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Dragon's Jazz Corner

Ted Nash (ts)


* TED NASH TRIO / SOMEWHERE ELSE
ted nash(ts,cl), steve cardenas(g), ben allison(b)
2019/Plastic Sax Records/

1 Jet Song
2 A Boy Like That
3 Maria
4 One Hand, One Heartk
5 Tonight
6 America
7 I Have A Love
8 Something's Coming
9 Cool
10 Somewhere
11 Somewhere (Reprise)


西海岸出身のテナー・サックス奏者テッド・ナッシュのリーダー作を買ったのは2枚目になります。
テッド・ナッシュは1960年生まれの59歳、ロサンゼルス出身です。
あまり目立ってはいませんが輝かしいキャリアの持ち主です。
元々が色んなビック・バンドで活躍したプレイヤーでその音楽性は多彩で一筋縄ではいきません。
ヘンリー・マンシーニ、レス・ブラウン、クインシー・ジョーンズ、ルイ・ベルソン、ドン・エリス、ジェリー・マリガン、
メル・ルイス、ウィントン・マルサリス、リンカーン・センター・ジャズ・オーケストラ等々、
まぁ、びっくりするほどの著名なビック・バンドに名を連ねていました。

今作が目に留まったのはもちろん「ウエストサイド・ストーリー作品集」だったことです。
若い頃に見た「ウエストサイド物語」にはすごい思い入れがあって多分回数も今までで一番見ている。
「世の中にこんなカッコいいダンスがあるのか」と心底感動したのを今でもよく覚えています。
ジョージ・チャキリスとリタ・モレノの挿入歌「アメリカ」でのダンスは今でも一番いいと思っている。
ナタリー・ウッドは可愛かったし、ちょっとぼんやりした感じのリチャード・ベイマーも良かったなぁ〜。

今作はまたサックス、ギター、ベースの珍しいトリオとお洒落なジャケットにも惹かれました。
狙いは「ジミー・ジェフリー・スリー」ということでなるほどと思いました。
「ジミー・ジェフリー・スリー」はジェフリー(cl,ts.bs)とジム・ホール(g)、ラルフ・ペナ(b)の組み合わせ。
ナッシュは注目のギタリストのスティーヴ・カーデナスを迎えてベン・アリソン(b)とのトリオです。

「ウエストサイド物語」はレナード・バーンスタインの作曲で曲の良さは折り紙付きです。
曲は全てを凌駕する・・・曲が良ければ演奏も必然的に良くなります。
ちなみに「ウエストサイド物語」は色んなジャズメンがジャズ作品を出しています。
有名なのはオスカー・ピーターソン盤とスタン・ケントン盤になるかな。
偶然ながら両者共に映画から一画面を切り取ったジャケットになっています。

今作はどちらかと言えばマイナーな「ジェット団の歌」を最初に持ってくるとはナッシュのこだわりを感じます。
(3)「マリア」では達者なクラリネットを聴かせてくれました。
(5)「Tonight」は軽快なスピード感に溢れ、意表を突かれるアレンジにも注目です。
表題曲の(10)(11)「Somewhere」といい全体的に完成度の高い大人の演奏を味わうことが出来ます。
夜中にひっそりとBGMで流したら最高のひと時になると思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*TED NASH QUARTET / THE MANCINI PROJECT
ted nash(ts,as,ss,afl,piccolo)
frank kimbrough(p), rufus reid(b), matt wilson(ds)
2008/Palmetto/

先週お話したようにテッド・ナッシュ(sax)を聴いてみましたが予想通りに面白かったです。
テッド・ナッシュはルイ・ベルソン(ds)やウィントン・マルサリス(tp)のビック・バンドにいたようです。
そういうことであまり聴く機会がなかったですが隠れた才人というところでしょうか
今作はヘンリー・マンシーニ作品集ですが渋い選曲になっています。
ヘンリーマンシーニといえばロマンチックな映画音楽ですね。
しかし有名スタンダードの「ムーン・リバー」とか「酒とバラの日々」とかはやっていないのがミソ。
「シャレード」や「ひまわり」もありません。
原曲の持つイメージとはまったく違う展開に驚かされました。
自己のスタイルを貫き通してのジャズをやっていて新鮮さを感じるアルバムです。

メンバー的にも興味がありました。
フランク・キンブローも一筋縄ではいかないピアニストでこれまた個性の強いピアニストです。
根っこはビル・エバンス(p)ですがポール・ブレイ(p)いったところも見えます。
さらにここでは比較的地味なベーシストかなと思っていたルーファス・リードの存在感が光ります。
まろやかでよく伸びるベース音が心地よいです。
そういえば最近、ルーファスの再評価につながる場面によく出くわしていますよ。
ドラムスのマット・ウィルソンを含めて渋い選択だと思いました。

ベスト・プレイは(2)「DREAMSVILLE」で、これまたまったく意表を突かれた展開になっています。
ムードもロマンチックもありません。
ピアノレス・トリオで演奏される前半と後半のピアノ・トリオのコントラストが光る1曲です。
(6)「ティファニーで朝食を」におけるルーファスのプレイも聴きどころ。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)