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Dragon's Jazz Corner

Lee Konitz (as)


*LEE KONITZ. BRAD MEHLDAU. CHALIE HADEN. PAUL MOTIAN.
/ LIVE AT BIRDLAND
lee konitz(as), brad mehldau(p), charlie haden(b), paul motian(ds)
2011/ECM/

1 Lover Man
2 Lullaby Of Birdland
3 solar
4 I Fall In Love Too Easily
5 You Stepped Out Of A Dream
6 Oleo


このアルバムを今年の「みんなのベスト3」に見た時、
「あ〜、まずい、まだ聴いていなかった」と思いました。
見逃しているのが恥ずかしくなったし、個人的に聴かなきゃいけないアルバムだと思いました。
「聴かなきゃいけないアルバム」なんてめったにあるもんじゃありませんよ。
それほどこの作品には深い意味が込められているんです。

これはほとんど奇跡的、歴史的なアルバムだと思います。
まずはECMのプロデューサーのマンフレート・アイヒャー氏の着眼点に敬意を表します。
この組み合わせはジャズ・ピアノ界の大きな流れを表しているのではないか。
ジャズ・ピアニストの流れの一つにレニー・トリスターノ〜ビル・エバンス〜
キース・ジャレット〜(ミシェル・ペトルチアーニ)〜ブラッド・メルドーがありますね。
つまりこれを具現化したアルバムだと思うのです。
レニー・トリスターノ派の重鎮リー・コニッツ(as)とビル・エバンス&キース・ジャレット・トリオのポール・モチアン(ds)、
同じくキース・ジャレット・トリオのチャーリー・ヘイデン(b)に新世代新感覚のブラッド・メルドー(p)を組み合わせる。
加えてヘイデン、コニッツ、モチアンにはフリーの流れ(オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン)もあります。
まさに夢のような組み合わせで実現できるのはアイヒャー氏だけだったかもしれません。
兎にも角にもリー・コニッツが元気でいたことが大きいです。
今年、ポール・モチアンさんが亡くなりました・・・もうこの組み合わせはあり得ない。
ジャズの黄金時代を飾った人が少しづつ消えていく現在、よくぞこのライブ録音を世に出してくれました。

聴いてみると凄く良かった。
コニッツもこれだけ吹ければもう十分・・・ちょうどいい案配のゆるみ加減です。
みんながリラックスしていて気持良さそう・・・実に居心地のいい空間が広がっています。
本来あるべき緊張感があまり感じられず、むしろ各人の思いやりというか、やさしい雰囲気が漂っていました。
コニッツやモチアン、ヘイデンは息子を見守る感じ、メルドーには畏敬の精神が溢れています。
「おい、あとは頼むよ」〜「分かった、大丈夫」・・・お互いに伝え合うものがあったと思います。
・・・時は流れる・・・ジャズは世代を超えて繋がっていく・・・
私も色々と思うところがあってホロリとしそうになりました。
いずれは涙なくしては聴けないアルバムになるかもしれませんね。

孤高の怪物リー・コニッツも85歳になりました。
あと残るチャーリー・パーカー直系の大物アルト奏者はルー・ドナルドソン(85歳)だけかな。
その次に続くのはフィル・ウッズの80歳です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*LEE KONITZ NEW QUARTET / AT THE VILLAGE VANGUARD
Standard's Live

lee konitz(as),
frorian weber(p), jeff denson(b), ziv ravitz(ds)
2009Rec/Enja/

Disk1
1 CHEROKEE (R.Noble)
2 SUBCONSCIOUS-LEE (L.Konitz)
3 I REMEMBER YOU (V.Schertzinger)
4 POLKA DOTS AND MOONBEAMS (J.V.Heusen)
5 COLOR (F.Weber)
6 KARY'S TRANCE(L.Konitz)
7 THINGIN(L.Konitz)

Disk2
1 THE SONG IS YOU (J Kern)
2 SKY LARK (H.Carmichael)
3 IN YOUR OWN SWEET WAY (D.Brubeck)
4 JUST FRIENDS (J.Klenner)
5 STELLA BY STARLIGHT (V.Young)
6 I LOVE YOU(C.Poter)


リー・コニッツは1927年、イリノイ州シカゴ生まれ、15歳でプロ入りなのでこの頃の超早熟なジャズ・マンの一人です。
最初はクラリネットでその後テナー・サックスに転向しましたが、最後はアルト・サックス奏者になりました。
当時の楽器の持ち替えは在団したバンドの都合が多いようです・・・空きがあるかどうか。
20歳以降はクロード・ソーンヒル楽団〜マイルス・デイビス九重奏団〜レニー・トリスターノ〜スタン・ケントン楽団〜
自己のコンボ〜60年代半ば頃からはヨーロッパで活躍することが多くなりました。

コニッツはチャーリー・パーカー以降、最も重要なアルト・サックス奏者の一人でその影響力は計り知れません。
意気投合したレニー・トリスターノ派の第一人者で、その流れを汲むクール・スタイルの代表格でもあります。
特に多くの白人アルト奏者に影響を与えています。
ポール・デスモンド、アート・ペッパー、バド・シャンク、チャーリー・マリアーノ、フィル・ウッズなど。

今作は2009年3月31日〜4月1日のヴィレッジ・ヴァンガード、コニッツ81歳の時のライブ盤です。
1枚目が出た時にチェックしましたが「コニッツも80歳を過ぎているし今更スタンダードも・・・」と思ってパスしてしまいました。
そのまま忘れていたんですが去年2枚目が出たので「やっぱり聴こう」と思い直しました。
「コニッツの新しいカルテットはどんなものか」との興味もありました。

聴いていてみると想像以上に良かったです。
コニッツもこれだけ吹ければ立派、やはり怪物ジャズ・メンの一人でした。
経験豊富で引き出しの多さは特筆もの、一筋縄ではいかないフレーズがポンポン飛び出してきます。
まぁ、先進のアルト奏者として多くの修羅場をくぐり抜けてきているので当然といえば当然ですが・・・。
さらにドイツ出身のピアニスト、フロリアン・ウィーバーが素晴らしいです。
コニッツが高齢なので自ずとピアノ・トリオの出番が多くなりますが、これがまた聴きどころになりました。
さすがにコニッツの見る目は確かです。
このピアノ・トリオの魅力は1曲目の「Cherokee」で一目瞭然です。
キラリと光るトリオは強力かつ斬新な印象を残します・・・特にピアノとドラムスのコンビネーションが素晴らしい。
バップの名曲をこんな風に展開させるのはコニッツ・カルテットならではと思います。
コニッツの代表曲(2)「Subconscious-Lee」はパーカーの「Confirmation」と並んで多くのアルト奏者のバイブル曲。
(6)「Kary's Trance」の転調具合はどうか…私的ベストはこれかな。
Vol.2ではブルーベックの(3)「In Your Own Sweet Way」がお気に入りです。
とにもかくにもコニッツが元気でいてくれて嬉しいです。

Vol.1はオリジナル3曲とスタンダード4曲、Vol.2はスタンダード6曲の構成です。
やはりVol.1の出来がいいので、1枚だけならこちらがお勧めです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系




*LEE KONITZ / THREE GUYS
lee konitz(as), steve swallow(b), paul motian(ds)
1999/ENJA/

強力年寄りバンドの登場です。メンバーを見ても緊張感が感じられるアルバムです。
コニッツ72歳、モチアン68歳、スワロー59歳でして、大人と言うよりお爺さんのジャズですね。
聴く人、聴く場所、聴く時間まで選ぶ作品です。当然ながら一般向きではありません。
やや音量を絞って3人のプレイを静かに聴く、多分これが最高だと思いますよ。
さてあなたには、3人のインター・プレイを十二分に楽しむことが出来るでしょうか。

[Come Rain Or Come Shine], [Luiza],

(まじめ系)



*LEE KONITZ / DIG DUG DOG
lee konitz(as)
laurent de wilde(p), ira coleman(b), dion parson(ds), keiko lee(vo)
1997/Sony/

ベリークールなスイング感。
フランスの人気ピアニスト、ローランド・ド・ウィルドとヴォーカルのケイコ・リーを迎え、
絶好調のコニッツが輝く。
(帯中よりの抜粋)


リー・コニッツにしては、相当甘いですが、聞き易いと思います。
バックのリズムセクションは、かなりいいですよ。特にピアノが。
ゲストは、ケイコ・リーです。

[Solar], [Ruby My Dear], [Gee Baby Ain't I Good To You], [Sister Cheryl],
[You Don't Know What Love Is], [Body And Soul], [I Love You],
[I Got It Bad And That Ain't Good]

(くつろぎ系)



*LEE KONITZ DUO / SWEET & LOVELY
lee konitz(as), charlie haden(b)
1997/Paddle Wheel/

研ぎ澄まされた感性の応酬。
二大巨人の初顔合わせによる完璧なダイアローグ。
(帯中よりの抜粋)

1996年12月、ロスアンジェルスのライブ盤です。
クールで透明感のある音色、コニッツのスタンダード・プレイが満喫できます。

[Sweet & Lovely], [Just Friends], [Yesterdays], [I'll Remember April],
[Star Eyes], [How Deep Is The Ocean], [Strike Up The Band]



*LEE KONITZ QUARTET / DEARLY BELOVED
lee konitz(as,ss),
harold danko(p), jay anderson(b), billy drummond(ds)
1996/Steeplechase/

この頃、リー・コニッツはまた一つのピークを迎えていたような気がします。
スタンダード演奏に深味があります。

[The Way You Loook Tonight], [Everytime We Say Goodbye],
[Someday My Prince Will Come], [Bye Bye Blackbird], [Dearly Beloved],
[The Night Has A Thousand Eyes]




*LEE KONITZ STEFANO BATTAGLIA DUO / ITALIAN BALLADS VOL.1
lee konitz(as), stefano battaglia(p)
1993/PHILOLOGY/

コニッツとバタグリアのデュオ・アルバム。
ジャズ仲間のねひつじさんから紹介された作品ですが珠玉のバラード作品集。
コニッツの枯れた味わいと耽美的なバタグリアが素晴らしい。




*LEE KONITZ QUARTET / JAZZ NOCTURNE
lee konitz(as)
kenny barron(p), james genus(b), kenny wahsington(ds)
1998/Venus(1992rec)/

1 You'd Be So Nice To Come Home To
2 Everything Happens To Me
3 Alone Together
4 Misty
5 Body And Soul
6 My Funny Valentine
7 In A Sentimental Mood


1992年録音の再発売のアルバムです。
コニッツにしたら相当にラフですが聴き易いです。
コニッツは時に頭でっかちで難解なのでこういうアルバムあってもいいと思います。
スタンダード作品集でいわばリー・コニッツのルーツがここにある感じがします。
録音の音もいいですし、やさしいコニッツを聞いたことのない人には是非聞いてほしいな。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*LEE KONITZ QUARTET / JAZZ A JUAN
lee konitz(as),
marctial solal(p),niels-henning orsted pedersen(b), daniel humair(ds)
1986(1974Rec)/SteepleChase/

この頃のコニッツには凄味があります。
年齢的にも円熟期を迎えていて向かうところ敵なしという感じ。
フリー・フォームを含んだ緊張感溢れる演奏が聴きどころです。
マーシャル・ソラール(p)、ペデルセン(b)、ダニエル・ユメール(ds)といった
ヨーロッパの実力者とのぶつかり合いです。
スタンダードを紹介してもあまり意味がないような気がしますが
一応「What Is This Called Love」、「Round About Midnight」、
「The Song Is You」、「Autumn Leaves」など。

(まじめ系)




*LEE KONITZ / KONITZ MEETS MULLIGAN
lee konitz(as), gerry mulligan(bs), chet baker(tp),
carson smith(b)(1-9), joe mondragon(b)(10-12), larry bunker(ds)
1988(1953Rec)/Pacific Jazz/

ここの(3)「I Remember April」が聴きたくてCDを買いました。
この頃のコニッツも断トツに素晴らしいと思います。

[Too Marvelous For Words], [Lover Man], [I'll Remember April],
[These Foolish Things], [All The Things You Are], [Bernies Tune],
[Almost Like Being In Love], [Broadway], [Lady Be Good], etc