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Dragon's Jazz Corner

Misha Piatigrosky (p)


*MISHA PIATIGORSKY TRIO / 17 ROOMS
misha piatigorsky(p), boris kozlov(b), ari hoenig(ds)
2009/MISHAMUSIC/

ミシャ・ピエティグルスキー(p)は「ドラ流目立たないけどいいアルバム」の(386)で紹介しました。
それは1997年の録音だったのでもう12年前になります。
その時は元気溌剌だったけど、現在はどんな感じになっているのか、興味深く聴いてみました。
2009年1月録音、今作も自身のレーベルなので自主制作盤です。
やっぱり12年間は長いので技術的にはもちろんのこと精神面での落ち着きが顕著です。
全10曲はじっくりと考えて取り組んだ意欲的な作品だと思います。
ボリス・コズロフ(b)とアリ・ホーニグ(ds)のメンバーも魅力です。
マーチ、バロック、フラメンコ、バラード、ワルツ、ブルース、トルコ風あり。
音楽性もリズムも実に多彩、色々な表情を見せてくれたので楽しめました。
展開が面白かったのはフラメンコ調の(3)「BLACKFIRE」で一番の長丁場の8分です。
私的には美しいメロディ・ラインを持つ曲が良かったです。
そういう意味で(4)、(5)からウェイン・ショーターの(6)への流れが気に入りました。
一枚を飽きずに聴き通せるけど反面色々やり過ぎてややまとまりを欠いた感もあります。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)




*MISHA PIATIGROSKY TRIO / HAPPENIN'
misha piatigorsky(p), peter klinke(b), eric harland(ds)
2009(1997Rec)/MISHAMISIC/

ミシャ・ピエティゴルスキー(p)と読むのか、初見です。
1997年録音のミシャ自身のレーベルなので自主制作盤に近いと思われます。
購入のキッカケはエリック・ハーランド(ds)の参加にありました。
ハーランドは近年、最も注目しているドラマーでこれからもドラ盤参加は増え続くだろうと思っています。
1968年テキサス生まれで神様はエルヴィン・ジョーンズ(ds)、今作は19歳の時に録音されたものです。
ハーランドは1997年にグレグ・オズビー(as)のBNのアルバムが初レーコーディングになっています。
しかし今作は1月収録ということで、これが事実上のデビュー作になるのではと思います。
12年前の若さ溢れる元気いっぱいの溌剌としたプレイが聴けますよ。

ここではもちろん、ミシャの瑞々しいピアノも聴きものです。
1曲目からグイと引き込まれます、緩急と強弱の危ういバランスがたまりません。
同じフレーズを続けてもへ〜チャラ、若者は若者らしくドンドン暴れてもらいたいです。
奇をてらうどころか、そのまんま若さに任せて突っ走っているのが実に魅力的です。
「どうだい、これが俺たちのスタンダードだ、あんたに分かる?」っていう感じ。
こんな(3)「YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC」も初めて聴きました。
ムードもへったくれもありません・・・が・・・輝いている。
ピアノ・ソロで演奏される(8)「ALL THE THINGS YOU ARE」は新鮮、ミシャの非凡さが伺えます。
自主制作盤なればこその自由自在、若い時はやりたいようにやればいいです。
どうせ年を取れば大人しくなるんですから・・・中には大人しくならない人もいますが・・・常に例外はある。

私は今までこれほど元気になるピアノ・トリオを聴いたことがありません。
いつも聴いているスタンダードのどれとも違う解釈とプレイ・・・よく分からないけど面白くていい。
てなわけで元気になりたい人にはお薦めのピアノ・トリオ・アルバムです。
売り切れたら中々手に入らない貴重盤になると思います。
エリック・ハーランドに注目している人にも見逃せない一枚です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)