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今週のジャケットのコメント2


NO.501〜600

*10周年を記念したNO.442以降のドラ盤紹介ではジャケットも掲載しています。(2008/03/30)





(600) JAKOB DINESEN QUARTET / LADY WITH A SECRET
THE JAZZPAR PROJECT 2004
jakob dinesen(ts)
ben besiakov(p)  eddie gomez(b)  nasheet waits(ds)
2005/STUNT RECORDS/

1曲目からグイグイと引き込まれてしまいます。
ヤコブ・ディネセン(ts)&ベン・ベシアコフ(p)の熱いプレイが聴きどころ。
(1)や(6)のアップ・テンポが良かった。
改めてナシート・ウェイツ(ds)のドラミングにも注目しました。
「レビュー時のコメント」
1990年から行われているデンマークの「THE JAZZPAR PRIZE]の2004年のウィナーはアルド・ロマーノでしたが、
先日紹介したばかりで [ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]にしました。
今作は同じく2004年の「THE JAZZPAR COMBO LEADERS」部門の受賞者のヤコブ・ディネセン(ts)です。
強力なピアノ・トリオをバックにグイグイと吹きまくるディネセンは圧巻です。
がっちりと決まった重厚なこのカルテットは受賞するにふさわしいコンボだと思います。
ディネセン4曲、ベシアコフ1曲、モンク1曲の構成です。
ライブ盤なので1曲づつが比較的長いですが、メンバーも意欲的な演奏を繰り広げていて聴き応えは十分です。
ディネセンはジョン・コルトレーン〜ウエイン・ショーターのライン上にありますが、デンマークのみならず、
ヨーロッパの主流派テナー奏者として注目に値する逸材だと思っています。
2002年のカート・ローゼンウィンケル(g)との「EVERYTHING WILL BE ALL RIGHT」も素晴らしかったですよ。

(まじめ系)


2011/04/17



(599) FUMIO KARASHIMA TRIO / IT'S JUST BEGINNING
fumio karashima(p)  yosuke inoue(b)  shingo okudaira(ds)
2004/VIDEOARTS MUSIC/

辛島文雄さんは人気の高いピアニストの一人です。
ライブも楽しくていつも盛り上がっています。


「レビュー時のコメント」
今年のお盆中は辛島文雄さんのこのトリオをずっと聴いていました。
日本にもこんなに素晴らしいピアノ・トリオがあるということを再認識しました。
辛島さんは80年代にエルビン・ジョーンズ(ds)の”ジャズ・マシーン”に迎えられて以来、
ずっと第一線で活躍している実力者でファンの支持も大きいです。
さすがに当時の凄みはなくなったけれど、味わい深いピアノはまさにアブラが乗り切っている感じがします。
井上陽介(b)、奥平真吾(ds)とのコンビネーションも抜群です。
天才ドラマーと騒がれた奥平真吾さんも齢40を迎えようとしています。
井上陽介さんは真吾さんのニューヨークでの修行仲間だそうです。
辛島さんを中心に1本ビシーッと筋が通っている日本人ピアノ・トリオの決定版です。
日本にもこういう上質のピアノ・トリオがあるのは嬉しい限りです。
同メンバーのライブ盤には2001年録音の「THE ELYSIAN AIR」があります。
興味があれば、こちらも是非聴いて欲しいですね。

(中間系)


2011/04/10



(598) FABRICE ALLEMAN QUARTET / LOOP THE LOOP
fabrice alleman(ss,ts)
michel herr(p)  jean-louis rassinfosse(b)  frederic jacquemin(ds)
1998/IGLOO/

聴き直してもやっぱり聴き応えがありました。
本物の魅力・・・ベルギー・ジャズの名盤の一枚です。


「レビュー時のコメント」
先週、先々週に引き続きミシェル・ハー(p)絡みのベルギー盤の第3弾です。
リーダーのファブリース・アレマン(ss、ts)も初見、ソプラノ・サックスではチャーリー・マリアーノとジョン・コルトレーン、
テナー・サックスではボブ・ミンツァー、ソニー・ロリンズの影響を受けたとあります。
特に表題曲の(1)の「LOOP THE LOOP」が素晴らしく、コルトレーン・カルテットを彷彿とさせる出来です。
マッコイ・タイナー・ライクな演奏を繰り広げるミシェル・ハーのピアノも素晴らしいです。
(4)の「BYE BYE BLACKBIRD」の演奏も強烈で凄い、私はフームを唸ってしまいましたよ。
ハーのピアノは多彩で自在、才能の奥深さを感じさせます。
4人のまとまりやバランスも良く、ベルギーのトップ・クラスのグループだと思います。
ベルギー・ジャズ界の実力を余すところなく伝えた好盤です。
なお、(2)(4)(5)がライブ音源で、あとはスタジオ録音の構成になっています。

(まじめ系)


2011/04/03



(597) ALEX RIEL TRIO/ WHAT HAPPENED ?
alex riel(ds)  heine hansen(p)  jesper lundgaard(b)
2005/COWBELL MUSIC/

ジャケット写真はどうやらアレックス本人のようです。
ピアノのヘイネ・ハンセンの名前は聞きませんがどうしているのか。


「レビュー時のコメント」
アレックス・リール(ds)の新譜です。
ジャケットの写真は可愛いですね、きっとアレックスのお気に入りの写真なんでしょうね。
先日、1970年代のデクスター・ゴードン・カルテットのライブ盤を聴きましたが、
若かれし頃のアレックスはエネルギッシュでパワフルな太鼓を叩いていました。
ケニー・ドリュー(p)、ニールス−ヘニング・オルステッド・ペデルセン(b)のお馴染みのリズム・セクション、
荒削りながらけれん味がなくデックスに思い切りぶつかっていく姿には魅力がありました。
さて、この作品ですが、アレックスとイェスパー・ルンゴー(b)のコンビは定評のあるところで、
今までにも幾多の名トリオ盤を送り出しています。
二人の選んだピアニストには外れがあるわけがありません。
今回のヘイネ・ハンセン(p)もその例に漏れず見事に期待に応えています。
刺激的というには少々物足りませんが、ピアノトリオの好盤という評価は順当なところだと思います。
このアルバムには11曲目にギター・トリオが隠れていますが、このギター奏者は一体誰なんでしょうか。


(中間系)


2011/03/27



(596) PETER PEUKER QUARTET & STRINGS / SKYLARK
peter peuker(as)
karel boehlee(p)  marius beets(b)  maecel serierse(ds) etc
2003/PIROUET/

先週に引き続いてワン・ホーンのスタンダード集を聴いています。
癒し系ジャズとしては極上のアルバムです。


「レビュー時のコメント」
フィル・ウッズ、ピエト・ノールディックに引き続きベテラン・アルト・サックス奏者の3連発になりました。
ピーター・ピューカーは初見ですがスイング系、しなやかでやわらかな音色はムード満点で癒されます。
聴き比べてみると3人3様の個性があって興味深いものでした。
これを入手したのはメンバーに惹かれたこともあります。
今をときめくヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニストのカレル・ボエリーとビーツ兄弟のマリアス・ビーツ(b)です。
ストリングスをバックにしっとりと落ち着いたスタンダード・ナンバーを楽しむことが出来ます。
このドイツ盤は愛聴盤にしても良かったのですが、比較しやすいように3枚並べてみました。
私は3枚の中ではこれに1票入れてみましたが、みなさんの好みはどうでしょうか。


(くつろぎ系)


2011/03/20



(595) FRANK MORGAN QUARTET / RAISING THE STANDARD
frank morgan(as),
george cables(p), curtis lundy(b), billy hart(ds)
2005/HIGHNOTE RECORDS/

東北東日本大震災は言うべき言葉が見つからない。
スタンダードを聴いて心を静めようと思います。


「レビュー時のコメント」
フランク・モーガン(as)のニューヨークの”THE JAZZ STANDARD”におけるライブの第2弾です。
2003年の11月28日〜30日にかけてのライブからの抜粋です。
VOL.1に当たる「CITY NIGHTS」は圧倒的に素晴らしくて「ドラゴン流目立たないけどいいアルバム」にしました。
この作品にはVOL.1の表示もないので、この時には次の発売予定はなかっったと思われます。
あまりに仕上がりが良く評判も良かったので今作の発売に至ったと推測しています。
たしかに前作と聴き比べるとかなり物足りませんが、ここでのプレイも水準以上の出来にあると思います。
特にウエイン・ショーター(sax)の「FOOTPRINTS」、「NEFERTITI」などは新鮮な感じがしました。
「POLKA DOTS AND MOONBEAMS」、「OLD FOLKS」、「IN A SENTIMENTAL MOOD」のバラードも聴きもの、
ミディアム・アップテンポも良し、72歳にして未だ枯れず、その表現力はさらに成長を続けているのではないでしょうか。
モーガンの美しいアルト・サックスの音色に心惹かれるファンも多いと思います。
この熟年カルテットは素晴らしいですね、安定感は十分でバランス感覚もいいです。
4人のコンビネーションも抜群で生き生きとしたプレイを繰り広げています。
1枚だけなら上記の「CITY NIGHTS」がお薦め、味、艶共に熟年ジャズ・ライブ盤の傑作の一枚です。
私は聴くたびに思うのですが、この熟年カルテットは直にこの目で見て聴いてみたいです。


(中間系)


2011/03/13



(594) CURTIS CLARK TRIO/ HOME SAFELY
han bennink(ds)  curtis clark(p)  ernst glerum(b)
2003/FAVORITE/

ジャケットの写真はカーティス・クラーク(p)ですが名前はハン・ベニング(ds)が先になっています。
紹介時にはハン・ベニンク・トリオにしましたがカーティス・クラーク・トリオの方がしっくりくるかも。
こういったレア盤を集めだすとキリがないので今では余程のことがない限り買わなくなりました。


「レビュー時のコメント」
ハン・ベニンク・トリオによる1994年録音の作品です。
一聴した途端、私はグッときてしまいました、なにしろ3人が醸し出す雰囲気が抜群なんです。
理屈ではありません、これほどのトリオ盤はそうはないと思いました。
3人共に初見でしたが、つくづく世の中は広いと再認識させられました。
全12曲はカーティス・クラーク(p)のオリジナルで名曲揃い、演奏スタイルも幅広く刺激的です。
カーティス・クラークが素晴らしく、ハン・ベニンクのドラミングがまた絶妙なんです。
パタパタとノスタルジックな感じを漂わせながらも独特のスイング感はたまりません。
私の白眉の一曲は(3)の「BALLAD OF JAKE SPOON」だけれど、それぞれが魅力的で聴きどころも多いです。

(中間系)


2011/03/06



(593) JOE LOVANO QUARTET / JOYOUS ENCOUNTER
joe lovano(ts,ss)
hank jones(p)  george mraz(b)  paul motian(ds)
2005/BLUE NOTE/

ここでの注目はやはりハンク・ジョーンズの存在だと思います。
ジョー・ロバノのサックスがいつもよりだいぶ柔らかいです。


「レビュー時のコメント」
ジョー・ロバーノ(ts)の新譜はワン・ホーン・カルテットのバラード集です。
バックは御大ハンク・ジョーンズ(p)をはじめ、ジョージ・ムラツ(b)とポール・モチアン(ds)のベテラン・トリオです。
濃厚でやや癖のある味わいのロバーノがここではどういったプレイをしているのか、興味がありました。
比較的さらりと演奏しているのは先輩達に敬意を表しているからでしょうか。
ゆったりと落ち着いていてなかなかよろしいと思いますよ。
ハンク・ジョーンズの好サポートもあり伸び伸びとした新しい一面を見たような気がします。
全11曲中オリジナルが2曲、ハンク、サドのジョーンズ兄弟の4曲が目を引きます。
ジャケット写真の笑顔も良くてスタジオ内でのリラックスした雰囲気が伝わってきます。
もう少しゴリゴリ・テナーを予想していた私の見込みは見事に外れました。
それほど甘くもなく安定感、安心感があるのでテナーのワンホーン・アルバムとしては手頃だと思います。
どうも故サド・ジョーンズ(tp)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)のトリビュート・アルバムにもなっているようですね。
なお、タイトル曲の(9)”JOYOUS ENCOUNTER”はピアノレスのトリオで演奏されています。

(中間系)


2011/02/27



(592)ALDO ROMANO QUINTET / THE JAZZPAR PRIZE
aldo romano(ds,vo)  stefano di battista(as,ss)  mark turner(ts)
henrik gunde(p,elp)  jesper bodilsen(b)  susi hyldgaard(vo)(5,6,8,9)
2004/ENJA/

アルド・ロマノ(ds)の特別編成ライブ盤は少々重たいですがここはメンバーが魅力です。
やはりステファノ・ディ・バティスタ(as)とマーク・ターナー(ts)に注目しました。


「レビュー時のコメント」
1990年から行われているデンマークの「THE JAZZPAR PRIZE]の2004年のウィナーはアルド・ロマノでした。
ウィナーによる記念コンサート・ライブ盤には良い作品が多いですが、これも例外ではありません。
ロマノはイタリア出身のベテラン・ドラマーでフュージョンからフリー・ジャズまでこなす幅広い音楽性の持ち主です。
ここのメンバーも強力で魅力的ですね。
フロントにはイタリア・アルト界の期待の星のステファノ・ディ・バティスタと新感覚ジャズの旗手のマーク・ターナーを配し、
リズム・セクションにはデンマークの若手、ヘンリク・グンデとイェスパー・ボディルセンという組み合わせです。
注目のマーク・ターナーは近年活躍の場をアメリカからヨーロッパに主軸を移したようです。
オリジナルが6曲にその他3曲の構成で、スタンダードが2曲含まれています。
全体的には重厚な仕上がりでじっくりと聴かせますが、ボーカルを4曲入れたのはどうでしょうか。
目先が変わっていいと思うか、やや中途半端になったと思うか、ここはリスナーの好みが出るところです。
私は(1)〜(4)、(8)のロマノのオリジナルがこのグループの真髄だと思いました。

(まじめ系)


2011/02/20



(591) RALPH REICHERT QUARTET WITH RANDY SANDKE / REFLECTIONS
ralph reichert(ts)  randy sandke(tp)
buggy braune(p)  andreas henze(b)  wolff reichert(ds)
2004/NAGEL HEYER/

体調がいまひとつだとこういうオーソドックスでストレートなジャズがいいです。
元気をもらえるような気がします。


「レビュー時のコメント」
このドイツ盤ではオーソドックスでストレート・アヘッドなハード・バップ・ジャズが聴けます。
ハンブルグのバードランド・ジャズ・クラブでのライブ盤で、曲目も良く知られたスタンダードの名曲揃いで楽しめます。
ラルフ・レイチェルト(ts)とランディ・サンドケ(tp)の組み合わせです、限りなく美しいピアノにも注目して下さい。
テナー・サックスとトランペットのフロントはモダン・ジャズ・クインテットの王道ですね
案外、こういう作品が後々評価が上がるのではないかと思わせる仕上がりです。
ちょっと大きめの音量で鳴らすと、古き良き時代を彷彿とさせると同時に現代風の新しさも感じさせてくれます。
1曲目の”JUST IN TIME”で皆さんもきっと、「あー、いいなあー」と思いますよ。
続く”MY IDEAL”や”DARN THAT DREAM”のバラードにもグッときました。


(中間系)


2011/02/13



(590) STEFANO BOLLANI TRIO/ GLEDA
stefano bollani(p)  jesper bodilsen(b)  morten lund(p)
2004/STUNT RECORDS/

ステファノ・ボラニ・トリオのデンマーク盤です。
この頃、スタント・レーベルとは相性が良くてよく聴いていました。
ハイレベル、ハイクオリティの一枚です。


「レビュー時のコメント」
このメンバーによる2枚目のアルバムになります。
イタリアのステファノ・ボラーニ(p)は期待の新進ピアニストで日本での人気も急上昇中です。
イェスパー・ボディルセン(b)とモーティン・ルンド(ds)はデンマークの時代を担う主流派プレイヤー。
3人のコンビネーションは抜群で、30代の若手プレイヤーによる最先端のヨーロッパ・ピアノ・トリオが聴ける逸品です。
前作の「MI RITORNI IN MENTE」(2003年)も素晴らしかったけれど、それより増してこのトリオは進化しています。
トリオそのものが醸し出す雰囲気には独特の個性があって聴く者の心に沁みてきます。
それほどにステファノ・ボラーニ(p)を中心とした三位一体のサウンドには魅力があります。
選曲もスカンジナビアの良く知られた曲を取り上げているようで、曲想も興味深く、そのアプローチも新鮮です。
これを言葉で言い表すのはむずかしいですね、どのトリオにもない、独自の世界を持っていると思います。
月並みですがこればかりは聴いて感じてもらわなくてはどうしょうもありません。
前作に引き続きボラーニのベスト・プレイが聴けるので一聴の価値は十分にあります。


(中間系)


2011/02/06



(589) KASPER VILLAUME TRIO / 117 DITMAS AVENUE
kasper villaume(p)  jesper bodilsen(b)  jeff "tain" watts(ds)
2004/STUNT RECORDS/

キャスパー・ヴィヨーム(p)の代表作です。
マッコイ・タイナーやミシェル・ペトルチアーニを彷彿とさせるスケールの大きなピアノが聴けます。
2000年台ピアノ・トリオ名盤の一枚。


「レビュー時のコメント」
キャスパー・ヴィヨーム(p)はピーターソン・トリオでお馴染みの故エド・シグペン(ds)に見出されたようです。
私が最初に聴いたのはボブ・ロックウェル(ts)のライブ盤の「ONE AFTERNOON AT JAZZ CUP」でした。
その後にマシュマロ・レーベルから自己の2枚目のリーダー・アルバムの「ESTATE」で注目されています。
この時のドラムスはモーティン・ルンドでヨーロッパの色が濃いピアノ・トリオでした。
今作ではジェフ”テイン”ワッツ(ds)を起用して従来とはひと味違うドライブ感とスピード感を演出しています。
ワッツの繰り出すリズムが実に効果的にヴィヨームのピアノをプッシュ・アップしています。
ヨーロッパとアメリカのコラボレーションでちょうど良い按配になりました。
(1)のドライブ感、(6)の心地良いスイング感、(9)のフォーバースなどが聴きどころでしょうか。
組み合わせの妙によってヴィヨームの新たな一面を引き出したピアノ・トリオの好盤です。
なお、プロデューサーはベーシストのクリス・ミン・ドーキーです。


(中間系)


2011/01/30



(588) SAM RIVERS TRIO & QUARTET / PURPLE VIOLETS
sam rivers(ts,ss,fl)
ben street(b)  kresten osgood(ds)  
bryan carrot(vib)(1,4,7,9)
2005/STUNT RECORDS/

聴き直したけどサム・リバースはやっぱり良かった。
その存在感は抜群です。


「レビュー時のコメント」
CDショップの紹介欄でサム・リバース(sax)の名前を見つけた時は小躍りしました。
私は「売れないでいて欲しい」と願いました、内容はともかく、まずは聴いてみたいと思ったからです。
届いたCDをトレイに乗せて、音が出てきた途端、”ホーッ、頑張ってるじゃん”と思いました。
パワフルな音色といい、その個性的な表現力は未だに色あせずに健在です。
改めてその存在感は強烈だという印象を与えてくれました。
齢80を過ぎていることを考えれば驚異的とさえ言えるでしょうね。
4曲がヴィブラフォン入りのカルテットで比較的聴きやすいですが、トリオ編成により彼の個性が出ています。
最初はとっつきにくいかもしれませんが、聴いているうちに徐々にハマッていくのがサム・リバースの世界です。
リバースはブルー・ノートに4枚のリーダー・アルバムを残していますが、この時すでに40歳を越えていました。
当時のジャズ・マンとしては珍しく遅咲きのプレイヤーですね。
代表作は初リーダー・アルバムの「FUCHSIA SWING SONG」か、2枚目の「CONTOURS」でしょうか。
その他にもBNにはトニー・ウイリアムス(ds)の「LIFE TIME」やラリー・ヤング(org)の「INTO SOMETHIN'」があります。
短期間でしたがマイルス・デイビス・グループの一員でもありました。
年代的にはジョージ・コールマン(ts)とウェイン・ショーター(ts)の中間に位置しています。
この時の貴重な演奏は64年の「MILES IN TOKYO」に収録されているので是非聴いて欲しいですね。
すぐに退団してしまったのは技量不足というより、考え方、行き方の違いにあったと私は考えています。
リバースはよりフリーなスタイルを模索していたのでしょう。
それ以来、彼はフリー・ジャズ、アバンギャルドに傾倒していくことになります。
全盛期は60年代から70年代で、80年代はほとんど表舞台には現れず隠遁生活を送っていました。
90年代に入ってから時々名前が聞かれるようになってきましたが、私が聴いたのは2枚だけです。
まずは久し振りに元気な姿を見られたということで一票入れておくことにします。

(まじめ系)


2011/01/23



(587)McCOY TYNER QUINTET / ILLUMINATIONS
McCoy tyner(p),
gary bartz(sax), terence blanchard(tp), christian McBride(b), lewis nash(ds)
2004/TELARC/

マッコイ・タイナーはこの1月にも来日公演がありました。
年も年なので見ておいた方がいいですね。
今年はエリック・アレキサンダー(ts)とホセ・ジェイムズ(vo)がゲストです。
正直、トリオではちょっと厳しいかと思います。


「レビュー時のコメント」
マッコイ・タイナー(p)のこの作品は去年の6月に出ていますが、熟年ジャズということで躊躇していました。
先週のロイ・へインズが良かったので、”これもあるかな”と思って入手してみました。
案の定、これがまた良かったです。
旧友のゲイリー・バーツ(sax)、すでにベテランの域に達したテレンス・ブランチャード(tp)とクリスチャン・マクブライド(b)、
マッコイ・グループでお馴染みの堅実派、ルイス・ナッシュ(ds)の組み合わせです。
近年の傾向としてはプレイヤーがそのままプロデューサーを兼ねる場合も多いですね。
しかしそれが必ずしも良い方向に向くとは限らず、中途半端な作品に終わることもまた事実です。
「餅は餅屋」というか、専門家に任せるのも悪くないと思います。
今作は明らかにそれが成功したケースだと思いました。
プロデューサーは女性のエレイン・マートーンで、メンバー、曲目、構成など実によく考えられています。
マッコイの4曲とメンバーのオリジナルが3曲、それにスタンダードと上手に振り分けられています。
曲想やメンバーの組み合わせもバラエティに富んでいてリスナーを飽きさせません。
まずはテレンス・ブランチャード、ブランチャードの純ジャズ路線は久し振りに聴きましたがこれが素晴らしい出来です。
クリスチャン・マクブライドとルイス・ナッシュのリズム・セクションも安定感のあるプレイぶりで聴かせます。
御大マッコイとゲイリー・バーツは枯れた味わいでずいぶんと丸くなりました。
私は(2)、(7)、(10)がお気に入りで何回も繰り返し聴いてしまいました。
(2)はラテン・フレーバーの印象的なテーマの曲でミディアム・テンポが心地良いです。
(7)はバーツ、(10)はブランチャードのカルテット演奏で、共にスタンダードの名曲として知られています。
なんと言ってもテレンス・ブランチャードが素晴らしいです、近年のマッコイのベスト盤になるかも知れませんよ。

(中間系)


2011/01/16



(586)ROY HAYNES QUARTET / FOUNTAIN OF YOUTH
roy haynes(ds)
marcus strickland(ts,ss,bcl) martin bejerano(p) john sullivan(b)
2004/DREYFUS RECORDS/

今作は2005年のベスト3に選びました。
聴き直してみても熱気がムンムンと伝わってきて背筋がゾクゾクしました。
ロイ・ヘインズのパワフルなドラミングと
マーカス・ストリックランド&マーティン・ベジェラーノの瑞々しいプレイが聴きどころになります。


「レビュー時のコメント」
このアルバムは素晴らしいですね、熟年ロイ・へインズ(ds)ということで入手を躊躇したのを恥じています。
これは2002年12月のニューヨークの「バード・ランド」でのライブ盤で、熱気溢れる演奏に私は体が熱くなりました。
私はアート・ブレイキー(ds)の名盤”NIGHT AT BIRDLAND"を一瞬思い浮かべてしまいました。
この時へインズは82歳、その年齢を感じさせない颯爽としたプレイぶりはまさに怪物だと思います。
へインズは近年も精力的な活動を展開していて、コンスタントに作品をリリースしていますが、今作品がベストです。
若手3人のメンバーにも恵まれて、へインズ晩年の最高傑作になることは間違いありません。
モンクの曲が3曲、デヴィッド・キコスキー(p)やパット・メセニー(g)の曲を取り上げているのが目を引きます。
コルトレーン・カルテットを彷彿とさせる熱気に溢れたエキサイティングな演奏が繰り広げられています。
お客さんの盛り上がりとライブの熱気が直に伝わってくる雰囲気は最高です。
若手3人は実に刺激的で稀にみる創造力を発揮していて素晴らしいですよ。
特にマーカス・ストリックランド(sax,cl)とマーティン・ベジャラーノ(p)の溌剌としたプレイは特筆ものです。
彼らにとっても記憶に残る作品になると思います、是非この二人の演奏は聴いてほしいですね。

(中間系)


2011/01/09



(585) DON BYRON TRIO & QUARTET & QUINTET / IVEY-DIVEY
don byron(cl,bcl,ts)
jason moran(p)  jack dejohnette(ds)
ralph alessi(tp)(on 6,9)  lonnie plaxico(b)(on 6-9,11)
2004/BLUE NOTE/

最近はクラリネットのリーダー・アルバム自体が少ないですね。
それも先進で刺激的となると益々数が限られてきます。
鬼才、ドン・バイロンがジェイソン・モラン、ジャック・ディジョネットと共に疾走する。


「レビュー時のコメント」
クラリネットの俊才、ドン・バイロンのこの作品は比較的聴きやすいです。
特にジェイソン・モラン(p)とジャック・ディジョネット(ds)とのトリオ演奏が聴きものです。
バイロンもモランも一筋縄ではいかないプレイヤーですが、それに絡むディジョネットのドラミングが極上です。
さすがに多くの修羅場を潜り抜けてきたベテラン・ドラマーの面目躍如、変幻自在の展開を聴かせてくれました。
スタンダードに新たな息吹を感じさせ、3人のおりなすインタープレイはスリル満点、私はゾクゾクっとしました。
(1)と(2)が特に素晴らしく、このスタンダードの解釈には新鮮味がありました。
(6)、(9)にはトランペット、(6)〜(9)、(11)にはベースが加わり変化をもたせている構成もいいです。
しかし、中心はあくまでも上記3人によるトリオ演奏にあると思います。
(12)は(2)の別テイクですが、どうしても収録したいというプロデューサーの意志が感じられます。
(2)と(12)と優劣が付けがたく選択に迷ったでしょうね、それほど「SOMEBODY LOVES ME」の出来が良いです。

(中間系)


2011/01/02



(584)HIGH FIVE QUINTET / JAZZ DESIRE
daniele scannapieco(ts.ss)  fabrizio bosso(tp)
luca mannutza(p)  pietro ciancaglini(b)  lorenzo tucci(ds)
2004/VIA VENETO JAZZ/

当時イタリアから活きのいいハード・バップ・グループが飛び出してきたので驚きました。
でも、とてもこれだけに収まるようなメンバーではありません。
各人のその後の活躍は目を見張るものがあります。


「レビュー時のコメント」
これにはもう驚いてしまいましたよ、現代の名コンボと言えるのではないでしょうか。
「HIGH FIVE QUINTET」、イタリアからなんとも魅力的な若手?グループが飛び出してきました。
2002年にはアルバムを出しているようなので案外にこのグループの歴史は長いのかもしれませんね。
今、ヨーロッパで最も注目されているファブリッツオ・ボッソ(tp)を始めとして各人が相当の実力の持ち主です。
普通、ハード・バップ・コンボというとベテランが1人か2人、入っていて、彼らがその中心になることが多いです。
しかし、このグループは同世代のメンバーだけで彼らなりの近代的なハード・バップを演奏しているのが最大の特徴です。
フロント2管はダニエル・スカナピエコ(ts)とボッソ(tp)のコンビで強力な組み合わせです。
ルカ・マヌッツア(p)他のバックのメンバーも良し、バランス良し、若手らしく物怖じせず思い切りのよい演奏が聴けます。
曲目は1曲を除いてメンバーのオリジナルで占められており新鮮、新感覚のハード・バップが楽しめる一枚です。
素晴らしくまとまりのあるコンボで一聴の価値は十分、、みなさんもそのまとまりの良さに驚かせれると思います。
(10)、(11)はボーナス・トラックですがニコラ・コンテのアレンジに軽く対応するあたりはさすがに現代っ子か。
(1)、(10)、(11)、これの聴き比べも面白かったです。

(中間系)


2010/12/26



(583) MIKE LEDONNE QUARTET / SMOKIN' OUT LOUD
mike ledonne(ogn),
eric alexander(ts), peter bernstein(g), joe farnsworth(ds)
2004/SAVANT/

聴き直してみるとやはりスマートでした。
もう少しソウルな感覚が欲しいと思いました。


「レビュー時のコメント」
先日見に行ったベニー・ゴルソン・カルテットのピアニスト、マイク・ルドンの新譜を入手してみました。
最近はエリック・アレキサンダー(ts)と共演することが多いようです。
去年のエリックの日本公演にも同行し、エリックのバラード・アルバムでも共演していますね。
さて、私はピアノだとばかり思っていたのですが、ここで演奏していたのはオルガンでした。
考えてみればギター、ドラムスのフォーマットはオルガン・トリオそのものなんですよね。
しかし、このオルガンが予想に反してピアノよりずっと素晴らしいと思いました。
オルガン奏者には希少価値があるし、ジミー・スミスが亡くなった今、時代を担うニュー・タレントが欲しいところです。
ブルージーでグルーブ感溢れるプレイは魅力的で、ピアニストよりオルガニストとして名を残すような気がします。
最近のオルガン奏者はどうもいまひとつ乗れない感じが強かったのですが、このマイク・ルドンのスイング感は買いです。
今作はオリジナルが2曲、(2)のヴィクター・ヤングの名曲「DELILAH」、
(5)のレオン・ラッセルの「SUPERSTAR」などが良かった。
エリックもバラードの表現力が大幅にアップして、ピーター・バーンステイン(g)、
ジョー・ファーンズワーズ(ds)も好演しています。
オルガン・ジャズの好盤だと思います。

(中間系)


2010/12/19


(582) FRANK MORGAN QUARTET / CITY NIGHTS
frank morgan(as),
george cables(p), curtis lundy(b), billy hart(ds)
2004/HIGHNOTE RECORDS/

フランク・モーガンは2007年に74歳で亡くなりました。
一度は見たかったけど残念です。
このライブ盤シリーズは3部作になっていますがモーガンの遺作になりました。
モーガン最後の熱演が聴けますよ。


「レビュー時のコメント」
フランク・モーガン(as)の新作です、モーガンは渋いプレイヤーで私も好きですよ。
50年代に作品を残し、パーカー派の逸材として期待されながらも以後30年間はプッツリと消息を絶ちました。
空白の30年間には諸説があるようですが、30年はあまりに長すぎるので、本人のみが知るところでしょうか。
80年代に奇跡のカムバックを果たしていますが、どれも好盤そろいで一聴の価値があります。
まるで30年間の空白を取り戻すかのような快進撃、モーガンが単なるハード・バッパーでないことを証明しました。
1991年、58歳の時にダウン・ビート誌のアルト・サックス部門のポール・ウィナーに輝いています。
まさに遅れてきた大物アルト・サックス奏者で、今年で72歳になりますが未だ枯れていません。
メンバーはジョージ・ケイブルス(p)、カーティス・ランディ(b)、ビリー・ハート(ds)です。
ベテランを揃えてさすがにその演奏には安定感があります、熟年ジャズ・ライブ盤の傑作に仕上がりました。
選曲もよく考えられていて、観客の盛り上がりも相当なものです。
特にマイルス・デイビスの「ALL BLUES」、ジョン・コルトレーンの「EQUINOX」、「IMPRESSIONS」が興味深いところです。
モーダルな曲を取り上げることにより、作品の幅がぐっと広がりました、マッコイ・ライクなケイブルスにも注目して下さい。
この熟年カルテットは素晴らしいですね、まるで水を得た魚のように生き生きとしています。
フランク・モーガンは今、最もライブを見てみたいプレイヤーの一人です。
来日予定などがあるんでしょうか、情報をお持ちの方がいたら是非知らせて下さい。

(中間系)


2010/12/12



(581) BENJAMIN HERMAN QUINTET / HETEROGENEITY
benjamin herman(as,c-melody sax), bert joris(tp),
misha mengelberg*(p), jos machtel(b), joost van schaik(ds),
raynald colom(tp)(10,11)
2004/A-RECORDS/

久し振りに聴いたけど、個性的で面白かった。
今回は改めてピアノレス・カルテットの良さを発見しました。

「レビュー時のコメント
オランダのアルト・サックス奏者のベンジャミン・ハーマンは初めて聴きましたが、
ユニークな音楽感を持っていて面白かったです。
エリック・ドルフィ(as)の曲を取り上げているように、ベンジャミンはドルフィ・ライクな演奏も垣間見えます。
しかし、そう単純ではありません、それよりはずっと明るくて爽やかな音色なので、独自の世界を持っていると思います。
ドルフィとリー・コニッツ(as)とのミックス・タイプかな、それをどう感じるかが評価の分かれ目になるかもしれませんね。
切れ味鋭いアルトには魅力がいっぱいです、オリジナルのテーマも一風変わっていて印象に残りました。
しかし、ここでの最大の聴きものはドイツの鬼才ミシャ・メンゲルベルグ(p)の参加にあると思います。
ミシャ・メンゲルベルグはアバンギャルド、フリー、現代音楽とその風貌と合わせて実に個性的です。
「2003年の横浜ジャズプロムナード」で日本が誇るフリー・ドラマーの豊住芳三郎さんとの共演を見ました。
即興による2人のコラボレーションが作り出す摩訶不思議な音楽空間に魅せられたのを覚えています。
ミシャの参加は(1)、(3)、(5)、(6)、(9)、バッキングでは数少ない音で最大の効果を出しています。
ここでは案外ストレートに演奏してくれていて親しみやすく、セロニアス・モンク(p)の影響もよく分かりました。
特にミシャ自身のオリジナルの(6)の「REEF」は4分弱の小品ながらベンジャミンとのデュオで素晴らしいです。
ベンジャミンとミシャがひねていますがリズム・セクションがオーソドックスで安定しているのでその分救われています。
総崩れになるところでギリギリ踏み止まっているというか、絶妙かつ微妙なバランスの上に成り立っている作品です。
その危なっかしさが最高の魅力と言えます。
ピアノレスのカルテット演奏もまたバート・ヨリス(tp)の好演もあり結構な仕上がりです。
今年のベスト3候補の一枚です。

(まじめ系)

2010/12/05



(580) URI CAINE TRIO / LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD
uri caine(p), drew gress(b), ben perowsky(ds)
2004/WINTER & WINTER/

このユリ・ケイン・トリオは2005年の「ベスト3」の一枚です。
もう5年も経つけれど車のHDに入れて今でも愛聴しています。
ピアノ・トリオの名盤の一枚だと思います。

「レビュー時のコメント
私にはユリ・ケイン(p)はアヴァンギャルド(前衛)のイメージが強くあります。
そんなユリ・ケインのヴィレッジ・ヴァンガードのライブ盤ということで興味津々で聴いてみました。
全10曲はオリジナルが6曲、ジャズ・スタンダードが4曲の構成です。
さすがにユニークで刺激的、意表をつくフレーズが次々と飛び出してきてゾクゾクっとしました。
かといって頭でっかちというわけでもなくスマートで絶妙なスイング感も持っています。
フリー系ピアニスト独特の力強いタッチは健在、メンバーとのバランスも良く強烈なピアノ・トリオが聴けます。
一般的なピアノ・トリオにはない斬新さ、時折、フリー・キーを交えて変幻自在のピアノ・スタイルが最大の魅力です。
(1)のウエイン・ショーター(ts)の「NEFERTITI」と(3)のオリジナルが特に印象に残りましたが、
その他も聴きどころが多いです。
こういうのを聴いてしまうとありきたりなピアノ・トリオでは物足りなくなるかもしれませんね。
ピアノ・トリオ、お薦めの一枚です。

(中間系)

2010/11/28



(579) LARS MOLLER QUARTET / JAZZPAR CONCERTS 2003
lars moller(ts),
geri allen(p), buster williams(b), billy hart(ds)
2004/STUNT RECORDS/

デンマークの名手、ラース・メラー(ts)の2004年の作品です。
2004年のベスト3候補の一枚でした。
今作はメンバー的にも興味深い貴重盤になったと思います。

「レビュー時のコメント」
デンマークの代表的なテナー・サックス奏者、ラース・メラーのジャズパー・コンサート・2003のライブ盤です。
ラースは今年39歳、デイブ・リーブマン(sax)に師事したとのことですが、中々に個性的で強力なテナーを吹きます。
自在にサックスをコントロールする技量も素晴らしいです、「お見事」と言うほかありません。
共演者がまた尋常でない女性ピアニストのジェリ・アレンなのでかなり骨っぽい演奏内容になっています。
バスター・ウイリアムス(b)の調子は一息ですが、ビリー・ハート(ds)は両者の刺激を受けて相当気合が入っています。
ここでのビリー・ハートは本当に凄みがあります、私は強く印象に残りました。
全5曲はラース・メラーとジェリ・アレンが2曲づつ演奏されていて、ライブの性格上10分強の演奏が4曲あります。
(3)のバラードも絶品、4人の実力者の緊張感溢れる真っ向勝負は聴き応えがあります。
強烈なインタープレイ、ここには軟弱なジャズのかけらは微塵もありません。
今年のベスト3候補の第一弾になりました、じっくりと腰を据えて聴き込んで欲しいアルバムです。

(まじめ系)

2010/11/2



(578) DENNY ZEITLIN TRIO / SLICKROCK
denny zeitlin(p), buster williams(b), matt wilson(ds)
2004/MAXJAZZ/

このコーナーは聴き直しが出来るのが最大の魅力です。
棚に埋もれているCDを引っ張り出しては聴いています。
こういうことでもなければ二度と聴かないかも知れません。
このデニー・ザイトリン(p)も良かった。

「レビュー時のコメント」
デニー・ザイトリン(p)の名前も私にとってはかなり懐かしい響きがあります。
医学博士の称号を持つ異色のジャズ・ピアニストですね。
ビル・エバンズ(p)派ですが多少ずれたところに位置していました。
私には一癖あるすんなりとはいかないプレイヤーとの印象が残っています。
60年代から活躍していますが、2、3年に一枚のリリースのようなので寡作の人と言えますね。
今作品は13曲中、オリジナルが6曲とスタンダードほか6曲の構成です。
(8)のウエイン・ショーター(ts)の曲を取り上げているのが目を引きました。
このアルバムでは比較的素直にストレートに表現してくれています。
それでも独特のクセ味が隠し味となってピリッと効いているので面白かったです。
だてに年を取ってはいません、さすがにスタンダードの解釈には味わい深いものがありました。
ひねりが効いていても、どことなく暖かくて明るいアメリカ的雰囲気を感じさせます。
この点、冷静なヨーロッパ系ピアニストとは一味も二味も違います。
日本盤でも共演したバスター・ウィリアムス(b)とは相性が良いようですね。
マット・ウィルソン(ds)の起用も成功していると思います。

(中間系)

2010/11/14



(577) CHRISTIAN JACOB TRIO / STYNE & MINE
christian jacob(p), trey henry(b), ray brinker(ds)
tierney sutton(vo)
2004/WILDERJAZZ/

クリスチャン・・ジェイコブを聴いたのも久し振りです。
「Just In Time」、「I Fall In Love Too Easily」、「Time After Time」など、
ジュール・スタインもいい曲がいっぱいありますね。

「レビュー時のコメント」
注目のクリスチャン・ヤコブ(p)に待望の新譜が出ました。
ヤコブを見出したのはメイナード・ファーガソン(tp)ですが、コンコード・レーベルの作品は良かったです。
上品でセンスの良いピアノに私は一発で参ってしまいました、それ以来時々引っ張り出しては聴いています。
今作は全13曲中、ジュール・スタインの手になるものが9曲、自身のオリジナルが4曲の構成です。
内2曲にはtierney sutton(vo)のヴォーカルを配して工夫をこらしています。
相変わらずのなめらかでやわらかいタッチには心を惹かれるものがあります。
つむぎ出すメロディ・ラインも美しいですよ。
プロデュースはヴィクター・ルイス(ds)でベニー・ゴルソン(ts)や前述のファーガソンもぞっこん惚れこんでいます。
ジャズ・プレイヤーの評価も高く、いずれ大ブレイクするピアニストになるのではないでしょうか。

(中間系)

2010/10/31



(576) DAVID SANBORN / CLOSER
david sanborn(as),
larry goldings(elp,org), gil goldstein(elp)(8), mike mainieri(vib),
russell malone(g), christian mcbride(b), steve gadd(ds),
luis quintero(per), lizz wright(vo), bob sheppard(ts,ss)(8)
2004/VERVE/

円熟味を増したサンボーンのスタンダード演奏が聴けます。
毎年のように来日公演があったのでよく聴きに行っていました。
人気プレイヤーなのでチャージも高かったけど・・・。

「レビュー時のコメント」
デビッド・サンボーン(as)のヴァーヴ移籍2枚目のアルバムです。
フュージョンも好きだった私はサンボーンやマイケル・ブレッカー(ts)は
リアルタイムで聴いてきたので特別の思い入れがあります。
やはりサンボーンにはこのようなコンテンポラリー路線の方が似合っていると思います。
さすがに若い頃のようなアタックの強さや切れはなくなってきましたが、
円熟した枯れた味わいを聴かせてくれるようになりました。
特にバラードの表現にそれを強く感じることが出来ます。
リズ・ライト(vo)をゲストに迎えた(3)では持ち味の泣きアルトを存分に聴かせてくれました。
サンボーンのボーカルのバッキングは昔から定評のあるところで本当に惚れ惚れします。
(4)、(6)、(10)はそれぞれが3分台の魅力が凝縮されたバラード。
それに絡むラッセル・マローンのギターが実に効果的です。
サンボーンの抜群のアルト・プレイが聴ける一枚だと思います。

(中間系)

2010/10/24



(575) OLIVIER ANTUNES TRIO / INTRODUCING
olivier antunes(p), mads vinding(b), alex riel(ds)
2003/M&I MARSHMALLOW/

オリビエ・アントゥネス(p)はこの11月にも来日公演があります。
私は2008年に見る機会を得ましたが良かった。
さらに進化したアントゥネスを聴きたいですが所用があって残念です。

「レビュー時のコメント」
これもまた気になりながら買いそびれていた一枚です。
オリビエ・アントゥネス(p)を最初に聴いたのはデンマークのテナー奏者のイェスパー・ティロの作品です。
その時から印象的なピアニストだと思っていました。
この作品が記念すべき初リーダー・アルバムになったわけですが、
サイドのメンバーにも恵まれて聴きどころの多いトリオ・アルバムになっています。
いつものマシュマロ・レーベル同様に上品で安定感のあるピアノ・トリオが聴けます。
まだ30代になったばかりですが、米国でリッチー・バイラーク、マルグリュー・ミラー、マーク・コープランド、
ケニー・ワーナーの各ピアニストに師事したとあります、これを見るとかなり凝った人選ですね。
マッズ・ヴィンディング(b)にアレックス・リール(ds)の強力な布陣と互角に渡り合っているのは凄いと思います。
個性という点ではまだ少々線が細いかもしれませんがこれからの成長を期待したい逸材です。
(1)、(7)のドライブ感、(3)のスイング感などが聴きどころ、トリオのバランスもいいです。
それにしてもバックの二人は凄いです。
二人が繰り出すリズムと醸し出す雰囲気は抜群です、至福のひと時を過ごすことが出来ますよ。

(中間系)

2010/10/17



(574) JOSE ALBERT MEDINA TRIO / FIRST PORTRAIT
jose albert medina(p), francisco frieri(b), juan pablo balcazar(ds)
2004/FRESH SOUND NEW TALENT/

ホセ・アルベルト・メディナ(p)の名前も聞きませんがどうしているでしょうか。
当時は斬新でしたが今聴いても中々面白かった。
絵画的なジャケットもいいです。

「レビュー時のコメント」
このJ・A・M・TRIOはホセ・アルベルト・メディナ(p)が中心のバランス感覚に優れたトリオです。
「FIRST PORTRAIT」の表題から、これがデビュー作と思われます。
全9曲、メンバーのオリジナルは4曲です。
まずは(8)のハービー・ハンコック(p)の名曲「MAIDEN VOYAGE」を聴いてみて下さい。
私は唸りましたよ、このトリオのほとばしる才能がうかがえる演奏です。
ヨーロッパ特有の静謐感とスペインの持つラテン的な情感を秘めていて、なんとも魅力的なサウンドを生み出しています。
ひと言でいえば聴かせるピアノ・トリオで、これにはぐっと引き込まれてしまう人も多いのではないでしょうか。

(まじめ系)

2010/10/10



(573) THE NEW SOUND QUARTET / SUMMER KNOWS
joe locke(vib), geoffrey keezer(p), ed howard(b), terreon gully(ds)
2004/EIGHTY-EIGHT'S/

ヴィブラフォンは久し振りですが透明感のある爽やかな音色が心地良いです。
ジェフ・キザーやテリオン・ガリーの存在感も光ります。

「レビュー時のコメント」
ザ・ニュー・サウンド・カルテットはジョーロック(vib)とジェフ・キーザー(p)が組んだ新しいユニットです。
この組み合わせではジョン・ルイス(p)とミルト・ジャクソン(vib)のモダン・ジャズ・カルテットが
あまりにも有名で、洗練された美しいサウンドとして定型化してしまった感があります。
ボビー・ハッチャーソン(vib)+ハービー・ハンコック(p)の名盤、「ハプニングス」もそうでした。
デュオではゲイリー・バートン(vib)とチック・コリア(p)の「クリスタル・サイレンス」が知られています。
だからでしょうね、最初は正直異質な感じがしましたよ、ドラムがかなりうるさいと感じました。
私の頭の中ではヴァイブ+ピアノのカルテットのイメージが固まっていたからです。
しかし何回か聴いているうちにこれがこのグループの良さだと気が付いたのです。
この作品でキーになっているのは間違いなくテリオン・ガリーのドラムスだと思います。
この太鼓をどう感じるかが評価の分かれ目になります。
煽るような強力なリズムが大人しくなりがちなサウンドに刺激を与えています。
上品で洗練されたサウンドに新しい息吹を吹き込んで、ロックもキーザーも活き活きとした演奏を繰り広げています。
迫力のあるジャズ・フィーリングとブルース感覚は新鮮な感動を与えてくれました。
録音もいいですが、この組み合わせでこんなに迫力のある演奏が聴けるとは思いませんでした。
ドラムスが強烈な(1)、(6)はお薦め、(8)の表題曲はイメージ通りの美しい演奏です。
(2)のデュオで演奏されるコラボレーションも素晴らしいです。
特にジャズ・メッセンジャーズの最後のピアニストとして知られるジェフ・キーザーが絶好調です。
(8)のプレイには痺れました。選曲もよく考えられていますね。

(中間系)

2010/10/03



(572)BRANFORD MARSALIS QUARTET / ETERNAL
branford marsalis(sax),
joey calderazzo(p), eric revis(b), jeff "tain" watts(ds)
2004/MARSALIS MUSIC/

ブランフォードはやっぱりいい、1曲目からガツンときた。
重量級の格調高いジャズが聴けます。

「レビュー時のコメント」
ご存知マルサリス兄弟の長兄ブランフォード・マルサリス(sax)のこの新作は良いですよ。
ブランフォードは80年代、ジャズ・メッセンジャーズでアルト・サックスからスタートしました。
その後テナーに持ち替え、ソプラノ・サックスもこなすマルチ・サックス奏者です。
その彼も早40代になり試行錯誤しながら表現力を増してきました。
色々なアルバムを聴いていても案外に平均点は高いプレイヤーだと思います。
同メンバーでの「FOOTSTEPS OF OUR FATHERS」(2002年)ではソニー・ロリンズの「自由組曲」、
ジョン・コルトレーンの「至上の愛」やジョン・ルイスの「コンコルド」などに挑戦して話題になりました。
それぞれのオリジナルが凄いだけにカバーには勇気がいったでしょうね。
それを消化して自分なりのジャズを創造したその意欲は買いたいです。
今作は一転してのバラード作品集ですがその表現力は中々に秀逸です。
満を持してのバラード演奏集は今までのイメージとは一新、完全に一皮むけたと思います。
レギュラー・カルテットとも言えるメンバーも好演、バランスも良く、しっくりと決まっています。
(1)「THE RUBY AND THE PEARL」のサンバのリズム、(7)の自作の表題曲は17分強の熱演です。
メンバーのバラードを1曲づつ取り上げているのも興味深く、聴きどころも多いです。
コンテンポラリーからシリアスなものまで十分にこなしますがこれからは純ジャズ路線を歩むかもしれませんね。

(中間系)

2010/09/26



(571)ARI HOENIG QUARTET / THE PAINTER
ari hoenig(ds),
jean-michel pilc(p), matt penman(b), jacques schwarz-bart(ts)
2004/SMALLS RECORDS/

聴き直してみても刺激的で新鮮な思いがしました。
当時、ショックを受けたのも当然だと思う。

「レビュー時のコメント」
アリ・ホーニッヒ(ds)を最初に聴いたのはケニー・ワーナー(p)・トリオのライブ盤でした。
ずいぶんと刺激的なリズムを繰り出すドラマーだと思いました。
その後ジャン−ミシェル・ピルク(p)・トリオの一員として登場した時、その凄さを再認識した次第です。
変化の激しい複合リズムをいとも簡単そうにやってのけます。
大きな将来性を感じさせる天才肌のドラマーだと思います。
メンバーはこれまた刺激的なジャン−ミシェル・ピルク(p)と売り出し中のベーシストのマット・ペンマン。
このトリオにjacques schwarz- bart(ts)が2−7に加わっています。
全8曲中、オリジナルが6曲でカルテットの演奏、残り2曲がトリオ編成です。
ドラマーを中心とした新感覚のジャズが聴けます。
テナーのシュワルツ・バートも好演、(4)の「CONDEMNATION」がベスト・トラックか。
4者一体のインタープレイが強烈です。

(まじめ系)

2010/09/19



(570) MARC COPLAND TRIO / HAUNTED HEART & OTHER BALLADS
marc copland(p), drew gress(b), jochen rueckert(ds)
2002/HATOLOGY/

マーク・コープランドは静謐系ピアニストの代表格といえるでしょうね。
癒しのピアノで寝る時の子守唄代わりに聴くとぴったりきました。

「レビュー時のコメント」
マーク・コープランド(p)はビル・エバンス〜キース・ジャレットのライン上にあります。
特に深く沈み込むようなリリシズムが持ち味です。
ジャズ・プレイヤーには楽器の持ち替えがよくありますが、まったく変えてしまうのは珍しいですね。
有名なところではギターからハーモニカのトゥーツ・シールマンスでしょうか。
このマーク・コープランドも元はプロのアルト・サックス奏者ですが、ピアニストに変身しました。
ホーン奏者のデュオ相手に選ばれることが多いのはそんな関係もあるかもしれません。
何か良いピアノ・トリオはないものかと探していたら、これがふと目に留まりました。
録音は2001年とちょっと前ですがスタンダードのバラードが中心、叙情感溢れる演奏で楽しめます。

(中間系)

2010/09/12



(569) JESSICA WILLIAMS TRIO / LIVE AT YOSHI'S
jessica williams(p), ray drummond(b), victor lewis(ds)
2004/MAXJAZZ/

ジェシカ・ウィリアムスにはしっとりとした大人の女の魅力があります。
「I WANT TO TALK ABOUT YOU」にはガツンときた。

「レビュー時のコメント」
私が初めてジェシカ・ウイリアムス(p)の名前を知ったのは90年代の最初でした。
コンコード・レーベルの名物ソロピアノ・シリーズの「ライブ・アット・メイベック・リサイタル・ホール」です。
彼女の90年代から最近までの活躍は目覚しいものがあります。
ルーツはセロニアス・モンク(p)でそれに独自の個性が加わって女性ジャズ・ピアニストとしては指折りの存在です。
最初はちょっととっつきにくい感じもするかもしれませんが、聴いていると段々に味が出てきます。
けれん味がなく自然体なのがいいですね、その女性らしい繊細でしなやかなタッチは魅力に溢れています。
抜群のテクニックに絶妙なスイング感とリズム感、さりげなく魅力的なフレーズが飛び出してきます。
ほんのりとした色気を感じるのは私だけではないでしょう。
「YOU SAY YOU CARE」、11分を越す長丁場の「ALONE TOGETHER」の演奏も素晴らしいですよ。
歌物の「I WANT TO TALK ABOUT YOU」やモンクの「MYSTERIOSO」も聴けます。

(中間系)

2010/09/05



(568) JESPER BODILSEN TRIO / MI RITORNI IN MENTE
stefano bollani(p), jesper bodilsen(b), morten lund(ds)
2003/STUNT RECORDS/

今作は実に興味ある組み合わせでしたね。
イェスパー・ボディルセンは北欧を代表するベーシストに成長しました。
ステファノ・ボラニ(p)とモーティン・ルンド(ds)の活躍もご承知の通りです。

「レビュー時のコメント」
デンマークのスタント・レーベルのサウンド作りは私と相性が良いので気に入っています。
オーソドックスなものとはちょっとだけ外れているのがその理由でしょうか。
さて、この若手トリオの作品もその期待に沿って聴き応えは十分です。
リーダーのイェスパー・ボディルセン(b)は34歳、デンマークの大物ベーシストの
ニールス−ヘニング・オルステッド・ペデルセン(b)とイェスパー・ルンゴー(b)に師事したとありました。
以前はエド・シグペン(ds)のグループにいたようです。
モーティン・ルンド(ds)は32歳、ヤン・ラングレン・トリオに参加しています。
こちらの先生はアレックス・リール(ds)だそうです。
イタリアのステファノ・ボラーニ(p)も32歳ですが、現在売り出し中の期待のピアニストですね。
すでに注目のピアニストとしてご存知の方も多いと思います。
この新鮮なトリオの演奏が醸し出すサウンドには興味深いものがありました。
彼らは若いけれども伝統的なジャズ奏法はもちろんのこと、アバンギャルドまで追求しています。
それらがミックスされて聴く者に新しい感動を与えてくれるのです。
特に良く知られたスタンダード・ナンバーのアプローチにそれが顕著に現れています。
それぞれのコンビネーションも抜群で刺激的、まるで水を得た魚ですね。
現状ではステファノ・ボラーニのベスト・アルバムだと思います。

(中間系)

2010/08/29



(567) HARRI IHANUS QUARTET / EYE OPENER
harri ihanus(g),
jerry bergonzi(ts). filip augustson(b), jukkis uotila(ds)
2004/SPICE OF LIFE/

久し振りに聴きましたがやっぱりいいです。
イハヌスにはパット・メセニー系のコンテンポラリーなアプローチもありました。
ドラムスは押してくるし、バーゴンジのユニークなテナー・プレイも楽しめます。

「レビュー時のコメント」
ハリー・イハヌスはスウェーデン出身の40歳のギタリスト、私は初めて聴きました。
ギターのアルバムは久し振り、ここにジェリー・バーゴンジ(ts)が参加していなかったら買わなかったです。
これはイハヌスの初リーダーアルバムだそうで全9曲は全て彼のオリジナルで占められています。
スタイルとしてはジム・ホール(g)とジョン・アバークロンビー(g)を思い浮かべてくれれば分かり易いかもしれません。
ガンガン弾くというよりじっくりとメロディを聴かせるタイプのプレイヤーです。
ジェリー・バーゴンジは無骨で豪快、ゴリゴリ奏法ですが、実は表現力も豊かなプレイヤーで魅力があります。
独特の感性を持ち、なんか心に残るユニークなサックス奏者なので私はいつも注目しています。
最大の聴きどころはギターの柔とサックスの剛の組み合わせ、(3)、(4)のバラードなどお薦めです。
ギター・トリオがバックのサックスのワン・ホーン・アルバムとしては一級品です。
メンバーのバランスも良く、秋に向かってじっくりとジャズを聴くには最適の作品だと思います。

(中間系)

2010/08/22



(566) ALBERT SANZ QUARTET / LOS GUYS
albert sanz(p),
chris cheek(ts,ss), larry grenadier(b), jeff ballard(ds)
2004/FRESH SOUND NEW TALENT/

一番知名度がないアルバート・サンズ(p)がリーダーですが内容は素晴らしい。
印象的なジャケットと共に2000年代名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
スペインの「FRESH SOUND NEW TALENT」盤は新人の登竜門として無視出来ないレーベルになっています。
このようなそのものズバリの狙いを持つレーベルは長続きしてほしいと思います。
アルバート・サンズはスペインの注目のピアニスト、クリス・チークは新感覚のサックス奏者で私は好きです。
この二人がニューヨークに乗り込んでラリー・グレナディアー(b)とジェフ・バラード(ds)と共演。
それだけでも刺激的ではありませんか、私は興味津々でCDをトレイに乗せましたよ。
浮揚感のあるクールなサウンドにアメリカの二人の抜群のスイング感がマッチして見事な仕上がりです。
一発勝負のスリル満点、時代の最先端を行くサウンドが聴ける、貴重なライブ盤だと思います。
演目は全てサンズのオリジナルですが内容が良いので飽きさせません。
5曲目が二部構成になっているのはアンコールでしょうか、全体で25分ほどの演奏になっています。
前半は11分、後半の曲名はありませんが、これが13分強の熱演で素晴らしいです。
プロデュースはサンズ自身なので、あまりの出来の良さに追加したのかもしれませんね。

(中間系)

2010/08/15



(565) DON FRIEDMAN TRIO / TIMELESS
don friedman(p), john patitucci(b), omar hakim(ds)
2004/VILLAGE RECORDS/

この頃、ドン・フリードマン(p)は精力的に活動していました。
最近、消息を聞きませんが元気で演奏しているかな。
今作はフリードマンの代表作の一枚ですがコピー・ガードでパソコンで聴けないのが不便。

「レビュー時のコメント」
まずはこのドン・フリードマン(p)の新作はメンバーの意外性に驚かされました。
ビル・エヴァンス系の知性派ピアニストに、共にフュージョン系出身のリズム・セクションとは・・・。
ジョン・パティトゥッチ(b)の場合は達者な両刀使いなので分からないではありませんが、
ドラマーにオマー・ハキムを起用したのにはびっくりしました。
しかし、これが見事に成功しています。
この新鮮な組み合わせを考えた制作プロデューサーに拍手を送りたいです。
ドン・フリードマンといえば名作「サークル・ワルツ」をつい思い浮かべてしまいます。
ジャズ・ファンの間には良くも悪くもこの一枚の印象が強く残っているのではないでしょうか。
フリードマンはこのところコンスタントにリリースしていて精力的に活動しています。
実力的にはもっと評価されていいピアニストでしょうね。
今作品はハキムの叩き出すリズムに触発されてフリードマンも新しい創造力を発揮しています。
特に1曲目の「ALONE TOGETHER」の出来は素晴らしいです。
意表をついてアップ・テンポで始まるこの1曲はこのトリオの特徴を凝縮させていると思います。
年齢を感じさせない生き生きとした瑞々しいピアノを聴くことが出来ました。

(中間系)

2010/08/08



(564) KAREL BOEHLEE TRIO / DEAR OLD STOCKHOLM
karel boehlee(p), hein van degeyn(b), hans van oosterhout(ds)
2004/M&I/

カレル・ボエリーも好きなピアニストの一人です。
久し振りに聴いたけどやっぱりいいなぁ〜。
クールなので今に時期にはピッタリだと思います。

「レビュー時のコメント」
元ヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト、カレル・ボエリーの新譜です。
なぜ退団したのか定かではありませんが、もう少しシリアスなものを演奏したかったのかもしれませんね。
甘さを残しながらも表現力を深める、彼が狙ったピアノ・トリオの一つの形がここにあります。
ヨーロピアン・ジャズ・トリオとは一味違っていて、これもまた居心地がとてもいいんです。
ちょうど良い按配というか、心地良く耳に馴染んできて、上品な癒し系ピアノ・トリオの作品に仕上がっています。
オリジナルとスタンダードのバランスも良く、案外と掘り出し物の一枚になりました。

(くつろぎ系)

2010/08/01



(563) ROBERT GLASPER TRIO / MOOD
robert glasper(p), bob hurst(b), damion reed(ds)
bilal(vo), mike moreno(g), john ellis(ts)
2003/FRESH SOUND/

ロバート・グラスパー(p)は当時面白い存在だと思いました。
現在はヒップ・ホップやクラブ系で注目されているようです。
幅広い音楽性を持っているので当然といえるのかもしれません。
(3)「Alone Together」、(6)「Blue Skies」を聴いたらその斬新さにビックリしますよ。
今作は貴重盤になる可能性が高いです。

「レビュー時のコメント」
ロバート・グラスパーはある人に紹介されて購入しました。
ブラッド・メルドー(p)に続く次世代を担う逸材だという触れ込みでした。
聴いてみますとたしかにスケールの大きさ、大物感を漂わせていると思います。
音楽性も幅広く、ヴォーカル入りの(1)と(5)にはフュージョン・テイストを感じさせ、
テナー入りの(4)、(9)はコルトレーン・サウンドそのものです。
トリオ演奏は5曲ですがテクニックは抜群、ユニークな音使いと力強く切れの良いタッチは素晴らしいです。
この作品については一貫性がない作りなので好みが別れるかもしれませんね。
トリオだけなら文句なしの好盤でしょう。
もうすでに日本公演も行っているようです、まったく日本のピアノ・ファンは目ざとくて感心します。

(中間系)

2010/07/25



(562) CHRIS POTTER QUARTET / LIFT
chris potter(ts)
kevin hays(p,fenr), scott colley(b), bill stewart(ds)
2004/UNIVERSAL/

今作は2004年の「みんなのベスト3」に選びました。
聴き直してもやっぱり良かった。
クリス・ポッターの代表作になる一枚だと思います。

「レビュー時のコメント」
たまには骨っぽいジャズも聴きたいということで選んだのがこれです。
クリス・ポッター(ts)のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤です。
90年代の前半、モンク・コンペのテナー部門において、1位ジョシュア・レッドマン、2位エリック・アレキサンダー、
3位がこのクリス・ポッターで三人三様に大活躍していますから、この年のレベルは凄かったですね。
ポッターはちょっとねじれていますが、単純でない分、聴けば聴くほど味が出てくると思います。
全7曲中、10分超の演奏が4曲、エキサイティングで白熱したライブが繰り広げられています。
ケヴィン・ヘイズ(p)、スコット・コーリー(b)、ビル・ステュアート(ds)の3人も好バランスで素晴らしいです。
ビル・ステュアートのドラミングは出色、ケヴィン・ヘイズのフェンダー・ローズも効果的で良いピアノが聴けます。
ヘイズについては、今までは正直物足りなかったのですが、私はこれで見直しました。
ポッターはコルトレーンとロリンズのミックス・タイプでやや難解ですが、硬派のジャズ・ファンにはお薦めします。

(まじめ系)

2010/07/18



(561) ALAN PASQUA TRIO / BODY & SOUL
alan pasqua(p), darek oles(b), peter erskine(ds)
2004/VIDEOARTS/

透明感のあるどこまでも美しいピアノが聴けました。
心が洗われるようでいいです。
最近、こういうピアノ・トリオは聴いてなかった。

「レビュー時のコメント」
どちらかと言うとフュージョン・シーンでの印象が強いアラン・パスクァ(p)の初のピアノ・トリオのリーダー作です。
ジャッキー・バイヤード(p)やサド・ジョーンズ(tp)に師事、さらにジョージ・ラッセル(arr)の薫陶を受けたとあります。
これだけでも単純ではありませんね。
多才で面白い個性を持ったピアニストだと思います。
最近ではピーター・アースキン(ds)の「LIVE AT ROCCO」や「BADLANDS」で好プレイを披露していました。
当然ながらピーター・アースキンとは気心も知れていて相性は抜群、トリオとしてのバランスもいいですよ。
ビル・エバンス〜キース・ジャレット系のピアニストでリリカルで透明感のあるプレイが持ち味です。
しかし、ウエスト・コーストの影響でしょうか、リリカルでもそこはかとなく暖かさや明るさを感じさせます。
私などもいいなあーと思って注目していたところです。
まさにグット・タイミングでニュー・アルバムが登場しました。
アコースティック・ピアノ・トリオのお薦めの一枚です。

(中間系)

2010/07/11



(560) JOE SAMPLE / THE PECAN TREE
joe sample(p), jay anderson(b), larry aberman(ds),
dean parks(g), lenny castro(per), peter wolf(synth),
lizz wright(vo)(3,5), howard hewett(vo)(7,9), etc
2002/VERVE/

近年またエレクトリック・ピアノを起用するプレイヤーが増えてきました。
フュージョンの名盤や傑作が再評価されるキッカケになるかもしれませんね。
さしずめエレピならジョー・サンプルが最右翼といったところか。

「レビュー時のコメント」
「今週のジャケット」にクルセイダースを取り上げたことから近作が気になりました。
ジョー・サンプル(p)のこの作品は知っていたのですが、なぜかその時は手が伸びませんでした。
今回改めて入手して聴いてみたところ、これがまあー、大当たりで良かったです。
昔ながらのジョー・サンプルやクルセイダースのサウンドのエッセンスがいっぱい詰まっていました。
2曲を除いてサンプルのオリジナル、美しいメロディとピアノが聴けます。
二人のヴォーカリストもサンプルのお眼鏡に適っただけにいい雰囲気を出しています。
いいなあー、この懐かしいフュージョン・サウンドは、実に心地良いです。
一枚を通して飽きずに聴けるアルバムです、フュージョン・ファンなら是非聴いてみて下さい。

(くつろぎ系)

2010/07/04



(559) MOUTIN REUNION QUARTET / RED MOON
francois moutin(b), louis moutin(ds), baptiste trotignon(p),
rick margitza(sax)
2003/NOCTURNE/

現在、注目のバプティスト・トロティニョン(p)の参加が一番の魅力になりました。
この名前はむずかしい・・・どう読むのか、分からなかった。
そういった意味でも貴重盤の一枚になったかもしれませんね。
黒、赤、白を基調にした穴あきジャケットも凝っていて洒落ています。

「レビュー時のコメント」
「最近購入したアルバム」の(1)で紹介しているジャン-ミシェル・ピルク・トリオのベーシストの作品です。
フランコ・モウティンと読むのでしょうか、ドラムスのルイスとは双子の兄弟だそうです。
そんなわけでリズムのコンビネーションは抜群、息の合ったプレイを聴かせてくれました。
ピアノのbaptiste trotignonも最近注目されているプレイヤーの一人ですね。
このところ絶好調のリック・マルギッツア(as、ss)との組み合わせでクールで聴き応えのある作品に仕上がっています。
初めはとっつきにくいかもしれませんが、聞き込むほどに味が出てくると思います。
今の私には少々疲れるけれど、ワン・ホーン・アルバムとしては一級品です。

(まじめ系)

2010/06/27



(558) EUGENE MASLOV TRIO / THE FUSE IS LIT
eugene maslov(p), boris kozlov(b), vinnie colaiuta(ds),
joe labarbera(ds), hubert laws(fl), pete christlieb(ts)
2002/MACK AVENUE RECORDS/

ユージン・マスロフのこのアルバムは車のHDに入れてあるので時々聴いています。
新譜も出ていますがまだ入手していません。
なんとなくモタモタしているうちに入手困難になっているようです。

「レビュー時のコメント」
私が密かに愛聴しているピアニストにロシア出身のユージン・マスロフがいます。
その他にはクリスチャン・ヤコブ(p)やアラン・ブロードベント(p)などがそうです。
ジャズ・ファンにはそんなプレイヤーが何人かいるのではないでしょうか。
あまり知られていないお気に入りのプレイヤーを探すのはジャズ・ファンの一つの楽しみでもあります。
私にとっては、あまり刺激的でもそうでなくてもダメなんですね。
比較的オーソドックスでおだやかな感じのピアノ・トリオが好きです。
ちょうど良い按配というか、長く愛聴するには自分の好みや相性が大切だと思っています。
このアルバムにはスペシャル・ゲストとしてヒューバート・ロウズ(fl)が3曲に参加していますが、
プロデューサーが元クルセイダースのドラマーのスティックス・フーパーなのでその影響でしょうね。
フュージョン・テイストとリアル・ジャズの両方が楽しめるお買い得盤になっています。
特に彼はジョー・ラバーベラ(ds)との相性が良くて(3、6、7)のトリオものがいいです。

(中間系)

2010/06/20



(557) MICHAEL BUBLE / MICHAEL BUBLE
michael buble(vo)
2003/LEPRISE/

カナダのマイケル・ブーブレ(vo)のその後の活躍はご承知の通りです。
大ヒットを飛ばしたピーター・シンコッティ(vo,p)はアメリカ。
イギリスからはジェイミー・カラム(vo,p)というニュースターが登場しています。

「レビュー時のコメント」
今話題の大型ヴォーカリスト、カナダ出身のマイケル・ブーブレの作品を聴いてみました。
甘いマスクとソフトな歌声、ポップな感覚、歌も上手い、とくれば人気になるのも当然だと思います。
「COME FLY WITH ME」はシナトラ張り、私は(7)や(5)のコンテンポラリーものにも魅力を感じました。
比較の対象になるであろうハリー・コテック・Jrよりは幅広く、スケールは上とみましたがどうでしょうか。
最近、男性ヴォーカルではジョン・ピザレリを卒業してマーク・マーフィの流れを汲むカート・エリングをよく聴いています。

(くつろぎ系)

2010/06/13



(556) RYUICHIRO TONOZUKA QUARTET / RUSH TONE
ryuichiro tonozuka(fhn), mitsuhiro itagaki(p)  
shinji nakamura(org,p), keisuke torigoe(b), mitsutaka uyama(ds)
2003/OMAGATOKI/

土濃塚さんのライブには年に1、2度顔を出しています。
相変わらずのエネルギッシュな演奏で元気をもらっていますよ。

「レビュー時のコメント」
Mさんがイチ押しの土濃塚隆一郎(fhn)を入手しました。
私はフームと唸ってしまいましたよ、この人はいいです。
ストリート・ミュージシャン出身だそうですが、野性味と勢いに溢れています。
荒削りながらそのパワフルな奏法には魅力が一杯、聴く人の耳に迫ってきます。
作曲能力にも優れていますね、良い曲を書いています。「KUMI」は私のお気に入りです。
圧倒的なパンチ力と存在感、久々にスケールの大きさを感じさせるプレイヤーに出会いました。

(中間系)

2010/06/06



(555) JEAN-MICHEL PILC TRIO / WELCOME HOME
jean-michel pilc(p), francois moutin(b), ari hoenig(ds)
2002/DREYFUS/

久し振りに聴いたけどやっぱり強烈でした。
ユニークで刺激的、2000年代のピアノ・トリオ名盤の一枚です。

「レビュー時のコメント」
フランスのジャン-ミシェル・ピルク・トリオ、3人の才気がほとばしる刺激的なトリオだと思いました。
まずはマイルス・デイビス(tp)の「ソー・ホワット」の意表をつく展開に驚かされます。
時々ピョーンと飛んでいる音使いをしますし、ベースがププププと絡むのも面白いです。
ドラムスも強力、3人共にフリーの経験を踏んできたのではないでしょうか。
3人がジャズの巨人達の作品をどう料理しているのか、是非聴いてほしいですね。
力量は十分、演奏も熱い、なかなかに個性的で奥が深い魅力あるトリオだと思います。
万人向けではありませんが、これにはハマってしまう人もいるのではないでしょうか。
私が愛聴盤にしなかったのは、愛聴するにはちょっと疲れるからです。(苦笑)

(まじめ系)

2010/05/30



(554) HIROMI UEHARA TRIO / ANOTHER MIND
hiromi uehara(p), mitch cohn(b), dave dicenso(ds)
anthony jackson(b), jim odgren(as), dave fiuczynski(g)
2003/TELARC/

衝撃的なデビューだったですがその後の活躍はみなさんもご存知の通りです。
ジャズの範疇には収まらないサウンドが魅力です。

「レビュー時のコメント」
今、話題の上原ひろみのデビュー・アルバムを買ってみました。
いきなりのテラーク・レーベルから全米デビューとはシンデレラ・ガールそのものですね。
全9曲は全て彼女のオリジナルで占められ、意欲的かつ挑戦的なのも好感が持てます。
まずはその強烈なタッチと個性的なサウンドに刺激を受けました。
コンテンポラリーなサウンドを始めとして多様性のある色々な表情をみせてくれました。
尊敬するピアニストが持ち味の異なるオスカー・ピーターソンとアーマッド・ジャマルというのも面白いです。
特にジャマルはプロデューサーの一人としてコメントも書いています、相当入れ込んでいるようですよ。
たしかに未だ成長途上ですが期待は大、豊かな可能性を秘めていると思います。
鳴り物入りでデビューした新人も2枚目も買おうと思うのは少ないですが、
彼女はこれからもしばらくは追いかけてみたい数少ないプレイヤーです。

(中間系)

2010/05/23



(553) CHARLES McPHERSON QUARTET / COME PLAY WITH ME
charles mcpherson(as),
mulgrew miller(p), santi debriano(b), lewis nash(ds)
1995/ARABESQUE/

チャールス・マクファーソン(as)のストレートなハード・バップアルバムです。
パーカー派の面目躍如たる演奏が聴けました。
マルグリュー・ミラー(p)もいいです。

「レビュー時のコメント」
チャールス・マクファーソン(as)の1995年の作品です、珍しく旧譜の紹介になりました。
オリジナルが6曲にその他が3曲の構成です。
マクファーソンはチャーリー・ミンガス(b)・ファミリーの出身者ですが、
ミンガス出身者としては比較的穏やかな演奏スタイルを持っています。
チャーリー・パーカー(as)系のアルト奏者で私は以前から好きなプレイヤーでした。
もちろん単純ではありません、若い時から活躍しているので激動のジャズの世界を潜り抜けてきています。
最近、なんとなく気になりまして1980〜1990代を何枚か購入して聴いてみました。
この頃にも良い作品がありますね、1988年のデイブ・パイク(vib)との共演盤も良かったです。
しかし、これが近年?ではベストのアルバムかな。
特に2曲目のオリジナル、「LONELY LITTLE CHIMES」は美しかったです。
地味でも堅実なメンバーに恵まれてマクファーソン節を堪能出来る一枚です。

(中間系)

2010/05/16



(552) PERICO SAMBEAT QUINTET / FRIENDSHIP
perico sambeat(as.ss),
brad mehldau(p), kurt rosenwinkel(g)(1,3,5)
ben street(b), jeff ballard(ds), carmen canela(vo)(9)
2003/ACT/

ペリコ・サンビエト(as)の今作は私の2004年の「みんなのベスト3」の一枚です。
今をときめくブラッド・メルドー(p)、ベン・ストリート(b)、ジェフ・バラード(ds)のトリオに
ゲストがカート・ローゼンウィンケル(g)というメンバーも素晴らしい。

「レビュー時のコメント」
スペイン出身の鬼才、期待のペリコ・サンビート(sax)の新譜は文句なしに良いです。
全10曲、1曲を除いて全て彼のオリジナルで占められており意欲が十分に感じられる作品です。
バックのメンバーにも恵まれたこのワン・ホーン・アルバムは彼の最高傑作になる可能性があります。
実はこのCDを見た時にピンとくるものがありました。
ブラッド・メルドー(p)、カート・ローゼンウィンケル(g)、ジェフ・バラード(ds)と揃えば悪かろうはずがありません。
メルドー、ローゼンウィンケルとは2度目の共演ということになりますか。
やっぱりメルドーもいいですね、1曲目から期待通りの展開になりました。
9曲目にはしっとり系のボサノバのヴォーカル、10曲目は短めのバラードが配置され構成も見事です。
今年聴いた中ではベストの作品、現時点でのベスト3入りは確実でしょう。

(まじめ系)

2010/05/09



(551) JAMES CARTER / GARDENIAS FOR LADY DAY
james carter(sax,cl),
john hicks(p), peter washington(b), victor lewis(ds)
miche braden(vo) etc
2003/SONY/

ジェームス・カーターは去年の8月のライブで見ました。
幅広い音楽性と新旧入り混じったユニークな演奏スタイルの持ち主で面白かった。
大きな身体とジャズ・メンらしい風格・・・テクニシャンで強烈な印象が残っています。

「レビュー時のコメント」
アメリカ期待のサックス奏者の一人、ジェームス・カーターのビリー・ホリディ(vo)追悼盤です。
メジャーのコロンビアに移籍第一弾になります、彼は日本のDIW盤でも注目されていました。
この人もユニークな演奏スタイルの持ち主でなかなかに一筋縄ではいかないプレイヤーです。
どんな感じと言い表せないんですね、色々な表情を持っています。
野太い音色、ブローにバラード、どちらもいけます。
ここでもストリングスをバックに懐かしいサウンドを聴かせていますが、所々で尖がった表現もしています。
2曲にヴォーカルが入り、「温故知新」、私はかなり面白いアルバムだと思いました。
ホリディの有名曲「奇妙な果実」の解釈、咆哮は新鮮。

(中間系)

2010/05/02



(550) RICARDO BELDA TRIO / MY IDEAL
ricardo belda(p), lluis llario(b), felipe cucciardi(ds)
2003/OMIX RECORDS/

たしかに、この頃はピアノ・トリオもよく聴いていたと思います。
好盤が目白押しです。

「レビュー時のコメント」
スペインのリカルド・ベルダ・トリオのスタンダード作品集です。
40代の油が乗ったプレイヤー、この人も初めて聴きましたが中々良いですよ。
実際スタンダードを聴かせるのはむずかしいのですが、強靭なタッチと斬新なアプローチで迫ってきます。
私は1曲目の「ウィスパーノット」の導入部分を聴いてグッと引き込まれてしまいました。
非凡な感性を持つピアニストだと思います。
思うにこのところ連続してピアノ・トリオの好盤を入手していますね。

(中間系)

2010/04/25



(549) JOHN HARRISON TRIO / ROMAN SUN
john harrison V(p), peter kontrimas(b), alan hall(ds)
2001/WAILING CITY SOUND/

改めて聴き直してみるとエディ・ヒギンス(p)よりはずっと激しいです。
この躍動感、スイング感がいかにもアメリカなんだろうなと思います。
アラン・ホールのドラムがいい。
表題曲の「ROMAN SUN」は素晴らしいの一語です。

「レビュー時のコメント」
2001年の発売時に惜しくも買い逃したジョン・ハリソン・トリオを入手しました。
印象的なジャケットと共に当時評判になったのを覚えています。
オリジナルは表題曲の「ROMAN SUN」のみです。
彼は洗練されたスタイルの持ち主で、私はふとエディ・ヒギンス(p)を思い浮かべてしまいました。
トリオのバランスも良くスイング感溢れる演奏は心地良く耳に響いてきます。
安心してお勧め出来るピアノ・トリオの佳作です。

(中間系)

2010/04/18



(548) THIERRY LANG TRIO / REFLECTIONS T
thierry lang(p), heiri kanzig(b), peter schmidlin(ds)
2003/I.D. RECORDS/

久し振りに聴きましたが静謐で美しいピアノです。
3部作なんですが3枚買うのはきつかった思い出があります。

「レビュー時のコメント」
スイス出身のティエリー・ラング(p)の新譜です。
人気実力共にヨーロッパの若手ジャズ・ピアニストしては、先週のヤン・ラングレンと並び双璧だと思っています。
この二人には豊かな将来性と可能性を感じますね、いずれも注目せざるを得ないプレイヤーです。
ラングレンが温暖ならラングは冷静でしょうか、良きライバル関係になればと思います。
全8曲は彼のオリジナルですが、収録時間の45分はちょっと短い気がしました。
なお「Reflections」は3部作まで予定されているようです。

(中間系)

2010/04/11



(547) JAN LUNDGREN TRIO / LANDSCAPES
jan lundgren(p), mattias svensson(b), morten lund(ds)
2003/SITTEL RECORDS/

ヤン・ラングレンは私が疲れた時に最初に手が伸びるピアニストです。
ラングレンのやさしく端正なピアノを聴いているとなんだかホッとします。
これは今でも変わっていません。
ずっと聴き続けている・・・そういった意味ではミシェル・ペトルチアーニ(p)と双璧かな。
但し今作にはフリーなアプローチもあってやや異質になるかも。

「レビュー時のコメント」
ヤン・ラングレン(p)の新譜はスウェーデンのトラッドを中心にオリジナル2曲を含む全12曲の構成です。
ラングレンの代表作に「スウェデニッシュ・スタンダーズ」という傑作がありますがその延長線上にある一枚です。
最近の彼のアルバムにはやわらかい仕上がりのものが多く、イマイチと思っている人もいることでしょう。
そんな中でこれは比較的硬質な作品で甘さは控え目、彼の実力が十分に発揮されています。
それだけにより多くのジャズ・ファンに受け入れられると思っています。

(中間系)

2010/04/04



(546) JOHN TROPEA / STANDARD INFLUENCE
john tropea(g), anthony jackson(b), steve gadd(ds)
chris palmero(org,key), lou marini(ts), nicki parrott(b)
2003/VIDEOARTS/

聴き直してみると思ったよりジャズ・テイストが強かったです。
やっぱりアンソニー・ジャクソン(b)&スティーヴ・ガッド(ds)のリズム・セクションがいい。
ベースのニッキ・パロットは近年ボーカリストとしても注目されています。

「レビュー時のコメント」
ジョン・トロペイは、1970年代のフュージョン界では注目されていたギタリストの一人です。
懐かしい名前を見つけたのと、そんな彼がスタンダードを演奏するというので即購入を決めました。
やわらかなタッチとファンキー・ムード満点、聴いた途端にこれはかっこいいと思いましたよ。
それもそのはず、リズム・セクションにアンソニー・ジャクソン(b)とスティーヴ・ガッド(ds)なら文句なしの組み合わせです。
あとのメンバーは若手ですが、あまりでしゃばらずに控え目なのがいいです。
ウェス・モンゴメリー(g)の曲が2曲ありますが、「FULL HOUSE」は楽しめました。
ある年齢を経ないと出ない味というものがあります、彼はいい年の取り方をしているという感じですね。
肩の凝らない好盤、フュージョン系のファンにはお薦めします。

(くつろぎ系)

2010/03/27



(545) JURAJ STANIK TRIO / SHAKEN NOT STIRRED
juraj stanik(p), marius beets(b), owen hart jr(ds)
2003/MAXANTER RECORDS/

発売当時、かなり話題になったピアノ・トリオ・アルバムです。
ジャケットも印象に残りますね。
ソウルフルなピアノが聴けるのでヨーロッパのピアニストしては珍しいです。

「レビュー時のコメント」
オランダの新進ピアニストの登場です、ユーラ・スタニクと読むのでしょうか。
全10曲中9曲がオリジナルなので、彼の多彩な音楽性を垣間見ることが出来ます。
いわゆる典型的なヨーロッパのピアノスタイルとはちょっと異質な感じです。
より豊かな表現力があるので「あー、これはいいな」と思いました。
ニューヨークや日本、ヨーロッパでもあちこちで演奏しているのが影響しているのかもしれません。
アップテンポはともかく、バラード・プレイにも見るべきところがあります。
まだ34歳なのでこれからの活躍が楽しみな逸材です。
メンバーにはビーツ・ブラザーズでお馴染みのマリアス・ビーツ(b)が参加しています。

(中間系)

2010/03/21



(544)SERGE FORTE TRIO / LA VIE EN BLEU
serge forte(p), claude mouton(b), laurent robin(ds)
2001/ELLA PRODUCTION/

セルゲ・フォルテはフランスのピアニスト。
これもレア盤の一枚だと思います。
(4)「Que reste-t'il de nos Amours」が聴きどころになります。
英題は「I wish you love」ですがこれが素晴らしい。

「レビュー時のコメント」
フランスのセルゲ・フォルテ(p)・トリオの作品です、知られている人なんでしょうか。
キース・ジャレット系の美しいタッチと力強さ持っています。
1曲づつの演奏時間が比較的長いのでじっくりと聴き込むことが出来ます。
ロマンティックな雰囲気のアルバムで、これからの秋の夜長に聴くにはぴったりだと思います。
聴き込むごとに味が出る好センスなピアノ・トリオの佳作です。

(中間系)

2010/03/1



(543)JOCHEN BALDES QUARTET / SUBNODER OSMOTIC JAZZ
jochen baldes(ts,acl)
adrian frey(p), christoph aprenger(b), elmar frey(ds)
2003/YVP MUSIC

ヨヘン・バルデスも久し振りに聴きました。
どう見てもこのジャケットはいかにも怪しげですね。
でも、内容は素晴らしいです。

「レビュー時のコメント」
ヨハン・バルデス(ts)のドイツ盤です、この人も初めて聴きました。
全9曲は彼のオリジナルで占められています。
いやー、驚きました、このアルバムは文句なしにいいですよ。
ドイツの若手のグループだと思いますが曲も演奏もグットです、私はノックアウトされました。
テナーと珍しいアルト・クラリネットが感傷的な音色を醸し出します。
グループとしてのまとまりもあり、ピアニストの好演にも注目しました。
久々に充実したテナーのワン・ホーン・アルバムを聴いたという感じです。
それにしてもこのジャケットはどうにかならなかったのでしょうか。
ピンボケの怪しいジャケットでは、買う気になる人も少ないのでは・・・。
外装から受ける雰囲気と内容があまりにも違うと思った一枚。

(中間系)

2010/03/07



(542)RANDY PORTER TRIO / EIGHT LITTLE FEET
randy porter(p), bob magnusson(b), joe labarbera(ds)
2000/HEAVY WOOD/

2000年、ピアノ・トリオの名盤。
ピアノ・トリオ・ファンなら必聴だと思います。

「レビュー時のコメント」
気になっていながら、なんとなく買いそびれていた作品はありませんか。
これはそんな中の一枚です、ランディ・ポーター(p)の名前は時々見かけました。
聴いてみたいと思いながら延び延びになっていたものです。
聴いてみると誰に似ているのか、思い浮かばない感じがして、私は面白いと思いました。
独自の味を持つプレイヤーなので、ジャズ以外も、幅広い音楽性の持ち主かもしれません。
12曲中10曲が自身のオリジナルです。

(中間系)

2010/02/28



(541)CHRISTIAN LAVIGNE TRIO / FLOWING
christian lavigne(p), michel altier(b), eric bretheau(ds)
2000/DYMUSIC/

クリスチャン・ラヴィンはフランスのピアニストですがまったく名前を聞きません。
でも聴き直してみるとやっぱりいいです。
私にしたら珍しいレア盤の一枚でしょうね。

「レビュー時のコメント」
フランスのピアニスト、クリスチャン・ラビーンの作品です。
彼の経歴は不明ですが80年代から吹き込みをしているようです。
全10曲、オリジナルが7曲です。
最初はピンとこなかったのですが、聴けば聴くほど味が出るというか、今ではお気に入りのアルバムになりました。
ピアノの音色は綺麗だし、切れはあるし、フレーズも美しく新鮮です。
ベース、ドラムスとのバランスも絶妙だと思います、機会があったら是非聴いてみてほしい人です。
内容が素晴らしいだけに、ジャケットでちょっとソンをしているかもしれませんね。

(中間系)

2010/02/21



(540)AD COLEN QUARTET / EYES WIDE OPEN
ad colen(ts,ss),
rob van bavel(p), erik robaard double(b), chris strik(ds)
2000/SWEET BRIAR MUSIC/

アド・コーレン(ts)も久し振りですがどうしているでしょうか。
改めてじっくり聴いてみるとやっぱり良かったです。
ロブ・ヴァン・バベル(p)もいい。

[レビュー時のコメント]
新進テナー奏者、アド・コーレンのオランダ盤です。
全9曲がオリジナルで占められた力作だと思います。
何と言ったらいいのでしょうか、独特の雰囲気を持っています。
後期のスタン・ゲッツ(ts)にウェイン・ショーター(ts)をミックスした感じかな。
クールな中に激しい感情を包み込むような奏法です。
最近の若いサックス・プレイヤーにはこういう感じのプレイヤーが増えてきました。
この人には魅力があるので、いずれ注目される存在になるのは間違いないでしょう。
ピアノには今話題のロブ・ヴァン・バベルが参加しています。
彼の素晴らしいプレイも聴きものですよ。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2010/02/14



(539)SADAO WATANABE / WHEEL OF LIFE
sadao watanabe(as,fl)
richard bona(el-b,el-g,per,vo) george whitty(key) nathaniel townsley(ds)
mike stern(el-g) romero lubambo(g)
2003/VERVE/

これはいいですね。
やはり渡辺貞夫さんは別格の存在で心の中に爽やかな風が吹き渡る気がしました。
アフリカの風を運ぶリチャード・ボナも伸び伸びとプレイしていて気持良さそうです。
貞夫さんの2000年代の代表作だと思います。

[レビュー時のコメント]
渡辺貞夫さん(as,fl)の新作は全曲オリジナルによる意欲作です。
11曲中、自身の新曲が9曲、2曲をリチャード・ボナ(b、vo)が提供しています。
アフリカの大地の香りがするマルチ・プレイヤーのボナとのコラボレーションは新鮮です。
主役は完全に渡辺貞夫さんでしょう、
リーダーとしての力量は十分、その素晴らしさは他を圧倒しています。
全体のサウンドに溶け込みながらも主張するところは主張している感じ、
日本的な情緒もあり心に沁みます。
やさしくてまろやかな音色には、まるで包み込まれるような感じがしました。
(4)のアルト、(10)のフルートはまさに感動的です、曲も美しいですね。
年輪を経ないとこの雰囲気は出ないと思います、現在のサダオ・ワールドが広がっています。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(くつろぎ系)

2010/02/07



(538)BILL MAYS TRIO / GOING HOME
bill mays(p) martin wind(b) matt wilson(ds)
2003/PALMETTO/

聴き直してみるとビル・メイズ(p)実に力強いタッチをしていました。
マット・ウィルソン(ds)とのコンビネーションが最大の聴きものだと思います。
たくさんの荷物を持って旅をする・・・ジャケットも印象に残ります。

[レビュー時のコメント]
ビル・メイズ・トリオの新譜ですが、これが意外に良かったです。
元々やわらかいタッチが持ち味なので相変わらずかなと思いました。
ところが今作では強靭で意外性のある展開を見せており新鮮に感じました。
オーソドックスなピアノ・トリオの作品としては楽しめるのではないでしょうか。
これはシェリー・マン(ds)、レッド・ミッチェル(b)、ジミー・ロウルズ(p)に
捧げるアルバムになっています。
全11曲、オリジナルは4曲、最後の曲では渋いノドも聴かせてくれています。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2010/01/31



(537) TED BROWN QUARTET / PRESERVATION
ted brown(ts)
harold danko(p) dennis irwin(b) jeff hirshfield(ds)
2003/STEEPLECHASE/

レニー・トリスターノ(p)も根強い人気がありますね。
ジャズの世界では永遠に不滅という感じがします。

[レビュー時のコメント]
テッド・ブラウン(ts)の懐かしい名前を見つけたので即購入を決めました。
彼はレニー・トリスターノ(p)の門下生で、リー・コニッツ(as)やウォーン・マーシュ(ts)の一派です。
トリスターノ派の演奏は今聴いてもクールでユニーク、オリジナリティがあります。
曲の展開にも意外性があるので面白いです。
ちょっとくぐもった音色ですが、聴くたびに良くなってきました。
共演のハロルド・ダンコ(p)も絶妙な人選だと思います。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2010/01/24



(536) PETER BERNSTEIN QUARTET / HEART'S CONTENT
peter bernstein(g)
brad mehldau(p) larry grenadier(b) bill stewart(ds)
2002/CRISS CROSS JAZZ/

聴き直したけどこれも良かった。
ブラッド・メルドー(p)の瑞々しく爽やかなプレイにも注目です。
ストレートなジャズ作品に仕上がっています。

[レビュー時のコメント]
ピーター・バーンステインもこのところ精力的に活動していますね。
比較的オーソドックスなギター・スタイルの持ち主です。
全8曲中、6曲が自身のオリジナルになっています。
ここでの魅力はメンバー構成ということになるでしょうか。
今や超人気のピアニスト、ブラッド・メルドーとは再会セッションになります。
それぞれの道を歩んでからの共演ということで、お互いに思い入れもあったでしょうね。
二人の個性のぶつかり合いも聴きどころの一つになっています。
彼の代表作の一枚になるのは間違いないと思います。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2010/01/17



(535) ANTONIO FARAO QUARTET / FAR OUT
antonio farao(p), martin gjakonovski(b), dejan terzic(ds)
bob berg(ts)
2003/CULTURE PUBLISHERS INC/

聴き直したけどこれが強烈な印象を残しました。
故ボブ・バーグとアントニオ・ファラオの鬼気迫る対決は迫力十分です。
バーグの火の出るようなソロは凄い。
2003年、名盤の一枚。

[レビュー時のコメント]
イタリア期待のピアニスト、アントニオ・ファラオの新作です。
彼は1996年からほぼ1年に1枚づつの作品を出しています。
今作品はボブ・バーグ(ts)との共演という興味深いものです。
ボブ・バーグは昨年の12月に自動車事故で不慮の死を遂げたため最晩年の録音になりました。
ボブを偲ぶアルバムとしても貴重な記録になるでしょう。
バリバリと吹きまくるボブ・バーグに切れ味鋭く迫るアントニオ・ファラオ、スリル満点の内容です。
このアントニオ・ファラオ・トリオは6月の「ザ・シナジー・ライブ」に来日します。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2010/01/10



(534) CHIHIRO YAMANAKA TRIO / WHEN OCTOBER GOES
chihiro yamanaka(p), larry grenadier(b), jeff ballard(ds)
2002/SAWANO SHOKAI/

今作は山中千尋さんの2枚目のリーダー作だと思います。
デビュー以来今までコンスタントにアルバムを出し続けているのは大したものです。
本人と努力とファンの熱い支持がある証拠ですね。

[レビュー時のコメント]
遅ればせながら、山中千尋(p)さんをご紹介します。
デビュー作も話題になりましたが聴いたのはこれが初めてです。
さすがに評判になるだけのことはありますね。良い仕上がりの作品だと思います。
アキコ・グレース(p)も良かったですがまた違った魅力があります。
より女性らしいというか、艶やかな印象を持ちました。
(4)八木節を題材にしたのも面白いですね。
こちらは大先輩の秋吉敏子(p)さんの影響でしょうか。
最近は日本女性の活躍が目覚しいです。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2010/01/03



(533) IVAN PADUART TRIO / LIVE
ivan paduart(p), stefan lievestro(b), hans van oosterhout(ds)
2001/VIRGIN MUSIC/

イヴァン・パデュアも一時期ずいぶんと聴きました。
ライブにも行ったし、日本盤も出ましたね。
最近はすっかりご無沙汰ですがどうしているんだろうか。

[レビュー時のコメント]
ちょっと前に紹介したイワン・パデュアート(p)のライブ盤を買ってみました。
彼の流麗なタッチのピアノを聴いていると天性のセンスを感じさせます。
無理がないというか、音の出がスムーズなんですね。
1991年からほぼ1年に1枚づつのリーダー・アルバムを出しているようです。
機会があったら是非聴いていただきたいプレイヤーの一人です。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/12/27



(532) WAYNE SHORTER / ALEGRIA
wayne shorter(ts,ss), danilo perez(p), brad mehldau(p)
john patitucci(b), brian blade(ds), terri lyne carrington(ds) etc
2003/VERVE/

近年、色んなプレイヤーがショーターの曲を演奏しています。
それだけ影響力が強かったということでしょうね。
今では押しも押されもせぬジャズ界の巨人です。

[レビュー時のコメント]
ウエイン・ショーター(sax)の新譜は久し振りのスタジオ録音盤だそうです。
ここでもショーターは圧倒的な存在感を示しています。
まさに現代のジャズの巨人、自分の世界を持っています。
ホーン・セクションをバックに迫力十分の演奏を聴かせてくれました。
サウンドも新鮮、ジャズに年齢は関係ないことを痛切に感じさせられます。
特に3曲目の表題曲は良かったですよ。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/12/20



(531)JOEL WEISKOPF TRIO / CHANGE IN MY LIFE
joel weiskopf(p), john patitucci(b), brian blade(ds)
2002/CRISS CROSS/

カチッと硬質なピアノ・トリオの傑作です。
今聴いても新鮮で全然色あせていません。
このアルバムは2003年の「みんなのベスト3」の一枚です。

[レビュー時のコメント]
ジョエル・ワイスコフ(p)のクリス・クロスからの2枚目のトリオ・アルバムだそうです。
全10曲中、1曲を除いてワイスコフのオリジナルになっています。
これは中々面白い組み合わせのトリオですね。
幅広い音楽性の持ち主のパティトゥッチ(b)がここでは重厚なプレイを聴かせてくれました。
軽快なブライアン・ブレイド(ds)とのコンビネーションは抜群です。
サイドマンに恵まれて、ワイスコフがしなやかなタッチで鍵盤を疾走します。
オーソドックスでストレートなジャズ・ピアノ・トリオのお薦めの一枚です。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/12/13



(530)GEORGE GARZONE & BEN BESIAKOV QUARTET
/ HEY WHY DON'T WE PLAY
george garzone(ts), ben besiakov(p),
anders christensen(b), billy hart(ds),
jens winther(tp)
2002/STUNT/

このアルバムは2003年の「みんなのベスト3」の一枚にしました。
聴き直しても悪かろうはずがありません。
ジャケットもユニークで印象深いです。

[レビュー時のコメント]
ユニークなテナー奏者のジョージ・ガーゾーンにデンマークのピアニスト、
ベン・ベシアコフの組み合わせは2枚目になるでしょうか。
前作も「ドラ流」にしましたが、前回に増してこれも良いです。
全8曲、ガーゾーンとベシアコフが2曲づつオリジナルを提供しています。
3曲にトランペットが加わりますが、これはない方が良かったかも。
特に超スロー・バラードで演奏される「マック・ザ・ナイフ」には驚かされました。
「MACK THE KNIFE REAL SLOW AND IN B-MINOR」という副題まで付いています。
これが今作の最大の聴きものですが、その他の曲にも聴きどころがいっぱいあります。
適度な緊張感とスイング感があってジャズ本来の魅力が楽しめると思います。
この二人の絶妙なインター・プレイにベテランのビリー・ハート(ds)の絡みが素晴らしい。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/12/06



(529) JAKOB DINESEN & KURT ROSENWINKEL
/ EVERYTHING WILL BE ALL RIGHT
jakob dinesen(ts), kurt rosenwinkel(g),
anders christensen(b), kresten osgood(ds)
2002/STUNT RECORDS/

聴き直してもやっぱり刺激的で面白かったです。
コンテンポラリーな新感覚ジャズの一枚。
2003年の「みんなのベスト3」に選びました。

[レビュー時のコメント]
デンマークのヤコブ・ダイネセン(ts)とカート・ローゼンウィンケル(g)の組み合わせです。
全9曲、ヤコブのオリジナルが5曲とエバンス、コルトレーンのほかに、
1曲目にウェイン・ショーター、最後の9曲目にジャンゴ・ラインハルトが配置されています。
飛び跳ねるようなサウンドは実に新鮮かつ刺激的です。
このように浮揚感のある不思議な感覚にはゾクゾクっとします。
案外と心地良く感じるのはなぜなんでしょうか。
いつも思うことですが、カート・ローゼンウィンケルの存在感が光ります。
彼は今までにはいなかった新しいタイプのジャズ・ギタリストです。
新感覚のジャズに興味のある方なら是非聴いてほしいですね。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/11/29



(528) IVAN PADUART TRIO & RICK MARGITZA / STILL
ivan paduart(p), stefan lievestro(b), mimiverderama(ds),
rick margitza(ts)
2002/A-RECORDS/

このジャケットは清冽な感じがして大好きです。
この10年間のジャケット・ベスト10に入ります。
もちろん内容もいいですよ。

[レビュー時のコメント]
オランダのイワン・パデュアート・トリオにリック・マルギッツァ(ts)の組み合せです。
全8曲は全てメンバーのオリジナルで占められています。
まずは透明感のあるクリアな音色が心に沁みる、清冽な印象を残す作品です。
マルギッツァは40代、今が旬のサックス・プレイヤーと言えるでしょう。
イワン・パデュアートもヨーロッパ・ピアノの伝統を踏襲しながらも、そのフレーズは新鮮です。
聴けば聴くほど味が出る、端正な仕上がりのテナー・ワンホーン・アルバムの一級品です。
ジャケットも美しく、涼しげでいいですね、夏に聴いたらもっと心地良さそう。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/11/22



(527) CUES TRIO & DAVID LIEBMAN / FEEL
david liebman(ss,ts),
roberto tarenzi(p), lucio terzano(b), tony arco(ds)
2002/ABEAT/

これも「目立たないけどいいアルバム」の典型的な作品です。
久し振りに聴いたけど刺激的で実にいいです。

[レビュー時のコメント]
イタリアのトニー・アルコ(ds)が率いる新結成キューズ・トリオに
デイブ・リーブマン(ss、ts)が共演してきました。
全9曲、メンバーのオリジナルが6曲と、あとマイルス1曲、モンク1曲の構成です。
デイブ・リーブマンも良い意味で枯れてきて、緊張感のある演奏を聴かせてくれています。
特に自作の3曲目、ドラムとのデュオが圧巻、コルトレーン派の面目躍如というところでしょう。
ピアノのロベルト・タレンツィにも注目して下さい。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/11/15



(526)MONCEF GENOUD TRIO / THE MEETING BOB BERG
moncef genoud(p), christophe chambet(b), thierry hochstatter(ds,per),
bob berg(sax)(1,6,8,9)
1999/DINEMEC JAZZ/

モンセフ・ジェノウドも目立たないけどいいピアニストです。
惜しくも亡くなったボブ・バーグ(ts)との共演でもあり貴重盤になる可能性があります。

[レビュー時のコメント]
先頃、交通事故で急逝したボブ・バーグ(ts)を偲びながら聴いています。
モンセフ・ジェノウド・トリオにボブが客演した1999年録音のスイス盤です。
全9曲中、メンバーのオリジナルが5曲、残りがジャズのスタンダードの構成です。
私は初めて聴きましたが、モンセフ・ジェノウド(p)が素晴らしいです。
その切れのあるタッチと流麗な演奏で一発でノック・アウトされました。
もちろん、ボブ・バーグも好演していますのでお薦めの1枚ですよ。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/11/08



(525)STEFANO DI BATTISTA / 'ROUND ABOUT ROMA
  stefano di battista(sax),
eric legnini(p), rosario bonaccorso(b), andre ceccarelli(ds),
symphonic orchestra "Les Archets de Paris"
2002/BLUE NOTE/

バティスタも最近目立った動きがないようですがどうしているでしょうか。

[レビュー時のコメント]
イタリアのアルト・サックス奏者、ステファノ・ディ・バティスタの新譜です。
彼が注目されたのはミシェル・ペトルチアーニ(p)に認められてからでしたね。
今作品はオーケストラをバックに美しく切ないメロディに乗ってじっくりと聴かせてくれました。
全8曲中5曲が彼自身のオリジナルです。
ストリングスやオーケストラがバックのアルバムは好みが分かれますが、私は結構好きです。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/11/01



(524)MULGREW MILLER & WINGSPAN / THE SEQUEL
  mulgrew miller(p), steve nelson(vib), steve wilson(as,ss)
duane eubanks(tp), richie goods(b), karriem riggins(ds)
2002/MAXJAZZ/

洗練された上品なサウンドが魅力で実に居心地がいいです。
オーソドックスでカチッとしたジャズが聴けました。
地味なプレイヤー達による地味なアルバムですが好盤の一枚です。

[レビュー時のコメント]
マルグリュー・ミラー(p)のサイドマンとしての力量は定評のあるところです。
性格的なものでしょうか、バックで目立たず、ソロイストを引き立て、強引なところがありません。
逆を言えば、リーダーとしてはイマイチだと思っていました。
ところがこのアルバムは意欲的で良かったです。
全10曲中、8曲がミラーのオリジナルで占められています。
彼がウィングスパンというグループを持っていたとはまったく知りませんでした。
全員がリラックスしていて、演奏全体に切れ味が感じられました。
これはマルグリュー・ミラーの代表作になり得る作品だと思います。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/10/25



(523)CHARLES LLOYD / LIFT EVERY VOICE
  charles lloyd(ts,fl), geri allen(p), john abercrombie(g)
marc johnson(b), larry grenadier(b), billy hart(ds)
2002/ECM/

ECMを聴くのも久し振り、独特の牧歌的サウンドが聴けます。
近年、ECMといえばチャールス・ロイドを買っているような気がする。
レビュー時にコルトレーンの「バラード」の延長線上にあると書きましたが趣は違っています。

[レビュー時のコメント]
チャールス・ロイド(ts)の新譜は2枚組で出てきました。
2枚組というのは中々買いにくいものですが、これなら満足出来る仕上がりだと思います。
ロイドのオリジナルが7曲含まれ、トラディショナルの4曲が新鮮です。
このメンバーによるマービン・ゲイの名曲、「WHAT'S GOING ON」には興味がありませんか。
コルトレーンの「バラード」の延長線上にあると言えばイメージがつかみ易いと思います。
より効果的なのは、ジョン・アバークロンビー(g)の存在です。
それがこの作品を一味違うものにしています。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/10/18



(522) DAVE PECK TRIO / OUT OF SEATTLE
dave peck(p), jeff johnsen(b), joe la barbera(ds)
2002/LET'S PLAY STELLA RECORDS/

ビル・エバンス〜キース・ジャレット系のヨーロピアン・テイストを持つカナダのピアニストです。
やはり11分強の「Solar」がいいです。

[レビュー時のコメント]
デイヴ・ペック(p)、この人も聴いたのは初めてです。
お馴染みのスタンダード・ナンバーを中心にしたライブ盤です。
典型的なキース・ジャレット(p)系のピアニストですが、中々に良い雰囲気を持っています。
一曲平均8分強の熱演で、スタンダードの解釈も新鮮だと思いました。
美しいメロディ・ラインと切れの良いタッチが特徴です。
一曲目、マイルス・デイビス(tp)の「SOLAR」は出色の出来、私のお気に入りになりました。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/10/11



(521) JOE MARTIN QUARTET / PASSAGE
joe martin(b),
mark turner(ts), kevin heys(p), jorge rossy(ds)
2002/FRESH SOUND/

面白いジャケットなので印象に残るアルバムです。
手持ちのCDでジョー・マーティン(b)の名前を見るのはこれ1枚だと思います。
共演メンバーは新感覚ジャズの先頭に立っているプレイヤーが並んでいます。
貴重盤になるかもしれませんね。

[レビュー時のコメント]
ジョー・マーティン(b)の名前は初めて聞きました。
私はマーク・ターナー(ts)絡みで買いましたが、これが思ったよりも良かったです。
オーソドックスで野太いベース・プレイが聴けます。
期待の新進ベーシストの登場というところでしょうか。
全8曲、1曲を除いては彼のオリジナルです。
共演のメンバーもそれぞれ好演していて、バランスのとれた新感覚ジャズの好盤です。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/10/04



(520) CURTIS LUNDY QUINTET / PURPOSE
curtis lundy(b), john hicks(p)(3,5,7), anthony wonsey(p),
  mark shim(ts), steve nelson(vib), billy hart(ds)
2002/JUSTIN TIME/

カーティス・ランディを始め最近ご無沙汰しているメンバーが並んでいます。
ジョン・ヒックスは亡くなったし、時代は間違いなく動いています。
聴き直してみると刺激的で実に良かった。

[レビュー時のコメント]
最近、カーティス・ランディ(b)の活躍も目立ちます。
本人自身もこのところ渋いアルバムをコンスタントに出しています。
全9曲中自身のオリジナルが4曲、メンバーが1曲づつ、その他1曲の構成です。
曲風もバラエティに富んでいて飽きさせません。
ここでの最大の注目はマーク・シム(ts)の存在でしょう。
その男性的で微妙な音色には痺れてしまいました。
メンバー的にも中々魅力がある一枚です。
マーク・シムの健闘に一票を投じたいと思います。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/09/27



(519) GEORGE COLLIGAN QUARTET / ULTIMATUM
george colligan(p)
  gary thomas(ts,fl), drew gress(b), ralph peterson(ds)
2002/CRISS CROSS/

これはいいですね。表題曲にはグッときました。
最近はうるさいほどのドラムスが気に入っています。
ラルフ・ピーターソンは最高です。

[レビュー時のコメント]
ジョージ・コリガン(p)の新作です。
全9曲は全てオリジナルで占められていますので、意欲は十分に感じられます。
ここでの注目は鬼才というか、曲者というか、ゲイリー・トーマス(ts、fl)の参加でしょうね。
ほとばしるテナー・プレイと爽快なフルートの対比が面白かったです。
コリガンも切れ味のあるプレイで好演していまして、私はいいなあーと思いました。
もう一人の注目はラルフ・ピーターソン(ds)ですが、ここでもビシッと決めています。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/09/20



(518)CODY MOFFETT / MY FAVORITE THINGS
cody moffett(ds),
stanley jordan(g), kenny drew jr(p)
  charnett moffett(b), dudi domedi(ts), leonardo suarez paz(vln)
mondre moffett(tp), cherelle shabazz(vo), chris cox(tb)
2002/TCB/

このコーディ・モフェット(ds)のアルバムは今聴いてもまったく古さを感じさせません。
やっぱり、スタンリー・ジョーダン(g)とケニー・ドリュー・ジュニア(p)が良かった。

[レビュー時のコメント]
モフェット兄弟の長兄、コーディ・モフェット(ds)の作品です。
私の狙いは共演のスタンリー・ジョーダン(g)とケニー・ドリュー・ジュニア(p)でした。
しかし、こういう作品に当たると嬉しいですね、掘り出し物の一枚になりました。
オリジナルが3曲、それにハンコックの「処女航海」、コルトレーンの「ネイマ」、
ショーターの「スピーク・ノー・イーブル」や名曲「マイ・フェバリット・シングス」を取り上げています。
幅広い音楽性の持ち主なので凝ったアレンジも楽しむことが出来ました。
サウンドも新鮮、何より挑戦的で元気があるのがいいです。
上記二人の超テクプレイも堪能出来ます。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/09/13



(517)CHRIS CHEEK QUARTET / GUILTY & LAZY AFTERNOON
chris cheek(ts)
ethan iverson(p), ben street(b), jorge rossy(ds)
2002/FRESH SOUND/

私がクリス・チークを追いかけるキッカケになったアルバムです。
2002年の「みんなのベスト3」にも選びました。

[レビュー時のコメント]
クリス・チーク(ts)、名前は時々聞いていましたが買ったのは今回が初めてです。
私はフームと唸ってしまいましたよたしかに話題になるだけのことはありますね。
ライブでこれだけのバラードを聴かせる人は少ないのではないでしょうか。
しっとりとした独特の雰囲気を持ったプレイヤーです。
この2枚は同時録音のようですがジックリ派には「GUILTY」を、
バラード派には「LAZY AFTENOON」をお薦めしたいと思います。
その味わい深い演奏は是非聴いてほしいですね。

[ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/09/06



(516) SONNY SIMMONS QUINTET / MIXOLYDIS
sonny simmons(as,engh), eddie henderson(tp),
  john hicks(p), curtis lundy(b), victor lewis(ds)
2002/TERRONES/

最近はちょっと濃い目のジャズが聴きたい気分なのでちょうどいい感じです。
ガツンときました。

[レビュー時のコメント]
フリー・ジャズ・シーンの雄、ソニー・シモンズ(as)の新譜です。
久々の熟年ゴリゴリジャズが出ましたが、聴き易いですからご安心下さい。
全8曲中オリジナルが6曲、気合は十分、私もシビレました。
なんか全員生き生きとしていますよ、「さー、一丁やったるぜ!」という感じでしょうか。
ジョン・ヒックス(p)なんかは、まるで水を得た魚ですね、力強いタッチが戻っています。
エディ・ヘンダーソン(tp)は飛んでるし、ヴィクター・ルイス(ds)はいつになく多弁、
カーティス・ランディ(b)の重厚なベースもいいです。
たまにはこういうのもいいなあー、不器用だけれど心に響くものがあります。
パワフルでストレートなジャズが楽しめました。
大音量で頭をからっぽにして聴きたいアルバムです。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/08/30



(515) RUSSELL GUNN SEXTET / BLUE ON THE D.L
russell gunn(tp), J.D.allen(ts), mark whitfield(g),
  orrin evans(p), eric revis(b), montez coleman(ds)
2002/HIGHNOTE/

このアルバムは「2002年のベスト3」の一枚になりました。
ラッセル・ガン(tp)のストレートなジャズが聴けるので貴重盤です。

[レビュー時のコメント]
ラッセル・ガン(tp)の新作は、雰囲気をガラリと変えてきました。
ブルージーでジャズ・ムード満点、実に懐かしいサウンドに満ち溢れています。
こんなアルバムを聴いていると遠い昔を思い出してしまいますよ。
ガンもマーク・ホイットフィールド(g)もいいなあー、実に心地良く胸に響いてきます。
名曲「ケリー・ブルー」を取り上げたのも嬉しいじゃありませんか。
多くを語る必要はないでしょう、是非、ご一聴をお薦め致します。
演奏だってカッコイイよ、俗に言うモダン・ジャズの好盤ですね。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/08/23



(514) DOMENICO CAPEZZUTO TRIO / PICCOLA LUCE
  domenico capezzuto(p), andrea avena(b), luca chiaraluce(ds)
javier girotto(ss)
2001/SPLASC(H) REC/

その後、まったく名前を聞かないのでレア盤になるかも知れませんね。

[レビュー時のコメント]
聞いたことがないプレイヤーの作品を紹介するのは中々勇気がいります。
ドメニコ・カペッズト(p)と読むのでしょうか、ピアノ・トリオのイタリア盤です。
全10曲中8曲がオリジナルでミシェル・ペトルチアーニ(p)に捧げた曲もあります。
メロディ・ラインが美しく、微妙なタッチと共に印象に残るアルバムです。
2曲にホーンが入るので変化もあります、長く愛聴出来るのではないかと思っています。
これからの活躍が期待出来るプレイヤーなのでご紹介することにしました。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/08/16



(513) BILLY COBHAM TRIO / THE ART OF THREE
billy cobham(ds) ron carter(b) kenny barron(p)
2001/BLOW IT HARD/

聴き直したけれど、「いやぁー、素晴らしかった」です。
ライブの場合、メンバー全員が絶好調という場面には中々出会えないものなんです。
演奏良し、録音良し、ジャケット良しの3拍子。
収録時間の73分はちょっと長いがピアノ・トリオ・ライブ盤の名盤の一枚です。

[レビュー時のコメント]
ビリー・コブハム(ds)を中心にして、ロン・カーター(b)とケニー・バロン(p)を迎えて、
ベテラン・トリオによるデンマーク&ノルウェーでのライブ盤です。
豪華メンバーが集まると、時として顔見世興行に終わる場合も多いですが、その心配はありません。
スタンダードを中心に、実に味わい深い安定感のある演奏を聴かせてくれました。
「ザ・アート・オブ・スリー」と銘打っていますが、期待通りの三味一体のプレイは素晴らしいです。
それぞれに真剣味が感じられて、かなりの緊張感が漂っています。
3人のインター・プレイやそれぞれのソロも十分に楽しめます。
やはり一流のプレイヤーの底力は凄いなあー、と再認識させられたアルバムです。
プロデュースはコブハム自身、ジャケットもすっきりとしていて好感を持ちました。
単なる顔合わせかもしれないと半信半疑で買って、大当たりだった一枚です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/08/09



(512) DAVE HOLLAND QUINTET / NOT FOR NOTHIN'
cris potter(ss,as,ts), robin eubanks(tb),
steve nelson(vib), dave holland(b), billy kilson(ds)
2001/ECM/

毎度思うことですがECMサウンドには主張があります。
このぶれない姿勢がレーベルの絶対的な個性になっています。

[レビュー時のコメント]
このデイヴ・ホランド(b)の作品はちょっと不思議な感覚のサウンドが聴けます。
スティーヴ・ネルソンのヴァイブを起用してのピアノレスです。
フロントには成長株のクリス・ポッター(ts)とロビン・ユーバンクス(tb)を配しています。
全9曲は全てオリジナルで、本人は5曲、メンバーが4曲の構成です。
このグループが醸し出す独特の雰囲気には魅力がありますよ、特に1曲目が素晴らしい。
このECMサウンドにハマってしまう方もいるのではないでしょうか。
私自身はロビン・ユーバンクスのプレイが印象に残りました。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/08/02



(511) CHARLIE HADEN / NOCTURNE
charlie haden(b),
gonzalo rubalcaba(p), ignacio berroa(ds), joe lovano(ts)(1,4,7,11)
  david sanchez(ts)(6,10), pat metheny(g)(2), federico britos ruiz(vln)(1,5,8)
2001/GITANES/

聴き直してみるとゆったりのんびりとしていていいです。
いつもは尖がっているジョー・ロバーノやデヴィッド・サンチェスのムード・テナーが聴きもの。
ゴンザロ・ルバルカバ(p)もいいですよ。

[レビュー時のコメント]
チャーリー・ヘイデン(b)の新作です。
ラテン・ジャズでもこういうムードのある雰囲気のアルバム作りはいいですね。
ゴンザロ・ルバルカバ(p)は自己のアルバムよりも他人名義の方がずっと聴き易いです。
この二人に、ジョー・ロバーノやデヴィッド・サンチェスのテナー・サックスが切なく絡みます。
もう一方でヴァイオリンの参加も効果を深めています。
この時間がゆったりと流れて行く感覚はいいなあー、ラテン・ジャズの佳作です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/07/26



(510) JOS VAN BEEST TRIO / EVERYTHING FOR YOU
  jos van beest(p) evert j.woud(b) rolf breemer(ds)
2001/SAWANO SYOKAI/

このアルバムはずっと聴き続けている愛聴盤です。
疲れた時や体調の悪い時に引っ張り出しては聴いています。
それだけ癒されるんですね。

[レビュー時のコメント]
今、巷で話題のヨス・ヴァン・ビースト(p)の新作を購入しました。
2曲のオリジナルと8曲のスタンダードの構成です。
さすがに評判通りの上品で美しい、端正なピアノ・トリオを聴かせてくれました。
私は思わず一音でその世界に引き込まれてしまいましたよ。
その瑞々しいピアノの音色はまったく素晴らしいですね。
ウラジミール・シャフラノフ(p)の時もそうでしたが、世の中は広いです。
知られていない名手がいくらでもいるのでしょうね。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(くつろぎ系)

2009/07/19



(509) YOKO MIWA TRIO+1 / IN THE MIST OF TIME
yoko miwa(p) massimo biolcati(b) scott goulding(ds)
tim mayer(ts)
2001/DAN FLEX/

ボストンを中心に活躍中の三輪洋子(p)さんの2009年ジャパン・ツアーがあります。
7/17〜7/31、神戸、広島、岡山、「モンタレージャズフェスティバル能登」、名古屋、東京。
興味と時間のある方は是非見に行って下さい。

[レビュー時のコメント]
三輪洋子の初リーダー・アルバムだそうです、私は初めて聴きました。
みずみずしい爽やかな音色と美しいタッチを持っています。
93年にバークリー音楽院に留学、メンバーもその時の仲間だそうです。
童謡の「赤とんぼ」以外は彼女のオリジナルで占められており、
トリオ演奏が5曲、カルテットが3曲、ソロが1曲の構成です。
この中では、2曲目の「THE DEEP END」がお気に入りになりました。
テナーのティム・メイヤーが良い味を出しています。
小品ですが、好センスが光るアルバムだと思います。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(くつろぎ系)

2009/07/12



(508) KURT ELLING / FLIRTING WITH TWILIGHT
kurt elling(vo)
clay jenkins(tp) jeff clayton(as) bob sheppard(ts,ss)
  laurence hobgood(p) marc johnson(b) peter erskine(ds)
2001/BLUE NOTE/

ヴォーカルものはあまり聴かない私ですがこのカート・エリングは例外です。
現役では一番好きな男性ヴォーカリストです。
奥行きと深味のある歌声とジャズ・フィーリングを持っています。
甘さ控え目の本格的なジャズ・ヴォーカルが聴けますよ。

[レビュー時のコメント]
カート・エリング(vo)のスタンダード・バラード集です。
カート・エリングは30代のバリバリ、伸び盛りの男性ジャズ・ヴォーカリストです。
この作品はブルー・ノートからの5枚目のリーダー・アルバムになるようです。
私は特定の人以外にはほとんど男性シンガーを聴く機会がありませんが、
これはいいなと思いました。
声質、声の伸び、ムード共に申し分ありません。
ゆったりとしたスイング感と心地良い乗りを楽しむことが出来ました。
マーク・マーフィ(vo)をソフトにした感じをイメージしてもらえれば分かり易いと思います。

注:マーク・マーフィは1960年前後に最も活躍したジャズ・ヴォーカリスト。
興味のある方は是非聴いてみて下さい、代表作は「ラー」です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/07/05



(507) KENNY BARRON & REGINA CARTER / FREEFALL
kenny barron(p) regina carter(vln)
2001/VERVE/

こうして聴き直してみるとしばらくご無沙汰している人も多いです。
レジーナも全然聴いてなかった。
ジャズにおいてはピアノとヴァイオリンのデュオは珍しいので貴重盤と言えます。
レジーナの艶のある音色とバロンの力強く華麗なタッチがマッチした好盤です。

[レビュー時のコメント]
先週に引き続いてというか、今度はケニー・バロン(p)とレジーナ・カーター(vln)のデュオです。
名義は先輩のケニーが先にきていますが、ズバリ、レジーナを聴くアルバムだと思いました。
ジャズ・ヴァイオリンは日本が寺井尚子ならアメリカはレジーナ・カーターですね。
全10曲中ケニーが3曲、レジーナが1曲、表題曲は二人の合作になっています。
2曲目の「FRAGILE」はスティングの曲ですが、まさに感動ものの演奏を聴かせてくれました。
ヴァイオリン・ジャズとしては、曲風も刺激的で新鮮な感じがしますよ。
ヴァイオリン・ファンなら必聴のアルバムだと思います、是非ご一聴下さい。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/06/28



(506) ANTONIO HART / AMA TU SONRISA
antonio hart(as,ss,fl)
yosvany terry(ts) steve nelson(vib)
  kevin hays(p) richie goods(b) camille gainer(ds) etc
2001/ENJA/

アントニオ・ハートも久し振りです。
ラテンのコンテンポラリー・サウンドに挑戦した異色作です。
ケヴィン・ヘイズ(p)、スティーブ・ネルソン(vib)、ヨスヴァニー・テリー(ts)などが参加しています。
表題曲の「Ama Tu Sonrisa」はもちろん、スタンダードの「Somewhere」など聴きどころ多いです。

[レビュー時のコメント]
アントニオ・ハート(as)が4年振りに出した、エンヤ移籍の第一弾です。
全10曲、オリジナルが8曲、スタンダードが2曲の構成です。
ワールド・ミュージック&ジャズに挑戦した意欲作です。
そのパワフルで刺激的な音色は健在なので、十分に聴き応えがあります。
ピアノのケヴィン・ヘイズも絶好調とみました。
ウエイン・ショーターや意外ですがグローバー・ワシントン・ジュニアに捧げた曲もあります。
現在の彼の音楽性を披露していて、飽きずに聴き通すことが出来ました。
コンテンポラリーな作品にも、時々こういう好盤が隠されているので侮れないのです。
特に表題曲の「アマ・トゥ・ソンリサ」はエキゾチックなテーマを持つ印象的な演奏で、
私は何度も繰り返し聴いてしまいましたよ。
ジャケットの雰囲気はどうもイマイチですが、中味はずっと濃いです。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/06/21



(505) PETER BEETS / NEW YORK TRIO
  peter beets(p) rodney whitaker(b) willie jones V(ds)
2001/CRISS CROSS/

ピーター・ビーツ(p)もしばらくご無沙汰していました。
マリアス・ビーツ(b)とのビーツ・ブラザーズはどうしているでしょうか。

[レビュー時のコメント]
ピーター・ビーツ(p)はオランダ出身の新進ジャズ・ピアニストです。
全9曲中オリジナルが6曲、スタンダードが3曲の構成です。
ロドニー・ウィテカー(b)の強靭なベース・ワークに支えられて1曲目から快調に飛ばします。
ニューヨーク・トリオと銘打っていますが、たしかに伝統的なヨーロッパスタイルとは違いますね。
どことなく懐かしさを感じる、理屈抜きで楽しめるピアノ・トリオの作品です。
デビュー作の出来があまりに良いので、2作目以降が心配になってしまいました。
これからも注目していきたい人材ですね。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/06/14



(504) BENNIE WALLACE QUARTET / MOODSVILLE
bennie wallace(ts),
  mulgrew miller(p), peter washington(b), lewis nash(ds)
2001/GROOVE NOTE/

ベニー・ウォレスには個性があります。
一発で彼と分かるところが凄いと思う。
独特の奏法はワン・アンド・オンリーの世界です。

[レビュー時のコメント]
ベニー・ウォレス(ts)の新作はスタンダード作品集です。
個性派であるが故に、ある種のしつこさを感じるので、ちょっとキツイ方もいらっしゃるでしょうね。
ところが、このアルバムでは角が取れて、まろやかな演奏になっています。
バックのメンバーにも恵まれて、快調に飛ばしています。
特にマルグリュー・ミラー(p)の好調さが目立つので、より素晴らしい作品になりました。
ベニー・ウォレスの代表作になり得る一枚です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)

2009/06/07



(503) HARRY ALLEN / COLE PORTER SONGBOOK
harry allen(ts) benny green(p)
russell malone(g) peter washington(b)
2001/BMG/

1曲1曲は短くても珠玉の名曲、名演奏集です。
十分に楽しめると思います。

[レビュー時のコメント]
ハリー・アレン(ts)の新作はコール・ポーター作品集です。
全17曲はかなり多いですね、13曲がベニー・グリーン(p)とのデュオ、
残り4曲がラッセル・マローン(g)とピーター・ワシントン(b)入りのカルテットです。
最初に見た時、私は彼がデュオの相手にベニーを選んだことが意外に思いました。
本質的に二人の持ち味が違うのではないかと思ったからです。
その反面、だからこそ緊張感が出て面白いかも知れないとも思いました。
ご存知の通り、ベニーはオスカー・ピーターソン系でハリーはスタン・ゲッツの影響が強いです。
普通ホーンとピアノのデュオでは、どうしてもピアノがホーンの引き立て役に回ることが多いですね。
でも、ここではお互いに相手に合わせるというわけではなく、対等な立場で共演しています。
五分五分の姿勢を貫くというのも興味深く聞くことが出来ました。
4曲のカルテット演奏を入れたのは、メリハリがついて良かったと思います。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)


2009/05/31



(502) LARRY SCHNEIDER QUARTET / JAZZ
larry schneider(ts)
andy laverne(p) steve laspina(b) matt wilson(ds)
2001/STEEPLECHASE/

全6曲は9〜13分までの長丁場でたっぷりとテナーのワン・ホーンを楽しむことができます。
アンディ・ラバーン(p)とスティーヴ・ラスピナ(b)はスティープル・チェイスではお馴染みです。
マット・ウィルソン(ds)が新味ですがピッタリの人選だったと思います。

[レビュー時のコメント]
ラリー・シュナイダー(ts)は本当に久し振りに聴きました。
ビル・エバンス(p)とトゥーツ・シールマンス(harm)の名盤、「アフィニティ」以来になります。
甘さ控え目の個性的なプレイを聴かせてくれました。
最初はテナー・サックスとしてはちょっと異質な感じ(ムードに欠けるという意味)を受けたのですが、
聴き込んでいくにつれてその味わい深さがわかってきました。
題名もズバリ「jazz」と銘打っているのも自信の表れでしょうか。
スタンダードが3曲、メンバーのオリジナルが3曲の構成もいいです。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)


2009/05/24



(501) BEN BESIAKOV QUINTET / AVIATION
 jens winther(tp), george garzone(ts),
ben besiakov(p), ray drummond(b), billy hart(ds)
2001/STUNT/

デンマークのスタント・レーベルは相性の良いレーベルです。
トランペット&テナー・サックスがフロントの王道ジャズ・クインテットは心地良いです。

[レビュー時のコメント]
ベン・ベシアコフと読むのでしょうか、私は初めて聴きました。デンマークのスタント・レーベルです。
このアルバムを購入したきっかけはジョージ・ガーゾーン(ts)の存在でした。
注目しているテナー奏者なんですが、彼のプレイが聴きたくて、早速飛び付いてしまいましたよ。
ガーゾーンは「夜は千の眼を持つ」でフューチャーされ、このスタンダードが新鮮でした。
ピアノのベンはオーソドックスなヨーロッパ・スタイルを持っています。
レイ・ドラモンド(b)とビリー・ハート(ds)との組み合わせも良いですね。
ストレートで軽快な演奏からじっくりと聴かせるバラードまで、中々に凝った構成です。
バランスの良い仕上がりで、飽きずに聴き通せた一枚です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)

2009/05/17