(240) AVISHAI CHOEN / CONTINUO
avishai cohen(b) sam barsh(p) mark guiliana(ds)
amos hoffman(oud)
2006/NOCTURNE/NTCD-393(輸入盤)
”チック・コリア&オリジン”で強烈で印象深いベース・プレイを聴かせてくれたアビシャイ・コーエンの新譜です。
全10曲は全てアビシャイのオリジナルで占められていて、地域性に富んだ音楽を楽しみ事が出来ます。
アビシャイはイスラエル出身のベーシストなので中近東のリズムやサウンドを特徴としています。
今回は"ウード”という楽器を前面に押し出して新たな展開を試みてきました。
珍しい音色と雰囲気なのでワールド・ミュージック・ファンや新しいもの好きのジャズ・ファンには最適です。
個性的で私もなかなか面白いと思いました、最初にインドのシタールを聴いた時と同じ感覚です。
もちろん、ビンビンと響いてくるアビシャイの強力で強靭なベース奏法にも聴きどころがあります。
(中間系)
(239) BRAD MEHLDAU TRIO / HOUSE ON HILL
brad mehldau(p) larry grenadier(b) jorge rossy(ds)
2006/NONSUCH/7559-79911-2
一発目の音の出だしを聴いただけでブラッド・メルドーと分かります。
その点でも自己の個性を確立しつつあると思います。
この新譜は新録音ではなくて、2曲を除いては「Anything Goes」(2004発売)↓の同日録音のようです。
「Anything Goes」がスタンダード作品集なら、こちらはオリジナルが中心になっています。
スタンダードでも独特の世界を聴かせてくれますが、彼本来の味を味わうにはオリジナルの方が良いかもしれません。
この瑞々しいタッチと存在感はどうでしょうか・・・まったく素晴らしいです。
個性的で独自の表現力は現在のピアニストでは頭一つ抜けていると思います。
いつまでもこの”メルドーの世界”に浸かっていたいと思うのは私だけではないでしょう。
(中間系)
(238) KEVIN HAYS TRIO / FOR HERVEN'S SAKE
kevin hays(p) doug weiss(b) bill stewart(ds)
2006/JAZZ EYES/(輸入盤)
このアルバムは文句なしに良いです。
ケヴィン・ヘイズ(p)を最初に聴いたのはジョシュア・レッドマン(ts)の「Joshua
Redman」(1993)↓でした。
その時はまだ20歳半ば、一般的なジャズ・ファンに知られたのはこのアルバムだったと思います。
それでも20代にして認知されたのはかなりの才能を持つピアニストだったと言えます。
そうでなければ当時の若手サックス奏者の大注目株だったジョシュアに起用されるわけがありません。
今回それが図らずも証明された結果になりました。
つい最近まで私の知る限りではバップ・テイストの強い普通のピアニストの範囲内にあると思っていました。
事実、サイドマンとしての力量はともかく自己のアルバムでは私の評価もそれほど高いものではありませんでした。
それがクリス・ポッター(ts)のライブ盤「LIFT」↓におけるエネルギッシュで刺激的なプレイで一気に見直しました。
2004年度の私の選んだ「みんなのベスト3」の1枚です。
加えて今回のケヴィン・ヘイズの新譜はさらに今までのイメージを一新するものでした。
リリカルな味を前面に押し出してきて、彼としては今までとは感覚が違う異質なアルバムになったと思います。
こんなプレイが出来るとなるとまだまだ奥が深いピアニストとして考えを新たにしなければなりません。
思ったよりもずっと多様性を持つフレキシブルなプレイヤーで、やはり相当な器のピアニストです。
ヨーロッパ系ピアニストのリリカルな特徴を取り込んで新たな方向を模索しているのかも知れませんね。
ヨーロッパ・ピアノと一味違う絶妙なスイング感と微妙にバップ・テイストを感じさせるところにも特徴があります。
ビル・スチュワート(ds)の存在が大きくて、この二人のコラボレーションも聴きどころの一つです。
ベースのダグ・ウエイスも地味ですが安定感があり、これは魅力的なピアノ・トリオだと思いました。
私の今年のピアノ・トリオ・アルバムの上位にランクされるのは間違いありません。
(中間系)
(237) JERRY BERGONZI QUARTET / TENOR OF THE TIMES
jerry bergonzi(ts)
renato chicco(p) dave santoro(b) andrea michelutti(ds)
2006/SAVANT/SCD-2074(輸入盤)
ジェリー・バーゴンジ(ts)の新譜は全7曲、スタンダードは1曲だけであとは自身のオリジナルです。
野太い音色、刺激的なフレーズ、このバーゴンジには根強いファンも多いでしょうね。
一癖あるプレイヤーは聴けば聴くほど面白いので、バーゴンジ・ファンには「さすが〜」と言いたいです。
バーゴンジにはジョージ・ガーゾーン(ts)やジョー・ロバーノ(ts)辺りが同類項になるかと思います。
共にソニー・ロリンズ(ts)とジョン・コルトレーン(ts)のミックス・タイプでそれぞれに個性を持っています。
ここでの唯一のスタンダードの「YOU'RE MY EVERYTHING」なんかは素晴らしいですよ。
もちろん、オリジナルにも聴きどころが多いです。
あと1、2曲のスタンダードを収録してくれたら大満足でしたが、出来が良くなかったのかもしれませんね。
なぜなら、録音時間がたった49分なのでかなりの不満を感じたからです。
70分は長く、50分は短く感じるので、やはり60分くらいが適当だと思っています。
(中間系)
(236) HELGE LIEN TRIO / TO THE LITTLE RADIO
helge lien(p) frode berg(b) knut aalefjaer(ds)
2006/DIW RECORDS/DIW-632
ヘルゲ・リエン(p)・・・どうすればこういう演奏ができるのか?
たぐい稀なる感性と才能を持っていると思います。
キース・ジャレット(p)やスタンリー・カウエル(p)の影響も感じますが、より叙情的というか、
退廃的なイメージも沸いてきます。
単なるリリシズムでは片付けられない何かを持つ、真に個性的なピアニストだと思います。
リエンを聴いて、以前私は暗い空から雨がポツンポツンと落ちてくるような感じがすると書きましたが、
今でもその印象は変わっていません。独特のタイム感やタッチに何とも不思議な感覚が残ります。
後ろ髪を引かれるというか、今までにないタイプなので是非キースやカウエルに続いて欲しいです。
ピアニストは人材豊富とはいえ世界的に影響を与えるピアニストとなるとぐんと限られてきます。
ブラッド・メルドーの名前が挙がるのは当然と思う人も多いでしょうね。
このヘルゲ・リエンもその可能性があります。
もう一人挙げるとすれば、テテ・モントリュー〜ミシェル・ペトルチアーニの後継者足り得るプレイヤーか。
このヨーロッパ・ピアノの伝統を継ぐのは、カーステン・ダールが最も近いかも知れないとみていますが・・・。
(中間系)
(235) YOSHITO ETOH TRIO+2 / RAY
江藤 良人(ds)
竹内直(fl,sax) 井上陽介(b) yosvany terry cabrera(sax)
pedo martines(conga)
2005/EWE RECORDS/EWCD 0103
近年の私は年のせいか比較的あっさりとした味付けの日本食が好みです。
もちろん、若い頃はコテコテの脂っこいものも大好きでしたよ。
ジャズ聴きにもこれと似たようなことが言えますね。
軟らかいジャズが中心といっても時には歯ごたえのあるジャズが聴きたくなります。
今がちょうどそんな時期にあたるでしょうか。
そこで今週はピアノレスのサックス入りの2枚になりました。
これは熱狂的なファンを持つ江藤良人さん(ds)の新作です。
尊敬するエルヴィン・ジョーンズ(ds)に捧げたトリビュート盤になっています。
聴けばすぐに分かると思いますがエルヴィンを彷彿とさせるドラミングはエネルギッシュで凄みがあります。
井上陽介さん(b)との強力なリズムセクションに支えられて竹内直さんとヨスヴァニー・テリーのプレイが冴えます。
ピアノレスはプレイヤー同士のより濃密なコラボレーションが聴けるところに最大の魅力があります。
しかし歯ごたえがあるといってもスイング感に溢れているのでむずかしいとか聴きにくいとかは決してありませんよ。
むしろピアノレスの濃密なコラボレーションを味わうには格好のアルバムだと思います。
選曲も変化に富んでいてバランスがいいです。
ゲストがキューバ出身の二人ということでアフロな感覚も加味されました。
(2)のサンバのリズム、(7)の竹内さんのフルートも聴きものです。
江藤さんと竹内さんとの掛け合いは今年の1月のライブで堪能しましたが、また見たいと思っています。
(まじめ系)
(234) DON FRIEDMAN TRIO & QUARTET / MY FOOLISH HEART
don friedman(p)
jed levy(ts) tim ferguson(b) tony jefferson(ds)
2003/STEEPLECHASE/SCCD-31534(輸入盤)
久し振りに中古盤コーナーを覘いていて、ふと目に止まった1枚です。
2003年発売と新しく、状態も新品同様、それが半値近くで入手できました。
私はちょっとしたことで幸せな気分になれる男です。(^_^)
ずばり、疲れた時やホッとしたい時に聴くアルバムとしては最適です。
心地良いテナーの響き、しみじみと聴かせるピアノの調べ、サウンドがまろやかでとても優しいです。
トリオで聴かせる「MY FOOLISH HEART」や「BYE BYE BLACKBIRD」などはベテランならではの味わいです。
ドン・フリードマン(p)の近年の活躍には目を見張るものがありますね。
80年代は一時期低迷していましたが、90年代から復活してきて、その評価も上がっています。
日本では「サークル・ワルツ」が余りにも有名ですが、いつまでもこれだけでは寂しいと思っていました。
(くつろぎ系)
(233) MACIEJ SIKAFA QUARTET / ANOTHER ONE FOR ...
maciej sikafa(ts,ss)
cezary paciorek(p) piotr lemanczyk(b) tomasz sowinski(ds)
2003/BCD RECORDS/BCDCDN-11(輸入盤)
ポーランド・ジャズの実力を知らしめる1枚です。
全8曲の演目は全てマシー・スカファ?(maciej sikafa)(sax)のオリジナルで占められています。
(4)は奥さん、(6)は娘さんに捧げられた美しいバラード。
一言で表現するとジョン・コルトレーン・カルテットの小粒盤、ぐっとスマートにした感じです。
すっきりとした泡立ちの良い音が出てきて、心地良いジャズの世界に引き込んでくれました。
サックスのみならずピアニストのcezary paciorekがまた素晴らしいです。
長年のクラシックに培われたピアニストのこれはもうヨーロッパの伝統ですね。
ポーリッシュ・ジャズの逸品、落ち着いていてバランスの良いワン・ホーン・カルテットが聴けます。
(中間系)
(232) BOB ROCKWELL QUARTET / BLACK JACK
bob rockwell(ts)
kasper villaume(p) shigeo aramaki(b) masahiko ohsaka(ds)
2006/MARSHMALLOW EXPORT/MMEX-107
実はこのボブ・ロックウェルも好みのテナー奏者の一人でして、私はかなりのCDを持っています。
特にSteepleChase盤のピアノレスやドラムレスのトリオ↓はよく聴いていました。
このアルバムは一昨年の2004年に来日した時の横浜の「ドルフィー」で録音されたライブ盤です。
確かこの時はロックウェルとキャスパー・ヴィヨーム(p)のデュオの公演もありました。
荒巻さんと大坂さんを加えたこのカルテットは、ほぼぶっつけ本番の組み合わせであったと思います。
最初はやや手探り状態にあったことは想像に難くありません。
いわゆるジャムセッションに近いですが、一期一会的発想はジャズのもう一つの醍醐味でもあります。
グループとしてのバランスやまとまりよりもプレイヤーの力量や自由度を重視するやり方です。
それだけにスリリングで面白く、それぞれが白熱したエキサイティングなプレイを繰り広げています。
ここでの最大の聴きどころはロックウェルと大坂昌彦さん(ds)のぶつかり合いでしょうか。
惜しむらくはヴィヨームですが、この時はまだ発展途上、才能を感じさせながらも物足りなさも残りました。
彼はこの1年余りの間にその才能を開花させ長足の進歩を遂げています。
(中間系)
(231) RYAN KISOR SEXTET / ON THE ONE
ryan kisor(tp)
mulgrew miller(p) chris mcbride(b) lewis nash(ds)
chris potter(as) mark turner(ts) david sanchez(ts)
1993/SONY/SRCS 6741
■ライアン・カイザー(tp)はこれが2枚目のリーダー・アルバムになります。
ここで興味深いのはクリス・ポッター(as)とマーク・ターナー(ts)が共演していることです。
ラテン・ジャズに向かったデヴィッド・サンチェス(ts)のハード・バップが聴けるのも今となっては貴重です。
プロデュースはボビー・ワトソン(as)で、表題曲を含めて2曲を提供しています。
私はライアン・カイザーの最高傑作ではないかと思っています。
(中間系)
(230) RALPH MOORE SEXTET / 'ROUND TRIP
ralph moore(ts) brian lynch(tp) kevin eubanks(g)
benny green(p) rufus reid(b) kenny washington(ds)
1985/RESERVOIR/RSR CD 104(輸入盤)
今週は新譜を購入しませんでした。
どうも触手が動く作品がないというか、買い意欲に欠けているようです。
バイオリズム的にも下がってきているのかもしれませんね。
さて、今週は先日行われたオフ会、「CD聴きの会」に持っていったハード・バップ・アルバムの2枚です。
参加者の自作真空管アンプの試聴会も兼ねていたので内容のみならず録音にも多少気を使いました。
前者はルディ・ヴァン・ゲルター、後者はジム・アンダーソンが録音技師です。
■ラルフ・ムーア(ts)はコルトレーン系の主流派の逸材で野太いテナーの音色が魅力です。
ブライアン・リンチ(tp)とのコンビネーションが聴きもの、ベニー・グリーン(p)の参加も嬉しいですね。
(中間系)
(229) BUNKEY GREEN QUARTET / ANOTHER PLACE
bunkey green(as)
jason moran(p) lonnie plaxiico(b) nasheet waits(ds)
2006/LABEL BLUE/LBLC 6676(輸入盤)
バンキー・グリーン(as)の懐かしい名前を見つけました。
久しく耳にしなかったので忘れていましたが、後進の指導、教育者の道を歩んでいたそうです。
ルーツはチャーリー・パーカー(as)ですが、ジョン・コルトレーン(ts)やオーネット・コールマン(as)
の影響を受けつつそれを消化して、独自のスタイルを築いたと言えます。
信奉者の筆頭がこの作品をプロデュースしたジョージ・コールマン(as,ts)です。
その他にもグレッグ・オズビー(as)などの、いわゆる”M−base”派に与えた影響は大きいようです。
ここで共演しているジェイソン・モラン(p)やナシート・ウエイツ(ds)もその一派ですね。
録音時は69歳、そんな懸念はどこへやら、熱気溢れる演奏には年齢からくる衰えをまったく感じさせません。
久々の録音で大張り切り、エキセントリックなプレイ、意外な展開と音使いは刺激的でゾクゾクっとしました。
フランク・モーガン(as)に続いてパーカー直系のアルト奏者の元気な姿を見るのは嬉しい限りです。
まだまだ”パーカー伝説”は生きています。
(中間系)
(228) STEPHANE FURIC TRIO / MUSIC FOR 3
chris cheek(ts) stephane furic(b) patrick goraguer(ds)
2003/SOUL NOTE/121415-2(輸入盤)
これも先日の「CD聴きの会」で参加者の一人が聴かせてくれたものです。
クリス・チーク(ts)入りのピアノレス・トリオ盤ということで注目しました。
チークがフリージャズの洗礼を受けていたことが分かる作品で、新たな一面を見る思いがして面白かったです。
音色が優しく柔らかいので聴いていて疲れるという感じはしません。
反面、迫力とインパクトには欠けると言えます。
これはクール・テナーがチークの持ち味なのでしょうがないでしょうね。
ちょっとひねったところでゆったりとした3者のコラボレーションを楽しむことが出来ます。
しかし、単純に乗れるというわけではないので、あくまで好きな人向けのアルバムで一般的ではありません。
個人的にはスタンダードの(5)「MY SHINING HOUR」が良かったです。
やはりチークのテナーには美しいメロディ・ラインの曲が合っていると思いました。
(まじめ系)
(227) HELEN SUNG TRIO / HELENISTIQUE
helen sung(p) derrick hodge(b) lewis nash(ds)
2005/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT 251(輸入盤)
ヘレン・スン(p)はアメリカのヒューストン出身の韓国系アメリカ人ということになるでしょうか。
スペインの「Fresh Sound New Talent」盤は多くの新人の登竜門になっています。
基本的に全てお任せの姿勢を貫いているのでそのプレイヤーの音楽性や本質が出ます。
新人に好き勝手に演らせるレーベルはそうないのでそれだけでも貴重だと思っています。
ここでの彼女はオリジナルは1曲だけであとは主にスタンダード作品で勝負しています。
スタンダードは多くの人が取り上げるので、独自の解釈で聴かせるのは案外むずかしいです。
それだけ自信を持っているという見方も出来ますね。
女性ならではの繊細な表現力で興味深く聴くことができました。
ルーツはやはりセロニアス・モンク&ビル・エバンスのミックスタイプで現在のピアニストの主流派です。
ベテランのルイス・ナッシュ(ds)を起用して安定感を増す狙いも成功しています。
インパクトはやや軽めですが、将来性に期待して「ドラ流・・・」にしました。
(中間系)
(226) KELLY JOHNSON / MUSIC IS THE MAGIC
kelley johnson(vo)
brian lynch(tp)(1,5,6,9,10) geoffrey keezer(p)(1,2,7,8,10) john hansen(p)(3,6,9)
steve wilson(sax) essie essiet(b) jon wikan(ds)
renato thomas(per)
2005/SAPPHIRE/7612(輸入盤)
これは先日の「CD聴きの会」で参加者の一人が聴かせてくれたものです。
私はヴォーカルには疎く、時々ポツンポツンと購入する程度の知識しかありません。
このケリー・ジョンソン(vo)も、もちろん初見でしたが、一聴した途端、これは好みの声質だと申告しました。
スタンダードが中心の選曲ですが、バックのメンバーにも恵まれてどれも聴きどころが多いです。
しかし、なんと言っても表題曲の「MUSIC IS THE MAGIC」が素晴らしかったです。
極端に言えばこの1曲のためだけにこのアルバムを買っても惜しくないと思いました。
ケリーとジェフ・キーザー(p)の掛け合いが最大の聴きもの、私は一発でノックアウトされましたよ。
プロデュースはここにも参加しているブライアン・リンチ(tp)です。
久し振りに大当たりのヴォーカル盤です。
(中間系)
(225) CARLO MILANSESE TRIO / INTERMISSION
carlo milanese(ds) andrea pozza(p) liciano milanese(b)
cario atti(sax)(1,2)
2005/MUSIC CENTER/BA 087(輸入盤)
一口に言うとハイ・センス、ハイ・クオリティの好盤です。
全10曲は全てメンバーのオリジナルで占められていますが、曲想が良いので安心して聴けます。
スタンダード曲なしでこれだけの演奏を聴かせるアルバムはそうはないでしょうね。
まずは1曲目、出てくるテナーの音色の素晴らしさ、絶妙なスイング感はたまりません。
3曲目以降はトリオ演奏になりますが、これがまた抜群にいいです。
私はグイグイと引き込まれてしまいました。
全体的にちょうどいい案配で居心地が良いというか、適度な刺激と落ち着いた雰囲気が漂っています。
グラスを片手に、あるいはコーヒー・タイムに極上のひと時を演出してくれると思います。
こういうのを聴くとつくづくイタリア・ジャズ界の層の厚さを感じさせられました。
(中間系)
(224) GEOFF KEEZER TRIO / TRIO
geoff keezer(p) steve nelson(vib) neils swainson(b)
1993/SACKVILLE/SKCD2-2039(輸入盤)
ジェフ・キーザーことジェフリー・キーザー(p)の近年の活躍も目覚しいものがあります。
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの最後のピアニストとして知られていますが、
ジャズの歴史そのもののブレイキーのソウルを身を持って体験した最後のピアニストでもあります。
それを踏まえて1曲目の「RELAXIN' AT CAMARILLO」を聴くとこれが凄かったです。
バド・パウエル(p)直系のピアニストかと思えるほどのバップ・テイストを持っています。
加えて、オスカー・ピーターソン(p)を彷彿とさせる流麗なテクニックも楽しむことが出来ます。
天才肌のピアニスト、ジェフ・キーザーの面目躍如たる演奏を聴かせてくれました。
録音時の1993年はまだ弱冠23歳、若さ一杯のストレートなピアノ、これが天才の天才たる所以ですね。
スティーヴ・ネルソン(vib)もスピード感溢れるダイナミックなプレイで対抗、
両者のぶつかり合いには聴き応えがあります
「TRIO」と銘打っているように三位一体で、エキサイティングな演奏を繰り広げています。
ニールス・スワインソン(b)も好演、カナダのライブ盤ですが掘り出し物の1枚でした。
(中間系)
(223) MICHAEL CARVIN QUARTET / MARSALIS MUSIC HONORS SERIES
michael carvin(ds)
carlton holmes(p) dezron douglas(b) marcus strickland(sax)
branford marsalis(sax)(3)
2006/MARSALIS MUSIC/0874946000123(輸入盤)
先週、「最近購入したアルバム」で紹介した”Marsalis Music Honors Series”の1枚です。
よく知られているジミー・コブ(ds)はともかく、このマイケル・カーヴィン(ds)は意外な人選だったです。
知る人ぞ知るのドラマーでほとんど知られていないのではないでしょうか。
私が持っている資料を見ると自己のクインテットの「ザ・キャメル」とジャッキー・マクリーンとの共演盤が載っています。
共に70年代のsteeplechase盤で、前者にはセシル・ブリッジウォーター(tp)、ソニー・フォーチュン(as)が参加。
私としてはまったくのノーマークでしたが、名前を見た時になぜか「これはいいぞ」と直感しました。
サックスは注目のマーカス・ストリックランドを起用、プロデューサーのブランフォード・マルサリスも1曲参加しています。
選曲も変化に富んでいて面白いし、しっとりとしたリズム・セクションに支えられたサックスの響きが心地良いです。
パタパタとしたドラムの音色に意外な存在感があり、アナログ的な現実味を感じました。
(3)の”PRISONER OF LOVE/BODY AND SOUL”、(5)のチャールス・ロイド(ts)の”FOREST
FLOWER”、
(7)のスロー・バラードが聴きもの、特にこの”YOU GO TO MY HEAD”は素晴らしいです。
マルサリスはもちろん、ストリックランドが好演、全体的に落ち着いた雰囲気を持つ実にいいアルバムだと思います。
ピアニストのカールトン・ホルムズにも注目しました。
さて、このシリーズですが、次に誰が登場してくるのか興味津々、楽しみにしています。
(中間系)
(222) BARBARA CARROLL TRIO / SENTIMENTAL MOOD
barbara carroll(p) jay leonhart(b) joe cocuzzo(ds)
2006/VENUS RECORDS/TKCV-35368
バーバラ・キャロルは齢80にも届く超ベテランのようですが、私は初めて聴きました。
クラシカルなタッチで人気を博したようで、純ジャズ路線からはちょっとずれていたようです。
よく知られたスタンダードの名曲がずらりと並んでいて、ベテランらしく味わい深い演奏を繰り広げています。
曲の解釈や展開が見事で私はゾクゾクとしました、年齢なんてものは微塵も感じさせません。
特にややアップ・テンポで演奏される「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」は素晴らしかったです。
2曲では達者なヴォーカルも披露していますが、これまた変化があって良いです。
これはヴィーナス・レーベルの大ヒットではないでしょうか。
それほど話題になっていないのが不思議に思うほど、出来が良くてお薦めのピアノ・トリオ・アルバムです。
(中間系)
(221) GEORGE ESSIHOS TRIO / EXTRAORDINARY MEASURES
george essihos(p) joey smith(b) don leppard(ds)
1995/VIRGA/V-137(輸入盤)
ジャズ鑑賞集団、MOONKSが選ぶ「幻の廃盤/レア盤掘り起こしコレクション」の1枚です。
ジョージ・エシオス(p)はもちろん初見ですが主にカナダを中心に活躍しているようです。
オリジナルの1曲を除いては良く知られたスタンダードの名曲がずらりと並んでいます。
さすがにこのピアノトリオも聴きどころが多いです。
スタンダード演奏ですがそれほど単純ではなくユニークな展開を見せます。
やや多弁な音使いながらもロマンチックかつ刺激的、これをどう感じるかで評価も変わってくると思います。
大好きな「YESTERDAYS」も面白かったですが、解説にもある通り、やはり「BODY AND SOUL」が出色の出来かな。
素晴らしいピアノの音色にも注目して下さい。
(中間系)
(220) ANTONIO FARAO TRIO / TAKES ON PASOLINI
antonio farao(p) miroslav vitous(b) daniel humair(ds)
2005/CAMJAZZ/CAMJ 7779-2(輸入盤)
このアントニオ・ファラオの新譜は今年になって一番注目されたピアノ・トリオ盤ではないでしょうか。
ミロスラフ・ヴィトウス(b)とダニエル・ユメール(ds)の両ベテランとの共演。
魅力的なメンバーの組み合わせから見ても、誰しも聴いてみたいと思うのは当然ですね。
同じ曲を趣を変えて演奏しているのも興味深いところです。
ファラオはイタリア系ピアニストではステファノ・ボラーニ、ジョヴァンニ・ミラバッシと並ぶ注目の逸材です。
流麗華麗で美しくメロディアス、予想通りというか、ここでもひと味違う演奏を繰り広げていました。
ヴィトウス、ユメールも好演、3人のインタープレイはスリリングで刺激的な内容に溢れています。
現在までの今年のベストのピアノ・トリオ・アルバムです。
(中間系)
(219) VICTOR GOINES QUARTET / NEW ADVENTURES
victor goines(ts,ss,cl)
peter martin(p) carlos henriquez(b) greg hutchinson(ds)
2006/CRISS CROSS/CRISS 1274(輸入盤)
ヴィクター・ゴイネス(ts、cl)もなぜが気になるプレイヤーとして目を付けていた一人です。
ゴイネスはニューオーリンズ出身でウィントン・マルサリス(tp)の門下生の一人です。
最近はご無沙汰していましたが、前のリーダー作の2枚も持っています。
久し振りに聴いたこのワン・ホーン・アルバムはなかなかに良い出来だと思いました。
最初から最後まで一気に聴かせる変化に富んだ選曲の構成で、作曲能力にも十分に非凡さを感じさせます。
オリジナル良し、スタンダード良し、演奏内容も良し、私が知る限りでは彼のベスト・アルバムだと思います。
彼は古き良き伝統に根ざした味わいが持ち味です。
レスター・ヤング(ts)、ベン・ウエブスター(ts)、ラッキー・トンプソン(ts)の名前が挙げられています。
特にお薦めしたいのがどこか郷愁を誘うクラリネットの響きです。
(2)、(6)、(7)で印象的なクラリネット・プレイを聴くことができます。
(中間系)
(218) KLEMENS MARKTL QUARTET / OCEAN AVENUE
klemens marktl(ds)
chris cheek(ts,ss) aaron goldberg(p) matt penman(b)
2005/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT240(輸入盤)
ここはメンバーの組み合わせに魅力があります。
リーダーのクレメンス・マークトル(ds)はオーソドックスなドラマーですが、クリス・チーク(ts)、
アーロン・ゴールドバーグ(p)、マット・ペンマン(b)の人選が見事に成功しています。
特にゴールドバーグのプレイが強く印象に残りました。
美しく華麗、ユニークな展開、これからの活躍が約束される注目すべきピアニストだと思います。
クリス・チークのいつもとはひと味違った熱い演奏を繰り広げているのも聴きどころです。
テナー・サックスではホット、ソプラノ・サックスではクール、彼のルーツはコルトレーンであることが分かります。
ペンマンはライブで見たばかり、あの大きな手でグイグイときているかと思うとライブの興奮が蘇ってきます。
全7曲はクレメンスのオリジナルですが、曲想が変化に富んでいて飽きさせません。
作曲能力にも優れていると思います。
新人発掘に力を入れる”FRESH SOUND NEW TALENT盤”の中でも完成度が高いアルバムです。
(中間系)
(217) RANDY BRECKER & MICHAEL BRECKER
/ SOME SKUNK FUNK
randy brecker(tp) michael brecker(ts) jim beard(key)
will lee(b) peter erskine(ds) marcio doctor(per)
the wdr big band koln conducted by vince mendoza
2005/BHM/VICJ-61289
これも「2005年みんなのベスト3」でTさんから薦められた1枚です。
ブレッカー・ブラザーズの結成30周年特別企画と銘打ってありました。
2003年のドイツのジャズ・コンサートで録音されたものですが、これは文句なしに凄いアルバムです。
まずは1曲目の「SOME SKUNK FUNK」の圧倒的な迫力に驚かされました。
全体を通して特にマイケル・ブレッカー(ts)の全身全霊を傾けた鬼気迫るプレイには、背筋が寒くなるほどの気迫を感じました。
まるで病魔に倒れるのを予知していたかのような、すさまじいソロです。
聴いていて私はジョン・コルトレーン(ts)に相通じるものを感じました。
コルトレーンのライブを見た時、いつもこんなに激しいプレイをしていたら病気になってしまうのではと懸念したからです。
もちろん中心になっているランディ・ブレッカー(tp)もベテランらしく安定したプレイで好演しています。
ジム・ベアード(key)、ウィル・リー(b)、ピーター・アースキン(ds)、マルシオ・ドクター(per)のまとまりも申し分ありません。
アースキンのいつになく多弁なドラミングにも注目しました、フレキシブル、しなやかという表現がぴったりです。
バックが素晴らしく、その上、ヴィンス・メンドーサ率いるオーケストラの分厚いアンサンブルが加わる強力盤です。
フュージョン・シーンの名コンボの一つだったブレッカー・ブラザーズの曲が次々と演奏されます。
現代を代表するテナー奏者の一人、マイケル・ブレッカーの真の姿がここにありました。
マイケルが病気を克服してカムバックしてくれるのを祈るのみです。
私は白熱のライブ盤として歴史に残る1枚になると思っています。
(中間系)
(216) FERNANDO HUERGO QUINTET / JAZZ ARGENTINO
fernando huergo(b) chris cheek(ts,ss) bruce barth(p)
jeff ballard(ds) franco pinna(bomgo)
2002/FRESH SOUND WORLD JAZZ/FSWJ-020(輸入盤)
アルゼンチンの若手ベーシストのフェルナンド・ヒューゴの2002年の作品です。
近年、アルゼンチン・ジャズが注目されていますが、彼の影響もあるでしょうか。
アルゼンチンはアルゼンチン・タンゴの国、それこそタンゴのリズムが身体に沁み込んでいます。
美しくも情熱的で、これが聴く者に新しい感動を与えてくれます。
全10曲中、1曲を除いてはフェルナンドのオリジナルで作曲能力にも秀でていると思います。
フェルナンドのエレクトリック・ベースとジェフ・バラードのリズムに触発されて、
ここでもクリス・チークの切ないソプラノ・サックスが冴えます。
またそれ以上にブルース・バースのピアノが素晴らしいと思いました。
今までは勉強不足でこの人のピアノがこんなにいいとは思っていなかったので驚きでした。
ちょっと変わった雰囲気を持つジャズ・アルバムで新鮮味に溢れていて面白かったです。
(中間系)
(215)DAVID LIEBMAN TRIO & QUARTET / LIEB PLAYS WILDER
david liebman(ts,ss,fl) marius beets(b) eric ineke(ds)
marc van roon(p)(4,6,10)
2005/CHALLENGE RECORDS/DBCHR75214(輸入盤)
デイブ・リーブマン(ts)がヨーロッパのサックス奏者に与えた影響は非常に大きいと思っています。
ジョン・コルトレーン(ts)系のテナー奏者ですが自己のスタイルを持っていてジャズ界に確固たる地位を築いています。
作品にはそれほど恵まれていないこともあって日本では過小評価の最たるジャズマンかもしれませんね。
リッチー・バイラーク(p)との相性は抜群でECMレーベルを中心にして一連の作品群があります。
ここではAlec Wilderの作品を取り上げていて、トリオ編成を中心に独自の音楽性で聴かせてくれました。
トリオ・フォーマットの狙いはソニー・ロリンズ(ts)の有名盤の”A Night
At The Village Vanguard"だそうです。
一癖ありますが、じっくりと聴き込むと実に味わい深いものがあります。
メンバーのマリアス・ビーツ(b)とマーク・ヴァン・ローン(p)はすでにお馴染みのプレイヤーですね。
しかし、ここでの最大の聴きものはエリック・アイネケのドラミングで、それこそ目立たないけど素晴らしいです。
(まじめ系)
(214) KASPER VILLAUME QUARTET / HANDS
kasper villaume(p) chris minh doky(b) ali jackson(ds)
chris potter(ts)
2005/STUNT RECORDS/STUCD-05122(輸入盤)
キャスパー・ビヨーム(p)のこの新譜を聴いた時、「ついに来たか」という感じがしました。
待ちに待った瞬間というか、未完の大器、キャスパー・ビヨームの真髄が聴けます。
ボブ・ロックウェル(ts)との共演を聴いて以来注目していたピアニストです。
最初は一癖あるクリス・ポッター(ts)との共演はどうかなと思ったのですが、
そんな心配はあっという間にすぐにどこかに吹っ飛んでしまいました。
パワフルでエネルギッシュ、強烈なドライブ感とスイング感、文句なしのテクニック、恐るべしビヨーム。
スケールの大きさを感じさせ、真にミシェル・ペトルチアーニ(p)の後継者に成り得るヨーロッパ・ピアノの逸材です。
私はクリス・ポッターのファンでけっこうアルバムも持っている方ですが、ポッターもベスト・プレイで迫ります。
クリス・ミン・ドーキー(b)とアリ・ジャクソン(ds)のコンビも強力なリズムを押し出してきていいですよ。
まずは1曲目、ユニークな曲調を持つモンクの「GREEN CHIMNEYS」でガツンときました。
あとは最終曲まで一気に聴かせてくれます、時間が短く感じたのも久し振りです。
直球勝負の王道を行くモダン・ジャズ・カルテットで今年のベスト3候補の1枚です。
(中間系)
(213) RICK GERMANSON TRIO / YOU TELL ME
rick germanson(p) gerald cannon(b) ralph peterson(ds)
2005/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT-217(輸入盤)
スペインの「Fresh Sound New Talent」盤からはそれこそ次々と新人のリーダー作が紹介されています。
このリック・ジャーマンソンもその一人でこれが2枚目のリーダー・アルバムになります。
私はルイス・ヘイス(ds)のTCB盤(スイス)”Dreamin'Of Cannonball”
とジェレミー・ペルト(tp)のCRISS CROSS盤(オランダ)”Insight”で彼のプレイを聴いています。
2枚共にギンギンのハード・バップでした。
今作は同時にラルフ・ピーターソン(ds)のトリオものは珍しいのではと興味を引きました。
全9曲はオリジナルが5曲、スタンダード3曲と惜しくも亡くなったジェームス・ウイリアムスの曲を取り上げています。
オリジナルに聴きどころが多く、ベースとのデュオで聴かせる(5)、ウイリアムスの(7)にも注目しました。
パワフルで硬質なスタイルを持つピアニストでカチッとしたプレイを聴かせてくれました。
やや硬さを感じますが、ドライブ感、スイング感は十分で最近では珍しい個性派と言えるかもしれません。
ラルフ・ピーターソンの勢いに負けないピアニストと言ったら分かりやすいでしょうか。
そういった意味でソフトで甘さを感じさせるピアニストとは一線を画します。
(中間系)
(212) GORDON BECK QUARTET / SEVEN STEP TO HEAVEN
gordon beck(p) bruno rousselet(b) philippe soirat(ds)
pierrick pedron(as)(2,3,6,7)
2005/ART OF LIFE RECORDS/AL1018-2(輸入盤)
これはいいです、私は出だしの一音でグイと引き込まれてしまいました。
持っている雰囲気が抜群で、「あー、ジャズだなあー」と思いました。
イギリス出身のゴードン・ベックの名前をご存知の方も多いと思います。
そう、あの”フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーン”で活躍していましたね。
フランクフルトでの「フリーダム・ジャズ・ダンス」が忘れられないファンも多いことでしょう。
これは多くを語る必要はありませんね、聴いてもらえればその良さは一目瞭然です。
選曲良し、内容良しのお薦めのフランス盤です。
(中間系)
(211) GERARD HAGEN TRIO / FAR HORIZONS
gerard hagen(p) domenic genova(b) jerry kalaf(ds)
gary foster(as)
1998/RESURGENT MUSIC/RM-121(輸入盤)
ジャズ鑑賞集団、MOONKSが選ぶ「幻の廃盤/レア盤掘り起こしコレクション」の1枚です。
このシリーズの存在は知っていましたが、私は今回初めて買いました。
購入のきっかけになったのは大好きな「YESTERDAYS」が聴きたかったからです。
ポール・チェンバースの「BASS ON TOP」(BN-1569)で痺れて以来愛聴曲になっています。
この曲が入っていると気付くとまあー大抵買ってしまいます、みなさんにもそんな曲が1つや2つありませんか。
並んだ曲目を見ているとオリジナル3曲、スタンダード4曲、ジャズメンの曲が3曲と非常にバランスがいいですね。
内容も文句がありませんよ、さすがに聴く耳は確かだと思いました。
実に味わい深いトリオとカルテットでスイング感も十分、自然に身体が揺れてきます。
端正で渋い大人のジャズというか、落ち着いていて安定感があります。
つくづく世の中は広いと思います、たしかに知られざる名盤を紹介するのは大切なことですね。
一人で聴ける時間などはたかが知れているからです。
(中間系)
(210) CHRIS CHEEK QUARTET / BLUES CRUISE
chris cheek(ts,ss)
brad mehldau(p,fender rhodes) larry grenadier(b) jorge rossy(ds)
2005/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT-235(輸入盤)
クリス・チーク(ts)の新譜はブラッド・メルドー・トリオをバックに迎えての豪華盤です。
メルドーはすでに世界的、チークはまだマイナーな存在だと思うのでよほど強固な結び付きがあります。
音楽性が似かよっていたのが、先にメルドーが世の中に出たという感じでしょうか。
全9曲はオリジナル5曲、その他4曲で曲想が変化に富んでいるので飽きさせません。
メルドーもフェンダー・ローズを駆使してその変化に一役買っています。
チークの物憂げで気だるい表現力は独特の光を放っていると思います。
メロディ・ラインの美しいスロー、ミディアムテンポな曲ではその個性が一段と輝きを増してきます。
ここでもエリントンの(2)、表題曲の(7)、マンシーニの(9)などでチークの真髄が聴けます。
特に(2)の「LOW KEY LIGHTLY」は雰囲気バッチリで素晴らしいです。
私は何度も繰り返し聴いてしまいました。
ジャズ・ファンには好きなプレイヤーに特別の思い入れがありますね。
他人の評価は関係なくて、相性がいいとか、感性が合うというのは理屈では言い表せません。
私にとってはクリス・チークはそんなサックス奏者の一人です。
時代を担うテナー奏者としてこれからも注目していきたいと思っています。
(中間系)
(209) GIOVANNI MIRABASSI TRIO / PRIMA O POI
giovanni mirabassi(p) gildas bocle(b) louis moutin(ds)
flavio boltro(tp)(3)(7)(10)
2005/ATELIER SAWANO/AS-053
澤野工房も多くのピアニストを紹介していますね。
私のベスト3はウラジミール・シャフラノフとヨス・ヴァン・ビーストにこのジョバンニ・ミラバッシです。
ミラバッシは信じられられないほどの美しいフレーズをつむぎ出してきます。
ここでもその魅力が十分に堪能できますよ。
オリジナルが8曲、その他2曲の構成で、オリジナルも良いけれどあとの2曲の選曲がまた絶妙です。
特に(5)の「THEME FROM HOWL'S MOVING CASTLE」は美しく感動的、思わずほろりとしました。
話題のフラビオ・ボルトロ(tp)が3曲にゲストに加わっているのも変化があっていいです。
これもまた素晴らしくて、(7)、(10)ではそのフラビオの実力を知らしめる美しいバラードが聴けます。
↓の北川潔トリオとほぼ同時発売ですが、聴き比べてみるのも面白いと思います。
今の私はどちらかというとこちらの方が好みですね。
(中間系)
(208) KIYOSHI KITAGAWA TRIO / PRAYER
kiyoshi kitagawa(b) kenny barron(p) braian blade(ds)
2005/ATELIER SAWANO/AS-054
北川潔(b)さんは日本が世界に誇る小曽根真トリオのメンバーとして知られています。
2004年に澤野工房から初リーダーアルバムを出して注目を集めました。
共演がケニー・バロン(p)とブライアン・ブレイド(ds)というのも興味を引くには十分なメンバーでしたね。
これは同じメンバーによる第2弾、前作の傾向をそのまま踏襲したものです。
まずは1曲目でグイと引き込まれ、音が前面に出てくる感じは澤野工房としては珍しいかもしれません。
よく伸びる強靭なベースと多彩なリズムを繰り出すドラムスに支えられてバロンのピアノも好調です。
まさに”スイングがなければ意味がない”を地で行くアルバムです。
重厚でどっしりとした安定感のあるピアノ・トリオが聴けます。
最近は洗練された軽快なピアノ・トリオも多いので、これだけ重量感のあるピアノ・トリオは案外珍しいです。
コツはちょっと大きめの音で鳴らしてやることかな、迫力のあるサウンドが楽しめます。
ストレートでパワフル、誰にでも安心してお薦めできるピアノ・トリオの決定盤と言えます。
それが日本人名義だというのも嬉しいですね。
(中間系)
(207) GERALD WILSON ORCHESTRA / IN MY TIME
gerald wilson(con,arr)
jon faddis(tp) frank greene(tp) jimmy owens(tp) jeremy pelt(tp)(1,6,7,10)
eddie henderson(tp)(1-5,8,9) mike rodrigues(tp)(6,7,10) sean jones(tp)(2,5,8,9)
benny powell(tb) dennis wilson(tb) douglas purviance(btb) luis bonnila(tp)(1,6,7,10)
kamasi washington(ts) gary smulyan(bs) ron blake(ts,fl)
sreve wilson(as,fl) jerry dodgion(as,ss,fl) dustin cicero(as) russell
malone(g)
renee rosnes(p) peter washington(b) lewis nash(ds)
2005/MACK AVENUE/MAC-1025(輸入盤)
ジェラルド・ウィルソンのアルバムを購入したのは実に40年ぶりになるでしょうか。
私はほとんどビック・バンド・ジャズを聴かないのでノーマークでしたが、
未だに現役で頑張っているとはまったく大したものです。調べたら86歳でした。
2曲を除いてはオリジナルで(2)、(3)、(4)は「The Diminished Triangle」の副題で組曲になっています。
解説にはウエスト・コーストの味にニューヨークのスパイスが効いているとありました。
知っているところではジョン・ファディス(tp)、エディ・ヘンダーソン(tp)、ジミー・オーエンス(tp)、
スティーブ・ウィルソン(as)、ゲイリー・スムリアン(bs)のベテラン、
他にもジェレミー・ペルト(tp)、シーン・ジョーンズ(tp)、ロン・ブレイク(ts)などの注目の若手が目白押しです。
ラッセル・マローン(g)、リニー・ロスネス(p)、ピーター・ワシントン(b)、ルイス・ナッシュ(ds)
のリズム・セクションも新鮮ですね。
近年はクレイトン・ハミルトン・オーケストラに代表されるように洗練されたオシャレなサウンドが主流です。
このような本格的なジャズ・ビック・バンドは少ないのではないでしょうか。
まずは(1)の「SAX CHASE」での圧倒的な迫力に度肝を抜かれます。
サックス・バトルの後に入るラッセル・マローンのギターがまたたまりません。
少し大きめの音量で鳴らすと凝縮された濃厚なサウンドがスピーカーから飛び出してきます。
これぞビック・バンド・ジャズ、たまにはガーンと一発いくのもいいと思いますよ、頭の中がすっきりしました。
(中間系)
(206) PETER FESSLER / LOVERS, FOOLS & DREAMERS
peter fessler(vo,g)
christian von kaphengst(b,elp,synth) alfonso garrido(per) ferix astor(brushes)
joo kraus(tp) peter weniger(ts)
2004/SKIP RECORDS/SKP 9042-2
久し振りにフラリと立ち寄った近所のCD屋さんでふと目に留まったアルバムです。
ドイツのピーター・フェスラーのスタンダード作品集です。
私はまったく知りませんでしたが独自の感性を持つシンガーソングライターとして有名だそうです。
たしかに魅力的な雰囲気とミラクルボイスを持ったスケールの大きいプレイヤーですね。
クラシックに培われた抜群の上手さ、ジャズ、ブラジル音楽、特にボサノバの影響も大きいと思いました。
ある種のけだるさを感じさせるゆったりとした大きなノリは心地良く何とも言えない素晴らしさです。
私のお勧めは(8)の「I REMEMBER YOU」と(10)の「POINCIANA」、(3)、(9)などもお気に入りです。
ただ上手いだけではありません、聴くたびに深く心に響いてくる珠玉のボーカルが聴けます。
苦労人らしく凄く優しい語り口です、「こんな歌手がいたのか」と驚き、感心した次第です。
歌はその人の人生を表しますね、ビリー・ホリデイしかり、ジミー・スコットしかり、彼も似ているところがありますよ。
(くつろぎ系)
(205) YOKO MIWA TRIO / CANOPY OF STARS
yoko miwa(p) scott goulding(ds) massimo biolcati(b)
bronek suchanek(b)(3,8)
2005/POLYSTAR/MTCJ-3020
三輪洋子さんは兵庫県神戸市の出身、私が注目しているピアニストの一人です。
バークリー音楽大学を卒業後はアメリカのボストンに在住して活躍しています。
収録された11曲は全て自身のオリジナルで勝負、安易にスタンダードを演らないのも意欲的です。
先日の帰国公演ではこのアルバムからの選曲が中心になっていました。
ワルツ、タンゴ、ブルース、変拍子、フリー・トーンを含めて色々な表情を見せてくれています。
バラードにおける瑞々しい透明感のあるタッチに加えてアグレッシブな激しい一面を聴くことが出来ました。
今までの叙情的で美しいメロディ・ライン重視とはやや趣を変えて彼女の音楽性を探るには最適の作品です。
このアルバムが3枚目になりますが、間違いなく彼女のベスト・アルバムだと思います。
今年聴いたピアノ・トリオ盤では上位にランクされるお薦めの一枚です。
ライブ・ハウスでは少しですがお話しもさせてもらいました、ライブ・レポートを参照して下さい。
(中間系)
(204) SONNY ROLLINS SEXTET / WITHOUT A SONG
sonny rollins(ts) clifton anderson(tb) stephen scott(p)
bob cranshaw(b) perry wilson(ds) kimati dinizulu(per)
2005/MILESTONE/MCD-9342-2(輸入盤)
名実共にモダン・ジャズの巨人、ソニー・ロリンズ(ts)の2001年のライブ盤です。
齢70を越えてもそのパワフルでエネルギッシュな演奏には頭が下がる思いがします。
もちろん、往年のような圧倒的な迫力は望むべきもありませんがその挑戦的な姿勢には感動しました。
さすがに存在感は十分で、当然ながら観客の反応や盛り上がりも凄いです。
ジャズ・ファンならあのロリンズと同じ空間にいるというだけでワクワク、ドキドキするでしょうね。
お得意のカリプソのリズムで始まる(1)「WITHOUT SONG」やバラードの(4)「A NIGHTINGALE〜」、
往年の凄みを垣間見せる16分強の長丁場の(5)「WHY WAS I BORN ?]などは聴き応えがあります。
付き合いの長いお馴染みのボブ・クランショウ(b)を除いては若手のメンバーで周りを固めています。
その若手が気合の入った素晴らしい演奏を繰り広げているので熟年ロリンズながらも十分におつりがくる内容です。
特にステフェン・スコット(p)やクリフトン・アンダーソン(tb)に注目、リズムセクションもグイグイと迫ってきます。
一枚を通してリズム感溢れる演奏を大いに楽しむことが出来ますよ。
ロリンズのライブ盤では”ビレッジ・バンガード”がつとに有名ですが、私のお勧めは「THE
CUTTING EDGE」です。
1974年の作品、ここでの「To A Wild Rose」(邦題:野ばらによせて)は絶品、まさに感動ものです。
まだお聴きでない方は是非聴いてみて下さい。
ちなみにロリンズはこの10月末から11月上旬にかけて日本で引退公演を行います。
チケットの売れ行きも上々のようで東京での追加公演も決定しました。
それからオーネット・コールマン(as)の来日公演も決定したそうですよ。
(中間系)
(203) MARC JOHNSON SEXTET / SHADES OF JADE
marc johnson(b) joe lovano(ts) john scofield(g)
eliane elias(p) joey baron(ds) alain mallet(org)
2005/ECM/1894 987 1477(輸入盤)
マーク・ジョンソン(b)はビル・エバンス・トリオの最後のベーシストとして知られています。
このマーク・ジョンソンの新譜は組み合わせの妙に興味を持ちました。
マークとジョーイ・バロン(ds)はともかく、ジョー・ロバーノ(ts)、ジョン・スコフィールド(g)、
イリアーヌ・イリアス(p)はECMのサウンドには馴染まないのではと思ったからです。
しかし聴いてみると案外に面白かったです・・・ちゃんとECMの音作りにマッチしていました。
それぞれがグッと抑制したプレイを聴かせてくれていてこれがとても新鮮に聴こえました。
普段はゴリゴリとしたプレイを聴かせるロバーノやスコフィールドが打って変わってクールなプレイを繰り広げ、
明るく爽やかなイメージを持つイリアーヌが美しく叙情的なピアノを聴かせてくれています。
それでもECMでありながら(5)、(8)などは多少尖がった部分もあるので新鮮な感覚で聴くことが出来ます。
曲想がバラエティに富んでいるので飽きずに一枚を聴き通せるアルバムです。
先日、イリアーヌはマーク・ジョンソンと再婚したとの情報を得ました。
どうりでマークとイリアーヌは夫婦ということで息もピッタリ、1曲を除いて二人のオリジナルになっています。
特に最近丸くなりつつあるロバーノとエバンス的なイリアーヌのバラード・プレイは聴きものです。
ゆったりと時が流れていくような心地良さです。
先週のメルドーに続いて好アルバムに巡り会いました。
(中間系)
(202) BRAD MEHLDAU TRIO / DAY IS DONE
brad mehldau(p) larry grenadier(b) jeff ballard(ds)
2005/NONESUCH/7559-79910-2(輸入盤)
やっぱりブラッド・メルドー(p)は素晴らしいと思います。
独特の感性と音使いで背筋がゾクゾクとするというか、解釈が新鮮で次の展開にワクワクします。
バカラックやレノン&マッカートニーのメロディアスな曲を取り上げているのでその才能がひときわ目立ちます。
ドラムスが交代してもトリオとしてのバランスやコンビネーションも良く完成度も高いです。
今までの抑制されたポジションと違って今回はグイと前面に出てきたような感じがしました。
ドラムスがホルヘ・ロッシからジェフ・バラードに代わったことの効果が現れているようです。
現在のジャズ・ピアニストでは頭ひとつ抜けている存在であることは間違いないでしょう。
バド・パウエルとセロニアス・モンクは別格として、
レニー・トリスターノ〜ビル・エバンス〜キース・ジャレット〜ミシェル・ペトルチアーニ〜ブラッド・メルドー
の流れが現代ジャズ・ピアノ界の主流派でしょうか。
もちろん、マッコイ・タイナー、チック・コリア、ハービー・ハンコックの存在も忘れるわけにはいきません。
今年聴いたピアノ・トリオ盤ではベスト・アルバムです。
メルドーのニュー・トリオには魅力が満載、この居心地の良いサウンドにはずっと浸っていたいと思いました。
(中間系)
(201) ROBERT GLASPER TRIO / CANVAS
robert glasper(p,fender rhodes,kalimba) vincente archer(b) damion reid(ds)
mark turner(ts)(2,8) bilal(vo)(7,10)
2005/BLUE NOTE/7243 4 77131 2 5(輸入盤)
大物の風格を感じさせるロバート・グラスパー(p)のメジャー第一弾・ブルーノートからの新作です。
私は2003年のスペインのニュー・タレント盤↓で注目しました。
一聴すれば瑞々しくキラリと輝きを見せるピアニストだということがすぐに分かると思います。
ゴスペルやヒップ・ホップの影響も感じさせるので、幅広い音楽性の持ち主です。
そういった意味ではハービー・ハンコック(p)に共通するところがあり、彼が尊敬しているのも当然ですね。
ハンコック派というのは珍しいので純ジャズ路線からはちょっと外れるかもしれません。
ここでもフェンダー・ローズなどを駆使しています、ファンの好みや評価が分かれるところでしょうか。
しかし大きな可能性を秘めている逸材です。
1曲を除いて全て自身のオリジナルで勝負、今はまだバラードよりはアップ・テンポに魅力を感じています。
注目のマーク・ターナー(ts)が2曲にゲスト参加しているのも興味がありました。
(中間系)
(200) JIMMY HALPERIN TRIO / EAST OF THE SUN
jimmy halperin(ts) axel hagen(g) thomas w. andersen(b)
2005/BLUE JACK/BJJR-031(輸入盤)
このオランダ盤に興味を持ったのは組み合わせの面白さです。
ドラムレスのテナー・サックス、ギター、ベースでどんなサウンドを聴かせてくれるか興味がありました。
曲名を見ていてサル・モスカ(p)の曲が2曲あるということでハーッと思い当たりました。
ピンときた人も多いかも知れませんね。
サル・モスカと言えばリー・コニッツやウォーン・マーシュでお馴染みのレニー・トリスターノ派の優等生です。
やはり、リーダーのジミー・ハルペインはトリスターノやモスカについて勉強したとありました。
音楽性はクールそのものでトリスターノ派の特徴をそのまま受け継いだものです。
落ち着いたクール・ジャズの好盤、こういうアルバムを聴いているとなんかホッとしますよ。
特に(2)、(3)、(5)、(8)のスタンダードには癒されました。
(中間系)
(199) ERIC ALEXANDER & VINCENT HERRING
/ THE BATTLE Live At Smoke
eric alexander(ts) vincent herring(as)
mike ledonne(p) john webber(b) carl allen(ds)
2005/HIGHNOTE/HCD-7137(輸入盤)
エリック・アレキサンダーは近年世界一多忙なテナー・サックス奏者で驚くほどの多作家です。
正直なところ少々食傷気味でこのアルバムの入手が遅れました。
ヴィンセント・ハーリングは現在では珍しいストリート・ミュージシャン出身でキャノンボール・アダレイ
の流れを汲むアルト・サックス奏者です。
題名は「THE BATTLE」ですが、火の出るような仁義なき大ブロウ大会を期待すると肩透かしを食うかもしれません。
何回かの共演もあり、思ったより二人のコンビネーションとバランスが良いのでスンナリと入っていくことが出来ます。
私が想像していたよりもずっと落ち着いたプレイぶりでした。
二人が中心であることは間違いありませんが、マイク・ルドン(p)の活躍の場も十分に与えられています。
ウエス・モンゴメリー(g)のアルバムで大ヒットした(2)「ROAD SONG」は懐かしかったです。
ルドンの(5)「SHIRLEY'S SONG」も気に入りました。
スリル溢れるエキサイティングな演奏はジャズの醍醐味の一つ、文句なしに楽しめる一枚だと思います。
(中間系)
(198) AD COLEN QUARTET / BITTER BUT SWEET
ad colen(ts,ss)
rob van bavel(p) erik robaard(b) jasper van hulten(ds)
2005/SWEET BRIAR MUSIC/CD3(輸入盤)
オランダの注目すべきサックス奏者のアド・コーレンを聴くのはこれが2枚目になります。
前作の「EYES WIDE OPEN」の出来も良くてジャケットも印象深いものでした。
ユニークな音色と音楽性を持っているので何か良い表現はないものかと考えていました。
ところがピッタリなものがあったのです。
題名の「BITTER BUT SWEET」がそのものなので私は嬉しくなってしまいましたよ。
「苦いけれど甘い」・・・ちょうどそんな表現がピッタリです。
前作の感想に”後期のスタン・ゲッツ(ts)にウェイン・ショーター(ts)をミックスした感じかな。”
”クールな中に激しい感情を包み込むような奏法です。”と書きました。
どうです、ドンピシャだとは思いませんか。
ロブ・ヴァン・バベルの素晴らしいピアノ・プレイも聴けます。
(中間系)
(197) JAKOB DINESEN QUARTET / LADY WITH A SECRET
THE JAZZPAR PROJECT 2004
jakob dinesen(ts)
ben besiakov(p) eddie gomez(b) nasheet waits(ds)
2005/STUNT RECORDS/STUCD-05052(輸入盤)
1990年から行われているデンマークの「THE JAZZPAR PRIZE]の2004年のウィナーはアルド・ロマーノでしたが、
先日紹介したばかりで [ ドラゴン流目立たないけどいいアルバム ]にしました。
今作は同じく2004年の「THE JAZZPAR COMBO LEADERS」部門の受賞者のヤコブ・ディネセン(ts)です。
強力なピアノ・トリオをバックにグイグイと吹きまくるディネセンは圧巻です。
がっちりと決まった重厚なこのカルテットは受賞するにふさわしいコンボだと思います。
ディネセン4曲、ベシアコフ1曲、モンク1曲の構成です。
ライブ盤なので1曲づつが比較的長いですが、メンバーも意欲的な演奏を繰り広げていて聴き応えは十分です。
ディネセンはジョン・コルトレーン〜ウエイン・ショーターのライン上にありますが、デンマークのみならず、
ヨーロッパの主流派テナー奏者として注目に値する逸材だと思っています。
2002年のカート・ローゼンウィンケル(g)との「EVERYTHING WILL BE ALL RIGHT」↓も素晴らしかったですよ。
(まじめ系)
(196) FUMIO KARASHIMA TRIO / IT'S JUST BEGINNING
fumio karashima(p) yosuke inoue(b) shingo okudaira(ds)
2004/VIDEOARTS MUSIC/VACM-1240
今年のお盆中は辛島文雄さんのこのトリオをずっと聴いていました。
日本にもこんなに素晴らしいピアノ・トリオがあるということを再認識しました。
辛島さんは80年代にエルビン・ジョーンズ(ds)の”ジャズ・マシーン”に迎えられて以来、
ずっと第一線で活躍している実力者でファンの支持も大きいです。
さすがに当時の凄みはなくなったけれど、味わい深いピアノはまさにアブラが乗り切っている感じがします。
井上陽介(b)、奥平真吾(ds)とのコンビネーションも抜群です。
天才ドラマーと騒がれた奥平真吾さんも齢40を迎えようとしています。
井上陽介さんは真吾さんのニューヨークでの修行仲間だそうです。
辛島さんを中心に1本ビシーッと筋が通っている日本人ピアノ・トリオの決定版です。
日本にもこういう上質のピアノ・トリオがあるのは嬉しい限りです。
同メンバーのライブ盤には2001年録音の「THE ELYSIAN AIR」があります。
興味があれば、こちらも是非聴いて欲しいですね。
(中間系)
(195) FRANK MORGAN QUARTET / RAISING THE STANDARD
frank morgan(as)
george cables(p) curtis lundy(b) billy hart(ds)
2005/HIGHNOTE RECORDS/HCD-7143(輸入盤)
フランク・モーガン(as)のニューヨークの”THE JAZZ STANDARD”におけるライブの第2弾です。
2003年の11月28日〜30日にかけてのライブからの抜粋です。
VOL.1に当たる「CITY NIGHTS」↓は圧倒的に素晴らしくて「ドラゴン流目立たないけどいいアルバム」にしました。
この作品にはVOL.1の表示もないので、この時には次の発売予定はなかっったと思われます。
あまりに仕上がりが良く評判も良かったので今作の発売に至ったと推測しています。
たしかに前作と聴き比べるとかなり物足りませんが、ここでのプレイも水準以上の出来にあると思います。
特にウエイン・ショーター(sax)の「FOOTPRINTS」、「NEFERTITI」などは新鮮な感じがしました。
「POLKA DOTS AND MOONBEAMS」、「OLD FOLKS」、「IN A SENTIMENTAL MOOD」のバラードも聴きもの、
ミディアム・アップテンポも良し、72歳にして未だ枯れず、その表現力はさらに成長を続けているのではないでしょうか。
モーガンの美しいアルト・サックスの音色に心惹かれるファンも多いと思います。
この熟年カルテットは素晴らしいですね、安定感は十分でバランス感覚もいいです。
4人のコンビネーションも抜群で生き生きとしたプレイを繰り広げています。
1枚だけなら上記の「CITY NIGHTS」がお薦め、味、艶共に熟年ジャズ・ライブ盤の傑作の一枚です。
私は聴くたびに思うのですが、この熟年カルテットは直にこの目で見て聴いてみたいです。
(中間系)
(194) FABRICE ALLEMAN QUARTET / LOOP THE LOOP
fabrice alleman(ss,ts)
michel herr(p) jean-louis rassinfosse(b) frederic jacquemin(ds)
1998/IGLOO/IGL-136(輸入盤)
先週、先々週に引き続きミシェル・ハー(p)絡みのベルギー盤の第3弾です。
リーダーのファブリース・アレマン(ss、ts)も初見、ソプラノ・サックスではチャーリー・マリアーノとジョン・コルトレーン、
テナー・サックスではボブ・ミンツァー、ソニー・ロリンズの影響を受けたとあります。
3枚の中では最もモダンな仕上がりで私には一番しっくりときました。
特に表題曲の(1)の「LOOP THE LOOP」が素晴らしく、コルトレーン・カルテットを彷彿とさせる出来です。
マッコイ・タイナー・ライクな演奏を繰り広げるミシェル・ハーのピアノも素晴らしいです。
(4)の「BYE BYE BLACKBIRD」の演奏も強烈で凄い、私はフームを唸ってしまいましたよ。
ハーのピアノは多彩で自在、才能の奥深さを感じさせます。
4人のまとまりやバランスも良く、ベルギーのトップ・クラスのグループだと思います。
ベルギー・ジャズ界の実力を余すところなく伝えた好盤です。
なお、(2)(4)(5)がライブ音源で、あとはスタジオ録音の構成になっています。
(まじめ系)
(193) ALEX RIEL TRIO/ WHAT HAPPENED ?
alex riel(ds) heine hansen(p) jesper lundgaard(b)
2005/COWBELL MUSIC/14(輸入盤)
アレックス・リール(ds)の新譜です。
ジャケットの写真は可愛いですね、きっとアレックスのお気に入りの写真なんでしょうね。
先日、1970年代のデクスター・ゴードン・カルテットのライブ盤を聴きましたが、
若かれし頃のアレックスはエネルギッシュでパワフルな太鼓を叩いていました。
ケニー・ドリュー(p)、ニールス−ヘニング・オルステッド・ペデルセン(b)のお馴染みのリズム・セクション、
荒削りながらけれん味がなくデックスに思い切りぶつかっていく姿には魅力がありました。
さて、この作品ですが、アレックスとイェスパー・ルンゴー(b)のコンビは定評のあるところで、
今までにも幾多の名トリオ盤を送り出しています。
二人の選んだピアニストには外れがあるわけがありません。
今回のヘイネ・ハンセン(p)もその例に漏れず見事に期待に応えています。
刺激的というには少々物足りませんが、ピアノトリオの好盤という評価は順当なところだと思います。
このアルバムには11曲目にギター・トリオが隠れていますが、このギター奏者は一体誰なんでしょうか。
(中間系)
(192) PETER PEUKER QUARTET & STRINGS / SKYLARK
peter peuker(as)
karel boehlee(p) marius beets(b) maecel serierse(ds) etc
2003/PIROUET/PIT-3005(輸入盤)
フィル・ウッズ、ピエト・ノールディックに引き続きベテラン・アルト・サックス奏者の3連発になりました。
ピーター・ピューカーは初見ですがスイング系、しなやかでやわらかな音色はムード満点で癒されます。
聴き比べてみると3人3様の個性があって興味深いものでした。
これを入手したのはメンバーに惹かれたこともあります。
今をときめくヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニストのカレル・ボエリーとビーツ兄弟のマリアス・ビーツ(b)です。
ストリングスをバックにしっとりと落ち着いたスタンダード・ナンバーを楽しむことが出来ます。
このドイツ盤は愛聴盤にしても良かったのですが、比較しやすいように3枚並べてみました。
私は3枚の中ではこれに1票入れてみましたが、みなさんの好みはどうでしょうか。
(くつろぎ系)
(191) RONNY JOHANSSON TRIO/ TENDERLY
ronny johansson(p) yasuhito mori(b) raymond karlson(ds)
2004/SPICE OF LIFE/SOL SC-0007
ロニー・ヨハンソン・トリオの最新作です、先日のライブが印象に残ったので最近良く聴いています。
ヨハンソンはスウェーデン出身、全11曲、自身のオリジナルが7曲、スタンダードが4曲の構成です。
聴くたびに味わい深くて、”いいなあー”と思うようになりました。
最初はそれほどには感じなかったので、噛めば噛むほど味が出る、まさにスルメの如くの味わいです。
フレーズが独特なのでよく知られた聴きなれたスタンダードにも新鮮な息吹が感じられました。
19歳でエリック・ドルフィー(as)と共演したという実力は本物です。
オリジナルも名曲揃いなので、ピアノの名手たる称号がぴったりです。
ピアノを中心にまとまっていて好バランス、各自のコンビネーションも良く、トリオとしての完成度は高いと思います。
安心してお薦めできるピアノ・トリオの1枚です。
(中間系)
(190) HAN BENNINK TRIO/ HOME SAFELY
han bennink(ds) curtis clark(p) ernst glerum(b)
2003/FAVORITE/FAVORITE 1(輸入盤)
ハン・ベニンク・トリオによる1994年録音の作品です。
一聴した途端、私はグッときてしまいました、なにしろ3人が醸し出す雰囲気が抜群なんです。
理屈ではありません、これほどのトリオ盤はそうはないと思いました。
3人共に初見でしたが、つくづく世の中は広いと再認識させられました。
全12曲はカーティス・クラーク(p)のオリジナルで名曲揃い、演奏スタイルも幅広く刺激的です。
カーティス・クラークが素晴らしく、ハン・ベニンクのドラミングがまた絶妙なんです。
パタパタとノスタルジックな感じを漂わせながらも独特のスイング感はたまりません。
私の白眉の一曲は(3)の「BALLAD OF JAKE SPOON」だけれど、それぞれが魅力的で聴きどころも多いです。
(中間系)
(189) JOE LOVANO QUARTET / JOYOUS ENCOUNTER
joe lovano(ts,ss)
hank jones(p) george mraz(b) paul motian(ds)
2005/BLUE NOTE/7243 8 63406 2 7(輸入盤)
ジョー・ロバーノ(ts)の新譜はワン・ホーン・カルテットのバラード集です。
バックは御大ハンク・ジョーンズ(p)をはじめ、ジョージ・ムラツ(b)とポール・モチアン(ds)のベテラン・トリオです。
濃厚でやや癖のある味わいのロバーノがここではどういったプレイをしているのか、興味がありました。
比較的さらりと演奏しているのは先輩達に敬意を表しているからでしょうか。
ゆったりと落ち着いていてなかなかよろしいと思いますよ。
ハンク・ジョーンズの好サポートもあり伸び伸びとした新しい一面を見たような気がします。
全11曲中オリジナルが2曲、ハンク、サドのジョーンズ兄弟の4曲が目を引きます。
ジャケット写真の笑顔も良くてスタジオ内でのリラックスした雰囲気が伝わってきます。
もう少しゴリゴリ・テナーを予想していた私の見込みは見事に外れました。
それほど甘くもなく安定感、安心感があるのでテナーのワンホーン・アルバムとしては手頃だと思います。
どうも故サド・ジョーンズ(tp)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)のトリビュート・アルバムにもなっているようですね。
なお、タイトル曲の(9)”JOYOUS ENCOUNTER”はピアノレスのトリオで演奏されています。
(中間系)
(188) ALDO ROMANO QUINTET / THE JAZZPAR PRIZE
aldo romano(ds,vo) stefano di battista(as,ss) mark turner(ts)
henrik gunde(p,elp) jesper bodilsen(b) susi hyldgaard(vo)(5,6,8,9)
2004/ENJA/9164(輸入盤)
1990年から行われているデンマークの「THE JAZZPAR PRIZE]の2004年のウィナーはアルド・ロマーノでした。
ウィナーによる記念コンサート・ライブ盤には良い作品が多いですが、これも例外ではありません。
ロマーノはイタリア出身のベテラン・ドラマーでフュージョンからフリー・ジャズまでこなす幅広い音楽性の持ち主です。
ここのメンバーも強力で魅力的ですね。
フロントにはイタリア・アルト界の期待の星のステファノ・ディ・バティスタと新感覚ジャズの旗手のマーク・ターナーを配し、
リズム・セクションにはデンマークの若手、ヘンリク・グンデとイェスパー・ボディルセンという組み合わせです。
注目のマーク・ターナーは近年活躍の場をアメリカからヨーロッパに主軸を移したようです。
オリジナルが6曲にその他3曲の構成で、スタンダードが2曲含まれています。
全体的には重厚な仕上がりでじっくりと聴かせますが、ボーカルを4曲入れたのはどうでしょうか。
目先が変わっていいと思うか、やや中途半端になったと思うか、ここはリスナーの好みが出るところです。
私は(1)〜(4)、(8)のロマーノのオリジナルがこのグループの真髄だと思いました。
(まじめ系)
(187) RALPH REICHERT QUARTET WITH RANDY SANDKE
/ REFLECTIONS
ralph reichert(ts) randy sandke(tp)
buggy braune(p) andreas henze(b) wolff reichert(ds)
2004/NAGEL HEYER/2050(輸入盤)
このドイツ盤ではオーソドックスでストレート・アヘッドなハード・バップ・ジャズが聴けます。
ハンブルグのバードランド・ジャズ・クラブでのライブ盤で、曲目も良く知られたスタンダードの名曲揃いで楽しめます。
ラルフ・レイチェルト(ts)とランディ・サンドケ(tp)の組み合わせです、限りなく美しいピアノにも注目して下さい。
テナー・サックスとトランペットのフロントはモダン・ジャズ・クインテットの王道ですね
案外、こういう作品が後々評価が上がるのではないかと思わせる仕上がりです。
ちょっと大きめの音量で鳴らすと、古き良き時代を彷彿とさせると同時に現代風の新しさも感じさせてくれます。
1曲目の”JUST IN TIME”で皆さんもきっと、「あー、いいなあー」と思いますよ。
続く”MY IDEAL”や”DARN THAT DREAM”のバラードにもグッときました。
(中間系)
(186) STEFANO BOLLANI TRIO/ GLEDA
stefano bollani(p) jesper bodilsen(b) morten lund(p)
2004/STUNT RECORDS/STUCD-05012(輸入盤)
このメンバーによる2枚目のアルバムになります。
イタリアのステファノ・ボラーニ(p)は期待の新進ピアニストで日本での人気も急上昇中です。
イェスパー・ボディルセン(b)とモーティン・ルンド(ds)はデンマークの時代を担う主流派プレイヤー。
3人のコンビネーションは抜群で、30代の若手プレイヤーによる最先端のヨーロッパ・ピアノ・トリオが聴ける逸品です。
前作の「MI RITORNI IN MENTE」(2003年)も素晴らしかったけれど、それより増してこのトリオは進化しています。
トリオそのものが醸し出す雰囲気には独特の個性があって聴く者の心に沁みてきます。
それほどにステファノ・ボラーニ(p)を中心とした三位一体のサウンドには魅力があります。
選曲もスカンジナビアの良く知られた曲を取り上げているようで、曲想も興味深く、そのアプローチも新鮮です。
これを言葉で言い表すのはむずかしいですね、どのトリオにもない、独自の世界を持っていると思います。
月並みですがこればかりは聴いて感じてもらわなくてはどうしょうもありません。
前作に引き続きボラーニのベスト・プレイが聴けるので一聴の価値は十分にあります。
(中間系)
(185) KJB TRIO / OPENINGS
kazumi ikenaga(ds) john lockwood(b) bert seager(p)
2004/INVISIBLE MUSIC/IM-2033
池長一美さんのドラムス(ライブ・レポート2/18参照)に感動して直接彼から手渡しで入手したアルバムです。
今までも時々引っ張り出しては聴いていましたが、今回は風邪で寝込んでいた時に何度も繰り返し聴きました。
静けさの中にも激しさを秘めているような、適度な刺激もあり、ちょうど良い按配なんです。
まるで印象派の一枚の絵を見ているような感じでした。
改めて、池長さんのメロディアスで語るドラムスは本当に魅力的で素晴らしいです。
アメリカの二人とのトリオ盤ですが、まったく遜色なく、むしろピッタリとはまっているのは驚きでした。
バート・シーガーはエバンス派のリリカルでユニークなピアニスト、ジョン・ロックウッド(b)は安定感のある名手です。
このトリオのバランス感覚は抜群でそのコラボレーション、インタープレイには惚れ惚れします。
特にジュール・スタインの(4)は圧巻、ウエイン・ショーターの(6)もお気に入りです。
これほど上質のトリオ作を紹介しない手はないですね、このまま埋もれさせるには惜しいアルバムだと思います。
(中間系)
(184) KAZUNORI SAWADA & TAKAO OGAWA with UNNO TRIO
/ COOL BLUES
澤田一範(as) 小川高生(as)
海野雅威(p) 吉田豊(b) 海野俊輔(ds)
2005/WHAT'S NEW RECORDS/WNCJ-2147
4月22日発売の出たてのホヤホヤのアルバムです。
チャーリー・パーカー(as)没後50年ということで、パーカーを敬愛する澤田一範さんと小川高生さんの共演です。
バックを勤めるのが今話題の海野雅威・トリオなので即座に購入を決めました。
それこそグット・タイミングの企画で、ビ・パップ精神を踏襲した美しいアルト・サックスのプレイが楽しめます。
解説で語る二人のチャーリー・パーカーに対する思い入れは興味深く読みました。
澤田さんの”Bird 50 !"(チャーリー・パーカー没後50年の夕べ)におけるウィズ・ストリングスの評判は聞いていました。
ツウ・ホーンの(1)、(2)、(5)、(7)、(9)、ワン・ホーンの(3)、(4)、(8)、(10)、ピアノ・トリオの(6)など、
変化に富んでいて聴きどころも多いです。
「温故知新」で新鮮な感じがしました、今年の注目すべき一枚になることは間違いありません。
(中間系)
(183) CHARLES LLOYD QUARTET / JUMPING THE CREEK
charles lloyd(ts,as)
geri allen(p) robert hurst(b) eric harland(ds)
2005/ECM/1911(輸入盤)
チャールス・ロイド(sax)の新譜はオリジナル8曲、その他2曲の構成です。
この5月半ばに来日公演の予定があるので、どんなものなのか、このアルバムを興味深く聴きました。
チャールス・ロイドは長らく瞑想生活を送っていましたが、ミシェル・ペトルチアーニ(p)に出会って、
本格的にジャズ活動を再開したのはよく知られています。(今週のジャケットを参照して下さい)
なぜだかジャズメンの中にはこうして時々隠遁生活に入ってしまう人も多いですね。
ペトルチアーニにとっては世に出るきっかけを作ってくれた、いわば恩人とも言える存在です。
60年代のキース・ジャレット(p)、セシル・マックビー(b)、ジャック・デジョネット(ds)の黄金のカルテットしかり、
80年代のペトルチアーニ、90年代のボボ・ステンソン(p)、パレ・ダニエルソン(b)、ジョン・クリステンセン(ds)、
そして今回のジェリ・アレン(p)、ロバート・ハースト(b)、エリック・ハーランド(ds)とバックのメンバーが素晴らしいです。
ロイドはプレイヤーの素質を見抜く天才的な感覚を持っています、同時に彼はメンバー構成に妥協しません。
さて、ここでもかすれたような音色のこね回す独特の表現方法は健在です。
この作品もECMサウンドそのもので乗れるという感じではありませんが、聴き込むとなかなかに奥が深いです。
曲によって組み合わせを変えてデュオ、トリオ、カルテットの演奏を楽しむことが出来ます。
特に10分強の(1)、(7)、(10)の中身が濃く、それぞれのインタープレイはハッとするほど魅力的でした。
じっくり聴くとその他にも聴きどころが多かったですが、ライブになるとまた違った表情を見せてくれるでしょうか。
なお、来日メンバーはベーシストがロバート・ハーストからリューベン・ロジャースに変わっています。
ロイドもそうそう見る機会がないと思うのでなんとか都合をつけたいですね。
(まじめ系)
(182) KURT ROSENWINKEL QUINTET / DEEP SONG
kurt rosenwinkel(g)
joshua redman(ts) brad mehldau(p) larry grenadier(b)
jeff ballard(ds)(3,4,5,8) ali jackson(ds)(1,2,6,7,9,10)
2005/VERVE/0075021034563(輸入盤)
待望のカート・ローゼンウィンケル(g)の新譜が出ました。
ローゼンウィンケルは今までにはいないタイプのギタリストで、彼が入るとがらっとサウンドの印象が変わってしまいます。
新感覚ジャズに興味があるファンには無視できないギタリストです。
それに今作は新感覚ジャズの黒幕的存在のジョシュア・レッドマン(ts)が参加しているので見逃すわけにはいきません。
ローゼンウィンケル〜ジョシュア〜ブラッド・メルドー(p)と並べば現在考えられる最高の組み合わせだと思います。
ラリー・グレナディアー(b)、ジェフ・バラード(ds)、アリ・ジャクソン(ds)というメンバーにも惹かれました。
新感覚ジャズには浮揚感のあるクールなサウンドという言葉がよく使われます。
クール・ジャズは以前からありますが、それにある種の”気だるさ”が加わったのが特徴だと思います。
それは(4)のスタンダードの「IF I SHOULD LOSE YOU」を聴くとよくわかります。
間のびした気だるい感じが何とも新鮮で心地良いです、ラテンというよりハワイアンのノリではないでしょうか。
10曲中8曲がオリジナルで、こうして聴いてみると改めてジョシュアはさすがに上手いですね。
ローゼンウィンケルもメルドーも尖がった角が取れて丸くなってきたと感じるのは私だけじゃないと思います。
いかにも彼等らしいのはスロー〜ミディアム・テンポですが、(3)、(5)などのアップテンポの曲にも興味を覚えました。
クールな中にもホットな演奏が繰り広げられています。
全体的な曲の流れもよく考えられていて(8)、(9)、(10)と盛り上がり、熱い「THE
NEXT STEP」は期待が大きく膨らみます。
”ジャズは現在進行形”は私の持論です、皆さんにも是非聴いて欲しい一枚です。
(中間系)
(181) KASPER VILLAUME TRIO / 117 DITMAS AVENUE
kasper villaume(p) jesper bodilsen(b) jeff "tain" watts(ds)
2004/STUNT RECORDS/STUCD-04122(輸入盤)
キャスパー・ヴィヨーム(p)はピーターソン・トリオでお馴染みの故エド・シグペン(ds)に見出されたようです。
私が最初に聴いたのはボブ・ロックウェル(ts)のライブ盤の「ONE AFTERNOON AT JAZZ CUP」でした。
その後にマシュマロ・レーベルから自己の2枚目のリーダー・アルバムの「ESTATE」で注目されています。
この時のドラムスはモーティン・ルンドでヨーロッパの色が濃いピアノ・トリオでした。
今作ではジェフ”テイン”ワッツ(ds)を起用して従来とはひと味違うドライブ感とスピード感を演出しています。
ワッツの繰り出すリズムが実に効果的にヴィヨームのピアノをプッシュ・アップしています。
ヨーロッパとアメリカのコラボレーションでちょうど良い按配になりました。
(1)のドライブ感、(6)の心地良いスイング感、(9)のフォーバースなどが聴きどころでしょうか。
組み合わせの妙によってヴィヨームの新たな一面を引き出したピアノ・トリオの好盤です。
なお、プロデューサーはベーシストのクリス・ミン・ドーキーです。
(中間系)