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(120) CHRISTIAN LAVIGNE TRIO / FLOWING

christian lavigne(p)   michel altier(b)  eric bretheau(ds)
2000/DYMUSIC/109
(輸入盤)

フランスのピアニスト、クリスチャン・ラビーンの作品です。
彼の経歴は不明ですが80年代から吹き込みをしているようです。
全10曲、オリジナルが7曲です。
最初はピンとこなかったのですが、聴けば聴くほど味が出るというか、今ではお気に入りのアルバムになりました。
ピアノの音色は綺麗だし、切れはあるし、フレーズも美しく新鮮です。
ベース、ドラムスとのバランスも絶妙だと思います、機会があったら是非聴いてみてほしい人です。
内容が素晴らしいだけに、ジャケットでちょっとソンをしているかもしれませんね。

(中間系)




(119) AD COLEN QUARTET / EYES WIDE OPEN

ad colen(ts,ss)
rob van bavel(p)   erik robaard double(b)  chris strik(ds)
2000/SWEET BRIAR MUSIC(輸入盤)


新進テナー奏者、アド・コーレンのオランダ盤です。
全9曲がオリジナルで占められた力作だと思います。
何と言ったらいいのでしょうか、独特の雰囲気を持っています。
後期のスタン・ゲッツ(ts)にウェイン・ショーター(ts)をミックスした感じかな。
クールな中に激しい感情を包み込むような奏法です。
最近の若いサックス・プレイヤーにはこういう感じのプレイヤーが増えてきました。
この人には魅力があるので、いずれ注目される存在になるのは間違いないでしょう。
ピアノには今話題のロブ・ヴァン・バベルが参加しています。
彼の素晴らしいプレイも聴きものですよ。

(中間系)




(118) SADAO WATANABE / WHEEL OF LIFE

sadao watanabe(as,fl)
richard bona(el-b,el-g,per,vo)   george whitty(key)  nathaniel townsley(ds)
mike stern(el-g)   romero lubambo(g)
2003/VERVE/UCCJ-2026


渡辺貞夫さん(as,fl)の新作は全曲オリジナルによる意欲作です。
11曲中、自身の新曲が9曲、2曲をリチャード・ボナ(b、vo)が提供しています。
アフリカの大地の香りがするマルチ・プレイヤーのボナとのコラボレーションは新鮮です。
主役は完全に渡辺貞夫さんでしょう、リーダーとしての力量は十分、その素晴らしさは他を圧倒しています。
全体のサウンドに溶け込みながらも主張するところは主張している感じ、日本的な情緒もあり心に沁みます。
やさしくてまろやかな音色には、まるで包み込まれるような感じがしました。
(4)のアルト、(10)のフルートはまさに感動的です、曲も美しいですね。
年輪を経ないとこの雰囲気は出ないと思います、現在のサダオ・ワールドが広がっています。

(くつろぎ系)




(117) BILL MAYS TRIO / GOING HOME

bill mays(p)
  
martin wind(b)  matt wilson(ds)
2003/PALMETTO/PM-2090
(輸入盤)

ビル・メイズ・トリオの新譜ですが、これが意外に良かったです。
元々やわらかいタッチが持ち味なので相変わらずかなと思いました。
ところが今作では意外性のある展開を見せており新鮮に感じました。
オーソドックスなピアノ・トリオの作品としては楽しめるのではないでしょうか。
これはシェリー・マン(ds)、レッド・ミッチェル(b)、ジミー・ロウルズ(p)に捧げるアルバムになっています。
全11曲、オリジナルは4曲、最後の曲では渋いノドも聴かせてくれています。

(中間系)




(116) TED BROWN QUARTET / PRESERVATION

ted brown(ts)
harold danko(p)
  
dennis irwin(b)  jeff hirshfield(ds)
2003/STEEPLECHASE/SCCD-31539(輸入盤)


テッド・ブラウン(ts)の懐かしい名前を見つけたので即購入を決めました。
彼はレニー・トリスターノ(p)の門下生で、リー・コニッツ(as)やウォーン・マーシュ(ts)の一派です。
トリスターノ派の演奏は今聴いてもクールでユニーク、オリジナリティがあります。
曲の展開にも意外性があるので面白いです。
ちょっとくぐもった音色ですが、聴くたびに良くなってきました。
共演のハロルド・ダンコ(p)も絶妙な人選だと思います。

(中間系)




(115) PETER BERNSTEIN QUARTET / HEART'S CONTENT

peter bernstein(g)
brad mehldau(p)
  
larry grenadier(b)  bill stewart(ds)
2002/CRISS CROSS JAZZ/CRISS-1233(輸入盤)


ピーター・バーンステインもこのところ精力的に活動していますね。
比較的オーソドックスなギター・スタイルの持ち主です。
全8曲中、6曲が自身のオリジナルになっています。
ここでの魅力はメンバー構成ということになるでしょうか。
今や超人気のピアニスト、ブラッド・メルドーとは再会セッションになります。
それぞれの道を歩んでからの共演ということで、お互いに思い入れもあったでしょうね。
二人の個性のぶつかり合いも聴きどころの一つになっています。
彼の代表作の一枚になるのは間違いないと思います。

(中間系)




(114) ANTONIO FARAO QUARTET / FAR OUT

antonio farao(p)
  
martin gjakonovski(b)  dejan terzic(ds)
bob berg(ts)
2003/CULTURE PUBLISHERS INC/CPC8-5152


イタリア期待のピアニスト、アントニオ・ファラオの新作です。
彼は1996年からほぼ1年に1枚づつの作品を出しています。
今作品はボブ・バーグ(ts)との共演という興味深いものです。
ボブ・バーグは昨年の12月に自動車事故で不慮の死を遂げたため最晩年の録音になりました。
ボブを偲ぶアルバムとしても貴重な記録になるでしょう。
バリバリと吹きまくるボブ・バーグに切れ味鋭く迫るアントニオ・ファラオ、スリル満点の内容です。
このアントニオ・ファラオ・トリオは6月の「ザ・シナジー・ライブ」に来日します。

(まじめ系)




(113) TETSURO KAWASHIMA TRIO / TRUE EYES

tetsuro kawashima(ts,ss)
  
eddie gomez(b)  billy hart(ds)
2003/EWE RECORDS/EWCD 0072


情念のサックス奏者、川嶋哲郎の新作はピアノレスのトリオです。
最近はソロやデュオと意欲的に活動していて、益々力を付けていると思います。
自分の信じるままに「我が道を行く」という感じでしょうか。
ここでもエディ・ゴメス(b)とビリー・ハート(ds)を従えて堂々としたプレイを披露しています。
この両ベテランと五分に渡り合って吹き切っているのが素晴らしい。
全9曲は1曲を除いて自身のオリジナル、良い曲が多いので作曲能力にも優れています。
あとの1曲は良く知られた名曲「見上げてごらん夜の星を」ですが、これもまた聴きものです。

(まじめ系)




(112) TORD GUSTAVSEN TRIO / CHANGING PLACES

tord gustavsen(p)
  
harald johnsen(b)  jarle vespestad(ds)
2003/ECM/ECM-1834
(輸入盤)

ノルウェーの若手ピアニストの作品です、トード・グスタブセンと読むのでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますがジャズ仲間のみやちゃんから紹介されたアルバムです。
さすがに個性的で味のある作品です、かなりのインパクトがありましたよ。
全13曲は全て本人のオリジナルですが、ECMとしては少しやわらかい感じのサウンドかな。
語りかけるようなピアノの音を聴いていると、以前紹介したヘルゲ・リエン・トリオを思い出しました。
ヘルゲ・リエンも同じノルウェー出身、北欧ピアノ・トリオの新しい流れかもしれませんね。

(中間系)



(111) CHIHIRO YAMANAKA TRIO / WHEN OCTOBER GOES

chihiro yamanaka(p)
  
larry grenadier(b)  jeff ballard(ds)
2002/SAWANO SHOKAI/AS-025


遅ればせながら、山中千尋(p)をご紹介します。
デビュー作も話題になりましたが、聴いたのはこれが初めてです。
さすがに評判になるだけのことはありますね、良い仕上がりの作品だと思います。
アキコ・グレース(p)も良かったですが、また違った魅力があります。
より女性らしいというか、艶やかな印象を持ちました。
八木節を題材にしたのも面白いですね。
こちらは大先輩の秋吉敏子(p)の影響でしょうか。
最近は日本女性の活躍が目覚しいです。

(中間系)




(110) IVAN PADUART TRIO / LIVE

ivan paduart(p)  stefan lievestro(b)  hans van oosterhout(ds)
2001/VIRGIN MUSIC/8113072
(輸入盤)

ちょっと前に紹介したイワン・パデュアート(p)のライブ盤を買ってみました。
彼の流麗なタッチのピアノを聴いていると天性のセンスを感じさせます。
無理がないというか、音の出がスムーズなんですね。
1991年からほぼ1年に1枚づつのリーダー・アルバムを出しているようです。
機会があったら是非聴いていただきたいプレイヤーの一人です。

(中間系)



(109) WAYNE SHORTER / ALEGRIA

wayne shorter(ts,ss)   danilo perez(p)  brad mehldau(p)
john patitucci(b)
  
brian blade(ds)  terri lyne carrington(ds) etc
2003/VERVE/543 558-2
(輸入盤)


ウエイン・ショーター(sax)の新譜は久し振りのスタジオ録音盤だそうです。
ここでもショーターは圧倒的な存在感を示しています。
まさに現代のジャズの巨人、自分の世界を持っています。
ホーン・セクションをバックに迫力十分の演奏を聴かせてくれました。
サウンドも新鮮、ジャズに年齢は関係ないことを痛切に感じさせられます。
特に3曲目の表題曲は良かったですよ。

(まじめ系)




(108) JOEL WEISKOPF TRIO / CHANGE IN MY LIFE

joel weiskopf(p)  john patitucci(b)  brian blade(ds)
2002/CRISS CROSS/CRISS-1232 CD(輸入盤)

ジョエル・ワイスコフ(p)のクリス・クロスからの2枚目のトリオ・アルバムだそうです。
全10曲中、1曲を除いてワイスコフのオリジナルになっています。
これは中々面白い組み合わせのトリオですね。
器用な音楽性の持ち主のパティトゥッチ(b)がここでは重厚なプレイを聴かせてくれました。
軽快なブライアン・ブレイド(ds)とのコンビネーションは抜群です。
サイドマンに恵まれて、ワイスコフがしなやかなタッチで鍵盤を疾走します。
オーソドックスでストレートなジャズ・ピアノ・トリオのお薦めの一枚です。


(まじめ系)



(107) GEORGE GARZONE & BEN BESIAKOV QUARTET
/ HEY WHY DON'T WE PLAY

george garzone(ts)  ben besiakov(p)
anders christensen(b)  billy hart(ds)
jens winther(tp)

2002/STUNT/STU CD-02132(輸入盤)


ユニークなテナー奏者のジョージ・ガーゾーンにデンマークのピアニスト、
ベン・ベシアコフの組み合わせは2枚目になるでしょうか。
前作も「ドラ流」にしましたが、前回に増してこれも良いです。
全8曲、ガーゾーンとベシアコフが2曲づつオリジナルを提供しています。
3曲にトランペットが加わりますが、これはない方が良かったかも。
特に超スロー・バラードで演奏される「マック・ザ・ナイフ」には驚かされました。
「MACK THE KNIFE REAL SLOW AND IN B-MINOR」という副題まで付いています。
これが今作の最大の聴きものですが、その他の曲にも聴きどころがいっぱいあります。
適度な緊張感とスイング感があってジャズ本来の魅力が楽しめると思います。
この二人の絶妙なインター・プレイにベテランのビリー・ハート(ds)の絡みが素晴らしい。

(中間系)




(106) JAKOB DINESEN & KURT ROSENWINKEL
/ EVERYTHING WILL BE ALL RIGHT

jakob dinesen(ts)  kurt rosenwinkel(g)
anders christensen(b)  kresten osgood(ds)
2002/STUNT RECORDS/STUCD-02152(輸入盤)

デンマークのヤコブ・ダイネセン(ts)とカート・ローゼンウィンケル(g)の組み合わせです。
全9曲、ヤコブのオリジナルが5曲とエバンス、コルトレーンのほかに、
1曲目にウェイン・ショーター、最後の9曲目にジャンゴ・ラインハルトが配置されています。
飛び跳ねるようなサウンドは実に新鮮かつ刺激的です。
このように浮揚感のある不思議な感覚にはゾクゾクっとします。
案外と心地良く感じるのはなぜなんでしょうか。
いつも思うことですが、カート・ローゼンウィンケルの存在感が光ります。
彼は今までにはいなかった新しいタイプのジャズ・ギタリストです。
新感覚のジャズに興味のある方なら是非聴いてほしいですね。

(まじめ系)



(105) IVAN PADUART TRIO & RICK MARGITZA / STILL

ivan paduart(p)  stefan lievestro(b)  mimiverderama(ds)
rick margitza(ts)
2002/A-RECORDS/AL 73226(輸入盤)

オランダのイワン・パデュアート・トリオにリック・マルギッツァ(ts)の組み合せです。
全8曲は全てメンバーのオリジナルで占められています。
まずは透明感のあるクリアな音色が心に沁みる、清冽な印象を残す作品です。
マルギッツァは40代、今が旬のサックス・プレイヤーと言えるでしょう。
イワン・パデュアートもヨーロッパ・ピアノの伝統を踏襲しながらも、そのフレーズは新鮮です。
聴けば聴くほど味が出る、端正な仕上がりのテナー・ワンホーン・アルバムの一級品です。
ジャケットも美しく、涼しげでいいですね、夏に聴いたらもっと心地良さそう。

(中間系)



(104) CUES TRIO & DAVID LIEBMAN / FEEL

david liebman(ss,ts)
roberto tarenzi(p)  lucio terzano(b)  tony arco(ds)
2002/ABEAT/AB JZ 014(輸入盤)


イタリアのトニー・アルコ(ds)が率いる新結成キューズ・トリオに
デイブ・リーブマン(ss、ts)が共演してきました。
全9曲、メンバーのオリジナルが6曲と、あとマイルス1曲、モンク1曲の構成です。
デイブ・リーブマンも良い意味で枯れてきて、緊張感のある演奏を聴かせてくれています。
特に自作の3曲目、ドラムとのデュオが圧巻、コルトレーン派の面目躍如というところでしょう。
ピアノのロベルト・タレンツィにも注目して下さい。

(まじめ系)




(103) MONCEF GENOUD TRIO / THE MEETING BOB BERG

moncef genoud(p)  christophe chambet(b)  thierry hochstatter(ds,per)
bob berg(sax)(1,6,8,9)
1999/DINEMEC JAZZ/DJCD-204(輸入盤)

先頃、交通事故で急逝したボブ・バーグ(ts)を偲びながら聴いています。
モンセフ・ジェノウド・トリオにボブが客演した1999年録音のスイス盤です。
全9曲中、メンバーのオリジナルが5曲、残りがジャズのスタンダードの構成です。
私は初めて聴きましたが、モンセフ・ジェノウド(p)が素晴らしいです。
その切れのあるタッチと流麗な演奏で一発でノック・アウトされました。
もちろん、ボブ・バーグも好演していますのでお薦めの1枚ですよ。

(中間系)



(102) STEFANO DI BATTISTA / 'ROUND ABOUT ROMA

  stefano di battista(sax)

eric legnini(p)  rosario bonaccorso(b)  andre ceccarelli(ds)
symphonic orchestra "Les Archets de Paris"

2002/BLUE NOTE/7243 542406 2 1(輸入盤)


イタリアのアルト・サックス奏者、ステファノ・ディ・バティスタの新譜です。
彼が注目されたのはミシェル・ペトルチアーニ(p)に認められてからでしたね。
今作品はオーケストラをバックに美しく切ないメロディに乗ってじっくりと聴かせてくれました。
全8曲中5曲が彼自身のオリジナルです。
ストリングスやオーケストラがバックのアルバムは好みが分かれますが、私は結構好きです。

(中間系)




(101) MULGREW MILLER & WINGSPAN / THE SEQUEL

  mulgrew miller(p)  steve nelson(vib)  steve wilson(as,ss)

duane eubanks(tp)  richie goods(b)  karriem riggins(ds)
2002/MAXJAZZ/MXJ-204(輸入盤)


マルグリュー・ミラー(p)のサイドマンとしての力量は定評のあるところです。
性格的なものでしょうか、バックで目立たず、ソロイストを引き立て、強引なところがありません。
逆を言えば、リーダーとしてはイマイチだと思っていました。
ところがこのアルバムは意欲的で良かったです。
全10曲中、8曲がミラーのオリジナルで占められています。
彼がウィングスパンというグループを持っていたとはまったく知りませんでした。
全員がリラックスしていて、演奏全体に切れ味が感じられました。
これはマルグリュー・ミラーの代表作になり得る作品だと思います。

(中間系)


(100) CHARLES LLOYD / LIFT EVERY VOICE

  charles lloyd(ts,fl)  geri allen(p)  john abercrombie(g)

marc johnson(b)  larry grenadier(b)  billy hart(ds)
2002/ECM/ECM 1832/33 018783-2(輸入盤)


チャールス・ロイド(ts)の新譜は2枚組で出てきました。
2枚組というのは中々買いにくいものですが、これなら満足出来る仕上がりだと思います。
ロイドのオリジナルが7曲含まれ、トラディショナルの4曲が新鮮です。
このメンバーによるマービン・ゲイの名曲、「WHAT'S GOING ON」には興味がありませんか。
コルトレーンの「バラード」の延長線上にあると言えばイメージがつかみ易いと思います。
より効果的なのは、ジョン・アバークロンビー(g)の存在です。
それがこの作品を一味違うものにしています。


(まじめ系)



(99) DAVE PECK TRIO / OUT OF SEATTLE

dave peck(p)  jeff johnsen(b)  joe la barbera(ds)
2002/LET'S PLAY STELLA RECORDS/LPS-2002-01(輸入盤)


デイヴ・ペック(p)、この人も聴いたのは初めてです。
お馴染みのスタンダード・ナンバーを中心にしたライブ盤です。
典型的なキース・ジャレット(p)系のピアニストですが、中々に良い雰囲気を持っています。
一曲平均8分強の熱演で、スタンダードの解釈も新鮮だと思いました。
美しいメロディ・ラインと切れの良いタッチが特徴です。
一曲目、マイルス・デイビス(tp)の「SOLAR」は出色の出来、私のお気に入りになりました。


(中間系)




(98) JOE MARTIN QUARTET / PASSAGE

joe martin(b)
mark turner(ts)  kevin heys(p)  jorge rossy(ds)
2002/FRESH SOUND/FSNT-139CD(輸入盤)


ジョー・マーティン(b)の名前は初めて聞きました。
私はマーク・ターナー(ts)絡みで買いましたが、これが思ったよりも良かったです。
オーソドックスで野太いベース・プレイが聴けます。
期待の新進ベーシストの登場というところでしょうか。
全8曲、1曲を除いては彼のオリジナルです。
共演のメンバーもそれぞれ好演していて、バランスのとれた新感覚ジャズの好盤です。

(中間系)




(97) CURTIS LUNDY QUINTET / PURPOSE

curtis lundy(b)  john hicks(p)(3,5,7)  anthony wonsey(p)
  mark shim(ts)  steve nelson(vib)  billy hart(ds)

2002/JUSTIN TIME/JUST 175-2(輸入盤)


最近、カーティス・ランディ(b)の活躍も目立ちます。
本人自身もこのところ渋いアルバムをコンスタントに出しています。
全9曲中自身のオリジナルが4曲、メンバーが1曲づつ、その他1曲の構成です。
曲風もバラエティに富んでいて飽きさせません。
ここでの最大の注目はマーク・シム(ts)の存在でしょう。
その男性的で微妙な音色には痺れてしまいました。
メンバー的にも中々魅力がある一枚です。
マーク・シムの健闘に一票を投じたいと思います。

(中間系)




(96) GEORGE COLLIGAN / ULTIMATUM

george colligan(p)
  gary thomas(ts,fl)  drew gress(b)  ralph peterson(ds)

2002/CRISS CROSS/1222
(輸入盤)


ジョージ・コリガン(p)の新作です。
全9曲は全てオリジナルで占められていますので、意欲は十分に感じられます。
ここでの注目は鬼才というか、曲者というか、ゲイリー・トーマス(ts、fl)の参加でしょうね。
ほとばしるテナー・プレイと爽快なフルートの対比が面白かったです。
コリガンも切れ味のあるプレイで好演していまして、私はいいなあーと思いました。
もう一人の注目はラルフ・ピーターソン(ds)ですが、ここでもビシッと決めています。

(まじめ系)




(95) CODY MOFFETT / MY FAVORITE THINGS

cody moffett(ds)
stanley jordan(g)  kenny drew jr(p)

  charnett moffett(b)  dudi domedi(ts)  leonardo suarez paz(vln)

mondre moffett(tp)  cherelle shabazz(vo)  chris cox(tb)
2002/TCB/21192
(輸入盤)


モフェット兄弟の長兄、コーディ・モフェット(ds)の作品です。
私の狙いは共演のスタンリー・ジョーダン(g)とケニー・ドリュー・ジュニア(p)でした。
しかし、こういう作品に当たると嬉しいですね、掘り出し物の一枚になりました。
オリジナルが3曲、それにハンコックの「処女航海」、コルトレーンの「ネイマ」、
ショーターの「スピーク・ノー・イーブル」や名曲「マイ・フェバリット・シングス」を取り上げています。
幅広い音楽性の持ち主なので凝ったアレンジも楽しむことが出来ました。
サウンドも新鮮、何より挑戦的で元気があるのがいいです。
上記二人の超テクプレイも堪能出来ます。

(中間系)




(94) CHRIS CHEEK QUARTET / GUILTY & LAZY AFTERNOON

chris cheek(ts)
  ethan iverson(p)  ben street(b)  jorge rossy(ds)

2002/FRESH SOUND/FSNT125,126
(輸入盤)


クリス・チーク(ts)、名前は時々聞いていましたが、買ったのは今回が初めてです。
私はフームと唸ってしまいましたよ、たしかに話題になるだけのことはありますね。
ライブでこれだけのバラードを聴かせる人は少ないのではないでしょうか。
しっとりとした独特の雰囲気を持ったプレイヤーです。
この2枚は同時録音のようですが、ジックリ派には「GUILTY」を、
バラード派には「LAZY AFTENOON」をお薦めしたいと思います。
その味わい深い演奏は是非聴いてほしいですね。

(中間系)




(93) SONNY SIMMONS QUINTET / MIXOLYDIS

sonny simmons(as,engh)  eddie henderson(tp)
  john hicks(p)  curtis lundy(b)  victor lewis(ds)

2002/TERRONES/MARGE-29
(輸入盤)


フリー・ジャズ・シーンの雄、ソニー・シモンズ(as)の新譜です。
久々の熟年ゴリゴリジャズが出ましたが、聴き易いですからご安心下さい。
全8曲中オリジナルが6曲、気合は十分、私もシビレました。
なんか全員生き生きとしていますよ、「さー、一丁やったるぜ!」という感じでしょうか。
ジョン・ヒックス(p)なんかは、まるで水を得た魚ですね、力強いタッチが戻っています。
エディ・ヘンダーソン(tp)は飛んでるし、ヴィクター・ルイス(ds)はいつになく多弁、
カーティス・ランディ(b)の重厚なベースもいいです。
たまにはこういうのもいいなあー、不器用だけれど心に響くものがあります。
パワフルでストレートなジャズが楽しめました。
大音量で頭をからっぽにして聴きたいアルバムです。

(まじめ系)




(92) RUSSELL GUNN SEXTET / BLUE ON THE D.L

russell gunn(tp)
J.D.allen(ts)  mark whitfield(g)
  orrin evans(p)  eric revis(b)  montez coleman(ds)

2002/HIGHNOTE REC/HCD-7087
(輸入盤)


ラッセル・ガン(tp)の新作は、雰囲気をガラリと変えてきました。
ブルージーでジャズ・ムード満点、実に懐かしいサウンドに満ち溢れています。
こんなアルバムを聴いていると遠い昔を思い出してしまいますよ。
ガンもマーク・ホイットフィールド(g)もいいなあー、実に心地良く胸に響いてきます。
名曲「ケリー・ブルー」を取り上げたのも嬉しいじゃありませんか。
多くを語る必要はないでしょう、是非、ご一聴をお薦め致します。
演奏だってカッコイイよ、俗に言うモダン・ジャズの好盤ですね。

(中間系)


(91) DOMENICO CAPEZZUTO TRIO / PICCOLA LUCE

  domenico capezzuto(p)  andrea avena(b)  luca chiaraluce(ds)
javier girotto(ss)

2001/SPLASC(H) REC/CDH759-2
(輸入盤)


聞いたことがないプレイヤーの作品を紹介するのは中々勇気がいります。
ドメニコ・カペッズト(p)と読むのでしょうか、ピアノ・トリオのイタリア盤です。
全10曲中8曲がオリジナルでミシェル・ペトルチアーニ(p)に捧げた曲もあります。
メロディ・ラインが美しく、微妙なタッチと共に印象に残るアルバムです。
2曲にホーンが入るので変化もあります、長く愛聴出来るのではないかと思っています。
これからの活躍が期待出来るプレイヤーなのでご紹介することにしました。

(中間系)




(90) BILLY COBHAM TRIO / THE ART OF THREE

billy cobham(ds)  ron carter(b)  kenny barron(p)

2001/BLOW IT HARD/BIH010
(輸入盤)

ビリー・コブハム(ds)を中心にして、ロン・カーター(b)とケニー・バロン(p)を迎えて、
ベテラン・トリオによるデンマーク&ノルウェーでのライブ盤です。
豪華メンバーが集まると、時として顔見世興行に終わる場合も多いですが、その心配はありません。
スタンダードを中心に、実に味わい深い安定感のある演奏を聴かせてくれました。
「ザ・アート・オブ・スリー」と銘打っていますが、期待通りの三味一体のプレイは素晴らしいです。
それぞれに真剣味が感じられて、かなりの緊張感が漂っています。
3人のインター・プレイやそれぞれのソロも十分に楽しめます。
やはり一流のプレイヤーの底力は凄いなあー、と再認識させられたアルバムです。
プロデュースはコブハム自身、ジャケットもすっきりとしていて好感を持ちました。
単なる顔合わせかもしれないと半信半疑で買って、大当たりだった一枚です。

(まじめ系)




(89) DAVE HOLLAND QUINTET / NOT FOR NOTHIN'

cris potter(ss,as,ts)  robin eubanks(tb)
steve nelson(vib)  dave holland(b)  billy kilson(ds)
2001/ECM/1758 014 004-2(輸入盤)


このデイヴ・ホランド(b)の作品はちょっと不思議な感覚のサウンドが聴けます。
スティーヴ・ネルソンのヴァイブを起用してのピアノレスです。
フロントには成長株のクリス・ポッター(ts)とロビン・ユーバンクス(tb)を配しています。
全9曲は全てオリジナルで、本人は5曲、メンバーが4曲の構成です。
このグループが醸し出す独特の雰囲気には魅力がありますよ、特に1曲目が素晴らしい。
このECMサウンドにハマってしまう方もいるのではないでしょうか。
私自身はロビン・ユーバンクスのプレイが印象に残りました。

(まじめ系)



(88) CHARLIE HADEN / NOCTURNE

charlie haden(b)
gonzalo rubalcaba(p)  ignacio berroa(ds)  joe lovano(ts)(1,4,7,11)
  david sanchez(ts)(6,10)  pat metheny(g)(2)  federico britos ruiz(vln)(1,5,8)
2001/GITANES/013 611-2
(輸入盤)

チャーリー・ヘイデン(b)の新作です。
ラテン・ジャズでもこういうムードのある雰囲気のアルバム作りはいいですね。
ゴンザロ・ルバルカバ(p)は自己のアルバムよりも他人名義の方がずっと聴き易いです。
この二人に、ジョー・ロバーノやデヴィッド・サンチェスのテナー・サックスが切なく絡みます。
もう一方でヴァイオリンの参加も効果を深めています。
この時間がゆったりと流れて行く感覚はいいなあー、ラテン・ジャズの佳作です。

(中間系)



(87) DAVID BENOIT TRIO / GREAT COMPOSERS OF JAZZ

  david benoit(p) brian bromberg(b) gregg bissonette(ds)
2001/VERTICAL JAZZ/5501-2
(輸入盤)

カナダ出身のピアニスト、デヴィッド・ベノワの新作です。
このところフュージョン系のメロウな作品が多かったので、新鮮な感覚で聴くことが出来ました。
本格的なピアノ・トリオで、ブライアン・ブロンバーグ(b)の参加も嬉しい。
ちょっと本気を出せば、「まあー、こんなもんよ」という感じでしょうか。
デイブ・ブルーベック(p)の「トルコ風ブルーロンド」を取り上げたのも意欲的ですね。
名曲がずらりと並んでいますが、「スター・ダスト」や「ワルツ・フォー・デビィ」も聴きものです。

(中間系)




(86) JOS VAN BEEST TRIO / EVERYTHING FOR YOU

  jos van beest(p) evert j.woud(b) rolf breemer(ds)
2001/SAWANO SYOKAI/AS-019


今、巷で話題のヨス・ヴァン・ビースト(p)の新作を購入しました。
2曲のオリジナルと8曲のスタンダードの構成です。
さすがに評判通りの上品で美しい、端正なピアノ・トリオを聴かせてくれました。
私は思わず一音でその世界に引き込まれてしまいましたよ。
その瑞々しいピアノの音色はまったく素晴らしいですね。
ウラジミール・シャフラノフ(p)の時もそうでしたが、世の中は広いです。
知られていない名手がいくらでもいるのでしょうね。

(中間系)




(85) KURT ELLING / FLIRTING WITH TWILIGHT

kurt elling(vo)
clay jenkins(tp) jeff clayton(as)  bob sheppard(ts,ss)
  laurence hobgood(p) marc johnson(b) peter erskine(ds)
2001/BLUE NOTE/72435 31113 2 8
(輸入盤)

カート・エリング(vo)のスタンダード・バラード集です。
カート・エリングは30代のバリバリ、伸び盛りの男性ジャズ・ヴォーカリストです。
この作品はブルー・ノートからの5枚目のリーダー・アルバムになるようです。
私は特定の人以外にはほとんど男性シンガーを聴く機会がありませんが、これはいいなと思いました。
声質、声の伸び、ムード共に申し分ありません。
ゆったりとしたスイング感と心地良い乗りを楽しむことが出来ました。
マーク・マーフィ(vo)をソフトにした感じをイメージしてもらえれば分かり易いと思います。

注:マーク・マーフィは1960年前後に最も活躍したジャズ・ヴォーカリスト。
興味のある方は是非聴いてみて下さい、代表作は「ラー」です。

(中間系)




(84) KENNY BARRON & REGINA CARTER / FREEFALL

kenny barron(p)  regina carter(vln)
2001/VERVE/549 706-2(輸入盤)


先週に引き続いてというか、今度はケニー・バロン(p)とレジーナ・カーター(vln)のデュオです。
名義は先輩のケニーが先にきていますが、ズバリ、レジーナを聴くアルバムだと思いました。
ジャズ・ヴァイオリンは日本が寺井尚子ならアメリカはレジーナ・カーターですね。
全10曲中ケニーが3曲、レジーナが1曲、表題曲は二人の合作になっています。
2曲目の「FRAGILE」はスティングの曲ですが、まさに感動ものの演奏を聴かせてくれました。
ヴァイオリン・ジャズとしては、曲風も刺激的で新鮮な感じがしますよ。
ヴァイオリン・ファンなら必聴のアルバムだと思います、是非ご一聴下さい。

(まじめ系)



(83) ANTONIO HART / AMA TU SONRISA

antonio hart(as,ss,fl)
yosvany terry(ts) steve nelson(vib)
  kevin hays(p) richie goods(b) camille gainer(ds) etc
2001/ENJA/TKCB-72186


アントニオ・ハート(as)が4年振りに出した、エンヤ移籍の第一弾です。
全10曲、オリジナルが8曲、スタンダードが2曲の構成です。
ワールド・ミュージック&ジャズに挑戦した意欲作です。
そのパワフルで刺激的な音色は健在なので、十分に聴き応えがあります。
ピアノのケヴィン・ヘイズも絶好調とみました。
ウエイン・ショーターや意外ですがグローバー・ワシントン・ジュニアに捧げた曲もあります。
現在の彼の音楽性を披露していて、飽きずに聴き通すことが出来ました。
コンテンポラリーな作品にも、時々こういう好盤が隠されているので侮れないのです。
特に表題曲の「アマ・トゥ・ソンリサ」はエキゾチックなテーマを持つ印象的な演奏で、
私は何度も繰り返し聴いてしまいましたよ。
ジャケットの雰囲気はどうもイマイチですが、中味はずっと濃いです。

(中間系)



(82) PETER BEETS / NEW YORK TRIO

  peter beets(p) rodney whitaker(b) willie jones V(ds)
2001/CRISS CROSS/1211
(輸入盤)

ピーター・ビーツ(p)はオランダ出身の新進ジャズ・ピアニストです。
全9曲中オリジナルが6曲、スタンダードが3曲の構成です。
ロドニー・ウィテカー(b)の強靭なベース・ワークに支えられて1曲目から快調に飛ばします。
ニューヨーク・トリオと銘打っていますが、たしかに伝統的なヨーロッパスタイルとは違いますね。
どことなく懐かしさを感じる、理屈抜きで楽しめるピアノ・トリオの作品です。
デビュー作の出来があまりに良いので、2作目以降が心配になってしまいました。
これからも注目していきたい人材ですね。

(中間系)




(81) BENNIE WALLACE QUARTET / MOODSVILLE

bennie wallace(ts)
  mulgrew miller(p) peter washington(b) lewis nash(ds)
2001/GROOVE NOTE/CRV1010-2
(輸入盤)

ベニー・ウォレス(ts)の新作はスタンダード作品集です。
個性派であるが故に、ある種のしつこさを感じるので、ちょっとキツイ方もいらっしゃるでしょうね。
ところが、このアルバムでは角が取れて、まろやかな演奏になっています。
バックのメンバーにも恵まれて、快調に飛ばしています。
特にマルグリュー・ミラー(p)の好調さが目立つので、より素晴らしい作品になりました。
ベニー・ウォレスの代表作になり得る一枚です。

(中間系)




(80) HARRY ALLEN / COLE PORTER SONGBOOK

harry allen(ts) benny green(p)
russell malone(g) peter washington(b)
2001/BMG/BVCJ-34017


ハリー・アレン(ts)の新作はコール・ポーター作品集です。
全17曲はかなり多いですね、13曲がベニー・グリーン(p)とのデュオ、
残り4曲がラッセル・マローン(g)とピーター・ワシントン(b)入りのカルテットです。
最初に見た時、私は彼がデュオの相手にベニーを選んだことが意外に思いました。
本質的に二人の持ち味が違うのではないかと思ったからです。
その反面、だからこそ緊張感が出て面白いかも知れないとも思いました。
ご存知の通り、ベニーはオスカー・ピーターソン系でハリーはスタン・ゲッツの影響が強いです。
普通ホーンとピアノのデュオでは、どうしてもピアノがホーンの引き立て役に回ることが多いですね。
でも、ここではお互いに相手に合わせるというわけではなく、対等な立場で共演しています。
5分5分の姿勢を貫くというのも興味深く聞くことが出来ました。
4曲のカルテット演奏を入れたのは、メリハリがついて良かったと思います。

(中間系)




(79) LARRY SCHNEIDER QUARTET / JAZZ

larry schneider(ts)
andy laverne(p) steve laspina(b) matt wilson(ds)
2001/STEEPLECHASE/SCCD-31505(輸入盤)


ラリー・シュナイダー(ts)は本当に久し振りに聴きました。
ビル・エバンス(p)とトゥーツ・シールマンス(harm)の名盤、「アフィニティ」以来になります。
甘さ控え目の個性的なプレイを聴かせてくれました。
最初はテナー・サックスとしてはちょっと異質な感じを受けたのですが、
聴き込んでいくにつれてその味わい深さがわかってきました。
題名もズバリ「jazz」と銘打っているのも自信の表れでしょうか。
スタンダードが3曲、メンバーのオリジナルが3曲の構成もいいです。

(まじめ系)




(78) YOKO MIWA TRIO+1 / IN THE MIST OF TIME

yoko miwa(p)
massimo biolcati(b)  scott goulding(ds) tim mayer(ts)
2001/DAN FLEX/TKCB-72205


三輪洋子の初リーダー・アルバムだそうです、私は初めて聴きました。
みずみずしい爽やかな音色と美しいタッチを持っています。
93年にバークリー音楽院に留学、メンバーもその時の仲間だそうです。
童謡の「赤とんぼ」以外は彼女のオリジナルで占められており、
トリオ演奏が5曲、カルテットが3曲、ソロが1曲の構成です。
この中では、2曲目の「THE DEEP END」がお気に入りになりました。
テナーのティム・メイヤーが良い味を出しています。
小品ですが、好センスが光るアルバムだと思います。

(くつろぎ系)




(77) BILL CHARLAP TRIO / BLUES IN THE NIGHT

bill charlap(p)  jay leonhart(b)  bill stewart(ds)
2001/VENUS REC/TKCV-35097


ビル・チャーラップ(p)の新譜は、夜のムードのスタンダード作品集です。
チャーラップは現在、絶好調というか、今が正に旬のプレイヤーだと思います。
元々持っている才能を開花させているだけかも知れませんが、猛烈な勢いで音楽の幅を広げています。
あちこちのセッションに引っ張りダコで、最近の活躍振りには目を見張るものがあります。
こういう組み合わせを考えるのは楽しいでしょうね、 なんと、ニューヨーク・トリオと銘打ってきました。
意外な組み合わせですけれど、適度な緊張感が感じられて中々いいです。
派手さはないけれど、聴けば聴くほど味が出るアルバムだと思います。
ヴィーナス独特の音作りも楽しめます。


(中間系)



(76) TETSURO KAWASHIMA TRIO / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS

tetsuro kawashima(ts)   yoshiaki okayasu(g)  shin kaminura(b)
2001/EWE REC/EWCD-0035


現在、日本の人気ナンバー・ワン・テナー奏者の川嶋哲郎の新作はスタンダード・バラード集です。
テナー、ギター、ベースという珍しいトリオで演奏されています。
デビュー時から追いかけているプレイヤーですが、なお成長途上にあると思っています。
ギターの岡安芳明も美しい音色の持ち主で注目しています、この組み合わせは大成功でしょう。
7曲目の「ハッシャ・バイ」は、テンポといい、バランスといい、お気に入りの演奏になりました。
日本のジャズはどうも、という方にも是非聴いて頂きたい一枚です。

(中間系)




(75) BEN BESIAKOV QUINTET / AVIATION

 jens winther(tp) george garzone(ts)
ben besiakov(p)  ray drummond(b)  billy hart(ds)
2001/STUNT/STUCD00192(輸入盤)


ベン・ベシアコフと読むのでしょうか、私は初めて聴きました。デンマークのスタント・レーベルです。
このアルバムを購入したきっかけはジョージ・ガーゾーン(ts)の存在でした。
注目しているテナー奏者なんですが、彼のプレイが聴きたくて、早速飛び付いてしまいましたよ。
ガーゾーンは「夜は千の眼を持つ」でフューチャーされ、このスタンダードが新鮮でした。
ピアノのベンはオーソドックスなヨーロッパ・スタイルを持っています。
レイ・ドラモンド(b)とビリー・ハート(ds)との組み合わせも良いですね。
ストレートで軽快な演奏からじっくりと聴かせるバラードまで、中々に凝った構成です。
バランスの良い仕上がりで、飽きずに聴き通せた一枚です。

(まじめ系)



(74) ARTHUR BLYTHE QUARTET / BLYTHE BYTE

arthur blythe(as)
john hicks(p)  dwayne dolphin(b) cecil brooks V(ds)
2001/SAVANT/SCD-2036
(輸入盤)

元ゴリゴリ・アルト・サックス奏者、アーサー・ブライスの変身スタンダード作品集です。
全10曲、うち4曲がジョン・ヒックス(p)とのデュオになっています。
彼が尊敬するセロニアス・モンクの曲も3曲入っています。
最近の軟弱なジャズとは一線を画す素晴らしさです。
この緊張感のある表現力はどうでしょう。
「ベサメ・ムーチョ」なんかは涙ちょちょ切れものですよ。
彼としては比較的聴き易いですから、みなさんにもじっくりと聴いて欲しいアルバムですね。

(まじめ系)



(73) MARK TURNER QUARTET / DHARMA DAYS

mark turner(ts)
kurt rosenwinkel(g)  reid anderson(b) nasheet waits(ds)
2001/WARNER BROS/9 47998-2(輸入盤)


マーク・ターナー(ts)の新譜は新鮮で不思議な魅力に溢れています。
全9曲、全て彼自身のオリジナルで占められており、曲風も一貫された意欲作だと思います。
アメリカの若手ジャズメンが目指す新しいジャズの形の一つがここにあります。
ジョシュア・レッドマン(ts)の新作にも似たような曲作りがありましたよ、同様の感覚を覚えました。
クールかつ浮揚感のある独特のサウンドは、一方でフリー・ジャズに通じるところが感じられます。
私も最初はピンとこなかったんですが、聴き込んでいくうちにドップリとはまってしまいましたよ。
このサウンドの魅力はギターのカート・ローゼンウィンケルに負う部分が大きいですね。
好き嫌いがハッキリと出る作品だと思いますが、みなさんも聴いてみたらいかがでしょうか。

(まじめ系)



(72) JOHN PIZZARELLI / LET THERE BE LOVE

john pizzarelli(vo,g)
harry allen(ts)  dominic cortese(acor) ray kennedy(p)
jesse levy(cel)  ken peplowski(cl)
bucky pizzarelli(g)  martin pizzarelli(b) etc
2001/TELARC JAZZ/CD-83518(輸入盤)


ジョン・ピザレリ(vo,g)の新譜はテラーク・レーベルからの第二弾です。
ゆったりとしたバラードが中心で、そのソフトな歌声と共にくつろぎの1枚になっています。
最近の男性ヴォーカリストでは一番のお気に入りで、ずっと追いかけているプレイヤーです。
これはリラックスしたピザレリの持ち味が良く出た好盤だと思います。
1995年録音の「BALLADS FOR YOU」に次ぐ傑作かも・・・。
余り知られていない?スタンダードを取り上げているのも特徴になっています。
ピザレリの世界を楽しんで下さい。

(くつろぎ系)



(71) CARLA COOK / DEM BONES

carla cook(vo)
cyrus chesnut(p,fend ,org)  james genus(b) fred wesley(tb)
crag harris(tb)  tyrone jefferson(tb)
billy kilson(ds)  jefferey haynes(per)
2001/MAXJAZZ/MXJ-111(輸入盤)


ハワイのCD屋のお薦めコーナーにありましたが、カーラ・クック(vo)は初めて聴きました。
歌はもう抜群に上手いです、これが今回の一番の大当たりだったですね。
声質もシットリとしていて、その丁寧な歌い方にも好感を持ちました。
解説を読んであとで分かったんですが、すでに向こうではかなり知られている存在のようです。
なんと1999年のデビュー盤がグラミーのジャズ・ヴォーカル部門にノミネートされたそうです。
・・・と聞いてさもありなんと思いましたよ、私の耳もまんざらでもないなあと自画自賛しています。
いずれ大物へと道を歩むかも知れません、興味があれば是非聴いてみて下さいね。
バックのサイラス・チェスナットも好調、3本のトロンボーンも聴きものです。

(中間系)



(70) TERENCE BLANCHARD / LET'S GET LOST

terence blanchard(tp)  brice winston(ts)
edward simon(p)  derek nievergelt(b)  eric harland(ds)
diana krall(vo)  jane monheit(vo)  dianne reeves(vo)  cassandra wilson(vo)
2001/SONY/SK 89607(輸入盤)


テレンス・ブランチャード(tp)の新作は、なんと4人の女性ヴォーカリストが登場しました。
ダイアナ・クラ−ル、ジェーン・モンハイト、ダイアン・リーブス、カサンドラ・ウィルソンです。
クラ−ル以外は各2曲、それにインストルメンタルが4曲含まれています。
1枚で5つ楽しめるアルバムなんて、そうそうはありませんよ。
こんなお徳用盤ならもうそれだけで大満足です。
女性ヴォーカルの聴き比べをしたい人にも最適の1枚でしょうね。
ダイアナ・クラ−ルの出来が良かったので、もう1曲聴いてみたかった。

(中間系)



(69) WARREN VACHE & BILL CHARLAP / 2GETHER

warren vache(co,fl-h)  bill charlap(p)
2001/NAGEL-HEYER/2011(輸入盤)


スイング系のウォーレン・ヴァーチェとモダンなビル・チャーラップの組み合わせが魅力です。
甘さだけでなく適度な緊張感があって、デュオ・アルバムとしては上級だと思いました。
スタンダードでも特にチャーラップのピアノが新鮮でね、やはりこの人は相当な器ですよ。
私はチャーラップのソロ・アルバムを聴きたくなってしまったほどです。
いつもウトウトしながら聴いているんですが、最高のBGMになっています。

(中間系)



(68) ERIC REED / HAPPINESS

eric reed(p)
marcus printup(tp)  wyeliffe gordon(tb)  wessell anderson(as)
wayne escoffery(ts,ss)  barak mori(b)  rodney green(ds) etc
2001/NAGEL-HEYER/2010(輸入盤)


アメリカ期待のピアニスト、エリック・リードの新作はドイツ盤です。
一聴した途端、「これはー・・・」と思いました、好みからはややズレていますがいいですよ。
伝統的なジャズのスタイルを堅持しながら、現代的なセンスも感じさせます。
ここいらへんは師匠のウィントン・マリサリス(tp)の影響も大きいのかも知れませんね。
メンバーは全然知りませんが、分厚いアンサンブルとハーモニーを聴かせてくれました。
エリントンの「ムード・インディゴ」を除いては全てエリック・リードのオリジナルです。
エリック・リードの才能が大きく開花した意欲作だと思います。
どこの世界でも「温故知新」は大事なことですね。

(中間系)



(67) JACKY TERRASSON / A PARIS...

jacky terrasson(p)
stefano di battista(sax)  bireli lagrene(g) stefon harris(mar) etc.
2001/BLUE NOTE/TOCJ-66102


ジャッキー・テラソンの新作は、いつもより題材がやわらかいので聴き易いと思います。
何気なくBGMで聴いていても、時々おやっという新鮮なフレーズが出てきます。
思わず聞き入ってしまいますので、さすがだなあと思いました。
若手ピアニストではブラッド・メルドーと、このジャッキー・テラソンが個性と可能性を感じさせます。
今作は彼のアルバムとしては面白い企画物になるでしょうね。
いずれ評価される可能性が高いです、持っていてソンはない作品だと思います。
ゲスト陣も豪華ですし、一曲一曲が短くて珠玉の短編集を読んでいるようです。
パリの粋を感じさせるので、私は結構好きですね。

(中間系)



(66) RAY BROWN TRIO / LIVE AT STARBUCKS

geoff keezer(p)  ray brown(b) karriem riggins(ds)
2001/TELARK/CD-83502


レイ・ブラウン(b)のトリオは、シアトルのスター・バックスで行われたライブ・アルバムです。
久し振りに重厚かつスイング感溢れるピアノ・トリオを聴いた気がします。
さすがにレイ・ブラウンのベース・プレイが効果的ですね、存在感も十分です。
ジャズ・メッセンジャーズ出身の名手、ジェフ・キーザーのピアノもいいですよ。
安心してお薦め出来るオーソドックスなピアノ・アルバムだと思います。

(中間系)



(65) RYAN KISOR QUARTET / KISOR U

ryan kisor(tp)
peter zak(p)  john webber(b) joe farnsworth(ds)
2001/VIDEOARTS/VACM-1172


ライアン・カイザー(tp)の新作は、とにかく爽やかで気持が良いです。
美しいメロディには、彼のまろやかな音色が良く似合います。
2,5,7のミディアム・テンポのバラードの表現力に長足の進歩が窺えました。
8のスロー・バラードはイマイチですね、もう少し深みが欲しい感じがします。
しかし、これをクリアするのも、そう遠くはないでしょう。
一枚を聴き通せる数少ないアルバムに仕上がりました。

(中間系)



(64) TETSURO KAWASHIMA QUARTET / EMOTION

tetsuro kawashima(ts,ss)
akira ishii(p)  daiki yasukagawa(b)  makoto rikitake(ds)
2001/EWE REC/EWCD-0029


今が旬の川嶋哲朗の新作です、日本人プレイヤーとしては最も注目しています。
これほど短期間に急成長をしているプレイヤーも珍しいですね。
2000年度テナー・サックス部門の人気投票のトップも当然だと思っています。
真摯にジャズに取り組んでいる姿勢を高く評価しています。
売れるジャズも可能でしょうが、惑わされずに自分の音楽を追求している感じです。
1曲目のバラードもいいですが、表題曲における後半の盛り上がりは、まさに圧巻です。
バックのメンバーとのバランスも良く、日本人ジャズ・コンボの最高峰が聴けます。
聴かせるジャズですので、少々重いのは覚悟して下さいね。

(まじめ系)



(63) MARLENE ROSENBERG QUARTET / PIECES OF ・・・

marlene rosenberg(b)
cedar walton(p)  javon jackson(ts) george fludas(ds)
2000/BASSLINE/BL-200001(輸入盤)


珍しい女性ベーシストのマーレーン・ローゼンバーグの作品です。
とても女性とは思えない強力なベース・プレイを聴かせてくれました。
全11曲中6曲が彼女のオリジナル、2曲がシダー・ウォルトン(p)の作品です。
注目しているサックス・プレイヤーのジャヴォン・ジャクソンもストレートな演奏で好感が持てます。
ベテランのシダー・ウォルトンとの組み合わせも上手くいったと思います。
マーレーンを中心に良くまとまった好アルバムに仕上っています、私の評価は高いです。

(まじめ系)




(62) THE WINNERS
/ LIVE AT THE DOLDER GRAND HOTEL, ZURICH

franco ambrosetti(tp,flh)
thierry lang(p)  heiri kanzig(b) peter schmidlin(ds)
2000/TCB RECORDS/TCB-20992(輸入盤)


スイスのジャズ・マガジンのウィナー達による記念ライブ盤です。
さすがにそれぞれ実力を感じますね、気合も十分に入っています。
曲目は全てスタンダード・ナンバーですが、ヨーロッパの高水準のジャズが聴けます。
スイス・ジャズ・シーンの底力というか、レベルの高さを実感することが出来ました。
特に「MY FOOLISH HEART」は14分強の熱演、好解釈で素晴らしかったです。
フランコ・アンブロゼッティ(tp、flh)とティエリー・ラング(p)は、是非聴いてほしいですね。
フーム、これは困りました、またもや今年のベスト3の候補が登場してしまいました。

(中間系)



(61) DAWN THOMSON / A TRIBUTE TO A.C.JOBIM

dawn thomson(vo,g)
helio alves(p,key)  nilson matta(b) vandarlei pereira(ds,per)
john nugent(sax fl)
2000/ALFA/KYAL-9006


ドーン・トンプソンと発音するそうです、シットリとした歌声と洗練されたサウンドのボサノバが聴けます。
帯中にはニューヨーク・スタイルの最新型ボサノバとありました、ジョビンの名曲がずらりと並んでいます。
このアルバムは日本だけを考えた場合、この時期に出すのはもったいない感じですね。
夏ならかなり売れたと思います、もっとも、この夏もう一度ヒットするかも知れませんが・・・。
ボサノバ・ファンなら必聴でしょう、私にとってもお気に入りの一枚になりました。

(くつろぎ系)