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Dragon's Jazz Corner

Kurt Rosenwinkel (g)


*KURT ROSENWINKEL TRIO / REFLECTIONS
kurt rosenwinkel(g), eric revis(b), eric harland(ds)
2009/WOMMUSIC/

先進のギタリスト、カート・ローゼンウィンケル・トリオのスタンダード作品集です。
このアルバムの存在は知っていましたが延び延びになってライブ会場で入手しました。
(2010年ライブ・レポート参照)

カートの名前を最初に知ったのは90年代初めだったか、ゲイリー・バートン(vib)のアルバムでした。
名前からみてもドイツ系ということはすぐに分かりますね。
まだ若かった(20歳そこそこ)こともあって、その時は特別印象に残りませんでした。
その後、マーク・ターナー(ts)、クリス・チーク(ts)、ペリコ・サンビエト(as)、
クリス・ポッター(ts)などの先進のサックス奏者と共演して徐々に頭角を現してきました。
上下に伸び縮みする独特の浮揚感を持ったサウンドは誰にも似ていない彼独自のものです。
2000年に入るとそれこそあちこちから引っ張りだこになります。
その個性的なギター・プレイは彼をニューヨークの最先端をいくギタリストに成長させました。
最大の特徴は「クール+気だるさ」にあります。
最初はちょっととっつきにくいと思いますが慣れてくると心地良いリズムになってくるんです。

今回、ライブと今作を聴いて、ルーツはジョー・パス(g)とジム・ホール(g)かなと思いました。
ジョン・アバークロンビー(g)の雰囲気もある。
テクニックはもちろんのこと、エフェクターを上手に使ってサウンド作りをしています。
今作ではセロニアス・モンク(p)とウエイン・ショーター(ts)を2曲づつ演奏しているので好みも分かりました。
面白かったのはモンクの(1)「REFLECTIONS」、オリジナルの(4)「EAST COAST LOVE AFFAIR」、
ショーターの(6)「ANA MARIA」のボサノバのリズムだったです。
ライブでは共演のエリック・リーヴィス(b)とエリック・ハーランド(ds)も見たかったけれど、
特に超売れっ子のハーランドは難しかったかもしれませんね。
ストレートでオーソドックスを基調にしながらも、一味違うジャズ・ギター・トリオの好盤です。
思ったよりずっと良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*KURT ROSENWINKEL QUINTET / DEEP SONG
kurt rosenwinkel(g)
joshua redman(ts), brad mehldau(p), larry grenadier(b)
jeff ballard(ds)(3,4,5,8), ali jackson(ds)(1,2,6,7,9,10)
2005/VERVE/

1 The Cloister
2 Brooklyn Sometimes
3 The Cross
4 If I Should Lose You
5 Synthetics
6 Use Of Light
7 Cake
8 Deep Song
9 Gesture
10 The Next Step


待望のカート・ローゼンウィンケル(g)の新譜が出ました。
ローゼンウィンケルは今までにはいないタイプのギタリストで、彼が入るとがらっとサウンドの印象が変わってしまいます。
新感覚ジャズに興味があるファンには無視できないギタリストです。
それに今作は新感覚ジャズの黒幕的存在のジョシュア・レッドマン(ts)が参加しているので見逃すわけにはいきません。
ローゼンウィンケル〜ジョシュア〜ブラッド・メルドー(p)と並べば現在考えられる最高の組み合わせだと思います。
ラリー・グレナディアー(b)、ジェフ・バラード(ds)、アリ・ジャクソン(ds)というメンバーにも惹かれました。
新感覚ジャズには浮揚感のあるクールなサウンドという言葉がよく使われます。
クール・ジャズは以前からありますが、それにある種の”気だるさ”が加わったのが特徴だと思います。
それは(4)のスタンダードの「IF I SHOULD LOSE YOU」を聴くとよくわかります。
間のびした気だるい感じが何とも新鮮で心地良いです。ラテンというよりハワイアンのノリではないでしょうか。
10曲中8曲がオリジナルで、こうして聴いてみると改めてジョシュアはさすがに上手いですね。
ローゼンウィンケルもメルドーも尖がった角が取れて丸くなってきたと感じるのは私だけじゃないと思います。
いかにも彼等らしいのはスロー〜ミディアム・テンポですが、(3)、(5)などのアップテンポの曲にも興味を覚えました。
クールな中にもホットな演奏が繰り広げられています。
全体的な曲の流れもよく考えられていて(8)、(9)、(10)と盛り上がり、熱い「THE NEXT STEP」は期待が大きく膨らみます。
”ジャズは現在進行形”は私の持論です。皆さんにも是非聴いて欲しい一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*KURT ROSENWINKEL / THE ENEMIES OF ENERGY
kurt rosenwinkel(elg,g,vo), mark turner(ts)  
scott kinsey(p), ben street(b), jeff ballard(bs)
1999/IMPULSE/

現在注目のギタリスト、カート・ローゼンウィンケルのメジャー・デビュー盤です。
ジャズの範ちゅうだけではくくれない個性的、かつ不思議系のサウンドの持ち主です。
これにはハマってしまう人も意外に多いのではないかと予想しています。
ギタリストとしての実力もさることながら、コンポーザーとしての才能もかなりなものだと思います。
飽きられる可能性もありますが、次回にどんな作品を出すかが期待されます。
個人的には将来性を買いたい逸材ですねえ。

(中間系)