ben wolfe(b), luis perdomo(p), gregory hutchinson(ds),
marcus strickland(ts), ryan kisor(tp)
2011/Smalls Live/
ベーシスト、ベン・ウルフ・クインテットのライブ盤です。
ベンはハリー・コニック・Jr(p,vo)、ウィントン・マルサリス(tp)、ダイアナ・クラール(p,vo)等と共演しています。
全9曲はベン・ウルフのオリジナルで全体的には一筋縄ではいかない曲が並んでいます。
作曲家、アレンジャー、コンポーザーとしての才能もあります。
(2)はどこかで聴いたことがある曲調だと思ったら「FOR THE GREAT SONNY CLARK」の題名でした。
ソニー・クラークは日本では「クール・ストラッティン」が大人気ですがアメリカではイマイチと聞いています。
こういうのが出てくると嬉しいですね。
この「Birth Of The Cool」は1950年録音も”売れっこない”との理由でお蔵入り。
世に出たのは6年後の1956年でした。
マイルスの「才能があれば黒人も白人も関係ない」というのは当時の黒人にしては斬新な発想らしい。
やっぱりマイルスは人よりも一歩も二歩も前を歩いていたということですね。
(535) NGUYEN LE QUARTET / SONG OF FREEDOM
nguyen le(g,comp),
lllya amar(vib,mar,ele), linley marthe(elb,vo), stephane galland(ds),
guest:youn sun nah(vo), dhafer youssef(vo), david linx(vo), ousman danedjo(vo),
julia sarr(vo),himiko paganotti(vo), david binney(as), chris speed(cl),
pradbhu edouard(vo),stephane edouard(per),karim ziad(per) a.o.
2011/ACT/
(532) DAVID BUDWAY SOLO & TRIO & QUARTET & QUINTET & SEXTET
/ A NEW KISS
david budway(p), eric revis(b), jeff"tain"watts(ds),
branford marsalis(ss)(02), marcus strickland(ss)(01,10,11),
ron affif(g),(10,11), joe"sonny"barbato(accrdian)(11)
2011/Max jazz/
演目はオリジナル7曲、スタンダード4曲の構成です。
1曲目は日本の印象を書いたもの・・・よほど日本のブランチが気に入ったようですね。
それでネクタイも蛸唐草なのかな。
バドウェイは実力も相当なものだと思います。
ブランフォードもマーカスはソプラノで参加・・・二人はあくまでゲストでバドウェイは自分の主張を貫いています。
名前でも実力でも負けていません。
面白かったのは(6)「ROUND MIDNIGHT」と(8)「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」の2曲。
この大スタンダードはソロ・ピアノで演奏されましたがいかにもラウンジ風だったのが面白かったです。
あちこちで弾き語りの仕事をしていたのは想像にかたくありません。
ジェフ・ワッツとのコンビネーションは抜群で(7)「MAINTAIN SPEED THROUGH
TUNNEL」で聴けます。
表題曲の(9)「A NEW KISS」はいかにも今風のピアノ・トリオの疾走感で飛ばします。
このアルバムには色んな料理が並んでいました・・・多彩な曲想で飽きさせません。
バドウェイは幅広い音楽性を持つコンテンポラリーなピアニストで楽しめました。
(中間系)
(531) SEAMUS BLAKE QUINTET / LIVE AT SMALLS
seamus blake(ts),
lage lund(g), david kikoski(p), matt clohesy(b), bill stewart(ds)
2010/Smallslive/
エディ・コスタは独自の感性を持ったピアニストでヴァイブ奏者としても知られています。
才能豊かで、「さぁ〜、これから」という時に交通事故で亡くなってしまいました。
まだ31歳だったんですよ・・・そういう意味でもコスタ参加のアルバムはどれも貴重といえます。
ヴィニー・バークはそのコスタと共に行動したベーシストです。
よく知られているのはギタリストのタル・ファーローとの共演盤かな。
「Tal」や「Swinging Guitar of Tal Farlow」で聴くことができます。
聴いてもらえばすぐに分かりますが後藤さんには独特の世界があります。
それぞれの演奏には必ず起承転結の物語り性があるんです。
加えて根底にはユッタリとしたスイング感があってとても心地いいんです。
聴いているとまるで揺りかごに乗っているような気がしますよ。
全体的にはバラードからミディアム・テンポで演奏されています。
(6)「MY ONE AND ONLY LOVE」の美しくも深遠な世界にはもう参った。
ライブとは思えないほど完成度が高く後藤さんの実力の証しです。
(5)「WORDS AND MOOD」はテーマがトリッキーで面白く異色な展開になっています。
3人の思い切ったプレイとワイルドな部分を聴くことができました。
最初はデスモンドを意識し過ぎたところがあるかもしれないと思いました。
ところが何回か聴いているうちにそれだけではないことに気付いたんです。
自己のサウンドを持っている・・・案外に凝った部分もあって楽しめました。
ベストは(9)「DESMOND BLUE」で醸し出す雰囲気が素晴らしい。
(7)「TAKE FIVE」は中近東的アプローチで面白かったです。
(5)「THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE」の4ビートに乗った演奏も良かった。
ババドは名手、ライブを感じさせないクールで落ち着いた仕上がりは実力の証しです。
メンバーもそれぞれが安定した力の持ち主のようで手慣れています。
聴き易く居心地の良いアルバムでした。
(くつろぎ系)
(518) THE BILL MCBIRNIE DUO & QUARTET / MERCY
bill mcbirnie(fl),
robi botos(p), pat collins(b), john summer(ds)
2010/Extreme Flute(Bill McBirnie)/
ライブ会場で矢野眞道(vo)さんから手渡しで入手しました。
まさに満を持した制作のようで矢野さんの特徴が良く出たアルバムだと思います。
男性のカーメン・マクレー(vo)に捧げる作品になっているのも珍しいんじゃないかな。
全14曲は選曲もよく考えられていて曲目によってメンバーも変わります。
(5)はベース、(9)はギター、(14)はピアノとのデュオです。
(1)「LIKE A LOVER」、(3)「INVITATION」、(5)「A SONG FOR YOU」、
(7)「DREAM OF LIFE」がお気に入り、大好きな曲の(6)「I'M GLAD THERE IS YOU」はボサノバ。
気心の知れた共演陣も好演していて、構成もいいし、まさに珠玉の名曲揃いです。
宮前幸弘さんのピアノ、岩谷耕資郎さんのギター、伊勢秀一郎さんのトランペットがいい味わい。
こういった感じのボーカルは私にとっても新鮮味に溢れていました。
スタンダードにオリジナルを混じえての演奏は聴きどころも多いです。
ボサノバの(2)「DAYS OF WINE AND ROSES」、モダンな(4)「IT COULD HAPPEN TO YOU」、
バラードの(7)「ROMEO」、モーダルな(1)「SOUND AND SENSE」、(7)「OUT OF SIGHT」など。
特にバラードの(9)「YOUNG AND FOOLISH」が素晴らしい。
これが23歳の演奏かと思いましたよ・・・当時のジャズ・プレイヤーの才能と早熟ぶりは驚かされます。
ジャック・ウィルソン(p)やカーテス・アミー(ts,ss)の参加も嬉しいです。
このサウンドは現在でも十分に通用する・・・未だに色褪せていません。
ヴァイブラフォン・ファンなら必携かも・・・。
(くつろぎ系)
(514) AARON DIEHL TRIO / LIVE AT THE PLAYERS
aaron diehl(p), david won(b), quincy davis(ds)
paul sikivie(b)(1,6), lawrence leathers(ds)(1,6)
2010//
選曲もなかなかに凝っていて構成も面白いと思いました。
スタンダードも一味違う色んなタイプの歌が混じっていて個性的です。
バックはトリオや管入り、4管の分厚いハーモニーやアンサンブルにも魅力あります。
最近はボーカルのこういう編成も珍しいんじゃないかな。
私的ベストは(4)「A HOUSE IS NOT A HOME」で〜(5)「JEANNINE」の流れが素晴らしい。
(8)「SO MANY STARS」も良かった。
その他にも聴きどころは色々ありました。
やっぱりこのふわっとした自然体がいいと思う。
(くつろぎ系)
(509) BENJAMIN DRAZEN QUARTET / INNER FLIGHTS
benjamin drazen(as,ss)
jon davis(p), carlo de rosa(b), eric mcpherson(ds)
2010/Posi-Tone Records/
選曲を見るとそのまま稲葉さんのジャズ人生が見えるようです。
曲名のYOUをジャズやベースに置き換えるとそんな思いが感じられます。
モダン・ジャズの名曲、ウェストンの(3)「HI-FLY」、モンクの(4)「WELL
YOU NEEDN'T」がいい。
ここには抜群のスイング感を支えるベーシストがいます。
バラードなら(7)「A GHOST OF A CHANCE」が聴きどころになるかな。
これははっきりと面白いアルバムです。
バス・クラリネットだけの珍しくユニークな作品ということだけではありません。
オリジナル、ピアソラ、ショパン、エリントン、スタンダードetc・・・。
曲想も変化に富んでいて内容的にも充実した素晴らしい作品になりました。
それぞれがデュオかトリオで演奏されています。
こういうところもミュージシャン同士の対話を大事にする竹内さんのこだわりの一つだと思います。
バスクラ&ピアノ、ギター、ベース、ドラムスのデュオと色んな組み合わせのトリオが楽しめます。
どの曲もいいので目移りして選ぶのもむずかしいです。
多分、聴く人によって選ぶ曲がまったく違ってくるでしょうね。
私は(4)「I LET A SONG GO OUT OF MY HEART」、(6)「BEAUTIFUL LOVE」を選びました。
wolfgang muthspiel(g), andy scherrer(sax), larry grenadier(b)
2010/Material Records/
オーストリアのウォルフガング・マスピール(g)の新譜です。
ドラムレスですが表題が「DRUMFREE」の意味するところを聴きたかった。
スイスのアンディ・シェラー(ts)にラリー・グレナディア(b)の組み合わせ。
全曲、ウォルフガングのオリジナルです。
doug webb(ts,ss), stanley clarke(b), gerry gibbs(ds),
joe bagg(p)(1,5,6), larry goldings(p)(2,4,8), mahesh balasooriya(p)(3,7)
2010/Posi-Tone Records/
ダグ・ウェブ(ts,ss)は初見、多分このレーベルも初めてです。
ジャケットには楽器もメンバーも書いていないので「何の人?」ってお店の人に聞いてしまいました。
こういうのは紛らわしくていけません。
でも裏には曲目が書いてあって、これがスタンダードばかりなので「まぁ〜問題ないか」と思いました。
家に帰って開封してみるとスタンリー・クラーク(b)やラリー・ゴールディングス(p)の名前がありました。
実際、「メンバーは誰なんだろう」と楽しみな気分もありましたよ。
ベースのスタンリー・クラークは上原ひろみさんと組んで今年のグラミー賞を取ったのは記憶に新しいところ。
ピアニストが3人聴けるのもお徳用です。
やはり西海岸の流れを踏襲しているのか、スマートな雰囲気を持っていると思います。
テナー・サックスが(1)、(4)、(5)、ソプラノ・サックスが(2)、(3)、(6)、(7)、(8)です。
テナーは(5)「YOU'VE CHANGED」、ソプラノは(2)「THEN I'LL BE TIRED OF YOU」がゆったりとした流れ、
ジャズ的にはポスト・バップの香りが強い(7)「BLUESETTE」と(8)「SLOW HOT WIND」が秀逸でした。
柔らかなビック・トーンの持ち主、オーソドックスで聴き易く、意外に拾い物のサックス・アルバムだと思います。
面白いはソプラノでこちらは身体に似合わぬ繊細なプレイを聴かせてくれました。
(中間系)
(500) MARIANE BITRAN & MAKIKO HIRABAYASHI QUINTET / GREY TO BLUE
mariane bitran(fl), makiko hirabayashi(p),
bob rockwell(ts,cl), eric olevik(b), morten lund(ds)
2008/Stunt Records/
フランスのフルート奏者、マリアン・ビトランとデンマーク在住の平林牧子(p)さんの双頭バンドです。
平林さんの名前はジャズ仲間からの情報で聞いていました。
バークリー卒業後そのままデンマークに根を下ろしたようですね。
聴いてみるとこれが思ったよりずっと良かったです。
オリジナルでこれだけ聴かせるアルバムも珍しいのではないかな。
何というのか・・・全体を覆うスイング感がとても心地良くて、これぞジャズを体感させてくれました。
(1)「LOOKING FOR HERBERT」を聴いた途端、期待が膨らみました。
平林さんとビトランとの音楽性はマッチして相性は抜群だと思います。
ラテン・フレーバーを持つフルートとオリエンタルなピアノのハーモニー・はエキゾチックで美しいです。
ボブ・ロックウェル(ts)とモーテン・ルンド(ds)の起用も魅力のひとつになりました。
オリジナルは曲想も豊かで新鮮で瑞々しく音使いにも個性が感じられます。
やはり表題曲の(5)「GREY TO BLUE」が一番の聴きどころになりました。
全体的にモーテン・ルンドの存在感が大きくあちこちで目立つドラミングを披露しています。
(8)「SNAPSHOT」ではそのルンド&ボブ、ルンド&平林のコラボレーションに注目しました。
色気を感じるボブ・ロックウェルの絡みがまたいいです。
平林さんのピアノ・トリオも聴いてみたくなりました。
(中間系)
(499) NNENNA FREELON / HOMEFREE
nnenna freelon(vo),
brandon mccune(p,fender rhodes), john brown(bc), kinah ayah(ds,g),
beverly botsford(per), ira wiggins(ts), scott sawyer(g),
pierce freelon(rap), ray codrington(fhn), timothy holley(cello),
wayne batchelor(b,elb)
2010/Concord/
ニーナ・フリーロン(vo)は 「NNENNA FREELON / LIVE」(2003/Concord)でガツンときました。
以来、しばらくの間さかのぼって追いかけて聴いていた時期があります。
聴いてもらえば一目瞭然ですがクセのある独特の歌い方は個性的です。
独自の表現方法を持っていて、多分、一度聴いたら忘れられないと思います。
かなり濃い目なので万人向けではないけれど私はこの雰囲気にドップリと浸かってしまいました。
結構聴く機会が多くて、最近の女性ボーカルではダイアナ・クラールと双璧になっています。
今作はニーナの特徴が良く出たスタンダード作品集です。
一味違ったスタンダード料理が楽しめるけど間違いなく好みは出ます。
dave holland(b),
antonio hart(as,fl), chris potter(ts,ss), gary smulyan(bs),
alex "sasha" sipiagin(tp,fhn), robin eubanks(tb),
steve nelson(vib,marimba), nate smith(ds)
2009/Dare2 Records/
デイブ・ホランド(b)の今作は昨年の「みんなのベスト3」に二人の方が推奨していました。
同傾向のアルバムは何枚か出ていますが私が聴くのは久し振りです。
この原型が出来たのはECM時代のデイブ・ホランド・クインテットです。
ホランド、スティーヴ・ネルソン(vib)、クリス・ポッター(ts)、ロビン・ユーバンクス(tb)が参加していました。
ホランドのサウンドの特徴はヴァイブを起用したピアノレスにあると思います。
これが実に効果的でポッター(ts)やゲイリー・スマリアン(bs)の重たいプレイを和らげています。
サウンドの広がりが幻想的で軽やかになりました。
このハーモニーの良さは(3)「SEA OF MARMARA」で聴くことができます。
このグループのライブは最高でしょうね。
見てみたいですが来日することはあるんだろうか。
(中間系)
(496) ABE RABADE TRIO / ZIGURAT
abe rabade(p), pablo martin caminero(b), bruno pedroso(ds)
2010/Nuba Records/
私的ベストは(5)「Into-I'M GONNA LAUGH YOU RIGHT OUT OF MY LIFE」で、
続く(6)「BODY AND SOUL」、珍しい(3)「NO MOON AT ALL」も良かった。
抜群のリズム感とテンポのキープ力が素晴らしい。
特筆すべきは上質なジャズミン茶のように音色もまろやかなところでしょうか。
(くつろぎ系)
(492) GIOVANNI MIRABASSI TRIO / LIVE @THE BLUE NOTE TOKYO
giovanni mirabassi(p), gianluca renz(b), leon parker(ds),
2010/DISCOGRAPH/
ここではレオン・パーカー(ds)の存在が決め手だと思います。
トリオにおいてもドラマーが前面に出てくるのは世界的な流れになっていますね。
押し出しが強く合わせるのも上手い、かつ、波がうねるようなリズム感を持っている。
特に新感覚のドラマーにはこの傾向が強いです。
レオンも新しいタイプのドラマーなのでそれが見事に成功しました。
今作はミラバッシとレオンのコラボレーションが魅力の一枚です。
(4)「HERE'S THE CAPTAIN」のドラムスが文句なしに素晴らしい。
(中間系)
(491) FRED HERSCH TRIO / WHIRL
fred hersch(p), john hebert(b), eric mcpherson(ds)
2010/Palmetto/
フレッド・ハーシュ(p)を聴くのも久し振りです。
独特の感性と味を持っているので面白いピアニストだと思います。
CDの収録曲からそのプレイヤーのこだわりを予想することができますね。
(3)「BLUE MIDNIGHT」はビル・エバンス・トリオのポール・モチアン(ds)の曲、
(9)「Mrs.PARKER OF K.C」は鬼才ジャッキー・バイヤード(p)の曲を選んでいます。
これらの選曲からもハーシュが一筋縄ではいかないのが分かると思います。
静謐かつ清冽で叙情感溢れるフレーズが素晴らしいです。
スタンダードの(1)「YOU'RE MY EVERYTHING」のアプローチも良かった。
karl olandersson(tp,vo),
daniel tillingi(p), martin sjostedt(b), mattias puttonen(ds)
2010/Stockholm Jazz/
スウェーデンの新人トランペッターはカール・オランダーソンと読めばいいのかな。
トランペットのスタンダード作品集となれば見逃がせないところです。
ジャケットを見れば一目瞭然、狙いも雰囲気もやっぱりチェット・ベイカーでしょうね。
陰影のあるクールなチェットに比べてスマートで明るい響きを持っています。
(6)「JUST FRIENDS」はベースとのデュオで一番の聴きどころになりました。
(9)「IT MIGHT AS WELL BE SPRING」、(12)「I CAN'T GET STARTED」はピアノとのデュオ。
これも良かったです。
最後は追加収録した感じでボツにするのが惜しかった・・・心の動きが分かるようです。
歌は(8)「IF I WERE A BELL」で聴けますがこれはご愛嬌というところか。
共演者ではダニール・ティリングがピアノが目立ちました。