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Dragon's Jazz Corner

Fredrik Lindborg (ts)


*FREDRIK LINDBORG QUARTET / THE ONE
fredrik lindborg(ts)
gustav lundgren(g), keiji rabson(b), moussa fadera(ds)
2009/Imogena/

スウェーデンのフレドリク・リンドボーグ(ts)はお初です。
今作はまずインパクトのあるジャケットに惹かれました。
内容を見てみるとギター・トリオをバックのテナーサックスのワン・ホーンアルバムです。
面白そうだなと思って購入しましたがこれが大当たりの大正解です。
一聴するやいなやルーツは明らかにソニー・ロリンズにあるのが一目瞭然でした。
音色は顔に似合わず野太く豪快、コールマン・ホーキンス〜ベン・ウエブスターやロリンズのテナーの王道をいきます。
ジーン・アモンズ〜イリノイ・ジャケー、デクスター・ゴードンの流れもあるし相当面白いプレイヤーです。

全10曲は7曲のオリジナルとその他3曲の構成です。
レギュラー・カルテットとしての歴史も長いようなのでコンビネーションは抜群、完成度も高いです。
全体を通して目立たず騒がず、ギタリストのグスタフ・ラングレンの趣味の良さも光ります。
ギターがバックのカルテットの面白さはギターはピアノほど多弁ではないのでサックスの存在感が増します。
それほど違和感がなく、すぐにギター・レスのトリオに変化できるのも大きな魅力です。
最初は少々とっつきにくいかもしれませんが聴いているうちに段々良くなってくるのは必定です。
特にロリンズを彷彿とさせるカリプソ・ナンバーの(2)「I FEEL LUCKY」と(7)「THE ONE」には心底痺れた。
セロニアス・モンク(p)の(4)「ASK ME NOW」の表現力や(8)「DEARLY BELOVED」のノリも素晴らしいです。
軽い4ビートの(11)「I CONCENTRATE ON YOU」では色気も十分でもうたまりませんよ。
何たる贅沢な時間・・・「これはいいなぁ〜」・・・久し振りに追いかけてみたいテナー奏者が現れました。
先進のアメリカじゃ多分出て来ない、懐古主義が色濃く残るヨーロッパだからこそ現れる逸材です。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)