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Dragon's Jazz Corner

Mayuko Katakura 片倉真由子 (p)


*MAYUKO KATAKURA TRIO / INSPIRATION
片倉真由子(p)、中村恭士(b)、carl allen(ds)
2009/M&I Records/

片倉真由子(p)さんの初リーダー・アルバムです。
片倉さんは洗足学園〜バークリー〜ジュリアードで学んだ才媛です。
2006年にはアメリカの「メリー・ルー・ウイリアムス・コンペ」で優勝したとありました。
現在日本各地のライブ・シーンで最も注目されているピアニストだと思います。

初リーダー・アルバムというのはそのプレイヤーの音楽性が現れやすいものです。
どんな作品を取り上げているかにも重要なヒントが隠されているでしょう。
オリジナル5曲にその他5曲のバランスや構成もいいです。
曲目を見てみるとオリジナルにはマッコイ・タイナーやフレディ・レッドの名前があります。
さらにマイルス・デイビスやセロニアス・モンクの曲も演奏していますね。

片倉さんは女性らしく繊細でしなやかなタッチと美しい音色の持ち主です。
(1)「BLUES FOR TYNER」の疾走感溢れるプレイ、
テンポのいい(3)「SECRET LOVE」や(4)「NO BLUES」におけるノリ、
(2)「RISING」や(7)「RUBY MY DEAR」のバラード・プレイ、
新鮮なアプローチをみせる(9)「A FOGGY DAY」のスタンダードの解釈も聴きどころになりました。
私的ベストは(7)「RUBY MY DEAR」で、若いのにバラードの展開が実に巧みだと思います。
最近の若手では珍しいのではないかな、無理なくとてもスムーズに聞えました。

共演の中村恭士さんは片倉さんと共に学んだ仲でこちらも新進気鋭の楽しみなベーシストです。
カール・アレン(ds)はジュリアードの先生です。
やはりカールの存在感が光っていて、若い二人をうまくリードしていると思います。

曲想も多彩で片倉さんの全体像がつかめるよくできたアルバムに仕上がっています。
思うにこれほど注意深く聴いたのは久し振りでした。

(中間系)