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(180) SAM RIVERS TRIO&QUARTET / PURPLE VIOLETS

sam rivers(ts,ss,fl)
ben street(b)  kresten osgood(ds)  
bryan carrot(vib)(1,4,7,9)
2005/STUNT RECORDS/STUCD-0416(輸入盤)


CDショップの紹介欄でサム・リバース(sax)の名前を見つけた時は小躍りしました。
私は「売れないでいて欲しい」と願いました、内容はともかく、まずは聴いてみたいと思ったからです。
届いたCDをトレイに乗せて、音が出てきた途端、”ホーッ、頑張ってるじゃん”と思いました。
パワフルな音色といい、その個性的な表現力は未だに色あせずに健在です。
改めてその存在感は強烈だという印象を与えてくれました。
齢80を過ぎていることを考えれば驚異的とさえ言えるでしょうね。
4曲がヴィブラフォン入りのカルテットで比較的聴きやすいですが、トリオ編成により彼の個性が出ています。
最初はとっつきにくいかもしれませんが、聴いているうちに徐々にハマッていくのがサム・リバースの世界です。
リバースはブルー・ノートに4枚のリーダー・アルバムを残していますが、この時すでに40歳を越えていました。
当時のジャズ・マンとしては珍しく遅咲きのプレイヤーですね。
代表作は初リーダー・アルバムの「FUCHSIA SWING SONG」か、2枚目の「CONTOURS」でしょうか。
その他にもBNにはトニー・ウイリアムス(ds)の「LIFE TIME」やラリー・ヤング(org)の「INTO SOMETHIN'」があります。
短期間でしたがマイルス・デイビス・グループの一員でもありました。
年代的にはジョージ・コールマン(ts)とウェイン・ショーター(ts)の中間に位置しています。
この時の貴重な演奏は64年の「MILES IN TOKYO」に収録されているので是非聴いて欲しいですね。
すぐに退団してしまったのは技量不足というより、考え方、行き方の違いにあったと私は考えています。
リバースはよりフリーなスタイルを模索していたのでしょう。
それ以来、彼はフリー・ジャズ、アバンギャルドに傾倒していくことになります。
全盛期は60年代から70年代で、80年代はほとんど表舞台には現れず隠遁生活を送っていました。
90年代に入ってから時々名前が聞かれるようになってきましたが、私が聴いたのは2枚だけです。
まずは久し振りに元気な姿を見られたということで一票入れておくことにします。

(まじめ系)




(179) McCOY TYNER QUINTET / ILLUMINATIONS

McCoy tyner(p)
gary bartz(sax)  terence blanchard(tp)  christian McBride(b)  lewis nash(ds)
2004/TELARC/CD-83599(輸入盤)


マッコイ・タイナー(p)のこの作品は去年の6月に出ていますが、熟年ジャズということで躊躇していました。
先週のロイ・へインズが良かったので、”これもあるかな”と思って入手してみました。
案の定、これがまた良かったです。
旧友のゲイリー・バーツ(sax)、すでにベテランの域に達したテレンス・ブランチャード(tp)とクリスチャン・マクブライド(b)、
マッコイ・グループでお馴染みの堅実派、ルイス・ナッシュ(ds)の組み合わせです。
近年の傾向としてはプレイヤーがそのままプロデューサーを兼ねる場合も多いですね。
しかしそれが必ずしも良い方向に向くとは限らず、中途半端な作品に終わることもまた事実です。
「餅は餅屋」というか、専門家に任せるのも悪くないと思います。
今作は明らかにそれが成功したケースだと思いました。
プロデューサーは女性のエレイン・マートーンで、メンバー、曲目、構成など実によく考えられています。
マッコイの4曲とメンバーのオリジナルが3曲、それにスタンダードと上手に振り分けられています。
曲想やメンバーの組み合わせもバラエティに富んでいてリスナーを飽きさせません。
まずはテレンス・ブランチャード、ブランチャードの純ジャズ路線は久し振りに聴きましたがこれが素晴らしい出来です。
クリスチャン・マクブライドとルイス・ナッシュのリズム・セクションも安定感のあるプレイぶりで聴かせます。
御大マッコイとゲイリー・バーツは枯れた味わいでずいぶんと丸くなりました。
私は(2)、(7)、(10)がお気に入りで何回も繰り返し聴いてしまいました。
(2)はラテン・フレーバーの印象的なテーマの曲でミディアム・テンポが心地良いです。
(7)はバーツ、(10)はブランチャードのカルテット演奏で、共にスタンダードの名曲として知られています。
なんと言ってもテレンス・ブランチャードが素晴らしいです、近年のマッコイのベスト盤になるかも知れませんよ。

(中間系)




(178) ROY HAYNES QUARTET / FOUNTAIN OF YOUTH

roy haynes(ds)
marcus strickland(ts,ss,bcl)  martin bejerano(p)  john sullivan(b)
2004/DREYFUS RECORDS/VACR-2067


このアルバムは素晴らしいですね、熟年ロイ・へインズ(ds)ということで入手を躊躇したのを恥じています。
これは2002年12月のニューヨークの「バード・ランド」でのライブ盤で、熱気溢れる演奏に私は体が熱くなりました。
私はアート・ブレイキー(ds)の名盤”NIGHT AT BIRDLAND"を一瞬思い浮かべてしまいました。
この時へインズは82歳、その年齢を感じさせない颯爽としたプレイぶりはまさに怪物だと思います。
へインズは近年も精力的な活動を展開していて、コンスタントに作品をリリースしていますが、今作品がベストです。
若手3人のメンバーにも恵まれて、へインズ晩年の最高傑作になることは間違いありません。
モンクの曲が3曲、デヴィッド・キコスキー(p)やパット・メセニー(g)の曲を取り上げているのが目を引きます。
コルトレーン・カルテットを彷彿とさせる熱気に溢れたエキサイティングな演奏が繰り広げられています。
お客さんの盛り上がりとライブの熱気が直に伝わってくる雰囲気は最高です。
若手3人は実に刺激的で稀にみる創造力を発揮していて素晴らしいですよ。
特にマーカス・ストリックランド(sax,cl)とマーティン・ベジャラーノ(p)の溌剌としたプレイは特筆ものです。
彼らにとっても記憶に残る作品になると思います、是非この二人の演奏は聴いてほしいですね。

(中間系)




(177) DON BYRON TRIO&QUARTET&QUINTET / IVEY-DIVEY

don byron(cl,bcl,ts)
jason moran(p)  jack dejohnette(ds)
ralph alessi(tp)(on 6,9)  lonnie plaxico(b)(on 6-9,11)
2004/BLUE NOTE/7243 5 78215 2 0(輸入盤)


クラリネットの俊才、ドン・バイロンのこの作品は比較的聴きやすいです。
特にジェイソン・モラン(p)とジャック・ディジョネット(ds)とのトリオ演奏が聴きものです。
バイロンもモランも一筋縄ではいかないプレイヤーですが、それに絡むディジョネットのドラミングが極上です。
さすがに多くの修羅場を潜り抜けてきたベテラン・ドラマーの面目躍如、変幻自在の展開を聴かせてくれました。
スタンダードに新たな息吹を感じさせ、3人のおりなすインタープレイはスリル満点、私はゾクゾクっとしました。
(1)と(2)が特に素晴らしく、このスタンダードの解釈には新鮮味がありました。
(6)、(9)にはトランペット、(6)〜(9)、(11)にはベースが加わり変化をもたせている構成もいいです。
しかし、中心はあくまでも上記3人によるトリオ演奏にあると思います。
(12)は(2)の別テイクですが、どうしても収録したいというプロデューサーの意志が感じられます。
(2)と(12)と優劣が付けがたく選択に迷ったでしょうね、それほど「SOMEBODY LOVES ME」の出来が良いです。

(中間系)




(176) HIGH FIVE QUINTET / JAZZ DESIRE

daniele scannapieco(ts.ss)  fabrizio bosso(tp)
luca mannutza(p)  pietro ciancaglini(b)  lorenzo tucci(ds)
2004/VIA VENETO JAZZ/VVJ-047(輸入盤)


これにはもう驚いてしまいましたよ、現代の名コンボと言えるのではないでしょうか。
「HIGH FIVE QUINTET」、イタリアからなんとも魅力的な若手?グループが飛び出してきました。
2002年にはアルバムを出しているようなので案外にこのグループの歴史は長いのかもしれませんね。
今、ヨーロッパで最も注目されているファブリッツオ・ボッソ(tp)を始めとして各人が相当の実力の持ち主です。
普通、ハード・バップ・コンボというとベテランが1人か2人、入っていて、彼らがその中心になることが多いです。
しかし、このグループは同世代のメンバーだけで彼らなりの近代的なハード・バップを演奏しているのが最大の特徴です。
フロント2管は↓の(7)でも紹介したスカナピエコ(ts)とボッソ(tp)のコンビで強力な組み合わせです。
ルカ・マヌッツア(p)他のバックのメンバーも良し、バランス良し、若手らしく物怖じせず思い切りのよい演奏が聴けます。
曲目は1曲を除いてメンバーのオリジナルで占められており新鮮、新感覚のハード・バップが楽しめる一枚です。
素晴らしくまとまりのあるコンボで一聴の価値は十分、、みなさんもそのまとまりの良さに驚かせれると思います。
(10)、(11)はボーナス・トラックですがニコラ・コンテのアレンジに軽く対応するあたりはさすがに現代っ子か。
(1)、(10)、(11)、これの聴き比べも面白かったです。

(中間系)




(175) MIKE LEDONNE QUARTET / SMOKIN' OUT LOUD

mike ledonne(ogn)
eric alexander(ts)  peter bernstein(g)  joe farnsworth(ds)
2004/SAVANT/SCD-2055(輸入盤)


先日見に行ったベニー・ゴルソン・カルテットのピアニスト、マイク・ルドンの新譜を入手してみました。
最近はエリック・アレキサンダー(ts)と共演することが多いようです。
去年のエリックの日本公演にも同行し、エリックのバラード・アルバムでも共演していますね。
さて、私はピアノだとばかり思っていたのですが、ここで演奏していたのはオルガンでした。(苦笑)
考えてみればギター、ドラムスのフォーマットはオルガン・トリオそのものなんですよね。
しかし、このオルガンが予想に反してピアノよりずっと素晴らしいと思いました。
オルガン奏者には希少価値があるし、ジミー・スミスが亡くなった今、時代を担うニュー・タレントが欲しいところです。
ブルージーでグルーブ感溢れるプレイは魅力的で、ピアニストよりオルガニストとして名を残すような気がします。
最近のオルガン奏者はどうもいまひとつ乗れない感じが強かったのですが、このマイク・ルドンのスイング感は買いです。
今作はオリジナルが2曲、(2)のヴィクター・ヤングの名曲「DELILAH」、(5)のレオン・ラッセルの「SUPERSTAR」などが良かった。
エリックもバラードの表現力が大幅にアップして、ピーター・バーンステイン(g)、ジョー・ファーンズワーズ(ds)も好演しています。
オルガン・ジャズの好盤だと思います。


(中間系)




(174) FRANK MORGAN QUARTET / CITY NIGHTS

frank morgan(as)
george cables(p)  curtis lundy(b)  billy hart(ds)
2004/HIGHNOTE RECORDS/HCD-7129(輸入盤)


フランク・モーガン(as)の新作です、モーガンは渋いプレイヤーで私も好きですよ。
50年代に作品を残し、パーカー派の逸材として期待されながらも以後30年間はプッツリと消息を絶ちました。
空白の30年間には諸説があるようですが、30年はあまりに長すぎるので、本人のみが知るところでしょうか。
80年代に奇跡のカムバックを果たしていますが、どれも好盤そろいで一聴の価値があります。
まるで30年間の空白を取り戻すかのような快進撃、モーガンが単なるハード・バッパーでないことを証明しました。
1991年、58歳の時にダウン・ビート誌のアルト・サックス部門のポール・ウィナーに輝いています。
まさに遅れてきた大物アルト・サックス奏者で、今年で72歳になりますが未だ枯れていません。

メンバーはジョージ・ケイブルス(p)、カーティス・ランディ(b)、ビリー・ハート(ds)です。
ベテランを揃えてさすがにその演奏には安定感があります、熟年ジャズ・ライブ盤の傑作に仕上がりました。
選曲もよく考えられていて、観客の盛り上がりも相当なものです。
特にマイルス・デイビスの「ALL BLUES」、ジョン・コルトレーンの「EQUINOX」、「IMPRESSIONS」が興味深いところです。
モーダルな曲を取り上げることにより、作品の幅がぐっと広がりました、マッコイ・ライクなケイブルスにも注目して下さい。

この熟年カルテットは素晴らしいですね、まるで水を得た魚のように生き生きとしています。
フランク・モーガンは今、最もライブを見てみたいプレイヤーの一人です。
来日予定などがあるんでしょうか、情報をお持ちの方がいたら是非知らせて下さい。


(中間系)




(173) BENJAMIN HERMAN QUINTET / HETEROGENEITY

benjamin herman(as,c-melody sax)  bert joris(tp)
misha mengelberg*(p)  jos machtel(b)  joost van schaik(ds)
raynald colom(tp)**
2004/A-RECORDS/AL73247(輸入盤)


オランダのアルト・サックス奏者のベンジャミン・ハーマンは初めて聴きましたが、ユニークな音楽感を持っていて面白かったです。
エリック・ドルフィ(as)の曲を取り上げているように、ベンジャミンはドルフィ・ライクな演奏も垣間見えます。
しかし、そう単純ではありません、それよりはずっと明るくて爽やかな音色なので、独自の世界を持っていると思います。
ドルフィとリー・コニッツ(as)とのミックス・タイプかな、それをどう感じるかが評価の分かれ目になるかもしれませんね。
切れ味鋭いアルトには魅力がいっぱいです、オリジナルのテーマも一風変わっていて印象に残りました。
しかし、ここでの最大の聴きものはドイツの鬼才ミシャ・メンゲルベルグ(p)の参加にあると思います。
ミシャ・メンゲルベルグはアバンギャルド、フリー、現代音楽とその風貌と合わせて実に個性的です。
「2003年の横浜ジャズプロムナード」で日本が誇るフリー・ドラマーの豊住芳三郎さんとの共演を見ました。
即興による2人のコラボレーションが作り出す摩訶不思議な音楽空間に魅せられたのを覚えています。
ミシャの参加は(1)、(3)、(5)、(6)、(9)、バッキングでは数少ない音で最大の効果を出しています。
ここでは案外ストレートに演奏してくれていて親しみやすく、セロニアス・モンク(p)の影響もよく分かりました。
特にミシャ自身のオリジナルの(6)の「REEF」は4分弱の小品ながらベンジャミンとのデュオで素晴らしいです。
ベンジャミンとミシャがひねていますがリズム・セクションがオーソドックスで安定しているのでその分救われています。
総崩れになるところでギリギリ踏み止まっているというか、絶妙かつ微妙なバランスの上に成り立っている作品です。
その危なっかしさが最高の魅力と言えます。
ピアノレスのカルテット演奏もまたバート・ヨリス(tp)の好演もあり結構な仕上がりです。
今年のベスト3候補の一枚です。

(まじめ系)




(172) URI CAINE TRIO / LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD

uri caine(p)  drew gress(b)  ben perowsky(ds)
2004/WINTER & WINTER/910 102-2(輸入盤)


私にはユリ・ケイン(p)はアヴァンギャルド(前衛)のイメージが強くあります。
そんなユリ・ケインのヴィレッジ・ヴァンガードのライブ盤ということで興味津々で聴いてみました。
全10曲はオリジナルが6曲、ジャズ・スタンダードが4曲の構成です。
さすがにユニークで刺激的、意表をつくフレーズが次々と飛び出してきてゾクゾクっとしました。
かといって頭でっかちというわけでもなくスマートで絶妙なスイング感も持っています。
フリー系ピアニスト独特の力強いタッチは健在、メンバーとのバランスも良く強烈なピアノ・トリオが聴けます。
一般的なピアノ・トリオにはない斬新さ、時折、フリー・キーを交えて変幻自在のピアノ・スタイルが最大の魅力です。
(1)のウエイン・ショーター(ts)の「NEFERTITI」と(3)のオリジナルが特に印象に残りましたが、その他も聴きどころが多いです。
こういうのを聴いてしまうとありきたりなピアノ・トリオでは物足りなくなるかもしれませんね。
ピアノ・トリオ、お薦めの一枚です。

(中間系)




(171) LARS MOLLER QUARTET / JAZZPAR CONCERTS 2003

lars moller(ts)
geri allen(p)  buster williams(b)  billy hart(ds)
2004/STUNT RECORDS/STUCD-04032(輸入盤)


デンマークの代表的なテナー・サックス奏者、ラーシュ・メラーのジャズパー・コンサート・2003のライブ盤です。
ラーシュは今年39歳、デイブ・リーブマン(sax)に師事したとのことですが、中々に個性的で強力なテナーを吹きます。
自在にサックスをコントロールする技量も素晴らしいです、「お見事」と言うほかありません。
共演者がまた尋常でない女性ピアニストのジェリ・アレンなのでかなり骨っぽい演奏内容になっています。
バスター・ウイリアムス(b)の調子は一息ですが、ビリー・ハート(ds)は両者の刺激を受けて相当気合が入っています。
ここでのビリー・ハートは本当に凄みがあります、私は強く印象に残りました。
全5曲はラーシュ・メラーとジェリ・アレンが2曲づつ演奏されていて、ライブの性格上10分強の演奏が4曲あります。
(3)のバラードも絶品、4人の実力者の緊張感溢れる真っ向勝負は聴き応えがあります。
強烈なインタープレイ、ここには軟弱なジャズのかけらは微塵もありません。
今年のベスト3候補の第一弾になりました、じっくりと腰を据えて聴き込んで欲しいアルバムです。

(まじめ系)




(170) DENNY ZEITLIN TRIO / SLICKROCK

denny zeitlin(p)  buster williams(b)  matt wilson(ds)
2004/MAXJAZZ/MXJ-209(輸入盤)


デニー・ザイトリン(p)の名前も私にとってはかなり懐かしい響きがあります。
医学博士の称号を持つ異色のジャズ・ピアニストですね。
ビル・エバンズ(p)派ですが多少ずれたところに位置していました。
私には一癖あるすんなりとはいかないプレイヤーとの印象が残っています。
60年代から活躍していますが、2、3年に一枚のリリースのようなので寡作の人と言えますね。
今作品は13曲中、オリジナルが6曲とスタンダードほか6曲の構成です。
(8)のウエイン・ショーター(ts)の曲を取り上げているのが目を引きました。
このアルバムでは比較的素直にストレートに表現してくれています。
それでも独特のクセ味が隠し味となってピリッと効いているので面白かったです。
だてに年を取ってはいません、さすがにスタンダードの解釈には味わい深いものがありました。
ひねりが効いていても、どことなく暖かくて明るいアメリカ的雰囲気を感じさせます。
この点、冷静なヨーロッパ系ピアニストとは一味も二味も違います。
日本盤でも共演したバスター・ウィリアムス(b)とは相性が良いようですね。
マット・ウィルソン(ds)の起用も成功していると思います。

(中間系)




(169) CHRISTIAN JACOB TRIO / STYNE & MINE

christian jacob(p)  trey henry(b)  ray brinker(ds)
tierney sutton(vo)*
2004/WILDERJAZZ/0401(輸入盤)


注目のクリスチャン・ヤコブ(p)に待望の新譜が出ました。
ヤコブを見出したのはメイナード・ファーガソン(tp)ですが、コンコード・レーベルの作品は良かったです。
上品でセンスの良いピアノに私は一発で参ってしまいました、それ以来時々引っ張り出しては聴いています。
今作は全13曲中、ジュール・スタインの手になるものが9曲、自身のオリジナルが4曲の構成です。
内2曲にはtierney sutton(vo)のヴォーカルを配して工夫をこらしています。
相変わらずのなめらかでやわらかいタッチには心を惹かれるものがあります。
つむぎ出すメロディ・ラインも美しいですよ。
プロデュースはヴィクター・ルイス(ds)でベニー・ゴルソン(ts)や前述のファーガソンもぞっこん惚れこんでいます。
ジャズ・プレイヤーの評価も高く、いずれ大ブレイクするピアニストになるのではないでしょうか。

(中間系)




(168) GIOVANNI MIRABASSI & ANDRZEJ JAGODZINSKI TRIO

giovanni mirabassi(p)
andrzej jagodzonski(acd)  adam cegielski(b)  czeslaw "maly" bartkowski(ds)
2004/SAWANO/DR-003


ジョバンニ・ミラバッシ(p)にアコーディオン・トリオ、この組み合わせに興味を持った人は多いのでないでしょうか。
事実、私もその一人です、どんなアルバムになっているのか、興味津々でしたよ。
二人のインター・プレイではバックが控え目なのでほとんどデュオという感覚で聴くことが出来ました。
アコーディオンの音色にはどこか懐かしい哀愁を感じますね。
その表現力にはさすがのピアノもかなわないと思いました。
それがピアノ・トリオの演奏になった途端にミラバッシのピアノが冴え渡るのです。
つまり、一枚で二度美味しい演奏が楽しめるということですね。
ベスト・トラックは解説書に書いてあった通りの(3)「EL PUEBLO UNIDO JAMAS SERA VENCIDO」です。
美しく感動的で素晴らしい出来、私はいつまでもこの雰囲気に浸っていたいと思いました。
きっとみなさんも何度も繰り返し聴きたくなるでしょうね。
異色の組み合わせに一票入れることにします。

(中間系)




(167) DAVID SANBORN / CLOSER

david sanborn(as)
larry goldings(elp,org)  gil goldstein(elp)(8)  mike mainieri(vib)
russell malone(g)  christian mcbride(b)  steve gadd(ds)
luis quintero(per)  lizz wright(vo)  bob sheppard(ts,ss)(8)
2004/VERVE/UCCV-1065


デビッド・サンボーン(as)のヴァーヴ移籍2枚目のアルバムです。
フュージョンも好きだった私はサンボーンやマイケル・ブレッカー(ts)は
リアルタイムで聴いてきたので特別の思い入れがあります。
やはりサンボーンにはこのようなコンテンポラリー路線の方が似合っていると思います。
さすがに若い頃のようなアタックの強さや切れはなくなってきましたが、
円熟した枯れた味わいを聴かせてくれるようになりました。
特にバラードの表現にそれを強く感じることが出来ます。
リズ・ライト(vo)をゲストに迎えた(3)では持ち味の泣きアルトを存分に聴かせてくれました。
サンボーンのボーカルのバッキングは昔から定評のあるところで本当に惚れ惚れします。
(4)、(6)、(10)はそれぞれが3分台の魅力が凝縮されたバラード。
それに絡むラッセル・マローンのギターが実に効果的です。
サンボーンの抜群のアルト・プレイが聴ける一枚だと思います。

(中間系)




(166) OLIVIER ANTUNES TRIO / INTRODUCING

olivier antunes(p)  mads vinding(b)  alex riel(ds)
2003/M&I MARSHMALLOW/MYCJ-30182


これもまた気になりながら買いそびれていた一枚です。
オリビエ・アントゥネス(p)を最初に聴いたのはデンマークのテナー奏者のイェスパー・ティロの作品です。
その時から印象的なピアニストだと思っていました。
この作品が記念すべき初リーダー・アルバムになったわけですが、
サイドのメンバーにも恵まれて聴きどころの多いトリオ・アルバムになっています。
いつものマシュマロ・レーベル同様に上品で安定感のあるピアノ・トリオが聴けます。

まだ30代になったばかりですが、米国でリッチー・バイラーク、マルグリュー・ミラー、マーク・コープランド、
ケニー・ワーナーの各ピアニストに師事したとあります、これを見るとかなり凝った人選ですね。
マッズ・ヴィンディング(b)にアレックス・リール(ds)の強力な布陣と互角に渡り合っているのは凄いと思います。
個性という点ではまだ少々線が細いかもしれませんがこれからの成長を期待したい逸材です。
(1)、(7)のドライブ感、(3)のスイング感などが聴きどころ、トリオのバランスもいいです。
それにしてもバックの二人は凄いです。
二人が繰り出すリズムと醸し出す雰囲気は抜群です、至福のひと時を過ごすことが出来ますよ。

(中間系)




(165) TRIOSCOPE / TRIOSCOPE

marko martinovic(p)  kristor brodsgaard(b)  janus templetion(ds)
chris cheek(ts)(1,2,3,4,6,7)
2004/COPE RECORDS/COPECD-098(輸入盤)


トリオスコープは初見ですがゲストのクリス・チーク(ts)に引かれて購入してみました。
全9曲はmarko martinovic(p)のオリジナルが7曲で、うちトリオ演奏が3曲の構成です。
次々と強力なプレイヤーが登場してくるのでヨーロッパ・ジャズの底力を感じます。
このデンマーク盤のトリオも聴き応えがありますよ、特にピアノとドラムスが印象に残りました。
クリス・チークは相変わらず好調を維持しています、ミディアムからスロー・テンポは絶妙の味わいです。
トリオ演奏ではビル・エヴァンス(p)の「NARDIS」が素晴らしい出来・・・私は参ってしまいました。
この1曲がドラ流〜入りの決め手になったのです。
本来は愛聴盤にしてもいいアルバムですが今週は良い作品が二枚重なりました。


(中間系)




(164) JOSE ALBERT MEDINA TRIO / FIRST PORTRAIT

jose albert medina(p)  francisco frieri(b)  juan pablo balcazar(ds)
2004/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT-190(輸入盤)


このJ・A・M・TRIOはホセ・アルベルト・メディナ(p)が中心のバランス感覚に優れたトリオです。
「FIRST PORTRAIT」の表題から、これがデビュー作と思われます。
全9曲、メンバーのオリジナルは4曲です。
まずは(8)のハービー・ハンコック(p)の名曲「MAIDEN VOYAGE」を聴いてみて下さい。
私は唸りましたよ、このトリオのほとばしる才能がうかがえる演奏です。
ヨーロッパ特有の静謐感とスペインの持つラテン的な情感を秘めていて、なんとも魅力的なサウンドを生み出しています。
ひと言で言えば聴かせるピアノ・トリオで、これにはぐっと引き込まれてしまう人も多いのではないでしょうか。

(まじめ系)




(163) THE NEW SOUND QUARTET / SUMMER KNOWS

joe locke(vib)  geoffrey keezer(p)
ed howard(b)  terreon gully(ds)
2004/EIGHTY-EIGHT'S/VRCL-18821


ザ・ニュー・サウンド・カルテットはジョーロック(vib)とジェフ・キーザー(p)が組んだ新しいユニットです。
この組み合わせではジョン・ルイス(p)とミルト・ジャクソン(vib)のモダン・ジャズ・カルテットが
あまりにも有名で、洗練された美しいサウンドとして定型化してしまった感があります。
ボビー・ハッチャーソン(vib)+ハービー・ハンコック(p)の名盤、「ハプニングス」もそうでした。
デュオではゲイリー・バートン(vib)とチック・コリア(p)の「クリスタル・サイレンス」が知られています。
だからでしょうね、最初は正直異質な感じがしましたよ、ドラムがかなりうるさいと感じました。
私の頭の中ではヴァイブ+ピアノのカルテットのイメージが固まっていたからです。
しかし何回か聴いているうちにこれがこのグループの良さだと気が付いたのです。
この作品でキーになっているのは間違いなくテリオン・ガリーのドラムスだと思います。
この太鼓をどう感じるかが評価の分かれ目になります。
煽るような強力なリズムが大人しくなりがちなサウンドに刺激を与えています。
上品で洗練されたサウンドに新しい息吹を吹き込んで、ロックもキーザーも活き活きとした演奏を繰り広げています。
迫力のあるジャズ・フィーリングとブルース感覚は新鮮な感動を与えてくれました。
録音もいいですが、この組み合わせでこんなに迫力のある演奏が聴けるとは思いませんでした。
ドラムスが強烈な(1)、(6)はお薦め、(8)の表題曲はイメージ通りの美しい演奏です。
(2)のデュオで演奏されるコラボレーションも素晴らしいです。
特にジャズ・メッセンジャーズの最後のピアニストとして知られるジェフ・キーザーが絶好調です。
(8)のプレイには痺れました。選曲もよく考えられていますね。

(中間系)




(162) BRANFORD MARSALIS QUARTET / ETERNAL

branford marsalis(sax)
joey calderazzo(p)  eric revis(b)  jeff "tain" watts(ds)
2004/MARSALIS MUSIC/11661-3309-2(輸入盤)


ご存知マルサリス兄弟の長兄ブランフォード・マルサリス(sax)のこの新作は良いですよ。
ブランフォードは80年代、ジャズ・メッセンジャーズでアルト・サックスからスタートしました。
その後テナーに持ち替え、ソプラノ・サックスもこなすマルチ・サックス奏者です。
その彼も早40代になり試行錯誤しながら表現力を増してきました。
色々なアルバムを聴いていても案外に平均点は高いプレイヤーだと思います。
同メンバーでの「FOOTSTEPS OF OUR FATHERS」(2002年)ではソニー・ロリンズの「自由組曲」、
ジョン・コルトレーンの「至上の愛」やジョン・ルイスの「コンコルド」などに挑戦して話題になりました。
それぞれのオリジナルが凄いだけにカバーには勇気がいったでしょうね。
それを消化して自分なりのジャズを創造したその意欲は買いたいです。
今作は一転してのバラード作品集ですがその表現力は中々に秀逸です。
満を持してのバラード演奏集は今までのイメージとは一新、完全に一皮むけたと思います。
レギュラー・カルテットとも言えるメンバーも好演、バランスも良く、しっくりと決まっています。
(1)「THE RUBY AND THE PEARL」のサンバのリズム、(7)の自作の表題曲は17分強の熱演です。
メンバーのバラードを1曲づつ取り上げているのも興味深く、聴きどころも多いです。
コンテンポラリーからシリアスなものまで十分にこなしますがこれからは純ジャズ路線を歩むかもしれませんね。

(中間系)




(161) ARI HOENIG QUARTET / THE PAINTER

ari hoenig(ds)
jean-michel pilc(p)  matt penman(b)  jacques schwarz-bart(ts)
2004/SMALLS RECORDS/SRCD-0004(輸入盤)


アリ・ホーニッヒ(ds)を最初に聴いたのは私の好きなケニー・ワーナー(p)・トリオのライブ盤でした。
ずいぶんと刺激的なリズムを繰り出すドラマーだと思いました。
その後ジャン−ミシェル・ピルク(p)・トリオの一員として登場した時、その凄さを再認識した次第です。
変化の激しい複合リズムをいとも簡単そうにやってのけます。
大きな将来性を感じさせる天才肌のドラマーだと思います。
メンバーはこれまた刺激的なジャン−ミシェル・ピルク(p)と売り出し中のベーシストのマット・ペンマン。
このトリオにjacques schwarz- bart(ts)が2−7に加わっています。
全8曲中、オリジナルが6曲でカルテットの演奏、残り2曲がトリオ編成です。
ドラマーを中心とした新感覚のジャズが聴けます。
テナーのシュワルツ・バートも好演、(4)の「CONDEMNATION」がベスト・トラックか。
4者一体のインタープレイが強烈です。

(まじめ系)




(160) MARC COPLAND TRIO / HAUNTED HEART & OTHER BALLADS

marc copland(p)  drew gress(b)  jochen rueckert(ds)
2002/HATOLOGY/581(輸入盤)


マーク・コープランド(p)はビル・エバンス〜キース・ジャレットのライン上にあります。
特に深く沈み込むようなリリシズムが持ち味です。
ジャズ・プレイヤーには楽器の持ち替えがよくありますが、まったく変えてしまうのは珍しいですね。
有名なところではギターからハーモニカのトゥーツ・シールマンスでしょうか。
このマーク・コープランドも元はプロのアルト・サックス奏者ですが、ピアニストに変身しました。
ホーン奏者のデュオ相手に選ばれることが多いのはそんな関係もあるかもしれません。
何か良いピアノ・トリオはないものかと探していたら、これがふと目に留まりました。
録音は2001年とちょっと前ですがスタンダードのバラードが中心、叙情感溢れる演奏で楽しめます。

(中間系)




(159) JESSICA WILLIAMS TRIO / LIVE AT YOSHI'S

jessica williams(p)  ray drummond(b)  victor lewis(ds)
2004/MAXJAZZ/MXJ-210(輸入盤)


私が初めてジェシカ・ウイリアムス(p)の名前を知ったのは90年代の最初でした。
コンコード・レーベルの名物ソロピアノ・シリーズの「ライブ・アット・メイベック・リサイタル・ホール」です。
彼女の90年代から最近までの活躍は目覚しいものがあります。
ルーツはセロニアス・モンク(p)でそれに独自の個性が加わって女性ジャズ・ピアニストとしては指折りの存在です。
最初はちょっととっつきにくい感じもするかもしれませんが、聴いていると段々に味が出てきます。
けれん味がなく自然体なのがいいですね、その女性らしい繊細でしなやかなタッチは魅力に溢れています。
抜群のテクニックに絶妙なスイング感とリズム感、さりげなく魅力的なフレーズが飛び出してきます。
ほんのりとした色気を感じるのは私だけではないでしょう。
「YOU SAY YOU CARE」、11分を越す長丁場の「ALONE TOGETHER」の演奏も素晴らしいですよ。
歌物の「I WANT TO TALK ABOUT YOU」やモンクの「MYSTERIOSO」も聴けます。

(中間系)




(158) JESPER BODILSEN TRIO / MI RITORNI IN MENTE

stefano bollani(p)  jesper bodilsen(b)  morten lund(ds)
2003/STUNT RECORDS/STUCD-03182(輸入盤)


デンマークのスタント・レーベルのサウンド作りは私と相性が良いので気に入っています。
オーソドックスなものとはちょっとだけ外れているのがその理由でしょうか。
さて、この若手トリオの作品もその期待に沿って聴き応えは十分です。
リーダーのイェスパー・ボディルセン(b)は34歳、デンマークの大物ベーシストの
ニールス−ヘニング・オルステッド・ペデルセン(b)とイェスパー・ルンゴー(b)に師事したとありました。
以前はエド・シグペン(ds)のグループにいたようです。
モーティン・ルンド(ds)は32歳、ヤン・ラングレン・トリオに参加しています。
こちらの先生はアレックス・リール(ds)だそうです。
イタリアのステファノ・ボラーニ(p)も32歳ですが、現在売り出し中の期待のピアニストですね。
すでに注目のピアニストとしてご存知の方も多いと思います。
この新鮮なトリオの演奏が醸し出すサウンドには興味深いものがありました。
彼らは若いけれども伝統的なジャズ奏法はもちろんのこと、アバンギャルドまで追求しています。
それらがミックスされて聴く者に新しい感動を与えてくれるのです。
特に良く知られたスタンダード・ナンバーのアプローチにそれが顕著に現れています。
それぞれのコンビネーションも抜群で刺激的、まるで水を得た魚ですね。
現状ではステファノ・ボラーニのベスト・アルバムだと思います。

(中間系)




(157) PHAROAH SANDERS QUARTET / THE CREATOR HAS A MASTER PLAN

pharoah sanders(ts)
william henderson(p)  ira coleman(b)  joe farnsworth(ds)
2003/VENUS RECORDS/TKCV-35321


気になっていながら買いそびれているアルバムがよくあります、これもそんな中の一枚でした。
ファラオ・サンダース(ts)のジョン・コルトレーン(ts)のトリビュート・アルバムです。
この企画はコルトレーンから直接薫陶を受けたファラオなら当然の成り行きだと思います。
私にはコルトレーンの東京公演でのコルトレーンはもちろん、若き日のファラオにも強烈な印象が残っています。
コルトレーン亡き後、ファラオはコルトレーンの影を引きずって辛い日々を送っていたのかも知れません。
”コルトレーンの後継者”を吹っ切れるにはかなりの時間を要したでしょうね。
一般的にフリー経験者の音色には迫力があります、ここでのファラオにもそれを十分に感じることが出来ます。
野太くパワフルでスケールの大きなテナー・サックスは圧倒的な存在感で聴く人の耳に響いてきます。
それは歌物の1曲目から始まって表題曲の「THE CREATOR HAS A MASTER PLAN」で最高潮に達します。
続く「WELCOME」も圧巻、そして潮が引くようにして「IT'S EASY TO REMEMBER」のバラードで閉じていきます。
曲目のバランスや構成も良く出来ていると思いました。
アーチー・シェップ(ts)にファラオ・サンダース、この種の企画ではサム・リバース(ts)が是非聴きたいです。

(中間系)




(156) HARRI IHANUS QUARTET / EYE OPENER

harri ihanus(g)
jerry bergonzi(ts)  filip augustson(b)  jukkis uotila(ds)
2004/SPICE OF LIFE/SOLIG-0014


ハリー・イハヌスはスウェーデン出身の40歳のギタリスト、私は初めて聴きました。
ギターのアルバムは久し振り、ここにジェリー・バーゴンジ(ts)が参加していなかったら買わなかったです。
これはイハヌスの初リーダーアルバムだそうで全9曲は全て彼のオリジナルで占められています。
スタイルとしてはジム・ホール(g)とジョン・アバークロンビー(g)を思い浮かべてくれれば分かり易いかもしれません。
ガンガン弾くというよりじっくりとメロディを聴かせるタイプのプレイヤーです。
ジェリー・バーゴンジは無骨で豪快、ゴリゴリ奏法ですが、実は表現力も豊かなプレイヤーで魅力があります。
独特の感性を持ち、なんか心に残るユニークなサックス奏者なので私はいつも注目しています。
最大の聴きどころはギターの柔とサックスの剛の組み合わせ、(3)、(4)のバラードなどお薦めです。
ギター・トリオがバックのサックスのワン・ホーン・アルバムとしては一級品です。
メンバーのバランスも良く、秋に向かってじっくりとジャズを聴くには最適の作品だと思います。

(中間系)




(155) ALBERT SANZ QUARTET / LOS GUYS

albert sanz(p)
chris cheek(ts,ss)  larry grenadier(b)  jeff ballard(ds)
2004/FRESH SOUND NEW TALENT/FSNT-191
(輸入盤)

スペインの「FRESH SOUND NEW TALENT」盤は新人の登竜門として無視出来ないレーベルになっています。
このようなそのものズバリの狙いを持つレーベルは長続きしてほしいと思います。
アルバート・サンズはスペインの注目のピアニスト、クリス・チークは新感覚のサックス奏者で私は好きです。
この二人がニューヨークに乗り込んでラリー・グレナディアー(b)とジェフ・バラード(ds)と共演。
それだけでも刺激的ではありませんか、私は興味津々でCDをトレイに乗せましたよ。
浮揚感のあるクールなサウンドにアメリカの二人の抜群のスイング感がマッチして見事な仕上がりです。
一発勝負のスリル満点、時代の最先端を行くサウンドが聴ける、貴重なライブ盤だと思います。
演目は全てサンズのオリジナルですが内容が良いので飽きさせません。
5曲目が二部構成になっているのはアンコールでしょうか、全体で25分ほどの演奏になっています。
前半は11分、後半の曲名はありませんが、これが13分強の熱演で素晴らしいです。
プロデュースはサンズ自身なので、あまりの出来の良さに追加したのかもしれませんね。

(中間系)




(154) THIERRY LANG & FRIENDS / REFLECTIONS V

thierry lang(p)  heiri kanzig(b)  peter schmidlin(ds)
didier lockwood(vln)(2,4)  olivier ker ourio(hca)(3,8)  george robert(as)(1,7)
2004/VIDEOARTS MUSIC/VACD-1008


ティエリー・ラング(p)のオリジナル・リフレクションズ・シリーズの三作目、これが最終章になります。
一作目がトリオ、二作目がクインテット、三作目はトリオに3人のゲストを迎えています。
フランスからバイオリンのディディエ・ロックウッドとハーモニカのオリヴィエ・ケル・オウリオ、
スイス出身のアルト・サックス奏者のジョージ・ロバートという顔ぶれです。
各人が2曲づつに参加、この中ではジョージ・ロバートが一般的に知られているでしょうか。
組み合わせが変化するので色々と楽しめて飽きさせませんが、反面、一貫性に欠けるところもあります。
この3部作はそれぞれ標準以上の出来でしたが、やっぱりトリオが一番しっくりきました。
しかし、考えようによってはあとの2枚も面白いと思います。
特にこのアルバムでは3人の名手の演奏も同時に聴けるわけで、初めての人にはお徳用になります。
ティエリー・ラングのトリオならこれからいくらでも聴けると思うからです。
ところで、私にはいくら目先を変えてもこういった企画物は買いずらい面があります。
1、2作目はなんとか買えても3枚目を買うのは精神的にかなりつらいです。
まったく別の作品になってしまえばそんなこともないと思うので、これはどういうわけなんでしょうか。

(中間系)




(153) DON FRIEDMAN TRIO / TIMELESS

don friedman(p)  john patitucci(b)  omar hakim(ds)
2004/VILLAGE RECORDS/VRCL-18817


まずはこのドン・フリードマン(p)の新作はメンバーの意外性に驚かされました。
ビル・エヴァンス系の知性派ピアニストに、共にフュージョン系出身のリズム・セクションとは・・・。
ジョン・パティトゥッチ(b)の場合は達者な両刀使いなので分からないではありませんが、
ドラマーにオマー・ハキムを起用したのにはびっくりしました。
しかし、これが見事に成功しています。
この新鮮な組み合わせを考えた制作プロデューサーに拍手を送りたいです。
ドン・フリードマンといえば名作「サークル・ワルツ」をつい思い浮かべてしまいます。
ジャズ・ファンの間には良くも悪くもこの一枚の印象が強く残っているのではないでしょうか。
フリードマンはこのところコンスタントにリリースしていて精力的に活動しています。
実力的にはもっと評価されていいピアニストでしょうね。
今作品はハキムの叩き出すリズムに触発されてフリードマンも新しい創造力を発揮しています。
特に1曲目の「ALONE TOGETHER」の出来は素晴らしいです。
意表をついてアップ・テンポで始まるこの1曲はこのトリオの特徴を凝縮させていると思います。
年齢を感じさせない生き生きとした瑞々しいピアノを聴くことが出来ました。


(中間系)




(152) KAREL BOEHLEE TRIO / DEAR OLD STOCKHOLM

karel boehlee(p)  hein van degeyn(b)  hans van oosterhout(ds)
2004/M&I/MYCJ-30275


元ヨーロピアン・ジャズ・トリオの初代ピアニスト、カレル・ボエリーの新譜です。
なぜ退団したのか定かではありませんが、もう少しシリアスなものを演奏したかったのかもしれませんね。
甘さを残しながらも表現力を深める、彼が狙ったピアノ・トリオの一つの形がここにあります。
ヨーロピアン・ジャズ・トリオとは一味違っていて、これもまた居心地がとてもいいんです。
ちょうど良い按配というか、心地良く耳に馴染んできて、上品な癒し系ピアノ・トリオの作品に仕上がっています。
オリジナルとスタンダードのバランスも良く、案外と掘り出し物の一枚になりました。

(くつろぎ系)




(151) MULGREW MILLER TRIO / LIVE AT YOSHI'S

mulgrew miller(p)  derrick hodge(b)  karriem riggins(ds)
2004/MAXJAZZ/MXJ-208(輸入盤)


私は、マルグリュー・ミラー(p)はデビュー当時から知っています。
マッコイ・タイナー系のピアニストとしては最右翼のプレイヤーですね。
「ジャズ・メッセンジャーズ」と「トニー・ウィリアムス・クインテット」に長らく在籍していました。
今アルバムはトリオでのライブ盤、ヨーロッパの叙情的なピアノに慣れている耳には新鮮に聞こえます。
ミラーのサイドマンとしての実力は定評のあるところです。
しかし、リーダーとしては今ひとつ物足りないと思うのは私だけでしょうか。
もちろん悪くはありませんよ、悪くはないが、これはというものを出しきっていないような気がするのです。
性格的に地味なんでしょうね、そろそろガツンと一発突き抜けて欲しいです。
ここではバックに若手の二人を起用したのが成功しています。
共演者がなまじ有名人だと自分が引っ込んでしまう傾向にあるからです。

(中間系)




(150) ROBERT GLASPER TRIO / MOOD

robert glasper(p)  bob hurst(b)  damion reed(ds)
bilal(vo)  mike moreno(g)  john ellis(ts)
2003/FRESH SOUND/FSNT-153(輸入盤)


ロバート・グラスパーはある人に紹介されて購入しました。
ブラッド・メルドー(p)に続く次世代を担う逸材だという触れ込みでした。
聴いてみますとたしかにスケールの大きさ、大物感を漂わせていると思います。
音楽性も幅広く、ヴォーカル入りの(1)と(5)にはフュージョン・テイストを感じさせ、
テナー入りの(4)、(9)はコルトレーン・サウンドそのものです。
トリオ演奏は5曲ですがテクニックは抜群、ユニークな音使いと力強く切れの良いタッチは素晴らしいです。
この作品については一貫性がない作りなので好みが別れるかもしれませんね。
トリオだけなら文句なしの好盤でしょう。
もうすでに日本公演も行っているようです、まったく日本のピアノ・ファンは目ざとくて感心します。

(中間系)




(149) NONCEF GENOUD TRIO / TIME IN CAROUGE

moncef genoud(p)  larry grenadier(b)  bill stewart(ds)
2004/P.J.L/MTCJ-5006


スイスにはティエリー・ラング(p)がいますが、このモンセフ・ジュヌも注目のピアニストです。
私が初めて聴いたのは99年の「THE MEETING」で、これはボブ・バーグ(ts)との共演盤。
ボブ・バーグは惜しくも交通事故で亡くなりましたが、この時のピアノに私は一発で痺れてしまいました。
ジャズは独学で身に付けたようですね、それでちょっと異質な感性を持っているのかもしれません。
師匠は主にヨーロッパで活躍中のハロルド・ダンコ(p)とありました。
ややスムースさには欠けますが、音楽学校出身者とは一線を画す音使いもユニークで面白いです。
切れのあるタッチ、独特の間合い、個性的なスタイルを持つ期待のピアニストと言ってもいいでしょうね。
バックも今が旬のラリー・グレナディア(b)とビル・スチュワート(ds)なら万全の組み合わせです。
全9曲中オリジナルが6曲、セロニアス・モンク(p)とジョン・コルトレーン(ts)が1曲づつ取り上げられています。
しかし、名前の読み方というのは本当にむずかしいものですね、私はモンセフ・ジェノウドと発音していました。

(中間系)




(148) CHRIS POTTER QUARTET / LIFT

chris potter(ts)
kevin hays(p,fenr)  scott colley(b)  bill stewart(ds)
2004/UNIVERSAL/0602498177884
(輸入盤)

たまには骨っぽいジャズも聴きたいということで選んだのがこれです。
クリス・ポッター(ts)のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤です。
90年代の前半、モンク・コンペのテナー部門において、1位ジョシュア・レッドマン、2位エリック・アレキサンダー、
3位がこのクリス・ポッターで三人三様に大活躍していますから、この年のレベルは凄かったですね。
ポッターはちょっとねじれていますが、単純でない分、聴けば聴くほど味が出てくると思います。
全7曲中、10分超の演奏が4曲、エキサイティングで白熱したライブが繰り広げられています。
ケヴィン・ヘイズ(p)、スコット・コーリー(b)、ビル・ステュアート(ds)の3人も好バランスで素晴らしいです。
ビル・ステュアートのドラミングは出色、ケヴィン・ヘイズのフェンダー・ローズも効果的で良いピアノが聴けます。
ヘイズについては、今までは正直物足りなかったのですが、私はこれで見直しました。
ポッターはコルトレーンとロリンズのミックス・タイプでやや難解ですが、硬派のジャズ・ファンにはお薦めします。

(まじめ系)




(147) YOKO MIWA TRIO / FADELESS FLOWER

yoko miwa(p)  greg loughman(b)  scott goulding(ds)
2003/POLYSTAR/MTCJ-3009


アメリカのボストンを中心に活躍している三輪洋子さんの2枚目のリーダー・アルバムです。
デビュー作の「イン・ザ・ミスト・オブ・タイム」もちょうど聴く機会がありまして「ドラ流・・・」にしました。
これは全曲彼女のオリジナルで占められ意欲的なトリオ作品になっています。
ワルツ、ブルース、バラードなど、彼女の音楽性を推し量る上では絶好のアルバムになりました。
最近の女性ピアニストは男顔負けの力強いタッチを持っている人が多いですね。
しかし、彼女の最大の魅力は背伸びをしない自然体にあると思います。
女性的でやわらかく、流麗かつ繊細なタッチの持ち主がかえって新鮮な感じさえします。
バークリー音楽院を卒業後、スタッフの一員として学生の指導に当たったキャリアを持ち、
現在は大物ジャズ・ヴォーカリストのケヴィン・マホガニーのピアニストとしても活躍しているそうです。
今年末には3枚目のアルバムも出るとの情報もあります。

(中間系)




(146) ALAN PASQUA TRIO / BODY & SOUL

alan pasqua(p)  darek oles(b)  peter erskine(ds)
2004/VIDEOARTS/VACM-1242


どちらかと言うとフュージョン・シーンでの印象が強いアラン・パスクァ(p)の初のピアノ・トリオのリーダー作です。
ジャッキー・バイヤード(p)やサド・ジョーンズ(tp)に師事、さらにジョージ・ラッセル(arr)の薫陶を受けたとあります。
これだけでも単純ではありませんね、多才で面白い個性を持ったピアニストだと思います。
最近ではピーター・アースキン(ds)の「LIVE AT ROCCO」や「BADLANDS」で好プレイを披露していました。
当然ながらピーター・アースキンとは気心も知れていて相性は抜群、トリオとしてのバランスもいいですよ。
ビル・エバンス〜キース・ジャレット系のピアニストでリリカルで透明感のあるプレイが持ち味です。
しかし、ウエスト・コーストの影響でしょうか、リリカルでもそこはかとなく暖かさや明るさを感じさせます。
私などもいいなあーと思って注目していたところです。
まさにグット・タイミングでニュー・アルバムが登場しました、アコースティック・ピアノ・トリオのお薦めの一枚です。

(中間系)




(145) RODNEY WHITAKER QUARTET / WINTER MOON

rodney whitaker(b)
eric reed(p)  ron blake(ts,ss)  carl allen(ds)
2004/SIROCCO/SJL-1026
(輸入盤)

注目のピアニスト・シリーズの第4弾はエリック・リードです。
エリック・リードはマッコイ・タイナー(p)とビル・エヴァンス(p)のミックスタイプ、ジョン・ルイス(p)も好きなようです。
但し、ここのリーダーはベーシストのロドニー・ウィテカーです、ジャケットもすっきりと綺麗で印象に残りました。
全9曲は全てウィテカーのオリジナルで占められ、ジミー・ギャリソン(b)やジョン・ルイス(p)に捧げた曲もあります。
ウィテカーは良い曲を書きますね、テーマがとても魅力的です、私は感心してしまいました。
(4)のオリエンタルなムード、(1)、(5)の親しみ易いメロディ、(2)、(7)のバラードなど聴きどころがいっぱいです。
一聴してとてもバランスの取れた組み合わせだと思いました、演奏内容もそれぞれが素晴らしいですよ。
ロン・ブレイクとエリック・リードは絶好調、ウィテカー&カール・アレンのリズム・セクションも万全です。
仕上がりは最上級、久し振りに好センスでハイクオリティなジャズ・アルバムに巡り会えた気がします。
ここでのエリック・リードは本当にいいですよ、文句なしに今年のベスト3の候補の一枚です。

(中間系)




(144) JACKY TERRASSON TRIO / SMILE

jacky terrasson(p)  sean smith(b)  erik harland(ds)
remi vignolo(eb)(2,4,5)
2002/BLUE NOTE/7243 5 42413 2 1
(輸入盤)

注目のピアニスト・シリーズみたいな展開になってきました、今回はジャッキー・テラソンです。
ジャッキー・テラソンが一般的に知られるようになったのはフランス・ジャズ界の大御所、
バルネ・ウィラン(ts)の作品で共演してからだと思います。
その後はアメリカに舞台を移し、カサンドラ・ウィルソン(vo)とのコラボレーションでも注目を集めました。
今作品はフランス・ブルー・ノート・レーベルからの一枚、オリジナルは2曲、選曲も魅力的ですね。
(AUTUMN LEAVES)、(MY FUNNY VALENTINE)などの良く知られたスタンダード・ナンバーの
アプローチに非凡な才能を見て取れます。

(中間系)




(143) JOS VAN BEEST TRIO / SWINGIN' SOFTLY

jos van beest(p)  evert j. woud(b)  rolf breemer(ds)
2004/ATELIER SAWANO/AS-036


澤野工房が紹介した人気ピアニスト、ヨス・ヴァン・ビーストの新録音の新譜です。
前作のトリオ盤、「EVERYTHING FOR YOU」は良かったですね、私のお気に入りでしたよ。
今作はそれよりもやや硬質の仕上がりになっていると思います。
それでも美しいメロディ・ラインと上品なタッチは際立っています。
演奏といい選曲といい、安心してお勧め出来るピアノ・トリオ・アルバムです。

(中間系)




(142) THIERRY LANG QUINTET / REFLECTIONS U

thierry lang(p)   heiri kanzig(b)  peter schmidlin(ds)
paolo fresu(tp,fhn)   andy scherrer(ts)
2004/I.D RECORDS/VACD-1007


私が注目しているピアニストの一人、スイスのナンバー・ワンのティエリー・ラングの新譜です。
「reflections」三部作の1枚目はトリオ盤でしたが、2枚目はクインテット編成になりました。
このアルバムは全曲オリジナルで占められ意欲的な作品になっています。
クールで緊張感のある演奏内容、フロント2管はマイルス・デイビス・クインテットを彷彿とさせる部分もあります。
繊細で落ち着いた仕上がりなので疲れることもなく、耳に馴染んで聴いていて心地良いです。


(中間系)




(141) BRAD MEHLDAU TRIO / ANYTHING GOES

brad mehldau(p)  larry grenadier(b)  jorge rossy(ds)
2004/WARNER BROS/9362-48608-2
(輸入盤)

注目のピアニスト、ブラッド・メルドーの新譜です。
さすがにこの人はユニークでスタンダード作品集といっても一味違う演奏を聴かせてくれました。
独自の感性、独自の世界を持っています。
実力は認めてもちょっと暗くてとっつきにくいというのが一般的な評価でしょうか。
それで好みが分かれると思いますが、時代の先端を行くピアニストとしては外せません。
ビル・エバンス〜キース・ジャレット〜(ミシェル・ペトルチアーニ)〜ブラッド・メルドーと続く系譜があると思います。
余談になりますが、みなさんは中堅ピアニストとしてはどんなプレイヤーをチェックしていますか。
私の場合、アメリカ系ではブラッド・メルドー、ジャッキー・テラソン、ベニー・グリーン、上昇中のエリック・リード、
ヨーロッパ系ならヤン・ラングレン、ティエリー・ラング、ゾルト・カルトネッカーというところになります。

(まじめ系)




(140) JOE SAMPLE / THE PECAN TREE

joe sample(p)  jay anderson(b)  larry aberman(ds)
dean parks(g)  lenny castro(per)  peter wolf(synth)
lizz wright(vo)(3,5)  howard hewett(vo)(7,9)  etc
2002/VERVE/314 589 508-2
(輸入盤)

「今週のジャケット」にクルセイダースを取り上げたことから近作が気になりました。
ジョー・サンプル(p)のこの作品は知っていたのですが、なぜかその時は手が伸びませんでした。
今回改めて入手して聴いてみたところ、これがまあー、大当たりで良かったです。
昔ながらのジョー・サンプルやクルセイダースのサウンドのエッセンスがいっぱい詰まっていました。
2曲を除いてサンプルのオリジナル、美しいメロディとピアノが聴けます。
二人のヴォーカリストもサンプルのお眼鏡に適っただけにいい雰囲気を出しています。
いいなあー、この懐かしいフュージョン・サウンドは、実に心地良いです。
一枚を通して飽きずに聴けるアルバムです、フュージョン・ファンなら是非聴いてみて下さい。

(くつろぎ系)




(139) MOUTIN REUNION QUARTET / RED MOON

francois moutin(b)  louis moutin(ds)  baptiste trotignon(p)
rick margitza(sax)
2003/NOCTURNE/NTCD-337
(輸入盤)

「最近購入したアルバム」の(1)で紹介しているジャン-ミシェル・ピルク・トリオのベーシストの作品です。
フランコ・モウティンと読むのでしょうか、ドラムスのルイスとは双子の兄弟だそうです。
そんなわけでリズムのコンビネーションは抜群、息の合ったプレイを聴かせてくれました。
ピアノのbaptiste trotignonも最近注目されているプレイヤーの一人ですね。
このところ絶好調のリック・マルギッツア(as、ss)との組み合わせでクールで聴き応えのある作品に仕上がっています。
初めはとっつきにくいかもしれませんが、聞き込むほどに味が出てくると思います。
今の私には少々疲れるけれど、ワン・ホーン・アルバムとしては一級品です。
なお正式なジャケットは横向き、月が右上になります。

(まじめ系)




(138) EUGENE MASLOV TRIO / THE FUSE IS LIT

eugene maslov(p)  boris kozlov(b)  vinnie colaiuta(ds)
joe labarbera(ds)  hubert laws(fl)  pete christlieb(ts)
2002/MACK AVENUE RECORDS/MAC-1006(輸入盤)


私が密かに愛聴しているピアニストにロシア出身のユージン・マスロフがいます。
その他にはクリスチャン・ヤコブ(p)やアラン・ブロードベント(p)などがそうです。
ジャズ・ファンにはそんなプレイヤーが何人かいるのではないでしょうか。
あまり知られていないお気に入りのプレイヤーを探すのはジャズ・ファンの一つの楽しみでもあります。
私にとっては、あまり刺激的でもそうでなくてもダメなんですね。
比較的オーソドックスでおだやかな感じのピアノ・トリオが好きです。
ちょうど良い按配というか、長く愛聴するには自分の好みや相性が大切だと思っています。
このアルバムにはスペシャル・ゲストとしてヒューバート・ロウズ(fl)が3曲に参加していますが、
プロデューサーが元クルセイダースのドラマーのスティックス・フーパーなのでその影響でしょうね。
フュージョン・テイストとリアル・ジャズの両方が楽しめるお買い得盤になっています。
特に彼はジョー・ラバーベラ(ds)との相性が良くて(3、6、7)のトリオものがいいです。

(中間系)




(137) MICHAEL BUBLE / MICHAEL BUBLE

michael buble(vo)

2003/LEPRISE/WPCR-11764


今話題の大型ヴォーカリスト、カナダ出身のマイケル・ブーブレの作品を聴いてみました。
甘いマスクとソフトな歌声、ポップな感覚、歌も上手い、とくれば人気になるのも当然だと思います。
「COME FLY WITH ME」はシナトラ張り、私は(7)や(5)のコンテンポラリーものにも魅力を感じました。
比較の対象になるであろうハリー・コテック・Jrよりは幅広く、スケールは上とみましたがどうでしょうか。
最近、男性ヴォーカルではジョン・ピザレリを卒業してマーク・マーフィの流れを汲むカート・エリングをよく聴いています。


(くつろぎ系)




(136) RYUICHIRO TONOZUKA QUARTET / RUSH TONE

ryuichiro tonozuka(fhn)  mitsuhiro itagaki(p)  
shinji nakamura(org,p)  keisuke torigoe(b)  mitsutaka uyama(ds)
2003/OMAGATOKI/OMCZ-1015


マダム・Yさんがイチ押しの土濃塚隆一郎(fhn)を入手しました。
私はフームと唸ってしまいましたよ、この人はいいです。
ストリート・ミュージシャン出身だそうですが、野性味と勢いに溢れています。
荒削りながらそのパワフルな奏法には魅力が一杯、聴く人の耳に迫ってきます。
作曲能力にも優れていますね、良い曲を書いています。「KUMI」は私のお気に入りです。
圧倒的なパンチ力と存在感、久々にスケールの大きさを感じさせるプレイヤーに出会いました。

(中間系)




(135) JEAN-MICHEL PILC TRIO / WELCOME HOME

jean-michel pilc(p)   francois moutin(b)  ari hoenig(ds)

2002/DREYFUS/FDM 36630-2(輸入盤)


フランスのジャン-ミシェル・ピルク・トリオ、3人の才気がほとばしる刺激的なトリオだと思いました。
まずはマイルス・デイビス(tp)の「ソー・ホワット」の意表をつく展開に驚かされます。
時々ピョーンと飛んでいる音使いをしますし、ベースがププププと絡むのも面白いです。
ドラムスも強力、3人共にフリーの経験を踏んできたのではないでしょうか。
3人がジャズの巨人達の作品をどう料理しているのか、是非聴いてほしいですね。
力量は十分、演奏も熱い、なかなかに個性的で奥が深い魅力あるトリオだと思います。
万人向けではありませんが、これにはハマってしまう人もいるのではないでしょうか。
私が愛聴盤にしなかったのは、愛聴するにはちょっと疲れるからです。(苦笑)


(まじめ系)




(134) HIROMI UEHARA TRIO / ANOTHER MIND

hiromi uehara(p)   mitch cohn(b)  dave dicenso(ds)
anthony jackson(b)   jim odgren(as)  dave fiuczynski(g)
2003/TELARC/CD-83558


今、話題の上原ひろみのデビュー・アルバムを買ってみました。
いきなりのテラーク・レーベルから全米デビューとはシンデレラ・ガールそのものですね。
全9曲は全て彼女のオリジナルで占められ、意欲的かつ挑戦的なのも好感が持てます。
まずはその強烈なタッチと個性的なサウンドに刺激を受けました。
コンテンポラリーなサウンドを始めとして多様性のある色々な表情をみせてくれました。
尊敬するピアニストが持ち味の異なるオスカー・ピーターソンとアーマッド・ジャマルというのも面白いです。
特にジャマルはプロデューサーの一人としてコメントも書いています、相当入れ込んでいるようですよ。
たしかに未だ成長途上ですが期待は大、豊かな可能性を秘めていると思います。
鳴り物入りでデビューした新人も2枚目も買おうと思うのは少ないですが、
彼女はこれからもしばらくは追いかけてみたい数少ないプレイヤーです。

(中間系)




(133) CHARLES McPHERSON QUARTET / COME PLAY WITH ME

charles mcpherson(as)
mulgrew miller(p)   santi debriano(b)  lewis nash(ds)
1995/ARABESQUE/AJ-0117
(輸入盤)

チャールス・マクファーソン(as)の1995年の作品です、珍しく旧譜の紹介になりました。
オリジナルが6曲にその他が3曲の構成です。
マクファーソンはチャーリー・ミンガス(b)・ファミリーの出身者ですが、
ミンガス出身者としては比較的穏やかな演奏スタイルを持っています。
チャーリー・パーカー(as)系のアルト奏者で私は以前から好きなプレイヤーでした。
もちろん単純ではありません、若い時から活躍しているので激動のジャズの世界を潜り抜けてきています。
最近、なんとなく気になりまして1980〜1990代を何枚か購入して聴いてみました。
この頃にも良い作品がありますね、1988年のデイブ・パイク(vib)との共演盤も良かったです。
しかし、これが近年?ではベストのアルバムかな。
特に2曲目のオリジナル、「LONELY LITTLE CHIMES」は美しかったです。
地味でも堅実なメンバーに恵まれてマクファーソン節を堪能出来る一枚です。

(中間系)



(132) PERICO SAMBEAT QUINTET / FRIENDSHIP

perico sambeat(as.ss)
brad mehldau(p)   kurt rosenwinkel(g)(1,3,5)
ben street(b)   jeff ballard(ds)  carmen canela(vo)(9)
2003/ACT/9421-2
(輸入盤)

スペイン出身の鬼才、期待のペリコ・サンビート(sax)の新譜は文句なしに良いです。
全10曲、1曲を除いて全て彼のオリジナルで占められており意欲が十分に感じられる作品です。
バックのメンバーにも恵まれたこのワン・ホーン・アルバムは彼の最高傑作になる可能性があります。
実はこのCDを見た時にピンとくるものがありました。
ブラッド・メルドー(p)、カート・ローゼンウィンケル(g)、ジェフ・バラード(ds)と揃えば悪かろうはずがありません。
メルドー、ローゼンウィンケルとは2度目の共演ということになりますか。
やっぱりメルドーもいいですね、1曲目から期待通りの展開になりました。
9曲目にはしっとり系のボサノバのヴォーカル、10曲目は短めのバラードが配置され構成も見事です。
今年聴いた中ではベストの作品、現時点でのベスト3入りは確実でしょう。

(まじめ系)




(131) JAMES CARTER / GARDENIAS FOR LADY DAY

james carter(sax,cla)
john hicks(p)   peter washington(b)  victor lewis(ds)
miche braden(vo) etc
2003/SONY/CH-89032


アメリカ期待のサックス奏者の一人、ジェームス・カーターのビリー・ホリディ(vo)追悼盤です。
メジャーのコロンビアに移籍第一弾になります、彼は日本のDIW盤でも注目されていました。
この人もユニークな演奏スタイルの持ち主でなかなかに一筋縄ではいかないプレイヤーです。
どんな感じと言い表せないんですね、色々な表情を持っています。
野太い音色、ブローにバラード、どちらもいけます。
ここでもストリングスをバックに懐かしいサウンドを聴かせていますが、所々で尖がった表現もしています。
2曲にヴォーカルが入り、「温故知新」、私はかなり面白いアルバムだと思いました。
ホリディの有名曲「奇妙な果実」の解釈、咆哮は新鮮。

(中間系)




(130) RICARDO BELDA TRIO / MY IDEAL

ricardo belda(p)   lluis llario(b)  felipe cucciardi(ds)
2003/OMIX RECORDS/OMIX 03009(輸入盤)


スペインのリカルド・ベルダ・トリオのスタンダード作品集です。
40代の油が乗ったプレイヤー、この人も初めて聴きましたが中々良いですよ。
実際スタンダードを聴かせるのはむずかしいのですが、強靭なタッチと斬新なアプローチで迫ってきます。
私は1曲目の「ウィスパーノット」の導入部分を聴いてグッと引き込まれてしまいました。
非凡な感性を持つピアニストだと思います。
思うにこのところ連続してピアノ・トリオの好盤を入手していますね。

(中間系)




(129) JOHN HARRISON TRIO / ROMAN SUN

john harrison V(p)   peter kontrimas(b)  alan hall(ds)
2001/WAILING CITY SOUND/WCS 008(輸入盤)


2001年の発売時に惜しくも買い逃したジョン・ハリソン・トリオを入手しました。
印象的なジャケットと共に当時評判になったのを覚えています。
オリジナルは表題曲の「ROMAN SUN」のみです。
彼は洗練されたスタイルの持ち主で、私はふとエディ・ヒギンス(p)を思い浮かべてしまいました。
トリオのバランスも良くスイング感溢れる演奏は心地良く耳に響いてきます。
安心してお勧め出来るピアノ・トリオの佳作です。

(中間系)




(128) THIERRY LANG TRIO / REFLECTIONS T

thierry lang(p)   heiri kanzig(b)  peter schmidlin(ds)
2003/I.D. RECORDS/VACD-1005


スイス出身のティエリー・ラング(p)の新譜です。
人気実力共にヨーロッパの若手ジャズ・ピアニストしては、先週のヤン・ラングレンと並び双璧だと思っています。
この二人には豊かな将来性と可能性を感じますね、いずれも注目せざるを得ないプレイヤーです。
ラングレンが温暖ならラングは冷静でしょうか、良きライバル関係になればと思います。
全8曲は彼のオリジナルですが、収録時間の45分はちょっと短い気がしました。
なお「Reflections」は3部作まで予定されているようです。

(中間系)




(127) JAN LUNDGREN TRIO / LANDSCAPES

jan lundgren(p)   mattias svensson(b)  morten lund(ds)
2003/SITTEL RECORDS/SITCD 9297(輸入盤)


ヤン・ラングレン(p)の新譜はスウェーデンのトラッドを中心に、オリジナル2曲を含む全12曲の構成です。
ラングレンの代表作に「スウェデニッシュ・スタンダーズ」という傑作がありますが、その延長線上にある一枚です。
最近の彼のアルバムにはやわらかい仕上がりのものが多く、イマイチと思っている人もいることでしょう。
そんな中でこれは比較的硬質な作品で甘さは控え目、彼の実力が十分に発揮されています。
それだけにより多くのジャズ・ファンに受け入れられると思っています。

(中間系)




(126) JOHN TROPEA / STANDARD INFLUENCE

john tropea(g)   anthony jackson(b)  steve gadd(ds)
chris palmero(org,key)   lou marini(ts)  nicki parrott(b)
2003/VIDEOARTS/VAGM-1002


ジョン・トロペイは、1970年代のフュージョン界では注目されていたギタリストの一人です。
懐かしい名前を見つけたのと、そんな彼がスタンダードを演奏するというので即購入を決めました。
やわらかなタッチとファンキー・ムード満点、聴いた途端にこれはかっこいいと思いましたよ。
それもそのはず、リズム・セクションにアンソニー・ジャクソン(b)とスティーヴ・ガッド(ds)なら文句なしの組み合わせです。
あとのメンバーは若手ですが、あまりでしゃばらずに控え目なのがいいです。
ウェス・モンゴメリー(g)の曲が2曲ありますが、「FULL HOUSE」は楽しめました。
ある年齢を経ないと出ない味というものがあります、彼はいい年の取り方をしているという感じですね。
肩の凝らない好盤、フュージョン系のファンにはお薦めします。

(くつろぎ系)




(125) JURAJ STANIK TRIO / SHAKEN NOT STIRRED

juraj stanik(p)   marius beets(b)  owen hart jr(ds)
2003/MAXANTER RECORDS/CD MAX 75178(輸入盤)


オランダの新進ピアニストの登場です、ユーラ・スタニクと読むのでしょうか。
全10曲中9曲がオリジナルなので、彼の多彩な音楽性を垣間見ることが出来ます。
いわゆる典型的なヨーロッパのピアノスタイルとはちょっと異質な感じです。
より豊かな表現力があるので「あー、これはいいな」と思いました。
ニューヨークや日本、ヨーロッパでもあちこちで演奏しているのが影響しているのかもしれません。
アップテンポはともかく、バラード・プレイにも見るべきところがあります。
まだ34歳なのでこれからの活躍が楽しみな逸材です。
メンバーにはビーツ・ブラザーズでお馴染みのマリアス・ビーツ(b)が参加しています。

(中間系)




(124) MILLER・PETRUCCIANI・LANGRENE・WHITE・GARRETT
/ DREYFUS NIGHT IN PARIS


marcus miller(b)   michel petrucciani(p)
bireli lagrene(g)   lenny white(ds)  kenny garrett(as)
2003/DREYFUS/FDM-36652-2
(輸入盤)

さすがにこれだけのメンバーが揃うと物凄いことになっています。
ヨーロッパからミシェル・ペトルチアーニ(p)とビレリ・ラグレン(g)、
アメリカからマーカス・ミラー(eb)、ケニー・ギャレット(as)とレニー・ホワイト(ds)の出演です。
曲目は3曲ですが1曲16分強の熱演、1994年の録音です。
久し振りに血沸き肉躍るというか、身体が熱くなりました。
気合の入った各人のグルーブ感溢れる演奏でライブの熱気が伝わってきます。
ペトルチアーニの名曲「ルッキング・アップ」には、みなさんも興味あるでしょう。
稀に見る強力なライブ盤の一枚です。

(中間系)




(123) SERGE FORTE TRIO / LA VIE EN BLEU

serge forte(p)
  
claude mouton(b)  laurent robin(ds)
2001/ELLA PRODUCTION/EP-20011
(輸入盤)

フランスのセルゲ・フォルテ(p)・トリオの作品です、知られている人なんでしょうか。
キース・ジャレット系の美しいタッチと力強さ持っています。
1曲づつの演奏時間が比較的長いのでじっくりと聴き込むことが出来ます。
ロマンティックな雰囲気のアルバムで、これからの秋の夜長に聴くにはぴったりだと思います。
聴き込むごとに味が出る好センスなピアノ・トリオの佳作です。

(中間系)




(122) JOCHEN BALDES QUARTET / SUBNODER  OSMOTIC JAZZ

jochen baldes(ts,acl)
adrian frey(p)   christoph aprenger(b)  elmar frey(ds)
2003/YVP MUSIC/3110
(輸入盤)

ヨハン・バルデス(ts)のドイツ盤です、この人も初めて聴きました。
全9曲は彼のオリジナルで占められています。
いやー、驚きました、このアルバムは文句なしにいいですよ。
ドイツの若手のグループだと思いますが曲も演奏もグットです、私はノックアウトされました。
テナーと珍しいアルト・クラリネットが感傷的な音色を醸し出します。
グループとしてのまとまりもあり、ピアニストの好演にも注目しました。
久々に充実したテナーのワン・ホーン・アルバムを聴いたという感じです。
それにしてもこのジャケットはどうにかならなかったのでしょうか。
ピンボケの怪しいジャケットでは、買う気になる人も少ないのでは・・・。
外装から受ける雰囲気と内容があまりにも違うと思った一枚。

(中間系)




(121) RANDY PORTER TRIO / EIGHT LITTLE FEET

randy porter(p)   bob magnusson(b)  joe labarbera(ds)
2000/HEAVY WOOD/HW-7889J
(輸入盤)

気になっていながら、なんとなく買いそびれていた作品はありませんか。
これはそんな中の一枚です、ランディ・ポーター(p)の名前は時々見かけました。
聴いてみたいと思いながら延び延びになっていたものです。
聴いてみると誰に似ているのか、思い浮かばない感じがして、私は面白いと思いました。
独自の味を持つプレイヤーなので、ジャズ以外も、幅広い音楽性の持ち主かもしれません。
12曲中10曲が自身のオリジナルです。

(中間系)