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Dragon's Jazz Corner

Manuel Valera (p)


*MANUEL VALERA TRIO / CURRENTS
manuel valera(p,key), james genus(b,elb), ernesto simpson(ds)
2009/MaxJazz/

マヌエル・ヴァレラ(p)のリーダー作を聴くのは3枚目になります。
ヴァレラはキューバ出身のピアニストでラテン系ピアニストに共通する明るさと切れ味を持っています。
しかし、幅広く器用なピアニストなので前2作はホーン入りでやや焦点がぼやけた感じになりました。
それでこのトリオ作には期待しましたが予想通りの仕上がりで良かったです。
(1)「NUMERICO」から疾走感溢れる演奏でグイと引きつけられてしまいました。
(3)「BALADA PARA ISABEL」のバラードや(4)「WEE SAY」のモンク的でない表現も聴きどころです。
(6)「ODE TO KENNY」には”Dedicated to Kenny Kirkland"という副題が付いています。
続く(7)「DIENDA」はその故ケニー・カークランド(p)の作品ということでこの2曲が断然素晴らしいです。
言われてみれば似ているところがあるので相当に好きだったようですね。
表題曲の(10)「CURRENTS」と(8)「HINDSIGHT」はキーボードを駆使しています。
多分ここいらへんがヴァレラが目指すサウンドだと思います。

ドラムスのアーネスト・シンプソンはドラ盤(403)「Helio Alves Quartet/It's Clear」で
記憶に留めておかねばならないと思いましたがその通りになりました。
存在感のあるパーカッシブなドラミングは魅力十分です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)




*MANUEL VALERA TRIO / HISTORIA
manuel valera(p), ben street(b), antonio sanchez(ds)
seamus blake(sax)(1,6)
2005/FRESH SOUND NEW TALENT/

キューバ出身のマヌエル・ヴァレラ(p)を聴くのは2枚目になります。
イマイチ音楽性につかめ切れないところがあったのでそれが購入のきっかけになりました。
前作はジョン・パティトゥッチ(b)、ホレシオ”エルネグロ”フェルナンデス(ds)&ビル・スチュアート(ds)でした。
今作同様にシーマス・ブレイク(sax)がゲスト参加していたので仲がいいようですね。
彼はしなやかなタッチを持つテクニシャンで技量的には文句のつけようがないです。
スタイルとしてはチック・コリア(p)、マッコイ・タイナー(p)、コンセプトはゴンザロ・ルバルカバ(p)
の影響も大きいと思います。
シーマス・ブレイクが加わった2曲ではコルトレーン・ライクの演奏が聴けます。
トリオになると中々どうしてそう単純にノれるという感覚ではありません。
最近のラテン系若手ミュージシャンは凝った演奏が多いので一筋縄ではいきませんね。

(まじめ系)




*MANUEL VALERA TRIO & QUARTET / FORMA NUEVA

manuel valera(p)
seamus blake(sax)(1,3,6,12), john patitucci(b)  
horacio"el negro"hernandez(ds)(2,4,5,7,10,11), bill stewart(ds)(1,3,6,8,9,12)
2004/MAVO RECORDS/

マヌエル・ヴァレラなるピアニストは初めて聴きました。これが初リーダー・アルバムだそうです。
全12曲中、2曲を除いてヴァレラのオリジナルで彼はラテン系ピアニストに多い強靭なタッチを持つテクニシャンです。
チック・コリア派というのも案外珍しいと思います。
入手のきっかけはホレシオ”エルネグロ”ヘルナンデス(ds)とビル・スチュアート(ds)の聴き比べにあります。
こんなチャンスはめったにないでしょうね。注目の二人のドラマーがどんな演奏をするのか、興味がありました。
当然ながらビル・スチュアートがバックならアメリカナイズされた洗練されたサウンドになり、
ホレシオ”エルネグロ”ヘルナンデスならリズミカルなラテン・ジャズの傾向が強くなります。
どちらがよりマッチしているかと言えばやはり後者の方でしょうか。
多彩で多弁、パーカッシブなドラムと明るく伸び々としたピアノ・プレイは(11)で聴けます。
祖母に捧げたという(7)は美しいバラードで私のお気に入りの1曲になりました。
シーマス・ブレイク(sax)が入るカルテットは4曲でコルトレーン系のオーソドックスな演奏が聴けます。
ヴァレラの音楽性を探るには適当なアルバムですが反面、色々なことをやりすぎてやや焦点がぼけた気がします。

(中間系)