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Dragon's Jazz Corner

Sam Rivers (ts)


*SAM RIVERS TRIO & QUARTET / PURPLE VIOLETS
sam rivers(ts,ss,fl)
ben street(b), kresten osgood(ds)  
bryan carrot(vib)(1,4,7,9)
2005/STUNT RECORDS/

1 Solace
2 The Mooche
3 Captain America
4 Abalone
5 In Search Of Black Benny
6 Turbulence
7 Where To Go ?
8 Moderation
9 Spnle

CDショップの紹介欄でサム・リバース(sax)の名前を見つけた時は小躍りしました。
私は「売れないでいて欲しい」と願いました。内容はともかく、まずは聴いてみたいと思ったからです。
届いたCDをトレイに乗せて、音が出てきた途端、”ホーッ、頑張ってるじゃん”と思いました。
パワフルな音色といい、その個性的な表現力は未だに色あせずに健在です。
改めてその存在感は強烈だという印象を与えてくれました。
齢80を過ぎていることを考えれば驚異的とさえ言えるでしょうね。
4曲がヴィブラフォン入りのカルテットで比較的聴きやすいですが、トリオ編成により彼の個性が出ています。
最初はとっつきにくいかもしれませんが聴いているうちに徐々にハマッていくのがサム・リバースの世界です。
リバースはブルー・ノートに4枚のリーダー・アルバムを残していますがこの時すでに40歳を越えていました。
当時のジャズ・マンとしては珍しく遅咲きのプレイヤーですね。
代表作は初リーダー・アルバムの「FUCHSIA SWING SONG」か、2枚目の「CONTOURS」でしょうか。
その他にもBNにはトニー・ウイリアムス(ds)の「LIFE TIME」やラリー・ヤング(org)の「INTO SOMETHIN'」があります。
短期間でしたがマイルス・デイビス・グループの一員でもありました。
年代的にはジョージ・コールマン(ts)とウェイン・ショーター(ts)の中間に位置しています。
この時の貴重な演奏は64年の「MILES IN TOKYO」に収録されているので是非聴いて欲しいですね。
すぐに退団してしまったのは技量不足というより、考え方、行き方の違いにあったと私は考えています。
リバースはよりフリーなスタイルを模索していたのでしょう。
それ以来、彼はフリー・ジャズ、アバンギャルドに傾倒していくことになります。
全盛期は60年代から70年代で、80年代はほとんど表舞台には現れず隠遁生活を送っていました。
90年代に入ってから時々名前が聞かれるようになってきましたが私が聴いたのは2枚だけです。
まずは久し振りに元気な姿を見られたということで一票入れておくことにします。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)




*SAM RIVERS TRIO / CONCEPT
sam rivers(ts, ss,fl,p), doug mathews(b,bcl), anthony cole(ds, ts)
1996/RIV BEA/

サム・リバースは演っていました。
もちろん、フリー・ジャズです。




* SAM RIVERS, ARTHUR BLYTHE, NATHAN DAVIS, CHICO FREEMAN / ROOTS
SALUTES THE SAXOPHONE

sam rivers(ts), nathan davis(ts,ss), arthur blythe(as), chico freeman(ts,ss),
don pullen(p), santi debriano(b), tommy campbell(ds)
1992/In Out/

1 Cottontail-For Ben Webster
2 Parker's Mood-For Charlie Parker
3 Impressions-For John Coltrane
4 You Don't Know What Love Is-For Eric Dolphy
5 The Panther-For Dexter Gordon
6 Body And Soul-For Coleman Hawkins
7 St,Thomas-For Sonny Rollins
8 Red Top-For Gene Ammons
9 Lester Leaps In -For Lester Young


今作の魅力はメンバーの豪華さにあります。
サックスは年齢順にサム・リヴァース(ts)、ネイザン・ディヴィス(ss)、アーサー・ブライス(as)、チコ・フリーマン(ts)です。
バックはドン・プーレン(p)、サンティ・デブリアーノ(b)、トミー・キャンベル(ds)のトリオです。
サム・リヴァースは88歳、ネイザン・ディヴィスは81歳、アーサー・ブライスは76歳ですでに亡くなっています。
チコ・フリーマン(ts)は最も若く70歳で健在です。
この4人のサックス奏者は伝統に根ざしながらもフリージャズ〜ロフト・ジャズ傾向の強いミュージシャン達です。
リヴァースはマイルス・ディヴィスからフリー・ジャズの雄、ディヴィスはエリック・ドルフィ(as)との共演歴が長い、
ブライスは70年代にロフト・ジャズ・シーンで活躍、チコはシカゴ・ジャズの大御所ヴォン・フリーマンの息子です。
当然ながらこの4人のサックス奏者の中心にいるのはサム・リヴァースに他なりません。
共演のドン・プーレンも鍵盤を転がす独特のスタイルとタッチを持つユニークなピアニストで好きした。
残念ながら1995年に53歳の若さで亡くなっています。

全9曲、今作はまた1曲1曲の稀代のサックス奏者の名演に敬意を表しています。
(1)はベン・ウェブスター(ts)、(2)はチャーリー・パーカー(as)、(3)はジョン・コルトレーン(ts)、
(4)はエリック・ドルフィ(as)、(5)はデクスター・ゴードン(ts)、(6)はコールマン・ホーキンス(ts)、
(7)はソニー・ロリンズ(ts)、(8)ジーン・アモンズ(as)、(9)レスター・ヤング(ts)に捧げる形になっています。
この人選も絶妙で、なるほどこの人達が後のサックス奏者に与えた影響が一番大きいのかと思いました。

このメンバーなら悪かろうはずもなくどれも素晴らしい演奏が詰まっていました。
中でも私的ベストは(4)「You Don't Know What Love Is」になります。
ここでのネイザン・ディヴィスのソプラノ・サックスのバラード・プレイに痺れてしまいました。
彼に関してはエリック・ドルフィとの共演盤を聴いたことがあるだけでほとんど知らなかった。
こんなに凄いプレイヤーだったのかと認識を新たにしました。
(2)「Parker's Mood」のアーサー・ブライスやドン・プーレンのソロもまた心に残る名演です。
(3)「Impressions」ではチコ・フリーマンの強烈なソプラノ・サックス・ソロが聴けました。
(5)「The Panther」のサム・リヴァースの朗々と歌うテナー・サックスのソロなど聴きどころが満載です。
1991年ドイツ/レバークーゼン”フォーラム”での実況録音ですが司会はチコが務めていました。
1990年代の貴重盤の一枚に上げておきます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




* SAM RIVERS SEXTET / DEMENSIONS AND EXTENSIONS
sam rivers(ts,ss,fl), james spaulding(as,fl), donald byrd(tp),
julian priester(tb), cecil mcbee(b), steve ellington(ds)
1967Rec/Blue Note/

1 Precis
2 Paean
3 Effusive Melange
4 Afflatus
5 Helix


久々にサム・リバースを聴きました。
ブルーノートには未発表の音源が数多くありました。
でも品番、曲目、タイトル、ジャケットまで決まっていて流れたのはそう多くはありません。
今作はそんな中の一枚です。
理由はまったく分かりません。
70年代に入ってようやく陽の目を見ました。

ピアノレス・セクステットで全曲リバースのオリジナルです。
ここにドナルド・バード(tp)がいるのが意外というか貴重に思います。
リバースは前衛・ロフト・ジャズの雄でこの後は完全フリー・ジャズに走ることになりました。

リバースはトニー・ウィリアムスの紹介でマイルス・デイビス・クインテットに参加しました。
でもすぐに退団してしまったのはマイルスとは音楽の方向性が違ったからだと思います。
そういう意味でも「マイスル・イン・トーキョー」(1964/CBS)は貴重な一枚になりました。

リバースはブルーノートに4枚のリーダー・アルバムを残しています。
そのどれもが創造力に溢れ、刺激的で素晴らしいと思います。
個性的な3人のピアニストと共演してくれているのも嬉しいです。
リバースのマルチ・プレイヤー(ts,ss,fl)振りも聴きどころになります。

* Sam Rivers Quartet / Fuchsia Swing Song (1964Rec/Blue Note)
リバースの初リーダー・アルバムで代表作と目されている作品。
ピアニストは鬼才ジャッキー・バイアード。

* Sam Rivers Quintet / Contours (1965Rec/Blue Note)
フロントにフレディ・ハバード(tp)を迎えピアニストはハービー・ハンコック。
ここでのハンコックが凄い・・・身震いするほどの素晴らしさ。

* Sam Rivers Quartet / A New Conception (1966Rec/Blue Note)
リバースのスタンダード作品集。
ピアニストに新進気鋭のハル・ギャルパー。

その他にもトニー・ウィリアムス(ds)の「ライフ・タイム」(1964)と「スプリング」(1965)、
ラリー・ヤング(org)の「イントゥ・サムシン」(1964)、
ボビー・ハッチャーソン(vib)の「ダイアローグ」(1965)にも参加しています。
そのどれもが影の支配者といわれるほどの存在感を発揮しています。

リバースは2011年12月に88歳で亡くなっています。
早世が多いジャズ・メンの中では大往生と言えますね。

(まじめ系)




* SAM RIVERS QUINTET / CONTOURS
sam rivers(ts,ss,fl), freddie hubbard(tp),
herbie hancock(p), ron carter(b), joe chambers(ds)
1965Rec/Blue Note/

1 Point Of Many Returns.
2 Dance Of The Tripedal
3 Euterpe
4 Mellifluous Cacophony
5 Mellifluous Cacophony*


サム・リバース(ts)はブルー・ノートに4枚のリーダー・アルバムを残しています。
そのうちの1枚はピアノレスですが残り3枚では個性的な3人のピアニストと共演してくれています。
そのどれもが創造力に溢れ、刺激的で素晴らしかった。
1枚目はジャッキー・バイアードで3枚目はハル・ギャルパーでした。

さて、今作はリバースのブルー・ノートの2枚目のアルバムでピアニストはハービー・ハンコックです。
さらに当時の新進気鋭のトランぺッターだったフレディ・ハバードを迎い入れています。
どれだけブルー・ノートに気合が入っていたかが分かる一枚です。
ここでの最大の聴きどころはやはりハンコックで身震いするほど素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
凄いと思う・・・まるで抜身のような切れ味で近寄ったらそのまま切られそうな気がします。
ハバードも負けてはいない・・・高々と飛翔するかのようなトランペットが鋭く空気を切り裂きます。
ここはドラマーにも注目しました。
常識的にはトニー・ウィリアムスなんだけどそれではあんまり代わり映えしませんね。
それでプロデューサーのアルフレッド・ライオンはジョー・チェンバースを起用しました。
チェンバースのタイトなドラミングがどこかに飛んで行きそうになるメンバーを必死に引き留めています。

全4曲は全てリバースのオリジナルで(5)は別テイクが追加収録されました。
コンポーザーとしてのリバースの才能が溢れる作品になっています。
リバースのマルチ・プレイヤー(ts,ss,fl)振りも注目して下さい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)