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Dragon's Jazz Corner

Thomas Enhco (p)


*THOMAS ENHCO TRIO / JACK & JOHN
thomas enhco(p), john paitucci(b), jack dejohnette(ds)
2013/Eighty Eight/

トーマス・エンコ(p)は初見、1988年生まれ、フランス出身の現在25歳です。
トーマスは天才肌のようで2009年に21歳で初リーダー・アルバム、
2010年にはフランスの「ジャンゴ賞」で最優秀新人賞を獲得しています。

今作は3枚目のリーダー・アルバムです。
全8曲はオリジナル2曲とその他6曲の構成はバランスとしてはちょうどいい感じがします。
尊敬するジャック・デジョネット(ds)にジョン・パティトゥッチ(b)との共演で張り切ったのは想像にかたくありません。
このトリオはいいですよ・・・お互いの仕掛けに相手がどう反応してくるかを楽しんでいる。
いわばベテランと若手のせめぎ合いでその緊張感が最大の魅力です。

ドラムとベースのイントロから始まる自作の(1)「Gaston」を聴けばトーマスの才能を疑わないと思います。
瑞々しく美しいタッチと若手とは思えない意表を突くフレーズ、切れ味の良いピアノ音が飛び出てきました。
(3)「Time For Love」におけるバラード表現が素晴らしく、まだ20代半ばの年齢を考えると驚きです。
デジョネットの作品(4)「Ebony」は複雑なリズム変化の曲で一番ジャズ度が高いですが3人の絡みが面白かった。
(5)「Jack & John」ではデジョネットの繊細なドラムスが聴きどころになります。
やや暗めの(7)「All Or Nothing At All」の解釈と表現力も秀逸。
そのゆったりとしたスイング感はいかにも聴き味の良いピアノ・トリオという感じがします。
モンクの(6)「Pannonica」やショパンの曲(8)「Etude」もあって飽きさせません。

トーマスの根っこにはキース・ジャレットがいますがこれからどのように成長していくのか、楽しみな逸材です。
「フランスの貴公子」と聞いて思い出すのは「北欧の貴公子」ヤン・ラングレンですね。
デビュー時の雰囲気は似ているかもしれません。

ちなみにこの夏にトーマスのライブがありましたが見逃してしまいました。
「イケメン・ピアニスト」と聞いて「人気先行じゃないの」と過小評価したのを反省しています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)