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Dragon's Jazz Corner

Gary Bartz (as)


* VINCENT HERRING & BOBBY WATSON & GARY BARTZ / BIRD AT 100
vincent herring(as), bobby watson(as), gary bartz(as),
david kikpski(p), yasushi nakamura(b), carl allen(ds)
2019/Smoke Sessions Records/

1 Klactoveedsedatenne (C.Parker)
2 Bird-ish (B.Watson)
3 Lover Man/V.Herrring (J.Davis/R.Ramirez/J.Sherman)
4 The Hymn (C.Parker)
5 These Foolish Things/B.Watson (J.Strachey/H.Marvel/H.Link)
6 Folklore (V.Herring)
7 Bird Lives (J.McLean)
8 April In Paris/G.Bartz (V.Duke/Y.Harburg)
9 Yardbird Suite (C.Parker)


人気アルト・サックス奏者3人によるチャーリー・パーカー生誕100年周年記念盤です。
それもヴィンセント・ハーリング、ボビー・ワトソン、ゲイリー・バーツとくれば興味が湧きました。
ただ2人ならともかく3人になると顔見世興行的で焦点がぼやけるかもとも思いました。
でも1枚で3人が一度に聴ける徳用盤なんてそうはありませんね。

全9曲はパーカー作が3曲、その他6曲の構成です。
目玉は3人のソロで(3)「Lover Man」でハーリングが(5)「These Foolish Things」でワトソンが、
(8)「April In Paris」でバーツがフューチャーされていることです。
手慣れた3人のバラード・プレイが聴きどころになりました。
このそれぞれの1曲が聴けるだけでも価値があると思います。
バックのトリオにもまた注目しました。
デヴィッド・キコスキ(p)、中村恭士(b)、カール・アレン(ds)という天才肌が脇を固めています。
中にジャッキー・マクリーン作の(7)「Bird Lives」が入っていました。
これには3人のマクリーンに対するトリビュートも含まれているのではないかと思いました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*GARY BARTZ QUARTET / COLTRANE RULES
Tao Of A Music Warrior

gary bartz(as,ss,bcl,vo),
barney mcall(p), james king(b), greg bandy(ds)
andy bey(vo)(3), rene mclean(fl)(3),
makea keith(vo)(10), eric rose(vo)(10), ommas keith(vo)(10)
2011(2000,2008Rec)/gary bartz/

ゲイリー・バーツ(as)の今作はいいです。
録音は2000年で、2008年(加録音)、発売は2011年です。
ここからどういうことが推測されるのか?
実際、ジャズ・シーンは私が思っている以上に厳しいのかもしれませんね。
バーツほどのミュージシャンが自主制作盤ですよ。
レコード会社は受け付けず、どうしても出したいと思えば自分で出すしかなかった。
そういえば先日紹介したハリー・アレンの「ホギー・カーマイケル特集」も自主制作盤でした。
アルバムには制作者の意図があり、一つの流れがあるのにネットでは切り売りされます。
もう少し深読みするとそれがイヤなら自主制作する形の方がいいのかも・・・。

バーツは面白いですね。
幅広い音楽性の持ち主で音色は柔軟性に富み繊細かつ艶やかです。
アルト奏者でありながらソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンのテナー奏者の影響が大きいです。
特にコルトレーンには根っから陶酔しているのが分かります。
今作は前後の2曲は1分ほどなので実質9曲ですがコルトレーンが6曲を占めています。
(2)「I CONCENTRATE ON YOU」はコルトレーンの”バラード”を
(3)「DEAR LOAD」は”&ジョニー・ハートマン”を、(10)「KINDNESS」は”至上の愛”を彷彿とさせます。
(9)「PRISTINE」は4ビートでバッチリ決めていてソツがありません。
明らかにコルトレーン・トリビュート盤ですがバーツの「コルトレーン道」の全てが詰まっていました。
バーツの足跡を辿るのには最適で、まさに感動的な一枚です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)




* GARY BARTZ QUARTET / LIVE @ THE JAZZ ATANDARD
gary bartz(as),
barney mcall(p), kenny davis(b), greg bandy(ds)
1999/Oyo/

1 Intro
2 Uranus
3 Eastern Blues
4 But Not For Me
5 Day Dream
6 Soulstice
7 Closing


ゲイリー・バーツ(as)は1940年生まれ、現在77歳ですが元気に頑張っています。
バーツはマッコイ・タイナー(p)との共演で知られるようになりました。
ジャズ・メッセンジャーズに在団し、マイルスとの共演盤もあるけれどほとんど記憶に残っていません。
チャーリー・パーカー〜ジャッキー・マクリーン、エリック・ドルフィー、オーネット・コールマン〜バーツの流れがあります。
またアルト・サックスながらジョン・コルトレーン(ts)の影響が大きいのも明白です。
バーツは現代のアルト奏者に与えた影響は大きくジャズ・アルト界の重要な位置を占めていると思います。

近年はすっかり大人しくなりましたがこの頃の演奏ではまだ鋭さが残っています。
ゲイリー・バーツ・カルテットのニューヨークのライブハウス:「The Jazz Standard」でのライブ盤です。
全5曲は自身のオリジナル2曲とその他3曲の構成です。
バーツの場合、バラードよりもグイグイと突っ走るアップ・テンポの曲に魅力を感じています。
表題曲になった自作の(6)「Soulstice」がベスト・トラックになりました。
エネルギッシュかつ鋭い突っ込みに観客も大興奮なのが伝わってきます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*GARY BARTZ QUARTET / THERE GOES THE NEIGHBORHOOD
gary bartz(as)
kenny barron(p), ray drummond(b), ben riley(ds)
1997/CANDID(1990REC)/

1 Racism
2 On A Misty Night
3 Laura
4 Tadd's Delight
5 Impressions
6 I've Never Been In Love Before
7 Flight Path


ゲイリー・バーツのバード・ランドでのライヴ盤で、90年録音の再発売です。
今はここらあたりが一番安心して聴いていられるというか、聴き易い感じです。
ケニー・バロンとのコンビネーションの良さは定評のあるところ、選曲のバランスも良し。
フュージョン全盛期には、ゲイリーにも迷いがあって、どうしょうもないアルバムも作っていたけれど、
ここではコルトレーン派のアルト奏者としての面目躍如で、「IMPRESSIONS」ではその真髄が聴けます。
ケニー・バロンもいつもの温厚なプレイはどこへやら、燃えに燃えました。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)




*GARY BARTZ QUARTET / EPISODE ONE CHILDREN OF HARLEM
gary bartz(as,ss)
larry willis(p), buster williams(b), ben riley(ds)
1994/Challenge/

プレイヤー全員がニューヨークのハーレム出身だそうです。
その思い出を綴った作品です。




*GARY BARTZ SEPTET / THE RED AND ORANGE POEMS
gary bartz(as), eddie henderson(tp,fhn), john clark(frech),
mulgrew miller(p), dave hollnd(b), greg bandy(ds), steve kroon(per)
1994/Atlantic/

別にどうということはないアルバムだけど、今でも聴き続けている愛聴盤の一枚です。
相性のいいアルバムってありますね・・・なんか私の琴線に触れてリラックスできます。
全8曲はオリジナル4曲、その他4曲の構成。
バーツとしては大人しい作品ながら実にリラックスした軽快な作品に仕上がっています。
尖がったところがない自然体がいいのかな。

マルグリュー・ミラーは貴重なピアニストだと思います。
引き立て役としての才能は群を抜いていますね。
彼がバックなら間違いありません・・・当然ながら名盤も多い。

「By Myself」、「I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life」、
「Soulmate」、「But Not For Me」



* GARY BARTZ & SONNY FORTUNE QUINTET / ALTO MEMORIES
gary bartz(as), sonny fortune(as),
kenny barron(p), buster williams(b), jack dejohnette(ds)
1993Rec/Verve/

1 Stolen Moment (O..Nelson)
2 U.F.O (G.Bartz)
3 Jeannine (D.Pearson)
4 Minority (G.Gryce)
5 Billie's Bounce (C.Parker)
6 Embraceable You (G.I.Gershwin)
7 Capuchin Swing (J.McClean)
8 Lonely Woman (O.Coleman)
9 When Lights Are Low (B.Carter)
10 Warm Valley (J.Hodges)


ソニー・フォーチュンもまた70年代のマイルス・バンド出身のアルト・サックス奏者です。
先週紹介したデイブ・リーブマン(ts)と同時期に在団しました。
その後はエルヴィン・ジョーンズのジャズ・マシーンのメンバーとしても活躍しています。
フォーチュンはフリーからフュージョンまでこなす幅広い音楽性を持つミュージシャンです。
共演のゲイリー・バーツ(as)とは同年代の同志ということになります。
フォーチュンは今年の10月に79歳で亡くなったばかりです。

全10曲はバーツのオリジナル1曲を除いてはジャズの名曲が9曲の構成です。
どれもアルト・サックス奏者の作曲や演奏で有名な曲ばかりで選曲が興味深いですね。
オリバー・ネルソン、バーツ本人、ジジ・グライス、チャーリー・パーカー、ジャッキー・マクリーン、
オーネット・コールマン、ベニー・カーター、ジョニー・ホッジスの偉大なアルト奏者の名前が並んでいます。
作曲者が違う2曲のうち(3)はキャノンボール・アダレイ(as)の大ヒット曲で(6)はパーカーの演奏で有名です。

バックのメンバーがまた良くてケニー・バロン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、ジャック・ディジョネット(ds)です。
ゲイリー・バーツとソニー・フォーチュンのアルト・サックス名手の二人の競演を存分に楽しめるアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*GARY BARTZ QUINTET / SHADOWS
gary bartz(as,ss), willie williams(ts),
benny green(p), christian mcbride(b), victor lewis(ds)
1992/Timeless/

ゲイリー・バーツは特異なアルト・サックス奏者と思っています、
ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン、エリック・ドルフィの影響を受け、
師匠格はマッコイ・タイナーですね。
細かくフレーズを積み重ねていく特徴的なスタイルと持っています。
この緊張感はなんともいえない味があります。

今作はオランダのタイムレスに吹き込んだ一作です。
マッコイ・タイナーが2曲、ジョン・コルトレーンを1曲取り上げています。

「How Do You Keep The Music Playing」




*GARY BARTZ QUINTET / WEST 42ND STREET
gary bartz(as,ss), claudio roditi(tp),
john hicks(p), ray drummond(b), al foster(ds)
1990/Candid/

ゲイリー・バーツ(as)のニューヨークはバードランドでのライブ盤です。
(2)「Speak Low」は20分に及ぶ長丁場。
・・・これほど白熱したスピーク・ロウは聴いたことがありません。
(5) 「The Night Has A Thousand Eyes」も強烈です。

「West 42nd Street」、「Speak Low」、「It's Easy To Remember」、
「The Night Has A Thousand Eyes」




* GARY BARTZ / BARTZ
gary bartz(as),
harry whitaker(key), hubert eaves(key), reggie lucas(g),
ed tree moore(g), basil fearington(b), mtume(per), howard king(ds), etc
1980/Arista/

Side A
1 Need Your Love
2 Keep Going On
3 Love Prelude / After The Love Has Gone
4 Rockin' All Night
Side B
1 Music
2 One-Eyed Jack
3 After Glow
4 (Give It Your Best), Shot !


当時のジャズ・シーンを思い出してみるとジャズメンには本当に厳しい時代だった。
多くのジャズメンがヨーロッパに渡り、あるいは流行のフュージョンに生き残りをかけようとしていた。
ここのゲイリー・バーツ(as)もまた例外ではなかった。
当時私はバーツはフュージョンに最も似合わない男だと思っていました。
それで今作は一度聴いただけで棚の奥に入れたままになっていました。
今回改めて聴いてみるとそこまでの違和感はなかったです。
というか、バーツ最大の異色作になったかも知れません。
なおプロデューサーはパーカッション奏者のエムトゥーメです。

(くつろぎ系)




* GARY BARTZ SEXTET / ANOTHER EARTH
gary bartz(as), charles tolliver(tp), pharoah sanders(ts),
stanley cowell(p), reggie workman(b), freddy waits(ds)
1968/Milestone/

1 Another Earth
2 Dark Nebula
3 U.F.O
4 Lost In The Stars
5 Perihelion And Aphelion


ゲイリー・バーツ(as)は1940年生まれ、メリーランド州ボルチモアの出身の79歳で健在です。
ジュリアードに学んだジャズ・エリートの一人です。
ジャズ・メッセンジャーズ、マッコイ・ターナー(p)、マイルス・ディヴィス(tp)とジャズ主流派を歩んでいます。
幅広い音楽性の持ち主で何でも出来る多才なプレイヤーだとも言えます。

今作はバーツの代表作の一枚に数えられています。
若い頃のバーツも尖がっていてマッコイの影響が強く「ジャズ何するものぞ」と思っていた節がある。
1曲目の表題曲「Another Earth」は25分近い長丁場で壮大な曲想を持つバーツ渾身の1曲です。
今聴いてみると疲れるけど当時のジャズ喫茶ではフリー系の長時間も普通に聴かれていました。
メンバーも凄くて今なら垂涎の的にもなりそうです。
ゲイリー・バーツ(as)、チャールス・トリバー(tp)、ファラオ・サンダース(ts)のフロント3管に
スタンリー・カウエル(p)、レジー・ワークマン(b)、フレディ・ウエイツ(ds)のリズム・セクションです。

でも多分、今の時代にこういう長丁場は似合わないと思う。
逆に(2)〜(5)はあっという間に終わってしまう感じがしました。

(まじめ系)