[トップページ]



Dragon's Jazz Corner

John Coltrane (ts)


*JOHN COLTRANE QUARTET / SELFLESSNESS
john coltrane(ts,ss),
mccoy tyner(p), jimmy garrison(b), elvin jones(ds)
pharoah sanders(ts), etc
1963-65Rec/Impuls/

1963年の「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」のライブ録音と
1965年のファラオ・サンダース入りの2セットが収録されています。
やはり愛奏曲の(1)「My Favorite Things」が聴きどころになります。



*JOHN COLTRANE AND JOHNNY HARTMAN
john coltrane(ts), johnny hartman(vo),
mccoy tyner(p), jimmy garrison(b), elvin jones(ds)  
1963Rec/IMPULSE/

ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマンのこれは好きな方も多いと思います。
トレーンの異色の名盤といえば、やはりこのアルバムでしょうね。
上質のヴォーカルとバラードが聴けます。
私にとっては、時々は必ず聴きたくなる愛聴盤なのです。

「They Say It's Wonderful」、「Dedicated To You」、「My One And Only Love」、
「Lush Life」、「You Are Too Beautiful」、「Autumn Serenade」、「Vilia」

(中間系)




* JOHN COLTRANE QUARTET / COLTRANE
john coltrane(ts,ss),
maccoy tyner(p), jimmy garrison(b), elvin jones(ds)
1962/Impulse/

Side A
1 Out Of This World
2 Soul Eyes
Side B
1 The Inch Worm
2 Tunji
3 Miles' Mode


ジョン・コルトレーン(ts,ss)の今作も思い出深いレコードの一枚です。
なぜならここから名実共に黄金のコルトレーン・カルテットがスタートしたからです。
「COLTRANE」という表題は57年のリーダー・デビュー作にもあって今作が2回目になります。
つまりコルトレーン自身にとっても自己の覚醒を自覚したという思いがあったのではないか。
ちなみに私は作品を選ぶにあたって自身の名前を冠したアルバムはほぼ間違いないと思っています。
新生「Impulse」レーベルが精魂込めた作品でダブル・ジャケットの重厚で豪華な仕上がりになっています。
コルトレーンにはこれ以前の「Atlantic」盤にも2枚の重要作品があります。
1枚が全曲オリジナルで通した「ジャイアント・ステップス」(1959)でまさにジャズ巨人の第一歩を記録しています。
もう1枚が世界に衝撃を与えたソプラノ・サックス・ジャズの金字塔「マイ・フェヴァリット・シングス」(1960)です。

さてコルトレーン・カルテットの完成までにどのような道のりがあったのだろうか。
ピアノではレッド・ガーランド、マル・ウォルドロン、トミー・フラナガン、ウィントン・ケリー、
ハンク・ジョーンズ、セシル・テイラーなどと共演しています。
最終的に60年になってマッコイ・タイナーがその位置を占めました。
次にドラムですがアート・テイラー、ジミー・コブ、アル・ヒース、フィリー・ジョー・ジョーンズ、
エド・シグペン、ルイス・ヘイスなどと共演しています。
最終的に60年になってエルヴィン・ジョーンズがその席を占めてピアノとドラムスが決定しました。
最後まで決まらなかったのがベーシストでポール・チェンバース、ダグ・ワトキンス、スティーブ・デイビス、
アート・デイビス、レジー・ワークマン、チャーリー・ヘイデンなどと共演しています。
一時期コルトレーンは2ベース・スタイルなども模索していたようで迷いがあったのかも知れませんね。
その頃私はワークマンが一番有力じゃないかと思っていました。
62年になって最後のジミー・ギャリソンが決定してついにジョン・コルトレーン・カルテットが完成しました。

さて今作がその黄金のコルトレーン・カルテットによる記念すべき第一作になりました。
全5曲は自身のオリジナル2曲とその他3曲の構成です。
1曲目の「Out Of This World」はハロルド・アーレン/ジョニー・マーサーに手になるものです。
15分近い長丁場ですがここにコルトレーン・カルテットの原点があります。
今聴いても十分に感動的で強力無比なコルトレーン・サウンドそのものを聴かせてくれています。
お得意のソプラノ・サックスはフランク・ルーサーの曲「The Inch Worm」で聴けました。
「Soul Eyes」はマル・ウォルドロンの曲、自作の「Miles' Mode」でマイルス・デイビスの名前を配しています。
コルトレーンには何かを伝えたい思いがあったんじゃないかな。
チャーリー・パーカー(as)〜マイルス・デイヴィス(tp)〜ジョン・コルトレーン(ts)の系譜は受け継がれていく。

(まじめ系)




*DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE
duke ellington(p), john coltrane(ts,ss),
aaron bell(b), jimmy garrison(b), elvin Jones(ds), sam woodyard(ds)
1962Rec/Impulse/

デューク・エリントンとジョン・コルトレーンの二大巨匠の組み合わせ。
考えることは出来ても実現は難しそうな企画です。
でもそれが実現しました。
異色かつ貴重なアルバムです。

「In A Sentimental Mood」




* JOHN COLTRANE SEXTET / DAKAR
john coltrane(ts), cecil payne(bs), pepper adams(bs),
mal waldron(p), doug watkins(b), arthur taylor(ds)
1957Rec/Prestige/

1 Dakar
2 Mary's Blues
3 Route 4
4 Velvet Scene
5 Witches Pit
6 Cat Walk


↓の初リーダー・アルバムから20日後に吹き込まれた2枚目のリーダー作品です。
バリトン2本にテナー1本のユニークな組み合わせを誰が考えたと思いますか?
もちろんコルトレーンではありません。
なんとヴァイブ奏者のテディ・チャールスなんですよ。
今作品のプロデュースをしていて3曲を提供しています。
実験的な作風のお蔭でコルトレーンの作品の中で最も異色的なアルバムになりました。
今回改めて聴いてみたけどこれがけっこう面白かったです。
だってこんなに重々しい組み合わせはめったにないからね。
マル作のバラードの(4)「Velvet Scene」が聴きどころになりました。




* JOHN COLTRANE QUARTET & QUINTET & SEXTET / COLTRANE
john coltrane(ts), johnnie splawn(tp)(1,4,5,6), sahib shihab(bs)(1,4,6),
red garland(p)(1,2,3), mal waldron(p)(4,5,6), paul chambers(b), al heath(ds)
1957Rec/Prestige/

1 Bakai
2 Violets For Your Furs
3 Time Was
4 Straight Street
5 While My Lady Sleeps
6 Chronic Blues


ジョン・コントレーン(ts)の初リーダー・アルバムです。
コルトレーンがあれほどの人気にならなければそれほど話題にもならなかったと思います。
コルトレーンに注目してファンになりハマった時、以前はどんな演奏をしていたのか?と興味を持つ。
さかのぼって聴いてみようかと思った時に出会うアルバムでした。
ここでの聴きどころは(2)「Violets For Your Furs」(邦題:コートにすみれを)だと思います。
後年に代表作の一枚になった」「バラード」の萌芽がここにありました。




ライバル談義

当時、最も先鋭で注目されていたテナー奏者は言わずと知れたソニー・ロリンズです。
1956〜57年はそれこそ怒涛の進撃を続けていました。
56年には超名盤の「サキソフォン・コロッサス」、57年には「ウエイ・アウト・ウエスト」、「ヴィレッジ・バンガード」を吹き込んでいます。
コルトレーンと言えばまだ普通のテナー・マンでライバルのラの字もなかった頃ですね。
ところがたった1年ほどの間にコルトレーンはセロニアス・モンク(p)の影響で長足の進歩を遂げます。
57年「ブルー・トレイン」、58年「ソウル・トレーン」、59年「ジャイアント・ステップス」と続く驚異的な成長です。
反面ロリンズは59年秋に突然ジャズ界から姿を消してしまいます。
復活したのは2年後の61年秋でその最初のアルバムが「橋」、2枚目が「ファッツ・ニュー」でボサノバやカリプソの新風を吹き込んだ。


マイルス・デイビス(tp)が1955年に新しいコンボを作る時ソニー・ロリンズに声をかけましたが断られ、
当時ディジー・ガレスピー楽団でくすぶっていたジョン・コルトレーンが参加することになりました。
この選択は結果的に正解だったと思います。
マイルスとロリンズでは、とても長続きしたとは思いません。
その時、ロリンズは、どこに行ったかといいますと、これがなんとクリフォード・ブラウンとマックス・ローチのコンボ、さぞかしマイルスは、頭にきたと思いますよ。

ジャズ・マンが普通から超一流プレイヤーに変身して行くのを、コルトレーンほどハッキリと私の目の前に見せてくれた人はいません。
マイルス・デイビスが彼を見抜いた理由は、何だったんでしょうね。
マイルスから独立して自己のグループを結成し、好アルバムを連発、最後は、神懸り的になって、
さすがのマッコイ・タイナー(p)やエルビン・ジョーンズ(ds)も退団してしまいましたが、私は幸運にも彼の東京公演を見ることが出来ました。
若いファラオ・サンダース(ts)やラシッド・アリ(ds)と猛烈なプレイを繰り広げてくれました。
私の見たライブでは、最高のものだと言えます。
彼より若いテナーマンは、そのほとんどが彼の影響を受けていると言っても 差し支えないでしょう。

オーネット・コールマン(as)を聞いて、いきなり理解出来る人は、少ないですよね。
そんな場合は、ジョン・コルトレーンの足跡をたどるのが、一番分かり易いと思いますよ。
その後に、オーネットを聞くと、見えなかったものが見えてくるという訳です。

つまりコルトレーンもまた、モダンジャズの歴史そのものなのです。