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Dragon's Jazz Corner

Fumio Karashima 辛島文雄(p)


* FUMIO KARASHIMA / MY FAVORITE THINGS
辛島文雄(p)、
池田篤(as)(2,3,8,9)、岡崎好朗(tp)、岡崎正典(ts)
楠井五月(b)、井上陽介(b)(1,4,6)、高橋信之介(ds)
ゲスト:日野皓正(tp)(5)、渡辺香津美(g)(7,9)
2016/Pit Inn/


1 My Favorite Things
2 Jeannine
3 It Might As Well Be Spring
4 Gingerbread Boy
5 Black Orpheus
6 Subtle Neptune
7 Chan's Song
8 So Near, So Far
9 New Bag


辛島文雄さんは名実共にカッコいい人でした。
「ジャズ・マンはカッコ良くあらねばならない」は私の持論です。
なにしろ私が若い頃はそれこそジャズ・メンは何もかも時代の先端を行ってましたから。
以前、本田竹広(p)さんのところで書いた「日本のジャズ史上最高のピアニストは誰か?」
「辛島文雄さん」と答える人も多いと思います。
長い間、日本のジャズ界を牽引してきたピアニスト辛島文雄さんが2017年2月24日に亡くなりました。
68歳という若さでした。

今作は先日、辛島文雄・トリビュート・バンドのライブ・ハウスで入手しました。
辛島さんの最後の作品になるそうです。
亡くなる1年前の吹き込み・・・こんなアルバムがあったのは知らなかったです。
作ったきっかけは長く一緒にやっていた高橋信之介(ds)との作品がなかったこと。
今作の大きな特徴は辛島さんが若い頃、ジャズに目覚めてからその時代に好きだった曲を演奏したこと。
と、本人がライナーで語っています。
共演は辛島バンドでお馴染みのメンバーとゲストは日野皓正(tp)さんと渡辺香津美(g)さんです。


辛島文雄、『マイ・フェイヴァリット・シングス』を語る

昨年の夏にがんが発覚して治療生活を続けているんでね、リーダー作を録音するなんてことは頭になかったんだよ。
みっともないものは出したくないから。
ところが自分のトリオで3年間プレイしてくれたドラマー信之介(高橋)が暮れにニューヨークから帰ってきた。
久しぶりに会って「そういえば長く一緒にやっていたのに作品が残っていないよね」という話になった。
よしそれじゃあやってみるかという気持ちが急激に高まってできたのが、この『マイ・フェイヴァリット・シングス』なんだ。
この作品の大きな特徴は一言でいうと、自分が若い頃、ジャズに目覚めてからその時代その時代で好きだった曲に絞って演奏したことだろうね。
そして編成の中心は管楽器を入れたクインテット、セクステットにしていること。
というのも自分のジャズの原点は、なんと言っても高校のときに聴いたクリフォード・ブラウン~マックス・ローチのクインテットや
マイルス・デイヴィス、キャノンボール・アダレイ、ジョン・コルトレーンのセクステットだから。
そういう意味でいえば、流行とかセールスとか考慮せずに自分の好きなジャズを思う存分にやらせてもらったということになるんだよね。
まあ、今どき珍しいと思うよ、こういう好き勝手なアルバムを出すというのは。
ミュージシャンやスタッフ、関わってくれたすべての人に心から感謝ですよ。
かれこれレコーディングしてから3か月は経つかな。
ほとんど毎日のように聴いているけどぜんぜん飽きない。
自分の集大成・ベストな作品ができたなと思う。

(ライナーより抜粋/インタビューと構成:田中伊佐資氏)

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




* FUMIO KARASHIMA QUINTET / ジャズに生きる
辛島文雄(p), 楠井五月(b), 小松伸之(ds),
池田 篤(as,ss), 岡崎正典(ts,ss)
2015/ats-music/


1 Brilliant Darkness
2 I Should Care
3 Open The Gate
4 Riverside Nobody
5 'Round Midnight


名実共に日本を代表するジャズ・ピアニストの辛島文雄さんが亡くなりました。
2月24日、膵臓がん、68歳でした。
辛島さんはエルヴィン・ジョーンズが率いる「ジャズ・マシーン」に起用されて一気に人気ピアニストになりました。
ジャズの荒波を超えてきた顔付きというか、一見天才的な容貌で近寄りがたい感じがします。
でも実際は気さくな人でとてもファンを大事にする人でした。
私も何度か話をする機会がありましたがホントにやさしく接してくれたものです。
そんな辛島さんですが一旦ピアノに向けば物凄い圧倒的な演奏を聴かせてくれました。

私が一番好きだったのは2000年代初めのピアノ・トリオです。
天才ドラマーの呼び声が高かった奥平慎吾さんと実力ナンバー・ワン・ベーシストの井上陽介さんの組み合わせ。
このトリオが素晴らしかったです。

さて今作は闘病中の辛島さんを支援するために急遽作られたCDです。
収益金は全て辛島さんの治療費に充てられるというものです。
そういうことならと私もお付き合いさせてもらいました。
老舗ライブ・ハウスのピットインの2013〜2014におけるライブ盤です。

メンバー編成には特にうるさい辛島さんが選んだジャズ・メンに間違いはありません。
急ごしらえとはいえ充実した内容が詰まっていました。
たった5曲ですがトータル73分にも及ぶ熱演です。
各メンバーの好演もあり、辛島さんの気を抜くところがなく、いつでも全力投球の姿勢が垣間見えます。
熱烈なファンも数多くいる本当に素晴らしいミュージシャンでした。
カムバックしてつい最近まで演奏されていたので復活を期待しましたが残念ですね。
ご冥福をお祈りいたします。

涙なくしては聴けないアルバムになるかもしれません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系




*FUMIO KARASHIMA SOLO / MOON RIVER
辛島文雄(p)
2008/Videoarts/

辛島文雄さんのソロ・スタンダード・アルバム。
美しいピアノの音色に聞き惚れてしまいますよ。
使用ピアノは名器:ファツィオリF278




*FUMIO KARASHIMA TRIO / GREAT TIME
辛島文雄(p), drew gress(b), jack de johnette(ds)
2006/Videoarts/

アルバム・デビュー30周年を飾るにふさわしいスペシャルな作品!
辛島文雄の新生トリオ、遂にそのベールを脱ぐ。
(帯中よりの抜粋)




*FUMIO KARASHIMA TRIO / IT'S JUST BEGINNING
辛島文雄(p), 井上陽介(b), 奥平真吾(ds)
2004/VIDEOARTS MUSIC/

1 You And The Night And The Music
2 All Of You
3 Haunted Heart
4 Till Then
5 Mr.P.C
6 Mother Of Earl
7 It's Just Beginning
8 Comrade
9 My Funny Valentine
10 Rain
11 Un Poco Loco


今年のお盆中は辛島文雄さんのこのトリオをずっと聴いていました。
日本にもこんなに素晴らしいピアノ・トリオがあるということを再認識しました。
辛島さんは80年代にエルビン・ジョーンズ(ds)の”ジャズ・マシーン”に迎えられて以来、
ずっと第一線で活躍している実力者でファンの支持も大きいです。
さすがに当時の凄みはなくなったけれど、味わい深いピアノはまさにアブラが乗り切っている感じがします。
井上陽介(b)、奥平真吾(ds)とのコンビネーションも抜群です。
天才ドラマーと騒がれた奥平真吾さんも齢40を迎えようとしています。
井上陽介さんは真吾さんのニューヨークでの修行仲間だそうです。
辛島さんを中心に1本ビシーッと筋が通っている日本人ピアノ・トリオの決定版です。
日本にもこういう上質のピアノ・トリオがあるのは嬉しい限りです。
同メンバーのライブ盤には2001年録音の「THE ELYSIAN AIR」があります。
興味があれば、こちらも是非聴いて欲しいですね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*FUMIO KARASHIMA TRIO / THE ELYSIAN AIR
辛島文雄(p), 井上陽介(b), 奥平真吾(ds)
2002/Pit Inn/

エルヴィン・ジョーンズのスピリットを受け継ぐ国内唯一のピアニスト辛島文雄、8年ぶりのトリオ作が登場!
25年以上世界中で活躍してきた辛島がたどり着いた至上のメンバー。
ニューヨーク在住の井上陽介(b)と奥平真吾(ds)を迎えて行われた、至福のライブ空間を収録。
(帯中よりの抜粋)

2001年、沖縄でのコンサートの模様。
切れ味鋭く切り裂く辛島文雄のプレイが凄いです。
スピードに乗った疾走感が強烈です。




*FUMIO KARASHIMA DUO / RENCONTRE
辛島文雄(p), toots thielemans(hca)
1999/Verve/

辛島文雄とハーモニカのトゥーツ・シールマンスとのデュオ・アルバム。
堂々のぶつかり合いです。