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(300) MARIANO DIAZ QUARTET / PLAN B

mariano diaz(p)
perico sambeat(as,ss) mario rossy(b) marc miralta(ds)
2007/NUBA RECORDS/KAR-7799(輸入盤)


マリアノ・ディアズ(p)は初見、私の狙いはペリコ・サンビエト(as)にありました。
ブラッド・メルドー(p)やカート・ローゼンウィンケル(g)、ジェフ・バラード(ds)といった
時代の最先端を行くジャズ・プレイヤーと共演、互角に渡り合っています。
そんなわけでペリコには以前から注目していて来日公演も見に行っています。
2005年の愛知万博のスペイン館の演奏で初来日、その時に1回だけ東京で公演したのです。
「これは見逃せないなあー」と思って、何とか時間をやりくりして見に行ったのを覚えています。
紹介ではペリコ・サンビートではなくてペリコ・サンビエトと発音していました。
↓のフレドリクと比較すると面白かったです・・・フレドリクが剛ならペリコは柔。
しなやかでやわらかい音色ながらアイデア、テクニック共に卓越していて独特のノリを持っています。
マリアノ・ディアズはスペイン系としてはしっとりと落ち着いたタイプのピアニストです。
バックのメンバーも含めて自然体で無駄な力を感じさせないのが好ましいです。
スペインのプレイヤーは一般的にクールな中にも情熱を秘めているのでまだ分からない部分はあります
いずれにしてもスペイン期待の若手ピアニストの一人というところでしょうか。


(中間系)




(299) YOSHIO SUZUKI TRIO / FOR YOU

yoshio"chin"suzuki(b) tadataka unno(p) cecil monroe(ds)
2007/ONE JASRAC/FNCJ-1001


先日、鈴木良雄トリオを見に行った時に購入してきたアルバムです。
ライブでの演奏もほとんどこの中からの選曲だったので今でも記憶に残っています。
鈴木さんは何度も海野さんを紹介していたので、いかに期待して可愛がっているかが分かりました。
やはり、ここでの聴きどころも海野雅威(p)さんになるでしょうね。
鈴木さんとセシル・モンロー(ds)のベテラン二人がサポートしてご機嫌なアルバムに仕上がりました。
表題曲のオリジナル・バラードの「FOR YOU」はピアノとベースのデュオでじっくりと聴かせます。
海野さんの絶妙なタッチとしなやかで美しい音色、スイング感溢れる演奏を楽しむことができます。
これからの日本のジャズ・ピアノ界を担う若手の1人なのでこれからも注目していきたいと思っています。
ただピアニストにアタックの力強さや鋭さを求める人には少々物足りなく感じるかもしれませんね。

(くつろぎ系)




(298) FREDRIK KRONKVIST QUARTET / IGNITION

fredrik kronkvist(as)
kasper villaume(p) martin sjostedt(b) daniel fredriksson(ds)
2007/CONNECTIVE RECORDS/CTV-36514(輸入盤)


スウェーデンのアルト・サックス奏者のフレドリク・クロンクビストの新作です。
前回聴いたのは「ALTITUDE」(Sittel/2003)でピアノを除いては同じメンバーでした。
何と表現したらいいのか・・・ジョン・コルトレーン・カルテットのアルト・サックス版といえば分かりやすいかな。
気合乗りと心構えは十分、最大の魅力はガツンとくるそのパワフルな音色にあります。
アルト・サックスのワン・ホーン・アルバムとしては久し振りに腰の入った存在感のある音を聴かせてもらいました。
感覚的にはジャッキー・マクリーン(as)以来かもしれません。
ストレートでオーソドックス、主流派ハード・バップの流れを汲むアルバムで新鮮な感覚で聴くことができました。
加えてリズム・セクションの3人が素晴らしい・・・特にキャスパー・ヴィヨーム(p)の参加に価値があります。
このキャスパー・ヴィヨーム(p)のマッコイ・タイナー(p)張りのプレイに注目、
マーティン・スヨステットの強力なベース・ワーク、ダニエル・フレドリクソンのドラムスも凄い。
全曲、フレドリクのオリジナルで(4)「ORIENTAL COLORS」、(6)「TOKYO BLOSSOM」は来日時の印象か。
(3)「BLACKBIRD MORNINGS」のバラードは美しいですが10年後にもう一度聴いてみたいです。

ちなみに彼を見出したのはヤン・ラングレン(p)だそうです。

(まじめ系)




(297) STEVE KUHN TRIO / LIVE AT BIRDLAND

steve kuhn(p) ron carter(b) al foster(ds)
2007/BLUE NOTE/0946 3 72992 2 7(輸入盤)


スティーヴ・キューン(p)の新譜はライブ盤です。
キューン、ロン・カーター(b)、アル・フォスター(ds)のベテラン3人が集えば悪かろうはずがありません。
やはり安心感、安定感のある落ち着いたプレイを展開しています。
キューンはスタン・ゲッツ(ts)、ケニー・ドーハム(tp)、アート・ファーマー(tp)などのグループに参加しました。
その頃からビル・エバンス(p)派の逸材として将来を嘱望されていました。
ヨーロッパに渡ってからの深いリリシズムや退廃的、耽美的な演奏は好みが分かれるところではあります。
80年代の後半からはよりオーソドックスなスタイルに戻って魅力的なピアニストの1人になりました。
ピアノの音色も美しくタッチも自在、色々な経験を踏まえているので表現力が多彩で興味深い存在です。
ドーハムの「LOTUS BLOSSOM」は大のお気に入りのようでライブではよく演奏しているようです。
キューンの特徴の一つにワルツを得意としているのでここでも2曲披露してくれています。

圧巻はヘンリー・マンシーニの美しい曲、(8)「SLOW HOT WIND」です。
4ビートのこのノリ、この心地良さはベテラン・トリオならではの味わいです。
親しみのある「LOTUS BLOSSOM」と共に何度聴いても「いいなあー」と思いました。
興味があれば是非ご一聴あれ。

(中間系)




(296) MICHAEL BRECKER QUINTET / PILGRIMAGE

michael brecker(ts) pat metheny(g) herbie hancock(p)(1,5,8,9)
brad mehldau(p)(2,3,4,6,7) john patitucci(b) jack dejohnette(ds)
2007/WA RECORDS/0602517263512(輸入盤)


マイケル・ブレッカー(ts)の2006年録音の遺作です。
このアルバムは今年の上半期の最大の話題作になるのは間違いないでしょうね。
全9曲はブレッカーのオリジナルで、ブレッカーの全てが注ぎ込まれているといっても過言ではありません。
ハービー・ハンコックとブラッド・メルドーの持ち味の違う二人のピアニストを起用したのも成功しています。
ハンコック参加の(1)、(5)、(8)、(9)はジャズ・テイストが濃くハード・コアな内容で素晴らしいです。
メルドー参加の(2)、(3)、(4)、(6)、(7)はよりマイルドな印象で泣きのサックスも聴けます。
最もブレッカーらしいサウンドを聴かせてくれた(4)「TUMBLEWEED」が私的なベスト・トラックです。
望み得る最高の共演者に囲まれて、各人の好演と相まって貴重なアルバムになっています。
ブレッカーが病魔に侵されていたことを考えるとこれほどの出来になるとは到底信じられません。
私はここに次世代をリードするブラッド・メルドー(p)が参加していることに何かの因縁を感じました。
ブレッカー、メセニー、ハンコック、メルドー、パティトゥッチ、デジョネット、
これを聴かずして現在のジャズは語れない・・・なんか全てに信じがたい驚異的なアルバムです。
多分、今年はこれ以上のアルバムは出てこないと思います。

(まじめ系)




(295) AVISHAI COHEN TRIO + 2 / AS IS...LIVE AT THE BLUE NOTE

avishai cohen(b,elb) sam barsh(p,key) mark guilliana(ds)
jimmy greene(sax) diego urcola(tp)
2007/HALF NOTE/HN-4531(輸入盤)


チック・コリア&オリジンで名前を上げたイスラエル出身のアヴィシャイ・コーエン(b)の新譜です。
(7)の「CARAVAN」を除いては自身のオリジナル、CD&DVDの2枚セットは大徳用盤です。
パワフルでエネルギッシュ、その強靭なベース・プレイは当代随一と言っても過言ではないと思います。
中近東の香りを強く滲ませた個性的なサウンドはズシンと重たく響いてきます。
加えてエレキ・ベースのコンテンポラリーで濃い味付けは独自の音の世界を持っています。
この重厚さが今の私にはちょっとしんどいですが個性が強いだけにどっぷりとハマる人もいるでしょうね。
そんなわけで私はDVDの方が良かった・・・映像を見ながらの演奏でないと身が持ちません。
今作はアヴィシャイ・トリオにホーン奏者がゲスト出演するという形式です。
期待のサックス奏者のジミー・グリーンのソプラノ・サックスも満喫出来ます。

(まじめ系)




(294) LARRY HAM TRIO / CAROUSEL

larry ham(p) lee hudson(b) tom melito(ds)
2007/WEST VILLAGE MUSIC/(輸入盤)


ラリー・ハム(p)は初見、やわらかく包み込むようなピアノの音色、
ベテランらしくリラックスしたくつろいだ、いぶし銀の如くのピアノを聴かせてくれました。
どうも自主制作盤のようですが白黒のジャケットの写真も悪くありませんが惜しむらくは録音がイマイチです。
オリジナル7曲にスタンダード5曲の構成、オリジナルの曲もいいです。
(3)、(5)、(7)、(12)はピアノソロで、(6)の美しくも軽快で抜群のノリはベスト・トラックだと思いました。
1曲、1曲は比較的短いですが珠玉の名演です、何よりホッとさせてくれるのがいいです。
(12)「MY FUNNY VALENTINE」は一日の終わりに聴きたい、これでゆっくりと眠りにつくことができるでしょう。
知名度は低くてもジャズ界には数多くの名手が存在します。
ラリー・ハムもそんな中の1人です。

(くつろぎ系)




(293) BILL CHARLAP TRIO / LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD

bill charlap(p) peter washington(b) kenny washington(ds)
2007/BLUE NOTE RECORDS/7243 5 97044 2 5(輸入盤)


今やこのビル・チャーラップ・トリオも世界を代表するピアノ・トリオの一つでしょうね。
これはヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤ですが緊張感が漂っているところに独特の雰囲気を感じます
観客の期待度と共に「さあー、聴くぞ」という姿勢が伝わってくるようです。
聴けば聴くほど味わい深く、格調高く上品で、バランス、コンビネーション共に抜群です。
このトリオはスタンダードを演奏することが多いですが、スタンダードの名曲が
瑞々しい感覚と共に新しい息吹を吹き込まれているような感じがします。
(1)「ROCKER」は見出してくれた恩師、ジェリー・マリガン(bs)の曲です。
マイルス・デイビス(tp)の名盤、「Birth Of The Cool」の中で演奏されたのが知られています。
マリガン・ファンの私としては、一番目に収録してくれたのは嬉しい限りです。

(中間系)




(292) MARTIN BEJERANO TRIO / EVOLUTION/REVOLUTION

martin bejerano(p) edward perez(b) ludwig afonso(ds)
2006/RESERVOIR/RSR CD 189(輸入盤)


注目すべきピアニストのマーティン・ベジェラーノの初リーダー・アルバムです。
彼を最初に知ったのは1昨年のベスト3に選んだロイ・ヘインズの「Fountain Of Youth」(2004)でした。
このロイ・ヘインズ・カルテット↓はメンバーにも恵まれて素晴らしかったです。
ヘインズの晩年の代表作になるのは間違いありません。
さて、この新作ですが若者らしいスイング感溢れる元気溌剌としたプレイが聴けます。
構成もオリジナルが4曲にスタンダードが2曲、ジャズの名曲が3曲とバランスが取れています。
ここは”荒削り”が最大の魅力・・・味わい深さなんて吹っ飛ばしてグイグイと突っ走ってくれています。
最近は若くても大人しく老成した感じのピアニストが多いですがそんなことは微塵も感じさせません。
将来性を考えたらこの初リーダー・アルバムは逃さない方がいいでしょうね。
近年、ベジェラーノはロイ・ヘインズ(ds)とラッセル・マローン(g)↓のグループで活躍しています。
ちょうどこれから夏にかけてこの両グループで来日公演をするとの情報を得ています。
ちょっと見てみたい気もしますね。

■ROY HAYNES / Fountain Of Youth (2004)
■RUSSELL MALONE / Playground (2004)

(中間系)




(291) ZSOLT KALTENECKER TRIO / WINTER'S TALE

zsolt kaltenecker(p) viktor hars(b) gergo borlai(ds)
2007/R & V RECORDS/RV-002(輸入盤)


ハンガリー出身の俊才、ソルト・カルトネッカー(p)の15枚目のリーダー・アルバムです。
カルトネッカーは「ガッツ・プロダクション」が紹介した最高のピアニストということになるでしょうか。
2001年発売の「Rainy Films」は素晴らしかったです、私は一発で虜になりましたよ。
しばらくの間はエレクトリック路線に興味がいったようなので私は聴いていません。
久し振りのアコースティック・ピアノ・トリオの作品ということでワクワクして聴きました。
演奏良し、バランス良し、録音良し・・・・・期待にたがわぬ上々の出来栄え。
斬新で魅力的なフレーズ、強力で切れ味鋭いタッチは”凄い”の一言です。
メンバーのオリジナルで固められ、日本の印象を綴った「LIGHT OF SHINJUKU」なんて曲もあります。
特に(4)「PASOLINI'S DREAM」における類い稀なる表現力はカルトネッカーの高い才能を示すものです。

ピアノ・トリオの一級品でお薦め・・・まだ未聴の方は是非一度聴いてみて下さい。

(中間系)




(290) ANDY MARTIN-JAN LUNDGREN QUARTET
/ HOW ABOUT YOU ?


andy martin(tb)
jan lundgren(p) chuck berghofer(b) joe la barbera(ds)
2006/FRESH SOUND RECORDS/FSR-5044(輸入盤)


思うにトロンボーンのワン・ホーン・アルバムを買ったのは何年ぶりになるでしょうか。
前回は何だったか、全然思い出せないほどです。
このアルバムに惹かれたのも当然ながらヤン・ラングレン・トリオの方でした。
アンディ・マーティン(tb)はベテランのようですが初見、スタンダード作品集で安心して聴くことができます。
でも、やっぱり、主役はヤン・ラングレンだと思いました。
スーッと心に響いてくる心地良いタッチとセンスは只者ではありません。
彼はすでに独自の世界を持っています。

(くつろぎ系)




(289) FRANK MORGAN QUARTET / A NIGHT IN THE LIFE

frank morgan(as)
george cables(p) curtis lundy(b) billy hart(ds)
2007/HIGHNOTE RECORDS/HCD-7164(輸入盤)


フランク・モーガン(as)・カルテットの”JAZZ STANDARD”におけるライブ盤の第3弾です。
2003年の11月に録音されたものですがほぼ2年ごとにリリースされています。
どれもスタンダード・ナンバーで出色の出来ですが、今作は比較的長い曲が集められています。
その分、ベテラン・カルテットの演奏を十分に堪能することが出来ました。
中々に3連作は買いにくいものですが、スタンダード作品集として非常に魅力的だと思います。
モーガンの演奏が素晴らしい・・・時代を越えた名曲の数々がジャズの魂と共に現代に蘇ってきました。
50年代にはチャーリー・パーカーの直系として期待され、その後の消息は不明になり、
80年代になって突然復活してきたモーガンの真髄を聴く意味でも貴重な作品集になりました。
バックのジョージ・ケイブルス(p)、カーティス・ランディ(b)、ビリー・ハート(ds)も好サポート、
彼らにとっても印象に残る共演になったのではないでしょうか。
↓は同メンバーによるVOL.1、VOL.2のジャケットです。
1枚だけならやはりVOL.1をお勧めします。


(中間系)




(288) HAL GALPER TRIO / FURIOUS RUBATO

hal galper(p) jeff johnson(b) john bishop(ds)
2007/ORIGIN RECORDS/82476(輸入盤)


ベテラン・ジャズ・ピアニストのハル・ギャルパーはさすがに一筋縄ではいきません。
サム・リバース(ts)、チェット・ベイカー(tp)、キャノンボール・アダレイ(as)、
リー・コニッツ(as)、フィル・ウッズ(as)等々とそのキャリアをたどれば一目瞭然です。
みなさんがよくご存知の「MILESTONES」、「NAIMA」、「MILES AHEAD」の原曲のイメージはほとんどありません。
ギャルパー流に演奏するとこうなる・・・それだけギャルパーの解釈と展開がユニークだと言えます。

単純ではないだけに誰でもにお勧めするとはいきませんが個性的なピアノ・トリオならここにあります。
好きな人にはたまらないでしょう。

(まじめ系)




(287) BRUCE JACKSON TRIO / DON'T SLEEP ON YOUR DREAMS

bob himmelberger(p) nicolas bayak(b) bruce jackson(ds)
2006/SOUTHPAW/(輸入盤)


ブルース・ジャクソン(ds)は初見、純ジャズ路線とはちょっと違うような気がします。
変な言い方かもしれませんがヨーロッパの洗練された感覚とアメリカの野暮ったさが
微妙にマッチして独特なトリオの雰囲気を出していると思います。
このアルバムにはそこに最大の魅力を感じました。

曲目はウエイン・ショーター(ts)、セロニアス・モンク(p)、ラリー・ヤング(org)と
デイブ・リーブマン(ts)は珍しく、加えてスタンダードが演奏されていて盛りだくさん。
ショーターの「FOOTPRINTS」はマイルス・デイビスの「マイルス・スマイルズ」で演奏されたものですが、
最近のジャズ・メンにも数多く取り上げられていてモダン・ジャズの名曲になりました。
今や最も旬な曲はショーターの作曲といっても差し支えないでしょう。
そういえば先日の「CD聴きの会」で聴いたのも「ブラック・ナイル」と「アナ・マリア」のショーターの曲でした。
最後にひっそりと入っている「MY SHIP」がなかなかいいです。


(中間系)




(286) ROBERT GLASPER TRIO / IN MY ELEMENT

robert grasper(p) vicente archer(b) damion reid(ds)
2007/BLUE NOTE/0946 3 78111 2 2(輸入盤)


私がロバート・グラスパー(p)を初めて知ったのは3年ほど前の2004年の夏でした。
拙ホーム・ページの読者から「凄いピアニストがいるので是非聴いてみて下さい」とのメールが来ました。
グラスパーはブラッド・メルドー(p)に続く次世代を担う逸材だという触れ込みでした。
それで早速購入したのがスペインから出ていた■「Mood」(Fresh Sound N.T/2003)(ドラ盤150)です。
聴いてみますとたしかにスケールの大きさを感じさせ、大物感を漂わせていると思いました。
次に出た■「Canvas」(Blue Note/2005)(ドラ盤201)も当然ドラ盤入りを果たしました。
今作が3枚目のリーダー・アルバムになります。
サム・リバース(ts)とハービー・ハンコック(p)の2曲を除いては全て自身のオリジナルです。
先日紹介したチャールス・トリバー(tp)盤↓にも起用されていたので驚いたばかりです。
思ったよりもずっと幅広く、奥行きがあるピアニストかもしれませんね。
今のところはどこに向かうのか、どうにも掴みどころがないというのが最大の魅力でしょうか。
ところで、大柄のグラスパーは誰かに雰囲気が似ているなーと思ってずっと考えていました。
何か気になっていたのですが昨日の夜、ベットの中でふと思い付きました。
「そうだ!ランディ・ウエストン(p)だった」・・・というわけで昨日はグッスリと眠られました。
2003年にはすでに初来日しているようなので日本のジャズ・ファンの目ざとさにはつくづく感心します。

(まじめ系)




(285) MICHEL BISCEGLIA TRIO / INNER YOU

michel bisceglia(p) werner lauscher(b) marc lehan(ds)
2007/PROVA/PR 0701-CD1(輸入盤)


久し振りに印象に残るユーロピアン・ピアノ・トリオを聴いた気がします。
ミシェル・ビスセグリア(p)は初見、名前からはフランス人のようですが・・・。
このCDも自己名義のレーベルなのでひょっとすると自己製作盤かもしれませんね。
しかし、内容は素晴らしいと思いました。
ヨーロッパ・ピアノらしい繊細で華麗、しっとりと落ち着いた実に良いアルバムです。
チャーリー・ヘイデン(b)やチャーリー・パーカー(as)の曲、スタンダードも1曲入っています。
曲想の構成もよく考えられていて、トリオのバランスもいいのでお勧めします。
ここで逃すと入手困難になるのは確実な状況だと思われます。

(中間系)




(284) ADAM ROGERS TRIO / TIME AND THE INFINITE

adam rogers(g) scott colley(b) bill stewart(ds)
2007/CTISS CROSS JAZZ/1286(輸入盤)


アダム・ロジャース(g)のリーダー・アルバムは初見、評判が高いので購入してみました。
彼はフュージョンから先鋭のジャズ路線までの幅広い音楽性の持ち主です。
雰囲気的にはパット・マルティーノ(g)のラインかな・・・。
注目のスコット・コーリー(b)とビル・スチュアート(ds)のバックにも魅力がありますね。
5曲のスタンダードと4曲のオリジナルの構成ですが曲想が変化に富んでいるので飽きさせません。
気負わず淡々とした3人のインター・プレイも聴きどころで、しっとりと落ち着きのある好作品です。
メンバーのバランスも良くギター・トリオとしては一級品だと思います。

私がアダム・ロジャースを聴くのはこれが4枚目になります。
■BILL EVANS(ts) / TOUCH / (1999 Zebra)
■JACKY TERRASSON(p) / WHAT IS IT / (1999 Blue Note)
■CHRIS POTTER(ts) / TRAVELING MERCIES / (2002 Verve)


(中間系)




(283) JOE LA BARBERA QUINTET / NATIVE LAND

joe la barbera(ds)
clay jenkins(tp) bob sheppard(ts,ss) alan pasqua(p) tom warrington(b)
aaron serfaty(per)(3,5)
2005/APHRODITE RECORDS/APH-106002(輸入盤)


これはジョー・ラ・バーベラ(ds)が率いるベテラン・クインテットです。
先週に引き続きカナダ発ですがこちらは一味濃いハード・バップ盤。
ジョー・ラ・バーベラを紹介するには晩年のビル・エバンス・トリオのドラマーということが付いて回ります。
本人はもううんざりかも知れませんがこれが一番分かり易いのでしょうがないかと思っています。
そんなわけでカナダ出身のドラマーとしては知名度も高く、あちこちで引っ張りダコの大活躍です。
今作は自身のオリジナル5曲を含む多彩な構成で意欲的な作品になっています。
ハード・バップではあるけれど中味はかなり濃い味付けなのでじっくりと味わいたい作品です。
特にアラン・パスクァ(p)の参加が貴重で、彼の純ハード・バップ・アルバムは珍しいと思います。

(まじめ系)




(282) PAT METHENY & BRAD MEHLDAU / QUARTET

pat metheny(g) brad mehldau(p)
larry grenadier(b) jeff ballard(ds)
metheny/mehldau duets (2,4,6,11)
2007/NONSUCH RECORDS/NONESUCH-104188-2(輸入盤)


去年の「メセニー&メルドー」の続編です。
メンバーも同じ、同日録音なので悪かろうはずがない。
が、しかし、現実的で迷う問題にぶち当たります・・・「もう1枚買う必要があるかどうか?」です。
結局、2枚買っても聴くのはどちらか1枚になるのは今までの経験則から分かっています。
前作はデュオが中心でカルテットが2曲、今作はカルテットが中心でデュオが4曲の構成。
混ざっているからなおさら悩む・・・「さあー、どうしますか?、お客さん」。

結論から言えば、やはりこれは買って良かったと思いました。
最初から2枚出す予定でいたようだし、それぞれのコンセプトは考えられていたのでしょうね。
デュオ中心ならしっとり系、こちらのカルテット中心はより弾けている感じがしました。
なにしろメセニーが凄い、空間にこれだけ音の広がりを感じさせるギター奏者はいません。
自在な表現力と創造力で小宇宙を形成する・・・稀代の名手、パット・メセニーがここにいます。
これほどのギタリストを現在進行形で聴けるのは幸せだと思っています。

(中間系)




(281) CHANO DOMINGUEZ QUARTET / ACERCATE MAS

chano dominguez(p)
george mraz(b) guillermo mcgill(ds) anga(per,conga)
mario rossi(b)(8) pirana(cajon)(8)
2006/KARONTE DISTRIBUCIONES/NUBA-7791(輸入盤)


スペインの名手、チャノ・ドミンゲス(p)の新作です。
今ちょうどラテン系のジャズ・ピアノを聴きたいと思っていたのでぴったりのタイミングでした。
ラテン系と言っても聴きたかったのはボサノバではなくてサンバ、ルンバ、タンゴの系統です。
それもゆったりと流れるような美しいメロディなら最高だと思っていました。
このアルバムはその条件にほぼ沿うものになりました。
バックでパーカッションやコンガがチャカポコと響くリズムが心地良い。
(2)「ACERCATE MAS」や(4)「CUANDO VUELVA A TU LADO」のラテンの名曲は美しいです。
しっとりとした(7)「SKYLARK」も良かった。
やはりラテンの名曲を表現するにはラテンの血が入っていないとこの味と雰囲気は出ません。
ただ、(6)「AFROBLUES」だけはもっと泥臭くないとしっくりきませんでした。


(くつろぎ系)




(280) WYNTON MARSALIS SEXTET / LIVE AT THE HOUSE OF TRIBES

wynton marsalis(tp)
wessell "warmdaddy" anderson(as) eric lewis(p) kengo nakamura(b)
joe farnsworth(ds) orlando q. rodriguez(per)(1,2,5,6) robert rucker(tb)(6)
2005/BLUE NOTE RECORDS/7243 4 77133 2 3(輸入盤)


久し振りにウイントン・マルサリス(tp)を聴いてみました。
この作品はまずプレイヤーと聴衆の一体感が素晴らしいです。
これぞライブ・ハウスの醍醐味の一つと言えます。
日本では残念ながら中々こういう雰囲気にはなりませんね。
(1)「GREEN CHIMNEYS」から(2)「JUST FRIENDS」に入る間がたまりませんでした。
マルサリスのプレイも最高潮、一人二人と加わってきて徐々に盛り上がっていきます。
ウイントンを聴くのも久し振りですがこれほどストレートに演奏するジャズ・アルバムも珍しいのではないでしょうか。
中村健吾さん(b)とジョー・ファーンズワーズ(ds)の起用が効いていると思いました
1曲、1曲が長いけれどその分ウイントンの演奏を存分に満喫することができます。
彼は回顧主義、伝承派、伝統と現代性を掛け合わせ新人発掘に
尽力し、ジャズの発展に貢献しています。
誰でもができるはずもなく、それはそれで立派なことだと思っています。

(中間系)




(279) CHARLES TOLLIVER BIG BAND / WITH LOVE

charles tolliver(tp)
david guy(tp) chris albert(tp) keyon harrold(tp)(1,3,7) david weiss(tp)
james zollar(tp)(2,4,5,6) joe fiedler(tb)(3) clark gayton(tb) stafford hunter(tb)
jason jackson(tb) aaron johnson(btb) todd bashore(as) jimmy cozier(as)(5)
craig handy(as,ss,cl,fl) billy harper(ts) bill saxton(ts,cl) howard johnson(bs,bcl)
stanley cowell(p)(2,3,4) robert glasper(p)(1,5,6,7) cecil mcbee(b) victor lewis(ds)
ched tolliver(g)(6)
2006/BLUE NOTE/MOSAIC RECORDS/0946 3 69315 2 4(輸入盤)


先週のアンドリュー・ヒルで久々に聴いたチャールス・トリバー(tp)はやっぱり良かったです。
多分、同じ思いをした人もたくさんいたんでしょうね。
早速、トリバーをリーダーとしたビック・バンドのアルバムが登場してきました。
モンクの1曲を除いてはトリバーのオリジナル、コンダクターとしての才能もあると再評価しました。
メンバーには往年の仲間達、ビリー・ハーパー(ts)、スタンリー・カウエル(p)、
セシル・マクビー(b)、ビクター・ルイス(ds)などの顔が見えます。
特筆すべきは期待のピアニスト、ロバート・グラスパーが起用されていることです。
ハービー・ハンコック派とみていましたが、こうなってくるともっと幅広く、奥行きがあるかも知れませんね。
分厚いアンサンブルとハーモニーをバックに各自のソロが展開され刺激的な内容になっています。
出来れば大音量で聴いてもらいたいです。

(まじめ系)




(278) SERGI SIRVENT & SANTI CARETA / ANACRONICS

sergi sirvent(p,vo) santi careta(g)
2006/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT-246(輸入盤)


これは懇意のジャズ・クラブで知り合いになったジャズ・ファンに教えてもらったものです。
彼曰く、去年のベスト3の1枚でセルジ・サーベントは今一押しのピアニストだそうです。
13曲中3曲を除いてはスタンダード作品で占めらています。
たしかに1曲、1曲の解釈が新鮮で、スタンダードが瑞々しい感覚で現在に蘇ってきました。
私は(1)「YOU DO SOMETHING TO ME」の出だしの音を聴いてドキッとしましたよ。
(2)「SOUL EYES」では邦楽、日本の琴を思わせるフレーズが出てきて、これもまた新味。
サーベントもサンティ・カレタ(g)も幅広い表現力を持っているので聴き応えは十分です。
存分に二人のコラボレーションが楽しめるし、デュオ・アルバムとしても一級品だと思います。
スペインの”Fresh Sound New Talent”は新人発掘に力を入れているので目が離せません。

(まじめ系)




(277) ANDREW HILL QUINTET / TIME LINES

andrew hill(p)
greg tardy(ts,cl,bcl) charles tolliver(tp) john hebert(b) eric mcpherson(ds)
2006/BLUE NOTE RECORDS/0946 3 35170 2 8(輸入盤)


アンドリュー・ヒル(p)の新譜は当然ながら全曲彼のオリジナルです。
知名度の高いピアニストにしては寡作のプレイヤーだと思います。
流行に惑わされない、大衆に迎合しない孤高のピアニストの一人だと思っています。
わが道を行くヒルの作品は軽く聞き流すってわけにはいきません。
ここでも小編成とは思えない分厚いアンサンブルとハーモニーを聴かせてくれました。
若手を従えたヒルは貫禄十分でじっくりと聴かせる重厚なサウンドを演出しています。
グレッグ・ターディ(ts)はヒルに認められたとなると見直さなければいけませんね。
今まではいまひとつピンと来なかったのは目指す音楽じゃなかったのかも。
ここでは水を得た魚のように伸び伸びと意欲的なプレイを展開しています。
久々に聴くチャールス・トリバー(tp)は存在感十分でやっぱりいいです。

(まじめ系)




(276) ALAN BARNES & SCOTT HAMILTON WITH THE DAVID NEWTON TRIO
/
ZOOTCASE

alan barnes(as,bs) scott hamilton(ts)
david newton(p) matt miles(b) steve brown(ds)
2006/WOODVILLE RECORDS/WVCD112
(輸入盤)


アラン・バーンズは初見、アルト・サックスとバリトン・サックスを両刀遣いのようです。
バリトンだけならもっと早くチェックできていたと思います。
デヴィッド・ニュートン(p)は何枚かサイドで聴いたことがあります。
このアルバムの購入のきっかけは当然ながらスコット・ハミルトン(ts)です。
それで「今週のジャケット」にもハミルトンを採用したというわけです。
曲目構成は馴染みのあるスタンダードにズート・シムズ(ts)とコールマン・ホーキンス(ts)が2曲、
これは明らかにハミルトンを意識した選曲だと思います。
コールマン・ホーキンス〜ベン・ウエブスターともう一方はレスター・ヤング〜ズート・シムズ、
この二つのラインを融合させてやや下卑た?味付けをするとハミルトンのスタイルになります。
好きも嫌いも、良くも悪くも独自のスタイルを確立したと言えます。
案外目立たないけど彼はワン・アンド・オンリーの世界を持っていると思っています。
内容は推して知るべし、誰でもが予想する通りのサウンドです。
近年日本盤ではエディ・ヒギンス(p)と共演することが多く、新作ではケン・ぺプロフスキー(ts)とも競演。
どちらかというと日本ではバランスを重視するけれど欧米はずっとストレートな作風です。
ジャム・セッションやバトル・セッションの歴史も長く、やはり欧米盤は一味違います。
ちょっと粗い作りだと思いますが、スイング感や真っ向勝負のぶつかり合いの醍醐味はより刺激的です。
日本の「和の世界」と欧米の「主張の世界」の違いがここでも生きている感じがしました。

(くつろぎ系)




(275) EDWARD SIMON TRIO / UNICITY

edward simon(p) john patitucci(b,elb) brian blade(ds)
2006/C.A.M/CAMJ 7796-2(輸入盤)


エドワード・サイモン(p)のトリオものは初めてですが、これはいいです。
瑞々しいタッチと美しい音色、主流派のジャズ・ピアノ・トリオが聴けます。
気負うところがまったく感じられず、ごく自然体なのも好感が持てます。
ジョン・パテトゥッチ(b)とブライアン・ブレイド(ds)とのコンビネーションも抜群です。
特に(2)「THE MESSENGER」の4ビートは心地良く、私はこれでグッと引き込まれてしまいました。
スタンダード作品集なので聴きやすく、あとは一気に聴かされることになりました。
パテトゥッチのエレキ・ベースも自然に耳に入ってきました、これも変化があっていいです。

私がエドワード・サイモンを聴くのはこれが5枚目になります。
■BOBBY WATSON(as) / HORIZON REASSEMBLED / (1995 atlantic)
■MARK TURNER(ts) / MARK TURNER / (1995 DIW)
■TERENCE BLANCHARD(tp) / LET'S GET LOST / (2001 sony)(ドラ盤70)
■TERENCE BLANCHARD(tp) / WANDERING MOON / (2003 maxjazz)
自己名義では[criss cross]から2枚出ているようです。

(中間系)




(274) DONAVAN & MURADIAN QUINTET / DMQ LIVE

jeff donavan(ds) larry muradian(b)
eye falmer(tp) chuck manning(sax) curtis brengle(p)
2006/LIVE TWO 2 TRACK RECORDS/0003
(輸入盤)


今週紹介した2枚は図らずも米欧のハード・バップ・グループのアルバムになりました。
どちらが「最近の愛聴盤」になっても良かったのですが、気楽に聴けるということでこちらにしました。
カリフォルニアのパサディナを中心に活動しているローカルなバップ・グループだそうです。
ドラムとベース奏者の双頭バンドも珍しいのではないでしょうか。
初見ですが写真を見る限りでは相応のベテラン揃い、コンビネーションも良く手慣れたものです。
スタンダードの他にウエイン・ショーター、ベニー・ゴルソン、ジョン・コルトレーンの曲目を取り入れています。
幕開けの「BLACK NILE」から「WHISPER NOT」〜「LOCOMOTION」と一気に聴いてしまいました。
観客の受けも上々のようで、ライブ・ハウスでの寛いだノリノリの雰囲気が伝わってきます。

聴いていて気持いいのが一番の魅力です。

(中間系)




(273) BOB MINTZER QUARTET / IN THE MOMENT

bob mintzer(ts,bcl)
phil markowitz(p) jay anderson(b) john riley(ds)
2006/ART OF LIFE RECORDS/AL-10242(輸入盤)


多彩な音楽性を持つボブ・ミンツァー(ts)のストレイト・アヘッドなジャズ・アルバムです。
彼は「イエロージャケッツ」のサックス奏者として知られていて、ビックバンド畑にも強い。
作編曲者としての能力も高いです。
でも、時々はこういうアルバムも作りたくなるんでしょうね。
(1)「STRAIGHT AHEAD」はそのものズバリの曲名、(3)「TIME AFTER TIME」がただ1曲のスタンダード。
(2)「LISTEN HERE」ではエディ・ハリス(ts)の曲を取り上げています。
ミンツァーのR&Bやソウル・ジャズの
原点がここいら辺にあるのかと思い、興味深かったです。
それだけにこの曲でのプレイが聴きものか。
その他のオリジナルもストレートな表現で聴き易くリラックスできます。

(中間系)




(272) SEBASTIEN JARROUSSE & OLIVIER ROBIN QUINTET
/ TRIBULATION


sebastien jarrousse(ts,ss) olivier robin(ds)
olivier boge(as) jean-daniel botta(b) emil spanyi(p)
2005/APHRODITE RECORDS/APH-106002(輸入盤)


こちらはサックスとドラム奏者を中心にしたフランスのハード・バップ・グループです。
演奏曲目は全てオリジナルで占められ、じっくりと聴きたい方にはこちらをお勧めします。
聴き応えは十分、よりコンテンポラリーな現代風ハード・バップ・ジャズが聴けます。
中味も相当に濃いので聴き込めば聴き込むほど味が出てくると思います。
こういうのを聴くとつくづくフランス・ジャズ界の層の厚さを感じさせられました。
本当に「目立たないけどいいアルバム」・・・今年の一押しのアルバムです。

(まじめ系)




(271) DAVE HOLLAND QUINTET / CRITICAL MASS

dave holland(b)
chris potter(ts ss) robin eubanks(tb) steve nelson(vib) nate smith(ds)
2006/DARE 2 RECORDS/0602498422168(輸入盤)


これもまた「ベスト3」に挙がった1枚です。
デイブ・ホランドのオリジナルが4曲、メンバーもそれぞれ1曲づつを提供しています。
ここは楽器の組み合わせの妙に最大の関心がありました。
テナー・サックス、トロンボーン、ヴァイブの組み合わせは案外珍しいのではないでしょうか。
このアンサンブルとハーモニーが聴きもの、
ポッターの(3)、中近東風味の(5)、(6)のインタープレイなどが聴きどころになりました。
ベースとドラムスの安定した強力なリズムセクションに支えられて伸び伸びとプレイしています。
前作のビックバンドの「Overtime」↓も評判になったけれど今度もいいです。
ホランドには独自の音楽空間を創り出していく手腕の確かさを感じました。
今作もバランスの取れたハイクオリティのジャズ・アルバムに仕上がっています。

[DAVE HOLLAND BIG BAND/ OVERTIME]
antonio hart(as,ss,fl),mark gross(as),gary smulyan(bs),chris potter(ts),
robin eubanks(tb),jonathan arons(tb),josh roseman(tb),taylor haskins(tp),
alex sisiagin(tp),duane eubanks(fhn,tp),steve nelson(vib,marimba),billy kilson(ds),
2005/Emarcy


(中間系)




(270) THE GREAT JAZZ TRIO HANK JONES
/
STELLA BY STARLIGHT

hank jones(p) john patitucci(b) omar hakim(ds)
special guest sadao watanabe(as)(2,3,6,8)
2006/VILLAGE MUSIC eighty-eight's/VRCL-18835


これはベスト3にも挙がった1枚です。
2006年の「東京JAZZ」フェスティバルでこのGJTと渡辺貞夫さんは共演したそうです。
評判は上々、それが今回の共演のリハーサルだったのだと思います。
GJTと渡辺さんの共演はこれが3枚目だそうですが、最初の「I'M OLD FASHIONED」は
「今週のジャケット」で紹介したことがありました。

初代GJT(ザ・グレイト・ジャズ・トリオ)のメンバーはロン・カーター(b)とトニー・ウイリアムス(ds)です。

ハンク・ジョーンズは88歳、メンバーの選び方を見ているとまだまだ枯れていませんね。
何より私はジョン・パティトゥッチ(b)、オマー・ハキム(ds)のバックのメンバーに興味を惹かれました。
ジョンはともかくオマーはどうなんだろうか?と・・・。
結果は吉、月並みですが、やはり刺激的という表現が一番合っているんでしょうね。
両者の競演はスリル満点でハンク・ジョーンズの意欲は十分に買いたいです。
トリオにおけるハキムのドラムはピアニストの新しい一面を演出していると思います。
思えばエバンス系のドン・フリードマンとの相性も案外良かったです。
カルテットではより生き生き、4曲に参加した渡辺さんもリラックスした演奏を繰り広げています。
(3)「OLD FOLKS」はしんみりと心に沁みました。
ジャズ界の怪物はこのハンク・ジョーンズとロイ・ヘインズ(ds)の二人ですね。

(中間系)




(269) GEORGE BENSON & AL JARREAU / GIVIN' IT UP

george benson(g,vo) al jarreau(vo)
lally williams(key) a,ray"the weeper"fuller(g) dean parks(g)
abraham laboriel(elb) vinnie colaiuta(ds) paulinho da costa(per)
marion meadows(sax) herbie hancock(p) patrice rushen(key)
marcus miller(b) michael white(ds) jill scott(vo)
rex rideout(p) michael broening(prog,key) freddie fox(g)
mel brown(b) chris botti(tp) barry eastmond(key)
stanley clarke(b) patti austin(vo) paul mccartney(vo) etc
2006/CONCORD RECORDS/UCCM-2002


去年もフュージョン、スムース・ジャス系のアルバムはほとんど買いませんでした。
それでも見た瞬間に欲しいと思ったのはやはりこのアルバムです。
ジョージ・ベンソンとアル・ジャロウの組み合わせ、加えて”BREEZIN'"とくれば外せません。
メンバーも往年のオールスター・キャスト+ニュー・スターが並んでいて楽しみでした。
雰囲気抜群、期待通りの出来で年末からお正月にかけてよく聴きました。
特に食べ疲れ、聴き疲れの時は最適で、これを聴いていると気分快適でホッとしたものです。
ベスト3にも挙がっているし、候補に挙げた人もいるのは「さもありなん」と思います。

(くつろぎ系)




(268) DAVID BINNEY QUINTET / CITIES AND DESIRE

david binney(as) mark turner(ts)
craig taborn(p) thomas morgan(b) dan weiss(ds)
2006/CRISS CROSS/1285(輸入盤)


新進アルト・サックス奏者、デヴィッド・ビネイの作品です。
全曲、都市の印象を綴ったオリジナルで占められ、相手にマーク・ターナー(ts)を迎えた意欲作です。
マーク・ターナーが入ると曲調が一気に先進のジャズ・シーンになってしまいます。
このサウンドは多くの若いジャズ・メンが目指すところでもあるのでしょう。
「ひさしを貸して母屋を取られる」感がないでもありませんが、成長過程ではやむを得ません。
作りはかなり凝っていて、全員が活躍の場を与えられていて十分に楽しめました。
もっとも、リスナーの誰でもがすんなり受け入れられるというものでもありません。
ところで「CARPINTERIA」って何処って調べてみました。
カリフォルニア州のサーフィンで有名なビーチを持つということでした。
日本の地名がないのがちょっと寂しいですね。

(まじめ系)




(267) 大野 えり / SWEET LOVE

eri ohno(vo)
george colligan(p) james genus(b) clarence penn(ds) shunzo ohno(tp)
2006/PACIFIC HOUSE SOUND/PH-0001


大野えりさんにとってこのアルバムが21年振りとはどうしても信じられません。
聴くたびに”どうして”と思う・・・それほどに出来栄えが良いです。
ニューヨークに乗り込んでの録音、バックの人選も俊英を揃えてよく考えられています。
ジョージ・コリガン(p)、ジェームス・ジェナス(b)、クラレンス・ペン(ds)、それに大野俊三(tp)さん。
歌は上手いし、オリジナルを含めて選曲も意欲的、満を持して出した自信作だと言えます。
私は聴いた瞬間から彼女の世界に引き込まれてしまいました。
お久し振りですが「以前のように」と彼女のメッセージが込められた(3)「HELLO LIKE BEFORE」の美しさ、
(5)「BYE BYE BLACKBIRD」では抜群のジャズ・フィーリングを味わうことが出来ます。
日本語で歌われる(6)「BA RA」(薔薇)は感動的ですらあります。
ライブでもその素晴らしさを肌で感じることが出来ました。
ジャズの範疇ではとてもくくれないと思うけれど、日本人ジャズ・ヴォーカルの可能性を示した作品です。
より多くの音楽ファンに聴いてもらいたいアルバムです。

(中間系)




(266) JED LEVY QUARTET / GATEWAY

jed levy(ts)
george colligan(p) ugonna okegwo(b) billy drummond(ds)
2006/STEEPLE CHASE/SCCD-31606(輸入盤)


ジェド・レヴィのワン・ホーン・カルテットの新作です。
オリジナルが中心ですが、選曲も練られていて意欲的な作品になっています。
(3)[GATEWAY]〜(4)[LOST APRIL]〜(5)[POSITIVITY]〜(6)[CHORALE]と続くあたりが聴きどころか。
ピアノレスのトリオで演奏される(7)[HOW AM I TO KNOW]も面白いです。
焦らず騒がず、肩の力を抜いて淡々と吹くクールな表現力が最大の魅力です。
ミディアム・テンポに持ち味を十分に発揮しています。
加えて今作はジョージ・コリガン(p)、ウゴンナ・オケグウォ(b)、ビリー・ドラモンド(ds)にも注目しました。
特に近年の活躍が目覚しい今が旬と思われるコリガンの存在が大きいです。

(中間系)




(265) DANNY GRISSETT TRIO / PROMISE

danny grissett(p) vicente archer(b) kendrick scott(ds)
2006/CRISS CROSS/1281(輸入盤)


将来性のあるプレイヤーは何か人とは違う感性を持っていると思います。
聴いている人に訴えかける何かを・・・このダニー・グリセット(p)もそうだと思いました。
美しく繊細、しなやかなで瑞々しいタッチと音色は魅力に溢れています。
極々自然に流れるような、ストレートでオーソドックスなスタイルの持ち主です。
目立たないけど渋いアルバム、聴いた瞬間、私は「ああー、いいなあー」と思いました。
トリオの雰囲気が良いので、スーッと彼らの世界に引き込まれる感じですね。
久し振りにアメリカから現れた楽しみなピアニストだと思います。

(中間系)




(264) BRANFORD MARSALIS QUARTET / BRAGGTOWN

branford marsalis(ts,ss)
 joey calderazzo(p) eric revis(b) jeff "tain" watts(ds)
2006/MARSALIS MUSIC/0874946000420(輸入盤)


ブランフォード・マルサリス(ts)はこのところコンスタントにアルバムをリリースしています。
自己のレコード会社を持ったせいか、自分の演りたいことが出来ている感じです。
聴いていて思い浮かべるのは”ジョン・コルトレーン・カルテット”そのものです。
ブランフォードが思い描いた通りの道を進む「Giant Steps」が始まっています。
聴いてもらえば一目瞭然、多くを語る必要はありません。
心に沁みてくる・・・しばらくは黙って聴いていたい・・・そんな感じの作品です。

(まじめ系)




(263) JOE LOCKE & GEOFFREY KEEZER QUARTET
/ LIVE IN SEATTLE


joe locke(vib) geoffrey keezer(p,key)
mike pope(b,elb) terreon gully(ds)
2006/ORIGIN RECORDS/ORIGIN-82464(輸入盤)


意気投合して新グループを結成したジョー・ロック(vib)とジェフ・キーザー(p)のライブ盤です。
2004年に↓に紹介したアルバムではこんなコメントを書きました。

この組み合わせではジョン・ルイス(p)とミルト・ジャクソン(vib)のモダン・ジャズ・カルテットが
あまりにも有名で、洗練された美しいサウンドとして定型化してしまった感があります。
ボビー・ハッチャーソン(vib)+ハービー・ハンコック(p)の名盤、「ハプニングス」もそうでした。
デュオではゲイリー・バートン(vib)とチック・コリア(p)の「クリスタル・サイレンス」が知られています。
だからでしょうね、最初は正直異質な感じがしましたよ、ドラムがかなりうるさいと感じました。
私の頭の中ではヴァイブ+ピアノのカルテットのイメージが固まっていたからです。
しかし何回か聴いているうちにこれがこのグループの良さだと気が付いたのです。
この作品でキーになっているのは間違いなくテリオン・ガリーのドラムスだと思います。
煽るような強力なリズムが大人しくなりがちなサウンドに刺激を与えています。

この太鼓をどう感じるかが評価の分かれ目になります。」

[THE NEW SOUND QUARTET / SUMMER KNOWS]
joe locke(vib)  geoffrey keezer(p)
ed howard(b)  terreon gully(ds)
2004/EIGHTY-EIGHT'S/VRCL-18821


今でもその印象は変わっていません。
”ヴァイブとピアノは静”の常識を覆した激しくエネルギッシュな演奏が聴けます。
まさにこの演奏こそがこのグループの持ち味、テリオン・ガリー(ds)の存在感が光ります。

(中間系)




(262) KASPER VILLAUME TRIO / FOOTPRINTS

kasper villaume(p) jesper bodilsen(b) rasmus kihlberg(ds)
2006/MARSHMALLOW EXPORT/MMEX-109


このキャスパー・ヴィヨーム(p)の新譜も中々に出来が良いです。
曲目もバラエティに富んでいてヴィヨームの実力を試すにはもってこいの選曲になっています。
彼は↓の2004年の「117 DITMAS AVENUE」、2005年の「HANDS」で一皮も二皮もむけました。
元々が才能豊かでスケールの大きさを感じさせるピアニストでしたが、ここのところの進化は物凄いです。
まさに急激な変貌を遂げていて、この人には思った以上の大物感を感じました。
是非、このまま順調に伸びていって欲しいヨーロッパ・ピアノ界の新星です。
同時に見逃せないのが強力、強靭なイェスパー・ボディルセン(b)の存在です。
このプレイヤーもまたヨーロッパの時代を担うベーシストになると思っています。

(中間系)

前回の「HANDS」のコメントでは、以下の通りの紹介をしました。
”パワフルでエネルギッシュ、強烈なドライブ感とスイング感、文句なしのテクニック、恐るべしヴィヨーム。”
”スケールの大きさを感じさせ、真にミシェル・ペトルチアーニ(p)の後継者に成り得るヨーロッパ・ピアノの逸材です。”

*HANDS
kasper villaume(p)
chris minh doky(b)
ali jackson(ds)
chris potter(ts)
2005/STUNT RECORDS


*117 DITMAS AVENUE
kasper villaume(p) 
jesper bodilsen(b)
jeff "tain" watts(ds)

2004/STUNT RECORDS




(261) DAVID KIKOSKI QUARTET / LIMITS

david kikoski(p)
seamus blake(ts) larry grenadier(b) bill stewart(ds)
2006/CRISS CROSS/1284(輸入盤)


デヴィッド・キコスキ(p)とシーマス・ブレイク(ts)の組み合わせは↓のアルバムでいいなと思っていました。
今作品はそれに加えてバックのラリー・グレナディア(b)、ビル・スチュワート(ds)にも魅力があります。
今や中堅どころの脂の乗り切った旬のメンバーをじっくりと聴くには最適の作品です。
前作と同様に全曲キコスキのオリジナルで意欲的、気合が入っています。
前作と比べると両者共に明らかに表現力が進化しています、切れ味に増して、野太く、逞しくなりました。
甘さを廃した真摯なプレイで聴きどころは多いですが、10分強の最長曲の(3)はお気に入りです。
興味があれば、より繊細で美しい↓と聴き比べてみるのもまた一興だと思います。

[DAVID KIKOSKI QUARTET / THE MAZE]
david kikoski(p)
seamus blake(ts) scott colley(b) jeff 'tain' watts(ds)
1998/CRISS CROSS/1168

(まじめ系)




(260) CHRISTIAN McBRIDE QUARTET / NEW YORK TIME

christian mcbride(b)
javon jackson(ts) jimmy cobb(ds) cedar walton(p)
2006/CHESKY RECORDS/SACD-314(輸入盤)


この作品はメンバー構成からみてもオーソドックスなジャズが聴けるのではと思いました。
結果は予想通りの仕上がり、ジャヴォン・ジャクソン(ts)の参加も興味を引きました。
(3)、(6)、(8)、(10)などがよく知られている曲です。
マクブライド(b)のリーダーアルバムですが、黒幕は4曲を提供したシダー・ウォルトン(p)でしょうか。
もう1人の主役はジャヴォン・ジャクソンで、このテナーが聴きどころになります。
ジャヴォンは音量豊かで音色もまろやか、印象に残りました。
メインストリームでストレートなテナー奏者としては貴重な存在だと思います。
色々と迷いもあるようですが、是非このラインで演っていって欲しいです。
なお、このCDはコピーガード仕様になっているようで、パソコンでは聴けませんでした。

(中間系)




(259) HANK JONES & FRANK WESS / HANK & FRANK

hank jones(p) frank wess(ts,fl)
micky roker(ds) john webber(b) ilya lushtak(g)
2006/LINEAGE RECORDS/LIN-103(輸入盤)


ジャズ界の生き字引的存在のハンク・ジョーンズとフランク・ウエスの共演盤です。
先日のルイス・ナッシュ・ジャズ・オールスターズのライブ会場で購入しました。
録音時の2003年はハンクは85歳、ウエスは81歳なのにこれだけの演奏を聴かせるのは驚異的です。
さすがにベテランの枯れた味わい、安定感は十分で安心して聴いていられます。
長時間聴いていても疲れないのがいいです、まさに究極の癒しのくつろぎ系ジャズがここにはあります。
ちなみにこのCDはウエスがわざわざアメリカから持ってきたそうです。
大ベテランは商売熱心、ここいらへんにもソツがありませんね。(^_^)
敬意を表しての「ドラ流・・・」入りです。

(くつろぎ系)



(258) METHENY & MEHLDAU

pat metheny(g) brad mehldau(p)
larry grenadier(b)(4,7) jeff ballard(ds)(4,7)
2006/NONSUCH/79964-2(輸入盤)


このパット・メセニー(g)とブラッド・メルドー(p)の組み合わせはタイミングといい絶好の企画だと思いました。
二人共に独自の世界を持っているので聴き応えは十分、特にプロデュースしたメセニーには意欲を感じます。
才気溢れる両者のコンビネーションも抜群で、これほど相性がいいとは思いませんでした。
デュオの名盤として後世に残るのは間違いのないところです。
(4)、(7)はそのままメルドー・トリオ+メセニーで変化を持たせていますが、この構成が微妙・・・・・。
好き嫌いは別にしてもジャズ・ファン必聴のアルバムなんてそうそうあるものではありません。
2000年代のジャズを語るには欠かせない”「歴史的名盤」になる”との予感がしています。

(中間系)




(257) BILLY HART QUARTET / QUARTET

billy hart(ds)
mark turner(ts) ethan iverson(b) ben street(b)
2006/HIGHNOTE/RCD-7158(輸入盤)


これは久方振りに背筋がゾクゾクとしたアルバムです。
個性派のマーク・ターナー(ts)とイーザン・イバーソン(p)が実に伸び伸びと演奏しています。
ビリー・ハート(ds)がどっしりと構えていて、安定感は抜群、全て手の内に入れているという感じです。
ベン・ストリート(b)の絡みも秀逸、さすがに実力派のベテラン・ドラマーは一味も二味も違います。
オリジナルが中心とはいえ、曲想も変化に富んでいて飽きさせません。
最初はとっつきにくいかも知れませんが、好きな人にはたまらないサウンドです。
有名なチャーリー・パーカー(as)の「CONFIRMATION」がどう展開されているか、是非聴いて欲しいです。
(3)「CHARVEZ」、(7)のバラード、「LULLABY FOR IMKE」におけるターナーの表現力も聴きどころ。
ここでのマーク・ターナーは絶好調、先進のテナー奏者としての面目躍如たるものがあります。
ワン・ホーンのターナー節を満喫できるので、最近のベスト・プレイだと思います。
比較的オーソドックスなHIGHNOTEレーベルにしては、このような作品は珍しいのではないでしょうか。
2006年のベスト3の1枚になりました。

(まじめ系)




(256) K J B TRIO / A CLOSER LOOK

kazumi ikenaga(ds) john lockwood(b) bert seager(p)
2006/INVISIBLE MUSIC/IM-2036(輸入盤)


池長一美さん(ds)、ジョン・ロックウッド(b)、バート・シーガー(p)の名前を冠したKJBトリオの新譜です。
ロックウッドもシーガーも知る人ぞ知る名手、池長さんは一押しのドラマーで、その独特の感性が光ります。
前作↓も「ドラ流・・・」入りしましたが、今作も素晴らしいですよ。
前回と比べて今回は有名なジャズ・スタンダードが5曲入っていて、より魅力がアップしました。
「静謐、耽美的な世界」・・・一音一音が凝縮された3人の濃密なコレボレーションが聴けます。
実際、これほどのピアノ・トリオはそうそう聴かれるものではないと思っています。
このトリオは毎年日本公演をしていますが、今年は残念ながら時間が取れずに行けませんでした。
池長さんが出身の関西公演が中心で東京では1回だけ、せめて2回はやって欲しいです。

(中間系)



(255) RUUD BRINK & IRV ROCHILIN QUARTET
/
WHERE OR WHEN


ruud brink(ts)
irv rochlin(p) victor kaihatu(b) john engels(ds)
2003(1984)/BLUE JACK/BJJR010(輸入盤)


私が入手したルード・ブリンク(ts)の3枚目のアルバムです。
このプレイヤーは大のお気に入りになりましたが、今回で一応紹介は打ち止めにしようと考えています。
もちろん、個人的にはこれからも色々と聴いてみたいと思っています。
このアルバムも復刻盤ではなくてオランダのラジオ放送用のテープをCDに収録したもののようです。
パターンはほぼ同じですが、持っている雰囲気がちょうど私の感性に合いました。
なにはともあれ、聴いていると”ホッとする”のが最高なんです。

一般的にジャズ・ファンは好きになったプレイヤーを追いかける習性がありますが、私もご多聞にもれません。
しかし、”徹底的に追いかけるのか”というとそうでもないのでつくづく中途半端だと思います。(^_^;)
ジャズ・ファンの中で一番感心するのは惚れ込んだら一途にコンプリートを目指す人です。
自分には出来ないだけに、これにはとても「かなわない」と思いますよ。

(くつろぎ系)



(254) FIVE PLAY / FIVE PLAY ... PLUS

sherrie maricle(ds)
anat cohen(ts cl) karoline strassmayer(as,fl) tomoko ohno(ds) noriko ueda(b) 
jami dauber(tp,fhn)(3,7,10) barbara laronga(tp,fhn)(8,9,10)
2004/ARBORS RECORDS/ARCD-19307(輸入盤)


先日、ライブで見た「ファイヴブ・プレイ」の作品です、ライブ会場で購入しました。
アルト・サックスとトランペットを除いては来日メンバーと同じです。
注目はアナ・コーエン(ts、cl)と大野智子さん(p)になるでしょうか。
選曲も変化に富んでいて中々面白いラインナップだと思います。
(2)の「THAT OLD FEELING」におけるアナのクラリネット・プレイは一聴の価値があります。
(4)「CRAZY, HE CALLS ME」や(7)「
PURE IMAGINATION」も雰囲気があって良かったです。
どことなくソフトなムードを漂わせて、やはり、女性特有のしなやかさや繊細さを感じます。
ライブで一番印象に残ったのは植田典子さん(b)だったですが、頭角を現してくるのは間違いありません。

(中間系)



(253) SONNY FORTUNE QUINTET / GREAT FRIENDS

sonny fortune(as) billy harper(ts)
stanley cowell(p)  reggie workman(b) billy hart(ds)
2003(1986)/EVIDENCE MUSIC/ECD 22225-2(輸入盤)


たまには重量級のガツンと聴き応えのあるものをと思ってこれを購入しました。
1986年のパリ録音ですが、このメンバーならまずは間違いがないところです。
特別なリーダーはいない企画盤のようで、全曲、メンバーのオリジナルで占められています。
ほぼぶっつけ本番でもビシッと決めてしまう力量はさすがに大したものだと思います。
私はビリー・ハーパー(ts)の参加が貴重だと思いました。
これにソニー・フォーチュンが刺激され、全員が「一丁、やってやろうか!」と気合が入った感じです。
期待にたがわぬ強力で重厚な演奏内容、やっぱりこれだけのメンバーが揃うと「凄い」と再認識しました。
”違いが分かる大人のジャズ”です。

(まじめ系)



(252) CHRISTIAN JACOB TRIO / CONTRADICTIONS
A look at the music of Michel Petrucciani

christian jacob(p) trey henry(b) ray brinker(ds)
2006/WILDER JAZZ/0601(輸入盤)


クリスチャン・ヤコブ(p)の新譜はミシェル・ペトルチアーニ(p)のトリビュート盤になりました。
全曲ペトルチアーニの作曲になるもので、名曲「LOOKING UP」が最初にきているのもさもありなんと思います。
この作品は懇意にしているジャズ・サイトのあちこちで取り上げられていますが評判は上々のようです。
多くを語る必要はないでしょう、聴いてもらえば一目瞭然、ピアノ・トリオ・ファンなら外せない1枚です。
私が最初に聴いたのはメイナード・ファーガソン(tp)が紹介した↓のCONCORD盤でした。
Maynard Ferguson Presents Christian Jacob
Christian Jacob(p)
John Patitucci(b) Peter Erskine(ds)
Concord Jazz/1996
あるネット・ショップで見たら廃盤、プレミアで9000円台の値段が付いていたのには驚きました。
ヤコブはアレンジャーとしても非凡な才能を持っているようでビック・バンドのアレンジもしています。
それはフィル・ウッズ(as)をフューチャーした↓のアルバムで聴けます。
Phil Woods And The Los Angeles Jazz Orchestra / Groovin' To Marty Paich
Phil woods(as,cl) Christian Jacob(arr,p) etc
Jazzed Media/2005

(中間系)




(251) BOB REYNOLDS QUARTET & QUINTET/ CAN'T WAIT FOR PERFECT

bob reynolds(ts)
aaron goldberg(p) reuben rogers(b) eric harland(ds)
mike moreno(g)(1,4,5) david soler(g)(2,8)
2006/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT-255(輸入盤)


先週、「最近の愛聴盤」で紹介したRALE MICIC盤↓に参加していたボブ・レイノルズ(ts)を見つけました。
多分、これが初リーダー・アルバムだと思いますが、全曲彼のオリジナルで気合が入っています。
スタイルとしてはどうなんでしょうか、ストレートながら改革派、守旧派、どちらにも属さない中間派かな。
音色は力強く合格点、フュージョン〜スムース・ジャズ系の影響もかなり見受けられます。
表題曲の(3)「CAN'T WAIT FOR PERFECT」はファンク・ナンバーでグローバー・ワシントン・JRを彷彿とさせます。
今後はこちらの方向に進む可能性もあり、本人自身も分からない状態ではないかと思います。
現在の彼の音楽性を表した作品で、中途半端になるのか、個性になるのか、今後の展開が楽しみです。
いつもとはちょっと違ったプレイを聴かせるバックの改革派に属する3人も聴きものですよ。
アーロン・ゴールドバーグ(p)、リューベン・ロジャース(b)、エリック・ハーランド(ds)にとっては異色作、
曲によっては恐る恐る、手探り状態を感じさせますが、そんなところがまた興味深いと思いました。
先物買いをしておきたいテナー奏者ではあります。

(中間系)




(250) OMER AVITAL QUINTET / THE ANCIENT ART OF GIVING

omer avital(b)
mark turner(ts) avishai cohen(tp)  aaron goldberg(p) ali jackson(ds)
2006/SMOLLS RECORDS/SRCD-0014(輸入盤)


オマー・アヴィタル(b)は名前から推測するとイスラエル出身でしょうか。
アヴィシャイ・コーエン(tp)もそうですが、同名異人の強力なベーシストがいるので間違えやすいです。
全7曲は全てオマー自身のオリジナルでほのかに中近東の香りが漂っています。
比較的オーソドックスな曲が並んでいますが、中味は充実していて、ネオ・ハード・バップの好盤です。
注目はマーク・ターナー(ts)と新進トランペッターのアヴィシャイ・コーエンのフロントでしたが、
コンビネーションはバッチリ、これほどの相性の良さとは思いませんでした。
特に(4)の「ARRIVAL」におけるマークとアヴィシャイの掛け合いも聴きものです。
アヴィシャイは(7)の「YES !」でもその実力の程が探れます。
バックのアーロン・ゴールドバーグ(p)とアリ・ジャクソン(ds)の好調さも目立ちます。
前半(1)「HOMELAND」、(2)「NIGHT SONG」、(3)「RAS ABU-GALUM」ではこの二人が主役。
リーダーのオマー・アヴィタルは控え目な性格のようで、騒がず目立たず、これも印象に残りました。

(まじめ系)



(249) RALE MICIC QUINTET / SERBIA

rale micic(g)
tom harrell(tp,fhn) bob reynolds(ts) sean conly(b) gregory hutchinson(ds)
2006/CTA RECORDS/CTA-004(輸入盤)


レイル・ミシック(g)は初見ですがセルビアの出身のようです。
私のここでの興味はトム・ハレル(tp)にありました・・・ハレルを聴くのも久し振りです。
全10曲は2曲を除いてミシック自身のオリジナル、アコースティック・ギターの演奏もあって楽しめます。
曲想や構成も変化に富んでいて、至極丁寧に作られたアルバムということが分かります。
ジャズに”真面目も端正もあるのか”と問われれば困りますが、これは”真面目で端正”なジャズ・アルバムです。
元々、トム・ハレルはある種のひたむきな特性を持っているので、こういう作品にはぴったりだと思いました。
安定感があり、多彩な表現力を持つ深く奥行きのあるミシックのギター・プレイもいいです。
テナー奏者のボブ・レイノルズも案外の掘り出し物かも知れません。
今のところはまだまだ硬いですが、こなれてくれば面白い存在になるのではと思っています。

(中間系)



(248) EDDIE HENDERSON QUARTET / PRECIOUS MOMENT

eddie henderson(tp)
kevin hays(p) ed howard(b) billy hart(ds)
2006/KIND OF BLUE RECORDS/KOB-10008(輸入盤)


エディ・ヘンダーソン(tp)はモダン・ジャズ黄金期からはちょっと遅れて来たプレイヤーです。
しかし、70年代から現在まで、その幅広い音楽性から息の長い活躍を続けています。
実際これは「渋〜い」アルバムです・・・噛めば噛むほど味が出ると言ったら良いでしょうか。
最初は”ちょっと物足りないか”と思っていたのですが、聴いているうちに徐々に心に沁みてきました。
感情をグイと抑えたクールなトランペットの響きとリリカルなケヴィン・ヘイズのピアノがマッチしています。
ここでのヘイズもいいです、なんか、一皮も二皮もむけた感じがします。
伸びる時には一気に伸びるものだなあーと再認識しました・・・これは色々な場面で出くわしますね。
ところで、表題曲の作者の「Natsuko Henderson」はヘンダーソンの奥さんでしょうか。
だとすれば相当の愛妻家、日本通でもあることが想像されます。

(中間系)




(247) MATT PENMAN QUINTET / THE UNQUIET

matt penman(b)
chris cheek(ts) kurt rosenwinkel(g) aaron goldberg(p) jeff ballard(ds)
2002/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT133CD(輸入盤)


気になっていながら買いそびれていた1枚ですが、ようやく入手出来ました。
全曲、マット・ペンマン(b)のオリジナルで新感覚のジャズが聴けます。
やっぱりいいですね・・・私はこの浮揚感のある独特で気だるげなサウンドが大好きです。
キー・マンはカート・ローゼンウィンケル(g)で、彼は今までにはいないタイプのギタリストです。
すでに多くのギタリストに影響を与えているようであちこちで似たようなサウンドが聴かれるようになりました。
クリス・チーク(ts)は言うに及ばず、アーロン・ゴールドバーグ(p)、ジェフ・バラード(ds)のプレイも素晴らしい。
マット・ペンマンのライブで見た鮮やかなプレイ振りが蘇ってきます。
旬のクリス・チークはどうしても見てみたいと思っていますが来日の予定はないものでしょうか。
情報を持っている方がいれば是非教えて下さい。

(中間系)



(246) MARCUS STRICKLAND QUARTETS / TWI - LIFE

DISK 1
marcus strickland(ts,ss) 
robert glasper(p) visente archer(b) E..J strickland(ds)
DISK 2
marcus strickland(ts) 
lage lund(g) brad jones(elb) E..J strickland(ds)
2006/STRICK MUZIK/SMK001(輸入盤)


マーカス・ストリックランド・・・この注目の若手サックス奏者は自己のレーベルを持ったようです。
その”STRICK MUZIK”レーベルからの第一弾になります。
少々荒削りなところも見受けられますが、若さ溢れるプレイで実に意欲的な作品だと思います。
2曲以外は全て自身のオリジナルで、編成を変えての2枚組もその意気込みの現れでしょうね。
現在の彼の音楽性が全て表現されていると言っても過言ではないでしょう。
DISK 1ではこれまた強力なピアニストのロバート・グラスパーを起用していて今までの延長線上の演奏。
バックのヴィンセント・アーチャー(b)とE.Jは先日のジョージ・コリガン(p)のライブで見たばかりです。
E.J.ストリックランドは双子の兄弟になるそうです。
DISK 2ではギターとエレクトリック・ベースを従えての新味のカルテットです。
Lage Lund(g)とBrad Jones(elb)は初見ですが、新感覚ジャズを目指していますね。
マーク・ターナー(ts)やクリス・チーク(ts)、カート・ローゼンウィンケル(g)らの影響がうかがえます。

私はどちらかというと後者のサウンドが好きですが、さてみなさんはどうでしょうか。
現在のマーカス・ストリックランドの真価を問う作品になりました、この2枚組はお徳用だと思います。

(まじめ系)




(245) JACQUES SCHOLS QUARTET / WHAT IS THERE TO SAY

jacques schols(b)
ruud brink(ts) cees slinger(p) john engels(ds)
2002(1965-1967)/BLUE JACK/BJJR007(輸入盤)


先日紹介したルード・ブリンク(ts)があまりに素晴らしかったのでさかのぼって聴いてみることにしました。
このアルバムは復刻盤ではなくてオランダのラジオ放送用のテープをCDに収録したもののようです。
アメリカのジャズが行き詰まりつつある時にヨーロッパではこんな演奏が繰り広げられていたんですね。
これを聴くとその時期にアメリカのジャズ・メンが大挙してヨーロッパに渡った理由が分かるような気がします。
アメリカが先取、先進性を持つならヨーロッパには保守的な土壌が培われています。
ほのかに懐かしく、上品でクールな演奏が聴けるので一聴の価値は十分にあると思います。
私も「あー、いいなあー」と思いました・・・ピアノも良し、特にルード・ブリンクのテナーは最高ですよ。
1曲目から心に沁みるサウンド、音色で引き込まれ、(3)の「WHO CAN I TURN TO」では痺れました。
(12)「THE GENTLE RAIN」、(14)の「WHAT IS THERE TO SAY」も雰囲気あります。

私は1990〜2000年代の新録音を中心に追いかけているので、旧録音はあまり買っていません。
理由は簡単、「両方を追うのは物理的、経済的に無理」と思っているからです。
もちろん、旧録音や復刻盤にも良いものは数限りなくあります。
これもまたそんな中の1枚です。

(くつろぎ系)



(244) JORIS TEEPE TRIO & QUINTET / GOING DUTCH

joris teepe(b) george colligan(p) gene jackson(ds)
randy brecker(tp)(1,3,8) don braden(ts)(1,3,4,8) 
2004/TWINZ RECORDS/TWR-604(輸入盤)


ヨリス・ティーぺ(b)はこの10年間、ニューヨークとオランダを行ったり来たりして活躍しているようです。
オリジナルが6曲、あとウエイン・ショーターとジョン・コルトレーンが1曲づつ入っています。
トリオ4曲、カルテット1曲、クインテット3曲と構成も変化に富んでいて楽しめます。
中味も濃くて聴き応えは十分で、コンテンポラリーなポスト・バップの好盤です。
ティーぺは作曲家、アレンジャーとしての才能も相当なものだと思いました。
ジョージ・コリガン(p)は先日のライブで見たばかり、ここでも印象的なプレイを披露しています。
ランディ・ブレッカー(tp)の純ジャズ路線も珍しいのではないでしょうか。
ドン・ブラデン(ts)とのフロントも新鮮ですね。
後々、評価が上がってくる作品になるのではと思っています。

(まじめ系)




(243) MARIELLE KOEMAN & JOS VAN BEEST/ BETWEEN YOU AND ME


marielle koeman(vo)
jos van beest(p) evert j. woud(b) klaas balijon(ds)
giovanni mastrandrea(ds,per)(2,5,7,9) douwe t'reve(g)(2,5,7,9)
2004/ATELIER SAWANO/AS-043


マリエル・コーマンとヨス・ヴァン・ビースト・トリオとの共演盤です。
夫婦の共演はこれが2枚目になりますが、前作は持っていません。
こちらは「Soft & Lovely」な感覚で前者とは対照的な声質を持っています。
マリエルに絡むビーストのピアノがもう最高、癒し系ヴォーカル盤としては極上の1枚です。

(中間系)



(242) MICHIKO SUZUKI / SWEET & BITTER

鈴木道子(vo)
元岡一英(p) 小杉敏(b) 渡辺文男(ds)
frank wess(ts)(2,4,7) waltinho anastacio(per)(1,5) 
白崎彩子(p)(6)
2004/WHAT'SNEW RECORDS/WNCJ-2131


「最近の愛聴盤」でヴォーカルものを紹介するのは久し振りになります。
2枚共にゆったりとした夜を過ごすにはピッタリ、しっとりと落ち着いてリラックスできると思います。
曲目については良く知られたスタンダードがずらりと並んでいて、これだけでも十分に楽しめます。
次の(243)と順繰りに聴くのがお勧めで、私はそのまま心地良い眠りにつくことが出来ました。

鈴木道子さんは”Deep & Bitter”な声質ながらあっさりとした歌い方は好みです。
先日、ライブで見た時もとても良かったです。
今作の録音はニューヨークに出向いたもので入魂の一作、バックのトリオも好演しています。
ゲストにはフランク・ウェスのテナー・サックス、注目の白崎彩子さん(p)も参加しています。

(中間系)



(241) PIM JACOBS TRIO FEATURING RUUD BRINK
/
JUST FRIENDS


pim jacobs(p) wim overgaauw(g) ?(b)
ruud brink(ts) 
2006(1990)/PINK RECORDS/ICD-2006001(輸入盤)


オランダの最も知名度の高いピアニストといえばこのピム・ヤコブスになるでしょうか。
飛行機ジャケの「Come Fly With Me」はつとに有名で、名盤としての評価も高いです。

さて、この作品は1990年の録音なので再発盤だと思いますが、内容は実に素晴らしいです。
フューチャーされているルード・ブリンク(ts)は初見ですがこれが大当たりでした。
スタイルはクールなスタン・ゲッツ派です・・・私はその音色と雰囲気に惚れ惚れしてしまいましたよ。
まろやかなサウンドは聴き心地最高、ピム・ヤコブスのドラムレス・トリオをバックに語りかけてきます。
いやー、実際、こんなテナーを聴かされたらたまりませんよ。
これほどのテナー奏者がいたのかと驚かされるとともに、つくづく世界は広いと再認識させられました。
ピム・ヤコブス・トリオのスイング感も抜群で、心地良い音楽空間を味合わせてくれます。
全12曲のスタンダード・ナンバーはまさに珠玉の名演と呼ぶにふさわしいです。
このアルバムは究極のくつろぎ、癒し系のジャズの傑作ではないかと思います。
珍しいレーベルなのですでに入手困難になっている可能性があります。
見かけたらすぐに買っておくことをお勧めしたいです。なお、ベーシストはノー・クレジットでした。

(くつろぎ系)