[トップページ]



Dragon's Jazz Corner

Miles Davis (tp)


*MILES DAVIS TRIBUTE BAND / A TRIBUTE TO MILES
wallace roney(tp), wayne shorter(ts),
herbie hancock(p), ron carter(b), tony Williams(ds)
1994/Qwest/Reprise/

マイルスに贈るトリビュート。

「So What」、「All Of You」



* MILES DAVIS / BITCHES BREW
miles davis(tp),
wayne shoter(ss), lenny white(ds), bennie maupin(bcl),
chick corea(elp), jim riley(per), jack dejohnette(ds),
hrvey brooks(elb), charles alias(ds), dave holland(b),
john mclaughlin(elg), joe zawinul(elp), larry young(elp)
1969/CBS/

Record 1
Side A
1 Pharaoh's Dance
Side B
1 Bitches Brew
Record 2
Side A
1 Spanish Key
2 John McLaughlin
Side B
1 Miles Runs The Voodoo Down
2 Sanctuary


しばらくの間、ほとんど語られることがないクロスオーバー&フュージョンの流れを追ってみたいと思います。
二つの流れがあって一つはプロデューサーやアレンジャーにスタジオ・ミュージシャンが加わったイージー・リスニング系です。
もう一つはジャズ王道で主流派を突き進んでいたマイルス・デイヴィス(tp)の流れでもちろんこちらの方が重要でした。
マイルスはジャズのスタイルを大事にした人でスタイルを追い求めることに全力を尽くしていた。
マイルスの凄さは時代を先取りする姿勢・・・現状に満足せず常に新しいものを求め続けるところにあった。
ジョン・コルトレーン(ts)が神憑り的なフリー・スタイルに突入してから数年、ジャズの行き場がなくなっていたのは事実です。
この後ジャズは一体どこに行くのか?・・・ジャズ・ファンの多くがそう思っていた。
そんな時にマイルスが発表したのはエレクトリックな「イン・ア・サイレント・ウエイ」で次の方向性を示したものでした。


* MILES DAVIS / IN A SILENT WAY (1969/CBS)
miles davis(tp), wayne shoter(ss), john mclaughlin(elg),
herbie hancock(elp), chick corea(elp), joe zawinul(org),
dave holland(b), tony williams(ds)

それから半年が経って発売されたのが編成を大きくした今作の「ビッチェズ・ブリュー」だったというわけです。
2枚組の「ビッチェズ・ブリュー」はジャズ・ファンだけでなくロック・ファンも驚かせる衝撃的な作品になりました。
私が好きだったのは2枚目A/1「Spanish Key」だったけど、ここでの呪術的なアフリカン・リズムが素晴らしかった。
今回久し振りに聴いたけど流石にマイルスはひと味もふた味も違っている。
未だに色褪せないのは目的意識と自己主張が感じられるからだと思います。
ただ、1曲が20分前後と長く表題曲の「Bitches Brew」は27分もあるので今の忙しい時代には合いません。
ここからマイルスは「エレクトリック・マイルス」と呼ばれるスタイルに入っていきます。
大編成になったが故に多くのミュージシャンがマイルスと共演可能になり各人が影響を受けたのは間違いないです。

(中間系)




*MILES DAVIS QUINTET / MILES IN TOKYO
miles davis(tp), sam rivers(ts),
herbie hancock(p), ron carter(b), tony Williams(ds)
1964/CBS/

1 Introduction
2 If I Were A Bell
3 My Funny Valentine
4 So What
5 Walkin'
6 All Of You

1964年、7月14日、新宿厚生年金会館でのライブ盤。
待望の初来日。
私は今作をマイルスの数ある作品の中でも上位にランクしています。
それは取りも直さずサム・リバース(ts)の参加にあるからです。
リバースがトニー・ウィリアムス(ds)の紹介でマイルス・クインテットに参加したのわずか数か月間か。
マイルスとは音楽の方向性が違うのですぐに退団してしまいます。
リバースはこの後フリー・ジャズへと向かう。
ジョージ・コールマン(ts)からウェイン・ショーター(ts)へのほんの短いつなぎ役でした。
リバースが参加した、たった一枚のマイルスの正規盤だけに本当に貴重です。
本作は元々はラジオ放送用に録音されたもののようで、これがレコード化されたのは5年後の1969年でした。

確かにリバースには異質、違和感があってマイルスが目指すグループの一体感とは違っています。
この時のリバースの心中はいかに?
でもリバースのお蔭でそれぞれがフリー・フォームに展開しています。
特にハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスのリズム・セクションが素晴らしいです。
これはもうモダン・ジャズ史上最高のリズムセクションと言えます。
(4)「So What」のバッキングを聴いているだけで背筋がゾクゾクとして寒気が襲ってくるほどです。
とんでもない演奏だと思います・・・もう「最高!!」のひと言です。
全体を通してアグレッシブなハンコック、カーター、ウィリアムスが凄い。

(まじめ系)




*MILES DAVIS QUINTET / MY FUNNY VALENTINE

miles davis(tp), george coleman(ts),
herbie hancock(p), ron carter(b), tony Williams(ds)
1964/CBS/

何も言うことはありません。
最高です。

「My Funny Valentine」、「All Of You」、「Stella By Starlight」、
「All Blues」、「I Thought About You」




*MILES DAVIS & GIL EVANS / PORGY AND BESS
miles davis(tp),
gil evans orchestra
1958/CBS/

マイルスとギル・エヴァンスの超名盤の一枚です。
この緊張感も凄かった。



* MILES DAVIS QUINTET / 'ROUND ABOUT MIDNIGHT
miles davis(tp), john coltrane(ts),
red garland(p), paul chambers(b), philly joe jones(ds)
1956/CBS/

Side A
1 'Round About Midnight
2 Ah-Leu-Cha
3 All Of You
Side B
1 Bye Bye Blackbird
2 Tado's Delight
3 Dear Old Stockholm



■ジャズ聴き
コロナ・ウィルスによる外出自粛の間に先祖帰りしていた。
40年代の古いビック・バンド・ジャズを聴いていた。
「Glenn Miller」、「Cab Calloway」、「Lionel Hampton」、
「Ray Anthony」、「Count Basie」、「Ray Noble」、
「Woody Harman」、「Stan Kenton」、「Frankie Carle」、
「Artie Shaw」、「Hal Mclntyre」、「Jackie Gleason」など。
今ではほとんど聴かない懐かしい曲にも出会えた。
何十年振りに聴いた「Time On My Hands」は最高。
「Once In A While」、「There's A Small Hotel」、
「I Got It Bad And That Ain't Good」も良かった。
たまにはこういうのもいいなと思った。



今作はマイルス・デイヴィス(tp)のCBSへの移籍第一弾です。
私が買ったマイルスの一枚目でもあります。
レコードを聴いて衝撃を受けるというのはめったにないけれど今作がそうでした。
胸が締め付けられような強烈な演奏にショックを受けました。
ここでのモンク(p)の傑作「ラウンド・ミッドナイト」は真にマイルスの凄みを感じさせる一曲だと思う。
全編を通す緊張感はあまりに耽美的で深く沈んでいきそうなスタイルは今までのジャズにはなかった。
ジョン・コルトレーン(ts)のソロも十分に感動的で今後の成長を約束させるものでした。

先週紹介した「Art Pepper Meets The Rhythm Section」のメンバーがそのまま参加しています。
今作もまた色んな逸話を残しています。
マイルスはCBSに移籍する前にプレスティッジ・レーベルに4枚分の契約が残っていた。
そこで全25曲の吹き込みをたった二日間で終えた・・・これが有名なマラソン・レコーディングです。
ところがプレスティッジもただでは起きない・・・4枚分のLPを1年に1枚づつ小出しに発売した。
これが「ワーキン」、「リラクシン」、「スティーミン」、「クッキン」の4枚。
普通は旧録音など見向きもされないけど大人気のマイルスだからこそこの商法は大成功を収めた。
事実多くのジャズ・ファンはこの発売を今か今かと待っていた・・・発売日にはジャズ喫茶に直行です。
そこでCBSはどうしたかというとプレスティッジと同じメンバーは使わないという対抗策に出ました。
つまり今作が同メンバーによる最初で最後の作品になったわけです。
この後にはキャノンボール・アダレイ(as)が加わり、ピアノはビル・エヴァンス〜ウィントン・ケリーへ、
ドラムはジミー・コブに交代、最後までも残ったのがベースのポール・チェンバースでした。

(まじめ系)