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Dragon's Jazz Corner

Francesco Cafiso (as)


* FRANCESCO CAFISO NONET / WE PLAY FOR TIPS
francesco cafiso(as,fl), marco ferri(ts,cl), sebastiano ragusa(bs,bcl),
francesco lento(tp,flh), alessandro presti(tp,flh), humberto amesquita(tb),
mauro schiavone(p), pietro ciancaglini(b), adam pache(ds)
2017/Incipit/

1 Blo-Wyn'
2 20 Cents Per Note
3 Intentional Mood
4 Al-Fred
5 16 Minutes Of Happiness
6 Boobee's Attitude
7 Pop's Character
8 Recreating
9 Business Of The 30s
10 See You Next Time


フランチェスコ・カフィーソ(as)は1989年生まれ、イタリア出身です。
「イタリアにアルト・サックスの神童現る」と騒がれたカフィーソも今年でもう30歳になったんですね。
カフィーソは一応収集対象なんですが焦らずのんびりと集めています。
カフィーソがどういう方向に進むのかは興味がありました。
なぜならリー・コニッツ(as)の後継者と考えていた時期があって純フリーに行くかもと思っていたから。
元々カフィーソはセロニアス・モンクの影響も大きいです。
それが9重奏団の作品を出すとはいささか意外な感じがしました。
もっともよく考えてみるとカフィーソを「イタリアで見つけた宝石」と評価したのはウィントン・マルサリス(tp)だった。
ウィントンもまた大きな編成に向かったことがあるのでこの方向は必然かもしれませんね。
もちろんデューク・エリントン(p,comp)からの影響は逃れられない。

全10曲は全て自身のオリジナルで占められアレンジもまた彼自身が行っています。
つまり今作にはカフィーソの作・編曲能力の全てが詰まっていると言えます。
分厚いアンサンブルとハーモニーは演っていて面白かったんじゃないかな。
カフィーソの気合ノリが伝わってくるような作品になっています。
スマートですが時にフリー・トーンを交えて自由自在に展開しています。
この手の作品は売れ筋からはちょっと離れるとは思うけどカフィーソのこういう姿勢は好きですね。
デビューが早かっただけにまだまだ若い、やりたいことをやればいいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / MOODY'N
francesco cafiso(as),
dino rubino(tp), giovanni mazzarino(p), rosario bonaccorso(b)
2011/Verve/

フランチェスコ・カフィーソ(as)は収集対象の一人です。
デビュー時には天才の誉れが高かったけどまだ十代ではただ上手いだけと思って避けていた経緯があります。
しかし2010年発売の「4 Out」を聴いてその評価が一変しました。
力強く鋭角的なアルトの音色、アタックの強さ、表現力の多様さにたまげてしまいました。
驚異的なインプロビゼーションに鳥肌が立ちましたよ。
それからしばらくの間、さかのぼってカフィーソを聴いていました。

今作は2011年の作品でドラムレス・カルテット。
全10曲は自身のオリジナル4曲とその他6曲の構成です。
敬愛するチャーリー・パーカーの3曲が目を引きます。
これを買うのにあたって実はディノ・ルビノのトランペットに一抹の不安がありました。
2008年の「PORTRAIT IN BLACK AND WHITE」で懲りたからです。
実力差があり過ぎる・・・その時にはピアノに専念して欲しいと書きました。
たしかに成長のあとは見えますがまだまだだと思います。
なぜカフィーソが共演するのか?
二人がよほど気の合う親友同士でも作品作りとしては残念です。

でも、カフィーソのプレイは相変わらず素晴らしいです。
表題曲の(3)「Moody'n」はベースとのデュオですがその迫力に圧倒されてしまいました。
溢れ出る刺激的なフレーズは力強く、破壊力のあるアルト奏法というのがぴったりです。
これがカフィーソの神髄でやはり凄いと思いました。
続く(4)「In A Ghost Way Of Love」は印象的なテーマで心に残りました。
(8)「Secret Ways Of Inviolable Beauties」はピアノ、ベースとのトリオ演奏でじっくりと聴かせてくれました。
バラードの表現力に長足の進歩が認められます。
決めどころではルビノを抜いているので、先述の実力差うんぬんは「よく分かっているんだ」と思います。
カフィーソのオリジナルはひとひねりあって中々に面白くモンクの影響が強いと思う。

カフィーソの我が道を行くというスタイルはいいですね。
やりたいようにやる・・・決して大衆に迎合していません。
これでいいと思います。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / 4 OUT
francesco cafiso(as,fl,ss),
dino rubino(p), paolino dalla porta(b), stefano bagnoli(ds)
2010/ABEAT Records/

1 Everything I Love
2 Enigmatic Night
3 King Arthur
4 How About You
5 I Hear A Rhapsody
6 Bach's Flower
7 Just In Time


アッと驚く為五郎・・・恐れ入谷の鬼子母神です。
大きな勘違いをしていました。
私は気が付くのが遅いです。
改めて先入観念は良くないと実感しました。

昨年のベスト3にフランチェスコ・カフィーソ(as)の名前がありました。
で、一気に興味が湧いてきたんです。
デビュー時には天才の誉れが高く、日本のVレーベルから何枚か出ているのも知っていました。
でも、まだ10代ではただ上手いだけなんだろうとたかをくくっていたのも事実です。
私は天才といわれるだけで引いてしまうところもあります。
ミシェル・ペトルチアーニ(p)以来、真の天才に出合ったことがないから・・・。
そんなこともあってカフィーソを聴いたのは初めてです・・・ユーチューブを見たこともないし。

ベスト3のアルバムを買おうと思ったら3000円以上のお値段、えらく高いんですね。
ユーロ安や円高はどこに行ったと思いましたよ。
それならばと選んだのが2010年に発売されたこのカルテットです。
正直、驚きました・・・文句なしの本物・・・カフィーソは正真正銘の天才だったかもしれません。
ここに収録されている全てが素晴らしかった。
これだけ完成度の高いアルバムは珍しいと思います。

今作は全7曲、スタンダード4曲とオリジナル3曲の構成でバランスがいいです。
各人のソロ・スペースも十分で現在のカフィーソの音楽性やスタイルを聴くことができました。
まずは(1)「EVERYTHING I LOVE」で力強く鋭角的なアルトの音色が飛び出してきました。
圧倒的な迫力のある音色・・・一発一瞬で心を鷲づかみされた感じです。
続く切れ味鋭いピアノ・ソロやベース・ソロも素晴らしかった。
実際、どのトラックも聴きどころが多くて目移りしてしまうほどです。
オリジナルも多彩な音楽性を持っているので作曲家としての才能も感じます。
ベスト・トラックはオリジナルの(3)「KING ARTHUR」でしょうね。
ここでのカフィーソのソロ・アルト・プレイがもの凄い、
アタックの強さ、表現力の多様さにたまげてしまいました。
驚異的なインプロビゼーションに鳥肌が立ちましたよ。
ピアノ・トリオが入ってくると益々その勢いが増してきます。
バックも強烈な反応を示していてこれはもう素晴らしい演奏が聴けました。
実は10分強のこの曲が一番長いですがカフィーソのソロがあまりに凄いので
あとのメンバーのソロがかすんでしまった感が強いです。
同じくオリジナルの(2)「ENIGMATIC NIGHT」でのバラード・プレイもまたいいんだな。
見事な抑揚感でとても20歳ソコソコとは思えない落ち着きです。
溢れ出る情感とよどみないフレーズ・・・やっぱりこの人の才能は尋常ではなかった。
(4)「HOW ABOUT YOU」はベースのダウリノ・パラ・ポルタやピアノのディノ・ルビノに焦点が当たります。
ここではルビノのピアノが聴きどころになりました。
(7)「JUST IN TIME」もまた強烈な印象を残しました。
原曲の面影はほとんどなしで全身全力で疾走します。
カフィーソの自由奔放なアルト、大胆不敵なルビノのピアノ、強靭なポルタのベース・プレイ、
常に多弁で強力なリズムを押し出すステファノ・バグノリも素晴らしいです。
何しろこのカルテットには参った。
一味どころか、二味、三味も違う・・・実に魅力的なグループです。

これからカフィーソはどうなっていくのか?・・・大きな可能性を秘めていると思います。
最近はあまりショックを受けるプレイヤーは少なくなりました。
久々に過去にさかのぼって聴きたくなったプレイヤーが現れました。
「10で神童,15で天才,20過ぎたらただの人」じゃないみたいです。

リー・コニッツ(as)が衰えたと思ったら次世代にカフィーソが出て来たのは不思議な因縁を感じます。
なにしろ音に力があるし、アタックの強さが尋常ではありません。
現状に満足せず・・・今後は間違いなくフリーにも足を踏み込んでいくと思います。
というか、そうなって欲しいです。
真にコニッツの後継者になれるかどうかはそれにかかっているんじゃないかな。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(まじめ系)




*FRANCESCO CAFISO & DINO RUBINO /TRAVEL DIALOGUES
francesco cafiso(as,ss,fl), dino rubino(p,tp,flh)
2010/Jazzy/

フランチェスコ・カフィーソ(as)は収集対象の一人です。
今作は盟友ディノ・ルビノとのデュオです。
まぁ〜、余程のファンでなければ手が出ないと思います。
事実、私もそれほど期待していなかった。
でも、聴いてみると驚きの内容が詰まっていました。

これは名盤・・・素晴らしいですよ。

よく知られたスタンダード・ナンバーの間に即興演奏が収録されています。
これもまた面白い構成ですね。
いつも言っていますがルビノのトランペットはイマイチです。
ここではほぼピアノに専念していてカフィーソとのコンビネーションが聴きどころになります。

まるで間近で二人の会話を聞いているような気がします。
ゆったりとしっとりと時間が流れてゆく。
まさに「即興はジャズの生命」です。
これをBGMで流せば仕事がはかどるかな。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / ANGELICA
francesco cafiso(as),
aaron parks(p), ben street(b), adam cruz(ds)
2009/Cam Jazz/

1 A Flower Is A Lovesome Thing
2 King Arthur
3 Angelica
4 December 26th
5 Peace
6 Scent Of Sicily
7 Waiting For
8 Why Don't I
9 Winter Sky


さかのぼって聴くフランチェスコ・カフィーソの第六弾です。
今作は19歳の時、10代最後の作品になると思います。
自己のオリジナルにビリー・ストレイホーン、デューク・エリントン、ホレス・シルバー、
ソニー・ロリンズの曲などを演奏しています。
共演はアーロン・パークス(p)、ベン・ストリート(b)、アダム・クルーズ(ds)、
ニューヨークの最先端をいくトリオをバックにした作品です。

ここでもカフィーソは物怖じせず堂々と渡り合っています。
っていうか、主役は明らかにカフィーソでその感性の素晴らしさには驚嘆しました。
聴けば一目瞭然です・・・バックの3人も好演しています。
これも凄かった・・・どれを取っても第一級のアルト・サックス・ソロが聴けます。
ジャケットはいかにも甘いけれど中味には強烈な味が隠されていました。
背中がゾクゾクとして涙が出そうになった・・・ジャズは永遠に不滅です。
カフィーソの将来を期待せずにはいられません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)




*FRANCESCO CAFISO / VERY EARLY !
francesco cafiso(as),
gianni basso(ts), stefano bollani(p), fabrizio bosso(tp),
paolino dalla porta(b), franco d'anddrea(p),etc
2009/Philology/

先日宣言したとおりにフランチェスコ・カフィーソ(as)をさかのぼって聴いています。
しかしながら、いきなりここまではどうかと思いましたがこの際なので買ってみました。
なんと11歳の時の演奏ですが録音状態もいいので驚いてしまいました。
共演者もジャンニ・バッソ(ts)、ステファノ・ボラニ(p)、ファブリジオ・ボッソ(tp)、
パオリノ・ダラ・ポルタ(b)、フランコ・ダンドレア(p)などイタリアの一流どころがずらりと並んでいます。
これだけみてもカフィーソが只者ではないということがよく分かりました。

ジャケット写真だってとても11歳やそこらには見えませんよ。
すでにジャズ・プレイヤーとしての雰囲気があります。
演奏は「凄い〜!」です・・・「どうにかしてるぜ、アンタ」・・・っていう感じで驚きました。
アップ・テンポはともかく(6)「MY FUNNY VALENTINE」、(2)「LOVER MAN」、
(11)「IN A SENTIMENTAL MOOD」などのバラードなんかも軽々と吹きこなしています。
もっとも若さで尖がっている分、音色が耳に響いて、聴いていて疲れますが。
カフィーソに焦点が当っているので途中でカットされる曲もあってかなり粗っぽい作りになっています。

面白かったのは協調性はまったくなし、好き勝手に吹いてました。
あとは周りが「何とかしてくれるだろう」ってなもんです。
年齢的にしょうがないですね・・・考えてみれば全然物怖じしないところも凄いと思います。
実はこの傾向は20歳を過ぎた今でもあるのではと思っています。
だからワン・ホーンで自由奔放に吹いている時が一番輝いているような気がします。
このままあんまり周りに合わせて欲しくない・・・自己中心でいいんじゃないかな。
「自由に羽ばたけ、フランチェスコ・カフィーソ」

「Lover Man」、「Meditation」、「Now's The Time」、「Mu Funny Valentine」、
「My Foolish Heart」、「Some Day Prince Will Come」、「Billie's Bounce」、
「In A Sentimental Mood」、「Airegin」、「Very Early」

(中間系




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / PORTRAIT IN BLACK AND WHITE
francesco cafiso(as),
dino rubino(tp), giovanni mazzarino(p), nello toscano(ds)
2008/Venus/

さかのぼって聴くフランチェスコ・カフィーソの第七弾です。
カフィーソはいいけれど如何せんディノ・ルビノのトランペットがどうにもなりません。
ルビノはピアノとの両刀遣いのようですがはっきりピアノだけにした方がいいです。
せっかく凝った曲目を選択しているのに惜しいです。

・・・ちなみに宣伝文句はこんな感じ・・・
天才アルトサックス・プレイヤー、フランチェスコ・カフィーソ十代最後の青春を描いた
記念的なジャズの肖像。
全員シシリー出身の名手を揃えたスペシャル・バンド、シシリアン・カルテットで
チャーリー・ヘイデンやスティーブ・スワローの等のジャズ・スタンダードを
エモーショナルに演奏した傑作アルバム
(帯中より抜粋)

「Detour Ahead」、「You And The Night And The Music」

(中間系)




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / HAPPY TIME
francesco cafiso(as)
riccardo arrighini(p), aldo zunino(b), stefano bagnoli(ds)
2006/CamJazz/

1 Louisiana
2 She Loves Me
3 Happy Time
4 Anabel
5 Blues For Angel
6 Sir Charles
7 Goodbye Elvin
8 The Bear


さかのぼって聴くフランチェスコ・カフィーソの第四弾です。
先日紹介したVレーベルの「NEW YORK LULLABY」の録音が16歳の6月で今作は10月です。
前者が全曲スタンダードならこちらは全曲カフィーソのオリジナルになっています。
一対のアルバムと考えてもいいかもしれませんね。

(3)「HAPPY TIME」を除いては全て誰かに捧げる曲になっています。
(1)「LOUISAINA」はジェームス・ウィリアムス(p)、(7)「GOODBYE ELVIN」はエルヴィン・ジョーンズ(ds)、
(5)「BLUES FOR ANGEL」はお父さん、(2)「SHE LOVES ME」はガールフレンドといった具合です。
そんなことを考えながら演奏している時が「一番幸せ」ということなんでしょうね。

聴いてみるとカフィーソは作曲家としても非凡な才能を持っていました。
やはり相当違う・・・普通じゃない・・・ただ上手いだけのジャズ好きな若者ではありません。
緩急を問わない抜群のリズム感といい、多彩で自由自在な表現力といい、まだまだ成長途上です。
前述の(7)「GOODBYE ELVIN」なんかもいい感じで聴けました。
言い古された言葉でも使うしかないですね・・・「とても16歳には思えない。」
ジャズ全盛期の50年代に出現した多くのジャズ天才児に匹敵するのではないかな。
これからどう成長していくのか、本当に楽しみです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / SEVEN STEPS TO HEAVEN
francesco cafiso(as),
andrea pozza(p), aldo zunino(b), nicola angelucci(ds)
2006/Venus/

1 Seven Steps To Heaven
2 Green Chimneys
3 Yesterdays
4 On THe Trail
5 My Funny Valentine
6 Milestones
7 Crazeology
8 Skylark


さかのぼって聴くフランチェスコ・カフィーソの第五弾です。
先日紹介したVenusレーベルの「NEW YORK LULLABY」の録音が16歳の6月、
Camレーベルの「HAPPY TIME」が16歳の10月でした。
今作は17歳の1月の録音です。
今どきたった8ヶ月で3枚のアルバムをリリースするって珍しいんじゃないかな。
それだけ注目されていた証拠ですね

Venusレーベルのスタンダード作品集の第二弾です。
さすがに大スタンダード集なので消化不良になった部分もありました。
惜しかったのは(5)「MY FUNNY VALENTINE」で解釈は新鮮でもやや迷いを感じました。
タンゴ・・・意図は分かるんだけどねぇ〜・・・いまひとつ突き抜けなくて残念です。
特に素晴らしかったのは(2)「GREEN CHIMNEYS」でこれにはインパクトがありました。
ドラムとのコンビネーションは圧巻です。
これを聴いたら誰もがカフィーソの天才を疑わないと思います。
あと、ドラマーのニコラ・アンジェルッチにも注目しました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)




*FRANCESCO CAFISO QUARTET / NEW YORK LULLABY
francesco cafiso(as),
david hazeltine(p), david williams(b), joe farnsworth(ds)
2005/Venus/

1 Lullaby Of Birdland
2 Reflections
3 Polka Dots And Moonbeams
4 My Old Flame
5 Estate
6 What's New
7 Imagination
8 Willow Weep For Me
9 Speak Low


さかのぼって聴くフランチェスコ・カフィーソの第三弾です。
カフィーソの日本デビュー盤は16歳の時、今からもう7年も前のことになるんですね。
もちろん、このアルバムの存在は知っていましたがノーマークでした。
改めて聴いてみるとこれも良かったです。

Vレーベルの特徴であるスタンダード作品集。
バックはデヴィッド・ヘイゼルタイン(p)、デヴィッド・ウィリアムス(b)、ジョー・ファーンズワーズ(ds)
というものでエリック・アレキサンダー(ts)ならそのまま「ジェントル・バラード」になるかな。

カフィーソはまず音色が実に鋭角的で若々しく漲る力強さがあります。
ソロも恐ろしいほどスムーズで驚くしかありません。
多分、メンバーからは「好きなように吹いていいよ」って言われていたんでしょうね。
各曲にカフィーソの感性が溢れています。
鋭く突き刺さる音色は老体には堪えるけれど心にもビンビン響いてくる。

・・・ベストは(5)「ESTATE」・・・
つい、「あ〜、いいなぁ〜」とつぶやいてしまいました。
これほど刺激的で魅力的な「エスターテ」は聴いたことがありません。
「エスターテ」(夏)はイタリアのピアニスト、ブルーノ・マルティーノの作品です。
やはり、イタリア人の心はイタリア人が一番よく分かるということですね。
ここでも定番のボサノバのリズムで演奏されましたがこれは本当に素晴らしかった。
(7)「IMAGINATION」はピアノとのデュオなんだけどここにも才能がきらめいていました。
モンクの(2)「REFLECTIONS」や(6)「WHAT'S NEW」のバラードも良かったです。
(8)「WILLOW WEEP FOR ME」のハジケ具合も半端じゃない。
他にも聴きどころがいっぱいで1曲が終わるたびに「うーん」と唸ってしまいました。
やっぱり凄い・・・ウィントン・マルサリス(tp)が「イタリアで見つけた宝石」と言ったらしい。

ひとつ言えることはカフィーソはもうこのようにストレートにスタンダードは
吹かないのではないかということです。
そういう意味でも貴重なアルバムといえるのかもしれませんよ。

[ ドラ流目立たないけどいいアルバム ]

(中間系)




*FRANCESCO CAFISO & STRINGS / A TRIBUTE TO CHARLIE PARKER
francesco cafiso(as)
2005/Umbria Records/

1 I'll Remember April
2 What Is This Thing Called Love
3 Out Of Nowhere
4 Everything Happens To Me
5 Summertime
6 They Can't Take That Away From Me
7 Dancing In The Dark
8 Laura
9 I Didn't Know What Time It Was
10 Just Friends
11 April In Paris
12 Easy To Love
13 I'm In The Mood For Love
14 Yesterdays
15 I Should Care
16 If I Should Lose You
17 Repetition
18 Prayer For Charlie


さかのぼって聴くフランチェスコ・カフィーソの第八弾です。
2005年の録音なのでカフィーソが15歳か16歳になったばかりの年。
現代の天才アルト奏者に元祖天才チャーリー・パーカーを吹かせようという企画です。
まぁ〜、凄く安易な企画なんだけどその気持は分かるような気がしました。
聴いてみると驚きの内容が詰まっていました・・・音色もスイング感も素晴らしいです。
恐ろしいという表現がピッタリかも・・・年齢は関係なく「いいものはいい」と再認識させられました。

お気づきの方も多いように今作はパーカーの「ウィズ・ストリングス」を踏襲したものです。
曲目もデザインの傾向もほぼ同じです。

著名なホーン奏者はウィズ・ストリングスというアルバムをよく作ります。
でも、世のジャズ・ファンの評価はいまひとつという場合も多いです。
それはなぜか?
ジャズ特有のインター・プレイや刺激に欠けるということがあるかもしれませんね。
でも一人のプレイヤーをじっくりと聴けるという点では大きな魅力があります。

この大スタンダード作品集は良かった・・・カフィーソの原点がここにあります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)




*FRANCESCO CAFISO & RICCARDO ARRIGHINI TRIO
/ CONCERTO FOR MICHEL PETRUCCIANI

francesco cafiso(as),
riccardo arrighini(p), amedeo ronga(b), stefano rapicavoli(ds),
2004/Philology/

Disk1
1 Chloe Meets Gershwin
2 Why
3 Pasolini(A.Romano)
4 Our Tune
5 Hidden Joy
6 She Did It Again

Disk2
1 Brazilian Like
2 Even Mice Dance
3 Montelimar
4 You Are My Waltz
5 Cherokee(R.Noble)
6 Body And Soul(J.Green)


今年の初聴きはフランチェスコ・カフィーソ(as)に決めていました。
カフィーソは収集対象の一人です。
2枚組は中々に買いにくいですが今回ようやく入手しました。
今作はミシェル・ペトルチアーニの作品に焦点を当てたものです。
2枚組全12曲中、9曲がペトの作品、その他3曲の構成です。
2004年の録音なのでカフィーソが14歳か15歳の時の録音です。
まぁ〜、凄いです・・・天才の天才たる所以の演奏が詰まっていました。

圧倒的な存在感を放つ音が飛び出てきました。
甲高く硬質的な音色が特徴です。
突き抜けてくるというか、心に刺し込まれるような気がします。
「Cherokee」の超高速演奏、「Body And Soul」のバラード奏法も聴きどころになります。
これがライブ演奏ということを考えるとまさに驚異的というしかありません。

共演のリッカルド・アリギーニ(p)・トリオも素晴らしいです。
アリギーニ名義の作品は持っていいないのでちょっと聴いてみたくなりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)