The Troubles Seen
3  Go Down Moses
4  Steal Away To Jesus
5  Deep River
6  My Lord What A Morning
7  Amazing Grace
8  Sometimes I Feel Like A Motherless Child
 9  Awing Low, Sweet Chariot
10   Come Sunday

未紹介のアーチー・シェップ(ts)が何枚かあるのでしばらく続けたいと思います。
今作はデュオ・アルバムで相手はホレス・パーラン(p)です。
シェップ&パーランは一見、異色の顔合わせで私は合わないのではないかと思いました。
でも、1曲目の表題曲「Goin' Home」を聴き始めた途端にそれが危惧に終わったことを確信しました。

全10曲はトラディショナルな曲が中心で1曲(10)のみデューク・エリントンの作品です。
デュオの性格上どうしてもバラードが中心になりますね。
この日のシェップは体調が良かった・・・。
つい我慢出来ずにゴリゴリになるクセも出さずにキッチリと吹き切っています。
シェップの良さを十分に引き出したパーランはさすがの力量の持ち主です。
それでいてパーランの目立たず騒がすの控えめなピアノも最高です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2019/01/13




(994) ARCHIE SHEPP & LARS GULLIN QUINTET /THE HOUSE I LIVE IN
archie shepp(ts), lars gullin(bs),
tete montoliu(p), niels-henning orsted pedersen(b), alex riel(ds)
1963/SteepleChase/

1  You Stepped Out Of A Dream
2  I Should Care
3  The House I Live In
4  Sweet Georgia Brown

アーチー・シェップ(ts)もまたヨーロッパに多くの録音を残しています。
そんな中の一枚ですが特にここはメンバーが凄いです。
まだシェップはフリー・ブラック・ジャズの雄「ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ」に在籍していました。
つまりバリバリのシェップがヨーロッパの精鋭達と共演したスタンダード作品集です。
それだけに興味深く、貴重なアルバムと言えると思います・

スウェーデン出身のラース・ガリンはヨーロッパを代表するバリトン・サックス奏者です。
最初に聴いた時にはその時期ヨーロッパにこんな名手がいたのかと驚かされました。
テテ・モントリューはスペインの天才ピアニストで当時は一番知名度が高かった。
テテに大きな影響を受けたのがミシェル・ペトルチアーニ(p)だと思っています。
ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセンはデンマークのベーシストでです。
ヨーロッパのベーシストは60年代にこのニールス・ペデルセンの登場で一気に注目されることになりました。
強靭、強烈なベース・プレイという表現はペデルセンから始まったと思います。
アレックス・リールはデンマーク出身のヨーロッパを代表するドラマーです。
つまりここはオール・ヨーロピアン・リズム・セクションがバックに控えていたということになりますね。
これだけのメンバーのライブってどうなんだろう?・・・直に熱気と空気を味わいたい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2019/01/06




(993) TAKEHIRO HONDA TRIO / THIS IS HONDA
本田竹廣(p), 鈴木良雄(b), 渡辺文男(ds)
1972Rec/AMJ/

1  You Don't Know What Love Is
2  Bye Bye Blackbird
3  Round About Midnight
4  Softly As In Morning Sunrise
5  When Sunny Gets Blue
6  Secret Love

日本のジャズ史上最高のピアニストは誰か?
と問われれば「本田竹廣さん」と答える人も多いと思います。
そんな竹廣さんの最高傑作と目されているアルバムです。
1972年イイノホールでのライブ盤です。

共演メンバーは鈴木良雄(b)さんと渡辺文男(ds)さんです。
素晴らしい・・・抜群の緊張感とスイング感を誇ります。
何もいうことはありません。
これは聴いてもらうしかないです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/12/30




(992) STEFANO BOLLANI TRIO / BLACK AND TAN FANTASY
stefano bollani(p), ares tavolazzi(b), aslter paoli(ds)
2002/Venus/

1  Just One Of Those Things
2  Black And Ta Fantasy
3  Day Dream
4  I'm Thru With Love
5  It's Always You
6  It's You Or No One
7  La Ultima Noche
8  Flower Is A Lovesome Thing
 9  The Sophisticated Lady

イタリア出身のステファノ・ボラニもまた硬派なピアニストです。
中々にユニークな展開力の持ち主でオリジナリティーを感じます。
力強いタッチと切れ味の鋭さを兼ね備えているので好きなピアニストの一人です。

全9曲は全てスタンダードで占められています。
スタンダード演奏でも曲想豊かでアプローチが新鮮です。
ここはボラニのレギュラー・トリオということもあって縦横無尽に展開しています。
甘さは控えめのスリリングな演奏が聴けました。
(1)「Just One Of Those Things」は好きな曲でヴォーカル・ライブではリクエストすることがある

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/12/23




(991) GERI ALLEN TRIO / SEGMENTS
geri allen(p), charlie haden(b), paul motian(ds)
1989Rec/DIW/

1  Law Years
2  You'll Never Know
3  Marmaduke
4  Cabala/Drum Music
5  Home
6  I'm All Smiles
7  Segments
8  La Pasionaria
 9  Rain

ジェリ・アレン(p)の代表作と目されている一枚です。
アレンは昨年60歳で亡くなりました、まだまだこれからだったのに残念です。
アレンは1980年代のM-BASE派のピアニストとして衝撃的なデビューを果たしました。
フリーにも通じる期待された新進気鋭のピアニストだったと思います。

全9曲はメンバーのオリジナル4曲、チャーリー・パーカー2曲、その他3曲の構成です。
その他ではオーネット・コールマンの(1)が目を引きました。
どれも一筋縄ではいかない歯ごたえのある演奏が詰まっています。
それもメンバーを見れば一目瞭然でヘイデン&モチアンの骨っぽい二人がバックにいました。
この二人と堂々と渡り合うアレンの実力は疑うべきもありません。
私的ベストは表題曲の(7)「Segments」で三位一体のコンビネーションが見事です。
ミシェル・ルグランの(6)「I'm All Smiles」での美しいピアノも良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/12/16




(990) ANDREW HILL QUARTET / DIVINE REVELATION
andrew hill(p),
jimmy vass(as,fl), chris white(b), leroy williams(ds)
1975Rec/SteepleChase/

1  Snake Hip Waltz
2  Here's That Rainy Day
3  East 9th Street
4  July 10th
5  Divine Revelation
6  July 10th

先週のポール・ブレイ・カルテットに続いて今週はアンドリュー・ヒル(p)のワン・ホーン入りのカルテットです。
アルト・サックス奏者のジミー・ヴァスはチャールス・ミンガス・バンドの出身者です。
堅いかと思いきやファンキー&ソウルの権化のチャールス・アーランド(org)とも共演しているという変わり種です。
さらにここではフリー味が濃いアンドリューだから相手なりに何でもできる器用なタイプのミュージシャンと言えます。

全5曲は「(4)と(6)は別テイク」1曲を除いてアンドリューのオリジナルです。
1曲だけサラリとスタンダードを入れるのはパターン化されています。
表題曲の(5)「Divine Revelation」は25分を超える長丁場なんだけど、さすがにちょっと長かった。
初めから10分ほど延々と続くソロ・ピアノは正直つらかったです。
あとの4曲の出来が良いのでこちらの方が聴きどころになりました。

(まじめ系)

2018/12/09



(989) PAUL BLEY QUARTET / SPEACHLESS
paul brey(p),
rich perry(ts), jay anderson(b), victor lewis(ds)
1994Rec/SteepleChase/

1  Dropped Stitch
2  Crystal Ball
3  In Walked Bud
4  Speachless
5  Love
6  Past Tense
7  Beau Didley
8  Love Is
 9  Shorthand

2ヶ月ほど前にポール・ブレイ・トリオを紹介したので今度はワン・ホーン入りのカルテットです。
前回のメンバーはポール・ブレイ(p)、ロン・マクルーア(b)、ビリー・ハート(ds)でした。
今回はポール・プレイ(p)、ジェイ・アンダーソン(b)、ヴィクター・ルイス(ds)、リッチ・ペリー(ts)です。
テナー・サックス奏者のリッチ・ペリーはスティープル・チェースの看板プレイヤーの一人です。
1990年代から多くの作品をリリースしています。

全9曲中8曲はブレイのオリジナルで残りの1曲はセロニアス・モンクの(3)です。
聴いていて驚いたのはリッチ・ペリーの演奏です。
ブレイのフリー・フォームなピアノにもまったく遜色ない対応でさすがの実力だと思いました。
1曲目なんかまるでマル・ウォルドロン(p)とエリック・ドルフィ(as)を聴いているようでした。
全部オリジナルだときつかったけどモンクの「In Walked Bud」があって良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/12/02



(988) GARY BARTZ & SONNY FORTUNE QUINTET / ALTO MEMORIES
gary bartz(as), sonny fortune(as),
kenny barron(p), buster williams(b), jack dejohnette(ds)
1993Rec/Verve/

1  Stolen Moment (O..Nelson)
2  U.F.O (G.Bartz)
3  Jeannine (D.Pearson)
4  Minority (G.Gryce)
5  Billie's Bounce (C.Parker)
6  Embraceable You (G.I.Gershwin)
7  Capuchin Swing (J.McClean)
8  Lonely Woman (O.Coleman)
 9  When Lights Are Low (B.Carter)
10  Warm Valley (J.Hodges)

ソニー・フォーチュンもまた70年代のマイルス・バンド出身のアルト・サックス奏者です。
先週紹介したデイブ・リーブマン(ts)と同時期に在団しました。
その後はエルヴィン・ジョーンズのジャズ・マシーンのメンバーとしても活躍しています。
フォーチュンはフリーからフュージョンまでこなす幅広い音楽性を持つミュージシャンです。
共演のゲイリー・バーツ(as)とは同年代の同志ということになります。
フォーチュンは今年の10月に79歳で亡くなったばかりです。

全10曲はバーツのオリジナル1曲を除いてはジャズの名曲が9曲の構成です。
どれもアルト・サックス奏者の作曲や演奏で有名な曲ばかりで選曲が興味深いですね。
オリバー・ネルソン、バーツ本人、ジジ・グライス、チャーリー・パーカー、ジャッキー・マクリーン、
オーネット・コールマン、ベニー・カーター、ジョニー・ホッジスの偉大なアルト奏者の名前が並んでいます。
作曲者が違う2曲のうち(3)はキャノンボール・アダレイ(as)の大ヒット曲で(6)はパーカーの演奏で有名です。

バックのメンバーがまた良くてケニー・バロン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、ジャック・ディジョネット(ds)です。
ゲイリー・バーツとソニー・フォーチュンのアルト・サックス名手の二人の競演を存分に楽しめるアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/11/25



(987) DAVID LIEBMAN & RICHARD BEIRACH DUO / DOUBLE EDGE
david liebman(ss,fl,ts), richard beirach(p)
1985Rec/Storyville/

1  Naima
2  Round Midnight
3  India
4  On Green Dolphin Street
 5a  Lover Man
 5b  Some Other Time
 6  Oleo

デイブ・リーブマンはマイルス・バンド出身のコルトレーン派のテナー・サックス奏者です。
リッチー・バイラークは1970年代に頭角を現したチック・コリア系の多彩なピアニストです。
リーブマンとバイラークの共演作は多く、いわば盟友の関係にあります。
そんな二人のデュオ作品は何枚かあるけれど今作はその中の一枚です。
実力があって気心が知れている二人のスタンダード作品が悪かろうはずがありません。

全6曲はモダン・ジャズの名曲も多いです。
ジョン・コルトレーン(ts)、セロニアス・モンク(p)、ソニー・ロリンズ(ts)の曲が演奏されています。
才人二人の濃密なコレボレーションが聴きどころになりました。
バイラークのピアノは静謐で幻想的な雰囲気を持っていて、ヨーロッパの土壌に合っていたと思う。
リーブマンのサックス奏法は個性的で一度聴いたら忘れられない味があります。
うねったり、かすれたり、多弁になったり、超クールな感覚もあって、クセになる独特の奏法です。
それが何ともたまらないんですよ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/11/18



(986) JOHN HANDY QUINTET / LIVE AT THE MONTEREY JAZZ FESTIVAL
john handy(as), jerry hahn(g),
mike white(vln), don thompson(b), terry clarke(ds)
1965Rec/CBS/

1  If Only We Knew
2  Spanish Lady

先週に引き続きパワフル&エネルギッシュなノン・ストップ・パフォーマンスを1枚上げたいと思います。
ジョン・ハンディ(as)もまたエリック・ドルフィ(as)同様にチャールス・ミンガス(b)・バンドの出身です。
ミンガス・バンド出身者には個性的なミュージシャンが多いけどハンディもその中の一人です。

今作は名実共にジョン・ハンディの代表作になっています。
「この人のこの1枚とか」、「この人のこの1曲とか」の話題になれば必ず出てくるアルバムです。
ハンディとジェリー・ハン(g)、マイク・ホワイト(vln)、ドン・トンプソン(b)、テリー・クラーク(ds)がメンバー。
才人の集まりだったですが特にギターとバイオリンの組み合わせでぶっ飛ばすところが超個性的でした。
この組み合わせは古くはジャンゴ・ラインハルト(g)とステファン・グラッペリ(vln)があるのでそれがルーツかな。
収録曲はたったの2曲でLPではA面B面で1曲づつでした。
なんといってもB面の「Spanish Lady」が素晴らしかった。
演奏の盛り上がりに大興奮・・・若い頃にはそれこそB面が擦り切れるほど聴きました。

ところで今作ではCD化のマイナス面を強く感じました。
ライブの臨場感がまったくなくなっていました。
何度もCD化されるたびに音が削られて空虚な音しか聴けなくなっている。
まさに「安かろう悪かろう」の典型、これでは初めて聴く若い人達があまりにも気の毒だよ。
私にしてもいくら「演奏が聴ければいい」といってもとてもついていけない。
中古市場でのLP人気やLPの復活の理由がよく分かります。


「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/11/11



(985) BILLY HARPER QUINTET / IN EUROPE
billy harper(ts), everett hollins(tp),
fred hersch(p), louie "mbiki"speaks(b), horacee arnold(ds)
1979Rec/Soul Note/

1  Priestess
2  Calvary
3  Illumination

ビリー・ハーパーもまた典型的なコルトレーン派のテナー・サックス・プレイヤーです。
パワフル&エネルギッシュなノン・ストップ・パフォーマンスは好きな人にはたまりません。
直情的なストレート一本やりは強烈で最も熱いテナー・サックスを聴かせてくれます。
出自はアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズですが印象に残っていません。
私にとってハーパーはリー・モーガンの「The Last Session」(1972/Blue Note)が良かった。

全3曲は全てハーパーのオリジナルです。
(1)「Priestess」は15分、(3)「Illumination」は20分を超す長丁場です。
今作のもう一つの聴きどころは若き日のフレッド・ハーシュ(p)にあります。
今とは違うマッコイ・タイナーばりの熱いピアノに注目しました。

ハーパーの最大の魅力は呪術的なアフリカン・リズムにあると思います。
聴いているうちにだんだんと心が熱くなってくるんですよ。
延々と繰り返される強烈なリズムはまさに音楽が持つ力を実感します。
ちなみに呪術的なアフリカン・リズムといえばナイジェリアの闘士、フェラ・クティが忘れられません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/11/04



(984) CHARLES TOLLIVER QUARTET / LIVE IN BERLIN
At The Quasimodo / Vol.1
charles tolliver(tp),
alain jean-marie(p), ugonna okegwo(b), ralph van duncan(ds)
1988Rec/Strata-East/

1  Ruthie's Heart
2  Ah, I See
3  Stretch
4  On The Nile

チャールス・トリバー(tp)は純然たるフリー・ジャズ・マンではないけれどフリーにも通じるスタイルを持っています。
ブルー・ノート後期盤にジャッキー・マクリーン(as)やホレス・シルバー(p)との共演盤があって名前を知りました。
トリバー自身の才能を明らかにしたのはスタンリー・カウエル(p)と組んだ「ミュージック・インク」の結成でした。
当時の先鋭的で強力なブラック・ジャズの中核になっていたグループです。
「ミュージック・インク」の活動期間は7〜8年というところかな。
トリバーは自己のレーベルを立ち上げて新人の育成に努めたりと精力的に活動していた時期があります。

全4曲は全て自身のオリジナルです。
ライブ盤なので1曲づつが長くうち3曲が16分強の長丁場になっています。
ここの注目はピアニストのアラン・ジェーン・マリーだと思います。
カリブ海出身の知る人ぞ知るビギンの名手でもあるけれど切れのあるピアノが魅力です。
私的ベスト・トラックの(3)「Stretch」ではアランの圧倒的なピアノとトリバーの鋭角なトランペットが聴けました。
ただライブ盤でもあまりライブの臨場感が感じられないのは残念でした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/10/28



(983) JOHN TCHICAI TRIO / REAL TCHICAI
john tchicai(as), pierre dorge(g), niels-henning orsted pedersen(b)
1977Rec/SteepleChase/

1  Graceful Visitor.
2  Silent Danish Girl
3  Moksha Point
4  Monk's Mood
5  Bambla Jolifanti
6  One Way Ticket
7  Mirjam's Dadadance
8  Blue Barrier
 9  Nothing Doing In Krakow
10  On Tuesday
11  Oles Anders
12  Sailing To The Good Land

ジョン・チカイ(as)もまたフリー・ジャズ・シーンでは忘れてはならないプレイヤーです。
デンマーク生まれですがニューヨークに進出して活躍しました。
アーチー・シェップ(ts)、ドン・チェリー(tp)との「ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ」に参加、
後にラズウェル・ラッド(tb)との「ニューヨーク・アート・カルテット」を結成しています。
ジョン・コルトレーン(ts)とも共演していて、つまり筋金入りのフリー・アルト・サックス奏者です。

全12曲は自身のオリジナルが9曲、共演のピエール・ドージ(g)が2曲、セロニアス・モンク(p)が1曲の構成です。
なお(10)、(11)、(12)の3曲はCD化により追加されたものです。
1曲づつが短いのでフリー・ジャズとしてはとても聴き易い仕上がりになっています。
曲想も豊かなのでちょっとフリーを聴いてみたいという人には最適じゃないかな。
チカイのフリー・ジャズを聴いていると一編の詩を聞いているような気がします。
自在な展開はまさに楽器を通して肉声で語り歌っている。
アルト・サックスの音の美しさは格別です。

ジョン・チカイは2012年に76歳で亡くなりました。

(まじめ系)

2018/10/21



(982) ERIC DOLPHY QUARTET / THE COMPLETE UPPSALA CONCERT
eric dolphy(as,bcl,fl),
rony johansson(p), kurt lindgren(b), rune carlsson(ds)
1961/Gambit/

Disk 1
1  What Is This Thing Called Love
2  245
3  Laura
4  52nd Street Theme
5  Bag's Groove

Disk 2
1  Out Of Nowhere
2  I'll Remenber April
3  52nd Street Theme
4  When Lights Are Low

エリック・ドルフィもまたジャズ全盛期に生まれた天才の一人だと思っています。
たった36歳で亡くなったのにこれだけの実績を残しているのは凄いとしか言いようがありません。
ドルフィを最初に意識したのはチャールス・ミンガス(b)のビック・バンドに入ってからでした。
その前には映画の「真夏の夜のジャズ」にチコ・ハミルトン(ds)・コンボの一員として出てたのを見ています。
ドルフィは「馬のいななき」と呼ばれたユニークなアドリブ・フレージングを持っていました。
でも根っこは伝統的なスタイルにも精通していてどんな演奏でも出来たインテリ・ジャズ・マンでもありました。
ドルフィは伝統的なジャズから先進的なジャズに変化していく姿を私たちに見せてくれた。
そういう意味ではジョン・コルトレーン(ts)とドルフィが双璧じゃないかと思っています。

フリー・ジャズ系のサックス奏者に与えた影響が大きい重要なジャズ・メンは誰でしょうね。
*セロニアス・モンク(p)〜ジョン・コルトレーン(ts)
*チャールス・ミンガス(b)〜エリック・ドルフィ(as)
*レニー・トリスターノ(p)〜リー・コニッツ(as)
ということになるかな。

さて今作は1961年のスウェーデンにおけるライブ盤でドルフィが全盛期のものです。
全7曲は全てスタンダードですがドルフィの斬新なソロはテーマ以外は原曲のかけらもありません。
ここでもドルフィの「馬のいななき」ソロが満喫できます。
フリー・ジャズは一般的に演奏が長いのでそれが私にとっての「玉に瑕」になっています。
私は長過ぎると飽きてしまうんですよ。
ドルフィはまたマルチ・プレイヤーとしても知られていてフルートの名手でもあります。
当時はまったく珍しかったバス・クラリネットをジャズのソロ楽器として持ち込んだのもドルフィです。

ピアノは若き日のロニー・ヨハンソンですがこの演奏がヨハンソンの勲章になっています。
ヨハンソン紹介時には必ず「あのドルフィと共演した実績がある」と言われるんです。
ヨハンソンに与えた影響はいかなるものか・・・ヨハンソンにとっては一生の財産でしょうね。

(まじめ系)

2018/10/14



(981) MAL WALDRON & STEVE LACY SUPER QUARTET / LIVE AT SWEET BASIL
mal waldron(p), steve lacy(ss), reggie workman(b), eddie moore(ds)
1987/Padole wheel/

1  What It Is
2  Evidence
3  Snake Out
4  Let's Call This

マル・ウォルドロン(p)とスティーヴ・レイシー(ss)の共演盤は何枚かあると思います。
マルもまた誰にも似ていないユニークなピアニストで独特のテンポとタッチを持っています。
やはりエリック・ドルフィー(as,fl)との共演盤が印象的で一度聴いたら忘れることが出来ません。
* Mal Waldron Quintet / The Quest (1961)
* Eric Dolphy Quintet / At The Five Spot (1961)
レイシーはソプラノ・サックス一本に絞ってフリー・ジャズに走ったモンク信奉者の一人です。
フリーの世界ではよく知られたプレイヤーだと思います。
今作は1987年のライブ盤で一発勝負の緊張感に溢れた演奏が聴けました。

全4曲はマル自身のオリジナルが2曲とセロニアス・モンクが2曲の構成です。
全編にわたってマルとレイシーの世界が広がっていて、共演のレジー・ワークマン(b)も聴きどころになりました。
マルのピアノは本当に気持が良くてずっとその音に浸っていたいと思ってしまう。
マルは50年代には実験的な演奏にアプローチしていたこともありました。
そんなこともあってフリー系ジャズ・メンから好まれるピアニストなんでしょうね。
でも心底には確固とした伝統的なスタイルを持っている。
先進的でありながら伝統的・・・同じようなタイプのピアニストにマッコイ・タイナーやジョン・ヒックスがいます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/10/07



(980) ANDREW HILL TRIO / INVITATION
andrew hill(p), chris white(b), art lewis(ds)
1974/SteepleChase/

1  Catfish
2  Lost No More
3  Morning Flower
4  Invitation
5  Laverne
6  Little John
7  Catfish take 3

フリー系ピアノ・トリオの3枚目はアンドリュー・ヒル(p)になりました。
ヒルはブルー・ノートのアルフレッド・ライオンに見出されました。
ブルー・ノートに8枚ほどの正規盤があるけどやはり4100番台の4枚にインパクトがありました。
*Black Fire(BN4151)/*Judgment(BN4159/*Smoke Stack(BN4160)/*Point Of Departure(BN4167)
ジョー・ヘンダーソン(ts)、ボビー・ハッチャーソン(vib)、リチャード・デイヴィス(b)などとの共演が多かった。
セシル・テイラー(p)とはお互いに影響され合ったのではないかと思っています。

アンドリュー・ヒルは知名度が高いのに寡作です。
ヒルは流行に惑わされない、大衆に迎合しない孤高のピアニストの一人です。
私にとってとらえどころがないピアニストで何とも悩ましい存在でした。
「こう思えばああくる、ああ思えばこうくる」・・・常に予想外な存在です。
わが道を行くヒルの作品はどれも軽く聞き流すってわけにはいきません。
今作はヒルのデンマークの「Steeplechase」・レーベル第一弾で珍しいトリオ作品になっています。

全7曲は自身のオリジナル5曲とスタンダード1曲の構成で(1)と(7)は同名曲のテイク違いです。
ヒルのフリートーンを含む力強いタッチと流れるようなピアノ音のマッチングは実に心地良かった。
(4)「Invitation」を聴けばヒルがいかに創造力に富むピアニストであるかが一目瞭然です。
その他にも聴きどころが満載だった。
なんと刺激的で魅力的なフレージングなんだろうか。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/09/30



(979) PAUL BLEY TRIO / THE NEARNESS OF YOU
paul bley(p), ron mcclure(b), billy hart(ds)
1989/SteepleChase/

1  This Can't Be Love
2  The Nearness Of You
3  What A Difference A Day Made
4  These Foolish Things*
5  Blues In The Closet*
6  Lullaby Of Birdland
7  W'll Be Together Again
8  Take The A-Train

ポール・ブレイ(p)のピアノ・トリオによるスタンダード作品集です。
メンバーはロン・マクルーア(b)とビリー・ハート(ds)です。
フリー系ピアニストとしてはミシャ・メンゲルベルクに続いて2人目になります。
ポール・ブレイのキャッチフレーズは「空間で語るピアニスト」です。
空間にポツンポツンと雨音が落ちるような美しいピアノ音は耽美的な味わいに満ち溢れています。
時には空間をかき回すような激しさもあるけど・・・。
ヨーロッパ、特に北欧の静謐なピアニストに与えた影響は大きいと思っています。

全8曲は全てスタンダードで占められておりオリジナルが多いブレイにしては異色の作品です。
やはり表題曲になった(2)「The Nearness Of You」が素晴らしい・・・13分の長丁場です。
ヴォーカルナンバーとして知られる(3)「What A Difference A Day Made」は意外な解釈で驚かされました。
ちなみに(4)「These Foolish Things」」と(5)「Blues In The Closet」はCD化により追加されました。
マクルーアの沈み込むベース・プレイやハートの安定感十分のドラミングも聴きどころになりました。
ブレイのスタンダード演奏が堪能できるアルバムでお勧めです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/09/23



(978) PHAROAH SANDERS QUARTET / AFRICA
pharosh sanders(ts),
john hicks(p), curtis lundy(b), idris muhammed(ds)
1987/Timeless/

1  You've Got To Have Freedom
2  Naima
3  Origin
4  Speak Low
5  After The Morning
6  Africa
7  Heart To Heart
8  Duo

ファラオ・サンダース(ts)は最も身近でジョン・コルトレーン(ts)を見ていました。
コルトレーンの音楽に対する真摯な姿勢を見てきたはずです。
最近ファラオを聴く機会も多いですがことテナー・サックスの演奏技術においては最右翼だと思います。
コルトレーンは妥協を許さなかったプレイヤーだったけど音に関してもそうだった。
パワフルかつエネルギッシュながら低音から高音へのスムーズなフレージングは他の追随を許しません。
ファラオはそれを受け継ぐコルトレーンの真の後継者かもしれません。
自由な音楽のジャズを突き詰めればフリーに行きつくのは自然の理です。
でもどこまでもフリーと行かないのもまた事実です。
だからフリー・ジャズ・メンの多くはまた先祖帰りをしてくる・・・温故知新ですね。
ファラオも例外ではなく80年代に入るとバラード奏法に新境地を求めるようになりました。
今作はそんなファラオの80年代の代表作になっています。

全8曲は自身のオリジナル5曲とヒックスが1曲とコルトレーンが1曲、スタンダードが1曲です。
コルトレーンの「Naima」が入ったのはファラオの思い入れでしょうね。
メンバーがまた完璧でジョン・ヒックス(p)、カーテス・ランディ(b)、アイドリス・ムハマッド(ds)です。
先進的でありながら伝統的なニュアンスを持つプレイヤーたちです。
1曲目が流れるといきなりファラオのフリートーンの咆哮が鳴り響く。
続いてヒックスのマッコイ・タイナー(p)ばりのパーカッシブなピアノが鳴り渡る。
強烈なランディのウォーキング・ベースとムハマッドのドラムスの疾走感が凄い。
「You've Got To Have Freedom」・・・ここで誰もが引き込まれてしまうと思います。
ただ1曲のスタンダード(4)「Speak Low」がまた素晴らしいです。
惚れ惚れとするテナー・サックスの響きはファラオのテナー奏者としての実力を知らしめるものです。

1980年代ジャズにおける歴史的名盤の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/09/16



(977) GARY BARTZ QUARTET / LIVE @ THE JAZZ ATANDARD
gary bartz(as),
barney mcall(p), kenny davis(b), greg bandy(ds)
1999/Oyo/

1  Intro
2  Uranus
3  Eastern Blues
4  But Not For Me
5  Day Dream
6  Soulstice
7  Closing

ゲイリー・バーツ(as)は1940年生まれ、現在77歳ですが元気に頑張っています。
バーツはマッコイ・タイナー(p)との共演で知られるようになりました。
ジャズ・メッセンジャーズに在団し、マイルスとの共演盤もあるけれどほとんど記憶に残っていません。
チャーリー・パーカー〜ジャッキー・マクリーン、エリック・ドルフィー、オーネット・コールマン〜バーツの流れがあります。
またアルト・サックスながらジョン・コルトレーン(ts)の影響が大きいのも明白です。
バーツは現代のアルト奏者に与えた影響は大きくジャズ・アルト界の重要な位置を占めていると思います。

近年はすっかり大人しくなりましたがこの頃の演奏ではまだ鋭さが残っています。
ゲイリー・バーツ・カルテットのニューヨークのライブハウス:「The Jazz Standard」でのライブ盤です。
全5曲は自身のオリジナル2曲とその他3曲の構成です。
バーツの場合、バラードよりもグイグイと突っ走るアップ・テンポの曲に魅力を感じています。
表題曲になった自作の(6)「Soulstice」がベスト・トラックになりました。
エネルギッシュかつ鋭い突っ込みに観客も大興奮なのが伝わってきます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/09/09



(976) MISHA MENGELBERG TRIO / WHO'S BRIDGE
misha mengelberg(p), brad jones(b), joey baron(ds)
1994Rec/Avant/

1  Rollo U.
2  A Bit Nervous
3  Rumbone
4  Romantic Jump Of Hares
5  Gare Guillemans
6  Crocodile Tear
7  Rollo V
8  Peer's Counting Song
 9  Elevater V
10   Who's Bridge
 11  Almost,Almost

ミシャ・メンゲルベルク(p)は1935年生まれ、2017年81歳で亡くなっています。
ミシャはオランダのジャズ・ピアニストでヨーロッパ・フリー・ジャズの雄です。
エリック・ドルフィー(as,fl,bcl)の「ラスト・デイト」(1964年)への参加で知られるようになりました。
またミシャは日本が誇るフリー・ジャズ・ドラマーの豊住芳三郎さんとの共演も多かった。

最近ちょっとフリー・ジャズ系に興味が向いています。
でも聴きたいのは60年代のギンギンのフリー・ジャズじゃありません。
70年以降の伝統に根ざした聴き易いフリー系のジャズです。
予測が出来ないフレージングのちょっと違った音が聴きたくなりました。
つまり今の私の心境は王道を行きながらちょっと外れてみたいというところかな。

フリー・ジャズ・ピアニストの流れはどうなっているのか?
セロニアス・モンク〜セシル・テイラーはフリー・ジャズ・ピアノ史上の鉄板の流れです。
その後に続くのがアンドリュー・ヒル、ポール・ブレイ、山下洋輔というジャズ・ピアニスト達。
ここのミシャ・メンゲルベルクも当然この中に入ってきますね。
続いてカーラ・ブレイや菊池雅章らがいると思うけど、その後はよく分かりません。

さて今作はミシャがニューヨークに乗り込んで録音した異色作です。
全11曲は全て自身のオリジナルです。
時折フリー・トーンを交えての演奏は十分に刺激的でした。
ちょうどいい案配の外れ具合でスイング感もある。
今の私の心境にはピッタリのアルバムでした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/09/02



(975) CLIFFORD JORDAN QUARTET / THE HIGHEST MOUNTAIN
clifford jordan(ts,fl),
cedar walton(p), sam jones(b), billy higgins(ds)
1975Rec/SteepleChase/

1  Bearcat.
2  Seven minds
3  Impressions Of Scandinavia
4  Scorpio*
5  Firm Roots*
6  The Mouse On Maple Street
7  Miss Morgan
8  The Highest Mountain

クリフォード・ジョーダン(ts)は1931年生まれ、1993年61歳で亡くなっています。
ジョーダンは何といってもブルーノート1500番台の3枚が光ります。
でも地味な性格なのか、押し出しもきかないのでスターダムには乗れなかった。
今作は1970年代ジャズ名盤の一枚だと思います。
やや大人しめの感があるジョーダンの代表作にもなりました。
特にバックのシダー・ウォルトン・トリオが素晴らしくて、これほどのリズムセクションは中々聴けません。
ウォルトン絶好調、サム・ジョーンズ絶好調、ビリー・ヒギンズ絶好調なんです。

全8曲は自身のオリジナル3曲、サム・ジョーンズ3曲、シダー・ウォルトン2曲の構成です。
なお(4)、(5)の2曲はCD化により追加されました。
特に(5)「Firm Roots」はウォルトンのバップの名曲なのでこれが聴けたのは嬉しかった。
LPではなぜボツにされたのか、その理由がよく分かりませんが・・・。
これが入ると実質的なリーダーがウォルトンだと思われてしまうからかも。
それほどにシダー・ウォルトンの切れ味が強烈です。
簡単にいえばウォルトン・トリオに触発されてジョーダンが頑張っている作品です。
ジョーダンのフルートは(7)「Miss Morgan」で聴けました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/08/26



(974) JJ JOHNSON QUINTET / STANDARDS
jj johnsontb), ralph moore(ts,ss),
stanley cowell(p), rufus reid(b), victor lewis(ds)
1988/Emarcy/

1  See See Rider.
2  Shortcake
3  Sweet Georgia Gillespie
4  My Funny Valentine
5  Just Friends
6  Misterioso
7  You Stepped Out Of A Dream
8   Misty
9  Autumn Leaves
10   What Is This Thing Called Love

最近ちょっとトロンボーンが気になっている。
トロンボーンならJJ・ジョンソンなんだけど後期JJ]を聴いてみたくなりました。
今作はJJが64歳時の録音でN.Yヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤です。
2管フロントの共演者はラルフ・ムーア(sax)です。
ムーアは1980年〜90年代によく名前を見たけれど2000年代には表舞台から姿を消しました。
理由は分かりません。
バックにはスタンリー・カウエル(p)、ルーファス・リード(b)、ヴィクター・ルイス(ds)が名前を連ねています。
この時JJは10年ほどブランクがあったようで帯中には10年振りのステージ復帰とありました。

全10曲は題名にもなった通りJJのオリジナル2曲(2)と(3)を含むスタンダードが中心です。
JJはやさしく柔らかくなっています。
力強さや鋭さには欠けるけれどフレージングの滑らかさはさすがでJJ健在を感じさせるものでした。
JJのバップの名曲(2)「Shortcake」は懐かしく聴きました・・・まさにウルウルものですよ。
(4)「My Funny Valentine」、(5)「Just Friends」、(8)「Misty」、(9)「Autumn Leaves」のバラードが聴きどころです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)


このライブではもう一枚↓のアルバムが出ています。
こちらは全12曲でJJのオリジナル6曲を含むモダン・ジャズの名曲を集めています。

JJ JOHNSON QUINTET / QUINTERGY


2018/08/19



(973) BENNY GOLSON & CURTIS FULLER QUINTET + 2 / LEGEND OF JAZZ CLUB
benny golson(ts), curtis fuller(tb),
benny green(p), dwayne burno(b), joe farnsworth(ds),
jimmy mcgriff(org), wayne boyd(g)
1999/M&I/

1  South Street Jam
 My Funny Valentine
 Cherokee
 4  Five Spot After Dark
 5  Ornithology
 Lady Bird
 7  These Foolish Things
 8  Confirmation

ベニー・ゴルソン(ts)とカーティス・フラー(tb)の名コンビ・・・何をいまさらという気がないでもなかった。
でもトロンボーンはちょっと聴いてみたいと思いました。
ゴルソンとフラー・・・1960年前後の二人のコンビネーションは抜群でした。
フラーの不朽の名盤「ブルース・エット」はこの頃の代表作です。

全8曲はゴルソンのオリジナル2曲とその他6曲の構成です。
二人の共演ということになるとやっぱり外せないんだろうね。・・・「Five Spot After Dark」
(2)「My Funny Valentine」や(7)「These Foolish Things」のバラードが良かった。
ゴルソン独特のくねくねテナーとぼわんとしたフラーのトロンボーンは健在です。
ゆったりのんびりと聴きたいアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2018/08/12




(972) RICK MARGITZA QUARTET / THIS IS NEW
rick margitza(ts),
joey calderazzo(p), robert hurst(b), jeff "tain" watts(ds),
tim hagans(tp)(5)
1991/EMI/

1  This Is New
 On Green Dolphin Street
 Body & Soul
 4  Just In Time
 5  Beware Of The Dog
 Invitation
 7  Everything Happens To Me
 8  When Will The Blues Leave ?
 9  Gypsies

リック・マルギッツァ(ts)の1991年作品です。
未紹介でしたがこの数年はCDプレイヤーのトレイに乗ることが多くて聴き続けています。
なぜなら有名スタンダードを新しい感覚で聴かせてくれるアルバムだからです。
「 On Green Dolphin Street 」、「Body & Soul 」、「Just In Time」、「 Invitation 」、「Everything Happens To Me」など。
ジョーイ・カルデラッツオ(p)、ジェフ・ワッツ(ds)、ロバート・ハースト(b)に乗ってマルギッツァのテナーが炸裂します。
それぞれが鋭く切り込んでくるので十分に刺激的です。
今作には「スタンダード・ニュー」の副題も付いています。

全9曲は自身のオリジナル1曲とその他8曲の構成です。
オーネット・コールマン(as)の(8)「When Will The Blues Leave ? 」は新味かな。
オーネットもすでにスタンダード化しています。
オリジナルの(9)「Gypsies」はマルギッツァのルーツになるもので独特のリズム感はここからきています。
おじいさんがハンガリー・ジプシーのバイオリン奏者だったそうです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/08/05




(971) TEDDY EDWARDS QUARTET & QUINTET / LADIES MAN
teddy edwards(ts), eddie allen(tp)(1,5,7,8),
ronnie mathews(p), chip jackson(b), chip white(ds)
2001/HighNote/

1  Jeannine (D.Pearson)
 Rosetta (E.Hines)
 Ruby (M.Parish)
 4  Candy (M.David)
 5  Saskia (T.Edwards)
 Diane (L.Pollack)
 7  Donna Lee (C.Parker)
 8  Marie (I.Berlin)
 9  Laura (J.Mercer)
 10  Rosalie (C.Poter)

テディ・エドワーズ(ts)の懐かしい名前を見たので手が伸びました。
テディ・エドワーズはウエスト・コースト・ジャズ・シーンのテナー奏者としては知名度が高いと思います。
ハワード・マギー(tp)との「Together Again」(1961)の名盤があります。
バックのトリオがフィニアス・ニューボーン(p)、レイ・ブラウン(b)、エド・シグペン(ds)という垂涎もののメンバーです。

さて今作の全10曲は「女性の名前」にちなんだものです。
作曲者が当時の恋人に贈ったものでしょうね。
当然ながらやさしくて美しいメロディ・ラインを持った曲が多いです。
この手の企画はいかにもという安易な感じがするけど意外に「ありそうでない」ような気がします。
けっこう面白かったです。
テディの音色はソフトで明るくあっさりタイプ・・・くどくないのでこういう曲想にはピッタリだと思いました。
恋愛にしつこいのは嫌われる・・・多分・・・。

デューク・ピアソンの(1)「Jeannine」は2管のユニゾンと絡みがカッコイイ、さすがにピアソンです。
最も有名なのは(4)「Candy」になるかな、ちなみにテディの恋人名は「Saskia」なんだね。
チャーリー・パーカー(as)の(7)「Donna Lee」はマイルス・ディビス(tp)が俺の曲だと言ってます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2018/07/29




(970) BUCK HILL QUARTET / IMPULSE
buck hill(ts,cl),
jon ozmont(p), carroll dashiell(b), warren schadd(ds)
1995/Muse/

1  Blues In The Closet.
 You Taught My Heart To Sing
 Random Walk
 4  Impulse
 5  In A Sentimental Mood
 Sweet Georgia Brown
 7  Solitude
 8  Ottowa Bash
 9  How Do You Keep The Music Playing
 10  Now's The Time

バック・ヒル(ts)はワシントン出身で典型的なローカル・ミュージシャンの一人です。
実力があっても中央ではほぼ無名で初リーダー作も50歳を過ぎてからになりました。
それも郵便配達員の仕事をしながらのプロ活動ということで面白い経歴の持ち主です。
しごく堅実な性格で地味な人柄だと思います。
それこそどこにでも居るような人にテナーを持たせたら凄かったというのは感動ものです。

全10曲は自身のオリジナル3曲とその他7曲の構成です。
初め私はヒルのクラリネット演奏に注目しました。
(5)、(7)、(10)の3曲で聴けました。
最初に「In A Sentimental Mood」を聴く。
ちょっと線は細いですがとてもやさしい音色で彼の人柄が出ています。
テナー・サックスももちろんいいですよ。
マッコイ・タイナーの名曲、バラードの(2)「You Taught My Heart To Sing」が絶品です。
エリントンの(7)「Solitude」やヒルのラテン・リズムの(8)「Ottowa Bash」の絶妙なノリにも痺れました。
まさに隠れた名手だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2018/07/22




(969) STANLEY TURRENTINE / SALT SONG
stanley turrentine(ts),
eumir deodato(key), horace parlan(key), richard tee(key),
eric gale(g), sivuca(g), hubert laws(fl), ron carter(b),
billy cobham(ds), airto moreira(ds,per), dom um romao(per)
1971/CTI/

1  Gibraltar.
2  I Told Jesus
3  Salt Song
4  I Haven't Got Anything Better To Do
5  Storm
6  Vera Cruz *

スタンリー・タレンティン(ts)のCTI作品の一枚です。
表題曲の(3)「Solt Song」はブラジルのミルトン・ナシメントの作品です。
大ヒットした「シュガー」(CTI/1970)のアンサーソング的な企画で「柳の下のどじょう」を狙ったものだと思います。
私はフュージョンもよく聴いていたので懐かしい名前が並んでいたのも嬉しいです。
エミール・デオダート(key,arr)、リチャード・ティー(key)、エリック・ゲイル(g)、ビリー・コブハム(ds)、アイアート・モレイア(per)など。
その他シブーカ(g)、ヒューバート・ロウズ(fl)、ホレス・パーラン(p)、ロン・カーター(b)の名前もあります。

全6曲の6曲目「Vera Cruz」はCD化で新たに加えられたものです。
フレディ・ハバード(tp)の名曲(1)「Gibraltal」はタレンティンの愛奏曲でもありました。
バラードの(4)「I Haven't Got Anything Better To Do」が心に沁みます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2018/07/15



(968) CARLOS GARNETT QUINTET & OCTET / MOON SHADOW
carlos garnett(ts),
carlton holmes(p), george mitchell(b), shingo okudaira(ds), neil clarke(per),
al flythe(ts)(2,4,5,7), derick gardner(tp)(2,3,4,5,7,8), robert trowers(tb)(2,4,5,7,8)
2001/Savant/

1  Moon Shadow.
2  Giant Steps
3  Delilah
4  Manha De Carnaval
5  McCoy Next Block
6  The Shadow of Your Smile
7  My Favorite Things
8  Salsa Blues
9  Softly As In A Morning Sunrise

カルロス・ガーネット(ts)の2001年作品です。
これがあまりに良くてガツンときてしまいました。
カルロス・ガーネットは後期マイルス・デイヴィス・グループに在団したテナー奏者です。
典型的なコルトレーン奏法だけど音色が柔らかいので聴き易いです。
そしてここには十代で頭角を現し日本の天才ドラマーと言われた奥平真吾さんが参加しています
奥平さんのドラミングにも注目です。

このところはずっとサックスやトランペットのワン・ホーン・アルバムを聴くことが多かったです。
だから2管、3管のジャズが新鮮に感じました。
クインテットやセクステットの2管、3管コンボの魅力は何でしょうか?
私にとっては演奏、曲目、アレンジが大事でアンサンブルやハーモニーのコンビネーションも良くないといけません。
そして今作はそれが全て良かったので私の琴線に触れました。
特に曲目には聴きたいと思わせる魅力的な名曲が並んでいて全部が聴きどころになりました。
(7)「My Favorite Things」はコルトレーンそのもので微笑ましい限りです。
聴くまではそれほど期待してなかったので、なおさらガツンときてしまいました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/07/08



(967) GIANNI BASSO & RENATO SELLANI DUO / BODY AND SOUL
gianni basso(ts), renato sellani(p)
2008/Venus/

1  Body And Sou.
2  La Mer
3  Star Dust
4  Ma L' Amore No
5  Deep Purple
6  Pennie From Heaven
7  My Foolish Heart
8   I Should Care
9  Watch What Happens
10   Miss Bo
 11  Solamente Una Vez
12  I Love You

イタリア・ジャズ界の両巨頭、テナー奏者のジャンニ・バッソとピアニストのレナト・セラニとのデュオです。
最近好んで聴くのはテナー・サックスのアルバムが多くなりました。
テナー・サックスは私が一番好きな楽器だから。
特にベテランの晩年の演奏に好きな作品が多いです。
激動の時代をくぐり抜けて年輪を加えてようやく落ち着いた演奏が聴けるからです。
シブく深い味わいはベテランならではのものです。
私は90年代以降の熟年〜老年になったジャズ・メンの演奏を聴くのが好きだなぁ〜。

全12曲はバッソのオリジナル1曲除いて残り11曲のスタンダード作品集。
バッソとセラニのデュオなら悪かろうはすがありません。
味わい深い演奏が聴けました。
ゴツゴツ感のあるバッソのテナーと流麗なセラニのピアノの絡みがたまりません。
特にルグランの名曲(9)「Watch What Happens」〜バッソのオリジナル(10)「Miss Bo」の流れが良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/07/01



(966) JOEY DEFRANCESCO TRIO / THE CHAMP
joey defrancesco(org), randy johnston(g), billy hart(ds)
1999/HighNote/

1  The Champ.
2  Mack The Knife
3  When Johnnie Comes Marchin' Home
4  Lover Man Oh Where Can You Be
5  Organ Grinder's Swing
6  OGD (Rord Song)
7  The Preacher
8  Walk On The Wild
9  The Cat

ジョーイ・デフランチェスコのオルガン・トリオ作品です。
今週も先人のトリビュート盤になりました。
先々週、先週はマッコイ・タイナー(p)、キャンボール・アダレイ(as)ときて今回はジミー・スミス(org)です。

モダン・ジャズにおけるオルガン奏者と言えばジミー・スミスが第一人者なるのは間違いありませんね。
現代のオルガン奏者のナンバー・ワンのジョーイ・デフランチェスコもジミーの信奉者の一人です。
今作はそのジミー・スミスの愛奏曲を集めた一枚で楽しめました。
(9)「The Cat」と(5)「Organ Grinder's Swing」は大ヒット曲、ウエス・モンゴメリー(g)の名曲(6)「Road Song」も聴けます。
どれもジミーのアルバムで馴染みのある曲ばかりなので安心して聴ける作品に仕上がっています。
ランディ・ジョンストンのギターとビリー・ハートのドラムスもシブいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/06/24



(965) SCOTT HAMILTON QUARTET / AFTER HOURS
scott hamilton(ts),
tommy flanagan(p), bob cranshaw(b), lewis nash(ds)
1997/Concord/

1  Beyond The Bluebird.
2  Woody N' You
3  Blues In My Heart
4  Bye Bye Blues
5  What's New
6  You're Not The Kind
7  Black Velvet
8  How Am I To Know
9  Some Other Spring
 10  Steeplechase

スコット・ハミルトン(ts)の1997年のコンコード盤です。
私も90年代のコンコード盤に魅力を感じている一人です。
この頃のハミルトンは一つのピークを迎えていたと思います。

ここはトミー・フラナガン(p)の参加が一番の聴きどころです。
フラナガン参加に名盤が多いのはなぜか?
フラナガンはしなやかで温かくスイング感に溢れた演奏スタイルを持っている。
アルバム・リーダーを際立たせる絶妙なバランス感覚を発揮している。
しかしながらサイドマンに徹しているかと思えば個性が消えているわけでもない。
いつでもその存在感は輝いている。

(1)「Biyond The Bluebird」はフラナガンの有名曲、その他は全てスタンダードです。
以前ハミルトンは譜面が苦手だと聴いたことがある。
その代わり耳の良さは抜群で一度聴いただけで覚えてしまうとのことだった。
たしかにこれだけの多作家でありながら私はハミルトンのオリジナルを聴いたことがありません。
全編にわたってハミルトンとフラナガンが絶好調で抜群のコンビネーションが素晴らしいです。
「After Hours」のリラックスした雰囲気には珠玉の名演が詰まっていました。
スコット・ハミルトンとトミー・フラナガンの最高の演奏が聴けます。
特に(5)「What's New」は絶品のひと言です。
ハミルトンの代表作の一枚に上げてもいいと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/06/17



(964) SUMIKO YOSEYAMA & MAL WALDRON / DUO
与世山澄子(vo) / Mal Waldron(p)
1985/Toshiba EMI/


1  Enbraceable You.
2  What A Little Moonlight Can Do
3  I Didn't Know What Time It Was
4  Body And Soul
5  Good Morning Heartache
6  I Remember Clifford
7  Nice Work If You Can Get It
8  You'de Be So Nice To Come Home to
9  Teach Me Tonight
 10  Come In From The Rain
 11  Summertime


先日行ったCDショップで見つけました。
沖縄のジャズ・ヴォーカリストの与世山澄子さんです。
根っこはビリー・ホリディだけど沖縄の深い香りがあって情念のヴォーカリストです。
表現力が素晴らしくて、ぐ〜っとその世界に引き込まれてしまいます。
マル・ウォルドロン(p)とは2枚あるのかな、その中の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)

ちなみに↓の作品は2009年の「私のベスト3」に上げた一枚です。
衝撃的なアルバムでガツンときてしまった。

* SUMIKO YOSEYAMA / INTERLUDE (2005/Tuff Beats)


2018/06/10



(963) JUNIOR COOK QUARTET / MOMENT TO MOMENT
junior cook(ts),
mickey tucker(p), cecil mcbee(b), leroy williams(ds)
junior booth(b)(2,3)
1977Rec/M&I/


1  Sweet Lotus Lips.
2  The Crucifier
3  The 8th Cat
4  Not Quite That
5  Yardbird Suite
6  Moment To Moment Part1
7  Moment To Moment Part2


ジュニア・クック(ts)の1977年の作品です。
久々にCDショップの中古盤コーナーを見ていて見つけました。
「オオ、ラッキー」・・・こういうことがあるから中古盤漁りは止められません。

クックが名前を知られるようになったのはホレス・シルバー(p)・クインテットに入ってからです。
フロント2管の相手はブルー・ミッチェル(tp)で約5年間シルバー・グループに在団しました。
その間出したリーダー作はたった1枚だけです。

* JUNIOR COOK QUINTET / JUNIOR'S COOKIN' (1961/Jazzland)

まぁね、キャリアのわりにこれほどの寡作家はいませんね。
超控え目なクックの人柄が表れていて好ましい限りです。
過小評価の最たるテナー・サックス奏者がジュニア・クックだと思います。


ジュニア・クックは90年代になってから再評価したテナー・サックス奏者です。
その作品がこれです。

*JUNIOR COOK QUARTET / ON A MISTY NIGHT (1990/SteepleChase)

驚いたのなんのって・・・もうぶっ飛んでしまいました。
「ジュニア・クックってこんなにモダンでスマートだったっけ」というのがその時の正直な感想です。
良くも悪くもシルバー・クインテットはシルバーのワンマン・バンドでクックの個性は埋もれてしまった。
クックもまた「他人のバンドでやる方が気が楽だった」と言うからどうしょうもありません。

さて今作はクックの2枚目のリーダー作で1枚目からは実に15年以上も空いています。
盟友ミッキー・タッカー(p)のオリジナルが2曲とその他4曲の構成です。
ここでのクックを聴いてみても実にモダンでモーダルな演奏を聴かせてくれています。
クックが単なるハードバッパーでないことは一目瞭然です。
ジョン・コルトレーン〜ウェイン・ショーター・ジュニア・クック〜ジョー・ヘンダーソンのラインもあったかと思います。
事実、クックの次にシルバー・クインテットに加わったのはジョー・ヘンダーソンだった。
クックの上手さが際立つのがチャーリー・パーカー(as)の(5)「Yardbird Suite」です。
パーカーは難曲なのでアルト奏者以外は取り上げることが少ないですがクックは難なくこなしています。
ヘンリー・マンシーニの表題曲(6)「Moment To Moment」もコルトレーン張りの演奏に痺れました。
ジュニア・クックは凄いです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(中間系)


2018/06/03



(962) GRANT STEWART QUINTET / TENER AND SOUL
grant stewart(ts), joe cohn(g),
ehud asherie(p), joel farbes(b), phil stewart(ds)
ryan kisor(tp)(4,8)
2005/Vdeoarts/


1  Hush A Bye.
2  Willow Weep For Me
3  Old Devil Moon
4  Alacant
5  On Green Dolphin Street
6  Tijuana Gift Shop
7  Quiet Sip
8  Dr.Bob's Nightmare


グラント・スチュワート(ts)の2005年の作品です。
先週のライアン・カイザー(tp)盤と同時期に吹き込まれたものでしょうね。
2曲にそのカイザーがゲスト出演しています。

スチュワートについてはあまり意識していませんでした。
でも収集対象にあるエリック・アレキサンダー(ts)との「Reeds And Deeds」やライアン・カイザー盤で馴染みがあります。
私自身が思っていたよりも聴いていて今作が5枚目のリーダー・アルバムの購入になりました。
「え〜、そんなにあったのか〜」という感じです。

全8曲は自身のオリジナル2曲とその他6曲の構成です。
その他ではチャーリー・ミンガス(b)の(6)「Tijuana Gift Shop」とサド・ジョーンズ(tp)の(7)「Quiet Sip」が新味か。
残りの4曲は超有名なスタンダード・ナンバーなので安心感がありました。
ジョー・コーン(g)とのコンビネーションが抜群で全編にわたってスチュワートが大らかに堂々と歌っています。
ちなみにジョー・コーンはアル・コーン(ts)の息子でハリー・アレン(ts)との双頭コンボでも知られていますね。
エリック・アレキサンダーがジョン・コルトレーン(ts)ならグラント・スチュワートはソニー・ロリンズ(ts)が出自です。
さらに二人共にデクスター・ゴードン(ts)の影響を強く感じます。
今作が良かったのでもう少し意識してスチュワートを聴いてみようかと思っています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(中間系)


2018/05/27



(961) RYAN KISOR QUINTET / THIS IS RYAN
ryan kisor(tp), grant stewart(ts),
peter zak(p), john webber(b), jason brown(ds)
2005/Vdeoarts/


1  Waiting For Brown.
2  You And The Night And The Music
3  Una Mas
4  Maiden Line
5  Dirty Ernie
6  Art Deco
7  Con Alma
8  Solitaire


ライアン・カイザー(tp)は収集対象なので見つけると少しづつ集めています。
これで16枚目になりました。
今作は2005年録音の日本制作盤でカイザーのレギュラー・クインテットの作品です。
切れ味鋭いカイザーのトランペットと茫洋としたグラント・スチュワートのテナー・サックスの絡みが聴きどころになります。

全8曲は自身のオリジナル4曲とその他4曲の構成です。
今作は先輩トランぺッター達へのオマージュにもなっているようですね。
(3)「Una Mas」はケニー・ドーハム、(6)「Art Deco」はドン・チェリー、(7)「Con Alma」はディジー・ガレスピーの作品。
ここいら辺がカイザーの原点になっているということかな。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(中間系)


2018/05/20



(960) JIM ROTONDI QUINTET / JIM'S BOP
jim rotondi(tp), eric alexander(ts),
harold mabern(p), john webber(b), joe farnsworth(ds)
1997/Criss Cross/


1  King Of The Hill.
2  Last Call
3  El Patito
4  We'll Be Together Again
5  All Or Nothing All
6  Moonrays
7  You Are The Sunshine Of My Life
8  Jim's Bop


先週ジョー・マグナレリ(tp)を聴いたので似た感じのジム・ロトンディ(tp)も聴きたくなりました。
マグナレリが1960年生まれならロトンディは1962年生まれで年齢もほとんど変わりません。
ロトンディはエリック・アレキサンダー(ts)の盟友で「ワン・フォー・オール」の一員でもあります。
エリック大好きな私は聴く機会も数多くありました。

さて今作はロトンディが35歳時の録音です。
全8曲は自身やメンバーのオリジナル4曲とその他4曲の構成です。
共演のメンバーはそのまま当時の「エリック・アレキサンダー・カルテット」ですね。
エリックも30歳を迎えたばかりでフロント2管は若さに溢れ音色は切れ味鋭く勢いがあります。
ベテランのハロルド・メイバーン(p)はトリオでは情緒的に今ひとつですがこういった場面にはピッタリきます。
強力なタッチで共演者を煽りに煽っています。

演奏ではその他の4曲に注目しました。
(4)「We'll Be Together Again」はスロー・バラード、(5)「All Or Nothing All」はアップ・テンポで演奏されています。
ホレス・シルバー(p)の(6)「Moonrays」は名曲、スティービー・ワンダーの(7)「You Are The Sunshine Of My Life」も楽しかったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(中間系)


2018/05/13



(959) VON FREEMAN QUARTET / LIVE AT THE DAKOTA
von freeman(ts),
bobby peterson(p), terry burns(b), phil hey(ds)
1996Rec/Premonition Records/


1  Bye Bye Blackbird.
2  Crazy She Calls Me
3  My Little Brown Book
4  Caravan
5  Do Nothin' Till You Hear From Me
6  Footprints
7  Blues For Sunnyland


ヴォン・フリーマン(ts)の1996年のライブ盤です、
フリーマンはシカゴ・ジャズの大御所でチコ・フリーマン(ts)の父親としても知られています。
今作は73歳時の録音ですが元気な姿と演奏を聴かせてくれました。
フリーマンは2012年に88歳で亡くなっています。
共演者は多分シカゴのローカル・ミュージシャンだと思います・
知名度は低いけれど実力は確かでアメリカの底力を感じさせる一枚でもあります。

全7曲は自身のオリジナル1曲とスタンダード6曲の構成です。
新しいところではウェイン・ショーター(ts)の(6)「Footprints」を取り上げています。
それぞれが素晴らしい演奏なので聴き応えは十分です。
フリーマンの野太い音色と時折混じるフリー・トーンに圧倒されてしまいました。
バラードの(2)「Crazy She Calls Me」には心底痺れた。
ピアノのボビー・ピーターソンって何者なんだ?
この人がまた強烈な演奏を聴かせてくれました。

ちなみにこのCDは今年のオフ会に持って行きました。
エリントンの(4)「Caravan」をみんなに聴いてもらいました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(まじめ系)


2018/05/07



(958) SAM RIVERS QUINTET / CONTOURS
sam rivers(ts,ss,fl), freddie hubbard(tp),
herbie hancock(p), ron carter(b), joe chambers(ds)
1965Rec/Blue Note/


1  Point Of Many Returns.
2  Dance Of The Tripedal
3  Euterpe
4  Mellifluous Cacophony
5  Mellifluous Cacophony*


サム・リバース(ts)はブルー・ノートに4枚のリーダー・アルバムを残しています。
そのうちの1枚はピアノレスですが残り3枚では個性的な3人のピアニストと共演してくれています。
そのどれもが創造力に溢れ、刺激的で素晴らしかった。
1枚目はジャッキー・バイアードで3枚目はハル・ギャルパーでした。

さて、今作はリバースのブルー・ノートの2枚目のアルバムでピアニストはハービー・ハンコックです。
さらに当時の新進気鋭のトランぺッターだったフレディ・ハバードを迎い入れています。
どれだけブルー・ノートに気合が入っていたかが分かる一枚です。
ここでの最大の聴きどころはやはりハンコックで身震いするほど素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
凄いと思う・・・まるで抜身のような切れ味で近寄ったらそのまま切られそうな気がします。
ハバードも負けてはいない・・・高々と飛翔するかのようなトランペットが鋭く空気を切り裂きます。
ここはドラマーにも注目しました。
常識的にはトニー・ウィリアムスなんだけどそれではあんまり代わり映えしませんね。
それでプロデューサーのアルフレッド・ライオンはジョー・チェンバースを起用しました。
チェンバースのタイトなドラミングがどこかに飛んで行きそうになるメンバーを必死に引き留めています。

全4曲は全てリバースのオリジナルで(5)は別テイクが追加収録されました。
コンポーザーとしてのリバースの才能が溢れる作品になっています。
リバースのマルチ・プレイヤー(ts,ss,fl)振りも注目して下さい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(まじめ系)


2018/04/29



(957) GARY THOMAS QUINTET / SEVENTH QUADRANT
gary thomas(ts), paul bollenback(g),
renee rosnes(p), anthony cox(b), jeff watts(ds)
billy murphy(ds)(2)
1987/Enja/


1  Foresight, Preparetion And Subterfuge.
2  Tablet Of Destinies
3  No
4  First Sketches
5  Seventh Quadrant
6  Labyrinth
7  Chiaroscuro
8  The Eternal Present


ゲイリー・トーマスのサックスは独学とのことです。
だからこそ面白いのかも知れませんね。
1980年代は当時の先鋭だったブルックリン派(Mベース派)と目されていた逸材です。
私のイメージはちょっと違っていてその範疇にはくくれない孤高のプレイヤーの一人と思っていました。
トーマスはジャック・デジョネット(ds)の「スペシャル・エディション」に加入して名前を知られるようになりました。
その後一時期マイルス・デイビス(tp)のバンドにも参加しています。

さて今作はトーマスの1987年の作品で、デビュー作ながら最高傑作との評価が高いものです。
飛ばす飛ばす・・・ギンギンに熱い・・・重量級でエキサイティングな演奏を聴かせてくれました。
ポール・ボーレンバック(g)、リニー・ロスネス(p)、アンソニー・コックス(b)、ジェフ・ワッツ(ds)も若いです。
つくづく若さって素晴らしいと思う・・・全員がエネルギーに満ち溢れています。
そのパワーに圧倒される一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(まじめ系)


2018/04/22



(956) PHAROAH SANDERS QUARTET / CRESCENT WITH LOVE
pharoah sanders(ts),
william henderson(p), harles fambrough(b), sherman ferguson(ds)
1993/Venus/


1  Lonnie's Lament.
2  Softly For Shyla
3  Wise One
4  Naima
5  Crescent
6  After the Rain


ファラオ・サンダース(ts)は名実ともにジョン・コルトレーン(ts)の真の後継者だと思います。
ファラオのバラード・プレイは素晴らしくて今でも車のHDに入れて時々聴いています。

今作は「Ballads With Love」(1993)と対となるアルバムで前者がスタンダードならこちらはコルトレーンが中心です。
全6曲は1曲を除いてコルトレーンの作曲ですが文句なしの圧倒的な演奏が詰まっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


(中間系)


2018/04/15



(955) HAROLD MABERN TRIO / SOMEWHERE OVER THE RAINBOW
--Harold Plays Arlen--
harold mabern(p), dwayne burno(b), willie jonesV(ds)
2006/Venus/

1 Somewhere Over The Rainbow.
2 A Sleeping Bee
3 Blues In The Night
4 Out Of This World
5 Savanna
6 Hooray For Love
7 Stormy Weather
8 I've Got The World On A String
9 The Man That Got Away
10 This Time The Dream's On Me

ハロルド・メイバーン(p)もまた80歳を過ぎても現役で活躍するジャズ怪物の一人です。
パワフルかつ強靭なタッチの持ち主でスイング感溢れる演奏は元気がもらえるピアニストです。
やや情緒には欠けるけれど機関車の如く突っ走る奏法には魅力があります。
エリック・アレキサンダー(ts)の師匠格としても知られていますね。

全10曲は全てハロルド・アーレンの作品です。
今作はそこに惹かれました。


(中間系)

2018/04/08




(954) JAMIE CULLUM / CATCHING TALE
jamie cullum(vo,p,g),etc
2005/Universal/

1 Get Your Way.
2 London Skies
3 Photograph
4 I Only Have Eyes For You
5 Nothing I Do
6 Mind Trick
7 21st Century Kid
8 I'm Glad There Is You
9 Oh God
10 Catch The Sun
11 7 Days To Change Your Life
12 Our Day Will Come
13 Back To The Gound
14 My Yard
15 Mind Trick
16 Get Your Way
17 I'd Probably Do It Again
18 Trippin' Up

ジェイミー・カラム
イギリス出身の人気ヴォーカリストの2枚目のアルバムです。
オリジナルとジャズ・スタンダ-ドが程よくミックスされた構成です。
日本盤には(15)〜(18)までのボーナス・トラックが加わっています。
スタンダードの(4)「I Only Have Eyes For You」や(8)「I'm Glad There Is You」が新しい感覚で蘇ってきました。
野太い歌声と現代的なリズムは刺激的かつ魅力的で才能に溢れています。

(帯中よりの転載)
ジャンルも時代も超越する天性の直感が捕らえた、音楽の興奮と可能性。
映画「ブリジット・ジョーンズの日記、きれそうなわたしの12ヶ月」の主題歌「エヴァーラスティング・ラヴ」の
大ヒットも記憶に新しい、イギリスが生んだ大型ヴォーカリスト/ピアニスト。
ヒップホップ・ビート、ポップなメロディ、ジャズ・ピアノが自在に飛び交う、
柔軟な音楽性が発揮されたエキサイティングでクリエイティヴな名作。
グラミー賞最優秀ジャズ・ヴォーカルにノミネートされるほどジャズ界をうならせたクールネス、
ニルヴァーナやサウンドガーデンを聴いて育った世代のオルタナティヴなエッジ、
そしてグラストンベリー・フェスのオーディエンスを一つにするほどのロックなエナジー。
これらを全て持った音楽を作り、表現できるのがジェイミー・カラムなのだ。
クールネスとオーガニック・フィールが交錯する、モダンなスタンダード。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/04/01




(953) HALIE LOREN / SIMPLY LOVE
halie loren(vo)
matt treder(p,rhodes,arr) , mark schneider(b) , brian west(ds,per),
william seiji marsh(g) (1, 2, 4, 5, 10) , daniel gallo(g) (13) ,
sergei teleshev(accordion), craig chee(ukulele), ali losik heyer(ukulele),
dale bradley(cello) (2, 7, 8) , dave burham(violin) (2, 7, 8),
lisa mcwhorter(violin) (2, 8), clark spencer(viola) (2, 8)
2013/Justin Time/

1 For Sentimental Reasons.
2 Cuando Bailamos
3 L-O-V-E
4 On The Sunny Side Of The Street
5 I Feel The Earth Move
6 My Funny Valentine
7 I've Got To See You Again
8 Le Premier Bonheur Du Jour
9 Moon River
10 Bare Feet
11 Happy Together
12 Dream A Little Dream Of Me
13 Simply Love

これまた人気の女性ヴォーカリストのハリー・ロレンの作品です。
多くを語ることはありません。
耳元でささやくような歌声に痺れてしまった。
(2)「Cuando Bailamos」が気に入って何度も聴いてしまいました。
私にとって現在最高の癒し系ヴォーカル盤になっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2018/03/25




(952) TILL BRONNER / RIO
till bronner(tp,vo),etc
2008/Verve/

1 Misterios (Mysteries)
featuring Annie Lennox & Milton Nascimento.
2 O Que Sera
featuring Vanessa da Mata
3 So Danco Samba
featuring Till Bronner
4 Once I Loved (Amor Em Paz)
featuring Aimee Mann
5 Evening (Tarde)
featuring Milton Nascimento & Luciana Souza
6 Ela E Carioca
featuring Sergio Mendes
7 High Night (Alta Noite)
featuring Melody Gardot
8 Cafe Com Pao
featuring Till Bronner
9 Ligia
10 Sim Ou Nao
featuring Kurt Elling
11 A Ra
12 Bonita
featuring Till Bronner
13 Aquelas Coisas Todas
featuring Luciana Souza
14 I'll Never Fall In Love Again
featuring Till Bronner
15 This Guy's In Love With You
featuring Till Bronner

久々にティル・ブレナー(tp,vo)を買ってみました。
ブレナーのデビューはちょうど20年前の1998年でした。
現在ではドイツ出身のジャズ・プレイヤーでは一番知名度が高いかも知れませんね。
トランぺッター&ヴォーカリストというと必ず「チェット・ベイカーの再来」というキャッチフレーズが出てきます。
「いったいどこがチェットなんだ?」と思う人も多いけど・・・。
このブレナーもそんな感じでデビュー時にはチェットに似ているとは思わなかった。
でも20年経ってみるとなんとなくチェットに似てきています。
つくづくチェット・ベイカーは偉大ですね。
私の周りのジャズ友にもチェットに惹かれる人は多いです。
それもクスリでボロボロになった後期チェットがいいらしい。

さて今作はブレナーがボサノバに挑戦したアルバムです。
録音年はボサノバ誕生50周年だったそうで、それを記念して作られた作品です。
本場ブラジルでの録音が実現、多彩なゲストが聴きどころになりました。
ミルトン・ナシメント、セルジオ・メンデス、アニー・レノックス、エイミー・マン、メロディ・ガルドー、
カート・エリング、ルシアーナ・ソウザ、ヴァネッサ・ダ・マタなどが一度に聴けるのも良かったです。
ここではただ一人異色なカート・エリングですが一時期よく聴いていた時期があります。
ブレナーのちょっとかすれた音色のトランペットがボサノバのリズムに映えます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2018/03/18




(951) EDDIE HIGGINS QUARTET / MY FUNNY VALENTINE
eddie higgins(p), jay leonhart(b), joe ascione(ds)
scott hamilton(ts)
2006/Venus/

1 You'd Be So Nice To Come Home To.
2 I'm A Fool To Want You
3 When Sunny Gets Blue
4 Alone Together
5 My Funny Valentine
6 It's All Right With Me
7 Stardust
8 I Only Have Eyes For You
9 Don't Explain
10 Slow Bost To China
11 Imagination

エディ・ヒギンス(p)とスコット・ハミルトン(ts)のヴィーナス盤の3枚目です。
以前は疲れた時のヒギンスとハミルトンは私の定番でした。
この二人のアルバムを聴くとホッとしたものです。
でもこの二人の初めての共演盤が出ると聴いた時には違和感がありました。
合うのか?・・・ヒギンスは上品な音色、ハミルトンは下卑た音色に魅力を感じていたからです。
心配無用・・・聴いてみると中和されてちょうどいい案配になってましたね。
ハミルトンのムード溢れるテナー・サックスにヒギンスの美しいピアノが絡みます。
(5)「My Funny Valentine」にはそんな二人の魅力が詰まっていました。

ヴィーナス盤に二人の共演盤は4枚あると思います。
どれもスタンダードが中心で金太郎飴ではあるけれどなぜか聴きたくなってしまいます。
で、全部買わされました。

*EDDIE HIGGINS QUARTET / SMOKE GETS IN YOUR EYES (2002/Venus)
*EDDIE HIGGINS QUARTET / MY FOOLISH HEART (2003/Venus)
*EDDIE HIGGINS QUARTET / MY FUNNY VALENTINE (2006/Venus) 今作
*EDDIE HIGGINS QUINTET / IT'S MAGIC (2006/Venus) ケン・ペプロウスキー(as,cl)との2管。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/03/11



(950) DIANA KRALL / ONLY TRUST YOUR HEART
diana krall(p,vo)
ray brown(b) (1, 3, 7, 9), christian mcbride(b) (2, 4, 5, 6, 8)
lewis nash - drums
stanley turrentine(ts) ( 1, 3, 9)
1995/GRP/

1 Is You Is or Is You Ain't My Baby.
2 Only Trust Your Heart
3 I Love Being Here with You
4 Broadway
5 The Folks Who Live on the Hill
6 I've Got the World on a String
7 Just Squeeze Me (But Please Don't Tease Me)
8 All Night Long
9 CRS-Craft

なぜ今ダイアナ・クラール(vo,p)が出て来たのか?
「今週の愛聴盤」で紹介した「Alina Engibaryan」(アリーナ・エンギバーヤン)の影響です。
「ジャズ度が高い若手女性ヴォーカル盤」といえばこのダイアナ・クラールのデビュー盤もそうでした。
ダイアナとアリーナ、持ち味は違うけれどデビュー時の雰囲気が似ていると思いました。

今作はレイ・ブラウンとクリスチャン・マクブライドの新旧の大物ベーシストの競演というおまけ付きです。
さらに名ドラマーのルイス・ナッシュとさらにさらにスタンリー・タレンティン(ts)のバッキングが聴けます。
今作をクラールのベスト盤に挙げる人も多いかもしれませんね。
表題曲の(2)「Only Trust Your Heart」はマルチ奏者で作曲家、コンポーザーとして名を成したベニー・カーターの作品。
この曲のベスト・プレイと思えるヴォーカルと演奏が聴けました。
スロー・バラードで歌われる(7)「Just Squeeze Me」や(8)「All Night Long」も聴きどころです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/03/04




(949) WARREN WOLF QUARTET / WOLFGANG
warren wolf(vib,mar),
track 2,5,7-benny green(p), christian mcbride(b), lewis nash(ds)
track 1,3,6,8-aaron goldberg(p), kris funn(b), billy williams jr(ds)
track 4,9-aaron diehl(p)
track 8-darryl tookes(vo)
2013/Mack Avenue/

1 Sunrise.
2 Frankie And Johnny
3 Grand Central
4 Wolfgang
5 Annoyance
6 Lake Nerraw Flow
7 Things Were Done Yesterday
8 Setembro
9 Le Carnaval De Venise

ヴィブラフォン聴きの19枚目は先週に引き続きウォーレン・ウルフの2013年作品です。
ベニー・グリーン(p)・トリオとアーロン・ゴールドバーグ(p)・トリオの二つのトリオとの共演が聴きどころ。
さらにアーロン・ディール(p)とのデュオも2曲入っている大徳用盤です。

全9曲は自身のオリジナル6曲とその他3曲の構成です。
ベニー・グリーンとアーロン・ゴールドバーグとの聴き比べに興味がありました。
私のイメージとしてはグリーンの動に対してゴールドバーグの静ですがイメージに外れた曲もありました。
その意外性は面白かったです。
2曲のデュオでは美しいメロディ・ラインを聴かせ1曲にはヴォイスも入っている。
よく出来た構成とも言えるし、ちょっと欲張ったところがあるとも言える。
つまり当時のウルフの音楽性の全貌が表れている作品です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/02/25




(948) WARREN WOLF SEXTET / WARREN WOLF
warren wolf(vib), christian mcbride(b), gregory hutchinson(ds),
jeremy pelt(tp), tina green(as,ss), peter martin(p)
2011/Mack Avenue/

1 427 Mass Ave.
2 Natural Beauties
3 Sweet Bread
4 How I Feel At This Given Moment
5 Eva
6 Senor Mouse
7 Emiily
8 Katrina
9 One For Lenny
10 Intimate Dance

ヴィブラフォン聴きの18枚目はウォーレン・ウルフの2011年作品です。
ヴァイブ・シーンの新しいスターはこのウルフでしょうか。
1979年生まれの現在38歳、バークリー出身です。
ヴァイブ界は層が薄いので貴重な存在になっています。

今作はアメリカでのデビュー作になります。
全10曲は自身のオリジナル6曲とメンバーのオリジナル2曲とその他2曲の構成です。
その他の2曲はチック・コリアの(6)とジョニー・マンデルの(7)です。
ウルフ(vib)、クリスチャン・マクブライド(b)とグレゴリー・ハッチンソン(ds)という強力なトリオを中心にした作品です。
加えてピーター・マーティン(p)、ジェレミー・ペルト(tp)、ティナ・グリーン(as)が参加しています。
ウルフは達者なヴァイブ奏法を披露していますが早い曲ではテクニシャンにありがちな弾き過ぎを感じます。
で、メロディが美しいバラードが聴きどころになりました。
オリジナルでは(2)「Natural Beauties」がその他ではマンデルの(7)「Emily」が秀逸です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


ちなみにウォーレン・ウルフのデビュー作は日本レーベルで25歳の時でした。

*WARREN WOLF QUARTET / INCREDIBLE JAZZ VIBES (2005/M&I)
warren wolf(vib),
mulgrew miller(p), vicente archer(b), kendrick scott(ds)

デビュー作の題名は「INCREDIBLE JAZZ VIBES」というものでウェス・モンゴメリー(g)のデビュー時と同じです。
凄いテクニシャンであることは確かです。


2018/02/18




(947) MARK SHERMAN QUINTET / FAMILY FIRST
mark sherman(vib,per), joe magnarelli(tp),
allen farnham(p), dean johnson(b), tim horner(ds)
chembo corniel(conga)(4,5)
2007/City Hall/

1 Explorations
2 Fantasize
3 Family First
4 With Hope
5 Wapango
6 Lazy Autumn
7 Symmetrical
8 Punjab
9 We'll Be Together Again
10 A New Blue

ヴィブラフォン聴きの17枚目はマーク・シャーマンの2007年作品です。
シャーマンはニューヨーク生まれの60歳で今回のヴァイブ聴きの2回目の登場です。
シャーマンはドラムスやピアノも達者のようでここでは(2)と(4)の2曲でパーカッションを叩いています。
伝統的でありながらモダンな感覚を持っているヴァイブ演奏者で私には一番しっくりきました。
アレン・ファーナム(p)やティム・ホーナー(ds)といったところの隠れ名手をファミリー化しているのも嬉しいです。
今回の目玉は柔らかく温かい音色を持つジョー・マグナレリのトランペットになりますね。
このマグナレリもまた隠れ名手の一人というのも面白い・・・シャーマンはきっとこういう人が好きなんだろうね。

全10曲は自身のオリジナルが5曲、ファーナムが1曲、その4曲の構成です。
その他の曲にはパキート・デリベラ(as)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ジミー・ヒース(ts)が含まれています。
凝った選曲からもシャーマンの音楽性が見えるような気がしました。
気取りがなくストレートな演奏・・・この安定感は誰にでもお勧めできるヴァイブ作品だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/02/11




(946) JOE LOCKE QUARTET / FOR THE LOVE OF YOU
joe locke(vib),
geoffrey keezer(p), george mraz(b), clarence penn(ds)
kenny washington(vo)
2010/E1 Music/

1 Two For The Road
2 Old Devil Moon
3 For Theb Love Of You
4 Verrazano Moon
5 I Miss New York
6 Birds
7 The Shadow Of Your Smile
8 Cinema Paradiso
9 Pure Imagination
10 Bright Side Up

ヴィブラフォン聴きの16枚目はジョー・ロックの2010年作品です。
先日紹介した「LAY DOWN MY HEART」(2013年)が良かったのでもう1枚聴いてみようと思いました。
ケニー・ワシントンのヴォーカルというのも驚きました・・・てっきりあのベテラン・ドラマーだと思ったからです。
ドラマーにも歌が上手い人はたくさんいますから・・・グラディ・テイトがつとに有名かな。
でも同姓同名の別人でした。
こちらはニューオリンズ出身の知る人ぞ知るヴォーカリストのようです。

全10曲は自身のオリジナル3曲とその他7曲の構成です。
ジョー・ロックとジェフ・キーザー(p)とは双頭バンドの「THE NEW SOUND QUARTET」を組んだ仲で気心が知れています。
ジョージ・ムラツ(b)とクラレンス・ペン(ds)というのもシブい組み合わせだと思いました。
ヴォーカルが入ったことでひと味違う作品になりました。
前述の「THE NEW SOUND QUARTET」はロックとキーザーの激しく切れ味鋭く、ドラマーの煽りが特徴的です。
ここでもその流れは変わらず、インスト場面では熱っぽい演奏が聴けました。
ヴォーカルのワシントンは美声、柔らかな歌声でゆったりとした趣を持っています。
ダニー・ハサウェイやスティービー・ワンダー系のヴォーカリストですが端正な歌い手でとても上手いです。
この作品の最大の聴きどころは演奏のホットに対する歌のクールさにありました。
ジョー・ロックにとっては異色作でロックの代表作の1枚になると同時にケニー・ワシントンにとっても代表作になると思います。
ヴォーカル・ファンにも是非聴いて欲しいですね

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/02/04



(945) DAVID FRIEDMAN QUARTET / SHADES OF CHANCE
david friedman(vib.mar)),
geri allen(p), anthony cox(b), ronnie burrage(ds)
1986/Enja/

1 Shades Of A Labyrinth
2 Out Of A Labyrinth
3 3 + 1 = 5
4 The Search
5 Ibbahim

ヴィブラフォン聴きの15枚目はベテランのデヴィッド・フリードマンの作品です。
フリードマンはキャリヤの割に寡作の人ですがチェット・ベイカー(tp)との共演が一番知られているかな。
スタイルはゲイリー・バートン(vib)系でひとひねりあるヴァイブ奏者だと思います。
ここの注目点は硬派のジャズ・ピアニストのジェリ・アレン・トリオとの共演にありました。

全5曲は全て自身のオリジナルで占められていてフリードマンの世界が広がっています。
(1)は16分を超える長丁場で(2)とは組曲風になっていて凝った作りです。
ジェリ・アレン・トリオはM−ベース派とかブルックリン派とか呼ばれる当時の先進のジャズ・トリオです。
当然ながらフリードマンもそのスタイルを踏襲していて刺激的なヴァイブ演奏を聴かせてくれました。
リズムや音遣いは先進ながらヴァイブ特有の流麗華麗な音の広がりもあって面白かったです。
私的ベストはやはり変化に富んだ(1)「Shades Of A Labyrinth」になりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2018/01/28




(944) ARTURO SERRA SEXTET / CONFIDENCIAL
arturo serra(vib), perico sambeat(as), benet palet(tp),
albert bover(p), lucho aguilar(b), juanjo garcera(ds)
1993/EGT/

1 Fat Lady
2 After "Siesta"
3 Confidencial
4 Lapsus
5 Laura
6 Da-Bap
7 Sweet awakening
8 Quiets Moments
9 Mandragora

ヴィブラフォン聴きの13枚目は当時のスペインの若手が参加したアルトゥーロ・セラの作品です。
ここでの注目は鬼才ぺリコ・サンビエト(as)にありました。
ぺリコが2005年に初来日した時は夢中になって見に行きました。
ライブのメンバーの池田篤(as)さんや井上陽介(b)さんとはニューヨークで切磋琢磨した仲だと言ってました。
ぺリコがブラッド・メルドー(p)やカート・ローゼンウィンケル(g)と共演した「Friendship」は名盤です。
2005年の「私のベスト3」にも上げました。

全9曲は自身のオリジナル7曲とその他2曲の構成です。
1曲目にウェイン・ショーターの曲を持ってくるところがいかにも現代のジャズマンだと思います。
ベストはデヴィッド・ラスキンの名曲(5)「Laura」で幻想的なテーマはヴィブラフォンにはピッタリです。
オリジナルでは2曲目の「After Siesta」が良かった・・・メロディが美しくお気に入りになりました。
聴き易いハード・バップですが全体的に優等生的でこじんまりとまとまってしまった気がします。
もっと弾けて刺激的ならもっと良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/01/21




(943) JOHNNY LYTLE QUINTET / THE VILLAGE CALLER
johny lytle(vib), milt harris(org),
bob cranshaw(b), william "peppy"hinnant(ds), willie rodriguez(per)
1963Rec/Riverside/

1 The Village Caller
2 On Green Dolphin Street
3 Cant Help Lovin' Dat Man
4 Pedro Strodderr
5 Kevin Devin
6 You Don't Know What Love Is
7 Unhappy Happy Soul
8 Solitude

ヴィブラフォン聴きの11枚目はジョニー・リトルです。
1960年代に活躍していたので比較的知名度は高いと思います。
ドラマーからヴァイブ奏者への転向は珍しいかな。
彼が組んだヴァイブ、オルガン、ドラムスのトリオ編成は実に個性的です。
ヴァイブとオルガンの組み合わせはちょっと気付かないかもしれません。
リトルはファンキー&ソウルなヴァイブ・サウンドを実現しました。

全8曲は自身のオリジナル4曲にその他4曲の構成です。
バンド編成を見るとボブ・クランショウ(b)とウィリー・ロドリゲス(per)が加わっています。
ラテン・リズムを目指しているのは一目瞭然ですね。
バラードでシットリと聴かせる(3)「Cant Help Lovin' Dat Man」がベスト・トラックになりました。

(中間系)

2018/01/14



(942) JPEK / THE LONG GOODBYE
tizian jost(vib), bernhard pichl(p), rudi engel(b), michael keul(ds)
2014/Organic Music/

1 A Night In Tunisia
2 The Long Goodbye
3 Eight Four
4 Pra Machucar Meu Coracao
5 I'm Getting Sentimental Over You
6 Refuge
7 Soon
8 For Django-Django
9 Softly As In A Morning Sunrise
10 Warm Valley
11 Santa Claus Is Coming To Town


ヴィブラフォン聴きの10枚目はJPEKのグループ作品です。
メンバーの名前の頭文字がグループ名になっています。
2014年のドイツ盤で比較的新しいアルバムです。

ピアニストとして知られているティチィアン・ヨーストがヴィブラフォンを 演奏している異色作です。
これがまたヴァイブも本職並みの素晴らしさでストレートでオーソドックスな演奏を展開しています。
実に聴き味のいい作品でヴィブラフォン・カルテットの見本みたいな演奏が聴けました。

全11曲はメンバーのオリジナル2曲とその他9曲の構成です。
モダン・ジャズの名曲、ボサノバ、バラード、クリスマス・ソングまでが網羅されています。
表題曲になったオリジナルの(2)「The Long Goodbye」がとても印象に残りました。
レイモンド・チャンドラーの有名小説に同題名があるのでそれから取ったものかも知れませんね。
優しくソフトなヴァイブの音色は心地良いスイング感と相まって癒し系に仕上がっています。
心がウキウキと弾んでくるのはリズム感の良さで昼下がりのティー・タイムにも夜のグラス片手にも合います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2018/01/07




(941) BEN ADAMS QUARTET / THE FIGURED WHEEL
ben adams(vib),
Chihiro Yamanaka(fender rhodes), bruno raberg(b), ferenc nemeth(ds)
2000/Tonic/

1 Road To Rincon
2 It Could Happen To You
3 Astarte
4 How Deep Is The Ocean
5 Waiting To Become Ocean
6 Memory's Grail
7 The Figured Wheel

ヴィブラフォン聴きの9枚目はベン・アダムス・カルテットです。
ここでの注目はもちろん山中千尋さんですが先進のドラマー、フェレンク・ネメスも共演しています。

全7曲は自身のオリジナル4曲とその他3曲の構成です。
(2)「It Could Happen To You」を聴いた時、ガツンときて痺れてしまいました。
ジャズです・・・カッコイイです。
今作は山中さんのフェンダーローズがサウンドの決め手になりました。
電気的要素を入れることでより現代的なサウンドになっています。
山中さんのデビュー前の姿をとらえている貴重な作品です。
アダムスの美しく広がりのあるヴァイブ奏法とネメスの多彩なドラミングにも注目しました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/12/31




(940) KHAN JAMAL TRIO / THE TRAVELLER
khan jamal(vib), johnny dyani(b), leroy lowe(ds)
1985Rec/SteepleChase/

1 Thelonious
2 Unsung Heroes
3 Bells Of Joy
4 Equinox
5 Body And Soul
6 The Traveller
7 Bloom
8 Colours

ヴィブラフォン聴きの8枚目はカーン・ジャマル・トリオです。
ヴィブラフォン聴きをしていて気が付きましたがトリオ編成というのは案外に少ないです。
多くはピアノが入ったカルテット編成でその上に管楽器が乗るというスタイルです。
それでこのジャマル・トリオは不思議な感覚でインパクトがありました。
出てくるサウンドが初めての味というか、今まで聴いたことがない味わいです。
ヴァイブ、ベース、ドラムスの3者の音がキッチリと集まってくる感じ・・・未体験ゾーンで面白かった。
実に引き締まった感覚でクリアで音に無駄がないサウンドです。
このカーン・ジャマル・トリオは今までで一番ユニークなサウンドを聴かせてくれました。

全8曲は自身のオリジナル6曲とその他2曲の構成です。
オリジナルばかりではどうも、ということでバランスは取れています。
ヴァイブ・トリオはベースの存在が大きいことを初めて知りました。
キッチリとした安定感十分のベースに支えられてジャマルのソロが展開されていく。
この作品は面白かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/12/24




(939) TOM BECKHAM QUARTET / SUSPICIONS
tom beckham(vib),
chris cheek(ts,ss), reid anderson(b), george schuller(ds)
1999/Fresh Sound New Talent/

1 Village Children
2 No Agenda
3 Little Booboo
4 Ascent
5 Snoop
6 Suspicions
7 Sweet Tooth
8 Ground Control
9 Kansas Tale

ヴィブラフォン聴きの7枚目です。
トム・ベックハム(vib)は初見、ここの興味は注目のテナー奏者のクリス・チークにありました。
ベックハムはアメリカのワシントン出身でヴァイブはMJQのミルト・ジャクソンの影響で始めたとありました。
ボストンのバークリー出身です。

全9曲は全て自身のオリジナルです。
スペインの「フレッシュ・サウンド・ニュー・タレント」盤は新人プレイヤーに自由に演奏させる傾向にあります。
売ることだけを考えていない・・・こういう方向性も大事なことだと思います。
ヴァイブ・トリオとサックスの組み合わせも新鮮で全体を通して先進のヴァイブ・サウンドが聴けました
それぞれの曲想も多彩でベックハムには作曲家としての才能もあります。
ベストはヴァイブにしては骨太な演奏を聴かせる(2)「No Agenda」と(3)「Little Booboo」を上げたいと思います。
浮揚感があり音の広がりを聴かせる現代風サウンドの表題曲の(6)「Suspicions」も良かったです。
変幻自在なクリス・チークのサックスが素晴らしいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/12/17




(938) BARRY & PEREIRA QUINTET / GIANTS STEPS
geni barry(vib), angel pereria(ds),
joan diaz(p), jordi gaspar(b), nan mercader(per)
1999/Cap/

1 On Green Dolphin Street
2 Isn't This My Sound Around Me
3 Jeanine
4 Peace
5 Pent Up House
6 Baile De Ochun
7 Giant Steps

ヴィブラフォン聴きの6枚目です。
バリー(vib)&ペレイラ(ds)・クインテットはスペイン盤です。
パーカッション入りとなれば爽やかなラテン・サウンドとの予想がつきました。
予想通りの軽快なモダン・ジャズの好盤です。

全7曲はオリジナル1曲とその他6曲の構成だと思います。
思いますと言うのはジャケットに作曲者の名前がないからです。
これはまずいんじゃないかな。
(1)「On Green Dolphin Street」と(7)「Giant Steps」は有名なモダン・ジャズの名曲。
(2)はボビー・ハッチャーソン(vib)、(3)はキャノンボール・アダレイ(as)、(4)は「ホレス・シルバー」(p)、
(5)は「ソニー・ロリンズ(ts)、(6)はオリジナルだと思います。
ベスト・プレイはボビハチの(2)でやはりヴィブラフォンにピッタリの美しい曲です。
どの曲を聴いても心地良いヴァイブ・サウンドに浸ることが出来ました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/12/10



(937) MARK SHERMAN QUARTET & QUINTET / THE MOTIVE SERIES
mark sherman(vib),
allen farnham(p), phil palombi(b), tim horner(ds),
guest:michael brecker(ts)(2,4)
2004/Cap/

1 Nature Boy
2 Motive #10 Judaican (for K.Kirkland)
3 Motive #1
4 Motive #11 Always Reaching
5 Motive #7 Alla Sandra
6 Motive #3 That Moment
7 Motive #4 Venture Within
8 Motive #9 Soothing Dream
9 Old Folks
10 Motive #8 Altered

ヴィブラフォン聴きの5枚目はマーク・シャーマンです。
ジャケットにはポスト、ボビー・ハッチャーソン/マイク・マイニエリとジョー・ロックが紹介しています。
ここでの注目は2曲に参加しているマイケル・ブレッカー(ts)にありました。

全10曲は自身のオリジナル8曲とその他2曲の構成です。
ブレッカーの参加は(2)、(4)の2曲だけだけど有名スタンダード2曲との配合が絶妙の構成になりました。
シャーマンの持ち味は伝統的なストレート・アヘッドなハード・バップ・ヴァイブにあると思います。
プラス現代風のモダンな感覚も持っていて中々に面白いヴァイブ奏者です。
その感覚は共演者にも現れていてアラン・ファーナム(p)やティム・ホーナー(ds)の起用は鋭いです。
もちろん、今作におけるファーナムやホーナーの演奏にも注目しました。
オリジナルも多彩で聴きどころになるけどやはり私はどうしても2曲のスタンダードに向いてしまいました。
1曲目の「Nature Boy」と2曲目のブレッカーで見事につかまれた気がします。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/12/03




(936) JAY HOGGARD QUARTET / LOVE IS THE ANSWER
jay hoggard(vib),
james weidman(p), belden bullock(b), pheeroan aklaff(ds),
lyndon achee(cong)(6,7,9), rejoicEnsemble(vo)
1994/Muse Records/

1 Harlem Airshaft
2 Good Bait
3 Donna Lee
4 As Quiet As It's Kept
5 The Nearness Of You
6 Love Is The Answer
7 Celestial Prayer
8 Worship God In Spirit, Truth, And Love
9 The Wisdom Of The Baobab Tree
10 Ring Shout

しばらくはヴィブラフォンのレビューを続けるつもりです。
これがけっこう面白くてハマっています。
共演者に意外性があるんですよ。
1枚目に出てきたのがフレッド・ハーシュ(p)で2枚目がウォーレン・バシェ(tp)、今作がフィローン・アクラフ(ds)です。

ジェイ・ホガード(vib)を聴くのは何十年振りになるだろうか。
初リーダー・アルバムは確かフュージョン・シーンだったと思います。
当時ヒットしていたロイ・エアーズ(vib)・ラインの売れ筋狙いのメロウ&ソフトなフュージョン路線。

そんなことでホガードの純ジャズ路線を聴くのは初めてです。
全10曲は自身のオリジナルが5曲とその他5曲の構成です。
前半の5曲が純ジャズ・サウンドで後半の5曲が自身のオリジナルのフュージョン・サウンドになっています。
ホガードの音楽性がよく分かるけどやや焦点がぼやけた様な気がします。
「前半は良いけれど後半はどうも」という感じになりました。
私的ベストの(5)「The Nearness Of You」は好きな曲、オリジナルでは最後の(10)「Ring Shout」が良かった。

共演者ではフィローン・アクラフ(ds)に注目しました。
パワフルかつダイナミック・・・実に多彩な表現力を持つドラマーです。
アクラフはオリヴァー・レイク(as)盤で馴染みがあるし、山下洋輔(p)さんとも演奏していました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/11/26




(935) LARS ERSTRAND QUARTET / FEATURING JAN ALLAN & WARREN VACHE
lars erstrand(vib), kjell ohman(p), sture akerberg(b), leif "gus"dahlberg(ds),
jan allan(tp), warren vache(cor)
1990/Gemini Records/

1 Bilingual
2 Sunday
3 You'd Be So Nice To Come Home To
4 Stella By Starlight
5 Phil,Not Bill !
6 Friends Again
7 I Have The Feeling I've Been Here Before
8 Dialogic
9 Sweet Georgia Brown
10 Flying Home

ラース・エルストランドはスウェーデンの名ヴァイブ奏者です。
ライオネル・ハンプトン直系のスイング系のジャズ・ヴァイブを聴かせてくれます。

今作はラース・カルテットにヤン・アラン(tp)とウォーレン・バシェ(cor)をフロントに迎えた企画ライブ盤です。
トランペットとコルネットの組み合わせも面白いと思いました。
全10曲はスタンダード作品集ですが比較的古い曲が選曲されています。
聴きどころはアランとバシェの競演です。
(2)「Sunday」のゆったり感が心地良く、(4)「Stella By Starlight」におけるラッパ2管の絡みも面白かったです。
全体を通してラース・エルストランドの持ち味であるスイング感に溢れる演奏を聴くことが出来ました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/11/19




(934) JON METZGER QUARTET / OUT OF THE DARK
jon metzger(vib),
fred hersch(p), marc johnson(b), joey baron(ds)
1985/V.S.O.P/

1 Out Of The Dark
2 Summersong
3 Sherwood's Party
4 Belizean Bump
5 Remembering Goofar
6 Mirage
7 Linda's Back

しばらくオルガンを聴いてきたので今度はヴィブラフォンをきいてみようかと思っています。
オルガンが濁音ならヴィブラフォンは清音で対極にある楽器ですね。
思うに私は今までヴァイブを意識して聴いたことはなかったです。
ライオネル・ハンプトン、ミルト・ジャクソン、ゲイリー・バートン、ボビー・ハッチャーソンが四天王になるかな。
その他、テディ・チャールス、レム・ウィンチェスター、カル・ジェイダー、デイブ・パイク、ロイ・エアーズなどを思い出します。
近年ではスティーブ・ネルソン、ジョー・ロック、さらにステフォン・ハリス、ウォーレン・ウルフといったところか。

さて今作はそのヴァイブ聴きを決定的にしたアルバムです。
とても新鮮な思いできくことが出来ました。
ヨン・メッツガー(vib)の1985年作品です。
ここはメンバーが素晴らしい・・・フレッド・ハーシュ(p)、マーク・ジョンソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)は魅力あります。
今や現代のジャズ・シーンを引っ張っている面々です。

全7曲はメッツガー自身のオリジナルが5曲とハーシュの2曲の構成です。
スタンダードは入っていません。
聴いた途端にあまりの美しさと爽やかなサウンドに痺れてしまいました。
一瞬で虜になりました・・・「ヴァイブっていいなぁ〜」と思いましたよ。
オルガン聴きが続いていた反動かもれませんね。
ジョンソン、バロンのリズムに乗ってメッツガーとハーシュが自在に展開していきます。
瑞々しく清廉です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/11/12




(933) CHANO DOMINGUEZ TRIO / CON ALMA
chano dominguez(p), george mraz(b), jeff ballard(ds)
2004/Vinus/

1 La Tarara
2 No Me Platiques Mas
3 How About You ?
4 Dolphin Dance
5 Con Alma
6 El Toro Y La Luna
7 It Could Happen To You
8 Hullo Bolinas
9 Jure
10 Speak Low
11 Darn That Dream

前回がビギン・ジャズ・ピアノなら今回はフラメンコ・ジャズ・ピアノです。
スペインの名手、チャノ・ドミンゲスの2004年の日本制作盤です。
チャノの2012年の「Flamenco Sketches」はその年の「今年のベスト3」にも選びました。
地方色豊かで一つの大きな特徴を持っているジャズ・マンを聴くのは楽しみです。
全11曲はオリジナルなしのスタンダード中心ですが馴染みのないスペインの曲も入っています。

ヴィーナス・レーベルのハイパー・マグナム・サウンドは音が前面に出てくるので迫力があります。
その反面やや情緒にかけるのはいがめません。
今作はそれがそのまま出てしまったような気がします。
粗くて硬いサウンドはチャノのエレガントな持ち味を消してしまいました。
もっと柔らかく優しいサウンドだったら良かったのに・・・内容が良いだけに残念です。

(6)「El Toro Y La Luna」はチャノの特徴が出たベスト・トラックです。
スタンダードでは(10)「Speak Low」が聴きどころになりました。

(中間系)

2017/11/05




(932) ALAIN JEAN-MARIE TRIO / SERENADE
alain jean-marie(p), eric vinceno(b), claude montreon(ds)
1998/Declic/

1 Bibuine The Be-Bop
2 Serenade
3 Vallee Heureuse
4 Antilope
5 Retour Au Pays Natal
6 AJM Blues
7 Children
8 Doubou't Ti Manmaye
9 Resolution
10 The River
11 Going Down To The Market
12 Enjoy Life

フランスのピアニスト、アラン・ジャン・マリーの作品です。
日本ではフランスの大御所テナー奏者のバルネ・ウィランとの共演で知られるようになりました。
特にビギン+ジャズの名手として知られています。
有名なのは「ビギン・ザ・ビギン」・・・ビギンと聞いて中村八大さんの「黄昏のビギン」を思い出しました。
水原弘さんやちあきなおみさんの歌でヒットしましたが魅力ある曲なので現在でもカバーする歌手が多いですね。

全12曲は自身のオリジナル8曲とその他4曲の構成です。
いずれもカリブの香りがいっぱいの独特のリズムと感性を感じさせる演奏になっています。
アランは同じカリブ海出身のモンティ・アレキサンダー(p)やミシェル・カミロ(p)にも劣らない超絶技巧の持ち主です。
パワフルで切れ味鋭く、華麗でお洒落で、スピード感に溢れています。
つい踊りたくなるようなサウンドはたまらなく魅力的です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/10/29




(931) TETE MONTOLIU TRIO / LIVE AT THE KEYSTONE CORNER
tete montoliu(p), herbie lewis(b), billy higgins(ds)
1979Rec/Timeless Records/

1 Autumn In New York / Scrapple From The Apple
2 I'll Remember April
3 You've Changed
4 Lady Bird

1960年代、私が知っているヨーロッパ・ジャズ・ピアニストはテテ・モントリューくらいのものでした。
それほどに知名度が高く、素晴らしいピアニストでした。
初めて聴いたのは「Piano For Nuria」だったか・・・続く「TeTe!」、「Catalonian Fire」には圧倒されました。

今作はテテがアメリカに乗り込んでハービー・ルイス(b)とビリー・ヒギンス(ds)と組んだライブ盤です。
強力で切れのあるタッチと斬新なフレージングは健在です。
ルイス&ヒギンスとのコンビネーションも抜群で、もの凄いピアノ・トリオが聴けました。
熱い、熱い・・・観客も大熱狂の大興奮です。
3人が絶好調のライブなんてそうそう聴けるものではありません。
デジタルリマスタリングの録音も良くて大満足です。
テテの代表作でお勧めの一枚になります。

オランダの「TIMELESS」レーベルの復刻廉価盤が発売されています。
どれも入手困難だったので大歓迎です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/10/22




(930) BILL MAYS TRIO / SUMMER SKETCHES
bill mays(p), martin wind(b), matt wilson(ds)
2001/Palmetto Records/

1 Summer Night
2 Estate
3 Fireflies
4 Indian Summer
5 Summer Sketch
6 (Gotta Go To) Summer School
7 Early August
8 The Things We Did Last Summer
9 Summer Serenade
10 Once Upon A Summertime

そろそろオルガン聴きに一区切りをつけて次に進もうかと考えています。
私はサックス系が好きなのでそれが一番かと思えばやはりピアノの数には負けている。
それだけピアニストの作品が多いということですね。
新譜も中古も見る時にはまずはテナー・サックス〜アルト・サックスの順になります。
それでも気になるピアノ・トリオのアルバムが徐々に増えてきています。
まだ未紹介の作品が何枚かあるので、しばらくはそれを紹介しようと思いました。

今作はビル・メイズ・トリオの2001年の作品です。
全10曲は夏にちなんだ曲が並んでいて自身のオリジナルは(3)の1曲だけです。
ちょっと季節外れのような気がしますが夏の思い出を偲ぶには秋がちょうど良いかもしれませんね。
メイズのタッチはとても優しくて柔らかくて美しい、また格調高く上品でもあります。
心が洗われるような清らかで滑らかな旋律・・・メイズの良さはそれに尽きると思います。
いつでも穏やかで落ち着いたひと時を与えてくれます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2017/10/15




(929) GENE LUDWIG TRIO / ORGAN OUT LOUD
gene ludwig(org), jerry byrd(g), randy gelispie(ds)
1964Rec/Mainstream Records/

1 Comin' Home Baby
2 Teach Me Tonight
3 Blues Waltz
4 Elder Smith
5 Moanin'
6 Sermonette
7 The Preacher
8 Gino

Gene Ludwig(org)も初見です。
1960年代にパット・マルティーノ(g)とレギュラー・トリオを組んでいたとのこと。
ジーン・ルードヴィヒと読むようなのでドイツ系でしょうか。
そういえば太平洋戦争では日系アメリカ人だけが収容所に入れられました。
同じ敵国なのにドイツ系やイタリア系はそんなことはなかった。
「やはりアメリカは人種差別の国なんだ」なんて関係ないことを考えてしまいました。

「カミン・ホーム・ベイビー」、「ティーチ・ミー・ト・ナイト」、「モーニン」、「ザ・プリーチャー」などが聴けました。
当時の白人オルガニストは珍しいと思うけどファンキー&グルービーに演奏しています。
全体的にちょっと荒っぽい感じがするのは気合が入り過ぎているせいかもしれません。

(くつろぎ系)

2017/10/08




(928) LYMAN WOODARD ORGANIZATION / DON'T STOP THE GROOVE
lyman woodard(org), marcus belgrave(tp), ron jackson(tp),
kerry cambell(ss), allan barnes(ts), robert lowe(g,vo),
leonard king(ds), lorenzo brown(per,vo), leroy emmanuel(vo)
1979Rec/Corridor Records/

1 Don't Stop The Groove
2 Disco Tease
3 Ron's Song
4 Theme In Search Of A Sportspectacular
5 Down Lowe
6 Kimba
7 Djarum

ライマン・ウッダード・オーガニゼーションの作品は初めて聴きました。
オルガン・ジャズ・ファンやファンク・ジャズ・ファンには有名な作品らしいです。
まぁ〜、聞きしに勝る凄い熱気です。


ここは帯中の解説を転載したいと思います。
全てが語られています。

オルガンだから「ORGANIZATION」。
70年代のデトロイトを代表するオルガン奏者、ライマン・ウッダード率いる8人編成の大型コンボが熱く燃え上がった伝説の夜が今蘇る!
チョッパー・ベースがうなるヘビーなファンク・ビートの上をオルガンとテナーが乱舞する「Don't Stop The Groove」、
ダンサブルでファンキーなタテ乗りジャム「Disco Tease」、
疾走する高速16ビートにマーカス・ベルグレイヴのトランペットが火を噴く「Theme In Search 」、
バウンシーなブギー・ファンク「Down Lowe」など、鬼グルービーなナンバー揃い。
いずれもジワジワとヒート・アップし、エキサイティングなカタルシスを迎える様はまさにライヴならではの醍醐味に溢れている。
ジャズ・ファンク・マニアはもちろんファンキー・フュージョン・ファンも即死のキラー・ライヴ!!

オルガン奏者、ライマン・ウッダードはデトロイトを拠点に70年代初頭に自身のバンドを結成、当地の人気バンドとなる。
今作は同じくデトロイトを代表するトランぺッター、マーカス・ベルグレイヴをゲストに迎えた最高傑作であり、
レア・グルーヴ・シーンでも人気の高いダンス・ジャズ.・クラシック。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2017/10/01




(927) RONNIE FOSTER TRIO / LIVE AT MONTREUX
ronnie foster(org), gregory miller(g), marvin chappel(ds)
1973Rec/Blue Note/


1  East Of Ginger Trees
2  Chunky
3  Boogie Juice
4  Sameness


ジミー・スミスがBN最初のオルガニストならこのロニー・フォスターはBN最後のオルガニストです。
その初リーダー作は4300番台最後のアルバムになりました。
今作は新生BNの手になるものでスイス・モントルー・ジャズ・フェスティヴァルにおけるライブ盤です。
フォスターのシンプルなオルガン・トリオというのは珍しいかもしれませんね。

内容はエレクトリックなメロウ&ソウルなサウンドです。
16ビートのロック・サウンドとの融合はフュージョン・サウンドそのものだと思います。
ただ録音が遠いせいか臨場感が感じられずに盛り上がりには欠けています。
もっと派手な状況を期待していたのでジャズフェスのライブ盤としては何か物足りなさが残りました。

フォスターのその後のフュージョン・ポップス・シーンでの活躍はみなさんもご存知の通りです。

(中間系)

2017/09/24




(926) NIGEL PRICE ORGAN TRIO / HIT THE ROAD
nigel price(g), pete whittaker(org), matt home(ds)
vasilis xenopoulos(ts)(9)
2013/33Jazz/


1  Hit The Road
2  Up Jumped Spring
3  Chelsea Bridge
4  Lover Man
5  Dreamsville
6  Go !
7  Detour Ahead
8  Bizzy Bee
9  Hot Seat (Chas's Chair)


何かテーマを決めて聴いていると思わぬ掘り出し物に出会うことがあります。
今回のオルガン聴きではこれです。
ニゲル・プライスはイギリスのギタリストですが初見です。
チャーリー・クリスチャン〜ウエス・モンゴメリー〜ハーブ・エリスの王道を歩んでいます。
上手いです。

今作は聴くほどに素晴らしい作品だと思いました。
オルガン・トリオでこれ程完成度の高いのものはめったに聴けません。
クリアで切れのあるギターとスイング感溢れるオルガンに参ってしまいました。

ギタリストによるオルガン・トリオは狙い目だと思います。
思わぬ名品が隠れている・・・。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/09/17



(925) MELVIN RHYNE TRIO / FRONT & CENTER
melvin rhyne(org), peter bernstein(g), ray appleton(ds)
2007/Criss Cross/


1  King David 1
2  Yesterday's Child
3  All Blues
4  When Lights Are Low
5  I HearA Rhapsody
6  A.P.J
7  Bamboo
8  I Want To Talk About You
9  Bones
10  Jordu
11  King David 2


メルヴィン・ライン(org)の最後のリーダー作になります。
メルヴィンは2013年に76歳でなくなりました。
ウェス・モンゴメリー・トリオで活躍後に長い間消息不明でしたがクリスクロスが復活させました。
1991年のブライアン・リンチ(tp)盤が最初です。
クリスクロス参加盤は10枚以上あるようですね。
今作でもブルージーでソウル溢れる演奏が聴けました。
ただベースラインは弱いと思います。
ここでもバーンステインが参加していて達者な演奏を聴かせてくれました。
ホントにこの人はソツがなくて安定感、確実性は十分です。
なんか、この数週間はバーンステインばかり聴かされている気がします。
ドラマーのレイ・アップルトンはメルヴィンの旧友でインディアナポリスのローカル・ミュージシャンです。

このところずっとオルガン奏者を聴いてきましたがつくづくジミー・スミスは凄かったですね。
あの強烈なベース・ラインは誰も真似できないものです。
オルガン奏者の最高峰はジミー・スミスで続いてジャック・マクダフがいる順位は変わっていません。

2017/09/10



(924) JOHN PATTON QUINTET / BOOGALOO
vincent mcewan(tp), harold alexsander(ts,fl),
john patton(org), george edward brown(ds), richard "pablo"landrum(cong)
1968Rec/Blue Note/


1  Boogaloo Boogie
2  Milk & Honey
3  Barefootin'
4  Shoutin' But No Poutin'
5  Spirit
6  B & J (Two Sisters)


今回のオルガニストはジョン・パットンです。
ブルーノート4番目のオルガン奏者です。
ジミー・スミス〜ベイビー・フェイス・ウィレット〜フレディ・ローチ〜ジョン・パットンの順になります。
パットンのいわゆるBN正規盤は10枚でジミー・スミスに次いで多く、後発盤も何枚かあります。

今作はお蔵入りになっていた発掘盤の一枚です。
聴きながらお蔵入りになった理由は何だろうかと考えてしまいました。
結論はジャズ度が高く刺激的でオルガン・ジャズらしくないということです。
当時はこういう雰囲気をオルガンに求めてはいなかった。
私はパットンの最高傑作じゃないかと思いましたけど・・・。

パットンは先進性を持つオルガン奏者でラリー・ヤングの音楽性に通じるものがあります。
ここではハロルド・アレキサンダー(ts,fl))が異質の存在です。
コルトレーン派、アヴァンギャルドで強烈な演奏を聴かせてくれました。
(5)「Spirit」は最高のパフォーマンスで続くパットンのオルガンも聴きどころになりました。
ドラムス&コンガのリズム陣が繰り出すグルーヴ感も凄いです。
全体を通してパットンの刺激的なオルガンも魅力的で素晴らしいと思いました。
定番のギターを外してソウル&ファンキーからは一歩踏み出している作品です。
オルガン・ジャズの傑作の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2017/09/03



(923) FREDDIE ROACH QUINTET / GOOD MOVE
blue mitchell(tp), hank mobley(ts),
freddie roach(org), eddie wright(g), clarence johnston(ds)
1963Rec/Blue Note/


1  It Ain't Necessarily So
2  When Malindy Sings
3  Pastel
4  Wine, Wine, Wine
5  On Our Way Up
6  T'Ain'tWhat You Do
7  Lots Of Lovely Love
8  I, Q, Blues


今回のオルガニストはフレディ・ローチです。
フレディ・ローチもまたブルー・ノートに5枚のアルバムがあります。
全作4100番台に集中しています。
最も知られているのは2枚目の「Mo' Green s Please」(BN4128)でしょうか。
今作は3枚目(BN4158)のアルバムになります。
ローチのオルガンの特徴は柔らかくて優しくてムードがあること、そしてゴスペル色が強いことです。
ここでもその特徴がよく生かされています。
トリオで演奏されるエロール・ガーナー(p)の(3)「Pastel」が素晴らしい。
フロントはブルー・ミッチェル(tp)にハンク・モブレイ(ts)の2管です。

2017/08/27



(922) REUBEN WILSON QUINTET / LOVE BUG
lee morgan(tp), george coleman(ts),
grant green(g), reuben wilson(org), leo morris(ds)
1969Rec/Blue Note/


1  Hot Rod
2  I'm Gonna Make You Love me
3  I Say A Little Prayer
4  Love Bug
5  Stormy
6  Back Out


今回のオルガニストはリューベン・ウィルソンです。
ブルー・ノートに5枚のアルバムがあります。
でもブルー・ノート後期の4300番台になるとほとんど聴く機会がありませんでした。
私的にはちょっと遅れて来たオルガン奏者と言えます。
もっとも年齢はそれなりなので西海岸からニューヨークに出るまで時間がかかりました。

今作はリューベンのブルーノートの2枚目の作品で(4)「Love Bug」のヒットで一番売れました。
テンプテーションズの(2)「I'm Gonna Make You Love Me」やクラシックスWの(5)「Stormy」などのヒット曲も入りました。
ここはメンバーにも恵まれましたね。
リー・モーガン(tp)、ジョージ・コールマン(ts)、グラント・グリーン(g)、レオ・モリス(ds)ことアイドリス・ムファマッドです。
特にモーガンとグリーンはブルー・ノートの顔そのものです。

2017/08/20



(921) MEL RHYNE SEXTET / ORGAN-IZING
mel rhyne(org), blue mitchell(tp), johnny griffin(ts),
gene harris(p), andy simpkins(b), albert"tootie"heace(ds)
1960Rec/Jazzland/


1  Things Ain't What They Used To Be
2  Blue Farouq
3  Barefoot Sunday Blues
4  Shoo, Shoo Baby


今回のオルガニストはメル・ラインことメルヴィン・ラインです。
メル・ラインはウェス・モンゴメリー(g)との共演で知られています。
でも70年にはジャズ界から消えてしまって90年代になってようやく復活してきました。

今作はメル・ラインの初リーダー・アルバムだけど次のリーダー作は1991年になってます。
何と30年間のブランクがあったわけですね。
今作はジャズランド・レーベルですがリバーサイドの系列になるレーベルです。
まったく同じアルバムも出ていたのでリバーサイドの安価版というイメージもありました。

ここはジーン・ハリス(p)の存在がミソです。
なぜここにピアニストが必要なのか?
聴いてみれば一目瞭然ですが明らかにメル・ラインが力不足か体調不良です。
それで実力のあるピアニストがどうしても必要だったということだったと思います。
ブルー・ミッチェル(tp)とジョニー・グリフィン(ts)のフロントは魅力あるけど・・・。
圧倒的にハリスがいいので今作をオルガン・ジャズというにはちょっとつらいかもしれません。

2017/08/13



(920) GLORIA COLEMAN SEXTET / SINGS AND SWINGS ORGAN
gloria coleman(org,vo), ray copeland(flh), james anderson(ts),
dick griffin(tb), earl t.dunber jr(g), charles davis(ds)
1971Rec/Mainstream/


1  Bugaloo For Ernie
2  Sunday, Monday, Or Always
3  Fungi Mama
4  You Better Go Now
5  Blues For Youse
6  Blue Bossa
7  Love Nest
8  Fly Me To The Moon


今回のオルガン聴きはまだ続いています。
もうしばらく聴こうと思っているのでけっこう長くなるかも知れません。
グロリア・コールマンは初見・・・かのジョージ・コールマン(ts)の奥さんとのです。
まったく知りませんでした。
テナー&オルガンの夫婦ならスタンリー・タレンティンとシャーリー・スコットが知られていますね。
スタンリーとシャーリーの共演盤はけっこう多いけどこちらのコールマン夫妻はないそうです。
夫婦の性格が出ていて面白いですね。

ファンキーなブーガルーから始まってヘタウマ系のボーカルは(2)と(7)の2曲です。
ボサノバのリズムの(6)「Blue Boss」や(8)「Fly Me To The Moon」は楽しめました。
共演者はほとんど知られていないのでソウル系で活躍したプレイヤーだと思います。
世界初CD化だそうです。

2017/08/06



(919) THE JAZZ CRUSADERS / THE FESTIVAL ALBUM
wilton felder(ts), wayne henderson(tb), joe sample(p), stix hooper(ds),
jimmy bond(b)(1,2,3), herbie lewis(b)(4,5), buster williams(b)(6,7)
1966Rec/Pacific Jazz/


1  Introduction
2  Trance Dance
3  Summer's Madness
4  Young Rabbits
5  Freedom Sound
6  Wilton's Boogaloo*
7  Harf And Half*


これもまた思い出深いアルバムです。
ウエスト・コースト・ジャズ・シーンにもファンキーでソウルフルでダンサブルなバンドがありました。
ジャズ・クルセイダースはカッコ良かったので大好きでした。
当時はFEN(Far East Network・・・米軍の極東向け放送)をよく聞いていました。
新譜の音楽情報を得るには一番早かったからです。
ここの(2)「Trance Dance」が人気でよくかかっていました。
でも欲しかったけど買えなかったです。
パシフィック・ジャズの版権が日本になくて輸入盤もほとんど入らない状態だったから。
仕方がないのでテープに録音して聴いていました。
LPを入手したのは何年も経ってからです。
3人のベーシストが参加していますが正式なクルセイダースは4人でベーシストは確定していません。

(1)〜(3)は1966年のパシフィック・ジャズ・フェスティヴァル。
(4)〜(5)は1966年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァル。
(6)〜(7)はCDに追加収録されたもので1968年のライブです。
録音時間が長いCDにはこういう追加収録があるので見逃せません。

ちなみにFENではビートルズのデビュー時には朝から晩までビートルズの曲が流れていました。
ケネディ大統領暗殺のニュースもここで知りました。
異様な状況だったです・・・アメリカはどうなるのかと思いました。

2017/07/30



(918) SONNY ROLLINS QUARTET / WHAT'S NEW ?
sonny rollins(ts), jim hall(g)(1,2,5,6)
bob cranshaw(b), ben riley(ds)(1,2,5,6), candido camerocongas(bongos)(3,4)
Willie Rodgriguez(per,vo)( 2,6), Dennis Charles(per,vo)( 2,6)Frabk Charles(per,vo)(2,6)
1962Rec/RCA/


1  If Ever I Would Leave You
2  Don't Stop The Carnival
3  Jungoso
4  Bluesongo
5  The Night Has A Thousand Eyes
6  Brownskin Girl


私が最初に入手したソニー・ロリンズ(ts)のアルバムです。
たしか高校1年だったか?
私がジャズ好きと知った友人のお姉さんがくれました。
本人はハワイアンが好きであまりジャズを聴かないからがその理由です。
その頃は普通にジャズが聴かれていた時代だからそういうこともあったんです。

ボサノバ、サンバ、カリプソ、レゲエ、サルサなどのラテン・リズムが入ってきたばかりでとても新鮮でした。
それでロリンズなりに新しいリズムを取り上げた作品です。
それぞれが面白いと思いますが私が聴くのはいつも1曲だけです。

それはスタンダード・ナンバーの(5)「The Night Has A Thousand Eyes」です。
邦題:「夜は千の眼を持つ」・・・通称「ヨルセン」で通用してしまうほどの有名曲です。
ボサノバのリズムで演奏されるこの曲は50年以上聴き続けている超愛聴曲になっています。
なぜならこの曲だけが別物のように完成度が高いからです。

今作は59年から2年間の隠遁生活を経て出した2枚目のアルバムですがその間ロリンズは練習に明け暮れたようです。
それがいつも橋の上だったので1枚目が「橋」になったのは良く知られた話ですね。
その時、ロリンズはこの「ヨルセン」を何度も何度も練習したと思うのです。
それだけにこの「ヨルセン」はまさに王者の風格で他者を寄せ付けない圧倒的な演奏になっています。
ロリンズのこれだけ艶っぽく官能的な演奏も珍しいと思います。
ジム・ホール(g)のイントロやリズムが美しくも素晴らしくて惚れ惚れします・・・もうたまりませんよ。
ボブ・クランショー(b)もベン・ライリー(ds)も名演です。
私は「ヨルセン」のベスト演奏はと聞かれたら迷わずこの1曲を上げます。

2017/07/23



(917) STAN GETZ AND J.J.JOHNSON AT THE OPERA HOUSE
stan getz(ts), j.j.johnson(tb),
oscar peterson(p), herb ellis(g), ray brown(b), connie kay(ds)
1957Rec/Verve/


1  Billie's Bounce
2  My Funny Valentine
3  Crazy Rhythm
4  It Never Entered My Mind / mono Yesterdays
5  Blues In the Closet


邦題:「オペラ・ハウスのゲッツとJ.J」
ジャズ・ファンにジャズの名盤を100枚選べと言ったらほとんどの人が選ぶであろう傑作です。
スタン・ゲッツ(ts)とJJ・ジョンソン(tb)の稀代の名手二人による対決盤です。
それにバックがオスカー・ピーターソン(p)・トリオにコニー・ケイ(ds)という豪華盤です。
有名プロデューサーのノーマン・グランツならではの作品になりました。

グランツはさらに凝った演出をしていて、これがファンにとっては悩ましいものになりました。
左記のジャケットのステレオ盤(上)とモノラル盤(下)の2枚が発売されたのです。
ステレオ盤は10月19日の「オペラ・ハウス」でモノラル盤は10月25日のLA録音で別物です。
曲目も同じなので紛らわしいこと、この上ありません。
ステレオ盤にはゲッツのソロ「It Never Entered My Mind」がモノラル盤にはJJのソロ「Yesterdays」が入っていました。
LPを両方買えということですね・・・で、買わされました・・・もちろんCDには全部入っているので問題ありません。

ヴァーヴ盤のゲッツは馴染み深く、ボサノバを始めとして多くのヒット盤がありますね。
一方のJJの方はCBSの看板スターでヴァーヴ盤にはあんまり馴染みがありません。
この二人の組み合わせがどういう成り行きで企画されたのか・・・つまり異色の顔合わせだったと思います。
ピーターソン・トリオはバッキングに徹していて目立ちたがりのピーターソンとしては珍しいです。
コニー・ケイもいつになく多弁なドラミングを聴かせてくれているのでこれまた貴重な作品になっています。

これは私もレコード盤がすり切れるほど良く聴きました。
普段のゲッツとは程遠い、ホットでエモーショナルなゲッツの姿がここにはあります。
至難の楽器、トロンボーンをこれ程自在に操るJJも凄いです。
ここにはジャム・セッションにおける二人のソロイストとしての実力が存分に発揮されています。

2017/07/16



(916) HORACE SILVER AND THE JAZZ MESSENGERS
kenny dorham(tp), hank mobley(ts),
hirace silver(p), doug watkins(b), art blakey(ds)
1954-55Rec/Blue Note/


1  Room 608
2  Creepin' In
3  Stop Time
4  To Whom It May Concern
5  Hippy
6  The Preacher
7  Hankerin'
8  Doodlin'


「ホレス・シルバー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」と冠した最初で最後の作品かな。
今作は同メンバーの2つの録音をカップリングさせたものです。
アート・ブレイキー(ds)との双頭バンドだったけど、1曲を除いて全てシルバーの作曲なのでシルバーが中心だったことは明らかです。
ビ・バップからハード・バップへの過渡期の作品として重要だと思います。

この後56年にはシルバーがメンバー全員を連れて独立します。
たった一人残されたブレイキーにはジャズ・メッセンジャーズの名前だけが残されたという話は悲惨だけど面白いと思います。
次にメッセンジャーズが注目されるのは58年に第一期黄金時代がやってきてからです。
リー・モーガン(tp)、ベニー・ゴルソン(ts)、ボビー・ティモンズ(p)の参加でファンキー・ジャズの大ヒット、大フィーバーとなりました。

ホレス・シルバーはシルバー節と呼ばれ、ファンキー・ピアノの代名詞になっています。
作曲能力にも優れていて、ヒット曲も数多いです。
独立後はホレス・シルバー・クインテットとしてブルー・ノートに数多くの作品があります。
メンバーはやや小粒ですがそのサウンドは中々個性的です。
良くも悪くも彼のワンマン・コンボで、終始一貫ファンキー・スタイルでやり通しましたから、
最後はみんながあきてしまったというのが、本当のところでしょうね。

ジャズには緊張感が必要だという意見も多いですが、私は気楽に聴けるジャズも結構好きです。
その点、ホレス・シルバーなら何の問題もありません。
ここでの(8)「Doodlin'」はファンク・ジャズのはしりの名曲、名演だと思っています。

終わりに一言、「ジャズ・メッセンジャーズ」の名前は、永遠に不滅です。」
「あーぁ、惜しいことをした」、これ、ホレス・シルバーの独り言です。

2017/07/09



(915) JOHN COLTRANE QUARTET & QUINTET & SEXTET / COLTRANE
john coltrane(ts), johnnie splawn(tp)(1,4,5,6), sahib shihab(bs)(1,4,6),
red garland(p)(1,2,3), mal waldron(p)(4,5,6), paul chambers(b), al heath(ds)
1957Rec/Prestige/


1  Bakai
2  Violets For Your Furs
3  Time Was
4  Straight Street
5  While My Lady Sleeps
6  Chronic Blues


ジョン・コントレーン(ts)の初リーダー・アルバムです。
コルトレーンがあれほどの人気にならなければそれほど話題にもならなかったと思います。
コルトレーンに注目してファンになりハマった時、以前はどんな演奏をしていたのか?と興味を持つ。
さかのぼって聴いてみようかと思った時に出会うアルバムでした。
ここでの聴きどころは(2)「Violets For Your Furs」(邦題:コートにすみれを)だと思います。
後年に代表作の一枚になった」「バラード」の萌芽がここにありました。


* JOHN COLTRANE SEXTET / DAKAR
john coltrane(ts), cecil payne(bs), pepper adams(bs),
mal waldron(p), doug watkins(b), arthur taylor(ds)
1957Rec/Prestige/


1  Dakar
2  Mary's Blues
3  Route 4
4  Velvet Scene
5  Witches Pit
6  Cat Walk

↑の初リーダー・アルバムから20日後に吹き込まれた2枚目のリーダー作品です。
バリトン2本にテナー1本のユニークな組み合わせを誰が考えたと思いますか?
もちろんコルトレーンではありません。
なんとヴァイブ奏者のテディ・チャールスなんですよ。
今作品のプロデュースをしていて3曲を提供しています。
実験的な作風のお蔭でコルトレーンの作品の中で最も異色的なアルバムになりました。
今回改めて聴いてみたけどこれがけっこう面白かったです。
だってこんなに重々しい組み合わせはめったにないからね。
マル作のバラードの(4)「Velvet Scene」が聴きどころになりました。


ライバル談義

当時、最も先鋭で注目されていたテナー奏者は言わずと知れたソニー・ロリンズです。
1956〜57年はそれこそ怒涛の進撃を続けていました。
56年には超名盤の「サキソフォン・コロッサス」、57年には「ウエイ・アウト・ウエスト」、「ヴィレッジ・バンガード」を吹き込んでいます。
コルトレーンと言えばまだ普通のテナー・マンでライバルのラの字もなかった頃ですね。
ところがたった1年ほどの間にコルトレーンはセロニアス・モンク(p)の影響で長足の進歩を遂げます。
57年「ブルー・トレイン」、58年「ソウル・トレーン」、59年「ジャイアント・ステップス」と続く驚異的な成長です。
反面ロリンズは59年秋に突然ジャズ界から姿を消してしまいます。
復活したのは2年後の61年秋でその最初のアルバムが「橋」、2枚目が「ファッツ・ニュー」でボサノバやカリプソの新風を吹き込んだ。


マイルス・デイビス(tp)が1955年に新しいコンボを作る時ソニー・ロリンズに声をかけましたが断られ、
当時ディジー・ガレスピー楽団でくすぶっていたジョン・コルトレーンが参加することになりました。
この選択は結果的に正解だったと思います。
マイルスとロリンズでは、とても長続きしたとは思いません。
その時、ロリンズは、どこに行ったかといいますと、これがなんとクリフォード・ブラウンとマックス・ローチのコンボ、さぞかしマイルスは、頭にきたと思いますよ。

ジャズ・マンが普通から超一流プレイヤーに変身して行くのを、コルトレーンほどハッキリと私の目の前に見せてくれた人はいません。
マイルス・デイビスが彼を見抜いた理由は、何だったんでしょうね。
マイルスから独立して自己のグループを結成し、好アルバムを連発、最後は、神懸り的になって、
さすがのマッコイ・タイナー(p)やエルビン・ジョーンズ(ds)も退団してしまいましたが、私は幸運にも彼の東京公演を見ることが出来ました。
若いファラオ・サンダース(ts)やラシッド・アリ(ds)と猛烈なプレイを繰り広げてくれました。
私の見たライブでは、最高のものだと言えます。
彼より若いテナーマンは、そのほとんどが彼の影響を受けていると言っても 差し支えないでしょう。

オーネット・コールマン(as)を聞いて、いきなり理解出来る人は、少ないですよね。
そんな場合は、ジョン・コルトレーンの足跡をたどるのが、一番分かり易いと思いますよ。
その後に、オーネットを聞くと、見えなかったものが見えてくるという訳です。

つまりコルトレーンもまた、モダンジャズの歴史そのものなのです。


2017/07/02



(914) THE MODERN JAZZ QUARTET / CONCORDE
milt jackson(vib), john lewis(p), percy heath(b), connie kay(ds)
1955Rec/Prestige/


1  Ralph's New Blues
2  All Of You
3  I'll Remember April
4  Gershwin Medley:
Soon,
For You, For Me,Forevermore,
Love Walked In,
Our Love Is Here To Stay
5  Softly As In A Morning Sunrise
6  Concorde


モダン・ジャズ・カルテットはジャズ史上に燦然と輝くグループですね。
「M・J・Q」の愛称で知られ、同メンバーで20年以上続いたグループは他にありません。
ヴァイブとピアノ、ソウルとクール、
ミルト・ジャクソンとジョン・ルイスのコンビネーションは新しいジャズ・サウンドを生み出した。
クラシックとも繋がる室内音楽的なサウンドは多くのファンを魅了しました。

今作はコニー・ケイ(ds)が参加した最初のアルバムです。
それまではケニー・クラーク(ds)でした。
M・J・Qを象徴する代表的なアルバム・・・私の一番好きなアルバムでよく聴いていました。
どの曲も素晴らしくて珠玉の名演が詰まっています。
(5)「Softly As In A Morning Sunrise」はこの曲の決定的な名演として知られています。
私は(3)「I'll Remember April」が好きでした。

(中間系)


2017/06/25



(913) WYNTON MARSALIS QUINTET WITH STRINGS / HOT HOUSE FLOWERS
wynton marsalis(tp), branford marsalis(ts), kent jordan(fl),
kenny kirkland(p), ron carter(b), jeff watts(ds)
1984Rec/CBS Sony/


1  Stardust
2  Lazy Afternoon
3  For All We Know
4  When You Wish Upon A Star
5  Django
6  Melancholia
7  Hot House Flowers
8  I'm Confession' (That I Love You)


ウィントン・マルサリスは現在世界で最も有名なトランぺッターでしょうね。
ジャズ・シーンだけでなくクラシック・シーンでも活躍中の稀有な存在です。
ジャズ・メッセンジャーズの衝撃的なデビューから早37年が過ぎました。
1961年生まれで今年で55歳になっています。
ジャズの最も古典的な地域のニューオリンズの出身です。
伝統的なジャズに回帰する新伝承派ジャスの旗手でもありました。
ジャズ・シーンにおける貢献度は計り知れず、後進の育成にも熱心です。
事実、ウィントンの元から育って行ったジャズ・メンも数多く存在します。

さて今作はグラミー賞受賞作の一枚です。
全8曲は1曲を除いてはスタンダード作品集、表題曲のみウィントンのオリジナルです。
ウィントンが抜群のソロ・パフォーマンスを聴かせてくれました。
完成度が高くて、これが23歳時の録音かと思うとただただ驚きです。
素晴らしい作品だと思います。
不思議なことにストリングス入りはなぜか日本での評価が低い傾向にあります。
なお惜しくも43歳で早世してしまったケニー・カークランドのピアノが聴けるのも貴重です。

(中間系)


2017/06/18



(912) ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS / STRAIGHT AHEAD
wynton marsalis(tp), bill pierce(ts), bobby watson(as),
james williams(p), charles fambrough(b), art blakey(ds)
1981Rec/Concord/


1  Falling In Love With Love
2  My Romance
3  Webb City
4  How Deep Is The Ocean
5  E.T.A
6  The Theme


長い間低迷していたアメリカのジャズ・シーンを覚醒させた衝撃的な一枚です。
天才トランぺッターのウィントン・マルサリス(tp)の登場です。
ウィントンがジャズ・メッセンジャーズに参加したのは弱冠18歳でした。
初めて聴いた時のことを今でもよく覚えています。
凄いのが出てきたぞ〜!!・・・ジャズの復活が成るかもしれない・・・と思いました。
これを聴いて胸が熱くならない往年のジャズ・ファンはいないと思います。
それだけアメリカのジャズがひどい状態だったから・・・。

ジャズ・メッセンジャーズには生きのいい若手が良く似合います。
ウィントンとボビー・ワトソン(as)の新鮮で瑞々しい演奏に圧倒されました。
中々に衝撃なデビューというのには出会わないけれどジャズが低迷していた時だからこそかもしれませんね。
スコット・ハミルトン(ts)、ミシェル・ペトルチアーニ(p)、ゴンザロ・ルバルカバ(p)にもそんな感じがしました。

メンバーだったウィントン、ワトソン、ジェイムス・ウィリアムス(p)のその後の活躍は知られています。
チャールス・ファンブロー(b)の名前も時々見かけました。
地味なのはビル・ピアース(ts)で90年代にトニー・ウィリアムス(s)のグループ入りしましたが目立っていません。
リーダー作もほとんどなくて勿体ないですね。

メンバーの写真のジャケットもあるけれどオリジナルはこちらです。
なお、この後アート・ブレイキーの晩年を飾ったのはテレンス・ブランチャード(tp)とドナルド・ハリソン(as)でした。

(中間系)


2017/06/11



(911) CHARLES EARLAND SEXTET / BLACK TALK !
charles earland(org), virgil jones(tp), houston person(ts),
melvin sparks(g), idris muhammad(ds), buddy caldwewll(conga)
1969Rec/Prestige/


1  Black Talk
2  The Mighty Burners
3  Here Comes Charlie
4  Aquarius
5  More Today Than Yesterday


私は時々、無性にオルガン・ジャズが聴きたくなる時期があります。
今回はチャールス・アーランドにハマりました。
現在マイ・ブームになっていて毎日聴いています。
マイ・ブームっていう言葉も最近聞かないけどもう死語になっているかな。

アーランドには余り馴染みがなかったけどエリック・アレキサンダー(ts)との絡みで聴くようになりました。
1941年生まれで1999年に58歳で亡くなっています。早世ですね。
私的にはちょっと遅れてきたオルガン奏者なのでほとんど聴く機会がありませんでした。
最初はサックス奏者だったらしいので、それからオルガンに転向するって珍しいというか変わっていると思います。
パット・マルティーノ(g)やルー・ドナルドソン(as)との共演で注目されるようになりました。
ソウル・ジャズやファンク・ジャズの権化みたいなオルガン奏者です。
ポップでダンサブルなサウンドはいつでもノリノリで聴いていて気持がいいです。
そんなことでアメリカでも大人気で作品集も多くなりました。
この系統のオルガン奏者にはもう一人リチャード・グルーブ・ホルムズがいますがそれはまたの機会に。

さて、今作はアーランドの初リーダー作です。
なんとなく地味で暗いジャケットはイマイチだと思うけど・・・もうちょっとなんとかならなかったものか・・・。
先日紹介したヒューストン・パーソン(ts)がここにいて、珍しいヴァージル・ジョーンズ(tp)とのフロント2管です。
ソウルでファンキーなギター奏者のメルヴィン・スパークスとアイドリス・ムファマッド(ds)の名前もあります。
フィフス・ディメンションの大ヒット曲の(4)「Aquarius」が入っています。
特に(5)「More Today Than Yesterday」は大好きな曲です。
アメリカのグループ・サウンドの「スパイラル・ステアケース」の歌ですが多くのヴォーカリストにもカバーされています。
なにしろメロディと歌詞が良いのでもうたまりませんよ。
アーランドにとってもお気に入りの曲だったようで色んなアルバムで演奏しています。

(くつろぎ系)


2017/06/04



(910) MILES DAVIS QUINTET / MILES IN TOKYO
miles davis(tp), sam rivers(ts),
herbie hancock(p), ron carter(b), tony williams(ds)
1964Rec/CBS/


1  Introduction
2  If I Were A Bell
3  My Funny Valentine
4  So What
5  Walkin'
6  All Of You


私は今作をマイルスの数ある作品の中でも上位にランクしています。
それは取りも直さずサム・リバース(ts)の参加にあるからです。
リバースがトニー・ウィリアムス(ds)の紹介でマイルス・クインテットに参加したのわずか数か月間か。
マイルスとは音楽の方向性が違うのですぐに退団してしまいます。
リバースはこの後フリー・ジャズへと向かう。
ジョージ・コールマン(ts)からウェイン・ショーター(ts)へのほんの短いつなぎ役でした。
リバースが参加した、たった一枚のマイルスの正規盤だけに本当に貴重です。
本作は元々はラジオ放送用に録音されたもののようで、これがレコード化されたのは5年後の1969年でした。

確かにリバースには異質、違和感があってマイルスが目指すグループの一体感とは違っています。
この時のリバースの心中はいかに?
でもリバースのお蔭でそれぞれがフリー・フォームに展開しています。
特にハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスのリズム・セクションが素晴らしいです。
これはもうモダン・ジャズ史上最高のリズムセクションと言えます。
(4)「So What」のバッキングを聴いているだけで背筋がゾクゾクとして寒気が襲ってくるほどです。
とんでもない演奏だと思います・・・もう「最高!!」のひと言です。
全体を通してアグレッシブなハンコック、カーター、ウィリアムスが凄い。

(まじめ系)


2017/05/28



(909) RICHARD WYANDS TRIO / LADY OF THE LAVENDER MIST
richard wyands (p), peter washington (b), kenny Washington (ds)
1998/Venus Records/


1  Softly,With Feeling
2  Flamingo
3  When I Falling Love
4  So In Love
5  Lady Of The Lavender Mist
6  I Didn't Know What Time It Was
7  Born To Be Blue


リチャード・ワイアンズ(p)は1928年生まれの現在88歳になりますが健在のようです。
ワイアンズもまた日本のピアノ・トリオ・ファンには人気のあるピアニストだと思います。
私にとってもアルバムを見かければ「買ってみようか」と思わせる人でもあります。

ワイアンズは地味で控えめで目立たない存在ですね。
若い頃はエラ・フィッツジェラルドやカーメン・マクレーの歌の伴奏を務めていました。
裏方に徹して、決して目立たず、ただひたすらに歌手をバック・アップする。
それがワイアンズの地味な性格にもピッタリだったのではないかな。
そんなこともあってキャリアの割にはリーダー作も少なくて多分10枚に満たないと思います。
寡作家の典型なのでどの作品も貴重になります。

ケニー・バレル(g)やジジ・グライス(as)との共演で徐々に知られるようになってきました。
大向こうを唸らせるようなプレイはしないけれど、そのやさしくて暖かい音色に惹かれます。
今作はワイアンズの最後のリーダー作です。
ワイアンズが70歳、日本で制作されました。
安心感、安定感があって日本のジャズ・ファンの趣味の良さを感じさせる一枚です。

(中間系)


2017/05/21



(908) HAMIET BLUIETT QUARTET / WITH EYES WIDE OPEN
hamiet bluiett(bs)
ed cherry(g), jaribu shahid(b), nasheet waits(ds)
2000/JUSTIN TIME/


1  Africa / Island Song
2  Sing Me A Song Everlasting
3  Monk & Wes
4  Enum
5  Song For Camille
6  1529 Gunn Street
7  Mystery Tune
8  Deb
9  With Eyes Wide Open


バリトン・サックス奏者をもう一人紹介したいと思います。
ハミエット・ブルーイットは1940年生まれの現在76歳ですが健在のようです。
ジャズ史上現在まで最もパワフルで過激なバリトン奏者として知られています。
彼もまたチャールス・ミンガス(b)グループの出身で60年代には前衛の洗礼も受けています。

忘れていけないのが「ワールド・サキソフォン・カルテット」でサックス4本のユニークなグループで人気がありました。
ハミエット・ブルーイット(bs,afl,acl)、ジュリアス・ヘンフィルl(as,ss,fl)、オリバー・レイク(as,ts,ss,fl),、デヴィッド・マレイ(ts,bcl)
前衛的なサックス奏者の集まりなので実験的要素もあったと思います。
重量級で個性的なサウンドは意外なほどファンに受け入れられました。

なお日本にも「サキソフォビア」というグループがあるので機会があれば是非聴いてみて下さい。
井上 "JUJU" 博之(sax)、岡 淳(sax)、緑川 英徳(sax)、竹内 直(sax)

今作は全9曲、オリジナルが7曲、残り2曲がミンガスの同僚だった故ドン・プーレン(p)の作曲です。
ところどころでフリー・トーンをまじえながら重量感のあるバリトン・サウンドが楽しめます。
エド・チェリーのギターがまた良くて各所で輝きを放っていてその存在感は抜群です。
変幻自在に展開するナシート・ウェイツのドラミングとジャリブ・シャヒドのベース・プレイも聴きどころになります。
ギター・トリオをバックにしてのバリサクのワン・ホーン・アルバムとしては聴かせる1枚です。

(まじめ系)


2017/05/14



(907) NICK BRIGNOLA QUARTET / THE FLIGHT OF THE EAGLEnick brignola(bs),
kenny barron(p), rufus reid(b), victor lewis(ds)
1996/Reservoir/


1  Gerrylike
2  The Flight Of Theb Eagle
3  Diz
4  A Pretty Girl Is Like A Melody
5  Body And Soul
6  Rollerblades
7  My Foolish Heart
8  The Last Of Moe Hegan


私はジェリー・マリガン(bs)からジャズに入ったのでバリトン・サックスには特別の思い入れがあります。
ニック・ブリグノラ(bs)は1936年ニューヨーク生まれ、2002年に65歳で亡くなっています。
バークリーに入学、その後ウディ・ハーマンやバディ・リッチのビック・バンドで働いたようです。
多分、その他あちこちのビック・バンドで演奏したと思います。
バリトン・サックスは希少価値があるので特にビック・バンドには引っ張りだこになる傾向があります。

ブリグノラはペッパー・アダムス、ジェリー・マリガン、ハーリー・カーネイを上手くミックスしたスタイルです。
最もオーソドックスなバリトン奏者と言えます。 クラリネットやソプラノの名手でもあります。
ジェリー・マリガン以降、一番すんなりきたバリトン奏者です。
どの作品を聴いても期待を裏切らない安定感のあるプレイヤーだと思います。

さて今作はブリグノラのワン・ホーン作品でバックはケニー・バロンのレギュラー・トリオです。
バリトン一本で通していることもあって私的には一番好きなアルバムです。
ブリグノラにしては持ち味の熱っぽさを抑えて、大人しく落ち着いて吹いています。
1曲目に「Gerrylike」とあるようにマリガンに近いクールな表情を見せてくれました。
特に「Body And Soul」や「My Foolish Heart」のバラード奏法が聴きどころになります。
それぞれの演奏も良く、音色もクリアなので完成度が高いです。

(中間系)

2017/05/07



(906) HOUSTON PERSON QUARTET / iN A SENTIMENTAL MOOD
houston person(ts),
stan hope(p), george kaye(b), chip white(ds)
2000/HighNote/


1  Don't Get Around Much Anymore
2  Tenderly
3  Skylark
4  You Don't Know What Love Is
5  The Way We Were
6  My Funny Valentine
7  All The Things You Are
8  Good Morning Heartache
9  Without A Song
10  In A Sentimental Mood
11  Embraceable You
12  Deed I Do


ヒューストン・パーソンは1934年生まれで現在82歳です。
未だに現役で頑張ってくれているのは嬉しいです。
元々はソウル色が強いテナー・マン。
1960年代から活躍していますがその頃はまったくのノーマークでした。
その後は長く歌手のエッタ・ジョーンズと行動を共にしていたようなので知らなかったです。
90年代になってHighNote盤を聴いてからCDショップで見かける度に買うようになりました。
ソウル・ジャズやスムーズ・ジャズとは一線を画す、落ち着いた雰囲気のムード溢れるジャズです。
安定した実力の持ち主で太くてソフトな音色はテナー・サックスの魅力が十分です。
いつも甘くムーディな演奏に癒されています。
今作はその特徴が最も強く現れた作品だと思います。

(くつろぎ系)

2017/04/30



(905) JOHN HICKS QUARTET / NAIMA'S LOVE SONG
john hicks(p),
bobby watson(as), curtis lundy(b), victor lewis(ds)
1988/DIW/


1  Elementary My Dear Watson
2  Someday Soon
3  Soul Eyes
 4  On The One
 5  Pent-Up House
 6  Naima's Love Song


ジョン・ヒックスもまた日本で人気のあるピアニストですね。
ジョン・ヒックスは1941年生まれ、2006年に64歳で亡くなっています。

ジョン・ヒックスを初めて知ったのは60年代のジャズ・メッセンジャーズの作品です。
当時としてはやや遅咲き、遅れてきたジャズ・ピアニストの一人と言えると思います。
チャールス・トリバー(tp)、ソニー・フォーチュン(as)、チコ・フリーマン(ts)、デビッド・マレイ(ts),
アーサー・ブライス(as)、ファラオ・サンダース(ts)といった一癖あるミュージシャン達と共演。
私はこの頃のヒックスが一番刺激的で好きだったです。
90年代になるとメインストリーマーとしてあちこちに引っ張りだこの人気ピアニストになりました。

さてここは強力で好みのメンバーが揃いました。
こういう写真ジャケはいいですね。
左からカーティス・ランディ(b)、ヴィクター・ルイス(ds)、ジョン・ヒックス(p)、ボビー・ワトソン(as)です。
内容は推して知るべしの骨太の演奏が詰まっています。
4人がガッチリと決まった重厚で切れのあるサウンドはもうたまりません。
特に才人ボビー・ワトソンは大好きなアルト奏者です。
ノンブレス奏法もマスターしていてライブでは延々と続く驚異的なソロも披露してくれます。
ワトソンのいつでも全力投球は強烈で彼の演奏を聴いているといつも心が熱くなります。
なお表題曲の「Naima's Love Song」はヒックスの代表曲です。

(中間系)

2017/04/23



(904) MARION BROWN QUARTET / LA PLACITA
marion brown(as),
brandon k.ross(g), jack gregg(b), steve mccraven(ds)
1977Rec/Timeless/


1  La Placita
2  Fortunato
3  Sonnymoon For Two
 4  Bosco
 5  I'm Sorry
 6  Soft Wnd


マリオン・ブラウンは1931年生まれ、2010年に79歳で亡くなりました。
前衛、フリージャズのイメージが強いでしょうか。
初録音がジョン・コルトレーンの「アセンション」だったり、アーチー・シェップとの共演が話題になりました。
私は実に特徴的で伝統的なスタイルを持ったアルト・サックス奏者だと思っています。
繊細で美しい音色の持ち主で「アルトの詩人」との異名を持つ。
奏法、音色からは明らかにジョニー・ホッジス直系のアルト奏者ですね。
多くのバップ・アルト奏者のようにチャーリー・パーカーの影響はそれほど強くはありません。
むしろポール・デスモンドに近いのではと思っています
もちろんエリック・ドルフィやオーネット・コールマンの影響が強いのは感じます。

特に私が好きなのは前衛からオーソドックスなスタイルに戻ってきてからです。
今作もそんな傾向が強い一枚です。
最も有名な「La Placita」のライブ演奏がきけるのも嬉しい。
ロリンズの「ソニー・ムーン」やベニー・グッドマンの「ソフト・ウインド」も聴きどころになりました。
ただライブ音源なので録音はいまひとつです。

マリオンは後期になればなるほどピュアで澄んだ透明感のある音色になってきます。
哲学的で哀愁を帯びた演奏といい、彼がベジタリアンだったことと無関係だとは到底思えません。

(まじめ系)

2017/04/16



(903) SAM RIVERS SEXTET / DEMENSIONS AND EXTENSIONS
sam rivers(ts,ss,fl), james spaulding(as,fl), donald byrd(tp),
julian priester(tb), cecil mcbee(b), steve ellington(ds)
1967Rec/Blue Note/


1  Precis
2  Paean
3  Effusive Melange
 4  Afflatus
 5  Helix


久々にサム・リバースを聴きました。
ブルーノートには未発表の音源が数多くありました。
でも品番、曲目、タイトル、ジャケットまで決まっていて流れたのはそう多くはありません。
今作はそんな中の一枚です。
理由はまったく分かりません。
70年代に入ってようやく陽の目を見ました。

ピアノレス・セクステットで全曲リバースのオリジナルです。
ここにドナルド・バード(tp)がいるのが意外というか貴重に思います。
リバースは前衛・ロフト・ジャズの雄でこの後は完全フリー・ジャズに走ることになりました。

リバースはトニー・ウィリアムスの紹介でマイルス・デイビス・クインテットに参加しました。
でもすぐに退団してしまったのはマイルスとは音楽の方向性が違ったからだと思います。
そういう意味でも「マイスル・イン・トーキョー」(1964/CBS)は貴重な一枚になりました。

リバースはブルーノートに4枚のリーダー・アルバムを残しています。
そのどれもが創造力に溢れ、刺激的で素晴らしいと思います。
個性的な3人のピアニストと共演してくれているのも嬉しいです。
リバースのマルチ・プレイヤー(ts,ss,fl)振りも聴きどころになります。

* Sam Rivers Quartet / Fuchsia Swing Song (1964Rec/Blue Note)
リバースの初リーダー・アルバムで代表作と目されている作品。
ピアニストは鬼才ジャッキー・バイアード。

* Sam Rivers Quintet / Contours (1965Rec/Blue Note)
フロントにフレディ・ハバード(tp)を迎えピアニストはハービー・ハンコック。
ここでのハンコックが凄い・・・身震いするほどの素晴らしさ。

* Sam Rivers Quartet / A New Conception (1966Rec/Blue Note)
リバースのスタンダード作品集。
ピアニストに新進気鋭のハル・ギャルパー。

その他にもトニー・ウィリアムス(ds)の「ライフ・タイム」(1964)と「スプリング」(1965)、
ラリー・ヤング(org)の「イントゥ・サムシン」(1964)、
ボビー・ハッチャーソン(vib)の「ダイアローグ」(1965)にも参加しています。
そのどれもが影の支配者といわれるほどの存在感を発揮しています。

リバースは2011年12月に88歳で亡くなっています。
早世が多いジャズ・メンの中では大往生と言えますね。

(まじめ系)

2017/04/09



(902) RON CARTER QUINTET / STARDUST
ron carter(b), benny golson(ts)
, joe locke(vib), roland hanna(p), lenny white(ds)
2001/SOMETHIN'ELSE/


1  Tamalpais
2  The Man I Love
3  Nearly
 4  Bohemia After Dark
 5  Tail Feathers
 6  Blues In The Closet
 7  That's Deep
 8  Stardust


ロン・カーター(b)の2001年の日本制作盤です。
ゲストにベニー・ゴルソン(ts)にジョー・ロック(vib)です。
そういえばベニー・ゴルソンはまだ健在なんですね。
去年は87歳で来日公演しています。
ジャズ怪物の一人です。

「レビュー時のコメント」
ロン・カーターの新譜はオスカー・ぺティフォード(b)のトリビュート・アルバムになっています。
こういった組み合わせを考えるのは楽しいでしょうね。
なんと、超ベテランのベニー・ゴルソン(ts)とローランド・ハナ(p)が参加してきました。
これにヴァイブのジョー・ロックとレニー・ホワイト(ds)が加わるなら聴きたくなります。
やはり注目はゴルソンとハナのプレイでしょうか。
ゴルソンの雰囲気は大分変ってきました。
例のくねくねとした独特の節回しが抑えられて落ち着いた感じになりましたね。
ハナも相変わらずの美しいピアノを聴かせてくれました。
表題曲の「STARDUST」はピアノとベースのデュオで演奏されています。
ゆったりとしたくつろいだジャズが楽しめます。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/04/02



(901) DUSKO GOYKOVICH QUARTET / IN MY DREAMS
dusko goykovich(tp,flh)
bob degen(p), isla eckinger(b), jarrod cagwin(ds)
2001/ENJA/


1  In My Dreams
2  St.German De Pres
3  Sequoia Song
 4  Introduction
 5  Skylark
 6  One Morning In May
 7  All My Love
 8  Little Theo
 9  I Miss You So
 10  Ballad For Belgrade*
 11  All My Love*


ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)を聴くとホッとします。
ダスコの柔らかな音色に癒されるんです。
何も言うことはありません・・・ただただこのサウンドに浸っていたい。

「レビュー時のコメント」
ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)の新作は美しい旋律を持つバラード集です。GDになりました。
ダスコも今年で70歳だそうですが意欲的に演奏活動を行っています。
近年、若々しいプレイで好アルバムを連発しているのは驚きです。
ここでは全11曲中7曲がオリジナルで作曲家としての非凡な才能を見せてくれています。
円熟味を増したプレイは素晴らしいですね。心地良く胸の奥に染み込んできます。
バックのメンバーもボブ・デゲン(p)を筆頭に健闘していますよ。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/03/26