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Dragon's Jazz Corner

Ambrose Akinmusire (tp)


*AMBROSE AKINMUSIRE QUINTET / WHEN THE HEART EMERGES GLISTENING
ambrose akinmusire(tp,voice), walter smith V(ts)(1,2,4,6,10,12)
gerald clayton(p), harish raghavan(b), justin brown(ds)
2011/Blue Note/

遅ればせながら、注目のアンブローズ・アキンムシーレ(tp)を聴いてみました。
最近ちょっとトランペットが聴きたい気分なんです。
今作はアンブローズの2枚目のリーダー・アルバムです。
全13曲は2曲を除いて自身のオリジナルで曲によってメンバーの組み合わせが変わります。
アンブローズはカリフォルニア州のオークランド出身の現在31歳、
この作品の吹き込み時は29歳でした。
若手ジャズ・マンの登竜門のモンク・コンペ優勝者でもあります。
つまり実力は折り紙付きです。

サウンドは一見おどろおどろした、お化けが出てきそうな感じがしました。
聴いていると何か出てくるかもしれないという不安と緊張感がありました。
アンブローズは語るように自在にトランペットを操る・・・表現力は抜群です。
1曲目の「Confessions」を聴いただけで驚きました。
強烈な印象を残す凄いトランペッターが現れました。
先進のジャズ・トランぺッターとしては久々に出現した改革派の新星かもしれませんね。
ルーツはマイルス・デイビス〜テレンス・ブランチャードでしょうか。
マイルスやテレンスに似た創造性と語りかけるようなメッセージ性を持っています。
聴いていると強いメッセージを突き付けられているような気がする。
ただ1曲のスタンダードに「What's New」を選んだのもそんな意図があると思います。
このようにメッセージ性のあるジャズを聴くのは久し振りかもしれない。
サウンドには後期マイルス・クインテットに通じる何かを感じました。
迷い、焦燥、混沌とした不安の中でギリギリ調和している感じが何とも言えません。
普通は分散と集合を繰り返しますが分散したまま終わるという感じもあって新鮮です。

メンバーそれぞれに力があってバランスもとれています。
ウォルター・スミス(ts)とジェラルド・クレイトン(p)はすでに実績も十分です。
ハリシュ・ラガバンはブンブンと鳴り響く野太いベース・プレイで迫る。
近年のサウンドの決め手はドラムスになることが多いと思っています。
ドラマーがどれだけ多弁になれるか、存在感を出せるのか、を問われています。
それによってサウンドのイメージがガラッと変わってしまいます。
ここでのジャスティン・ブラウンもその例に漏れず猛烈なドラミングを聴かせてくれました

アンブローズが持つ独自のサウンドはいわゆる玄人受けするジャズです。
多くのジャズ・ファンに受け入れられるかといえばむずかしいかもしれません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)