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Dragon's Jazz Corner

今週のジャケットのコメント5


NO.801〜以降。

*10周年を記念したNO.442以降のドラ盤紹介ではジャケットも掲載しています。(2008/03/30)





(900) HARVEY MASON TRIOS / WITH ALL MY HEART
hervey mason(ds).
2003/VIDEOARTS/


1 Bernie's Tune  (kenny baron & ron carter)
2 If I Should Lose You  (chick corea & dave carpenter)
3 So Near, So Far  (fred hersch & eddie gomez)
4 Swamp Fire  (monty alexander & charnet moffett)
5 Smoke Gets In Your Eyes  (bob james & charlie haden)
6 Hindsight  (cedar walton & ron carter)
7  Dindi  (brad mehldau & larry grenadier)
8  Without A Song  (mulgrew miller & ron carter)
9  One Morning In May  (dave grusin & mike valerio)
 10  Speak Like A Child  (herbie hancock & dave carpenter)
 11  Tess  (hank jones & george mraz)
 12  P'S & O'S  (john beasley & ron carter)


名ドラマーのハーヴィー・メイソンが色んなピアニストと共演しているピアノ・トリオの企画盤です。
チック・コリア、ハービー・ハンコック、モンティ・アレキサンダー、ケニー・バロン、ハンク・ジョーンズ、
デイヴ・グルーシン、シダー・ウォルトン、マルグリュー・ミラー、ボブ・ジェイムス、
若手ではブラッド・メルドー、フレッド・ハーシュ、ジョン・ビーズリーといったところが共演しています
1人1曲づつだけどこれほどのメンバーを1回で聴けるチャンスなんてありませんよ。
まとまりはないけれど大徳用盤なのは間違いないです。

「レビュー時のコメント」
ハービー・メイソン(ds)による超豪華版のピアノ・トリオ作品集です。
まずこのメンバーを見たら驚いてしまいました。
よくぞこんなメンバーを集めたものです。
この中から自分の好きなピアノ・トリオを探すのも一興でしょう。
私はピアニストのプレイもさることながらベーシストの存在も気になってしまいました。
エディ・ゴメス、チャーネット・モフェット、チャーリー・ヘイデンのトリオは良かったです。
いずれにしてもピアノ・トリオ・ファンならずともジャズ・ファン必聴のアルバムだと思います。
居ながらにして12人のピアニストが聴ける作品はそうあるものではありません。
単なる顔見世興行になっていないのも評価の高い理由でしょうね。
ここにブラッド・メルドーやフレッド・ハーシュの名前があるのは彼らが期待されていることにほかなりません。

究極の贅沢、歓喜と至福。
夢のオールスター・ピアノ・トリオによる究極のプロジェクトが遂に登場する。
これ以上ない最強のピアニスト達による、1曲入魂の本気セッション!
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/03/19



(899) HARRY ALLEN TRIO & DUO & QUARTET / WHEN I GROW TOO OLD TO DREAM
harry allen(ts) ray brown(b)(except11), jeff hamilton(ds)(except3,11),
herb ellis(g) (1,2,6,11)
2000/BMG/

1 When I Grow Too Old To Dream
2 Nagasaki
3 Here's That Rainy Day
4 Wouldn't It Be Loverly
5 You Are My Everything
6 Gravy Waltz
7 I Wish You Love
8 Lulu's Back In Town
9 I Guess I'll Have To Change My Plan
10 Ding-Dong, The Witch Is Dead
11 Detour Ahead
12 Love Walked In
13 All The Things You Are

ハリー・アレン(ts)の登場回数はエリック・アレキサンダー(ts)と双璧だと思います。
二人共に大好きなので仕方ありません。
今作はオスカー・ピーターソン・トリオの二人と共演しています。
スタンダード作品集ではあるけれど選曲にも一工夫あって甘さは控えめです。
レイ・ブラウンの安定感のある野太いベース・プレイが印象に残りました
そのレイ・ブラウンは2年後の2002年に、ハーブ・エリスは2010年に亡くなっています。
間違いなく時代は流れていますね。

「レビュー時のコメント」
ハリー・アレンの新作はピアノレス・トリオを試みてきました。
大ベテランのレイ・ブラウン(b)とジェフ・ハミルトン(ds)を起用したのが正解でしょう。
ギターのハーブ・エリスが4曲にゲスト出演しています。
今までの心地良いジャズとは一味違ってハリーの作品としては最も辛口に仕上がりました。
相変わらずの古風なスタイルはともかくとして素直にテナー・サウンドを楽しみましょう。

心で聴こえる。
迫力のベース、メロディアスなドラムス、色気漂うサックスが醸し出す、琥珀色のジャズ・サウンド。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/03/12



(898) HAROLD MABERN TRIO / FANTASY
harold mabern(p), dwayne burno(b), joe farnsworth(ds)
2004/Venus/

1 Almost Like Being In Love
2 Harlem Dawn
3 Lollipops And Roses
4 Sesame Street Theme
5 Fantasy
6 The Sidewinder
7 It Only Hurts When I Smile
8 Let's Face The Music nd Dance
9 Jackson Patrk El Train
10 You Belong To Me

ハロルド・メイバーン(p)の2004年作品も紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

ハロルド・メイバーンはやや遅れてきたハード・バッパーと言えるかもしれませんね。
1936年生まれの今年で81歳・・・まだ現役で頑張っています。
バド・パウエル直系のピアニストとしては最後の年代かな。
以前見たライブではその強靭なタッチと切れ味に驚かされたものです。
実にソウルフルで抜群のスイング感を持っていました。

E・W・&Fの大ヒット曲「宇宙のファンタジー」、リー・モーガンの名曲「サイド・ワインダー」他、
スタンダード曲等に彼の美旋律のオリジナル・バラードを含む強力無比の選曲で
メンバーン節が全開の傑作アルバム。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/03/05



(897) ELIANE ELIAS / AROUND THE CITY
eliane elias(vo,p), marc johnson(b), oscar castro neves(g),
adam rodgers(g), vicente amigo(g), andres levin(g),
randy brecker(tp)(2,4,7), dave valentin(fl)(2), paulo braga(ds),
gene lake(ds), paulinho da costa(per),gilmar gomes(per), etc
2006/BMG/

1 Running
2 Oye Como Va
3 Around The City
4 Jammin'
5 Segredos
6 We're So Good
7 Tropicalia
8 Slide Show
9 A Vizinha Do Lado
10 Sava Your Love For Me
11 Chiclete Com Banana
12 Another Day
13 Segredos
*14 The Song Is You

イリアーヌ・イリアス(vo,p)の2006年作品も紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

イリアーヌの声は好みです。
聴くたびにそう思います。
落ち着くし癒されます。
これは理屈じゃありません。

エレクトリックでクールなサウンドからボサノヴァのリズムでゆったりと心和ませる歌声までまで、
様々な色合いを見せる会心作。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/02/26



(896) NIELS. H. O. PEDERSEN TRIO / FRIENDS FOREVER
-In Memory Of Kenny Drew
niels.h.o.pedersen(b), renee rosnes(p), jonas johansen(ds)
1995/Key'stone/

1 Hushabye
2 Kenny
3 Someday My Prince Will Come
4 Elvira Madigan
5 Lullaby Of The Leaves
6 The Shadow Of Your Smile
7 Sometime Ago
8 Days Of Wine And Roses
9 Future Choild〜Friends Forever

ニールス・ペデルセン(b))の1995年作品も紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

ペデルセンはジャズ界で最も長い名前を持っているかもしれませんね。
Niels-Henning Orsted Pedersen
ニールス-ヘニング・オルステッド・ペデルセンが正式な名前です。
ヨーロッパのベーシストは60年代にこのニールス・ペデルセンの登場で一気に注目されることになりました。
強靭、強烈なベース・プレイという表現はペデルセンから始まったと思います。
最初は超絶技巧ばかりが目立ちましたが徐々にアメリカの伝統的なベース奏法も取り入れていくことになります。
共演のリニー・ロスネスは独特のタッチとタイミングの持ち主でカチッとした硬派のピアニストで個性的です。

こんなに甘く切ない調べが、かってあっただろうか・・・。
逝ってしまった最愛の友に捧げる、衝撃のケニー・ドリュー追悼集。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/02/19



(895) ROBERTA GAMBARINI / EASY TO LOVE
Roberta Gambarini(vo),
Tamir Hendelman(p)(except2), Gerald Clayton(p)(2),
Chuck Berghofer(b)(1,4,6,7,9,10,13,14), John Clayton(b)(2,3,5,8,11),
Willie Jones III(ds)(1,2,3,5,8,11,14) , Joe La Barbera(ds)(4,6,7,9,10,13)
James Moody(ts,vo)(3,8)
2005 /55 Records/

1 Easy To Love
2 Only Trust Your Heart
3 Lover Man
4 On The Sunny Side Of The Street
5 Porgy, It's Your Woman Now / I Loves You Porgy
6 Lover Come Back To Me
7 The Two Lonely People
8 Centerpiece
9 Guess I'll Hang My Tears Out To Dry
10 No More Blues
11 Smoke Gets In Your Eyes / All The Things You Are
*12 Multi-Colored Blue
*13 Monk's Prayer / Looking Back

ロバータ・ガンバリーニ(vo)の2005年作品も紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

エラ、サラ、カーメンの再来!!
2005年にデビュー作(本作)が発売されるや否や一大センセーションを巻き起こしました。
イタリア出身の彼女は本格的かつ大型のジャズ・ヴォーカリストです。
久々に聴いているけどやはり素晴らしいです。
ただ今は入手困難のようですね。
なお(12)、(13)はボーナス・トラックです。

エラ、サラ、カーメンの」再来!!
ついに現れた究極のジャズ・シンガー、待望のデビュー・アルバム
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/02/12



(894) EDDIE HIGGINS QUARTET / SMOKE GETS IN YOUR EYES
eddie higgins(p)
steve gilmore(b), bill goodwin(ds), scott hamilton(ts)
2002/VENUS/

1Melancholy Rhapsody
2 It's A Lonesome Old Town
3 You Don't Know What Love Is
4 By Myself
5 Smoke Gets In Your Eyes
6 Lullaby Of The Leaves
7 When The Sun Comes Out
8 Love Letters
9 When You Wish Upon A Star
10 All This And Haven Too
11 You're My Everithing

エディ・ヒギンズ&スコット・ハミルトン。
この組み合わせはヴィーナスから何枚か出ていてその中の一枚です。
上品なヒギンスと下卑たハミルトンのコラボレーションです。
この二人は本質的には合わないと思っています。
でもそんな異質な組み合わせが面白くて魅力なんです。
サム・テイラー並みにムーディーなハミルトンが聴けますよ。
テナー・サックス独特の「低音の魅力」をどうぞ。


「レビュー時のコメント」
エディ・ヒギンス・トリオにスコット・ハミルトン(ts)を迎えて新味を加えています。
ベテラン・カルテットによるスタンダード作品集です。
この組み合わせを見ればある程度の予想がつくので買い安心感はありますね。
ここでの主役はスコット・ハミルトンだと思いますがもう少し抑えてほしかったです。
私にはちょっと渋過ぎる感じがしましたがみなさんはどうでしょうか。

テナー・サックスの名手、スコット・ハミルトンをフューチュアーして
ピアノのエディ・ヒギンスがゴージャスでくつろぎに満ちた最上のジャズ・アルバムを完成。
50年代にタイム・スリップしたようなジャズ・エイジがとても新鮮。
ジャズの快楽に溢れたジャズ芸術の傑作。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(くつろぎ系)

2017/02/05



(893) EDDIE HIGGINS TRIO / IF DREAMS COME TRUE
eddie higgins(p), jsay leonhart(b), joe ascione(ds)
2004/Venus/

1 If Dreams Come True
2 Summertime
3 It's All Right With Me
4 Moon And Sand
5 Minor Swing
6 I Will Wait For You
7 A Weekend In Havana
8 Into The Memory
9 St.Louis Blues
10 Shinjuku Twilight
11 Frenesi
12 Nightingale
13 Caravan
14 TRhe Days Or Wine And Roses

エディ・ヒギンス(p)の2004年作品も紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

エディ・ヒギンスのヴィーナス盤はかなりの数がありますね。
その中でも今作は比較的地味なアルバムだと思います。
白黒のモノトーンなジャケットにも影響されたかもしれませんね。
でも内容は素晴らしいです。
この人のピアノは本当に上品で美しいです。
綺麗な音色と抜群のスイング感はヒギンス独自の個性ですね。


「気取らない選曲」、「奇をてらわない選曲」、「なだらかな選曲」、それでいて「スリルを失わない華麗な選曲」
まるで気取らない美術館の展覧会の絵みたいではないか!!
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2017/01/29



(892) TAKAKO AFUSO / KON 魂
安冨祖貴子(vo)、
井上陽介(b,arr)、知念嘉哉(g)、大隅寿男(ds)、
川島哲郎(ts)、安井さち子(p)、金子雄太(org)
2006/M&I JAZZ/


1 Work Song
2 I'm A Fool To Want You
3 Here Comes The Sun
4 Everything Must Changs
5 My Favorite Things
6 Just Like A Woman
7 Smooth Operator
8 I Loves You Porgy
9 My Baby Just Cares For Me
10 Hero
11 Moanin'
12 Tennessee Waltz

安冨祖貴子さん・・・久々に聴いたけどこれが素晴らしかったです。
ソウル・パワフルばかりに耳が向いてたけどバラードも素晴らしいです。
(2)、(3)、(4)の並びに参った。
共演者がまた素晴らしいですね。
特に川島哲郎さんのテナー・サックスが心に響いてきます。

「レビュー時のコメント」
燃えるように生き、そして愛した・・・。
魂に深く響く歌。
沖縄から50年に一人のジャズの逸材登場。
(帯中よりの抜粋)

安冨祖貴子さんのデビュー・アルバムです。
発売時にはジャズ仲間でも話題になりました。
それほど衝撃的なデビューだったです。
ストレートに心に響く歌声は素晴らしいです。
まさに魂まで届いてくる感じがしました。
ニーナ・シモンに最も影響を受けているようです。
ニーナのヒット曲、G・ハリソンの「Here Comes The Sun」でよく分かりました。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2016/01/22



(891) STEVE KUHN TRIO / QUIEREME MUCHO
steve kuhn(p), david frinck(b), al foster(ds)
2000/VENUS/

1 Andalucia
2 Besame Mucho
3 Siempre En Mi Corazon
4 Duerme
5 Quiereme Mucho
6 Tres Palabras

ここでのスティーヴ・キューンは素晴らしいです。
この手の作品には珍しく重厚な作りになっています。
6曲だけなので1曲づつの演奏時間も長いです。
ジャケットに惑わされてはいけませんよ。
お勧めです。

「レビュー時のコメント」
スティーヴ・キューンの新作は前回に引き続きGDになりました。
彼がヴィーナス・レコードに吹き込んだ日本企画の第3弾です。
ここでも彼は、アフロ・キューバン・ジャズを気持良く聴かせてくれています。
ビル・エバンス系のピアニストでしたが最近はリリシズムだけでなく力強さも加わりました。
スティーブ・キューンも60歳を越えましたのでね、独自のスタイルを感じさせます。
ヴィーナス独特の24ビット、ハイパー・マグナム・サウンドと共に日本人好みの作品です。
ジャケットも男性向きなのでジャケ買いも多くなるかも知れませんね。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2016/01/15



(890) BENNIE WALLACE QUARTET / SOMEONE TO WACTH OVER ME
bennie wallace(ts)
mulgrew miller(p), peter washington(b), yoron israel(ds)
1999/ENJA/

1 Nice Work If You Can Get It
2 The Man I Love
3 Who Cares
4 Someone To Watch Over Me
5 I Was Doing All Right
6 How Long Has This Been Going On
7 It Ain't Necessarily So
8 I love You Porgy

久々に聴くベニー・ウォレス(ts)です。
ゴリゴリ・テナー・サックスのちょっと引っかかるところがたまりません。
これほど個性的なテナー奏者も見当たりませんね。
雰囲気は日本制作盤と思いきやドイツ盤です。

「レビュー時のコメント」
ベニー・ウォレスのジョージ・ガーシュイン作品集です。
ウォレスは今までずっと我が道を行くという感じでやってきた人ですから、
彼はすでに独自の世界を持っていると思います。このアルバムでも十分個性的です。
時には刺激的、時にはクドク、スリルもあります。
私は1曲目から彼の世界に引き込まれてしまいました。
ワン・ホーンのテナー・サックスのアルバムとしてはとても新鮮に聴こえたからです。
その上、ピアノのマルグリュー・ミラーのプレイも光っています。
私は今までこんなに目立つミラーを聴いたことがありません。
ミラーについては過少評価をしていましたので改めなくてはいけませんねえ。
彼の代表作の一枚にもなると思います。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(まじめ系)

2016/01/08



(889) JACKIE MCLEAN QUARTET / NATURE BOY
jackie mclean(as)
cedar walton(p), david williams(b), billy higgins(ds)
1999/SOMETHIN'ELSE/

1 You Don't Know What Love Is
2 Nature Boy
3 I Can't Get Started
4 What Is This Thing Called Love
5 I Fall In Love Easily
6 Smoke Gets In Your Eyes
7 Star Eyes
8 A Nightingale Sang In Berkeley Square

マクリーンを聴いたのも久し振りです。
まさにマクリーン節が詰まっていました。
表題曲の「Nature Boy」が素晴らしい。

「レビュー時のコメント」
ジャッキー・マクリーンのバラード作品集です。
予想通りの仕上がりで、マクリーン節を堪能出来ると思います。
彼のプレイは非常になめらかで、その音色も67歳とは思えない艶があります。
とにかくマクリーンがずば抜けて素晴らしいアルバムです。
シダー・ウォルトンのサイド・マンとしての力量には定評のあるところですが、
私としては、もう少し刺激し合ってほしかったというのが本音です。
そうしたら、もっと緊張感のある作品になったと思います。惜しかったなあ。


「レフト・アローン」のように切なく、「スイング・スワング・スインギン」のように美しく、
そして溢れるほどロマンティック。
円熟の巨人が到達したワン・ホーン・カルテットの極致。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2016/12/25



(888) DENNY ZEITLIN TRIO / AS LONG AS THERE'S MUSIC
denny zeitlin(p), buster williams(b), al foster(ds)
1998/Venus/

1 As Long As There's Music
2 They Can't Take That Away From Me
3 For Heaven's Sake
4 There And Back
5 I'm All Smiles
6 Cousin Mary
7 Triste
8 Canyon
9 I Fall In Love Too Easily
10 The Man I Love

デニー・ザイトリン(p)の1998年作品も紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

ザイトリンは医学博士の肩書きを持つジャズ・ピアニストで1960年代に活躍していました。
エバンス的ではあるけれど一筋縄ではいかない硬派なピアニストとの印象が残っています。
ここでもその特徴を生かしたクールでリリシズム溢れる演奏を聴かせてくれました。
長らくその名前を聞かなかったけれど、この演奏を聴くとまったくブランクはないようですね。


現在も精神科医をしながらジャズ・ピアニストとしてLA、NYで活躍中のザイトリンの待望の新作。
ビル・エバンスを愛してやまない彼のピアニズムが暖かく、時には激しく、
ジャズのロマンティシズムを華麗に発散させた傑作アルバム。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2016/12/18



(887) RUSSELL MALONE QUARTET / SWEET GEORGIA PEACH
russell malone(g)
kenny barron(p), ron carter(b), lewis nash(ds)
1998/Impulse/

1 Mugshot
2 To Benny Golson
3 Strange Little Smile/With You I'm Born Again
4 Sweet Georgia Peach
5 Rise
6 Mean What You Say
7 Song For Darius
8 Bright Mississippi
9 Someone's Rocking My Dreamboat
10 For Todders Only
11 Swing Low, Sweet Chariot
12 Yesterdays

改めて聴いてみるとラッセル・マローンのギター・テクニックが凄いです。
キッチリと音が出てくる・・・その美しい音色とギター・プレイが素晴らしいです。
加えてケニー・バロンのピアノがまたいいんだな。
BGMで聴いていてもつい二人の演奏に耳が傾いてしまいます。
ピッタリとハマった4人のコンビネーションも聴きどころです。

「レビュー時のコメント」
ラッセル・マローンはダイアナ・クラ―ルとの共演で知られていますが、
骨太のサウンドで個性的だと感じました。
共演者もケニ―・バロン(p)、ロン・カーター(b)、ルイス・ナッシュ(ds)
と渋い組み合わせで、好感がもてます。ここでは、特にピアノがいいです。

ラッセル・マローンのインパルス移籍第一弾。
曲よし、メンバーよし、プレイよしのゴキゲンな作品。
H.アルバートの大ヒット作「ライズ」もやってます。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」


(中間系)

2016/12/11



(886) PHAROAH SANDERS QUARTET / BALLADS WITH LOVE
pharoah sanders(ts),
william henderson(p), charles fambrough(b), sherman ferguson(ds)
1993/VENUS/

1 Too Young To Go Steady
2 Feelin' Good
3 Light At The Edge Of The World
4 Body And Soul
5 Misty
6 In A Sentimental Mood

ファラオ・サンダース(ts)の1993年作品、今作品もまた紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの枚数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

ファラオのスタンダード集は文句なしに素晴らしいです。
時にフリー・トーンの交えてスピリチュアルに歌い上げる。
パワフルなのはもちろんですが、クリアで美しいテナー・サックスの音色にも注目です。
バックの3人がまたシブい演奏を聴かせてくれました。
録音時間が40分というのはいかにも短く感じました。
名盤です。

コルトレーンの名作「バラード」と一対をなすファラオのスタンダードの傑作。
これぞ真実のバラード集
(帯中よりの抜粋)


(中間系)

2016/12/04



(885) EDDIE HIGGINS TRIO / AGAIN
eddie higgins(p), ray drummond(b), ben riley(ds)
1999/VENUS/

1 Again
2 How Insensitive
3 Goin Kouta〜Kyoto Blues
4 My Foolish Heart
5 Yellow Days
6 My Romance
7 I'll Never Be The Same
8 Walk Alone
9 Now Please Don't You Cry, Beautiful Edith
10 Polka Dots And Moonbeams
11 Will You Still Be Mine ?
12 Hurry Song

長い間音沙汰なしだったエディ・ヒギンスを表舞台に出したのはヴィーナス・レーベルの功績です。
今作はその2作目です。
何とも上品なピアノ・・・まさに日本人好みのピアニストでこの後大ブレークすることになります。
私もまたワン・パターンだと思いながら何枚も買う羽目になりました。
今回は久々に聴いた「How Insensitive」の美しさに痺れた。

「レビュー時のコメント」
エディ・ヒギンス・トリオの新作です。
ヴィーナス・レコードのハイパー・マグナム・サウンドは、音が前面に出て来ます。
ある程度枯れないとこういうピアノは弾けませんよ。
年を経ないと出せない味わいというのもあるのです。
私なんかの年齢には、グッと心にせまるものがありますが、若い人には全然物足りないかも知れませんね。
小曽根真やローランド・カークの曲も演奏しています。
私が好きな「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス」もあるので満足です。
「祗園小唄」はまあご愛嬌です。
スイング感が心地良い、ジャズ・フィーリング溢れるスタンダード作品集といったところでしょうか。

名作「魅せられし心」に続きお洒落なジャズ・フィーリングに満ちている最新アルバム!
魅力的なメロディ・ラインを持つスタンダードを中心に選曲!
中でもヒギンスが日本に住んでいた時知った好きな曲「祇園小唄」を
自作の「京都ブルース」とドッキングさせたカッコいいジャズ・バージョンが圧巻!!
(帯中よりの抜粋))


「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(くつろぎ系)

2016/11/27



(884) STEVE KUHN TRIO / PLAYS STANDARDS
steve kuhn(p), buster williams(b), al foster(ds)
2007/Venus/

.1 Alone Together
2 Golden Earrings
3 I Wish I Knew
4 Left Alone
5 Blue Bossa
6 Nature Boy
7 Softly As In A Morning Sunrise
8 You Leave Me Breathless
9 Oceans In The Sky
10 I See Your Face Bfore Me
11 Love Letters
12 Beautiful Love.

スティーヴ・キューン(p)の今作は紹介から漏れていました。
実は後から買い増したCDの1枚でこういう作品もかなりの数があります。
追々紹介していく機会もあるかもしれません。

キューンにしたら粗くかなり騒がしくなりました。
人選に問題があったかもしれませんね。
キューンにはもっと格調高く上品に演奏してもらいたかったけど・・・。

”スティーヴ・キューン・トリオで聴きたい曲をリクエストしたら?’
というコンセプトを基に録音!
有名スタンダード曲満載のベスト・ヒット的内容のとても親しみやすいジャズ・ピアノ・トリオ作品。
音楽的にはあくまで重厚で華麗なトリオ・サウンドの快感がたまらない傑作!
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/11/20



(883) BARNEY WILEN QUARTET / FRENCH STORY
barney wilen(ts,ss),
mal waldron(p), stafford james(b), eddie moore(ds)
1990/M&I/

1 男と女
2 死刑台のエレベーター
3 シェルブールの雨傘
4 危険な関係のブルース
5 黒いオルフェ
6 殺られるのテーマ
7 枯葉
8 クワイエット・テンプル.

柔らかくお洒落なイメージのバルネと独特のタイミングとタッチを持つ硬派なマルの顔合わせ。
異色な組み合わせが緊張感を生み出す。
スローテンポで展開する(2)「死刑台のエレベーター」のバルネが超素晴らしい。

「レビュー時のコメント」

バルネとマルのぶつかり合い。
一見異質だと思える異色な組み合わせだと思います。
適度な緊張感がうかがえるのでそれがこのアルバムの評価を高めています。

「死刑台のエレベーター」から33年後。
シネ・ジャズ、フレンチ・ジャズの代名詞となっている天才テナー、バルネが
マル・ウォルドロン・トリオと描いたフレンチ・ストーリー!!
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/11/13



(882) HORACE PARLAN / WE THREE
horace parlan(p), mads vinding(b), ed thigpen(ds)
1998/BAYBRIDGE/

1 Us Three
2 Summertime
3 Broken Promises
4 Solar
5 Wild Is The Wind
6 Bags Groove
7 Fran Dance
8 Little Esther
9 Billy's Bossa
10 Have You Met Miss Jones ?
11Blues For H.P.

ホレス・パーランは久し振りに聴いたけどやっぱりいいです。
全てに個性的です。
この独特のノリがなんともたまりませんよ。

「レビュー時のコメント」

私はこの種の日本制作盤にも、どうしても手が出てしまいます。
名作、「アス・スリー」のリメイク盤ですが、本物の足元にも及びません。
しかしながら、ホレス・パーランの独特の乗りに私は弱いのです。
メンバー的にも魅力がありますし、まあ安心して聴いていられるピアノのアルバムです。

メロディアスで個性的。 黒いピアニズム。
そしてサポート陣が素晴らしく、”我ら3人”を主張する。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/11/06



(881) ARCHIE SHEPP QUARTET / TRUE BLUE
archie shepp(ts,vo)
john hicks(p), gorge mraz(b), billy drummond(ds)
1999/venus/

1 Lonnie's Lament
2 Everytime We Say Goodbye
3 Time After Time
4 All Or Nothing At All
5 But Beautiful
6 Que Reste-T-Il De Nos Amours
7 Blue Train
8 A Little Surprise For The Lady
9 I Want To Talk About You

フリー・ジャズ・ファンにとってはこんな軟弱なシェップは聴きたくないでしょうね。
でも私にしたらちょうどいい案配です。
フリー出身のプレイヤーは音に力があって、時にフリー・トーンを交えて、
ひと味違ったバラードが楽しめるので私は好きです。
今回の聴き直しでは(3)「Time After Time」が良かった。

「レビュー時のコメント」

アーチー・シェップのバラードシリーズの3作目ですが、さすがにその存在感は圧倒的です。
今、これだけ迫力のあるテナーを吹ける人はほとんどいませんね。
ジョージ・ムラツのベースは聴かせます。
個人的には、シェップのボーカルは勘弁してほしいです。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/10/30



(880) ERIC REED TRIO / IMPRESSIVE & ROMANTIC
eric reed(p), ron carter(b), al foster(ds)
2004/M&I JAZZ/

1 Out Of The Past
2 I Let A Song Go Out Of My Heart
3 I Want To Be Happy
4 Can't Help Singing
5 Miles Ahead
6 Johnny Guitar
7 Loose Bloose
8 So In Love
9 Blues In The Night
10 Blah, Blah, Blah
11 It's Easy To Remember

エリック・リードの切れ味鋭い美しいピアノが聴けました。
メロディ・メーカーとしてのリードの真の姿がここにあります。

「レビュー時のコメント」

アメリカ期待のピアニスト、エリック・リードのこの組み合わせは「クレオパトラの夢」に続いて2作目になります。
スタンダード作品集。
私は馴染んだ分だけ前作よりも上という印象を持ちましたがどうでしょうか。
-THE GREAT COMPOSERS WE LOVE-という副題が付いていてスタンダード中心でオリジナルはありません。
超ベテランの二人のサポートでエリックのメロディアスな部分にスポットを当てた作品だと思います。
若手のプレイヤーに良く知られたベテランを組み合わせるのはよくあることですね。
この方法は一般的に安定感と安心感は持てますが反面刺激が少なくなります。
それでも買う側にとっても全然知らないプレイヤーの作品を買うのは勇気がいるので効果はあります。
私なども一人でも知った人がいないと躊躇してしまうのも事実ですから。
若手とベテランが刺激し合ってうまくいけば最高、しかし若手がベテランに気を使う形になる場合も多いです。
私としてはエリック・リードならメンバーに中堅、若手を配してより刺激的なピアノ・トリオが聴きたかったです。

ロン・カーターとアル・フォスターの強力なサポートがさらにテンションを高める。
テンダーでピアニスティックな面をみせるエリック、まさに現在最高のマスターズによるピアノ・トリオの傑作だ。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/10/23



(879) JUNIOR MANCE TRIO+1 / YESTERDAYS
junior mance(p), chip jackson(b), jackie williams(ds)
eric alexander(ts)
2001/M & I/

1 Willow Weep For Me
2 Yesterdays
3 Georgia On My Mind
4 C.Jam Blues
5 Summertime
6 Something
7 Cry Me A River
8 Blue Monk
9 What Are You Doing The Rest Of Yiour Life

今作はジュニア・マンスの粘りつくような真っ黒なピアノが聴きどころになりました。
その強烈なブルース・フィーリングにエリック・アレキサンダーが立ち向かう。

「レビュー時のコメント」

ジュニア・マンス(p)の新作は日本人プロデューサーによるスタンダード作品集です。
やはり、根っこにあるのはブルース・フィーリングですね。
ここでも独特の粘りのあるプレイを聴かせてくれています。
ゲストのエリック・アレキサンダー(ts)は抑えたプレイで珍しいです。
かなり我慢した感じですがやや欲求不満とみましたがどうでしょうか。

シンプルな表現の奥深さ、軽やかでセンシティブなプレイ!
エリック・アレキサンダーをゲストにマンスの魅力が100%!!
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/10/16



(878) McCOY TYNER QUINTET / PRELUDE AND SONATA
joshua redman(ts), antonio hart(as),
mccoy tyner(p), christian mcbride(b), marvin"smitty"smith(ds)
1995/Key's Stone/

1 Prelude In E Minor Op.28, No.4
2 Loss Of Love
3 Contemplation
4 For All We Know
5 I'll Wait For You
6 Soul Eyes
7 Smile
8 Good Morning, Heartache
9 Piano Sonata No.8 In C Minor

マッコイ・タイナー(p)の今作は当時の新進気鋭のジョシュア・レッドマン(ts)の参加が最大の焦点。
期待通りジョシュアは各所で才能溢れる演奏を聴かせてくれました。
クリスチャン・マクブライド(b)とアントニオ・ハート(as)も気鋭の若手として注目されていました。

「レビュー時のコメント」

ショパンの”プレリュード”、ベートーヴェンの”ソナタ”を驚異のメンツが見事なジャズに変えた。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/10/09



(877) NIELS LAN DOKY & TRIO MONTMARTRE / CASA DOLCE CASA
niels lan doky(p), lars danielsson(b), jeff boudreaux(ds)
2002/Key'stone/

1 Tu Si Na Cosa Grande
2 La Vita E Bella (Life Is Beautiful)
3 Estate
4 Medley:Prelude~Caruso
5 Che Vuo Sape (What Do You Wantb To Know)
6 Love Theme From "The Godfather"
7 Ave Maria
8 "K.S"
9 Che Ore So (What Timeb Is It)
10 Casa Dolce Casa (Home Sweet Home)
11 Il Volo (My Love)

メロディアスで美しいピアノが聴けました。
硬質で緊張感漂うサウンドが素晴らしい。

「レビュー時のコメント」

ニルス・ラン・ドーキー(p)が率いるトリオ・モンマントルのセカンド・アルバムだそうです。
イタリアをモチーフにした作品ですが洗練された美しいアレンジが魅力的です。
ヨーロッパ・ピアノ独特の叙情感としなやかなタッチを持っています。
私としてはかなりお気に入りのピアノ・トリオになりました。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/10/02



(876) DOMINICK FARINACCI QUARTET / BESAME MUCHO
dominick farinacci(tp)
adam birnbaum(p), peter washington(b), camen intorre, jr(ds) 
2004/M&I/

1 Ghost Of A Chance
2 Caminamos
3 It's All Right With Me
4 Besame Mucho
5 Al Di La
6 Libertango
7 Shmoove
8 Nostalgia
9 Jimmy Two Times
10 You Go To My Head
11 Dowan To The Wire

確かにドミニク・ファリナッチ(tp)のバラード奏法は素晴らしい。
見事に楽器をコントロールしています。

「レビュー時のコメント」

驚異のバラード吹き、天才児ドミニクが更に深味と輝きを増した。
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/09/25



(875) SWEET BASIL TRIO / MY FUNNY VALENTINE
cedar walton(p), ron carter(b), billy higgins(ds)
1991/Sweet Basil/

1 My Funny Valentine
2 Just In Time
3 Detour Ahead
4 Memories Of You
5 Round Midnight

「Sweet Basil Trio」はシダー・ウォルトン(p)、ロン・カーター(b)、ビリー・ヒギンス(ds)がメンバーです。
1番若いウォルトンががリーダーになるかな。
表題曲の「My Funny Valentine」は16分弱の長丁場で聴き応えがあります。
続く「Just In Time」は11分強のスイング感溢れる演奏が聴けました。

「レビュー時のコメント」

さすが、大リーガーの貫禄と至高のプレイ!!
(帯中よりの抜粋)

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(中間系)

2016/09/18



(874) BUD SHANK / MEETS THE RHYTHM SECTION
bud shank(as),
cyrus chestnut(p), george mraz(b), lewis nash(ds)
1997/key'stone /

1 September Song
2 Besame Mucho
3 Angel Eyes
4 Someday My Prince Will Come
5 Beautiful Love
6 I Remember Clifford
7 Tenderly
8 Here's That Rainy Day
9 I Remember You
10 Night & Day
11 Autumn

アート・ペッパー(as)の名盤「ミーツ・リズムセクション」の現代版の位置付け。
ウエスト・コースト・ジャズ・シーンの人気アルト奏者、バド・シャンクは健在だった。

「レビュー時のコメント」

バド・シャンクとサイラス・チェスナット・トリオの共演盤、スタンダード作品集。
70歳を過ぎた白人アルト奏者は、バド・シャンクとリー・コニッツ、フィル・ウッズ位でしょうか。
年を取ると年を取ったなりの味が出るものですね。
まだこれだけのプレイが出来るのですから脱帽です。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(くつろぎ系)

2016/09/11



(873) RYAN KISOR QUINTET / CONCEPTION
ryan kisor(tp), sherman irby(as),
peter zak(p), john webber(b), willie jones V(ds)
2008/Birds/

1 Cool And Hot
2 Line For Lyons
3 Conception
4 You Stepped Out Of A Dream
5 Enigma
6 I Remember You
7 All The Things You Are

ライアン・カイザー(tp)は収集対象です。
カイザーとシャーマン・アービー(as)のコンビネーションが聴きどころ。
(2)「Line For Lyons」と(6)「I Remember You」も良かった。

「レビュー時のコメント」

メンバーは「LIVE AT SMALLS」(2010)のライブ盤でも共演しているシャーマン・アービー(as)とピーター・ザック(p)、
それにジョン・ウィーバー(b)、ウィリー・ジョーンズV(ds)です。
演目には同じ「Cool And Hot」、「You Stepped Out Of A Dream」、
「Enigma」などが含まれているので「LIVE AT SMALLS」のライブ盤の前哨盤になりました。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(くつろぎ系)

2016/09/04



(872) HARRY ALLEN / I WON'T DANCE
harry allen(ts)
larry goldings(p), dori caymmi(g,vo), joen cohn(elg),
dennis irwin(b), duduka da fonseca(ds), mancha adnet(vo)
1998/BMG

1 O Pato
2 Corcovado
3 Desafinado
4 Once I Loved
5 Time Is Standing Still
6 Meditation
7 No More Blues
8 Air
9 I Won't Dance
10 If You Never Come To Me
11 Doralice
12 Retrato Em Branco E Preto

夏の終わりにハリー・アレン(ts)のボサノバを聴く。

「レビュー時のコメント」

日本でのハリー・アレンの人気を決定的にしたボサノバ・アルバムです。
スタン・ゲッツ=ボサノバの後を受け継ぐのはハリー・アレンしかいません。
それほどにハリーの持つ音色がボサノバのリズムとしっくりきます。
まさかこれほど良いとは・・・驚きました。

「Swing Journal : ゴールド・ディスク」

(くつろぎ系)

2016/08/28



(871) HAROLD MABERN QUARTET / MR. LUCKY
harold mabern(p), eric alexander(ts), john webber(b), joe farnsworth(ds)
2012/HighNote/

1 The People Tree
2 As Long As She Needs Me
3 Soft Shoe Trainin' With Sammy
4 Hey There
5 I've Gotta Be Me
6 Mr. Lucky
7 What Kind Of Fool Am I ?
8 Night Song
9 Something's Gotta Give

ハロルド・メイバーンの強力なピアノが満喫できます。
相手がエリック・アレキサンダー(ts)なら、これでもかこれでもかと押してくる。
しつこいまでの音圧をお楽しみ下さい。

「レビュー時のコメント」

ハロルド・メイバーンはやや遅れてきたハード・バッパーと言えるかもしれませんね。
1936年生まれの今年で76歳・・・バド・パウエル直系のピアニストとしては最後の年代かな。
近年の活躍には目覚しいものがあって典型的な遅咲きのプレイヤーです。
何年か前に見たライブではその強靭なタッチと切れ味に驚かされました。
実にソウルフルで抜群のスイング感を持っていました。

メイバーンに注目したのはハンク・モブレー(ts)の大ヒット作「ディッピン」や
リー・モーガン(tp)の「ジゴロ」からでした。
私は当時のリーダー作を持っていないのでほとんどノー・マークというか手が回らない存在でした。
低迷期を過ぎて90年代に入るとエリック・アレキサンダー(ts)との共演で不死鳥のように蘇ってきました。
メイバーンはエリックにとっての師匠格で、父親みたいな存在だと思います。
どれだけのジャズ・スピリッツを受け継いだものか。

内容は推して知るべしの純ハード・バップ・アルバムです。
副題には「サミー・デイビス・Jrに捧げる」とあります。
あまり馴染みのない曲が多いですがサミー・デイビスのヒット曲だと思います。
(7)「NIGHT SONG」がただ1曲のピアノ・トリオ演奏・・・ロマンティックで美しいです。
(4)「HEY THERE」のソロ・ピアノも聴きどころでメイバーンの実力をを余すところなく伝えています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/08/21



(870) ENRICO PIERANUNZI TRIO / PERMUTATION
enrico pieranunzi(p), scott colley(b), antonio sanchez(ds)
2012/CamJazz/

1 Strangest Consequences
2 Critical Path
3 Permutation
4 Distance From Departure
5 Horizontes Finales
6 Every Smile Of Yours
7 Within The House Of Night
8 The Point At Issure
9 A Different Breath

凄いのひと言。
切れ味抜群、スリリングなピアノ・トリオが聴けます。
ピエラヌンチは世界最高峰のジャズ・ピアニストの一人です。

「レビュー時のコメント」

エンリコ・ピエラヌンチ・トリオ・・・今作も去年のベスト3に上げられた1枚です。
エンリコ・ピエラヌンチも息の長いピアニストです。
長い間、第一線で活躍できる理由は何でしょうか。
あくなき探究心とチャレンジ精神のたまものかもしれませんね。
幅広い音楽性と多彩な表現力は聴く人の評価を一定化させない特徴があります。
先日亡くなった大島渚さんに「監督は分かられたら仕舞い」という名言があります。
エンリコの姿とダブります・・・つかみどころがない・・・エンリコにスタイルは存在しない。
プレイが若々しくて未だに発展途上と感じさせるところが凄いです。

今作は現在最も刺激的なドラマーのアントニオ・サンチェスとスコット・コーリー(b)の組み合わせ。
演目は全てエンリコのオリジナル・・・曲想もテンポも多彩で飽きさせません。
私が選んだのはこのメンバーならではの刺激的な展開の (1)「STRANGEST CONSEQUENCES」、
(8)「THE POINT AT ISSUE」、(2)「CRITICAL PATH」などのアップ・テンポの曲です。
表題曲の(3)「PERMUTATION」も良かった。
エンリコとアントニオの暴れっぷりとそれを支えるスコット・コーリーの構図が見えます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2016/08/07



(869) CHANO DOMINGUEZ TRIO / FLAMENCO SKETCHES
chano dminguez(p), mario rossy(b), israel"pirana"suarez(per),
blas"kejio"cordoba(vo,palmas), tomas2tomacito"moreno(palmas)
2012/Blue Note/

1 Flamenco Sketches
2 Freddie Freeloader
3 Blue In Green
4 So What
5 All Blues
6 Nardis
7 Serpents Tooth

強烈なフラメンコ・ジャズ・ピアノが聴けます。
文句なしの快演です。

「レビュー時のコメント」

CDの聴き直しをしていて気になったのがこのチャノ・ドミンゲス(p)でした。
スペイン出身のピアニストなのでフラメンコとは切っても切れない縁ですね。
そのフラメンコ・ジャズ・ピアノなるものを聴きたいと思いました。
全7曲中5曲はマイルス・デイビス(tp)の超名盤「Kind Of Blue」からの選曲です。
そんなこともあってとっつき易いのも事実ですが中味は相当に濃い仕上がりになっています。

最大の聴きものは16分にも及ぶ(1)「FLAMENCO SKETCHES」です。
静かに始まって段々熱を帯びてくるのは、まるで情熱的なフラメンコの踊りをみているようです。
チャノの強力なタッチと抜群のリズム感は共に素晴らしいと思いました。
フラメンコ流「Blue In Green」、「So What」、「All Blues」、「Nardis」にも注目しました。
フラメンコには欠かせないパルマ(手拍子)がこんなに効果的だったとは驚きです。
興奮を盛り上げる効果と絡みつくような粘っこさがありますね。

ユニークなフラメンコ・ジャズ・ピアノ・トリオは会場の熱気も伝わってくる第一級のライブ盤です。

2012年の「ベスト3」の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2016/07/31



(868) DADO MORONI WITH TOM HARRELL & BOB MINTZER
/ QUIET YESTERDAY
dado moroni(p),
andrea dulbecco(vib), riccardo fioravanti(b) , enzo zirilli(ds),
stefano bagnoli(ds), camila sampaio rangoni(vo),
tom harrell(tp,flh) , bob mintzer(ts)
2012/ABEAT Records /

1 Introcube
2 Quiet Yesterday
3 Vision Of Gaudi
4 Like Someone In Love
5 Free To Mist
6 Minor Mood
7 Purpura
8 Easy Living
9 Microcube 3
10 Giant Feet

今回は(4)「Like Someone In Love」のトム・ハレル(tp)とベーシストに注目しました。
どの曲を聴いても聴きどころが多い。
ダド・モロニの才能が詰まっている作品です。

「レビュー時のコメント」

イタリアのピアニスト、ダド・モロニとトム・ハレル(tp)とボブ・ミンツァー(ts)の共演盤です。
天才ピアニストと言われたモロニもベテランの域に達して精力的に活動しているようですね。
ここはハレルとミンツァーの名前に惹かれました。
とはいうもののハレルとミンツァーの共演はなくて録音も二つに分かれていました。
こういうのって詐欺だよねぇ〜。

構成は(3)、(4)、(5)、(8)がトム・ハレルで(2)、(6)、(10)がボブ・ミンツァーです。
(7)がボーカル入りで一息、(1)、(9)はイントロでごく短い演奏です。
スタンダードが(4)「LIKE SOMEONE IN LOVE」と(8)「EASY LIVING」の2曲、
ハレル作とミンツァー作が各1曲づつ、曲想もバラエティに富んでいてよく考えられています。

特に素晴らしいのは表題曲にもなっている(2)「QUIET YESTERDAYS」です。
モロニの奏でるピアノは感動的・・・美しくて心に沁みる・・・続くミンツァーにも震えた。
これを聴いたらモロニの才能を疑う人はいないでしょうね。
最初に聴いた時にこの1曲だけに買っても惜しくないと思いました。
でもさらにもう1曲あった・・・ハレル入りの(5)「FREE TO MIST」も素晴らしかった。
こちらはフリー・フォーム、フリー・トーンを含む疾走感のある演奏で聴かせます。
現代的ハード・バップの名演でマリンバを使用しているのも新味でした。

(4)と(8)のスタンダード2曲はトム・ハレルの独壇場です。
(4)がベース、(8)がドラムスとのデュオで凝った内容になっています。
全体的にはダド・モロニとボブ・ミンツァーが光っていると思います。
特にミンツァーはもっと評価が上がって欲しいサックス奏者です。
(7)「PURPURA」のボーカルでホッとさせる演出もニクイ。
よく出来た構成・・・その他にも聴きどころが多くて実にバランスがいいアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/07/24



(867) EDDIE COSTA QUARTET / GUYS & DOLLS like VIBES
eddie costa(vib), bill evans(p), wendell marshall(b), paul motian(ds)
1958Rec/Coral/

1 Guys And Dolls
2 Adelaide
3 If I Were A Bell
4 Luck Be A Lady
5 I've Never Been In Love Before
6 I'll Know

エディ・コスタ(vib)とビル・エヴァンス(p)の共演が最大の魅力です。
親しみやすくクールな演奏が聴けました。
Coral盤も貴重です。

「レビュー時のコメント」

ジャズ再発廉価版シリーズの1枚です。
31歳で夭折したエディ・コスタ(p,vib)の作品・・・ヴァイブは独学でマスターしたとのこと。
エディ・コスタのアルバムはどれも貴重ですが特に今作はビル・エバンス(p)との共演です。
さらに珍しいのはミュージカルの「「Guys And Dolls」を取り上げていることですね。
いわゆる「色もの」の1枚です。

大人気のミュージカル「Guys And Dolls」はブロードウエイで何度も上演されています。
作詞作曲はフランク・レッサーです。
マーロン・ブランド、フランク・シナトラ主演で映画化され「野郎どもと女達」の邦題が付きました。

若い恋人達に贈るスマートでクールでロマンチックなジャズがコンセプトかな。
スタンダード化している(5)「I'VE NEVER BEEN LOVE BEFORE」が最も有名、
(3)「IF I WERE A BELL」も演奏されることが多いです。
スイング感溢れるストレートなコスタとエバンスが聴けますよ。
オーソドックスなドラミングを展開するポール・モチアンにも注目しました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2016/07/17



(866) JOE MARTIN QUARTET / NOT BY CHANCE
joe martin(b),
chris potter(ts), brad mehldau(p), marcus gilmore(ds)
2009/ANZIC/

1 Semente
2 In The Meamtime
3 Cache
4 A Dream
5 The Balloon Song
6 Once Before
7 Far
8 Not By Chance
9 The Stoic

久々に聴いたけれどやはり良かった。
ポッターとメルドーの絡みに興奮しました。
貴重盤です。

「レビュー時のコメント」

ここはメンバーが魅力です。
思うに久しくクリス・ポッター(ts)やブラッド・メルドー(p)のアルバムを買っていません。
リーダー作はいまひとつ食指が動かず、探し当てたのがこのジョー・マーティン(b)の作品です。
ポッターとメルドーの二人が共演しているのは幸運でした。
ジャコ・パストリアス(elb)の1曲を除いては全てマーティンのオリジナルです。

リーダーのマーティンの音楽性に合わせて比較的オーソドックスな演奏が聴けました。
ポッターもメルドーもあまりに独自色が出るとつらい部分があるので丁度いい案配です。
とはいうもののこの二人の絡みにはスリルがありました。
特にメルドーのピアノが素晴らしい・・・印象的・・・弾くというより奏でる感じがします。
個性あるメルドーのバッキングに乗ってポッターのサックスがうねります。
ドラムのマーカス・ギルモアにもセンスを感じました。
祖父があのロイ・ヘインズ(ds)という血筋の良さです。
ちなみに今作はいずれ「幻の名盤」になる可能性が高いと思いますよ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2016/07/10



(865) MICHEL PETRUCCIANI & NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN
michel petrucciani(p), niels-henning orsted pedersen(b)
2009/Dreyfus/

CD 1
1 All The Things You Are
2 I Can't Get Started
3 Oleo
4 All Blues
5 Beautiful Love
6 Someday My Prince Will Come
7 Billie's Bounce
8 Autumn Leaves

CD 2
1 St.Thomas
2 These Foolish Things
3 Stella By Starlight
4 Blues In The Closet
5 Round Midnight
6 Future Child
7 My Funny Valentine

ペトのピアノは音が違います。
圧倒的な存在感は文句なしに素晴らしい。

「レビュー時のコメント」

ミシェル・ペトルチアーニ(p)とオルステッド・ペデルセン(b)のデュオ、ライブ盤です。
2009年の発売なので何をいまさらという感じがするかもしれませんね。
発売時に買わなかったのにはちょっとした理由があります。
ただ単に2枚組だったから・・・私は2枚組というだけで避けて通る習性があります。
2枚あっても聴くのは1枚だけになるのでなんで2枚必要なんだと思っちゃう。
売り手に対する密かな抵抗ですがもちろんいつでも手に入るという計算もありました。

やせ我慢は身体に悪い・・・無理しないで買おう・・・ということで買いました。
今作がペトの最後の正規盤と同時にペデルセンとのデュオは聴かなきゃいけません。
今作はデンマークのコペンハーゲンで1994年の吹き込みです。
なんと15年間も陽の目を見なかったなんて信じられない・・・どんな理由があったのか?

二人は共に10代から活躍しているヨーロッパの天才ジャズ・メンです。
ペデルセンが世界に知られるようになったのはデクスター・ゴードン(ts)盤からだと思います。
17歳の時でした。
真にヴァーチュオーゾと呼べる人は少ないけれどペデルセンは間違いなくその一人です。
クラシックをバックボーンにした驚異的なベース・プレイは後のベーシストに与えた影響はいかばかりか。
「強力無比、強靭なベース・ソロ」という表現はペデルセンから始まったような気がします。
ペトルチアーニが知られるようになったのも同じ17歳でしたね。
こちらは引退していたチャールス・ロイド(ts)がその素晴らしさに驚いてカムバックしたほどです。
スイング感溢れる強烈なタッチは切れ味抜群、その個性的なピアノ音は他の追随を許しません。
まさに痺れる音色の持ち主です。
・・・だけど、もう二人共に亡くなってしまいました。

演奏曲にはよく知られたジャズ・スタンダード・ナンバーが並んでいますね。
どうもCD1はペトルチアーニ、CD2はペデルセンの選曲になるようです。
この二人ならではの圧倒的な珠玉の名演が詰まっていました。
2枚組でも十二分に納得する内容です。
どれを聴いても素晴らしい・・・聴衆の興奮ぶりも手に取るよう分かりました。
録音も良く、グイと引き込まれることは請合います。

私は今でもペトルチアーニのピアノには興奮を抑えられずにはいられません。
多分、最も長く聴き続けているピアニストだと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/07/03



(864) ERIC ALEXANDER QUARTET / CHIM CHIM CHEREE
〜tribute to John Coltrane
eric alexander(ts),
harold mabern(p), jhon webber(b), joe farnsworth(ds)
2010/Venus/

1 You Don't Know What Love Is
2 Dear Lord
3 On The Misty Night
4 Chim Chim Cheree
5 Pursuance
6 Afro Blue
7 The Night Has A Thousand Eyes
8 Wise One

パワー全開、圧倒的な迫力でエリックのテナー・サックスが炸裂する。
音圧が凄い・・・その分、情緒や哀愁、色気は欠けてしまった。

「レビュー時のコメント」
疲れた時の神頼みはエリック・アレキサンダーに決まっています。
王道のテナー・サックスはいつでも私の心を癒してくれます。

今作はジョン・コルトレーンに捧げたバラード集です。
コルトレーンの3曲を含めて中々に興味深い選曲だと思いました。
(5)「PURSUANCE」は名作「至上の愛」からの1曲です。
メリー・ポピンズの(4)「CHIM CHIM CHEREE」はコルトレーン・カルテットそのものの味わい。
モダン・ジャズの名曲、タッド・ダメロン(p)の(3)「ON THE MISTY NIGHT」も渋い選択ですね。
(6)「AFRO BLUE」や(7)「THE NIGHT HAS A THOUSAND EYES」が聴けたのも嬉しかった。
つくづくハロルド・メイバーン(p)の存在が大きいです。

エリック・アレキサンダー(ts)については多くを語る必要はないでしょうね。
ジョン・コルトレーン&ソニー・ロリンズの流れを汲む現在の主流派テナーの代表格です。
私にとってエリックほど安心して聴けてしっくりくるテナー奏者は他にいません。
エリックはジャズ・ファンの中ではあまりに当たり前過ぎて語られることも少ないですね。
でも現代テナーを代表するプレイヤーであることは間違いありませんよ。
テナー・サックスの持つ魅力の全てを表現できる稀代のプレイヤーだと思っています。

エリックのリーダー作のピアニストはここのハロルド・メイバーンやデヴィッド・ヘイゼルタイン、
マイク・ルドン、ジョン・ヒックスなどが名を連ねています。
特にメイバーンがピアノだとよりバップ色が強くなって思いっきりのいいプレイが聴けます。
デビュー時からの長い付き合いなので兄貴分というより父親の感覚に近いかもしれませんね。
このメイバーンの強烈なバッキングに乗ってエリックのテナーが炸裂します。
力強くよどみないフレーズ、艶のある音色、抜群の表現力は申し分ありません。
惚れ惚れします・・・凄いです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/06/26



(863) STEVE GROSSMAN QUARTET & QUINTET & SEXTET
/ HOMECOMING
steve grossman(ts), tom browne(tp), bill washer(g),
larry willis(p), joe farnsworth(ds), john webber(b), ruben rodriguez(b),
ralph irizarry(timbales), roberto quintero(cong), chuggy carter(shaker)
2011/CHEETAH/

1 Una Mas
2 Katonah
3 Afro Blue
4 This Time The Dream's
5 On Me
6 Ceora
7 Irresistable You
8 In A Sentimental Mood
9 Take The D Train
10 Una Mas

フュージョン・サウンドにしてはちょっと重たいけれど魅力的な曲が並んでいます。
特にモーガンの「Ceora」は好きな曲でこれが入っているアルバムは必ず手が出ます。
グロスマンの異色作です。

「レビュー時のコメント」
スティーヴ・グロスマン(ts)の新譜は中村照夫さんのチーター・レーベルから出ました。
マイルス・デイビス・グループに参加したことにより世に出たグロスマンも息の長いプレイヤーです。
このHPを始めた2000年頃はよく聴いていたものです。
しばらくご無沙汰していましたが去年のベスト3に選ばれたので興味を持ちました。

共演陣にはトム・ブラウン(tp)、ラリー・ウィリス(p)、ジョン・ファーンズワーズ(ds)等が名を連ねていました。
特にトム・ブラウンは懐かしく思いました。
フュージョン・シーンの人気トランペッターだったトム・ブラウンはすでに引退したと聞いていたから・・・。
再びカムバックしてきたのは嬉しい限りです。

収録の8曲はオリジナルが2曲、スタンダード3曲、それにケニー・ドーハム(tp)の(1)「UNA MAS」、
モンゴ・サンタマリア(per)の(3)「AFRO BLUE」、リー・モーガン(tp)の(5)「CEORA」など。
カルテット演奏はジャズ・テイストが強く(2)「KATONAH」と(6)「IRRESISTABLE YOU」と
バラードの(7)「IN A SENTIMENTAL MOOD」、(8)「TAKE THE D TRAIN」の4曲で聴けます
唄もの(4)「THIS TIME THE DREAM'S ON ME」はギター入りのクインテット編成、
上記の5曲はワン・ホーンでじっくりと聴かせてグロスマンの持ち味が生かされます。
(1)「UNA MAS」、(3)「AFRO BLUE」、(5)「CEORA」はフロント2管、ラテンのリズムで楽しめました。
編成やリズムが多彩で構成もよく考えられていると思います。
グロスマンは重たいと感じる人にも十分聴きやすい作品に仕上がっているので魅力十分です。

チーター・レーベルを買ったのはオナージェ・アラン・ガムス(p)に続いて2枚目です。
中村さんはどうやらこの傾向のサウンドで行くようですね。
今度はボブ・ミンツァー(sax)を聴いてみようかな・・・。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2016/06/19



(862) LEE KONITZ. BRAD MEHLDAU. CHALIE HADEN. PAUL MOTIAN.
/ LIVE AT BIRDLAND
lee konitz(as), brad mehldau(p), charlie haden(b), paul motian(ds)
2011/ECM/

1 Lover Man
2 Lullaby Of Birdland
3 solar
4 I Fall In Love Too Easily
5 You Stepped Out Of A Dream
6 Oleo

何も言うことはありません。
名盤です。

「レビュー時のコメント」
このアルバムを今年の「みんなのベスト3」に見た時、
「あ〜、まずい、まだ聴いていなかった」と思いました。
見逃しているのが恥ずかしくなったし、個人的に聴かなきゃいけないアルバムだと思いました。
「聴かなきゃいけないアルバム」なんてめったにあるもんじゃありませんよ。
それほどこの作品には深い意味が込められているんです。

これはほとんど奇跡的、歴史的なアルバムだと思います。
まずはECMのプロデューサーのマンフレート・アイヒャー氏の着眼点に敬意を表します。
この組み合わせはジャズ・ピアノ界の大きな流れを表しているのではないか。
ジャズ・ピアニストの流れの一つにレニー・トリスターノ〜ビル・エバンス〜
キース・ジャレット〜(ミシェル・ペトルチアーニ)〜ブラッド・メルドーがありますね。
つまりこれを具現化したアルバムだと思うのです。
レニー・トリスターノ派の重鎮リー・コニッツ(as)とビル・エバンス&キース・ジャレット・トリオのポール・モチアン(ds)、
同じくキース・ジャレット・トリオのチャーリー・ヘイデン(b)に新世代新感覚のブラッド・メルドー(p)を組み合わせる。
加えてヘイデン、コニッツ、モチアンにはフリーの流れ(オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン)もあります。
まさに夢のような組み合わせで実現できるのはアイヒャー氏だけだったかもしれません。
兎にも角にもリー・コニッツが元気でいたことが大きいです。
今年、ポール・モチアンさんが亡くなりました・・・もうこの組み合わせはあり得ない。
ジャズの黄金時代を飾った人が少しづつ消えていく現在、よくぞこのライブ録音を世に出してくれました。

聴いてみると凄く良かった。
コニッツもこれだけ吹ければもう十分・・・ちょうどいい案配のゆるみ加減です。
みんながリラックスしていて気持良さそう・・・実に居心地のいい空間が広がっています。
本来あるべき緊張感があまり感じられず、むしろ各人の思いやりというか、やさしい雰囲気が漂っていました。
コニッツやモチアン、ヘイデンは息子を見守る感じ、メルドーには畏敬の精神が溢れています。
「おい、あとは頼むよ」〜「分かった、大丈夫」・・・お互いに伝え合うものがあったと思います。
・・・時は流れる・・・ジャズは世代を超えて繋がっていく・・・
私も色々と思うところがあってホロリとしそうになりました。
いずれは涙なくしては聴けないアルバムになるかもしれませんね。

孤高の怪物リー・コニッツも85歳になりました。
あと残るチャーリー・パーカー直系の大物アルト奏者はルー・ドナルドソン(85歳)だけかな。
その次に続くのはフィル・ウッズの80歳です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/06/12



(861) PAT MARTINO QUARTET / UNDENIABLE
LIVE AT BLUES ALLEY
pat martino(g),
eric alexander(ts), tony monaco(org), jeff"tain"watts(ds)
2011/HighNote

1 Lean Years
2 Inside Out
3 Goin' To A Meeting
4 Double Play
5 Midnight Special
6 'Round Midnight
7 Side Effect

抜群のノリのアルバムです。
ギターとテナーのユニゾンがこんなにカッコイイとは思わなかった。

「レビュー時のコメント」
パット・マルティーノの新譜はジャズ仲間の評判も上々のようです。
マルティーノはある意味、最も人気のあるギタリストかもしれませんね。
現在67歳、デビューは60年代の初めで20歳そこそこでした。
リアル・タイムで進行するハード・バップの洗礼を受けた最後の年代です。
当時の面影を残した熱いプレイを聴けるのはマルティーノだけかも。
同年代のジョージ・ベンソン(g,vo)は純ジャズ路線から離れてしまいました。
80歳にして現役のジム・ホールは別格だけどこちらはクールが持ち味です。

マルティーノは若い頃、ギターのジョン・コルトレーン(ts)といわれていました。
コルトレーンと同様にインドや中近東の複合リズムに傾倒していたからです。
当時は一風変わったギタリストでした。
30代後半に病魔に倒れますが40代で見事に復活してきました。
それからのマルティーノは吹っ切れたように思い切りのいいプレイを展開しています。
後輩のギタリストに与えた影響も大きいでしょうね。
今作でもスイング感溢れるファンキーなギター・プレイを聴かせてくれています。
これだけ魅力的なファンキー・ギターを弾ける人はそういないんじゃないかな。

共演のエリック・アレキサンダーも文句なしです。
エリックはコルトレーンを最もモダンな形で聴かせてくれるテナー奏者です。
よどみないフレージングと艶のある音色は魅力十分。
私はちょっと前ならクリス・チーク、クリス・ポッター、マーク・ターナー辺りを注目していましたが
今またエリック・アレキサンダーやハリー・アレンをよく聴いています。

全7曲は1曲を除いてマルティーノのオリジナルです。
1曲目の「LEAN YEARS」は幕開けにふさわしくスリル満点、このノリはもうたまりませんよ。
これで一気に引き付けられてしまいました。
3曲目「GOIN' TO A MEETING」は観客の盛り上がりも最高潮です。
ファンキー・サウンドは「これでもか」という同じフレーズの繰り返しに熱く燃えます。
ブルージーな(5)「MIDNIGHT SPECIALl」ではオルガンのトニー・モナコがフューチュアーされました。
(6)「'ROUND MIDNIGHT」はバラード・・・マルティーノのバラードはいまひとつだと思います。
未だに枯れていない証拠かもしれませんね。
プレイが若々しいです。

ファンキー&グルービーなサウンドならオルガン・トリオが一番でしょう。
オルガン・トリオが醸し出す雰囲気はもう最高!!
自然に身体が揺れてくるんです。
パット・マルティーノとエリック・アレキダンダーには色気があります。
二人のユニゾンには痺れました。
ビシバシとワイルドなドラミングを聴かせるジェフ・ワッツが引き締め、
トニー・モナコのオルガンが全体のムードをぐっと高めています。
このアルバムは良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/06/05



(860) AARON DIEHL TRIO / LIVE AT THE PLAYERS
aaron diehl(p), david won(b), quincy davis(ds)
paul sikivie(b)(1,6), lawrence leathers(ds)(1,6)
2010/

1 The Player's Blues
2 Conception
3 Tag You're It !
4 'Round Midnight
5 Clarinet Concerto In A Major,K 622:U. Adagio
6 Green Chimneys
7 Pick Yourself Up
8 Dorsem
9 Moonlight In Vermont

文句なしのピアノです。
やはり「Conception」が素晴らしかった。

「レビュー時のコメント」
アメリカの若手ピアニスト、アーロン・ディールのデビュー・アルバムです。
1985年オハイオ州生まれの現在26歳です。
17歳でウィントン・マルサリス(tp)に見出され、エリック・リード(p)やマーカス・ロバーツ(p)、
ハンク・ジョーンズ(p)等に師事し、2007年ジュリアード入学の逸材です。
これくらいの年齢が初アルバム制作には丁度いい年頃だと思います。
いきなりのデビュー盤がライブというのも驚きましたがそれだけ力がある証拠ですね。

当初はそれほどインパクトのあるピアノではないけれど聴けば聴くほど味わいが出てきます。
若いけれど落ち着いていて安定感、安心感があります。
(1)の自作のブルース・フィーリングと(2)「CONCEPTION」の導入が素晴らしい。
特にジョージ・シアリング(p)の名曲(2)「CONCEPTION」の新鮮な解釈にはガツンときた。
絶妙なスイング感と若さ溢れる連打は今作のベスト・プレイだと思います。
オリジナルの(3)「TAG YOU'RE IT?」のスピード感やユーモアいっぱいの演奏も楽しい。
セロニアス・モンク(p)の2曲では(6)、スタンダードの(9)も聴きどころになります。

多彩なテクニックと表現力を持つ王道をいく主流派ピアニストが登場してきました。
他者とは一味違うフィーリングと雰囲気があります。
すでに自己の世界を持っているのではないか・・・今後の活躍は間違いないところ。

「2011年」のベスト3の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/05/29



(859) KUNIMITSU INABA QUINTET / BASSIN'
稲葉國光(b)
中牟礼貞則(g)(1,2,3,4,5,6,8)、峰厚介(ts)(1,2,3,4,5,7)、
山本剛(p)(3,4,9,10)、岩崎佳子(p)(1,2,5,7,8)、関根英雄(ds)
2010/Little Pumpkin/


1 You Are My Everything
2 You Stepped Out Of A Dream
3 HI-Fly
4 Well You Needn't
5 You Go To my Head
6 Conversation #2
7 A Ghost Of A Chance
8 Este Seu Olhar
9 Sweet Sensation
10 In The Wee Small Hours Of The Morning
11 Alone Together

稲葉國光(b)さんの唯一のリーダー・アルバムは貴重です。
すでに入手困難になっているようですね。
つくづく日本のジャズ・ファンは目ざといと思います。

「レビュー時のコメント」
ジャズ・ファンなら稲葉國光さんの名前を知らない人はいないんじゃないかな。
それほどの名ベーシストの初めてのリーダー作だそうです。
「そうだったのか・・・」 私は信じられない思いがしました。
デビューしてから半世紀余り、すでに2枚や3枚のアルバムは出していて当然でしょう。
これも稲葉さんの人柄によるものか。
それこそ縁の下の力持ちというか、バックに徹していて表面に出ようとしません。
渡辺文男(ds)さんが「地味なんだよね」と話していました。
この二人がバックを務めたバリー・ハリス(p)の「ライブ・アット・DUG」の名盤もあります。

稲葉さんが共演した国内外有名ジャズ・ミュージシャンは数知れず、アン・バートン(vo)もお気に入り。
中牟礼貞則(g)さんとの付き合いは長く若い頃は一緒に住んで徹夜で練習したそうです。
それが(6)の「CONVERSATION #2」のデュオです。
アルバムの中に稲葉さんの指の写真がありますが角張った分厚い指をしています。
ある人が「稲葉さんの指は楽器の一部になっている」と言いました・・・けだし名言です。

選曲を見るとそのまま稲葉さんのジャズ人生が見えるようです。
曲名のYOUをジャズやベースに置き換えるとそんな思いが感じられます。
モダン・ジャズの名曲、ウェストンの(3)「HI-FLY」、モンクの(4)「WELL YOU NEEDN'T」がいい。
ここには抜群のスイング感を支えるベーシストがいます。
バラードなら(7)「A GHOST OF A CHANCE」が聴きどころになるかな。

中牟礼さん、峰厚介(ts)さん、山本剛(p)さんは日本を代表するプレイヤーです。
岩崎佳子(p)さんはラテン系を得意にするピアニストで稲葉さんとよく一緒に演奏しています。
関根英雄(ds)さんはグングンと突っ走るドラマーで見に行くと元気がもらえます。

やっぱり、ここには稲葉さんの人生が詰まっていました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/05/22



 
     
 (858) *TOMONAO HARA QUARTET / HOT RED     *KEIJI MATSUSHIMA QUARET / THE SONG IS YOU
 原朋直(tp)、
john hicks(p), reggie workman(b), jimmy cobb(ds)
jimmy heath(ts)(10)
   松島啓之(tp)、
kenny barron(p), david williams(b), billy drummond(ds)
 1997/Paddle Wheel/    1997/Alfa Jazz/
     
1 What AreYou Doing The Rest Of Your Life
2 J-R-J
3 Hot Red
4 September In The Rain
5 Plain
6 Remember
7 Who Can I Turn To ?
8 where Or when
9 Portrait Of Jenny
10 Candy
  1Just Because
2 Wrap Your Troubles In Dream
3 Yesterdays
4 Come Sunday
5 It's Only A Paper Moon
6 Until Then
7 The Song is You
8 Lady Luck
9 Some True Things
10 Here's That Rainy Day
11Billy Boy


この二人は文句なしにいいです。
日本にもこういうプレイヤーがいて本当に良かった。

「レビュー時のコメント」
先日(2011年3月11日)の東日本大震災でCDの棚が崩れました。
整理していた時に見つけたのがこの2枚です。
共に日本人トランペッターのワン・ホーン・アルバムです。
気分的にもトランペットの明るくて輝かしい音色が聴きたかったのでちょうど良かった。
日本が誇る原朋直さんと松島啓之さん。
バックにはそれぞれジョン・ヒックス・トリオとケニー・バロン・トリオが共演しています。
90年代当時よく聴いていた思い出があるけれど、なんか、最高の企画だったじゃないですか。
原さんの見事にコントロールされた表現力、松島さんの瑞々しいプレイ振りに注目。
それぞれの持ち味を生かした素晴らしい演奏が聴けます。
日本人トランぺッターのワン・ホーンは意外に少なくて、アメリカのジャズ・メンを配したこの盤も貴重です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


2016/05/15



(857) YARON HERMAN TRIO / FOLLOW THE WHITE RABBIT
yaron herman(p), chris tordini(b), tommy crane(ds),
2010/ACT/

1 Follow The White Rabbit
2 Saturn Returns
3 Trylon
4 Heart Shaped Box
5 Ein Gedi
6 The Mountain In G Miner
7 Cadenza
8 Airlines
9 Aladins Psychedelic
10 Baby Mine
11 White Rabbit Robot
12 Clusterphobic
13 Wonderland
14 No Surprises

音が出た途端にそのクリアな音色に驚きました。
現代風の独特の感性を持ったピアノ・トリオで楽しいです。

「レビュー時のコメント」
あちこちでこのジャケットを見るたびに欲しいと思いました。
動物ジャケはどれも面白いですがこのうさぎもなんとも愛嬌がありますね。
これって写真、それともCGなのかな、最近はよく判断がつきません。

ヤロン・ヘルマン(p)は初見、イスラエル出身のパリ在住だそうです。
ヨーロッパ・ピアノの伝統的な静謐さを感じさせながらも躍動感やスピード感を持ち合わせています。
ポップスやロックを吸収して多様なリズム変化にも対応できる技量もあります。
現在のヨーロッパの新世代ピアニストはこういった器用さを追求しているのかもしれませんね。
全体的にピアノ&ドラムスのコンビネーションが素晴らしいです。
ドラムスが前面に出てくるのは世界的な流れになっていると思います。
(3)「TRYLON」、(6)「THE MOUNTAIN IN G MINOR」の展開の面白さ。
(5)「EIN GEDI」や(10)「BABY MINE」の美しさも特筆ものです。
ここにはヤロン・ヘルマンの音楽性が全て詰まっているともいえます。

但し、構成にはもう一工夫あってもいいと思いました。
14曲で60分というのはどうか・・・先に収録時間ありきだったかもしれません。
(11)以降は無理に詰め込んだ気がしてならない・・・後半は明らかにだれました。
内容がいいだけに10曲で50分でも十分だったと思う。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/05/08



(856) MANABU OHISHI TRIO / WISH
大石学(p)、jean-phillippe viret(b)、simon goubert(ds)
2010/Atelier Sawano/

1 I'm Yours
2 Wish
3 My Foolish Heart
4 NEBULA
5 Continuous Rain
6 Hikari
7 What A Wonderful World (solo)

大石学さんの素晴らしさを実感できる一枚です。
今作は全国のジャズ・ピアノ・ファンに知られるきっかけになったのではないかな。

「レビュー時のコメント」
大石学(p)さんがフランスに乗り込んで作った新譜です。
自身のオリジナルが5曲にスタンダード2曲の構成です。
1曲づつが比較的長いのでじっくりとそのピアノ・プレイを聴くことができました。
大石さんには独特の感性があって独自の世界を持っています。
美しく、力強く、深遠な「大石学の世界」はまた抜群のリズム感が素晴らしい。
宇宙的空間が広がる演奏を聞かせてくれます。
このスタイルは何処に行っても変わりません。
物語性があって、主張があって、メッセージがこちらに伝わってくるようです。
これはオリジナルに強く感じますがスタンダードにも新たな息吹を吹き込んでくれました。

CDも良いけれど大石さんの真髄はライブにあります。
是非、足を運んでみて下さい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/05/01



(855) MARK SOSKIN QUARTET / MAN BEHIND THE CURTAIN
mark soskin(p), jay anderson(b), bill stewart(ds)
ravi coltrane(ts,ss)
2009/Kind Of Blue/

1 Heather On The Hill
2 Chutes And Ladders
3 Invitation
4 For All We Know
5 Man Befhind The Curtain
6 This Is New
7 For Heaven's Sake
8 Little One

久々に聴いたけれど思っていたより重厚な感じがした。
ジョン・コルトレーン・カルテットを彷彿とさせます。
ソスキンはマッコイ・タイナー派のピアニストだったと認識を新たにしました。

「レビュー時のコメント」
二人の珍しい名前を見かけたので購入しました。
マーク・ソスキン(p)とラヴィ・コルトレーン(ts)です。
ソスキンは地味ですがソニー・ロリンズ(ts)のグループで活躍していました。
オーソドックスで安定感のあるピアニスト・・・もっと評価されてもいいと思う。
ソスキンがテナー・サックス奏者を相手に選ぶのは順当なところです。
ラヴィ・はジョン・コルトレーン(ts)の息子。
偉大な父を持つ二代目がつらい立場にあるのはよく耳にします。
そんなこともあるのか、ラヴィも突っ張っていたので以前は重たいプレイ振りでした。
しかし、ソスキンがリーダーならそう硬いこともないだろうと予想しました。
メンバーもジェイ・アンダーソン(b)にビル・ステュアート(ds)という渋い人選です。

選曲はオリジナル3曲とスタンダード6曲の構成です。
ベスト・トラックはより軽い感じに仕上がった(1)「HEATHER ON THE HILL」かな。
(3)「INVITATION」や表題曲の(5)「MAN BEHIND THE CURTAIN」も良かった。
(4)「FOR ALL WE KNOW」ではラヴィの父親譲りのバラードが聴けて面白かったです。
こんな風にストレートに吹いてしまえばいいのにと思いますが・・・。
(7)「FOR HEAVEN'S SAKE」はソプラノ・サックスとテナー・サックスの多重録音です。

「2010年ベスト3」の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2016/04/24



(854) WALTER SMITH V QUINTET / LIVE IN PARIS
walter smith V(ts), ambrose akinmusire(tp),
aaron goldberg(p), matt brewer(b), marcus gilmore(ds)
2009/Spece Time/

1 Blues
2 Bass Solo
3 Acora
4 Himorme
5 Stablemates
6 Shed
7 Cyclic Episode

始めの1、2曲目はちょっと重たい感じがするけれど徐々に熱を帯びてきます。
その熱っぽさに否応なく引き込まれてしまう魅力がある。
当時新進気鋭のアンブローズ・アキンムシーレ(tp)が聴けるのも嬉しい。

「レビュー時のコメント」
ウォルター・スミス・三世を聴くのは3枚目になります。
西藤ひろのぶ(g)さんとSEAN JONES(tp)のアルバムでした。
先進のテナー奏者として若手の注目株の一人といえると思います。

ウォルター・スミスはジャケットの雰囲気からしてジョン・コルトレーン(ts)にソックリですね。
演目にはオリジナルの他、ベニー・ゴルソン(ts)やサム・リバース(ts)の曲が取り上げられています。
どうやらここいらへんにルーツがあるようです。
ライブ盤ということもあって熱い演奏を聴くことができました。
構成の面白さもあって(1)〜(4)までのメンバーのオリジナルが真骨頂だと思います。
続くゴルソンの(5)、ゴールド・バーグの(6)、リバースの(7)の解釈、展開も面白かったです。
特に(4)「HIMORME」と(6)「SHED」が聴きどころか。
Ambrose Akinmusire(tp)とMatt Brewer(b)は初見ですが各所で突き抜ける演奏が聴けました。
先週紹介したアーロン・ゴールドバーグがここでも素晴らしいプレイを聴かせています。
彼がいなかったら何処へ飛んでいたのか分からない危うさがあるので救われたのではないかな。
マーカス・ギルモア(ds)はダニー・グリセット(p)のライブで見たばかりなので記憶に新しいです。
少々重たいですが聴き応えのある好盤です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2016/04/17



(853) AARON GOLDBERG TRIO & QUARTET / HOME
aaron goldberg(p), reuben rogers(b), eric harland(ds)
mark turner(ts)(1,5,9)
2010/Sunnyside/

1 Cancion Por La Undad Latinoamericana
2 Shed
3 Homeland
4 I Mean You
5 The Rules
6 Luiza
7 Isn't She Lovely
8 The Sound Of Snow
9 Aze's Bluzes
10 A Time For Love

久々に聴いたけれどやっぱり素晴らしかった。
1曲目の美しさは特筆もの。
2010年代の名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
アーロン・ゴールドバーグは新感覚ピアニストとして忘れてはならない存在です。
今作はそのゴールドバーグの代表作になったと思います。
選曲もオリジナルが3曲、モンク、ジョビン、スティービー、マンデルまで良く考えられている構成です。
今が旬のトリオのバランスも素晴らしく、マーク・ターナー(ts)が3曲に参加しているのも魅力です。
私は1曲目の美しさにぐっと引き込まれてしまいました。
私的ベストは(9)「AZE'S BLUZES」でした。
ただ硬いだけでなく根っこにはスイング感があるのでこれが素晴らしい。
スタンダードの解釈も新鮮でゴールドバーグの実力を余すところなく伝えた好盤です。
しっとりとした聴きどころ満載のアルバムでお薦め。
マーク・ターナーは指に大怪我をしたということで心配していましたがどうやら大丈夫のようですね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/04/10



(852) EMIL VIKLICKY TRIO / LIVE IN VIENNA
emil viklicky(p), frantisek uhlir(b), laco troppi(ds)
2010(2007/Rec)/CUBE/

1 Father's Blues
2 A Bird Flew Over
3 Highands, Lowlands
4 Coral
5 Wine, Oh Wine
6 Longing
7 Buhaina

強烈なピアノ・トリオ・・・名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
エミール・ヴィクリツキー(p)は初見、それこそビックリしました。
チェコのベテラン・ピアニストですが、すでにピアノ・トリオ・ファンにはよく知られているようです。
聴いた途端にその音色に参った・・・ガツンときてかなりのインパクトがありました。
力強いタッチ、スイング感に溢れ、流れるような魅力的なフレーズ、何もかもが個性的で美しいです。
さすがチェコですね、クラシックで鍛えられた技量は見事なものです。
キース・ジャレット(p)とレイ・ブラウン(b)を2曲を除いてはメンバーのオリジナル。
ライブ盤にしては1曲づつがそれほど長くなくまとまっています。
ユッタリと入って徐々に盛り上がっていく、熟練の技が光る珠玉の作品集。
ライブとは信じられないほどの完成度の高さでトリオとしてのバランスも素晴らしいです。
特にベーシストがまた凄いプレイを聴かせてくれました。

しかし、つくづく世界は広いですね。
まだまだ知られざる?名手がいっぱい隠れていると思います。
安定感のある王道・ピアノ・トリオで文句なしの一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/04/03



(851) HIROMI MASUDA QUARTET / MAYBE SEPTEMBER
増田ひろみ(as),
gene dinovi(p), neil swainson(b), ernesto cervini(ds)
2010/Marshmallow/

1 Out Of Nowhere
2 You'd Be So Nice To Come Home To
3 Maybe September
4 What Is This Thing Called Love
5 Royal Roost
6 All The Things You Are
7 The Shadow Of Your Smile
8 Tico Tico
9 Fly Me To The Moon
10When Words Are Not Enough

増田ひろみさんの柔らかな音色がいいです。
バックのジーン・ディノヴィ・トリオがまた素晴らしい。

「レビュー時のコメント」
今作はライブ会場で購入しました。
初リーダー・アルバムの共演がカナダのジーン・ディノヴィ・トリオになりました。
いきなり超ベテランの名手が相手では相当に緊張したと思います。
でも見事にそれをやり遂げたので大きな自信になったでしょうね。

演目はぶっつけ本番のスタンダードが中心です。
表題曲になったバラードの(4)「MAYBE SEPTENBER)」とラテンの(8)「TICO TICO」がこだわりか。
前者はロマンチックなスロー・バラードにおける表現力と後者はサックスでは至難の曲に挑戦しています。
私的ベストはピアノレス・トリオで演奏された(4)「WHAT IS THIS THING CALLED LOVE」でした。
抜群の緊張感でスウェインソン(b)とチェルヴィーニ(ds)のリズムがいかに素晴らしいかの証明になりました。
(2)「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」も負けず劣らずの内容でいいです。
こちらはリフから入る意表を突く展開になりました。
アタックの強さ、スイング感、フレーズ、伸び伸びとプレイしていて申し分ありません。
続いて前述の(8)、(4)、(9)「FLY ME TO THE MOON」、(6)「ALL THE THINGS YOUR ARE」、
(7)「THE SHADOW OF YOUR SMILE」も聴きどころがあります。
スタンダードでもアプローチの仕方によって十分刺激的になることを実感しました。

増田ひろみさんの根っこはレニー・トリスターノ(p)派のリー・コニッツ(as)だと思います。
ライブ・レポートでも書きましたが、ちょっとかすれたような独特の音色は心地良いです。
改めてこれほどクールな感覚を出せる女性プレイヤーは少ないと思いました。
楽器の音色は人の声と同じでそれぞれに好みがありますね。
増田さんの高過ぎず低過ぎずの丸みのある音色は聴いていて疲れません。
まるで歌を聴いているような気分になりました。
もう一人の主役はベーシストのニール・スウェインソンと思います。
そっと寄り添うようで刺激を与えるベース・ラインはまったく素晴らしいです。
随所で展開されるベース・ソロにも聴きどころは十分です。
ディノヴィさんは控え目でしたが(7)、(9)ではさすがのプレイを聴かせてくれました。
若手ドラマーのアーネスト・チェルヴィーニはディノヴィさんの秘蔵っ子のようです。

今作はプレイヤーの音楽性を重視した良心的な作品に仕上がっています。
もちろん、まだ荒削りですがそれをはるかに上回る魅力的なアルバムです。
初リーダー・アルバムでここまで自由にできるのはそうはないと思います。
プロデューサーの厚意を感じました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/03/27



(850) DON MENZA & JOE HAIDER TRIO /BILEIN
don menza(ts,fl),
joe haider(p), christopher gordan(b), paul kreibith(ds)
1998/JHM Records/

1 Bilein
2 It's April Again
3 Broadbottom
4 Karen's Birthday Waltz
5 Processional
6 Royal
7 B-4-U Leave

近年巷ではこのドン・メンザ(ts)の評価が上がっているような気がします。
たしかに強烈な個性を放っていて一度聴いたら忘れられません。
つい突っ走ってしまうところも魅力的です。

「レビュー時のコメント」
ドン・メンザ(ts)の珍しい名前を見かけたので購入してみました。
1998年の作品なので、以前、見たような気がしますが買ってから気が付いた。
最近どうもこういうことが多くなってきました。
名前や曲名を思い出せないことも多い・・・ちょっと前なら思い出そうとした・・・でも今はそのままにしています。
無理に思い出そうとすると疲れるからねぇ〜・・・・・もうダメか。

ジョー・ハイダーはドイツ出身のヨーロッパでは知られたピアニスト、レーベルも彼個人のものです。
そのトリオにメンザが客演したアルバムでリラックスした演奏を聴くことができました。
メンザは長くビックバンドで活躍していたテナー、フルート奏者ですがその実力は確かです。
豪快な音色の持ち主で、ここでも多彩な表現力を駆使していて大張り切りなのがうかがえます。
オリジナルが中心だけれど全体を覆う大人のムードは味わい深いものがあります。
(1)「BILEIN」のノリ、(2)「IT'S APRIL AGAIN」のバラードを聴けばその素晴らしさが分かると思います。
ジョー・ハイダー・トリオは文句なしの出来、(3)「BROADBOTTOM」では痺れました。
メンザは正直、少々抑えのきかないところもありますがそこはご愛嬌というところか。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/03/20




(849) SCOTT HAMILTON QUARTET / NOCTURNES & SERENADES
scott hamilton(ts),
john pearce(p), dave green(b), steve brown(ds)
2006/Concord/

1 Man With A Horn
2 Autumn Nocturne
3 Flamingo
4 I'm Glad There Is You
5 Serenade In Blue
6 Isn't It A Pity
7 You Go To My Head
8 Chelsea Bridge
9 By The River Sainte Marie
10 A Portrait Of Jenny

スコット・ハミルトン(ts)の特徴がよく出た作品だと思います。
ドロドロのバラード集ですがこの濃さが良い。
数あるハミルトンの作品でも上位にランクされるのではないかな。
近年はゲスト出演を含めて多くのアルバムがリリースされています。
世界で最も多忙なジャズ・テナー奏者かもしれませんね。

「レビュー時のコメント」
スコット・ハミルトン(ts)の珠玉のバラード作品集です。
私は時々、オーソドックスなジャズ・バラードが聴きたくなります。
そんな時にはスコット・ハミルトンを選ぶことになりますがやっぱり安心感があります。
テナー・サックス奏者のバラード集はそれこそ数が多いですね。
でも、昔ながらのスイング・スタイルを感じさせるものはそうはありません。
コールマン・ホーキンスやベン・ウエブスターの流れを受け継いだのはハミルトンです。
この流れを踏襲してくれたプレイヤーがいて本当に良かったと思います。

ハミルトンはデビュー時からスタイルはまったく変わっていません。
ワン・アンド・オンリーの世界を持っています。
「MAN WITH A HORN」から始まる今作はハミルトンの諸作の中でも一番濃い感じがしました。
徹底したバラード・プレイは抜群のテンポのキープ力を見せてくれました。
バックを固めるのはジョン・ピアース(p)をはじめイギリスの3人です。
私的ベストは(9)「BY THE RIVER SAINTE MARIE」ですがこのスイング感が素晴らしい。
その他にも聴きどころが多いです。
ただ、あまりに情感豊かなので、「わぁ〜、これはちょっと・・・」と思う人もいるでしょうね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2016/03/13



(848) JOHN FEDCHOCK NY SEXTET / LIVE AT THE RED SEA JAZZ FESTIVAL
john fedchock(tb), scott wendholt(tp,fhn), walt weiskopf(ts),
allen farnham(p), david finck(b), dave ratajczak(ds)
2010/Capri Records/

1 This Just In
2 That's All Right
3 Elvin's Empire
4 Moon Alley
5 Caravan
6 Not So New Blues

久々に聴いたけどいいです。
白熱のライブ盤、アレンジも新鮮で楽しめます。
トランペット&テナー・サックス&トロンボーンのフロント3管もジャズの王道ですね。
ふとカーティス・フラー(tb)を思い出しました。
もう10年以上聴いてないかも。

「レビュー時のコメント」
ジャケットを見た時にトロンボーンがリーダーの3管編成は面白そうと思いました。
3管といえばジャズ・メッセンジャーズやアート・ファーマーのジャズテットを思い出します。
しかし、イメージはちょっと違ってビックバンド風というか、よりモダンな展開を見せています。
ここはメンバー構成も興味深いものがありますね。
リーダーのジョン・フェドコック(tb)をはじめ、ビック・バンドで活躍したプレイヤーが多いです。
フェドコックのオリジナルが4曲にトム・ハレル(tp)とデューク・エリントンを取り上げています。
分厚いアンサンブルとハーモニーを十分に楽しむことができました。
(3)「ELVIN'S EMPIRE」〜(4)「MOON ALLEY」はライブとは思えない完成度の高い演奏。
(5)「キャラバン」の盛り上がりも楽しめました。
ウォルト・ワイスコフ(ts)、スコット・ウェンドホルト(tp)、多才なアレン・ファーナム(p)のプレイも聴きどころ。
ビック・バンド・ファンにもお薦めできます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/03/06



(847) MARC CARY FOCUS TRIO / LIVE 2009
marc cary(p), david ewell(b), sameer gupta(ds)
2010/MOTEMA MUSIC/

1 'Round MIdnight
2 Atachment
3 Twilight
4 Runnin' Out Of Time
5 Slow Blues For Mlk
6 KC-Bismillah Khan
7 Minor March
8 My Love Is You
9 Just In Time
10 In Between Appointments
11 CD Changer

久し振りに聴きましたがその強烈なイメージは変わりません。
凄いです、背筋がゾクゾクします。
(7)「Minor March」を聴くべし。

「レビュー時のコメント」
マーク・キャリーも好きなピアニストの一人です。
最初に聴いたのはロイ・ハーグローブ(tp)作品だったか、ラッセル・ガン(tp)のアルバムでも良かった。
ワイルドで野性的、個性味溢れるピアニストです。
フレーズを繰り返すのはグラント・グリーン(g)のピアノ版という雰囲気もあって一度聴いたら忘れられません。
直球よりも変化球が多めですが古さと新しさの段差が実に面白いです。
ファンキー&ソウル、かと思うとモダンでフリーな展開をみせるアプローチやフレーズもある。
やっぱりこういうのはアメリカでしょうね、ヨーロッパでは出てこないピアニストだと思います。
ヒップホップ風にソウルフルに疾走するビート感が面白い、この手のサウンドはドラマーが決め手になります。
うねる波のように押し寄せる多弁なドラミングが新鮮かつ印象的で魅力あります。
連打するピアノとドラムスのコラボレーション、自然に身体が揺れてくるグルーブ感がたまらないです。
彼らの目指すサウンドはオリジナルにあり・・・このノリはもう最高。
(6)「KC-BISMILLAH KHAN」、(7)「MINOR MARCH」も聴きどころになります。
背筋がゾクゾクとするほどの真っ黒で刺激的なピアノ・トリオが聴けました。
このライブ盤はマーク・キャリーの代表作になるのではないかな。
選曲構成も良く、1枚を通して楽しめる独特の味を持つピアノ・トリオ作品でお薦めです。

「2010年ベスト3」の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/02/28



(846) MIKE MELITO QUINTET & SEXTET / IN THE TRADITION
mike melito(ds), grant stewart(ts), john swana(tp),
paul hofmann(p), neal miner(b), bob sneider(g)(3,5,6,8,9)
2008/Mike Melito/

1 Junka
2 Shades Of Blue
3 The Dolphin
4 Bish Bash Bosh
5 Le Barron
6 Skylark
7 Hankerin
8 In The Tradition
9 Good Bait

オーソドックスなネオ・ハード・バップ盤。
文句なしに楽しめます。

「レビュー時のコメント」
題名が「IN THE TRADITION」は予想通り、4ビートのホッとする演奏が詰まっていました。
リーダーのマイク・メリト(ds)をはじめ、ピアニスト、ベーシスト、ギタリストは初見です。
ここではグラント・スチュアート(ts)とジョン・スワナ(tp)の組み合わせに興味を持ちました。
私はテナー・サックスとトランペットのフロントが大好きで見かけると大抵買うことになります。

曲目はソニー・クラーク(p)、バリー・ハリス(p)、ハンク・モブレイ(ts)、タッド・ダメロン(p)など、
スタンダードの(6)「SKYLARK」、オリジナルの2曲を含めて嬉しい選曲になっています。
実にやわらかい仕上がりで聴きやすいです。
間違いなく楽しめるアルバムだと思いましたが事実その通りになりました。

ドラマーのリーダー・アルバムにはハズレが少ないですがここでも人選に成功したと思います。
グラント・スチュアート(ts)とジョン・スワナ(tp)がいいです。
二人ともいまひとつ大人しい感じなので、でしゃばることが少なく好センスなプレイヤーですね。
反面、なにか物足りないところがあるのも事実・・・でも、ここではそれが見事に生きました。
ギター入りのセクステットは珍しいけれど、メリトのトータルなサウンド作りが素晴らしい。
ボサノバ好きには(3)「THE DOLPHIN」も入っていてソツがありません。
むずかしいことは何もない、選曲、構成もよく考えられているので安心してお薦めできます。
ただ、自主制作盤だと思えるので入手は困難かもしれませんね。
同じドラマーのジョー・ラ・バーベラが絶賛のコメントを寄せています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2016/02/21



(845) SCOTT HAMILTON SCANDINAVIAN FIVE / LIVE AT NEFERTITI
scott hamilton(ts), ulf wakenius(g),
jan lundgren(p), jesper bodilsen(b), kristian leth(ds),
2009/Stunt Records/

CD
1 Move
2 Tenderly
3 Dear Old Stockholm
4 Bye Bye Blackbird
5 In A Sentimental Mood
6 Blue Capers

DVD
1 Tenderly
2 Move
3 Bye Bye Blackbird
4 In A Sentimental Mood
5 Blue Capers
6 Smile

CDとDVDの2枚組になっていて大徳用盤です。
メンバーのファンなら必携だと思います。
演奏も熱いです。

「レビュー時のコメント」
スコット・ハミルトン(ts)のスウェーデンのジャズ・クラブ、「ネフェルティティ」でのライブ盤です。
CDとDVDの2枚組になっていて大徳用盤、こういうのは大歓迎です。
ハミルトンのオーソドックスなスタイルはまったく変わらないのでいつも通りのサウンドと展開。
ここの注目はスカンジナビアン・ファイブと名付けられた共演メンバーにあると思います。
ウルフ・ワケニウス(g)、ヤン・ラングレン(p)、イエスパー・ボディルセン(b)といったところが参加しました。
焦点はやはり「北欧の貴公子」、ヤン・ラングレン(p)でしょうね。
イケメンで女性に人気ですがジャズ・ピアニストしての実力も申し分ありません。
爽やかなタッチとまろやかなフレーズはハッとさせるほど美しいです。

正直、CDよりもDVDが断然良くて価値があります。
リラックスしたライブの模様がそのまま伝わってきて面白かったです。
アイ・コンタクトで意思の疎通を図るところなど、ライブならではの雰囲気が伝わってきました。
音楽監督はラングレンだったようですね。
DVDではラングレンの存在感とワケニウスやボディルセンのプレイも見どころになります。
盛り上がったのは(1)「MOVE」、ベスト・プレイは(4)「BYE BYE BLACKBIRD」か。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2016/02/14



(844) MYRON WALDEN QUINTET / MOMENTUM
myron walden(ts), darren barrett(tp),
david bryant(rhodes), 中村恭士(b), kendrick scott(ds)
2009/Demi Sounds Records/

1 Of Three Worlds
2 The Road Ahead
3 Pulse
4 Vision Of A Visionary
5 Miles
6 When TimebStood Still
7 What Goes Up Must Come Down
8 Longing
9 Like A Flower Seeking The Sun
10 Memories
11 Carnage
12 When Time Stood Still

凄くかっこいいサウンドです。
最近は耳馴染みの良よいものばかりを聴いていたので刺激的でした。
現代版マイルス・デイビス・クインテットは王道を行く。

「レビュー時のコメント」
マイロン・ウォルデン(ts)を最初に聴いたのは1996年のラッセル・ガン(tp)の作品でした。
その後もジェレミー・ペルト(tp)、最近ではブライアン・ブレイド(ds)の「フェロウシップ」で聴きました。
現在は37歳ということなので順調に成長してきたと思います。
当初はアルト・サックスでしたがどうやらテナー・サックスに転向したようですね。

今作は全てマイロンのオリジナルで占められていて意欲作だと思います。
ダーレン・バーレット(tp)とデヴィッド・ブライアント(p)は初見、
中村恭士(b)さんはHPのライブ・レポートや片倉真由子(p)さんの作品などで何度か紹介しています。
バークリーからジュリアードに学んだ逸材で期待のベーシストです。
ケンドリック・スコット(ds)も先進のドラマーとして売り出し中です。
この二人のリズム・セクションが強烈、加えてブライアントのローズが絡むと懐かしいサウンドになりました。

テナー・サックスにトランペットのフロントにピアノ・トリオは王道クインテットの組み合わせ。
おまけにローズ使用とくればもうお分かりですね。
お手本は初期のエレクトリックなマイルス・デイビス・クインテットです。
ズバリ、(5)「MILES」なんて曲名もあります。
1曲目「OF THREE WORLDS」を聴いてもらえばこのグループの魅力が分かると思います。
(2)「THE ROAD AHEAD」、(7)「WHAT GOES UP MUST COME DOWN」も良かった。
一番の聴きどころは(3)「PULSE」かな・・・ゆったりと刺激的で味のある演奏が展開されています。

ちなみにこのグループのライブ・アルバムも同時発売されています。
期待の程が分かりますね。
現在のニューヨークのジャズ・シーンの一片を切り取ったお薦めのジャズ・アルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2016/02/07



(843) GLADYS KNIGHT / BEFORE ME
gladys knight(vo),
chris botti(tp), roy hargrove(flh), david "fathead" newman(ts),
steve wilson(as), russell malone(g), jeff mironov(g),
joe sample(p), billy childs(p),
john clayton(b), david finck(b), jeff hamilton(ds), etc
2006/Verve/

1 Do Nothing Till You Hear From Me
2 The Man I Love
3 Good Morning Heartache
4 Since I Fell For You
5 God Bless The Child
6 This Bitter Earth
7 I Got It Bad (And That Ain't Good)
8 Someone To Watch Over Me
9 But Not For Me
10 I'll Be Seeing You
11 Stormy Weather
12 Come Sunday

ソウルフルなスタンダード作品集をどうぞ。

「レビュー時のコメント」
ライブを聴きに行って、休憩時間にかかっている曲にドキッとする時があります。
これもそんな中の一枚でした。
「いいねぇ〜、これは誰ですか?」とたずねると・・・・・返事は「グラディス・ナイト」でした。
グラディス・ナイトといえばソウル系モータウン・レコードの看板歌手だったじゃないですか。
”グラディス・ナイト&ザ・ピップス”の「Neither One Of Us」は良かった。
今作はその彼女のスタンダード集で発売時には相当話題になったらしいです。
事実、知った時にすぐ入手しようとしたら一時的に廃盤状態になっていて、ようやく再プレスされました。

ストリングス・オーケストラをバックにゴージャズに歌い上げています。
バックにはそうそうたるメンバーが名前を連ねていました。
グラディスの持ち味であるソウル・フィーリングに満ちたスタンダード集で素晴らしい仕上がりです。
聴きどころが多いですが特に(3)「Good Morning Heartache」と(5)「God Bless the Child」、
(8)「Someone to Watch Over Me」、(9)「But Not for Me」が良かった。
私としてはボーカルの愛聴盤は珍しいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/01/31



(842) YOSHIO SUZUKI / MY DEAR PIANISTS
鈴木良雄(b)、
ケイ・赤城(p)、秋吉敏子(p)、小曽根真(p)、
イサオササキ(p)、野力奏一(p)、山本剛(p
2009/55Records/


1 Peasian Breeze
2 My Dear Friends
3 Kisses On The Wind
4 I Know Who Loves You
5 Roulette
6 Some Other Time
7 Tancho
8 Bluebell Song
9 September Quest
10 The Moment
11 Kesaran Pasaran
12 Hope

美しいピアノと寄り添うベース。
なんと贅沢な時間なんだろうか。
深夜だと切な過ぎるので昼下がりがいいかもしれない。

「レビュー時のコメント」
日本を代表するベーシスト、鈴木良雄さんの音楽活動40周年の記念盤だそうです。
鈴木さんが長年温めてきたアイデアが実現されました。
6人の素晴らしいピアニストとの共演でこれまた贅沢なアルバムに仕上がっています。
鈴木さんのライブにも時々出かけますが若手との共演が楽しみです。
ここでは8曲、ライブでもオリジナルが中心で作曲家としての才能にも溢れています。
そのオリジナルは人柄を表していてやさしくて温かくて美しい曲が多いです。
ここでも6人のピアニストがそれぞれに美しいプレイを聴かせてくれました。
メンバーは語る必要がない実力者揃いです。
ただ勉強不足でイサオササキさんは初めて聴きました。
ベスト・トラックは一番若い野力さんとの表題曲にもなった(4)「MY DEAR FRIENDS」かな。
美しいメロディと寄り添うような鈴木さんのベースとそれぞれのピアニストの思いを聴いてみて下さい。
気持が落ち着き、穏やかにやさしくなれます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2016/01/24



(841) DAVID KIKOSKI TRIO / LIVE AT SMALLS
david kikoski(p), hans glawischnig(b), obed calvaire(ds)
2009/SMALLS LIVE/

1 Inner Urge
2 Dirty Dogs
3 Billie's Bounce
4 7/4 Ballad
5 Grey Areas

キコスキをライブで見た時、顔つきが天才肌だと感じました。
チック・コリアやスティーヴ・キューンと相通じるところがあります。
ライブならではの迫真のパフォーマンス。
骨太の素晴らしいピアノが聴けます。

「レビュー時のコメント」
デヴィッド・キコスキ(p)・トリオのライブ盤です。
オリジナルが3曲とジョー・ヘンダーソン(ts)、チャーリー・パーカー(as)が選ばれています。
収録曲は5曲、気合乗りは十分でそれぞれ10分を超える熱演になりました。
キコスキの魅力は甘さ控え目のストレート・アヘッドなピアノ・プレイにあると思います。
ルーツはマッコイ・タイナー(p)、力強いタッチと思い切りがよく硬質で一本気なところが感じられます。
スロー・テンポはいまひとつでグイグイと突っ走るピアノがいいです。
良かったのは(5)「GREY AREAS」でこれが素晴らしい。
「おいおい、これは〜」・・・途中で私は座り直して聞き耳を立ててしまいましたよ。
ピアノとドラムスのコンビネーションが凄い、中盤の盛り上がりが圧巻で背筋がゾクゾクとしました。

今回、新しいメンバーを起用して名実共にキコスキーのトリオになったと思います。
ベースのHans Glawischnigはデヴィッド・サンチェス(ts)やミゲール・ゼノン(as)と共演、
ラテンや一癖あるサウンドだったのでこういうストレートなジャズは初めてです。
若手のドラマーのObed Calvaireはフィリップ・デザック(tp)のアルバムで聴いたことがあります。
二人共に要注目のプレイヤーになりましたが特にオベッド・カルヴァイアー(ds)は魅力十分です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/01/17



(840) JON IRABAGON QUARTET & QUINTET/ THE OBSERVER
jon irabagon(as,ts), nicholas payton(tp)(2,8)
kenny barron(p), bertha hope(p)(9), rufus reid(b), victor lewis(ds)
2009/Concord/

1 January Dream
2 Joy's Secret
3 The Infant's Song
4 Cuo Bearers
5 The observer
6 Acceptance
7 Makai And Tacoma
8 Big Jim's Twins
9 Barfly
10 Closing Arguments

ジョン・イラバゴンのアルト・サックスの音色はちょっとつっかかる感じで特徴があります。
全体を通してルーファス・リードのベースが素晴らしいです。
良く伸びて切れています。

「レビュー時のコメント」
ジョン・イラバゴン(sax)は初見、クラリネット奏者でもあるようです。
このメジャー・レーベルのデビュー作は相当気合が入っていると思われます。
それはケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、ヴィクター・ルイス(ds)の起用からもうかがえます。
2曲にはニコラス・ペイトン(tp)が参加しています。
オリジナル7曲、その他3曲の構成、ジジ・グライス(as)やトム・マッキントッシュ(tb)の曲は珍しいです。
比較的地味なプレイヤーの作品をとりあげているので選曲からも人柄を表しているような気がします。
さらにエルモ・ホープ(p)の曲(9)「BARFLY」ではホープの奥さんのバーサが参加しているのも貴重です。
やや大人しめですが多彩な奏法を聴かせてくれてストレートなジャズ・アルバムに仕上がっています。
もう少し迫力が欲しい気がしますが長く愛聴できる通好みのアルバムといえるかもしれません。
私はグライスの(3)「THE INFANT'S SONG」のバラードの表現力に注目しました。
安定感のあるサックス・ワン・ホーン・作品は安心してお勧めできます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/01/10



(839) KURT ROSENWINKEL TRIO / REFLECTIONS
kurt rosenwinkel(g), eric revis(b), eric harland(ds)
2009/WOMMUSIC/

1 Reflections
2 You Go To My Head
3 Fall
4 East Coast Love Affair
5 Ask Me Now
6 Ana Maria
7 More Than You Know
8 You've Changed

1曲目の1音を聴いただけでグッと引き寄せられてしまった。
フワーッとした浮揚感がなんともたまりません。
久々に聴いたけれどやっぱり素晴らしかったです。

「レビュー時のコメント」
先進のギタリスト、カート・ローゼンウィンケル・トリオのスタンダード作品集です。
このアルバムの存在は知っていましたが延び延びになってライブ会場で入手しました。
(2010年ライブ・レポート参照)

カートの名前を最初に知ったのは90年代初めだったか、ゲイリー・バートン(vib)のアルバムでした。
名前からみてもドイツ系ということはすぐに分かりますね。
まだ若かった(20歳そこそこ)こともあって、その時は特別印象に残りませんでした。
その後、マーク・ターナー(ts)、クリス・チーク(ts)、ペリコ・サンビエト(as)、クリス・ポッター(ts)などの
先進のサックス奏者と共演して徐々に頭角を現してきました。
上下に伸び縮みする独特の浮揚感を持ったサウンドは誰にも似ていない彼独自のものです。
2000年に入るとそれこそあちこちから引っ張りだこになります。
その個性的なギター・プレイは彼をニューヨークの最先端をいくギタリストに成長させました。
最大の特徴は「クール+気だるさ」にあります。
最初はちょっととっつきにくいと思いますが慣れてくると心地良いリズムになってくるんです。

今回、ライブと今作を聴いて、ルーツはジョー・パス(g)とジム・ホール(g)かなと思いました。
ジョン・アバークロンビー(g)の雰囲気もある。
テクニックはもちろんのこと、エフェクターを上手に使ってサウンド作りをしています。
今作ではセロニアス・モンク(p)とウエイン・ショーター(ts)を2曲づつ演奏しているので好みも分かりました。
面白かったのはモンクの(1)「REflections」、オリジナルの(4)「East Coast Love Affair」、
ショーターの(6)「Ana Maria」のボサノバのリズムだったです。
ライブでは共演のエリック・リーヴィス(b)とエリック・ハーランド(ds)も見たかったけれど、
特に超売れっ子のハーランドは難しかったかもしれませんね。
ストレートでオーソドックスを基調にしながらも、一味違うジャズ・ギター・トリオの好盤です。
思ったよりずっと良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2016/01/03



(838) MASAHIKO TOGASHI BALLAD COLLECTION / MY WONDERFUL LIFE
佐藤允彦(p),
渡辺貞夫(as), 日野皓正(tp), 峰厚介(ts,ss)
山下洋輔(p)
2009/Ratspack Record/


1 My Woderful Life (Watanabe/Satoh)
2 Reminisce-'63 (Hino/Satoh)
3 Memories (MIne/Satoh)
4 Waltz Step (Satoh)
5 Everlasting Friendship (Hino/Satoh)
6 Where Am I Going ? (WAtanabe/Satoh)
7 Dancing In The Dream (Mine/Satoh)
8 Sorrowful Days (Satoh)
9 Today's Feeling (Watanabe/Satoh)
10 I'll Sing For My Friends (Hino/Satoh)
11 Till We Meet Again (Mine/Satoh)
12 Good Night My Friends (Satoh)
13 The Past Is Beautiful After All (Mine/Satoh)
14 My Wonderful Life (Yamashita)

まずは1曲目からノックアウトされてしまいます。
ドラマーの作品はなぜか美しくロマンチックなメロディを持つ曲が多いです。
もちろん富樫さんも例外ではありません。
今でも時々話題になる名盤です。

「レビュー時のコメント」
故富樫雅彦(ds)さんのバラードを演奏しようという興味深い企画です。
この曲想、このメンバー、この内容なら話題になることは確実な情勢でしたね。
盟友の佐藤允彦(p)さんを中心に渡辺貞夫(as)さん、日野皓正(tp)さん、峰厚介(ts,ss)さんの組み合わせ。
さらに山下洋輔さんのソロ・ピアノまで加わっています。
こんな贅沢なCDはもう出ないんじゃないかな。
それこそジャズ・ファンなら必携だと思いますよ。

それぞれに聴きどころがあるし、聴く人がそれぞれに感じて好きな曲を聴けばいいと思います。
3人のホーン奏者がどういう思い入れで吹いたかを考えるのも面白いですね。
私が一番しっくりきたのは峰さんだったけど・・・さて、みなさんはどうでしょうか?

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2015/12/27



(837) MAGNUS HJORTH TRIO / SOMEDAY.Live in Japan
magnus hiorth(p), petter eldh(b), 池長一美(ds)
2010/Cloud/


1 Everything I Love
2 Someday My Prince Will Come
3 Ask Me Now
4 Ain't Misbehavin
5 Milestone
6 Take The A Train
7 Bess You Is My Woman Now

この作品で渾身のライナー・ノーツを書いたmanaさんが今年亡くなってしまった。
私にマグナス・ヨルトを紹介してくれたジャズ友です。
ジャズ批評でも陶芸でも一家言を持った人でした。
悲しいです。
これからもマグナスを聴くたびにmanaさんを思い出します。

「レビュー時のコメント」
マグナス・ヨルト(p)、ペーター・エルド(b)、池長一美(ds)のライブ盤が出ました。
(2009年ライブ・レポート参照)

これほど緊張感のある刺激的な演奏はそうそう聴けないと思います。
ライブを重ねるごとに気心が知れて親密さを増すのは自然の理です。
そういった意味では最終日が一番まとまったと思います。
しかし、収録されたこの3日間のライブを聴いてみるとそれぞれに良さがありました。
特に圧巻なのはやはり初日でしょうね。
ぶっつけ本番の緊張感が伝わってきてよりスリリングな内容になりました。
私は(5)「MILESTONES」にガツンときてしまいました・・・これはいいです。
グイグイと突っ走るマグナスとペーターのフレッシュで瑞々しいプレイはどうでしょう。
それに反応しようとする池長さんの心の昂ぶりと息使いが聞えました。
プレイヤーの思いがそのまま伝わってくるような気がします。
最初は手探りで始まって互いの反応を見ながら徐々に盛り上がっていく、
どんな展開になるのかまったく先が見えない、
プレイヤーも観客も一体になって作り上げていく臨場感がありました。
こういうライブ盤は数が少ないと思います。
CD化までは未定だったと思うのでプレイヤーにとっても自由度が大きかったこともあるでしょうね。
だからこそプレイヤーのそのまんまの姿を切り取ったライブ盤になったのかもしれません。
録音はたった2本のマイクだけでワンポイント収録という珍しいものだそうです。
聴いてもらえば分かりますが信じられない音の良さです。
この録音方式はオーディオ・ファンからも注目されるのではないかな。

思えばこれはプロデューサーのYさんの思い入れから始まりました。
デンマークで聴いたマグナスに惚れ込み、日本の池長一美と共演させたいという思い。
それが日本でのライブにつながり、このCD発売にもつながりました。
お気に入りのミュージシャンを全力で応援する・・・ジャズ・ファンの究極の望みを実現した形になりますね。
CDに入れる選曲も紆余曲折があったと聞いています。
出来上がってみると見事にジャズ・ファンの願いを結実させたと思います。
この5月にはCD発売記念ライブが予定されているし、デンマークでのCD制作も決まっているとのこと。
マグナス・ヨルト・トリオはこの日本で認められて世界に飛躍することになりそうです。

なお、私にマグナスを紹介してくれたジャズ友のmanaさんがCDに渾身のライナー・ノーツを書いているのも嬉しい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2015/12/20


(836) STEVE KUHN TRIO & JOE LOVANO / MOSTLY COLTRANE
steve kuhn(p), david finck(b), joey baron(ds)
joe lovano(ts)
2009/ECM/

1 Welcome
2 Song Of Praise
3 Crescent
4 I Want To Talk About You
5 The Night Has A Thousand Eyes
6 Living Space
7 Central Park West
8 Like Sonny
9 With Gratitude
10 Configuration
11 Jimmy's Mode
12 Spiritual
13 Trance

今回は最長の(5)「夜は千の眼を持つ」をじっくりと聴いてみました。
ピアノ・トリオから始まってテナー・ソロへ・・・スピード感溢れる演奏です。
キューンとロバーノの白熱した絡みが聴きどころ。

「レビュー時のコメント」
スティーブ・キューン・トリオ&ジョー・ロバーノのジョン・コルトレーン作品集です。
去年の「みんなのベスト3」にも挙げられていました。
ドイツのECMは確固たるポリシーを持っている数少ないレーベルの一つだと思います。
独特の音作りに惹かれるファンも多いのではないかな。

演目はコルトレーン9曲、キューンのオリジナル2曲とスタンダード2曲を含めて全13曲です。
コルトレーン作品集でも一般的にはあまり馴染みのない曲を多く取り上げているようですね。
選曲良し、構成良し、あくまでキューンがコルトレーンをやるとこうなるという感じで個性があります。
キューンはライブで何度か見ましたがいわゆる異相の持ち主で目が鋭く天才肌のピアニストだと思いました。
同じような感覚をチック・コリア(p)にも持った思いがあります。

ベーシストのデヴィッド・フィンクは共演歴も長く、気心が知れています。
ドラマーはビリー・ドラモンドからジョーイ・バロンに代わっていますが絶妙な人選でしょうね。
サウンド的にピタリとハマっていると思います。
さて、ここのジョー・ロバーノ(ts)はどうだろう?
ロバーノも一癖二癖ある個性派のサックス奏者なのでぶつかるかも知れないと思っていました。
ところが聴いてみると直球勝負で相性抜群、キューンの相手ならこのくらいの力がないといけません。
二人が堂々と五分に渡り合っているので実にバランスがいい仕上がりになっています。
どれから聴いても楽しめるアルバムは少ないですがこれはそんな中の一枚です。
75分を超える収録時間もただ長いだけじゃない、制作者の意気込みと好意を感じました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2015/12/13



(835) ATSUSHI IKEDA QUARTET with YOSHIRO OKAZAKI / HERE WE ARE
池田篤(as,ts)、辛島文雄(p)、島田剛(b)、高橋徹(ds)
岡崎好朗(tp)
2009/Pitt Inn/


1 A Flower Is A Lovesome Thing
2 John's Jazz Stone
3 Orange Was The Color Of Her Dress, Then Blue Silk
4 Falls
5 Peggy's Blue Skylight
6 Straight No Chaser
7 Blue Monk

池田篤さんはもちろんのこと、辛島文雄さんのピアノも素晴らしいです。
辛島さんは現在闘病中ですが時々はライブ活動をやっていてまだまだ大丈夫のようです。

「レビュー時のコメント」
ライブ・ハウス(ライブ・レポート参照)で購入しました。
メンバーも興味深いですが内容も素晴らしいので、これはかなりいいんじゃないかと思います。
池田篤(sax)さんのニュー・カルテットに岡崎好朗(tp)さんの組み合わせです。
辛島文雄(p)さんがサイドで入っているのも珍しいですが盟友の池田さんとあっては外せませんね。
フロント2管の王道クインテットで日本の最高峰の<モダン・ジャズ>が聴けます。
「自然に身体が揺れてくる感覚」・・・いやー、これはどうしょうもなくいいですよ。

(1)「A FLOWER IS A LOVESOME THING」はピアノとのデュオで池田さんのバラード・プレイが満喫できます。
その他、全7曲はオリジナル2曲にチャーリー・ミンガス(b)2曲、モンク(p)2曲の構成がまたシブいです。
ストレートなハード・バップ・ジャズはクールでありながら熱い演奏、ライブならでは臨場感もあります。
モンクの曲は多くのプレイヤーが演奏していて聴く機会も多いですがここでミンガスが聴けるのも嬉しかった。
それにしてもミンガスの曲は改めていいなと思いました。
ミンガス自身の演奏はおどろおどろしく暗くて重いですがそのムードを踏襲しても面白くありません。
でも、こんな風にスマートに演奏されると実に個性的で新鮮な感じを受けました。
曲の良さが浮き上がってきます。
そんなわけで(3)、(4)、(5)と続く流れは最高、私的ベストは(4)「FALLS」でした。

ライブ一発録りの緊張感も感じられて、池田さん、辛島さん、岡崎さんのコンビネーションが素晴らしい。
特にアメリカから帰ってから精力的に活動している岡崎さんは今一番輝いているトランペッターだと思います。
「乗ってるなぁ〜、切れてるなぁ〜」という表現がピッタリで背筋がゾクゾクとしました。
安定感のある高橋徹(ds)さん、気鋭の島田剛(b)さんのグイグイと押してくるリズムセクションも好演しています。
このブループはお勧めです。
チャンスがあったら是非ライブを見に行って下さい。

--帯中よりの抜粋--
「ジャズもできるミュージシャンではなく、ジャズができるミュージシャン達による白熱のライブ!!」

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2015/12/06



(834) DONNY McCASLIN TRIO / RECOMMENDED TOOLS
donny mccaslin(ts), hans glawischnig(b), johnathan blake(ds)
2008/Koch/

1 Recommended Tools
2 Eventual
3 Late Night Gospel
4 Excursion
5 Isfahan
6 Champion
7 Margins Of Solitude
8 3 Signs
9 2nd Hour Revisited
10 Fast Brazil

ピアノレス・トリオだとテナー・サックスの音色がより浮き出てきます。
改めてドニー・マッカスリンの表現力が素晴らしいです。

「レビュー時のコメント」
二人の方が去年の「みんなのベスト3」に名前を挙げているドニー・マッカスリン(ts)の作品です。
1曲を除いてはオリジナルでテナー、ベース、ドラムスのトリオで演奏されています。
個性的な演奏、ノリもいい、グイグイと突っ走る独特の音楽空間には魅力がいっぱいです。
存分にサックスを手の内に入れているというか、しゃべるが如く自在に操るのには驚きました。
フレーズを短く切ってパッパッパと吹く・・・まるで言葉を発しているみたいに聞える。
そう、ラップ・ミュージックのようです。
テナー・サックス奏者では中々に似た人はいないかもしれません。
でもエリック・ドルフィー(as,fl、bcl)には近いのではと思いましたよ。

私的ベストはビリー・ストレイホーンの手になるただ1曲のスタンダードでした。
印象的なテーマを持つバラードの(5)「ISFAHASN」でこれが素晴らしい出来です。
本来は野太く豪快なテナーをか細く弱々しく頼りない音色で吹くのは現在の流行か。
表現方法がグンと広がるので多くのサックス奏者が積極的にこの奏法を取り入れています。
そういえば最近「草食系男子」なる言葉をよく聞きますね。
全体的にジョナサン・ブレイク(ds)の存在感が光り、二人のコンビネーションも聴きどころになっています。
その他の曲ではやや一本調子の感があるところが残念だったかも知れません。
あと1、2曲くらいのスタンダードか、ゲストが入ればもっと良かったと思います。
(5)が素晴らしかっただけに惜しい・・・今作は多分ここが評価の分かれ目になると思います。

私はマッカスリンを何年か前に何度か聴いたことがありましたがまったくのノーマークでした。
幅広い音楽性を持ち可能性を感じさせるテナー奏者。
こういうプレイヤーに目が向くのは大したものだと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2015/11/29



(833) MAX IONATA QUARTET / NIGHT WALK
max ionata(ts),
roberto tarenzi(p), dario rosciglioe(b), marcello di leonardo(ds)
2009/Norma Blu/

1 Trevi’s Theme
2 Night Walk
3 Greensleeves
4 Boom Jackie Boom Chick
5 Bolivia
6 Mental Telepathy
7 And You Know That
8 Pressmission
9 Vilia
10 Love spring

マックス・イオナータ(ts)を聴いた最初の作品。
まさに王道をいくテナー・サックスで一発で魅せられてしまった。

「レビュー時のコメント」
マックス・イオナータ(ts)の名前は耳に入っていましたが実際に聴くのは初めてです。
イタリア・ジャズ界ではトランペッターのファブリッツオ・ボッソを間に挟んで、サックス奏者では
「ハイ・ファイブ」のダニエル・スカナピエコ(ts)とこのマックス・イオナータが高評価されているようですね。
注:「HIGH FIVE」はイタリアのグループ名

まずは艶があって美しいサックスの音色に惹かれました。
サウンドもストレートでよどみないフレーズに満ちて、スマートで華やかな感じがしました。
ただどうもここいらへんが評価の分かれ道になりそうなのでもう何枚か聴いてみたいと思います。

今作は聴いてもらえればすぐに分かると思いますがジョン・コルトレーン・カルテットを彷彿とさせるものです。
実にスムーズに展開するので聴き易いことこの上ありません。
比較するには適当な(3)「Greensleeves」と(5)「Bolivia」が入っているもの良かった。
私が気に入ったのは最もコルトレーン色の薄い(9)「Vilia」だったのも皮肉ですが、
こういう軽めのテーマを持つ曲も面白いと思いました。
もうひとつ、ロベルト・タレンジのマッコイ・タイナーばりのピアノにも注目ですね。
ベースとドラムスが今一つ控え目ですが全体的には骨太のガッチリとした作りで聴き応えがありました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)

2015/11/22



(832) STEVE DAVIS QUARTET / ELOQUENCE
steve davis(tb),
hank jones(p), nat reeves(b), joe farnsworth(ds)
guests:roy hargrove(tp), steve nelson(vib), john lee(bg)
2009/Jazz Legacy/

1 Yardbird Suite
2 How Deep Is The Ocean
3 Minor Contention
4 The Blues
5 It Could Happen To You
6 My Ship
7 Have You Met Miss Jones
8 Django
9 Road Song
10 Peedlum
11 Lament
12 When The Saints Go Marching In

このスティーヴ・ディヴィス(tb)の作品はハンク・ジョーンズ(p)の最晩年の参加作品です。
ハンクは2010年に91歳で亡くなっているのでこれが最後の正規録音になるかもしれませんね。
穏やかでやさしいピアノが聴けました。

「レビュー時のコメント」
中堅のトロンボーン奏者のスティーブ・デイビスの新作です。
デイビスはエリック・アレキサンダーの”ワン・フォー・オール”やチック・コリアの”オリジン”で知られています。
オランダのクリス・クロス・レーベルからリーダー作が何枚も出ています。
思うに私はほとんどトロンボーン奏者のアルバムは買っていません。
特別深い理由はないですがなんでだろう?
トロンボーン奏者そのものが極端に少なく地味なイメージもあって手が伸びないのかもしれませんね。
ドラ盤演奏者リストでもトロンボーン奏者はケビン・ユーバンクスがたった一人だけ。
それもサイド・マンなのでこれではどうしょうもない感じがしました。

ここではピアニストに大御所で91歳の怪物ハンク・ジョーンズを迎えてのストレートなジャズ作品です。
演目はそのハンクのオリジナルを含めてジャズの名曲ばかりです。
当然ながらJ.J.ジョンソン(tb)の名曲(11)「LAMENT」も入っています。
やっぱりハンク・ジョーンズに気を遣ったのか、聴き易いですがやや刺激に欠けると思いました。
しょうがない気もするけどデイビスの場合はもうちょっと鋭く尖がった方がいいですね。
ゲストにはロイ・ハーグローブ(tp)やスティーブ・ネルソン(vib)を迎えて新味を出しています。
セクステットで演奏されるのが(3)、(4)、(5)、ヴァイブを加えたクインテット編成が(7)、(8)です。
でも、今作は思い切ってワン・ホーンで通したほうが良かったかも。
(6)「MY SHIP」が最高の1曲でハンク・ジョーンズのソロも素晴らしい・・・これには参った。
ファンキーでノリノリのウエス・モンゴメリー(g)の(9)「ROAD SONG」もいい。

ところでこのレーベルを買ったのは2枚目ですがジャケットがケースに収まらない特殊なデザインです。
この取り扱いには困りますがなぜこんなことになるのか、理解できません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)

2015/11/15



(831) SUMIKO YOSEYAMA / INTERLUDE
与世山澄子(vo),
南博(p), 安ヵ川大樹(b), 菊池成孔(ts)
2005/Tuff Beats
/

1 Interlude
2 Misty
3 Lover Man
4 Somewhere In The Night
5 If
6 Since I Fell For You
7 Night And Day
8 Poor Butterfly
9 What A Wonderful World
10 So In Love
11 Left Alone
12 Bookends

日本にもこんな歌手がいるんです。
圧倒的な存在感が凄い。

2009年度「ベスト3」の一枚です。

「レビュー時のコメント」
沖縄在住の与世山澄子(vo)さんの評判も聞くので一度聴いてみたいと思っていました。
強烈な個性を感じてショックを受けた・・・一度聴いたら忘れられません。
根っこはビリー・ホリデイですがそういうことを考える自体が無意味です。
やっぱり自分独自の世界を持っているミュージシャンは凄いですね。
深い深い海の底・・・魂を揺さぶられる歌声です。
ぐーっとその世界に引き込まれてしまいました。
どれも表現力が素晴らしい・・・・・(5)「If」は新鮮でした。
南さんのピアノを始め安ヵ川さんと菊池さん、共演者も個性ある名手揃いで心に沁みました。
まるでライブを聴いているような臨場感のあるアルバムに仕上がっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2015/11/08



(830) FREDRIK LINDBORG QUARTET / THE ONE
fredrik lindborg(ts)
gustav lundgren(g), keiji rabson(b), moussa fadera(ds)
2009/Imogena/

1 The Hornet
2 I Feel Lucky
3 Rush Hour
4 Ask Me Now
5 Hot Foot
6 Miss K
7 The One
8 Dearly Beloved
9 The Last Time
10 Satisfied
11 I Concentrate On You

やわらかく深みのある音色がたまりません。
スムーズな展開に酔いしれてしまいました。
色っぽいです。

「レビュー時のコメント」
スウェーデンのフレドリク・リンドボーグ(ts)はお初です。
今作はまずインパクトのあるジャケットに惹かれました。
内容を見てみるとギター・トリオをバックのテナーサックスのワン・ホーンアルバムです。
面白そうだなと思って購入しましたがこれが大当たりの大正解です。
一聴するやいなやルーツは明らかにソニー・ロリンズにあるのが一目瞭然でした。
音色は顔に似合わず野太く豪快、コールマン・ホーキンス〜ベン・ウエブスターやロリンズのテナーの王道をいきます。
ジーン・アモンズ〜イリノイ・ジャケー、デクスター・ゴードンの流れもあるし相当面白いプレイヤーです。

全10曲は7曲のオリジナルとその他3曲の構成です。
レギュラー・カルテットとしての歴史も長いようなのでコンビネーションは抜群、完成度も高いです。
全体を通して目立たず騒がず、ギタリストのグスタフ・ラングレンの趣味の良さも光ります。
ギターがバックのカルテットの面白さはギターはピアノほど多弁ではないのでサックスの存在感が増します。
それほど違和感がなく、すぐにギター・レスのトリオに変化できるのも大きな魅力です。
最初は少々とっつきにくいかもしれませんが聴いているうちに段々良くなってくるのは必定です。
特にロリンズを彷彿とさせるカリプソ・ナンバーの(2)「I Feel Lucky」と(7)「The One」には心底痺れた。
セロニアス・モンク(p)の(4)「Ask Me Now」の表現力や(8)「Dearly Beloved」のノリも素晴らしいです。
軽い4ビートの(11)「I Concentrate On You」では色気も十分でもうたまりませんよ。
何たる贅沢な時間・・・「これはいいなぁ〜」・・・久し振りに追いかけてみたいテナー奏者が現れました。
先進のアメリカじゃ多分出て来ない、懐古主義が色濃く残るヨーロッパだからこそ現れる逸材です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)

2015/11/01



(829) MANUEL VALERA TRIO /CURRENTSmanuel valera(p,key), james genus(b,elb), ernesto simpson(ds)
2009/MaxJazz/

1 Numerico
2 How Deep Is The Ocean
3 Balada Para Isabel
4 We See
5 I Fall In Love Too Easily
6 Ode To Kenny
7 Dienda
8 HindSight
9 I Loves You Porgy
10 Currents

まぁ〜、何もいうことはありません。
まさに名人芸で素晴らしいです。

「レビュー時のコメント」
マヌエル・ヴァレラ(p)のリーダー作を聴くのは3枚目になります。
ヴァレラはキューバ出身のピアニストでラテン系ピアニストに共通する明るさと切れ味を持っています。
しかし、幅広く器用なピアニストなので前2作はホーン入りでやや焦点がぼやけた感じになりました。
それでこのトリオ作には期待しましたが予想通りの仕上がりで良かったです。
(1)「Numerico」から疾走感溢れる演奏でグイと引きつけられてしまいました。
(3)「Balada Para Isabe」のバラードや(4)「Wee Say」のモンク的でない表現も聴きどころです。
(6)「Ode To Kenn」には”Dedicated to Kenny Kirkland"という副題が付いています。
続く(7)「Dienda」はその故ケニー・カークランド(p)の作品ということでこの2曲が断然素晴らしいです。
言われてみれば似ているところがあるので相当に好きだったようですね。
表題曲の(10)「Currents」と(8)「HindSight」はキーボードを駆使しています。
多分ここいらへんがヴァレラが目指すサウンドだと思います。

ドラムスのアーネスト・シンプソンはドラ盤(403)「Helio Alves Quartet/It's Clear」で
記憶に留めておかねばならないと思いましたがその通りになりました。
存在感のあるパーカッシブなドラミングは魅力十分です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


2015/10/25



(828) HEATH BROTHERS / ENDURANCE
jimmy heath(ts,ss)
jeb patton(p), david wong(b), albert"tootie"heath(ds)
2009/Jazz Legacy/

1 Changes
2 Wall To Wall
3 You Or Me
4 Ballad From Leadership Suite
5 Dusk In The City
6 Two Tees
7 Autumn In New York
8 From A Lonely Bass
9 The Rio Dawn

2曲を除いては全てジミー・ヒース(ts)のオリジナルです。
ジミー・ヒースはやはりいいです。
以前ライブ会場で握手してもらったのを思い出しました。
柔らかな温かい手だった。

「レビュー時のコメント」
久々のヒース・ブラザーズのアルバムです。
ジャズ界には兄弟プレイヤーも多いですがそれぞれが大活躍かというと意外に少ないですね。
このヒース・ブラザーズは数少ない例外的存在です。
長兄の故パーシー・ヒースはM・J・Q(モダン・ジャズ・カルテット)の名ベーシスト。
次兄のジミー・ヒースは作編曲にも優れた才能を持つ多才なサックス奏者。
一番下のアル・ヒースはあちこちに引っ張りだこのモダンな感覚を持つドラマーです。

それぞれが超多忙で共演も中々実現しなかったですが70年代になってようやく可能になりました。
今作は10年ぶりの作品、ジミーは83歳、アルは74歳になりました。
ジミー・ヒースはそれこそジミなプレイヤーだと思いますが私は好きでした。
普通、「リトル・ジャイアント」といえばジョニー・グリフィン(ts)を指しますね。
でも、私は勝手にもう一人の「リトル・ジャイアント」はジミー・ヒースだと思っていました。
ここでも7曲にオリジナルを提供していて作曲者としての才能も知らしめています。
(4)「Ballad From Leadership Suite」のバラードは最高です。
(5)「Dusk In The City」のジェブ・パットンのピアノも聴きどころになりました。
1曲だけスタンダードの(7)「Autumn In New York」を入れたのも憎い構成。
全体を漂うこのゆったりとした乗りのスイング感がいいです。
今作は暮のせわしない時に聴いてホッとしました。
音色もリズムもビートもやさしくてやわらかくて、心安らぐサウンドで良かったです。
80歳を過ぎた管楽器奏者がここまで吹けるのは驚異的、ジミーはやっぱりリトル・ジャイアントでした。
敬意を表してのドラ盤入りです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)


2015/10/18



(827) MARCUS PRINTUP QUARTET / BIRD OF PARADISE
marcus printup(tp),
ted nash(ts,as), 中村健吾(b), 高橋信之介(ds)
riza hequibal(harp)(2,3,4,6,9)
2007/SteepleChase/

1 Stupendous
2 Now's The Time
3 Lover Man Take2
4 Bird Of Paradise
5 Donna Lee
6 Parker's Mood
7 The Hymn
8 Quasimodo
9 Lover Man Take1
10 Confirmation
11 Bird Feathers

今回改めて聴いたのは「Lover Man」です。
わざわざテイク1とテイク2を入れたのはなぜか?
テッド・ナッシュ抜きのワン・ホーン・カルテットで演奏されていました。
思うにラッパ1本の「Lover Man」は珍しいんじゃないかと思います。
マーカス・プリンタップの実力が明らかです。

「レビュー時のコメント」
先日聴いたマーカス・プリンタップ(tp)が良かったのでさかのぼって聴いてみました。
今作はチャーリー・パーカー・トリビュート・アルバムです。
トランペッターのパーカー作品集は珍しいのとピアノレス・カルテットが聴きどころになります。
メンバーに中村健吾(b)さんと高橋信之介(ds)さんが参加しているのが嬉しいですね。
本線はピアノレス・カルテットの演奏にあり、なぜここにハープが加わる必要があるのかと思いました。
もっとも、4人の気合が入った演奏が続くのでハープのやさしい音色を聴くとほっとする部分があります。
ベストは急速調の(7)「THE HYMN」、スイング感溢れる(5)「DONNA LEE」、(8)「QUASIMODO」も良かった。
(11)「BIRD FEATHERS」おけるテッド・ナッシュ(as)のソロに突き抜けた部分があります。
マーカスとテッドのコンビネーションは抜群でクールで安定感のある演奏を聴かせてくれました。
ただ、上手いとは思うがもう少しガツンとくるところが欲しかったのも事実です。
中村さんと高橋さんの二人が繰り出すリズムがこれを支えています。
中村さんは日本を代表するベーシスト、アメリカに渡った高橋さんの成長は著しいです。
現在は共にニューヨークに拠点をおいて活躍中です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)


2015/10/11



(826) ARI AMBROSE & STEPHEN RILEY QUARTET / TENER TREATS TWO
ari ambrose(ts), stephen riley(ts),
jay anderson(b), matt wilson(ds)
2009/SteepleChase/

1 Sandu
2 Wave
3 Back Home In Indiana
4 502 Blues
5 Scrapple From The Apple
6 Darn That Dream
7 How High The Moon

慌てず騒がずの超クールなピアノレス2テナーは実に心地良いです。
いつまでもこのサウンドに浸っていたいと思ってしまう。

「レビュー時のコメント」
テナー・サックスが2本のピアノレス・カルテットですが面白そうなので買ってみました。
最初は慣れていないせいか、その重たいサウンドがしっくりきませんでした。
でも、聴いているうちに「段々良くなる法華の太鼓」みたいになってきました。
そしてハマりました・・・万人向けじゃないですがいいですよ。
以前なら2テナーと聞けば「あ〜、テナー合戦ね」で済みましたがこれは違います。
2テナーによるバトルも人気でしたが、これは対決ではなくて協調スタイルです。
同じ楽器のハーモニーとアンサブルが新鮮なので、これも流行しそうな気がします。
注目のアリ・アンブローズとステフェン・リレイ・・・タイプの違う二人のテナー奏者の共演。
ここではクールで軽いテナー(リレイ)と野太く重いテナー(アンブローズ)の組み合わせになっています。
私がまず聴きたかったのは(2)「Wave」と(5)「Scrapple From The Apple」でした。
ボサノバはテナー向き、チャーリー・パーカーもサックス奏者の登竜門なのでスンナリ聴けました。
その他では(3)「Back Home In Indiana」の掛け合いと
(7)「How High The Moon」でのコラボレーションが聴きどころです。
ちなみに今作はこの組み合わせの2枚目のアルバムだそうです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)


2015/10/04



(825) MEETING POINT / SQUINTESSENCE
eric alexander(ts), jim rotondi(tp,flh),
andrei kondakov(p), dmitri kolesnik(b), lenny white(ds)
2008/55 Records/

1 Secret Mission
2 Night City
3 Spoonful Of Honey
4 Spider
5 Little Lucas
6 Uno Dos Adios
7 Make Someone Happy
8 Falset

テナー&ラッパのフロント2管はモダン・ジャズの王道です。
この組み合わせには間違いがないと思っています。
エリックとジムのコンビネーションは抜群、楽器もよく鳴っています。

「レビュー時のコメント」
今作はロシア2人にアメリカ3人の組み合わせです。
ミーティング・ポイントというグループですが実質的にはコレスニク(b)&コンダコフ(p)の双頭バンドです。
なんとなく異色に感じるのはリーダーの2人がロシア出身ということと無縁でないと思います。
それでハード・バップ・アルバムでは珍しい「まじめ系」になりました。
メンバーのオリジナルが中心で気合乗りも違うし新鮮というか、意欲的で重量級ハード・バップが聴けました。
ドラムスが目立つのも最近の流行かもしれません。

ロシア伝統のクラシックに培われたアンドレイ・コンダコフ(p)とドミトリ・コレスニク(b)は名手です。
特に4曲のオリジナルを提供しているコンダコフのピアノ・プレイは聴きどころになります。
エリック・アレキサンダー(ts)についてはご多分にもれずというか、私も一時期食傷気味になっていました。
しかし、このところは完全に一皮むけて独自の個性を発揮してきたように思います。
ジム・ロトンディ(tp)はエリックとは「ワン・フォー・オール」以来の盟友の仲でコンビネーションもバッチリです。
レニー・ホワイト(ds)の多彩なドラミングにも注目しました。

ベストは(6)「UNO DOS ADIOS」かな。
私はトニー・ウィリアムス(ds)・クインテットを思い出してしまいました。
それぞれのオリジナルの演奏ぶりも面白かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)


2015/09/27



(824) MATTIAS SVENSSON TRIO / HEAD UP HIGH
mattias svensson(b), bill mays(p), joe la barbera(ds)
2009/Five Star Records/

1 Head Up High
2 It Could Happen To You
3 Lullaby Of The Leaves
4 Putte's Waltz
5 Philosophical About It
6 When It's Time To Go
7 Edelweiss
8 Atlantis Overdrive
9 Bye Bye Blackbird
10 Volare
11 Theme From Beethoven's 9th Symphony

全体を通してマティアス・スヴェンソンの骨太のベース音が素晴らしい。
「ブーン・ブン」と響くベースがトリオの演奏を引き締める。
3者が織りなす力強いピアノ・トリオが聴けました。

「レビュー時のコメント」
今作はまずメンバーの組み合わせに興味を持ちました。
スウェーデンのベーシスト、マティアス・スベンソンにビル・メイズ(p)とジョー・ラ・バーベラ(ds)です。
スベンソンはヤン・ラングレン(p)・トリオで知られていて、話題の石田幹雄(p)さんのCDにも参加していました。
ビル・メイズはストレートでバップ色の強い、よくスイングするベテラン・ピアニストです。
ジョー・ラ・バーベラはいわずと知れた晩年のビル・エバンス・トリオのドラマーですね。
なんと面白い組み合わせなのか・・・一体どんなトリオで、どんな音が出てくるのかと思いました。

ストレート・アヘッドでオーソドックスながら力のあるピアノ・トリオが聴けました。
メイズもラ・バーベラもいつもとは一味違う派手で攻撃的な演奏を聴かせています。
この組み合わせにはみんなが刺激を受けているのを感じました。
演奏者自身が刺激を受けている・・・ライブでも感じますがこういうパターンが一番いいようです。
このトリオの良さは表題曲の(1)「HEAD UP HIGH」に全て現れているような気がします。
(2)「IT COULD HAPPEN TO YOU」と(3)「LULLABY OF THE LEAVES」も聴きどころ。
やや粗いかなとは思いますがジャム・セッション的な意外性と面白さが魅力です。
なお今作はマティアス・スベンソンの初リーダー・アルバムだそうです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


2015/09/20



(823) MASAYUKI KUME QUINTET / 21
久米雅之(ds)、関根敏行(p)、佐瀬正(b)、
井上淑彦(ts,ss)、秋山卓(as)
2009/Nonet/


1 Verde
2 Co2
3 21
4 A Foggy Day
5 Requiem
6 April 18th
7 A Christmas Present
8 Steve

久米雅之さんも味わい深いドラマーです。
ライブでも出会う機会も多い。
メロディ・ラインが美しくやさしい作品で癒されます。
秋山卓(as)さんの名演が聴けるのも貴重です。

「レビュー時のコメント」
久米雅之(ds)さんのニュー・アルバムです。
1曲を除いて全て自身のオリジナルで占められています。
ドラマーのリーダー作は数多くありますが全部が自分のオリジナルというのは珍しいと思います。
聴いてもらえば一目瞭然、久米さんにはメロディ・メーカーとしての才能もあります。
このグループの特徴的サウンドは爽やかな南風のイメージでまろやかな感じがします。
そういう意味では(1)「VERDE」が一番のお気に入りになりました。
最近とみに好きな曲の(4)「A FOGGY DAY」が入っていたのも購入のきっかけになりました。
このアレンジがカッコ良かったし、このグループの実力を知る演奏になっています。
バラードの(5)「REQUIEM」も切なく美しかったのでこちらを一番手に取る人が多いかもしれません。
最初から最後まで1曲1曲をじっくりと聴いていくと味のある仕上がりになっています。

さて、メンバーを見てみると関根敏行さんのピアノに注目するファンも多いでしょうね。
私の周りにもこの関根さんと井上淑彦(ts)さんに心酔するジャズ仲間がいます。
佐瀬正さんは太くて温かい音を出すベーシストです。
先日も書きましたが期待の秋山卓(as)さんは体調を崩して休養中とのことです。
一日も早い回復を祈りたいと思います。

--帯中よりの抜粋--
「ドラムが歌う楽器だなんて知らなかった。 久米さんに会うまでは・・・」
--チャカ--

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


2015/09/13



(822) TAKEHISA TANAKA TRIO / TOO YOUNG
田中武久(p)、井上陽介(b)、大坂昌彦(ds)
2008/JEWEL SOUND/


1 The Old Country
2 My Foolish Heart
3 Come Rain Or Come Shine
4 Too Young
5 All The Things You Are
6 Almost Blue
7 Our Love Is Here To Stay
8 Corcovado
9 Everything Happens To Me

大阪ジャズ界の重鎮、田中武久(p)さんの絶妙なスタンダード作品集です。
抜群の雰囲気を持つアルバムです。
田中さんも去年の12月に亡くなってしまいました。

「レビュー時のコメント」
今作は大阪在住のジャズ仲間のGさんが教えてくれました。
田中武久(p)さんは初めてですが共演者を見ればその実力は推して知るべしですね。
現在のトップ・プレイヤーの井上陽介(b)さんと大坂昌彦(ds)さんがメンバーです。
田中さんはライブ・ハウスのプレイヤーズ・オーナーということで外には出てきません。
しかし、今年75歳のまさに熟成された味わいはどこまでも深くて噛みごたえがあります。
このピアノを聴いているとジーンと心に沁みると同時に包み込まれるような感じになりました。
ちょっとこの感動を言葉に表すのはむずかしいですね。
なんといっても1曲目の「THE OLD COUNTRY」が素晴らしいんです。
この絶妙なスイング感はもうどうにもならない・・・。
ナット・アダレイ(cor)の手になるこの曲のベスト・プレイだと断言します。
表題曲の(4)「TOO YOUNG」や(6)「ALMOST BLUES」も絶品です。
3人の名人が織りなすしっとりとして艶やかなスタンダード作品集はピアノ・トリオの傑作です。

それにしても知らないということは恐ろしいです。
これほどの名手がいたとは・・・紹介してくれたGさん、どうもありがとうね。

--帯中よりの抜粋--
ジャズ魂の煌めきと陰影
孤高のピアニスト田中武久が大坂晶彦(ds)・井上陽介(b)を迎え、
真のジャズファンに贈る待望のスタンダード集!

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)


2015/08/23



(821) TOMOKI TAKAHASHI QUARTET / FEELING GOOD
高橋知己(ts,ss)、
津村和彦(g)、工藤精(b)、斉藤良(ds)
2009/AKETA'S DISK/

1 Keep It Up
2 Together
3 Abbey's Tail Tale
4 Feeling GoodI
5 Rainbow
6 Eevation
7 Lonely Woman
8 The Promise
9 The Shadow Of Your Smile

津村和彦(g)さんが今年6月に急逝してしまいました。
貴重なギタリストを亡くしました。
まだ58歳だったのに残念でなりません。
ここでの素晴らしい演奏を聴いて偲んでいます。

「レビュー時のコメント」
高橋知己さんはエルヴィン・ジョーンズ(ds)との共演歴もあるコルトレーン派のサックス奏者です。
これは今年出た高橋さんの新作ですがコンサート会場で購入しました。
オリジナルが3曲にその他6曲は興味ある選曲構成になっています。
かっちりとしたテナー・サックスのワン・ホーン・ギター・カルテットが聴けました。
最近、こういう傾向のジャズは聴いていなかったと思います。
以前はよくこういうジャズを聴いていたような気がしてなんだかホッとしました。、
高橋さんのサックスを聴いているとなんか安心するんですよ。
日本の演歌を聴いているような気がします。
それも五木ひろしさんというよりは森進一さんや北島三郎さんという感じです。

幅広い音楽性を持つ津村和彦(g)さんと斉藤良(ds)さんの存在が大きいです。
高橋さん、工藤精(b)さんの純ジャズ派との組み合わせの妙が味わえます。
一見異質のように思いますがこれがぶつかると独特のサウンドになって面白いです。
表題曲の(4)「FEELING GOOD」は新味、このメンバーじゃないと出来ないんじゃないかな。
なんといっても(7)「LONELY WOMAN」のバラードが素晴らしい、最高です。
11分強の熱演が聴ける(6)「ELEVATION」も聴きどころになりました。
女性トロンボーン奏者のメルバ・リストンの(5)「RAINBOW」も美しかった。
剛毅なテナー・サックスはもとより(5)、(6)で聴ける繊細なソプラノ・サックスが実にいいですよ。

--帯中よりの抜粋--
「日本を代表するサックス! 郷愁、哀愁、日本の原風景も・・・
この心をうばう、あふれる自然美!!」
--天才アケタ--

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


2015/08/16



(820) NAOKI IWANE QUINTET & SEXTET / DESERTED ISLAND
岩根直樹(as), 池田和裕(g),
george dulin(p), chris tordini(b), tommy crane(ds)
george garzone(ts)(5,6,7,8)
2007/What'sNew Records/

1 Twentieth Century Bebop
2 Deserted Island
3 Sea Watch
4 M.E.I
5 Tune Number Zero
6 Twisted Heaven
7 Slip + Slide
8 Concept Of Peace

実に刺激的な演奏を繰り広げています。
今聴いても瑞々しく新鮮で面白いです。

「レビュー時のコメント」
リーダーの岩根直樹(as)さんをはじめ全員が初見のフレッシュなメンバーです。
もちろん、ゲストのジョージ・ガーゾーン(ts)を除いてはですが。
岩根さんはガーゾーンが絶賛している期待のアルト奏者です。
元々はピアノ〜ドラム奏者だったようですがサックスに転向したと書いてありました。

初リーダー・アルバムですが全曲がメンバーのオリジナルです。
自分達の音楽を発信するとの意気込みを感じました。
現在のニューヨーク・コンテンポラリー・シーンの先頭を走っているのは誰か?
ひとつは間違いなくカート・ローゼンウィンケル(g)&マーク・ターナー(ts)の路線だと思います。
1曲目の「TWENTIETH CENTURY BEBOP」を聴いた時にはそのラインだと思いました。
ところが聴いているうちに段々違ってきてより軽快で東洋風な感じが出てきました。
ふと思ったんですが、か細く頼りない音色でフレーズをつないでいく奏法が今流行っているのではないかと。
一般的に賞賛の言葉として使われる「力強く切れのある奏法」とは一線を画した音作りです。
(5)、(6)を聴くと日本の雅楽に通じるというか、そんな感じがしました。

もう変拍子は当たり前ですね。
師匠のガーゾーンが目立たずそのサウンドに合わせているのが面白かったです。
(5)「TUNE NUMBER ZERO」における掛け合い、(7)では弾け具合といった聴き比べも楽しかった
(8)「CONCEPT OF PEACE」はテーマを持った組曲になっていてフリーの要素もあります。
岩根直樹さんと池田和裕さんの名前は忘れないでおきましょう。

--帯中よりの抜粋--
「直樹の音色、アイデア、クリエイティビティーは新鮮かつ独創性に満ちあふれ、
彼の音楽は常に新たな領域を作り出している」
--ジョージ・ガーゾーン--

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)


2015/08/09



(819) JOHN TCHICAI QUARTET / IN MONK'S MOOD
john tchicai(as),
george colligan(p,org), steve laspina(b), billy drummond(ds)
2009/SteepleChase/

1 Monk's Mood
2 Coming On The Hudson
3 Light Blue
4 Ugly Beauty
5 Round About Midnight
6 Cool Copy
7 Easy Street
8 Ruby My Dear
9 Ask Him Now
10 Monk's Mood

何もいうことはありません。
圧倒的な表現力を誇るジョン・チカイの演奏をどうぞ。

「レビュー時のコメント」
このアルバムを見た時、ジョン・チカイ・・「いぇー、珍しい、まだ元気だったんだ。」と思いました。
「なんか、モンクある?」・・・ジャケット写真も硬派そのもののゴツイいい顔してますね。
60年代、ジョン・チカイは筋金入りのフリー・ジャズ・アルト・サックス・プレイヤーでした。
盟友ラズウェル・ラッド(tb)とのニューヨーク・アート・カルテットが最も知られているか、
フリー・ジャズ・ファンならアーチー・シェップ(ts)の「フォー・フォア・トレーン」と、
ジョン・コルトレーン(ts)の「アセンション」は必聴盤だと思います。
私は元々フリー系は得手じゃないのでその後はまったく名前を見ることもなかったです。
チカイはデンマーク出身なのでヨーロッパを中心に活動していたんでしょうね。
それが突然目の前に現れて「モンクス・ムード」とは・・・即、飛びついてしまいましたよ。

やっぱり一味も二味も違いました・・・ムードあります。
濃く、おどろおどろしたところもあるし、淡く、爽やかなところもあるし、実に味わい深いです。
表題曲の「MONK'S MOOD」は(1)と(10)の2テイクが収録されています。
(5)「ROUND ABOUT MIDNIGHT」にはオルガンを使ってきましたがこの表現力が凄い。
スタンダードの(7)「EASY STREET」はノスタルジックですごく新鮮でした。
(8)「RUBY MY DEAR」は涙が出そうになったし、そのほかも聴きどころがいっぱいです。
一般的にフリー系のアルト奏者は音に力があって、澄んだキレイな音色を持っています。
素晴らしいセロニアス・モンク作品集・・・みなさんも是非この演奏を味わってみて下さい。
食べず嫌いはいけません。
チカイの断トツの存在感に共演者も霞んでしまいました。
軽くいなされて揉まれたジョージ・コリガン(p,org)にとってもいい経験だったと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)


2015/08/02



(818) CHRISTIAN HERLUF PEDERSEN QUARTET / ALLIANCE
christian herluf pedersen(ts),
fredrik hermansson(p), kristian lind(b), bjorn sima(ds)
2009/Stockholm Jazz Records/

1 Eastend
2 Ronim
3 J.S
4 Bigger Leaps
5 Suleiman
6 Godspeed
7 You Wish
8 One For Smutten
9 Bruna Laten

聴き直したらすごく良かった。
クリスチャン・ハーラフ・ペダーセン(ts)の音色は美しいです。
フレデリク・ハーマンソンのクリアなピアノ音と共にスムーズに展開します。
ジャケットがいまいちですがだまされてはいけません。
評価が急上昇のアルバムです。

「レビュー時のコメント」
スウェーデンのクリスチャン・ハーラフ・ペダーセン(ts)は初見。
CDショップでの評判が良さそうなので購入してみました。
8曲は自身のオリジナルでプロデュースも本人、自主制作盤に近いんじゃないか思います。
曲想がやや平面的なので演奏内容もそれにつれて一本調子の感があります。
やはり2、3曲のスタンダードを入れて欲しかったです。
(5)「SULEIMAN」ではジョン・コルトレーンの影響を感じさせるそのままのプレイが聴けます。
4ビートでグイグイと疾走する(7)「YOU WISH」が心地良かった。
フレデリク・ハーマンソンの瑞々しいピアノに注目、ビョーン・シマのドラムスも目立つ一枚です。
メンバーの今後の成長を期待して先取りしておきたいと思います。

(まじめ系)

2015/07/26



(817)ANDREA MARCELLI TRIO / SUNDANCE
andrea marcelli(ds), thomas clausen(p), davide petrocca(p)
2008/55 Records/

1 A House Is Not A Home
2 Waltz For Debby
3 Strawberry Moments
4 Con Alma
5 Sundance
6 Just In Time
7 The Bridge
8 Sempre Amore
9 All Of You
10 After The Rain
11 Caro Mio Ben

アンドレア・マルセリ(ds)とトーマス・クラウセン(p)のコンビネーションが素晴らしい。
粟立ちの良いクリアなサウンドも聴きどころです。

「レビュー時のコメント」
先週に引き続いて乗れるピアノ・トリオが2枚続きました。
リーダーはイタリア人ドラマーのアンドレア・マルセリです。
このアンドレアとトーマス・クラウセン(p)はライブで見たばかりで今作もそこで入手しました。
ヨーロッパといっても南に位置するイタリア盤は明るい感じでやはり土地柄が出ますね。
イタリアとデンマークのコラボレーションは興味深いものがありました。
アンドレアは相手なりに合わせてくる安定したドラミングの好センスのドラマーです。
そんなバックに支えられてトーマスは伸び伸びと演奏していると思います。
先日見たライブでも感じましたがトーマスのタッチが強くてこれが個性になっています。
叙情的&静謐なプレイを感じさせるとはいえ一般的な北欧系ピアニストとは一線を画します。
若い頃にジャッキー・マクリーンやデクスター・ゴードンいった強力なサックス奏者との共演の影響かもしれません。
大人しく弾いていたらまったく目立たなくなりますから・・・おのずとタッチも強くなるでしょう。

オリジナルを含め選曲構成はよく考えられていると思います。
ライブでも美しい(1)「A HOUSE IS NOT A HOME」や(11)「CARO MIO BEN」は沁みました。
ビル・エバンスの(2)「WALTZ FOR DEBBY」は外せないところ・・・極めつけの素晴らしさです。
スタンダードはもちろんのこと、私はこのトリオの特徴を表すオリジナルの3曲が気に入りました。

(中間系)

2015/07/19



(816) CAROL KIDD / DREAMSVILLE
carol kidd(vo),
paul harrison(p), nigel clark(g), mario caribe(b), alyn cosker(ds)
2008/LINN RECORDS/

1 It Never Entered Mind
2 A Nightingale Sang In Berkeley Square
3 How Deep Is The Ocean
4 How Long Has This Been Going On ?
5 Can't We Be Friends ?
6 Dreamsville
7 Three Gose My Heart
8 Happiness Is A Thing Called Joe
9 It's Alright With Me
10 Stars Fell On Alabama
11 Do You Believe ?
12 When I Dream

キャロル・キッド(vo)のスタンダード作品集。
リラックスしたストレートな歌唱法です。
この自然体が極上の癒し効果を上げています。

「レビュー時のコメント」
私の周りにヴォーカル好きなジャズ・ファンも多いこともあって最近ヴォーカルも聴くようになりました。
今作は先日の集まりで紹介されたものですがキャロル・キッドはもちろん初めてです。
ふくよかなジャケット写真にも惹かれました。
しっとりとした声質に歌も上手い、ジャズ・テイストはかなり濃くて味わい深いです。
特にギターとのコンビネーションが抜群でグッときてしまいました。
と思ったらギターのニゲルとキャロルの2曲のオリジナル(これがいいです)が入っていました。
さもありなんと思うほど相性の良さで表題曲の(6)「DREAMSVILLE」は最高の仕上がり、
ここから(7)「THERE GOES MY HEART」への流れが素晴らしいです。
バラードの(1)「IT NEVER ENTERED MY MIND」、(10)「DO YOU BELIEVE ?」、
(11)「STARS FELL ON ALABAMA」などの出来が良くて、
テンポを早めた(2)「HOW DEEP IS THE OCEAN」は新味ですがこれはイマイチでした。

(中間系)

2015/07/12



(815) JAMES PEARSON TRIO / SWING THE CLUB
james pearson(p), sam burgess(b), chris dagley(ds)
2009/Diving Duck Recordings/

1 Caravan
2 Alone Together
3 Lady Madonna
4 Here There And Everywhere
5 Cherokee
6 The Very Thought Of You
7 Lullaby Of The Leaves
8 Don't Talk (Put Your Head On my Shoulder)
9 Simon Smith And The Amazing Dancing Bear

このジェームス・ピアソン・トリオはドライブ感に溢れる強烈な演奏が聴けます。
今回はレノン&マッカートニーの(4)「Here There And Everywhere」に聴き惚れた。
2000年代ピアノ・トリオ名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
最近、スイング感溢れるピアノ・トリオが聴きたいと思っていました。
ちょうどそんな折に見つけたのがこのアルバムです。
イギリスの尖がった若手トリオですがもちろん初見です。
ロンドンの老舗ライブ・ハウスの「ロニー・スコット」でのライブ盤なら間違いないだろうと思いました。
表題も「Swing The Club」になっているし・・・。

結果は大正解、もう無条件に楽しくて気持良いことこの上なしのピアノ・トリオの作品です。
近年、これほどスイングする演奏は聴いたことがありません。
強烈なドライブ感と刺激的なタッチに痺れることは請合います。
1曲目の「CARAVAN」がメチャクチャにカッコ良くてグイと引き込まれてしまいました。
ちょっと大きめの音量で聴けば一発で幸せな気分になれますよ。
続く(2)「ALONE TOGETHER」とか(7)「LULLABY OF THE LEAVES」がまたいいんだな。
イギリス盤らしくビートルズの2曲が含まれているのも嬉しいですね。
こういう掛け値なしに楽しめるアルバムって少なくなったと思います。
かといって甘くて軟弱かというと決してそうではなく聴かせどころはちゃんとわきまえています。
バラードの表現力も素晴らしいです。
(6)「THE VERY THOUGHT OF YOU」なんかにはガツンときました。
あんまりむずかしいのは苦手、ノリノリでハッピーになりたい方へのお勧めのアルバムです。

(中間系)

2015/07/05



(814) TED NASH QUARTET / THE MANCINI PROJECT
ted nash(ts,as,ss,afl,piccolo)
frank kimbrough(p), rufus reid(b), matt wilson(ds)
2008/Palmetto/

1 These From Night Visitor
2 Dreamsville
3 Something For Nash
4 Shot In The Dark
5 Lujon
6 Breakfast At Tiffany's
7 Cheryl's Theme
8 Mr.Yunioshi
9 Soldier In The Rain
10 The Party
11 A Quiet Happening
12 Two For The Road
13 Experiment In Terror
14 Baby Elephant Walk

テッド・ナッシュ(sax)も久々に聴いたけどやっぱり素晴らしいです。
特にピアノレス・トリオで演奏される(2)や(6)が光る。
ルーファス・リード(b)の存在感が凄い。
2000年代名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
先週お話したようにテッド・ナッシュ(sax)を聴いてみましたが予想通りに面白かったです。
テッド・ナッシュはルイ・ベルソン(ds)やウィントン・マルサリス(tp)のビック・バンドにいたようです。
そういうことであまり聴く機会がなかったですが隠れた才人というところでしょうか
今作はヘンリー・マンシーニ作品集ですが渋い選曲になっています。
ヘンリーマンシーニといえばロマンチックな映画音楽ですね。
しかし有名スタンダードの「ムーン・リバー」とか「酒とバラの日々」とかはやっていないのがミソ。
「シャレード」や「ひまわり」もありません。
原曲の持つイメージとはまったく違う展開に驚かされました。
自己のスタイルを貫き通してのジャズをやっていて新鮮さを感じるアルバムです。

メンバー的にも興味がありました。
フランク・キンブローも一筋縄ではいかないピアニストでこれまた個性の強いピアニストです。
根っこはビル・エバンス(p)ですがポール・ブレイ(p)といったところも見えます。
さらにここでは比較的地味なベーシストかなと思っていたルーファス・リードの存在感が光ります。
まろやかでよく伸びるベース音が心地よいです。
そういえば最近、ルーファスの再評価につながる場面によく出くわしていますよ。
ドラムスのマット・ウィルソンを含めて渋い選択だと思いました。

ベスト・プレイは(2)「DREAMSVILLE」で、これまたまったく意表を突かれた展開になっています。
ムードもロマンチックもありません。
ピアノレス・トリオで演奏される前半と後半のピアノ・トリオのコントラストが光る1曲です。
(6)「ティファニーで朝食を」におけるルーファスのプレイも聴きどころ。

(まじめ系)

2015/06/28



(813) MARCUS PRINTUP QUINTET / LONDON LULLABY
marcus printup(tp), ted nash(ts),
eric reed(p), barak mori(b), willie jones V(ds)
2009/SteepleChase/

1 Recorda-Me
2 London Lullaby
3 Una Mujer Elegante
4 Blue In Green
5 Eighty-One
6 Tears Inside
7 Chelsea Bridge
8 A Shade Of Jade
9 Dindi

マーカス・プリンタップ(tp)も久しぶりです。
安定感のある落ち着いたプレイには癒されます。
エリック・リード(p)やテッド・ナッシュ(ts)も魅力あります。

「レビュー時のコメント」
マーカス・プリンタップも気になるトランペッターです。
ウィントン・マルサリスに似て生真面目なところがあります。
前回、ドラ盤にしたチェコのピアノ・トリオとの共演盤(ドラ盤335参照)は素晴らしかったです。

さて今作は1曲目の「Recorda-Me」を聴くとそのコンセプトが明らかになります。
狙いはケニー・ドーハム&ジョー・ヘンダーソンの名盤「ページ・ワン」(BlueNote4140)だと思いました。
現在のトランペッターの主流はクリフォード・ブラウンの流れを汲むテクニックを生かして鋭く鳴り響くか、
あるいはマイルス・デイビス、またチェット・ベイカーのクールなラインに集約されているのか。
モダン・ジャズにはもう一つのラインがあるのを忘れてはいけませんね。
よりまろやかで温かい音色を持つアート・ファーマー〜ケニー・ドーハムのラインです。
これを聴くとマーカス・プリンタップにはその二人を受け継ぐ貴重な存在になる可能性があります。
もちろん、テクニックもクールさも併せ持っていますが・・・。

選曲も中々に凝っています。
ジョー・ヘンダーソンが2曲、マイルス、ビル・エヴァンスと面白いのはオーネット・コールマンの選曲です。
このオーネットの(6)「Tears Inside」はピアノレス・カルテットで演奏されますが最高です。
その他オリジナル2曲にスタンダード、ジョビンのボサノバと聴きどころも多いです。

共演陣ではサックスのテッド・ナッシュが素晴らしいです。
あまりにいいので私はこの人を聴いたことがあるだろうかと思って早速調べてみました。
かろうじて1枚だけありましたがジョン・ピザレリ(g,vo)盤ではこの良さが分かりませんでした。
これから何枚か聴いてみるつもりです。
(8)A Shade Of Jade」におけるエリック・リード(p)のマッコイ・タイナー風なプレイにも注目しました。

(中間系)

2015/06/21



(812) ELIANE ELIAS TRIO / PLAYS LIVE
eliane elias(p), marc johnson(b), joey baron(ds)
2002/Blue Note/

1 Just Friends
2 Bowing To Bed
3 If You Could See Me Now
4 Have You Met Miss Jones
5 Embraceable You
But Not For Me
Jazz Influence
 Who Knows
6 Peggy's Blue Skylight
7 Desafinado

素晴らしいです。
改めてイリアーヌの実力に恐れ入りました。
今回は(4)「Have You Met Miss Jones」に参った。
「レビュー時のコメント」とは違ってスピード感と切れ味も十分です。
いったい何を聴いていたんだろうと思います。
イリアーヌのピアノの原点はビル・エバンスにある。
つくづくそう感じます。
格調高いピアノ・トリオが聴けました。

「レビュー時のコメント」
イリアーヌ・イリアスの2002年のアムステルダムでのライブ盤です。
彼女のピアノ・プレイはヴォーカルでのボサノバ・テイストと違って辛口で重厚になります。
ここが評価の分かれ道、気分によってある時いきなりガツンとくる可能性があります。
で、今回はどうだったかというと少々重く感じて疲れました。
もうちょっとスピード感と切れ味が欲しいような気がします。
(5)のメドレーはソロ・ピアノです。
チャールス・ミンガス(b)の(6)「PEGGY'S BLUE SKYLIGHT」がベスト・トラックか。
こだわりのあるプレイは聴き応えあり、ジャケットの写真同様に超クールな内容です。

ところで、イリアーヌはいくつだと思いますか。
来年で50歳、美しいですね、ますます磨きがかかっています。
マーク・ジョンソン(夫)は偉い!!

(まじめ系)

2015/06/14



(811) RONNIE CUBER QUARTET / RONNIE
ronnie cuber(bs)
helen sung(p), boris kozlov(b), johnathan blake(ds)
2009/SteepleChase/

1 Thermo
2 Gloria's Step
3 Four
4 The Duke
5 Daahoud
6 I Did'n't Know What Time It Was
7 Ah Leu Cha
8 Love Theme From Summer Of 42
9 All The Things You Are
10 Watch What Happens

ロニー・キューバーはもちろんだけどここはバックの3人も魅力です。
それぞれの出番も十分で伸び盛りの才能溢れる演奏が聴けます。

「レビュー時のコメント」
ロニー・キューバーさんがようやく出してくれましたという感じです。
思うにバリトン・サックス奏者のワン・ホーン・アルバムって本当に少ないですね。
アメリカのクールなジェリー・マリガン〜ニック・ブリグノラのラインは消えたような気がします。
ペッパー・アダムス〜ロニー・キューバー〜ゲイリー・スマリアンの線はかろうじて残っているか。
でも若手?のスマリアンになるといささか趣が違ってきます。
あとはハミエット・ブルーイェットですがフリー系、ジェームス・カーターも専門家じゃないしね。

若い頃のキューバーのパワフルなバリトンは凄いですよ。ハミエットといい勝負です。
以前、バリトン・オフ会を開いた時に大音量で聴いたらみんなぶっ飛んでしまいました。
バリトンのフュージョン盤を作っているのも彼だけで中々にユニークなバリトン奏者です。
年齢は68歳でハミエットと同年代です。

というわけでこのキューバーの久々の新アルバムはバリトン・ファンにとっては喜ばしい限りです。
やや大人しめだけどパワフルな音色は健在、ただ色気とか艶とかにはちょいと欠けますが・・・。
良かったのはチャーリー・パーカーの(7)「AH LEU CHA」でバリトンでやると面白かったです。
バップ・テイストが溢れる(3)、(5)も聴きどころ、あとミシェル・ルグランの2曲も良かった。

もうひとつ強調したいのはヘレン・サング(p)のプレイです。
抜群のスイング感と瑞々しいピアノには参ってしまいました。
以前、一度紹介したことがありましたが(ドラ盤227/Helen Sung Trio参照)成長は著しいです。
リーダーのロニー・キューバーが後回しというか、霞んでしまうほどの素晴らしさです。
ボリス・コズロフ(b)、ジョナサン・ブレイク(ds)の起用も渋いと思います。

今までバリトン・サックスに馴染みがない方とか、まだ聴いたことのない方も十分に楽しめます。
バリトンの魅力いっぱいの聴きやすくてお勧めの一枚なので安心してお買い求め下さい。

(中間系)

2015/06/07



(810) MAYUKO KATAKURA TRIO / INSPIRATION
片倉真由子(p)、中村恭士(b)、carl allen(ds)
2009/M&I Records/

1 Blues For Tyner
2 Rising (Song For My Father)
3 Secret Love
4 No Blues
5 Roseroom
6 Portrait Of Freddie
7 Ruby, My Dear
8 Bad Cats
9 A Foggy Day
10 8th Street

久々に聴いてみたけどやはり素晴らしかった。
才能がキラキラと輝いている気がします。

「レビュー時のコメント」
片倉真由子(p)さんの初リーダー・アルバムです。
片倉さんは洗足学園〜バークリー〜ジュリアードで学んだ才媛です。
2006年にはアメリカの「メリー・ルー・ウイリアムス・コンペ」で優勝したとありました。
現在日本各地のライブ・シーンで最も注目されているピアニストだと思います。

初リーダー・アルバムというのはそのプレイヤーの音楽性が現れやすいものです。
どんな作品を取り上げているかにも重要なヒントが隠されているでしょう。
オリジナル5曲にその他5曲のバランスや構成もいいです。
曲目を見てみるとオリジナルにはマッコイ・タイナーやフレディ・レッドの名前があります。
さらにマイルス・デイビスやセロニアス・モンクの曲も演奏していますね。

片倉さんは女性らしく繊細でしなやかなタッチと美しい音色の持ち主です。
(1)「BLUES FOR TYNER」の疾走感溢れるプレイ、
テンポのいい(3)「SECRET LOVE」や(4)「NO BLUES」におけるノリ、
(2)「RISING」や(7)「RUBY MY DEAR」のバラード・プレイ、
新鮮なアプローチをみせる(9)「A FOGGY DAY」のスタンダードの解釈も聴きどころになりました。
私的ベストは(7)「RUBY MY DEAR」で、若いのにバラードの展開が実に巧みだと思います。
最近の若手では珍しいのではないかな、無理なくとてもスムーズに聞えました。

共演の中村恭士さんは片倉さんと共に学んだ仲でこちらも新進気鋭の楽しみなベーシストです。
カール・アレン(ds)はジュリアードの先生です。
やはりカールの存在感が光っていて、若い二人をうまくリードしていると思います。

曲想も多彩で片倉さんの全体像がつかめるよくできたアルバムに仕上がっています。
思うにこれほど注意深く聴いたのは久し振りでした。

(中間系)

2015/05/31



(809) THE MONTEREY QUARTET / LIVE AT THE 2007 MONTEREY JAZZ FESTIVAL
dave holland(b), gonzalo rubalcaba(p), chris potter(ts), eric harland(ds)
2009/MJF Records/

1 Treachery (Harland)
2 Minotaur (Potter)
3 Otra Mirada (Rubalcaba)
4 Step To It (Holland)
5 Maiden (Harlsand)
6 50 (Rubalcaba)
7 Veil Of Tears (Holland)
8 Spoken Introduction
9 Ask Me Why (Potter)

さすがにこれだけのメンバーが揃うと凄いことになります。
強力かつ刺激的・・・4人の火花散る演奏が聴けました。
聴衆の盛り上がりも最高です。

「レビュー時のコメント」
メンバーを見た時、このアルバムは外せないなぁーと思いました。
なぜだか注文してからだいぶ待たされたけど予想にたがわぬ素晴らしい内容でした。
一番聴きたかったのはゴンザロ・ルバルカバ(p)です。
自己の作品だと難解でイマイチですが、こういうところに出ると物凄いプレイをします。
加えて注目のクリス・ポッター(ts)、エリック・ハーランド(ds)が共演となると見逃せません。
デイブ・ホランド(b)がまとめ役ということでうまくまとまったと思います。

驚いたのは全曲がメンバーのオリジナルでスタンダードが1曲もないことです。
ジャズ・フェスティバルでこんなことがあるんでしょうか。
4人が2曲づつ提供しているので曲想も多彩で新鮮そのものです。
それだけに刺激的でインパクトがありました。

現在のジャズ・シーンの一片を切り取った最高峰のジャズが聴けます。
お薦めの一枚です。

(まじめ系)

2015/05/24



(808) REUBEN WILSON TRIO & QUARTET / AZURE TE
reuben wilson(org), rodney jones(g), j.t.lewis(ds)
kenny garrett(as)(1,2,7)
2009/Showplace Records/

1 Scrapple From The Apple
2 Blues For RW
3 Stella By Starlight
4 Kitchen Fire Blues
5 Summertime
6 Once In A White
7 Streets Of Laredo
8 Still Crooving
9 Azure Te

ソウル・ファンキー路線はオルガン・ジャズの原点です。
自然に体が揺れてくるスイング感がたまりません。
アップ・テンポで演奏される「Summertime」に参った。

「レビュー時のコメント」
今年の私のテーマはソウル・ファンキー路線なのでオルガン・ジャズも外せません。
リューベン・ウィルソンはブルー・ノート後期にデビューしたオルガニストでポップス色も強いです。
ここでの最大の聴きものはケニー・ギャレット(as)でしょうね。
ギャレットのやや尖がっているR&Bもたまりませんよ。
オーソドックスなリューベンやロドニー・ジョーンズ(g)との絡みが聴きどころになります。
でも、共演はたった3曲でした・・・これって詐欺じゃないのか。
やっぱり、チャーリー・パーカーの(1)「SCRAPPLE FROM THE APPLE」は良かったです。
トリオで演奏されたソウルな(3)「STELLA BY STARLIGHT」も面白い。

(くつろぎ系)

2015/05/17



(807) BOB ALBANESE TRIO & IRA SULLIVAN / ONE WAY / DETOUR
bob albanese(p), tom kennedy(b), wlllard dyson(ds)
ira sullivan(ts,ss,afl,per)(2,4,6,8,9,10)
2009/Zoho Music/

1 Major Minority
2 Yesterdays Gardenias
3 One Way / Detour
4 Morning Nocturne
5 Joyful Noise
6 Ugly Beauty
7 Waiting For Louis
8 Midnight Sun
9 Friendly Fire
10 More Friendly Fire

全10曲中7曲が自身のオリジナルです。
モンクの曲、「Ugly Beauty」が入っているのがキーワードになるかな。
全編を通してトム・ケネディの強力なベース・プレイが印象に残りました。
ピアノ・トリオ名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
ボブ・アルバネス(p)は初見、冷めた目で見つめるジャケットに惹かれました。
加えてアイラ・サリバンの共演です。
裏を見るとサリバンがサックスやフルートを吹いています。
アイラ・サリバンってトランペットじゃなかったけ?・・・サックスも吹くのかと興味を持ちました。
ジャケ買いは運不運があるけれど結果は大当たりでした。
アルバネスは一見北欧風のピアニストかと思いましたが音使いはかなりひねています。
それにアメリカン風味が入るとこうなるのかと思います。
内に秘めた熱を感じて私は大いに気に入りました。
ベスト・トラックはやはり表題曲の(3)「ONE WAY / DETOUR」かな。
ピアノ、ベース、ドラムスのトリオが三位一体となってグングンきました。
純ジャズ路線からはややずれているプレイヤーがリアル・ジャズに挑戦している面白さがあります。
トム・ケネディ(b)はフュージョン系のデイブ・ウェックル(ds)とか木住野佳子(p)さんとかと共演しています。
ドラムスのウィラード・ダイソンも初めてですが存在感がありました。

もう一つの聴きどころ、サリバンのサックスやフルートはクールでいいですよ。
繊細でか細くてなんか頼りない音なんですけどそれがまた新鮮で個性的になっています。
枯れた渋い演奏を聴かせてくれました。やはり、伊達に年を重ねてはいませんね。
トリオ良し、カルテット良しの掘り出し物の一枚になりました。

(中間系)

2015/05/10



(806) CARSTEN DAHL TRIO / IN OUR OWN SWEET WAY
carsten dahl(p), mads vinding(b), alex riel(ds)
2009(2005〜2007Rec)/Storyville Records/

1 In Your Own Sweet Way
2 Maria Gennem Torne Gar
3 It Could Happen To You
4 Beautiful Friendship
5 What Is This Thing Called Love
6 Peace
7 Night And Day

表題曲の「In Your Own Sweet Way」はデイブ・ブルーベックの代表曲。
ジャズ・メン好みの曲で本当に良い曲です。
「Beautiful Friendship」も好きな曲ですがここでは珍しくバラードで演奏されています。
逆にバラード曲の「What Is This Thing Called Love」は超アップ・テンポです。

「レビュー時のコメント」
カーステン・ダール(p)の新譜です。
共演がマッズ・ヴィンディング(b)、アレックス・リール(ds)とくればまず外れはありません。
新録音ではなくて2005〜2007年にかけてのライブ音源です。
ライブとはいってもその完成度は高いので驚かされました。
三人が織りなす圧倒的なパフォーマンスに心が動かされることは必至です。
スタンダードに新しい息吹を吹き込む・・・多くは語れないほどダールが凄い。
じっくりと聴き込んだら本当に素晴らしいです。
ピアノ・トリオ・ファンには必聴のアルバムだと思います。

(中間系)

2015/05/03



(805) DONAVAN MURADIAN QUINTET / STRAIGHT AHEAD VOL.2
kye palmer(tp), chuck manning(ts),
curtis brengle(p), larry muradian(b), jeff donavan(ds)
2009/Live To 2 Track Records/

1 Straight Up
2 Mario's Mode
3 Moment's Notice
4 Blue Minor
5 Skylark
6 J.D.'s Groove
7 The Night Has A thousand Eyes

題名通りの「ストレート・アヘッド」そのものの作品。
バップのムード満点・・・ただただ気持ちいいです。

「レビュー時のコメント」
ドナヴァン&ムラディアン・クインテットは2回目の登場です。
カリフォルニアのパサディナを中心に活動しているハード・バップ・グループです。
前作の「DMQ LIVE」は「ドラ盤」(No274)になりました。
メンバーも同じですが今作はスタジオ録音盤なのでより繊細な仕上がりになっています。
トランペット、テナーサックスのフロントはジャズの王道クインテットの組み合わせです。
前作同様にむずかしいことは何もなくて、ただただ聴いていて気持いいです。
バップの名曲、ソニー・クラークの「BLUE MINOR」が聴けるのも嬉しいじゃありませんか。
続くホギー・カーマイケルの「SKYLARK」のバラードも渋いです。
ラテンの軽快なテンポで演奏される「夜は千の眼を持つ」も聴きどころになりました。

(くつろぎ系)

2015/04/26



(804) PETER BEETS TRIO / FIRST DATE LIVE
peter beets(p), marius beets(b), jeff hamilton(ds)
2009(1996 Rec)/Maxanter Records

1 Tricotism
2 Bebop
3 Degage
4 Con Alma
5 It Has Happend
6 Two Bass Hit

ピーター・ビーツのスイング感溢れるアグレッシブなピアノが聴けます。
グングンと突っ走る・・・こういうのを聴くと元気になれます。

「レビュー時のコメント」
オランダ出身のピアニスト、ピーター・ビーツを聴くのも久し振りです。
この新譜はどこかで見たことのあるジャケットだと思いながら購入しました。
なぜか、ビーツのジャケットはどことなく似ているんです。
ビーツには「FIRST DATE」というアルバムがあります。
スタジオ録音盤で2001年に出ていますが、その前日のライブを収録した発掘盤です。
当然ながらメンバーも同じで曲目も6曲でダブっています。

選曲はオリジナル3曲とディジー・ガレスピー(tp)やオスカー・ペティフォード(b)のビ・パップが並んでいます。
近く、初来日公演の予定がありその記念盤だそうですが13年前ではちょっと無理がありますね。
しかし、中身は中々に濃いと思います。
ヨーロッパの伝統的なピアノとは一線を画したパワフルなピアノが最大の魅力です。
ビーツ兄弟が若さにまかせて突っ走っていてジェフ・ハミルトンの攻撃的なドラムスも聴きどころです。
ハイライトはそのまんまの曲名も(2)「BEBOP」で熱いプレイが聴けました。

(中間系)

2015/04/19



(803) JUNKO ONISHI TRIO / MUSICAL MOMENTS
大西順子(p), 井上陽介(b), gene jackson(ds)
reginald veal(b)(10), herlin riley(ds)(10)
2009/Somethin'else/

1 ハット・アンド・ベアード
2 ブルースを歌おう
3 バック・イン・ザ・デイズ
4 ビター・スイート
5 イル・ウィンド
6 楽興の時
7 サムシング・スィート、サムシング・テンダー
8 G.W.
9 煙が目にしみる
10 ソー・ロング・エリック/ムード・インディゴ/
ドゥ・ナッシン・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー

大西順子さんは引退してしまいました。
思ったようなパフォーマンスが出来なくなったからだそうです。
その潔さが彼女の真骨頂だったのかもしれませんね。

「レビュー時のコメント」
大西順子さんは好きなピアニストだったのでアルバムもけっこう持っています。
ライブにもよく行きました。
1999年に出した「FRAGILE」にはちょっと迷いがあったんじゃないかな。

今作はたっぷりと充電期間を置いた大西さんのほぼ10年ぶりの新作です。
エリック・ドルフィー(as,fl,bcl)の3曲が目を引きます。
ピアニストならデューク・エリントンやセロニアス・モンク、バド・パウエルの影響はあるでしょう。
それはもちろんですが以前から私はむしろチャーリー・ミンガス(b)を強くイメージしていました。
おどろおどろしい低音の魅力・・・ミンガスをピアノでやるとこうなるのではないかと・・・。
ミンガス=ドルフィーのラインもあるしね。
普通、女性(男性でも)はこういう音使いはしませんよ。
まずは(1)「ハット・アンド・ベアード」にその特徴がよく出ていると思います。
(3)「バック・イン・ザ・デイズ」と(8)「G.W」の疾走感溢れるトリオが快調です。
グイグイと突っ走れば元気をもらえるし、これはクセになります。
反面、バラードやソロ(2、5、9)の3曲はいまひとつの味、私にはちょっと合わなかった。

井上陽介(b)さんの起用は文句のないところ。
ドラムスは評価が分かれるところですが大西さんは間違いなくこういうドラムスが好みです。
ミンガス・グループのダニー・リッチモンド(ds)を意識しているところがあるかもしれませんね。

それからライブ音源のボーナス・トラックの(10)が素晴らしかったです。
16分強のメドレーに心底痺れた、このノリ、このパワーは大西さんの真髄でしょう。
なぜわざわざここに収録したかが十二分に納得できる内容です。
ライブ盤として独立したCDで出しても良かったと思いますが・・・なんらかの理由ありと推測します。

色んな意見が出ていて、これほどみんなが楽しめて話題になったCDも珍しいです。
いずれにせよ、強烈な個性を発揮しているトリオ・アルバムです。
大西順子さんは健在でした。

(まじめ系)

2015/04/12



(802) EDEN ATWOOD / TURN ME LOOSE

eden atwood(vo)
david morgenroth(p,arr), chris colangelo(b), joe labarbera(ds)
2009/SPACE SHOWER MUSIC/

1 Home
2 Don't Frence Me In
3 I Got It Bad And That Ain't Good
4 Ain't Gonna Let You Break My Heart Again
5 Miss Celie's Blues
6 Pure Imagination
7 Ill Wind
8 True North
9 Girl Talk
10 Don't Get Around Much Anymores
11The Best Is Yet To Come
12 i'll CloseMy Eyes
13 Lazy River

イーデン・アトウッド(vo)のライブは2回見に行きました。
すごく大柄な女性だったので驚きました。
ピアノのデヴィッド・モーゲンロスとはご夫婦です。

「レビュー時のコメント」
イーデン・アトウッド(vo)の新譜です。
名前は知っていたので1枚くらい聴いたことがあると思っていましたが初見でした。
イーデンは喉の腫瘍の手術をしたようで声質や歌い方が以前と違ったそうです。
たしかに美声とはいえず、いがらっぽい感じになったと思うけど私はこちらが好みです。
オリジナル1曲を含む選曲もなかなか凝っていて楽しめました。
すんなりと入ってくるわけではないけど心に沁み入る内容はかなり濃いです。
カントリーの香りもありました。
特にじっくりと歌い上げたスロー・バラードが素晴らしくてジーンときました。
ベスト・トラックはバースから入る(12)「I'LL CLOSE MY EYES」です。
これだけゆったりとしたテンポは珍しいので新味、イーデンの実力の証明にもなりました。
デューク・エリントンの(10)「DON'T GET AROUND MUCH ANYMORE」もいいです。

今年の11月〜12月にかけて日本公演が予定されているようです。
良さそうなので私も見に行くつもりでいます。

(中間系)

2015/04/05



(801) COREY WILKES & ABSTRAKT PULSE / CRIES FROM THE GHETTO
corey wilkes(tp,flh), kevin nabors(ts), scott hesse(g),
junius paul(b), isaiah spencer(ds), jumaane taylor(tap)
2009/PI Recordings/

1 First Mind
2 Abstrakt #1
3 Sick JJ
4 Levitation
5 Rain
6 Cries From Tha Ghetto
7 Abstrakt #2
8 Visionary Of An Abstrakt
9 Abstrakt #3
10 Villa Tiamo
11Abstrakt #4
12 Chasin' Leroy

万人向けではないと思うけどこういう音楽性は面白いです。
コリー・ウィルキスは貴重なトランぺッターかも知れませんね。

「レビュー時のコメント」
コリー・ウィルキス(tp)は初見、ジェームス・カーターのライブ(ライブ・レポート参照)で出会いました。
これが実にクールな演奏で印象に残ったので会場でこのCDを購入したんです。
プロフィールを見ると1979年生まれの30歳の若手トランペッター。
レスター・ボウイ亡き後のアート・アンサンブル・オブ・シカゴで吹いているそうです。
スタイルはマイルス・デイビスとレスター・ボウイの中間をいく感じだと思いました。
うるさくないし、音数は少なく安定感があっていいんだな、これが。
(5)「RAIN」のバラードを聴くとその実力が分かります。

さて、今作のメンバーはまったく知らない人ばかりでしたが刺激的で新鮮でしたよ。
”ABSTRAKT”って”ABSTRACT”じゃないけどシャレなのかな。
こういったリズム&ブルース、ソウル&ファンキーでフリーに片足を突っ込んだ演奏は久し振りです。
以前はこういった演奏もよく聴いたのですが最近はすっかりご無沙汰していました。
なんか、いつの間にか軟弱になってしまったようです・・・年だから仕方ないけどね。
かなりの刺激を受けたのでちょっと濃いジャズも聴きたい気分になってきました。

(まじめ系)

2015/03/29