[トップページ]
(360) J. A. M TRIO / JUST A MAESTRO
丈青(p), 秋田ゴールドマン(b), みどりん(ds)
ゲスト:Jose James(vo)(7)
2008/Victor/VICL-62762
注目している丈青さん率いるJ・A・M・トリオのアルバムです。
このトリオは人気バンドの「SOIL&"PIMP"SESSIONS」からの選抜メンバーになります。
純ジャズ路線ではないですがコンテンポラリーでユニークなサウンドを持つピアノ・トリオです。
私が知る限りでは日本にこういう傾向のピアノ・トリオはないと思います。
2曲を除いてはオリジナルで占められていますが私はジョージ・ケイブルス(p)の(2)「QUIET FIRE」と
これは珍しいロイ・エアーズ(vib)の(9)「ROY'S SCAT」が聴きどころになりました。
異彩を放つ丈青の強力なピアノ・タッチとスピード感はここでも十分に感じることができます。
しかしながら、好みや評価が分かれる作品であることは確かです。
(中間系)
(359) DENIS DEBLASIO QUINTET / WHERE THE JADE BUDDHA LIVES
denis diblasio(bs,fl), jim mcfalls(tb),
ron thomas(p), paul klinefelter(b), joe mullen(ds)
2007/Art Of LifeRecords/AL1030-2(輸入盤)
デニス・ディブラシオは初見、バリトン・サックス・クインテットに惹かれました。
それもバリトン&トロンボーンの組み合わせならそのままジェリー・マリガン&ボブ・ブルックマイヤーですね。
マリガン&ブルックマイヤーならピアノレスですがここではピアノが加わっているので一味も二味も違います。
デニスは2006年に亡くなったメイナード・ファーガソン・ビック・バンドに在団、作編曲も提供していたようです。
そのせいか、オリジナルも凝っていてサウンドもハーモニーも興味深いものでした。
クールながら最先端のジャズ・スタイルでそれもバリトン絡みだけに実に新鮮です。
オリジナルが中心でジャズ・スタンダードといえるのは(5)「SONG OF INDIA」だけです。
ここではフルートを聴かせてくれますがエキゾチックなオリエンタル・ムードで面白かったです。
ロン・トーマス(p)はパット・マルティーノ(g)のグループで活躍していましたが彼の美しいピアノも聴きどころ。
(まじめ系)
(358) Q ISHIKAWA QUARTET / Q'S GROOVE
Q いしかわ(ts,vo),
清水絵理子(p), 岡田勉(b), 井川晃(ds)
2003/What's New Records/WNCJ-2118
深まる秋、久し振りにワン・ホーンのテナー・サックスが聴きたくなったのでQ
いしかわさんを選びました。
Qさんは今年で77歳、ライブ・ハウスを中心に根強い人気を持つベテラン・テナー奏者です。
これがねぇー、なんともいえず味わい深い作品で実にいい感じなんですよ。
ファンキーでソウルフルでグルービーでカッコイイ、私はどっぷりと浸かってしまいました。
アーネット・コブ(ts)、ジミー・ホレスト(ts)、スタンリー・タレンタイン(ts)、
アイク・ケベック(ts)といったソウル・ジャズのラインが好きならバッチリです。
特に(2)、(3)のオルガン奏者の作品や(5)「EVERYTHING HAPPENS TO ME」のバラード・プレイが聴きどころ。
「WHAT IS THIS THING CALLED LOVE」では渋いヴォーカルと管楽器奏者ならではの抜群のスキャットが聴けます。
日本にもこんなテナー奏者がいるんですよ、このノリ、雰囲気はたまりません。
ベテラン・ベーシストの岡田勉さんを起用、清水絵理子さんは超売れっ子ピアニストに成長しています。
中堅ドラマーの井川さんは浅草でジャズ・バーを開いたとの情報が入っています。
楽しいアルバムです。是非、お試しあれ。
(くつろぎ系)
(357) HENRIK GUNDE TRIO / COMES LOVE
henrik gunde(p), jesper bodilsen(b), mortien lund(ds)
2008/Marshmallow/MMEX-123
ヘンリック・グンテを最初に聴いたのはアルド・ロマーノ(ds)のジャズパー受賞記念コンサートのライブ盤です。
「ALDO ROMANO QUINTET / THE JAZZPAR PRIZE」(2004年)。
そのスイング感溢れる強力なタッチはヨーロッパのピアニストとしては珍しいタイプです。
彼の持つ明るい雰囲気はいいですね、ライブを見てもなんとなく明るくなって楽しくなってきました。
これがグンテの最大の持ち味であまりシリアスなものには目を向けずそのままを押し通して欲しいです。
乗りの良いリズミカルなピアノ・プレイにはたくさんの元気がもらえると思います。
ここでもイェスパー・ボディルセン(b)とモーティン・ルンド(ds)のコンビが素晴らしいです。
(中間系)
(356) OLIVIER ANTUNES TRIO / ALICE IN WONDERLAND
olivier antunes(p), jesper bodilsen(b), morten lund(ds)
2008/Marshmallow/MMEX-122
オリヴィエ・アントゥネスは現在35歳、最初に知ったのはベテラン・テナー奏者のイエスパー・ティロのアルバムです。
「THIS IS UNCLE AL」(2001年)でイェスパー・ルンゴー(b)とアルヴィン・クイーン(ds)のリズム・セクションでした。
その後、2003年にマシュマロ・レーベルから自己名義の「Introducing」が発売されて以来注目していました。
この時のバックもマッズ・ヴィンディング(b)にアレックス・リール(ds)という強力なメンバーです。
私はかなり早い時期から知っていたことになります。
ヨーロッパ・ピアノの伝統を継ぐ美しく透明感のある音色、叙情的かつ静謐なムードはもちろん持っています。
今回彼のライブを見て切れのある強靭なタッチ、抜群のスイング感、アグレッシブなプレイを目のあたりにしました。
歌心も申し分なく、なんというか、天性のもの、天才的なものがあると感じました。
共演のイェスパー・ボデルセン(b)とモーティン・ルンド(ds)も共に30代の上り調子、屈指の組み合わせと言えます。
スタンダード作品集、3人の相性とコンビネーションも抜群で三位一体の素晴らしいピアノ・トリオが聴けます。
ピアノ・トリオ名盤の一枚です。
(中間系)
(355) MIKE LeDONNE QUINTET / FIVE LIVE
eric alexander(ts), jeremy pelt(tp),
mike ledonne(p), john webber(b), joe farnsworth(ds)
2008/SAVANT/SCD-2091(輸入盤)
マイク・ルドン・クインテットのライブ盤は生きのいいハード・バップが聴けます。
ここの興味はジェレミー・ペルト(tp)とエリック・アレキサンダー(ts)の組み合わせにありました。
結果はエリックの大差勝ちです。
このアルバムではエリックが圧倒的な存在感で一番の聴きどころになりました。
主流派テナー奏者としてテナー・マスターへの道を順調に歩んでいると思います。
多くのアルバムに参加してタフネスぶりが目立ちましたが他流試合が財産として生きてきました。
惜しくも亡くなったマイケル・ブレッカーを継ぐ存在になりつつあります。
反面、ジェレミー・ペルトはこじんまりとまとまってしまったような感じがします。
デビュー時のはつらつとしたプレイは影を潜めてしまいました。
安全志向はまだまだ早いと思いますが・・・良くも悪くももっと暴れたほうがいいです。
リーダーのマイク・ルドンは安定感のあるプレイで好演しています。
(中間系)
(354) ARI HOENIG TRIO & QUARTET / BERT'S PLAYGROUND
ari hoenig(ds), jonathan kreisberg(g), matt penman(b),
criss potter(ts)(1,4,9), will vinson(as)(3,7),
gilad hekselman(g)(2,10), orlando lefleming(b)(2,6,8.,10)
2008/DREYFUS/(輸入盤)
アリ・ホーニグ(ds)を最初に注目したのはお気に入りのピアニストのケニー・ワーナー・トリオでした。
ずいぶんと刺激的なドラムを叩くなぁーというのが最初の印象です。
その後、自己のトリオや、ジャン・ミシェル・ピルク(p)・トリオ、リチャード・ボナ(b)のアルバムでも聴きました。
最先端の感覚を持つドラマーの一人として注目しています。
自身のオリジナルが5曲とモンク、コルトレーン、ショーター各1とスタンダードが2曲の好バランスの構成です。
トリオとカルテットが半々なのもよく考えられています。
聴きどころはやはりクリス・ポッター(ts)が参加の「1、4、9」だと思います。
ジョナサン・クライスバーグ(g)、マット・ペンマン(b)、ホーニグのリズム・セクションとの絡みが魅力的です。
スリルと刺激に富んだコンテンポラリーなサウンドが聴けます。
アルト・サックスのウィル・ヴィンソンは初見ですがサウンド的にピッタリとマッチしていて好演しています。
ただ、ドラム・ソロで演奏される(5)「'ROUND MIDNIGHT」はまったく分からなかった。
共演のクライスバーグとペンマンの二人は2006年の来日公演で見ています。
その時の印象はこうでした。
『クライスバーグはパット・メセニー級のテクニシャンでなめらかなギター、超高速フレーズには目を見張るばかりです。
ペンマンはすごく大きな手をしていて、まるでメロディー楽器のように軽々とベースを駆使し、
今までこのようなタイプのベーシストは見たことがありません。』
今が旬の最先端のジャズが聴ける好盤でお薦めの一枚です。
(まじめ系)
(353) RYUICHIRO TONOZUKA QUARTET / TOP GEAR
土濃塚隆一郎(fhn),
中村新史(p,key,org)、高道晴久(b)、ジーン重村(ds)、
佐藤春樹(tb)、加藤景子(p,org,elp)、紺野智之(ds,per),
板垣光弘(p)、河上修(b)、宇山満隆(ds)、天野正道(orc)
2008/KINGSONE FRECORDS/KSMR-28003
好漢、土濃塚隆一郎さんの新譜です。
フリューゲル・ホーンが炸裂、相変わらずラッパがよく鳴っています。
この爽快な疾走感とドライブ感は土濃塚さんならではのものでしょうね。
オリジナルの4曲を含む幅広い選曲が魅力、私はなぜか「CALLING YOU」が意外でした。
フレディ・ハバードの3曲は体調がイマイチと聞くハバードに対するオマージュだと思います。
ジャズ・ロックにフュージョン・テイストが加味されて土濃塚ワールド一段と広がってきました。
今作は多分にライブを意識したアルバム構成になっています。
「BROWN SUGAR」ではDJ風なメンバー紹介があって、まるでアンコールのようにバラードでお仕舞いになります。
自作の「寺泊」、「篝火」のバラードが素晴らしいです、上記の「CALLING YOU」も印象に残りました。
バラード表現に長足の進歩・・・やはり年齢の積み重ねが大事だと思います。
たまにライブにも行きますがいつも全力投球のプレイを聴かせてくれます。
パワフルで音圧も凄い、河上修さんとのコンビネーションも楽しみの一つです。
ちなみに今年聴いた最高のライブは土濃塚さんだったです・・・ライブ・レポートをどうぞ。
(中間系)
(352) THE JOHN HICKS LEGACY BAND / MIND WINE
elise wood-hicks(fl), graig handy(ts,ss), eddie henderson(tp),
larry willis(p), curtis lundy(b), steve williams(ds)
2008/SAVANT/SCD-2096(輸入盤)
2年ほど前に亡くなったジョン・ヒックス(p)のレガシー・バンドの作品です。
ジョン・ヒックスを初めて知ったのは60年代のジャズ・メッセンジャーズの作品です。
当時としてはやや遅咲き、遅れてきたジャズ・ピアニストと言えると思います。
チャールス・トリバー(tp)、ソニー・フォーチュン(as)、チコ・フリーマン(ts)、デビッド・マレイ(ts),
アーサー・ブライス(as)、ファラオ・サンダース(ts)といった一癖あるミュージシャン達と共演。
私はこの頃のヒックスが一番刺激的で好きだったです。
90年代になるとメインストリーマーとしてあちこちに引っ張りだこの人気ピアニストになりました。
これはヒックスの作品を演奏したアルバムでヒックスゆかりのメンバーが集まっています。
グレイグ・ハンディ(as)、エディ・ヘンダーソン(tp)、カーティス・ランディ(b)、
ラリー・ウイリス(p)は言われてみればヒックスに一番近いピアニストかもしれませんね。
ヒックスの奥さんがフルート奏者だったとは知りませんでした。
こういうバンドができること自体がヒックスの人柄を偲ばせるものですね。
やさしいサウンドなのでこれからの秋の夜長に聴くには最適のアルバムかもしれませんよ。
(中間系)
(351) ALEX GRAHAM SEXTET / BRAND NEW
alex graham(as), jim rotondi(tp), steve davis(tb),
david hazeltine(p), rodney whitaker(b), carl allen(ds)
2008/ORIGIN/82502(輸入盤)
ジャケットがジャケットなので一瞬引きましたが中身はハード・バップ・テイストが詰まっていました。
アレックス・グラハム(as)は初見ですが共演者を見たら入手せざるを得ません。
ジム・ロトンディ(tp)、スティーヴ・デイビス(tb)、デヴィッド・ヘイゼルタイン(p)、
ロドニー・ウィテカー(b)、カール・アレン(ds)という生唾ものの組み合わせです。
このメンバーによるスタンダード・ナンバーが聴けるのは魅力十分です。
フロント3管の美しいアンサンブルとハーモニー、ゆったりとした自然体のアルバム作りに好感を持ちました。
一番の聴きどころは(9)「SKYLARK」でピアノとデュオで演奏されるバラードです。
キャノンボール・アダレイを彷彿とさせるところに彼が只者ものではないことの証明になります。
自作の(2)「PIG PIG」はジャズロック調のテーマをもつカルテット演奏で面白かったです。
スタンダードでは(3)「ALL THE THINGS YOU ARE」〜(4)「WHERE OR WHEN」〜
(5)「FOR THE LOVE OF YOU」〜(6)「JUST YOU, JUST ME」が続きますがこれが実に心地良い流れです。
アレックス・グラハムの今後の成長を期待したいと思います。
共演者ではジム・ロトンディ、デヴィッド・ヘイゼルタイン、カール・アレンが好調とみました。
(中間系)
(350) KOJI GOTO TRIO / HOPE
後藤浩二(p), ラリー・グレナディア(b), ハーヴィー・メイソン(ds)
2007/VideoArts/VACM-1304
今作はジャズ仲間のMさんの紹介で知りました。
実は何年か前に名古屋に凄いピアニストがいるとの噂を聞いたことがありました。
それが後藤浩二さんでしたがそれっきりになっていたんです。
まずは聞きしに優る仕上がりで驚きました。
ブラッド・メルドウ・トリオでお馴染みのナンバー・ワン・ベーシストのラリー・グレナディアと
多彩なベテラン・ドラマーのハーヴィー・メイソンと組み合わせは興味津々でした。
後藤さんはがっぷり四つの互角以上に渡り合っています。
オリジナルを多く取り入れた構成も成功していて、自分の世界観を創り出しています。
美しく繊細なタッチ、絶妙の間合いが素晴らしいです。
初めての顔合わせでもこれほどしっくりいくのかと改めて世界のジャズメンの底力を感じました。
後藤さんとグレナディアの共演を考えた人は凄いですね。
メイソンがプロデューサーに名前を連ねているのは後藤さんの実力を認めたからに相違ありません。
ミシェル・ペトルチアーニの曲が2曲含まれているのは今の後藤さんの心境を表しているのかな。
日本発ピアノ・トリオの好盤。是非聴いて欲しい一枚です。
(中間系)
(349) HIGH FIVE QUINTET / FIVE FOR FUN
fabrizio bosso(tp), daniele scannapieco(ts),
luca mannutza(p), pietro ciancaglini(b), lprenzo tucci(ds)
2008/BLUE NOTE/(輸入盤)
ハイ・ファイブはイタリア発のストレート・アヘッドなハード・バップ・グループです。
ファブリッツオ・ボッソ(tp)とダニエル・スカナピエコ(ts)のフロント2管が魅力。
両者共に個人的にも大活躍しています。
ハイ・ファイブを買ったのはこれで3枚目になります。
2002年、2004年、今回が2008年なので少なくても6年以上の歴史があります。
人気急上昇ということでメジャーのブルー・ノート・レーベルから発売されることになりました。
前回とメンバーも変わっていないのでこれからも長期に渡って活躍するグループになりそうですね。
2曲を除いてはメンバーのオリジナルが中心。
ここでも相変わらずのご機嫌で切れの良いハード・バップ・ジャズを聴かせてくれました。
表題曲の「FIVE FOR FUN」はホレス・シルバー・クインテットを彷彿とさせるファンキーな曲調を持っています。
全員が生き生きとした演奏を繰り広げていて気分爽快、文句なしに楽しめるアルバムです。
2008年11月に来日公演が行なわれその評判は上々でした。
(中間系)
(348) RYUTARO MAKINO / RM
牧野竜太郎(vo),
椎名豊(p), 楠直孝(p), 塩田哲嗣(b), ユージン・ジャクソン(ds),
島裕介(tp), 太田剣(as), 中路英明(tb), etc
2008/ATOSS BROADCASTING/MAIR-2003
牧野竜太郎さん、日本の若手男性ヴォーカリストを紹介するのは久し振りになります。
前回は小林桂さんだったのでほぼ10年ぶりか。
牧野さんの出自はジャズのようですがそれではとても納まらないと思います。
選曲のラインナップを見てもそれは一目瞭然です。
日本の男性ヴォーカルはあまり聴く機会がないので分かりませんが久し振りに現れた大物かもしれません。
しなやか、まろやか、ソフト、メロウな歌声を持ち、シンガー・ソング・ライターとしての才能もあります。
幅広くスケールが大きい歌手です。
(1)「デイ・バイ・デイ」のジャズ・フィーリング、(2)「LA,LA,LA」の大きなノリに魅力、持ち味が詰まっています。
多分、ジャズ以外の方向でも人気が高まっていくのではないかと予想しています。
なにしろ、オリジナルにおけるメッセージとメロディがとても心地良いです。
(くつろぎ系)
(347) TOM HARRELL QUINTET / LIGHT ON
tom harrell(tp), wayne escoffery(ts),
danny grissett(p), ugonna okegwo(b), johnathan blake(ds)
2007/HIGH NOTE/HCD-7171(輸入盤)
トム・ハレル・クインテットのアメリカ発のハード・バップの好盤です。
全曲、ハレルのオリジナルですが変化に富んでいて飽きさせません。
改めて彼の作編曲能力の高さを感じました。
もう少し遊び心があってもいいのではと思いますが真摯な姿勢は彼の持ち味なのでしょうがないかな。
トランペット&テナーのモダン・ジャズの王道フロント2管、クールなペットにホットなテナーが絡みます。
アメリカ盤としては久々に聴き応えのある先進のハード・バップが聴けました。
共演陣ではまずダニー・グリセット(p)が挙げられます。
注目のピアニストで2枚のリーダー・アルバムも好評でした。
ウエイン・イスコフェリーもコルトレーン&ロリンズ&デックスをミックスした主流派テナー奏者です。
ウゴンナ・オケグウォは中堅ベーシスト、ドラムのジョナサン・ブレイクは初見なので新人だと思います。
このメンバーは9月に来日公演が予定されています。
時間が取れれば是非見ておきたいものです。
(まじめ系)
(346) TAIHEI ASAKAWA TRIO / TAIHEI ASAKAWA
浅川太平(p), 鉄井孝司(b), 鈴木カオル(ds)
2007/Roving Spirits/RKCJ-2032
お気に入りのベーシストの鉄井孝司さんつながりで購入しました。
これは文句なしにいいです。想像以上の出来で私は一発で参ってしまいました。
なにより若さの勢いを感じます。若い時は荒削りでもいいから突っ走って欲しいです。
その点、このアルバムは申し分ありません。
新鮮で瑞々しく、ケレン味のない溌剌としたプレイが好感が持てます。
デビュー作にしては全曲オリジナルというのもむずかしい選択だと思いましたが潔くていいですね。
1曲目を聴いてもらえば全てが納得できると思います。
超高速フレーズの驚くべきテクニックと強力な左手の動きは驚嘆しました。
先行き、どんなピアニストに育っていくのか、本当に楽しみな逸材です。
浅川太平・・・・・まさに未完の大器という表現がピッタリです。
共演の鉄井孝司さん、鈴木カオルさんの好演も見逃せません。
オリジナル中心、それも一筋縄ではいかない曲調で変拍子も数多く登場します。
なんなく演奏してしまうところに確かな実力の裏付けを感じました。
このトリオは魅力があります。
(中間系)
(345) TOSHIO OSUMI TRIO&QUARTET&QUINTET / NEW DEAL
大隈寿男(ds), 納谷嘉彦(p), 井上陽介(b),
秋田慎治(p), 安ヵ川大樹(b), 太田剣(as), 近藤和彦(as)
2007/M&I JAZZ/MYCJ-30420
ベテラン・ドラマーの大隈寿男さんのアルバムです。
ドラムを楽しませてくれる親分肌のアート・ブレイキー的なドラマーも少なくなってきました。
ここはメンバーの組み合わせと幅広い選曲が最大の魅力です。
オスカー・ぺティフォードからジョン・レノンまでトリオ、カルテット、クインテットで楽しませてくれました。
注目の納谷嘉彦さんと秋田慎治さんの2組のピアノ・トリオの競演、
現在最も脂がのっている井上陽介さんと安ヵ川大樹さんの二人のベーシストも聴けます。
(1)、(5)はアルト・サックスの太田剣さん、近藤和彦さんのバトルが聴きものです。
聴きどころ満載の作品でお勧め。
(中間系)
(344) SHUNSUKE UMINO QUARTET / BEAUTIFUL FRIENDSHIP
海野俊輔(ds), 植松孝夫(ts),
海野雅威(p), 野本晴美(p), 安東昇(b)
2008/Musical Dog Records/MD-0001
最近、テナー・サックス奏者をよく聴いています。
日本のテナーでは誰だろうかと考えた時に思い出したのは植松孝夫さんでした。
早速聴いてみたいと思って探したところ、この海野俊輔さんのアルバムを見つけました。
俊輔さんを最初に見たのは鈴木良雄・トリオだったか、すぐに植松孝夫・カルテット、
注目の海野雅威・トリオと立て続けに見ました。
今作は俊輔さんの初リーダー・アルバムで選曲も魅力、フレッシュで瑞々しいドラムスが聴けます。
共演は師匠格の植松さん、ピアノには海野雅威さんと野本晴美さんの売れっ子二人の豪華盤です。
「BEAUTIFUL FRIENDSHIP」は植松さんの愛奏曲、ハイライトはマッコイの「PASSION DANCE」。
ここでの野本さんのプレイは凄いですね、強力なタッチ、ノリにノリました。
強烈にプッシュ・アップする俊輔さん、安東さんのリズム・セクションも聴きもので印象に残りました。
植松さんのテナーはやっぱりいいです、自由自在の展開はアイデア豊富で凄みがあります。
今度また見に行こうかと思っています。
(中間系)
(343) CLAUDIO RODITI QUINTET / IMPRESSIONS
claudio roditi(tp), idriss boudrioua(as,ss),
dario galante(p), sergio barroso(b), pascoal mereilles(ds)
2008/Groovin' high/SSC-1190(輸入盤)
ラテン系のベテラン・トランペッターのクラウディオ・ロディティのアルバムです。
トランペッターのジョン・コルトレーン・トリビュート・アルバムは珍しいので面白い企画だと思いました。
最初はどうってことない内容と思っていましたが聴いているうちに段々良くなってきました。
それはなぜか?。
コルトレーン作品集はこういうものと私のイメージが固まっていたせいだと思います。
もっとコルトレーンライクな重厚な演奏を聴かせるものとばかり思っていました。
ところが、ロディティはそれを意識することなくストレートに自分らしく表現しています。
コルトレーンの名曲が軽快な演奏に乗って新鮮な感覚で蘇ってきたのでとても好ましく思えました。
演奏曲目のバランスも良く、idriss boudrioua(as,ss)、dario galante(p)も好演しています。
やはり表題曲の「IMPRESSIONS」が印象に残りました。
(くつろぎ系)
(342) HIROSHI MINANI TRIO / LIKE SOMEONE IN LOVE
南 博(p), 鈴木正人(b), 芳垣安洋(ds)
2008/ewe records/EWCD-0120
先日、南博・トリオのライブに行った時にこのニュー・アルバムを入手しました。
南さんの初のスタンダード作品集だそうです。
良く知られた曲ばかりですがさすがに一筋縄ではいきません。
独特の間合いとタッチが素晴らしい、研ぎ澄まされた感性はここでも生きています。
1曲目の「MY FOOLISH HEART」の一音を聴いただけでグイと引き込まれてしまいました。
続く表題曲の「LIKE SOMEONE IN LOVE」はどうか・・・このタメとノリはたまらないです。
(3)「SOLAR」は3者が一丸となったドライブ感が聴きどころです。
スティーブ・スワロウ(b)の(6)「EIDERDOWN」が新鮮、鈴木さんがフューチャーされています。
惜しむらくは収録時間の43分というのはいかにも短く物足りなく感じました。
心地良い時間を演出・・・もっと聴いていたいと思ったのであと2曲ぐらいは入れて欲しかったです。
お勧めのピアノ・トリオ盤ですが、加えて、このトリオの真髄はやはりライブにあると思いました。
対話型のトリオにとってはそれが一番スリリングで刺激的です。
ライブではそのままのトリオだったのでサインをお願いしました。
(中間系)
(341) JIMMY HEATH QUARTET / YOU OR ME
jimmy heath(ts),
tony purrone(g), kiyoshi kitagawa(b), albert tootie heath(ds)
1995/SteepleChase/SCCD-31370(輸入盤)
ジュニア・クック(ts)を聴いていて何の脈絡もなくジミー・ヒース(ts)が聴いてみたくなりました。
それも1990年代のアルバム・・・ということで購入したアルバムがこれです。
ギター・トリオをバックにワン・ホーンでじっくりと聴かせるというものです。
ベースには小曽根真・トリオを経て現在大活躍中の北川潔さんが加わっています。
ジミー・ヒースはジャズ界ではよく知られたパーシー(b)、アル(ds)のヒース3兄弟の真ん中です。
弟のアルバート・ヒースはここでも共演しています。
演奏もさることながら作曲者、コンポーザーとしての才能も非凡なものを持っていますね。
私は以前からジョニー・グリフィン(ts)と同様に、ジミーはもう一人の「Little
Giant」と思っていました。
過去にアルバム・タイトルになったこともある(1)「THE QUOTA」を初めとしてオリジナルが4曲、
あとはデューク・ピアソン、ブルー・ミッチェル、タッド・ダメロン、エリントンと選曲も凝っています。
ベスト・プレイはスムーズなフレージングと自在な展開の(4)「IS THAT SO?」かな。
ユーモアのセンスもあるし楽しい演奏を聴かせてくれました。
録音時の1995年は69歳ですが、全然年齢を感じさせない若々しいプレイで驚きました。
推薦盤。
(中間系)
(340) DANIELE SCANNAPIECO SEXTET / LIFE TIME
daniele scannapieco(ts), stefano di battista(ss,as), flavio boltro(tp,fhn)
julian o mazzariello(p), dario rosciglione(b), andre' ceccarelli(ds)
2008/PICANTO RECORDS/PIC011(輸入盤)
イタリアから粋でおしゃれなハード・バップ・アルバムが飛び込んできました。
なんといってもフロント3管の組み合わせが素晴らしいです。
ダニール・スカナピエコ(ts)、ステファノ・ディ・バティスタ(ss、as)、フラビオ・ボルトロ(tp)ですよ。
バックのピアノ・トリオがまたいい、つくづくイタリア・ジャズ界の底力を感じてしまいました。
1曲を除いてメンバーのオリジナルで占められており新鮮、実にカッコイイ演奏が聴けます。
その魅力は1曲目の「LIFE TIME」に集約されているのではないかな。
気合の入ったソロの応酬に圧倒され、後半、ミディアムな4ビートに転調させるところにも痺れました。
アルバム・タイトルになるのも十分にうなずける出来になっています。
もちろん、その他の曲にも聴きどころが多く、「上半期のベスト3」候補の一枚です。
(中間系)
(339) WHAT'S UP ?/ LOST & FOUND
田中洋一(tp), 河村英樹(ts),
堀秀彰(p), 増原巌(b), 安藤正則(ds
2008/COMMODO DEPOT/CMD33003
注目のグループ"What's Up ?"の2枚目のアルバムです。
どこか郷愁を誘う懐かしいサウンドを聴かせてくれました。
CDショップで流れていた時に「これはいいなぁー」・・・人気盤になるとの予感がしました。
ゆったりとした4ビートが心地良く、アップテンポでは疾走するモダン・ジャズが聴けます。
増原さんのオリジナルが中心、(3)「THAT'S NOT COOL AT ALL」は雰囲気抜群でお気に入り。
(6)「VANITY」では一味違うコルトレーン・ライクな演奏も聴かせてくれています。
トランペット&テナー・サックスはモダン・ジャズの王道の組み合わせで私は一番好きです。
表題の「LOST&FOUND」がこのアルバムの特徴をズバリと表現しています。
聴いてもらえば一目瞭然、多くの説明はいらないんじゃないかと思いました。
ダスコ・ゴイコヴィッチ・クインテットやIDEA6に通じる日本発好感度ジャズ・クインテットです。
(くつろぎ系)
(338) JUNIOR COOK QUARTET / ON A MISTY NIGHT
junior cook(ts),
mickey tucker(p), walter booker(b), leroy willams(ds)
1990/SteepleChase/SCCD-31266(輸入盤)
近頃これほど琴線に触れたアルバムは稀です。
なんか、あまりにしっくりとくるので久し振りに背筋がゾクゾクとしました。
同時にこれほどイメージが狂わされたのも珍しいです。
ジュニア・クック(ts)が話題になることはほとんどないので私も忘れていたんですが、
最近、ジャズ・メッセンジャーズやホレス・シルバー・クインテットを聴き直す機会がありました。
ちょうどそんな時にCDショップの中古品コーナーで偶然このアルバムを見つけたんです。
今までメッセンジャーズに比べてシルバー・クインテットのフロントは小粒などと解釈していました。
”リー・モーガン&ウエイン・ショーター”に対する”ブルー・ミッチェル&ジュニア・クック”。
ジャズ・メッセンジャーズはより自由度が高く、シルバー・クインテットはシルバー色の強いサウンド重視。
プレイヤーの個性発揮という点ではメッセンジャーズが優っていたと思います。
それでシルバーの元ではクックのこともちょっと野暮ったいかと思っていたんです。
だからあえてリーダー作も持っていなかった。
ところが、これを聴いてとんでもない間違いということに気が付きました。
「ジュニア・クックってこんなにモダンでスマートだったっけ」というのが正直な感想です。
クックはウエイン・ショーターとは同年代、ジョン・コルトレーンより8歳も年下です。
当然、コルトレーンの影響下にあります、その点まったくショーターと変わりないわけです。
もう少し下にはジョー・ヘンダーソンがいるので地味なクックは埋もれた感じがします。
テナーの音色はいいし、トーン・コントロールもうまい、私はジュニア・クックを再評価しました。
全体を通して心地良いスイング感に溢れ、 (5)「MAKE THE GIRL LOVE ME」のバラードも秀逸。
続く(6)「MY SWEET PUMPKIN」がベスト・トラックで、ここではミッキー・タッカーが素晴らしいプレイを聴かせます。
バックのメンバーも好演、特にミッキー・タッカー(p)がシブいです。
録音もいいのでお勧め。
(中間系)
(337) ROB SCHNEIDERMAN QUARTET / GLASS ENCLOSURE
rob schneiderman(p), todd coolman(b), leroy williams(ds)
charles mcpherson(as)
2008/Reservoir/RSR CD 193(輸入盤)
ロブ・シュナイダーマン・トリオにチャールス・マクファーソン(as)の組み合わせです。
シュナイダーマンの名前は聞いていましたが聴くのは今回が初めてになります。
バド・パウエル系のオーソドックスなスタイルで聴きやすく人気があるのもうなずけました。
リーダー・アルバムが”Reservoir”のみというのも律儀といえば律儀な性格ですね。
ゲストがマクファーソンならそのままバド・パウエルにチャーリー・パーカーの気分です。
パウエルが2曲、パーカーが1曲と選曲にもそつがありません。
仕上がりはほぼ予想されますが実に気持がいいアルバムです。
両者共にリラックスして楽しんでいる様子がうかがえます。
マクファーソンの調子も上々だと思いました。
チャールス・マクファーソンもそろそろ70歳に手が届こうとしています。
チャーリー・パーカーから直接薫陶を受けたプレイヤーの最後の年代でしょうね。
チャールス・ミンガス・グループでの活躍、エリック・ドルフィも吸収して自己のスタイルを確立しました。
以来、マクファーソンは好きなのでずっと注目してきましたがこれからも元気に演奏し続けて欲しいです。
(中間系)
(336) IGNAZ DINNE QUARTET / THE NEXT LEVEL
ignaz dinne(as),
pete rende(p), ron carter(b), jochen rueckert(ds)
2008/DOUBLE MOON/DMCHR71067(輸入盤)
イグナス・ディンは初見、ユニークなアルトの音色とスタイルを持っています。
トリスターノ派のリー・コニッツとエリック・ドルフィを消化吸収して実にクールな感触です。
最近のヨーロッパの若手アルト奏者にはこういう感じも増えてきました。
この個性は何なんだろうと考えるにアルトがまるでテナー・サックスのようだと気が付きました。
ゆったりとしたスイング感、感情を抑え気味にして低音部を上手に使います。
元々アルト・サックスは高音部に魅力があるのでその逆をいく感じです。
セロニアス・モンクの曲が2曲、バークリーではモンク研究をしていたようなので魅力があります。
(5)「ASK ME NOW」〜(6)「I'LL BEE SEEING YOU」〜(7)「PANNONICA」
と続く展開が一番の聴きどころだと思いました。
大御所のロン・カーター(b)がここに参加しているのは彼を買っている証拠になるかもしれません。
じっくりと聴きたい方にお勧め。
(まじめ系)
(335) MARCUS PRINTUP & EMIL VIKLICKY TRIO
marcus printup(tp)
emil viklicky(p), frantisek uhlir(b), laco tropp(ds)
2007/Multisonic/31 0708-2(輸入盤)
チェコ盤を入手したのは初めてじゃないかと思います。
大きなコンサート・ホールのようでまるでクラシックのライブを聴いているような気分になりました。
チェコのピアノ・トリオにマーカス・プリンタップの組み合わせです。
バックのピアノ・トリオは端正で美しく、しっかりとした実力の裏付けがあるのを感じます。
テンポ、ピッチ共に完璧、これほどのピアノ・トリオはそうは聴けないので驚いてしまいました。
クラシックで培われた力は本物、アメリカン・ジャズとのぶつかり合いが最大の聴きどころです。
マーカス・プリンタップはフレディ・ハバード直系のトランペッターでハバードが不調の今は貴重な存在です。
マーカスはこれが底力なんでしょうね。堂々たるプレイ振りで驚かされました。
改めてアメリカの一流ジャズ・ミュージシャンの底力を思い知らされました。
恐るべし、マーカス・プリンタップ。
マーカスにとっては異色のアルバム、代表作の一枚になるのは間違いないありません。
クラシック・ファンにもお勧めできます。
(まじめ系)
(334) KOJI MORIYAMA / LIVE AT MISTY
森山浩二(vo)
弘勢憲二(p,elp), 森泰人(b), 渡辺毅(ds)
高柳昌行(g)
2007(1979Rec)/Think ! Records/THCD-070
私が森山浩二さんを初めて聴いたのはもう30年ほど前のことになります。
当時懇意にしていたジャズ喫茶のマスターに「Night And Day」というアルバムを紹介されました。
その歌声とスタイルは一度聴いたら忘れられない強烈な個性を放っていました。
ガーンときて日本にもこんなジャズ・ボーカリストがいたんだと思いました。
ただその時はボーカルにあまり興味がなかったのでアルバムを買うまでには至りませんでした。
ていうか、手元不如意でその余裕がなかったというのが正直なところです。
でも、今ではなぜ買ったおかなかったのかと後悔しています。
それがどこか頭の片隅に引っかかっていて、後年何度かまた聴いてみたいと思ったからです。
そんな彼の3枚目のアルバムが復刻されたというので早速購入しました。
森山さんのアルバムはたった3枚しかなく、これは六本木のミスティでのライブ盤。
ちょっと粗さも目立ちますが彼の生のステージを十二分に表現しています。
もうずっと前に引退したようですが、彼のようなボーカリストが歌い続けられない日本の土壌は寂しいですね。
このアルバムのもうひとつの魅力はバック・ミュージシャンにあります。
なんと高柳昌行(g)さんと現在スカンジナビア・コネクションで大活躍の森泰人(b)さんの参加です。
高柳さんのボーカルのバッキングはそれだけで価値があります。
(くつろぎ系)
(333) FRANCO AMBROSETTI & URI CAINE TRIO / THE WIND
franco ambrosetti(tp)
uri caine(p), drew grtess(b), clarence penn(ds)
2007/Enja/ENJ-9514 2(輸入盤)
これはジャズ仲間のGAKOさんが紹介してくれたアルバムです。
スイスの重鎮、フランコ・アンブロゼッテイ(tp)と多才なユリ・ケイン(p)の組み合わせは魅力があります。
アンブロゼッテイのちょっとくぐもった温かでやわらかい音色は彼独特の個性です。
ユリ・ケインはアヴァンギャルドからフュージョンまでの幅広い音楽性の持ち主ですが私は前衛のイメージが強かった.。
ユリ・ケインが切れています、(4)「STILETTO」のドライブ感溢れる演奏は素晴らしい。
ドリュー・グレス(b)、クラレンス・ペン(ds)もフューチャーされていて、これが私的ベスト・トラックです。
バックのトリオも文句なし、トランペットのワン・ホーン・アルバムとしては出色の出来だと思います。
欲を言えば48分の収録時間がやや短いかな。
(中間系)
フランコ・アンブロゼッティとユリ・ケインの二人は過去の私のベスト3に入っているんですよ。
それでなおさら興味を惹かれました。
2001年
*THE WINNERS / LIVE AT
THE DOLDER GRAND HOTEL, ZURICH
franco ambrosetti(tp,flh), thierry lang(p),
heiri kanzig(b), peter schmidlin(ds)
2000/TCB
RECORDS/
スイスのジャズ・マガジンのウィナー達による記念ライブ盤です。
2005年
*URI CAINE TRIO /
LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD
uri caine(p), drew gress(b), ben
perowsky(ds)
2004/WINTER & WINTER/
ヴィレッジ・バンガードでのライブ盤。
(332) FRANCOIS DE RIBAUPIERRE TRIO & QUARTET
/ SHADES OF SILENCE
francois de ribaupierre(ts,ss,cl),
colker heinze(b), marcus rieck(ds), matthias bergmann(tp,flh)
2007/TCB/28402(輸入盤)
Francois De Ribaupierreは初見。
ピアノレスのサックス・トリオというとちょっと硬いような気がしますが聴いてみるとこれが心地良いです。
音色はまろやか、跳ね上がるような微妙なスイング感で心に響いてきました。
全曲、自身のオリジナルですがテナー・サックス、ソプラノ・サックス、クラリネットを持ち替え、
さらにトランペットが加わったカルテット演奏があるので飽きさせません。
じっくり聴いても良し、BGMで流しても良し、楽しめるアルバムだと思います。
掘り出し物の一枚です。
(中間系)
(331) SUMI TONOOKA TRIO / LONG AGO TODAY
sumi tonooka(p), rufus reid(b), bob braye(ds)
2005/ARC/ARC2116(輸入盤)
スミ・トノオカ(p)は初見、明らかに日系ですね。
これを聴いた時、いささかショックを受けてしまいました。
このピアノ・トリオが思いのほかに素晴らしかったからです。
実に新鮮、これほどの女性ピアニストがいたのかと思うと世の中は本当に広いです。
一般的に知られているのはベースのルーファス・リードだけ、ピアノとドラムスの知名度は低いと思います。
ところがこの二人が強力、3人のコンビネーションも抜群なのでご機嫌なアルバムに仕上がっています。
1曲を除いては全て彼女のオリジナルですが、私は一気に聴いてしまいました。
曲想も変化に富み、(4)では日本的情緒のアプローチもあって飽きさせません。
近年、私が聴いた中で断トツの女性ピアニストじゃないかと思います。
それほどガツンときました。
タッチやフレーズ、リズム感が琴線に触れたというか、好みのピアノというか、感性が合いました。
但し、やや多弁に思えるこのドラムスは好みが分かれるんじゃないかと思っています。
(中間系)
(330) AHMAD JAMAL QUARTET / IT'S MAGIC
ahmad jamal(p), idris muhammad(b), james cammack(ds)
manolo badrena(per)
2008/DREYFUS/(輸入盤)
マイルス・デイビスにも大きな影響を与えたと言われるアーマッド・ジャマルが元気なのは嬉しいです。
ジャマルはワン・アンド・オンリーの世界を持っているので日本でも人気は高いと思います。
タッチは重厚で力強く、さすがにその存在感は抜群です。
ここではパーカッションを加えたカルテットで一味違う演奏を繰り広げています。
このパーカッションとのコラボレーションが最大の聴きどころです。
御大に敬意を表してのドラ流入りです。
(中間系)
(329) MIKIO ISHIDA TRIO / TURKISH MAMBO
mikio ishida(p), mattias svensson(b), tamaya honda(ds)
2008/FIVE STARS RECORDS/FSY-507
先日、石田幹雄さん(p)のソロ・ライブに行ってきました。
その時に新しいCDが出たばかりということで入手したのがこのアルバムです。
石田さんは2005年横濱ジャズ・プロムナードのグランプリ受賞者で将来が嘱望されています。
マティアス・スベンソン(b)と本田珠也さん(ds)との興味深いトリオです。
ライブではエネルギッシュでパワフルな演奏を聴かせてくれました。
フリー・ジャズに通じる激しいプレイが目立ちますが私はその反対側にある静に魅力を感じました。
石田さんは「動と静」、「熱と冷」の二面性が最大の持ち味だと思います。
そこで今作のレニー・トリスターノ(p)の2曲で「ハハー、なるほどなー」と納得しました。
彼のルーツはトリスターノ〜ビル・エバンスの流れだな思いました。
その他もよく考えられた選曲が並んでいて、石田さんの幅広い音楽性が垣間見えます。
スウェーデンのマティアス・スベンソンはヤン・ラングレン・トリオで知られていますが、これがいいです。
まったく別人のような刺激的なプレイで迫ってきました。
本田さんもこのトリオなら生き生きしていて、水を得た魚のようです。
三位一体のスリリングでユニークな展開を見せる魅力的なトリオでお勧めできます。
余談になりますが私が見た中で、海野雅威さん、佐藤丈青さん、とこの石田幹雄さんは面白いです。
それぞれの持ち味は違いますがこれからも注目していきたいと思っています。
(まじめ系)
(328) ENRICO PIERANUNZI QUARTET / AS NEVER BEFORE
enrico pieranunzi(p), marc johnson(b), joey baron(ds)
kenny wheeler(tp)
2008/CAM JAZZ/CAMJ-7807-2(輸入盤)
エンリコ・ピエラヌンチ・トリオにケニー・ホイーラーの組み合わせに興味を持ちました。
全曲、ピエラヌンチのオリジナルですが、聴いてみるとこれは完全にケニー・ホイーラーの世界です。
広い空間に音の広がりを感じさせるやわらかくクールなサウンドです。
ピエラヌンチにとっては未知の世界、異色作といえると思います。
ここでの新しい挑戦は新鮮で面白かったのではないでしょうか。
ピエラヌンチの他人の土俵でも軽々と勝負できてしまう才能と実力にも驚かされました。
(中間系)
(327) BOBBY WATSON SEXTET / YOUNG AT HEART
bobby watson(as), leron thomas(tp), warren wolf(vib,p),
halold o'neal(p), curtis lundy(b), quincy davis(ds)
2007/Palmetto/PM-2130(輸入盤)
才人、ボビー・ワトソンの新譜はさすがに一味違います。
フレッシュなメンバーと共に溌剌とした切れのある演奏を聴かせてくれました。
たしかにワトソンの持つ「Young At Heart」は感じることができます。
ヴァイブのウォーレン・ウォルフの名前はチラホラ聞きますが、レロン・トーマス(tp)、
ハロルド・オ・ニール(p)、クインシー・デイヴィス(ds)は初見、ニュー・フェイスだと思います。
しかし、カーティス・ランディ(b)が脇を固めているので人選にもソツがありません。
ワトソンも新人の発掘、育成に努めているのでここいらへんの名前は覚えておくことにしましょう。
全曲、メンバーのオリジナルによる意欲的な作品になっています。
特にウォーレン・ウォルフの瑞々しいヴァイブ・プレイが魅力で、今後の期待は大きいです。
ヴァイヴ界には久しくニュー・スターが現れていないのでなんとか大きく羽ばたいて欲しいと願っています。
もちろん、あとの3人も張り切って好演しています。
ところでワトソンは「ホライゾン」という自己のグループ名を持っていますがここでは使われていません。
なぜなんでしょうか。
(まじめ系)
(326) 五人の女 / BODY & SOUL
(1,2)伊藤君子(vo)
大石学(p), 安カ川大樹(b), 大島洋(ds)
(3,4)リレット(vo)
秋田慎治(p), 吉田豊(b), 大島洋(ds)
(5,6)鈴木道子(vo)
鈴木良雄(b), 海野雅威(p), セシル・モンロー(ds)
(7,8)チャリート(vo)
市川秀男(p), 井上陽介(b), 大島洋(ds)
(9,10)WOONG SAN(vo)
秋田慎治(p), 安カ川大樹(b), 小山太郎(ds)
2007/BODY&SOUL/BAS-001
興味あるアルバムを見つけました。
南青山のライブ・ハウス、「ボデイ・アンド・ソウル」の企画、5人の女性ヴォーカルの競演です。
伊藤君子さん、鈴木道子さん、チャリートさんの3人は見たことがあります。
あとのリレットさんとWOONG・SANさんは初見です。
ここに出演したプレイヤーのお約束の「BODY&SOUL」は面白く聴くことができました。
同じ歌の競演は非常に珍しい、こういうのはここならでは企画でしょうね。
もう1曲はそれぞれの歌手が好きな、あるいは得意な歌で決めていますが聴き応えがありました。
ライブ・ハウスの雰囲気や熱気も伝わってきます。
5人の女性ヴォーカルをいっぺんに聴けるお徳用盤なんてそうはありません。
それだけでも価値ある1枚で加えてバックのメンバーにも魅力があります。
バッキングには定評のあるピアニストが揃いました。
大石学さん、海野雅威さん、市川秀男さんは見たことがあります。
秋田慎治さんは幅広い音楽性を持つピアニストのようなのでもっと聴いてみたいと思いました。
私も「BODY&SOUL」には時々お邪魔して楽しませてもらっています。
(中間系)
(325) CHARLES LLOYD QUARTET / RABO DE NUDE
charles lloyd(ts,fl)
jason moran(p), reuben rogers(b), eric harland(ds)
2008/ECM RECORDS/ECM-2053(輸入盤)
チャールス・ロイド(ts,fl)・カルテットのライブ盤は全てロイドのオリジナルです。
ここはバックのメンバーが最大の魅力。
ジェイソン・モラン(p)、リューベン・ロジャース(b)、エリック・ハーランド(ds)ときたら1も2もなく飛びつきました。
若手3人のトリオには、やっぱりロイド・クラスの重しが必要だと思いました。
3人だけだと収拾がつかなくなり、どこか遠くの方に素っ飛んでいく感じがします。
しかし、主役はあくまで若手の3人、特にジェイソン・モランとエリック・ハーランドが素晴らしい。
モランのユニークなタッチとコードワークは魅力十分、ハーランドが叩き出すリズムと共に聴き応えがあります。
ブルー・ノートのモランは難解でしんどいですが、ここでは比較的ストレートに演奏していて聴き易い、
まさにキラキラと輝くピアノが聴けます。
アメリカの先進のピアノ・トリオを聴いた思いがしました。
ここでのロイドは脇役だと思いますが、さすがに曲作りは上手く、曲想もリズムもバランス良く配置されています。
この手の演奏に慣れていない方は最初少し音量を絞って聴くのがコツです。
「ほー、これは・・・」というメロディやフレーズやリズムが気になったらしめたもの、もう大きくしても大丈夫です。
ベースを除く3人は近日中に日本公演が予定されています。
(まじめ系)
(324) PIERRICK PEDRON QUARTET / DEEP IN A DREAM
pierrick pedron(as)
mulgrew miller(p), thomas bramerie(b), lewis nash(ds)
2006/NOCTURNE/NTCD399(輸入盤)
フランスのピエーリック・ペドロン(as)を聴くのは2回目になります。
前回はゴードン・ベック(p)のアルバムでした。
この人は間違いなく掘り出しものというか素晴らしいですよ。
最初は共演のメンバーに惹かれて購入したのですが、聴いた途端にそんなことは吹っ飛んでしまいました。
なめらかな音色、卓越したテクニック、よどみないフレーズ、その存在感は申し分ありません。
コメントではジェリー・バーゴンジ(sax)が絶賛、アレンジャーとしてリック・マルギッツア(sax)が参加していて、
期待の大きさがうかがえます。オーソドックスなメインストリーマーとして頭角を現すのは間違いありません。
チャーリー・パーカー〜ジャッキー・マクリーン〜ケニー・ギャレットの流れか。
メンバーもバッキングには定評のあるマルグリュー・ミラー(p)とルイス・ナッシュ(ds)とくれば鉄板でしょう。
オリジナルが2曲、スタンダードが7曲と構成もバランスが取れています。
但し、5曲目の終わりがプツンと切れていてスムーズでないのが残念でした。
バラードが好きなら名曲、(6)「A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE」と(9)をどうぞ。
彼の実力を認めてか、サックス製造のセルマーとリード制作のヴァンドレンが協賛しているみたいです。
ジャケットにセルマーのマークがあるでしょう、裏にはヴァンドレンも。
こんなのは見たことがないので珍しいと思います。
(中間系)
(323) TOM SCOTT / CANNON DE LOADED
All Star Celebration Of Cannonball Adderley
tom scott(as) terence blanchard(tp) george duke(p,rhodes)
marcus miller(b) steve gadd(ds) larry goldings(org)
dave carpenter(b)(8,10), nancy wilson(vo)(4,9)
2008/CONCORD JAZZ/0888072302365(輸入盤)
トム・スコット(as)のプロデュースによるキャノンボール・アダレイ・トリビュート盤です。
往年のフュージョン・メンバーに加えてテレンス・ブランチャード(tp)とラリー・ゴールディングス(org)、
スペシャル・ゲストとしてナンシー・ウィルソン(vo)が2曲に参加しています。
ファンキー&ソウルなキャノンボールの大ヒット作がずらりと並んで壮観です。
イメージは狂ったけどそれぞれがスマートなフュージョン・ナンバーにアレンジされていて面白かったです。
特筆すべきは純ジャズ路線で演奏される(8)、(10)のバラード2曲です。
「I SHOULD CARE」ではブランチャードとジョージ・デューク(p)がフューチャーされていて鳥肌ものの素晴らしさ。
「STARS FELL ON ALABAMA」はキャノンボールも良かったけれどトム・スコットも面目躍如たるものがありました。
デュークのこういう改まったピアノも聴いたことがなかったのでとても新鮮、美しかったです。
結局、この2曲が決め手になってドラ流入りが確定しました。
(くつろぎ系)
(322) HERBIE HANCOCK / RIVER the joni letters
herbie hancock(p), wayne shorter(ts,ss), dave holland(b),
vinnie colaiuta(ds), lionel loueke(g), norah jones(vo),
tina turner(vo),corinne bailey rae(vo), joni mitchell(vo),
luciana souza(vo), leonard cohen(vo)
2007/VERVE/0602517448261(輸入盤)
ハービー・ハンコックは今回フォークを中心に絶大な人気を誇るジョニ・ミッチェルを取り上げました。
(7)、(9)のエリントンとショーターの作品を除いては全てミッチェルの手になるものです。
ミッチェルの幅広い音楽性はクロスオーバー、フュージョン系のプレイヤーに与えた影響は大きく、
彼らのジャズ・アルバムにも彼女の曲が数多く演奏されています。
独特の節回しと土の香りは多くのジャズ・ミュージシャンが好きなんだろうと思います。
今をときめくノラ・ジョーンズもデビュー時にはミッチェルの影響を強く受けていると感じたものです。
ここではそのノラ・ジョーンズやティナ・ターナーを始めとして6人の歌手が起用されています。
(6)ではジョニ・ミッチェル自身も参加しているという豪華な顔ぶれです。
それぞれがミッチェルのディープな世界を展開させていてその世界を堪能することができます。
いずれの曲も心に沁みてくる素晴らしい出来栄えで私はぐっと引き込まれてしまいました。
リリカルではあるけれどリズムにはラテンも、ハービー・ハンコックの才能を感じる秀作です。
(中間系)
(321) PETER CINCOTTI / EAST OF ANGEL TOWN
peter cincotti(vo,p), etc
2007/WARNER BROS/9362-49917-9(輸入盤)
ピーター・シンコッティ(vo,p)は19歳でデビュー、現在24歳の天才肌のシンガー・ソング・ライターです。
今作はメジャー・レーベルのワーナー移籍第一弾ということで世界を目指した意欲作になっています。
これは80年前後でしたか、一世を風靡したAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)路線を踏襲、
久し振りに現れたクロス・オーバー、コンテンポラリー・シーンの大物歌手じゃないかと思います。
この系統ではバニー・マニロウ、ボス・スキャッグス、マイケル・フランクス、クリストファー・クリス、
ビリー・ジョエル、ボビー・コールドウェル、ジェームス・テイラーなどを思い出しました。
全13曲はピーターのオリジナルで声質、テクニック共に申し分ありません。
ファルセットの多用で聴かせるところはいかにも今風のヴォーカリストだと思います。
(2)の「GOODBYE PHILADELPHIA」は全世界でヒット中とのことですがいかにもという気がしました。
バック・ミュージシャンとしてディーン・パークス(g)、ネイザン・イースト(b)、
今作のプロデューサーでもあるデヴィッド・フォスター(org)などの顔が見えます。
あまり男性ヴォーカルを紹介する機会がありませんが何枚目だろうかと気になって調べてみました。
「ドラ流・・・」に入っているのは全部で7枚でした。
「ケヴィン・マホガニー」、「ジミー・スコット」(2)、「ジョン・ピザレリ」、
「カート・エリング」、「ピーター・フェスラー」、「ジョージ・ベンソン&アル・ジャロウ」です。
(くつろぎ系)
(320) ASEN DOYKIN TRIO / MEANDERING ROAD
asen doykin(p) peter slavov(b) kendrick scott(ds)
2007/DOYKINMUSIC/(輸入盤)
Asen Doykin(p)は初見、今作は自主制作盤だと思われます。
(4)のブルガリアン・トラッド・ソングを見るとブルガリア出身のようですね。
その曲を除いては全て彼自身のオリジナルで占められており美しいピアノ・トリオが聴けます。
叙情的ではあるけれど独特のメロディ・ラインとリズム感を持っていて味わい深いものがあります。
注目のドラマーのケンドリック・スコットが参加しているのも興味深いです。
(中間系)
(319) KIYOSHI KITAGAWA TRIO / I'M STILL HERE
kiyoshi kitagawa(b), danny grissett(p), brian blade(ds)
2007/ATELIER SAWANO/AS071
2008年の最初の愛聴盤は日本人ベーシストのリーダー・アルバムになりました。
北川潔さんは小曽根真トリオで一気に知名度が上がったと思っています。
澤野工房から出した前2作のピアニストはベテランのケニー・バロンでした。
今作は若手のダニー・グリセットということで初めてやりたいことができたような気がします。
ブライアン・ブレイドは3枚目で相性が良く、気心も知れてきたのでコンビネーションは抜群です。
全7曲は自身のオリジナルで占められ曲想豊か、リズムも多彩なので飽きさせません。
1曲目からスーッと入っていって後半になるほど、よりスリリングな展開になってきます。
よく伸びる強靭なベースの音が前面に出てくるので重量感のあるピアノ・トリオが聴けます。
(中間系)
(318) BOB DEVOS TRIO&QUARTET / PLAYING FOR KEEPS
bod devos(g), steve johns(org), dan kostelnik(ds)
eric alexander(ts)(1,5,8,10)
2007/SAVANT RECORDS/SCD-2088(輸入盤)
ボブ・デヴォス(g)は初見、オルガン・トリオを率いているので出自はR&Bだろうと推測しました。
思ったとおりのブルース・フィーリングの強い印象的なギター・プレイを聴かせてくれました。
こういう系統のジャズ・ギタリストは最近あんまり見かけなくなりました。
オリジナル4曲、スタンダード2曲、ジャズの名曲が4曲と選曲のバランスも取れています。
ソウル・ジャズとハード・バップのちょうど中間に位置する感じでしょうか。
ハード・バップとして聴くとオルガンとドラムがやや物足りなく聞え、ソウル・ジャズよりは洗練されています。
そして、なんとここにもエリック・アレキサンダー(ts)が4曲にゲスト参加していました。
伸び伸び、溌剌とした演奏でやはりリーダー作より数段いいなと思いました。
というわけで両者がスリリングな展開をみせる(8)、(10)が聴きどころで、ブルースの(3)も良いです。
ジャケット写真の雰囲気も良くお洒落、デヴォスは確固たる自己のスタイルを持っていると思います。
彼の作品はR&B・ファン、ジャズ・ファンの両方に受け入れられるのではないかな。
(中間系)
(317) OVE INGEMARSSON QUARTET / HEART OF THE MATTER
ove ingemarsson(ts)
lars jansson(p) lars danielsson(b) adam nussbaum(ds)
1995/IMOGENA/IGCD-051(輸入盤)
ここで目を引いたのはラース・ヤンソン(p)の存在です。
強靭なタッチと力強いピアノの音色はもう一方のラース・ヤンソンを見た思いがしました。
12年前のプレイは今をときめくラースとは別人の感があります。
内容はストレート・アヘッドなテナー・サックスのワン・ホーン・アルバムで申し分のない出来です。
オリジナルでも変化に富んでいて十分に楽しむことができました。
スウェーデン発の名盤の1枚。
(中間系)
(316) MICHAEL COCHRANE TRIO / RIGHT NOW
michael cochrane(p), calvin hill(b), jeff hirshfield(ds)
2007/STEEPLECHASE/SCCD-31627(輸入盤)
ヨーロッパ流のスマートなピアノを聴いているとたまには粘っこいピアノ・トリオが聴きたくなります。
それでこのマイケル・コクランの作品を選んでみました。
デビュー時はもっと突っ張っていたピアニストだと思いますがオーソドックスなスタイルに戻っています。
元々がこういう感覚を持つプレイヤーだったんでしょうね。
全曲、自身のオリジナルになる意欲作は親しみやすいテーマが並び作曲能力も非凡です。
一般的には2、3曲のスタンダードを入れる構成が普通なので異色作とも言えます。
買うほうにとってもまったく知らない曲ばかりではちょっと考えてしまうところがあるでしょう。
私は特に(6)「BALLAD FOR OLD TIMES SAKE」と(8)「REVELATION」が印象に残りました。
但しこれは異名同曲、別テイクを違う題名で入れるのは珍しいのでよほどのお気に入りだと思います。
バップ、ブルース、バラード、ラテンとコクランの音楽性をさぐるには最適なアルバムです。
しかし、ホッとするアルバムではあるけれどガツンとくる感じではありません。
通好みというか、いかにも地味な人柄を偲ばせる落ち着いたトリオ作品に仕上がっています。
(中間系)
(315) AKEMI OHTA QUARTET / RISK FACTOR
太田朱美(fl,afl) 石田衛(p) 織原良次(fletless b) 橋本学(ds)
大儀見元(per)
Phonolite Ensemble
松本治(tb) 松風鉱一(reed) 竹野昌邦(reed) 橋本歩(vln)
平山織絵(vln) 水谷浩章(b,arr)
2007/EWE. RECORDS/EWCD-0137
太田朱美さん(fl)のライブで先行発売されていたCDを早速購入してきました。
もちろん、メンバー4人のサインも入っています。
11月発売予定と聞いていましたが正式なCD発売は来年の1月中旬に延びたようです。
ダブルの紙ジャケで装飾も綺麗、デビュー・アルバムとしては立派なものです。
太田さんは「最初がこんなにいいと次がコワイ」と言っていました。
これは現在の彼女の正直な気持だと思います。
プロデュースは水谷浩章さん(b)でアレンジとバックのアンサンブルが広がりと深味を演出。
太田さんが7曲、織原さんが2曲のオリジナルを提供しています。
純ジャズ路線を期待するとはぐらかされる感じがしますがこれが彼女の求めているサウンド。
全部がオリジナルということで太田さんにとってはやりたいことが出来た意欲作だと思います。
彼女の持つ個性的な感覚と幅広い音楽性を感じることが出来ました。
女性フルート奏者の新星として注目を集めていてすでにあちこちから声が掛かっているようです。
幅広い音楽性を持っているだけに一方に偏らず可能性は大きく広がっています。
ライブでの話も面白くてなかなかにユニークなキャラクターの持ち主だと思いました。
これから益々人気が出るのは間違いのないところで大いなる飛躍を期待しましょう。
(中間系)
(314) JOHN LAW TRIO / THE ART OF SOUND VOLUME 1
john law(p) sam burgess(b) asaf sirkis(ds)
2007/33JAZZ/155(輸入盤)
イギリス出身のジョン・ロー(p)は初見です。
タイトルを見た時にピンときたのはブラッド・メルドー(p)の「Art Of The
Trio」を意識したのかです。
しかし、中味はまったくの別ものでメルドーのようにひねりはなくストレートで美しいピアノが聴けました。
ある意味、まったく両極端にあるピアノ・トリオと言ってもいいかもしれません。
今作は全曲オリジナルですがその美しいサウンドが聴きどころになります。
これほどの美しいピアノは稀でしょうね・・・誰かいないか?と思い出そうとしても思い出せません。
これがジョン・ローの最大の持ち味であり、個性、特徴です。
洗練された美しさはあっても甘さは感じないので評価する人も多いと思います。
但し、収録時間の77分は長過ぎるか。
(中間系)
(313) ANDREAS GIDLUND QUARTET / PRESS PLAY PLEASE
andreas gidlund(ts,bs)
fabian kallerdahl(p,rhodes), mattias gronroos(b), lars kallfelt(ds)
2007/IMOGENA RECORDS/IGCD 140(輸入盤)
Andreas Gidlund(ts)は初見、これは面白いアルバムだと思いました。
ハード・バップとコンテンポラリー・ジャズの味付けが上手くミックスされていて楽しめました。
3曲を提供しているFabian Kallerdahlがピアノとローズを駆使してサウンドに変化を持たせています。
彼の参加がここでの決め手、実質的には二人の双頭バンドと言えると思います。
最後の「IN A SENTIMENTAL MOOD」ではオーソドックスなサックス奏者の表情も見せてくれました。
現在の若いジャズ・メンにはこのように幅広い音楽性を持つプレイヤーも多いですね。
当然、ジャズの歴史や奏法については勉強済みで加えて色々なジャンルの音楽を聴いてきています。
情報社会ではワールド・ワイドな音楽情報を瞬時にして受け取ること事が出来ますから。
どこで誰がどんなことをやっているかも一目瞭然なので吸収するのも早いです。
映像の情報も早いのでビジュアル的な影響も大きいでしょうね。
新しいジャズのスタイルを模索するのはいつの時代でも大切なことだと思っています。
そういった意味でもお勧めの作品になります。
なお、ジャケットが折り込み式になっていて目新しく、これも新鮮な感覚です。
(中間系)
(312) KAREL BOEHLEE TRIO / AT THE BEAUFORTHUIS
karel boehlee(p) hein van de geyn(b) hans van oosterhout(ds)
2007/CHALLENGE RECORDS/CHR70133(輸入盤)
元ヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト、カレル・ボエリーの新譜です。
なぜ退団したのか定かではありませんが、もっとやりたいことがいっぱいあったと思っています。
日本で絶大な人気を誇るE・J・Tでは企画や演奏内容がかなり限定されてきますからね。
メンバーは以前「ドラ流・・・」にもした「DEAR OLD STOCKHOLM」(M&I/2004)と同じです。
ただし、今回は全て彼のオリジナルで占められていて、これは初めての試みかもしれません。
トリオのバランスは抜群、深いリリシズムと美しい旋律、彼の求めるサウンドにまた一歩近づいたか。
惜しむらくは曲想がどれも同じようなので起伏や変化に欠けるところがあります。
成熟したピアノ・トリオ作品ではありますがこのシリアスな調子を聴き続けるのは少々辛いです。
クラシックも聴くジャズ・ファンなら評価は高いと思われます。
(中間系)
(311) STEFANO DI BATTISTA QUARTET / TROUBLE SHOOTIN'
stefano di battista(as,ss) baptiste trotignon(org) eric harland(ds)
russell malone(g)(1,5,6,7,11) fabrizio bosso(tp)(2,4,5,8,9,10)
nicola stilo(fl)(3,6), eric legnini(p)(11)
2007/BLUE NOTE RECORDS/509995029112 0(輸入盤)
久し振りにステファノ・ディ・バティスタ(as)のアルバムを購入しました。
バティスタは「ドラ流演奏者リスト」のアルト奏者のトップにランクされている好みのプレイヤーです。
ここのところなぜか触手の伸びる作品ががなく、しばらくご無沙汰していました。
今回はオルガン・ジャズということでグイと興味を引かれました。
その上、ラッセル・マローン(g)やファブリジオ・ボッソ(tp)との共演となれば見逃すわけにはいきません。
オリジナルが8曲にその他3曲の構成です。
その3曲がケニー・バレル(g)の「MIDNIGHT BLUE」、ホレス・シルバー(p)の「THE JODY GRIND」、
ボビー・ティモンズ(p)の「THIS HERE」とくれば興味津々で聴いてみたくなります。
いずれもソウル・ファンキー・ナンバーとしてよく知られている曲ばかりです。
もちろんオリジナルもいいのですがこちらは耳に馴染んでいる分だけ聴きやすく評価もしやすいです。
一般的にオルガン・ジャズはソウル・ジャズと表現されると同時にある種のけだるさが特徴だと思っています。
グラント・グリーン(g)の作品に「IDLE MOMENTS」がありますがちょうどそんな時間を演出してくれます。
アメリカのジャズ・メンにとっては日本の演歌の感覚かな・・・リラックスした時の鼻歌にはよく出てくるようです。
しかし、ヨーロッパのオルガン・ジャズは明らかにアメリカのそれとは一線を画します。
リラックスして楽しみながら演奏しているのは感じますが、よりストレートでスマートな趣を持っています。
アメリカ発とは違うヨーロッパ感覚のオルガン・サウンドを聴くことができました。
(中間系)
(310) MAKOTO DEGUCHI TRIO / WILL
出口 誠(p) 佐瀬 正(b) 井川 晃(ds)
2005/A.E. RECORDS/AECA-10011
2年前の発売時に話題になったアルバムですが買いそびれて最近ようやく入手しました。
正直、これほど良いとは思っていなかったので入手が遅れたのを悔やんでいます。
出口誠さん(p)の初リーダー・アルバムですが、ほぼ完成されたピアノ・プレイを聴くと驚きを感じました。
ビル・エバンス&ウィントン・ケリーのスタイルを合わせ持っていると言えば分かりやすいかも知れません。
リズム感、スイング感、タッチ、音色共に申し分なく、ストレートでありながら新鮮で刺激的です。
まさに満を持して出した自信の一作と言えます。
オリジナルが6曲、スタンダードが4曲と構成も良く、曲想が変化に富んでいてリズムも多彩です。
ビル・エバンスの「WALTZ FOR DEBBY」、バド・パウエルの「CLEOPATRA'S DREAM」を
取り上げたのは二人に対する敬愛の意味を含めたと同時にピアニストとしての意欲を表したものでしょう。
特に「CLEOPATRA'S DREAM」の演奏は素晴らしく、私は「フーム」と唸ってしまいました。
同世代の佐瀬正さん(b)、井川晃さん(ds)とのコンビネーションやバランスも抜群です。
日本人のピアノ・トリオとして確かな力量を感じさせる好アルバムなのでお勧めしたいと思います。
聴きやすく居心地が良いので私は何度も繰り返し聴いてしまいました。
中島啓江さんのバックやアーニー・セレックの来日公演にも参加し、ボーカルの伴奏にも定評があります。
力量は十分、これから益々注目度を増すのは間違いのないところでしょう。
(中間系)
(309) WILL BOULWARE TRIO & QARTET/ SUMMERTIME
will boulware(p) richard bona(b) billy kilson(ds)
eric alexander(ts)(3,5,7)
2007/EIGHTY-EIGHTS/VRCL-18839
ウィル・ブールウエア(p)の新譜が巷での評判が良いので入手してみました。
ブールウエアの名前を聞くのは久し振りでメシオ・パーカー(as)のアルバム以来です。
私の興味はどちらかというとカメルーン出身のリチャード・ボナ(b)にありました。
数年前にデヴィッド・サンボーン(as)のバックで見ましたが、彼の存在感は抜群で印象に残っています。
その時にはもう若いファンの支持は絶大なものがありました。
ドラムのビリー・キルソンも「ドラ流・・・」でもすでに3枚紹介しています。
ブールウエアはフュージョン畑出身ながらR&Bやソウルなどもこなすオールラウンド・プレイヤーです。
フュージョンの一派は元々何でも出来るスタジオ・ミュージシャンが中心だったので彼もその一人。
メシオ・パーカー盤ではオルガンを駆使していたし、シンセサイザーなども達者です。
豊かな経験を生かしてツボを得た演奏はさすがで、オリジナルとスタンダードのバランスも良く飽きさせません。
もう一人の注目はゲストのタフガイのエリック・アレキサンダー(ts)です。
ブールウエア・トリオの軽快でしなやかなリズムに乗って艶のあるやわらかいプレイを展開しています。
これを聴いているとアレキサンダーはぐっと幅が広がって、表現力に格段の進歩が認められます。
テナー奏者のメインストリーマーとして大きく飛躍しそうな感じがしました。
デビュー時からのパワフルで豪快なプレイは健在で、重厚な音色にも定評がありました。
これに落ち着いた大人の艶やかさが加われば一皮むけていわゆる大化けの可能性を秘めていると思います。
ただちょっと出突っ張りの多作に過ぎる傾向があるので玉石混交の作品は選ばなければなりません。
(中間系)
(308) DAVID SILLS SEXTET / GREEN
david sills(ts,fl) gary foster(as) larry koonse(g)
michael kanan(p) putter smith(b) tim preasant(ds)
2007/ORIGIN RECORDS/ORIGIN-82480(輸入盤)
デヴィッド・シルズ(ts)は初見、オーソドックスなメインストリーム・ジャズを目指しているようです。
安心して聴けるので、こういった回顧主義的なサウンドはいつの時代でも一定の支持を得るものです。
もっとも懐かしい感じのサウンドとはいっても新しい感覚が加味され録音も違うので新鮮に聴くことができます。
日本で言う、いわゆる「温故知新」ですね。
この作品を印象付ける自作の(1)「MELON HEAD」、スタンダードの(3)「PRELUDE TO A KISS」、
フルートで演奏されるラテン風味の(5)「MOON AND SAND」など、聴きどころも多いです。
フロントが3人になるとアンサンブルの妙が楽しめ、シルズの音楽監督としての力量も問われます。
「最近購入したアルバム」で紹介したジェーン・モンハイト盤に参加していたマイケル・カナン(p)や
ギターのラリー・クーンズが注目を集めそうです。
若手に混じってベテランのゲイリー・フォスター(as)が参加してしているのが一工夫されているところで
これは嬉しかったです。ただ、78分超の録音時間はちょっと長いか。
ところでこのジャケットですが写真の感じが似ているのでこのサーフ・ライダーはシルズ本人かも知れません。
だとするとこちらも相当な腕前でプロ級と言えます。
(中間系)
(307) ANTONIO SANCHEZ / MIGRATION
antonio sanchez(ds)
chris potter(ts,ss) david sanchez(ts) scott colley(b)
chick corea(p)(1,8) pat metheny(g)(3,9)
2007/CAM JAZZ/VACM-1317
注目のドラマー、アントニオ・サンチェスの初リーダー・アルバムです。
今までにも何度か聴く機会があったのですがこれほどのドラマーとは気が付きませんでした。
これは幅広い音楽性で色々なところに出没していたのが災いしたと思っています。
それほどこのアルバムでのアントニオ・サンチェスは素晴らしいです。
1974年生まれの現在33歳なのでこれからの活躍が本当に楽しみです。
パット・メセニー・グループに参加してから知られるようになりました。
パット・メセニーが絶賛していてチック・コリアにもその実力を認められることになりました。
早速、チック・コリア・トリオの一員としてこの9月には来日公演が予定されています。
いずれにしてもドラムだけを聴いていても面白い作品なんてそうあるものではありません。
作曲能力も非凡、彼の持つ多彩な表現力と幅広く奥深い音楽性のたまものでしょう。
スコット・コーリー(b)にもスポット・ライトが当てられているのは好感が持てます。
この二人のコンビは↓の(8)「Manuel Rocheman Trio / Dance Cactus」でも聴くことができます。
クリス・ポッターとデヴィッド・サンチェスの2テナーも聴きもので(2)(4)(6)(7)の4曲で聴けます。
特にラテン・ジャズ・シーンで活躍中のデヴィッド・サンチェスの純ジャズ路線も興味深いところです。
輸入盤ではメセニーが(3)(9)の2曲、チックが(1)の1曲だけ、
日本盤にはボーナス・トラックとしてチックの(8)が追加されています。
チック参加のトリオの出来が良いので私は日本盤がお得だと思います。
最後に入っているメセニーとのデュオ、「Solar」も凄い。
(まじめ系)
(306) IDEA 6/ STEPPIN' OUT
gianni basso(ts) guido pistocchi(tp) dino piano(tb)
riccardo fioravanti(b) angrea pozza(p) stefano bagnoli(ds)
francesca sortino(vo)(1,4,10) annibale modoni(vib)(4,9,10)
2007/DEJAVU RECORDS & COMMODO DEPOT/CMD33101
聴いた途端に「これはいいなぁ」と思いました、60年代前半にタイム・スリップした感じです。
アート・ファーマー(tp)の”ジャズテット”や”ジャズ・メッセンジャーズ”の3管サウンドを思い出しました。
でもそれよりは軽快でスマートなのでウエスト・コースト・テイストが加味されていると言えるでしょうか。
馴染みのある名前はジャンニ・バッソ(ts)だけでしたが、若手ピアノ・トリオにベテランが乗る構図です。
分厚い3管アンサンブルを聴いていると決め手はトロンボーンだったのだなと改めて再認識しました。
上記の二つのグループに参加していたカーティス・フラー(tb)を聴いてみたくなりました。
オリジナル中心ですがピアノのポッザが良く聴きもの、ヴォーカルのフランチェスカもいい味を出しています。
このイタリア盤は雰囲気があって意外に新鮮、掘り出し物の大穴といえるかもしれない好盤です。
CD10曲にDVD3曲(1,2,4)がセットされているのでお徳用です。
DVDではイタリア・ジャズの歴史が語られていますがこの話も貴重なものでした。
(中間系)
(305) DAG ARNESEN TRIO / NORWEGIAN SONG
dag arnesen(p) terje gewelt(b) pal thowsen(ds)
2007/RESONANT MUSIC/RM17-2(輸入盤)
ダグ・アーネセン・トリオのノルウェーの曲の作品集です。
長い間、歌い続け演奏され続けてきた曲なのでやさしくてやわらかなメロディ・ラインを持っています。
疲れている時やホッとしたい時に聴くには最適なアルバムだと思います。
派手さはありませんがほのぼのとするので時々思い出しては長く聴けるような気がしています。
以前、ヤン・ラングレン(p)がスウェーデン作品集を出しましたがこれも素晴らしかったです。
ひっそりとして目立たない・・・案外こういう癒しの作品が得てして愛聴盤になるのかもしれません。
(くつろぎ系)
(304) KALMAN OLAH TRIO / ALWAYS
kalman olah(p) ron mcclure(b) jack dejohnette(ds)
2007/MERLESS RECORDS/DOT-0218(輸入盤)
リーダーが初見の場合、共演者から探るという方法もありますね。
それがロン・マクルーア(b)にジャック・デジョネット(ds)の超重量級とくれば申し分ありません。
多くの人がちょっと聴いてみたいと思うのではないでしょうか。
それもモンク・コンペテイションの優勝者ともなるといやが上にも期待は膨らんでしまいます。
さて、そのカルマン・オラーはハンガリー出身の典型的なヨーロッパ・スタイルのピアニストです。
しかし、今作はいま一つ食い足りない面が残りました。
期待が大きかった分だけまだちょっと硬いかなあーという部分があります。
無難な展開ではなくもっとグイグイと突っ走って欲しかったと思います。
そう考えるとバックの二人がちょっと重たかったのかもしれませんね。
今度は自己のトリオでもう一度聴いてみたい気がしています。
(7)「STELLA BY STARLIGHT」の(6)「INTRODUCTION」はソロ・ピアノで演奏されます。
これを聴くと只者ではないなという印象を持ちました。
大物感の雰囲気は漂っているのでこれから大きく飛躍する可能性を秘めていると思います。
ちなみにモンク・コンペで演奏した曲は「ALWAYS」だそうです。
カルマン・オラーの名前は忘れないようにしましょう。
(中間系)
(303) BENN CLATWORTHY & THEO SAUNDERS QUARTET
/ LIVE AT CHARLIE O'S JAZZ CLUB
benn clatworthy(ts)
theo saunders(p) chris colangelo(b) jimmy branly(ds)
2007/TSM-122(輸入盤)
アメリカの西海岸のロスアンジェルスを中心に活躍するテオ・サウンダース・トリオに
ベン・クラトウォージィ(ts)が客演したライブ盤です。
1曲目にジョン・コルトレーンの曲を持ってきているのでコルトーレーン系の演奏であることが分かります。
明るく洗練されたにウエスト・コースト・ジャズをイメージするとちょっと違和感があるでしょうね。
思ったよりもずっと重量感のあるストレート・アヘッドなハードバップ・ジャズが聴けました。
ベンのコルトレーン・ライクなプレイ、テオ・サウンダースの力強いタッチと切れのあるピアノは魅力があります。
演奏内容からそれぞれの力量を十分に感じることが出来ました。
最近は一ひねりあるものが多いので案外このようにストレートに楽しめるジャズは少ないかもしれません。
真っ向勝負が小気味いいです。
最後にデイブ・ブルーベックの曲があるのもいかにも現代のジャズだなあーと思います。
以前なら両極端のコルトレーンとブルーベックの曲を一緒に演るのはちょっと考えにくかったです。
(中間系)
(302) MANUEL ROCHEMAN TRIO / DANCE CACTUS
manuel rocheman(p) scott colly(b) antonio sanchez(ds)
2007/NOCTURNE/NTCD412(輸入盤)
マヌエル・ロシェマン(p)は初見、最初の一音でグイと引き込まれてしまいました。
オリジナルの1曲ですが抜群のノリはこのトリオの魅力が全開です。
アルバムの評価の仕方は人それぞれだと思いますが私は第1曲目を最重要視しています。
作る側の立場からするとまずは第1曲目で聴く者を惹きつけたいと思うのが普通でしょうね。
それだけに1曲目に何を持ってくるかは大問題で「始め良ければ全て良し」とも言えます。
2番目が表題曲の出来がどうか・・・これも表題にするくらいなら良いと思うのが普通だからです。
3番目が好きな曲や知った曲を聴いてみて吟味するという順番です。
全12曲中、オリジナルが5曲、その他が7曲の構成です。
ビル・エバンス(p)とキース・ジャレット(p)の曲が入っているので二人に影響を受けたのは一目瞭然です。
スコット・コーリー(b)とアントニオ・サンチェス(ds)の強力なバックにも魅力があります。
相性がピッタリとはいきませんが初顔合わせのスリルもあるし興味深い組み合わせだと思います。
”NOCTURNE”レーベルはフランス盤、また強力なピアニストが登場しました。
(中間系)
(301) GEORGE GARZONE & TRIO DA PAZ
/ NIGHT OF MY BELOVED
george garzone(ts) kenny werner(p)
romero lubambo(g) nilson matta(b) duduka da fonseca(ds)
2007/VENUS RECORDS/TKCV-35403
夏にはやはりボサノバが聴きたいということでこのアルバムを購入してみました。
それもジョージ・ガーゾーン(ts)とケニー・ワーナー(p)とは・・・こういう企画は面白いでしょうね。
二人共に一筋縄ではいかない好みのプレイヤーなんです。
ガーゾーンはゲッツの音色+コルトレーンのスタイルで、両者の長所を上手にミックスしています。
現在のテナー奏者にはこれを目指す人も多いのではないでしょうか。
バックはブラジル出身のギター・トリオで、ジョビンの曲が4曲、オリジナルが2曲取り上げられています。
スタン・ゲッツ(ts)やハリー・アレン(ts)のようなスマートなスムーズさはありませんが、
一味違うボサノバ・アルバムでトツトツとして歌う骨太、硬派のテナー奏者の面目は保たれています。
私的なベスト・トラックは(3)、「NIGHT OF MY BELOVED」と副題の付いた表題曲の(6)、(5)も秀逸。
「GENTLE RAIN」や「THE SHADOW OF YOUR SMILE」も耳触りがいいです。
バークリーなどで教鞭を取っているようですが、ある意味模範的な演奏と言えるのかもしれません。
もう1人のケニー・ワーナーも興味深いピアニストです。
多彩で多才?・・・この人の頭の中はどういう具合になっているのか未だに分かりませんよ。
ヴォーカルのバックやこのアルバムでの流麗なプレイと複雑な自己の作品とのギャップが埋まらないです。
ワーナーの参加アルバムを見てもその多様性には驚かされてしまいます。
チャーリー・ミンガス、アーチー・シェップ、メル・ルイス、ジョー・ロバーノ、リー・コニッツなど、経歴は一線級、
ロザンナ・ヴィトロ(vo)を売り出したことでも知られ、鈴木重子(vo)さんのバックも努めています。
いずれにせよ、意表を突いた企画であることは間違いありません。
ジョージ・ガーゾーンとケニー・ワーナーのボサノバ・アルバムは新鮮です。
(くつろぎ系)