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Dragon's Jazz Corner

John Tchicai (as)


*JOHN TCHICAI QUARTET / IN MONK'S MOOD
john tchicai(as),
george colligan(p,org), steve laspina(b), billy drummond(ds)
2009/SteepleChase/

このアルバムを見た時、ジョン・チカイ・・「いぇー、珍しい、まだ元気だったんだ。」と思いました。
「なんか、モンクある?」・・・ジャケット写真も硬派そのもののゴツイいい顔してますね。
60年代、ジョン・チカイは筋金入りのフリー・ジャズ・アルト・サックス・プレイヤーでした。
盟友ラズウェル・ラッド(tb)とのニューヨーク・アート・カルテットが最も知られているか、
フリー・ジャズ・ファンならアーチー・シェップ(ts)の「フォー・フォア・トレーン」と、
ジョン・コルトレーン(ts)の「アセンション」は必聴盤だと思います。
私は元々フリー系は得手じゃないのでその後はまったく名前を見ることもなかったです。
チカイはデンマーク出身なのでヨーロッパを中心に活動していたんでしょうね。
それが突然目の前に現れて「モンクス・ムード」とは・・・即、飛びついてしまいましたよ。

やっぱり一味も二味も違いました・・・ムードあります。
濃く、おどろおどろしたところもあるし、淡く、爽やかなところもあるし、実に味わい深いです。
表題曲の「MONK'S MOOD」は(1)と(10)の2テイクが収録されています。
(5)「ROUND ABOUT MIDNIGHT」にはオルガンを使ってきましたがこの表現力が凄い。
スタンダードの(7)「EASY STREET」はノスタルジックですごく新鮮でした。
(8)「RUBY MY DEAR」は涙が出そうになったし、そのほかも聴きどころがいっぱいです。
一般的にフリー系のアルト奏者は音に力があって、澄んだキレイな音色を持っています。
素晴らしいセロニアス・モンク作品集・・・みなさんも是非この演奏を味わってみて下さい。
食べず嫌いはいけません。
チカイの断トツの存在感に共演者も霞んでしまいました。
軽くいなされて揉まれたジョージ・コリガン(p,org)にとってもいい経験だったと思います。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)




* JOHN TCHICAI TRIO / REAL TCHICAI
john tchicai(as), pierre dorge(g), niels-henning orsted pedersen(b)
1977Rec/SteepleChase/

1 Graceful Visitor.
2 Silent Danish Girl
3 Moksha Point
4 Monk's Mood
5 Bambla Jolifanti
6 One Way Ticket
7 Mirjam's Dadadance
8 Blue Barrier
9 Nothing Doing In Krakow
10 On Tuesday
11 Oles Anders
12 Sailing To The Good Land


ジョン・チカイ(as)もまたフリー・ジャズ・シーンでは忘れてはならないプレイヤーです。
デンマーク生まれですがニューヨークに進出して活躍しました。
アーチー・シェップ(ts)、ドン・チェリー(tp)との「ニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブ」に参加、
後にラズウェル・ラッド(tb)との「ニューヨーク・アート・カルテット」を結成しています。
ジョン・コルトレーン(ts)とも共演していて、つまり筋金入りのフリー・アルト・サックス奏者です。

全12曲は自身のオリジナルが9曲、共演のピエール・ドージ(g)が2曲、セロニアス・モンク(p)が1曲の構成です。
なお(10)、(11)、(12)の3曲はCD化により追加されたものです。
1曲づつが短いのでフリー・ジャズとしてはとても聴き易い仕上がりになっています。
曲想も豊かなのでちょっとフリーを聴いてみたいという人には最適じゃないかな。
チカイのフリー・ジャズを聴いていると一編の詩を聞いているような気がします。
自在な展開はまさに楽器を通して肉声で語り歌っている。
アルト・サックスの音の美しさは格別です。

ジョン・チカイは2012年に76歳で亡くなりました。

(まじめ系)