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(900) SALENE JONES / SINGS JOBIM WITH THE JOBIM'S

salena jones(vo), paulo jobim(g,vo), antonio carlos jobim(p),
sebastian nero(b), ricardo costa(ds,per), raul de souza(tb), paulo roberto(fln), etc
1994/JVC/



 1  I Was Just One More For You
 2  Aqua De Beber
 3  Useless Landscape
 4  Quiet Night Of Quiet Stars
 5  Somewhere In The Hills
 6  Dinzi
 7  Desafinado
 8  How Insensitive
 9  Girl From Ipanema
 10  Once I Loved
 11  Meditation
 12  One Note Samba
 13  Bonita
 14  Song Of The Jet


私の癒し系ジャズとしてボサノバがあります。
けだるくゆったりとしたリズムに包まれていると気が休まります。
先日違うCDの探しものをしていたらポロッと出てきました。
サリナ・ジョーンズ(vo)のボサノバ盤でアントニオ・カルロス・ジョビン作品集です。
だいぶ前に買ったものです。
私はヴォーカルはほとんど聴かないけれどサリナはなぜかデビュー時から知っています。
「Alone & Together」(1973)が素晴らしかったのを思い出しました。

今作は価値があるかもしれませんね。
全14曲は全てジョビンの作品で良く知られている曲ばかりです。
加えて作曲者のジョビンと息子のパウロ・ジョビン(g,vo)の親子が共演しているという豪華企画盤。
最初は深くキッチリと歌い込むタイプのサリナのボサノバはどうかな?と思いました。
でも歌の上手さがその懸念を上回っています。
サリナの良く伸びる包み込むようなやわらかな歌声が心地良いです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(899) TONY BENNETT & DIANA KRALL / LOVE IS HERE TO STAY

tony bennett(vo), diana krall(vo),
bill charlap(p), peter washington(b), kenny washington(ds), etc
2018/Verve/


 1  'S Wonderful
 2  My One And Only
 3  But Not For Me
 4  Nice Work If You Can Get It
 5  Love Is Here To Stay
 6  I Got Rhythm
 7  Somebody Loves Me
 8  Do It Again
 9  I've Got A Crush On You
 10  Fascinating Rhythm
 11  They Can't Take That Away From Me
 12  Who Cares ?


トニー・ベネット(vo)とダイアナ・クラール(vo,p)のデュオはガーシュイン兄弟の作品集です。
驚いたのはベネットが90歳を超えていることです。
男性の90歳を超えたヴォーカリストのレコーディングなんて聞いたことがありません。
ピアニストならハンク・ジョーンズとジョン・ルイスがいるけど管楽器奏者では知らないもの。
ジャケットを見てもとてもそんな年には見えませんね。
今作のプロデュースとアレンジはピアニストとして共演しているビル・チャーラップです。
疑問が一つ残りました・・・ここで大活躍しているテナー奏者の名前が見当たりません。
いったい誰なのか?気になります。

ベネットは圧倒的な声量を誇っていた「濃いヴォーカリスト」で若い頃の私はその良さが分からなかった。
対照的に好きだったフランク・シナトラは薄味でポップス色も強かったです。
シナトラが唯一上手いと褒めた相手がベネットだったという話はよく知られています。
多分、まったく持ち味が違ったのでそう言ったんだと思うけど・・・シナトラが褒めるわけがない。

ベネットとクラールは似た者同士かな、声質が似ていて私の二人の印象は「濃い」です。
多分、クラールがベネットの歌が大好きで大きな影響を受けたと思います。
二人のデュオに違和感がなくて男女をあまり感じさせないのは好みが分かれるかも知れませんね。
たださすがにベネットには年を感じるのでクラールが懸命に補佐している形になっています。
「いたわり」ですね。
トータル36分・・・1曲づつが短くベネットに対し凄い気遣いを感じさせる作品です。
それでもなおベネットが今年92歳という年齢を考えると驚異的な歌唱力だと言えます。

私は基本的にベネットはデュオには向かない歌手だと思っていました。
他者とは一線を画す「ワン・アンド・オンリー」の世界を持っていたから。
でも年と共に丸くなって大御所なので相手から望まれることが多くなってきたと思います。
デュオ向きナンバー・ワンの男性歌手はアンディ・ウィリアムスで決まりじゃないかな。

(くつろぎ系)



(898) SCOTT HAMILTON QUARTET / JAZZ SIGNATURES

scott hamilton(ts),
john bunch(p), dave green(b), steve brown(ds)
2001/Concord/



 1  Raincheck
 2  In Your Own Sweet Way
 3  Jitterbug Waltz
 4  If You Could See Me Now
 5  Move
 6  Byas A Drink
 7  You Left Me All Alone
 8  When Lights Are Low
 9  Angel Face
 10  John's Bunch


私にとって癒し系のテナー奏者といえばすぐにスコット・ハミルトン(ts)の名前が浮かんできます。
稀代の多作家でそれこそ世界中でどれほどのアルバムに参加しているのか、本人でも不明だと思います。
まぁね、どれを聴いても金太郎飴的ではあるけれど聴いたことがないCDを見かけるとつい手が出てしまいます。

今作はまず録音が良くて、いきなりクリアなサックスの音が前面に飛び出してきたのビックリしました。
なのでオーディオ・ファンにもお勧めです。
ハミルトンの切れ味も抜群でバックのジョン・バンチ・トリオも素晴らしいです。
全員絶好調の演奏が聴けました。
スコット・ハミルトンの代表作の一枚に上げてもいいと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(897) HANS STAMER / EVERYTHING HAPPENS TO ME

hans stamer(vo).
graeme coleman(p), rene worst(b)., chris nordquist(ds),
russell marsland(g), darryl havers(org), tom colclough(ts),
steve hilliam(ts,bs), vince mai(tp), etc
2009/Brouhaha/


 1  Now Or Never (C Lewis)
 2  The Blues Are Brewin' (L.Alter)
 3  Everything Happen To Me (H.Carmichael)
 4  You Ca 't Lose A Broken Heart (J.Johnson)
 5  When It's Sleepy Time Down South (C.Muse)
 6  I Can't Believe That You're In Love With Me (C.Gaskill)
 7  Good Morning Heartache (E.Drake)
 8  What A little Moonlight Can Do (H.Woods)
 9  All For You (R.Scherman)
 10  I Can't Face The Music (R.Bloom)
 11  Looking For A Place To Park(B.Gaillard)
 12  Gimme A Pigfoot And A Bottle Of Beer (W.Wilson)
 13  Never Saw A Better Day (H.Stanley)


私は「何が何でも欲しいアルバムなんてもうない」と思っていました。
でもこのアルバムだけは「どうしても欲しい」と思ったんです。
ハンス・スタマー(vo)を知ったのは大好きな曲の「Everything Happen To Me」をYouTubeで検索した時です。
もうね、抜群の雰囲気を持っていて一発で魅了されてしまいました。
ここ何年かは聴きたい時にYouTubeで聴いていたんだけど、CDが欲しくてとうとう我慢できなくなりました。
すでに日本では入手困難になっていたのでアメリカに発注したんです。
2週間程度で着く予定が着かないのでやきもきしてましたが3週間経ってようやく届きました。

全13曲のスタンダードはやはり雰囲気が抜群で「やっぱりなぁ〜」と思いました。
ハンス・スタマーの声がいい、バックの演奏がいい、アレンジもいい。
これほど味わいのあるヴォーカルや演奏はそうそう聴けないのではないかと思います。
カナダ盤なんだけどレトロな感覚、ノスタルジックな雰囲気が素晴らしいです。

人にはそれぞれ好みがあって「人がどう思おうが好きなものは好き」なんですね。
音楽、ジャズもそう・・・ジャズ聴きも好きなジャズに出会いたいから聴く。
(3)「Everything Happen To Me」、(6)「I Can't Believe That You're In Love With Me」、
(7)「Good Morning Heartache」、(9)「All For You」のバラードはもう最高です。
珠玉の名曲が詰まっていて心に響くジャズが聴けました。
私にとって今作は思い出に残る一枚になりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(896) GRANT STEWART QUINTET / PLAYS JAZZ BALLADS

grant stewart(ts), peter bernstein(g),
david hazeltine(p), peter washington(b), phil stewart(ds)
2009/Birds/



 1  I'm A Fool To Want You
 2  Luiza
 3  You Don't Know What Love Is
 4  Flamingo
 5  I've Grown Accustomed To Your Face
 6  Everything Happens To Me
 7  Sophisticated Lady
 8  Smoke Gets In Your Eyes


グラント・スチュワート(ts)については現在再評価中です。
茫洋としてちょっとぼやけた印象を持っていたのであんまり意識していなかった。
でもライアン・カイザー(tp)盤やエリック・アレキサンダー(ts)との共演盤で聴く機会は多かったです。
意外にもリーダー作を5枚も持っているので無意識のうちに意識していたのかもしれませんね。
どれを聴いても安心感があるような気がしていたのも事実です。

さて今作はそんなグラントのバラード作品集です。
大好きな「Everything Happens To Me」が入っていたのが入手の決め手になりました。
ところでこの「Everything Happens To Me」の作曲者に2説あるのを知っていますか。
一般的にはマット・デニス(vo,p)なんだけど今週紹介の2枚ではホギー・カーマイケル(p)になってます。
なんでこうなるのか摩訶不思議です・・・どちらが本当なのかな。

全8曲は全てスタンダードでバラードで演奏されています。
グラントにはこういうスローなテンポが合っていて、今作は今まで聴いた中で一番良かったです。
ストレートにゆったりとバラードを吹かせたら歌心満点の良さが出ました。
ここがグラントの神髄だと納得しました・・・私はいつも気付くのが遅いです。
(6)「Everything Happens To Me」はもちろんですが(8)「Smoke Gets In Your Eyes」も素晴らしい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(895) MATT PENMAN QUARTET / GOOD QUESTION

matt penman(b), aaron parks(p,rhodes,org,vib), obed calvaire(ds),
mark turner(ts)(1,2,5,7,8,9), nir felder(g)(6,9), will vinson(ss)(3), rogerio boccato(per)(3)
2018/Sunnyside/


 1  Mr.Right
 2  Small Famous
 3  Fifths And Bayou
 4  Blues And The Alternative Truth
 5  Cave Life
 6  Ride The Paper Tiger
 7  Copeland
 8  Meats
 9  Big Tent. Little Tent


たまにはコンテンポラリーなサウンドを聴かなければということでマット・ペンマン(b)を選びました。
アーロン・パークス(p)とマーク・ターナー(ts)の共演にも惹かれました。
マット・ペンマンをライブで見てからもう10年以上が過ぎてしまいました。
マーク・ターナーもそれくらいになるかな。

全9曲は全てペンマンのオリジナルですが曲想が多彩なので飽きさせません。
ゲストの入れ方も効果的だと思いました。
最近フリー系ジャズを聴くようになったのでまた少し新感覚ジャズの流れが分かったような気がします。
ハード・バップとクールとフリーのジャズとエレクトリックなフュージョンがミックスされている。
現代のジャズ・メンにとってはそれぞれが古典になっていてその全てを吸収して消化しています。
その分、色んなスタイルやリズムの引き出しが多くなっているので多様化している。
結果、以前には聴けなかったサウンドになっています。
グッと情熱を抑制した音遣いはある意味禁欲的で、かえってセクシーさを感じてしまう。
「見えそうで見えない」、「来そうで来ない」というか、焦らしと緊張感に溢れている。
ここが新感覚ジャズの一番の魅力かもしれませんね。
今作は面白かったです。
こういうのを聴くとつくづくジャズは現在進行形だと思いますよ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(894) SWEET JAZZ TRIO / I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO

lasse tornqvist(cor), mats larsson(g), hans backenroth(b)
2003/Arietta/



 1  I Left My Heart In San Francisco
 2  Maybe You'll Be There
 3  Tricotism
 4  Slow Boat To China
 5  Where Are You
 6  New Orleans
 7  You'd Be So Nice To Come Home To
 8  I Guess I'll have To Change M Plan
 9  Wrap Your Ttoubles In Dream


コルネット、ギター、ベースの異色な組み合わせが魅力のスウェーデンのスイート・ジャズ・トリオの作品です。
スイート・ジャズ・トリオは癒し系の最たるグループで疲れた時に聴くには絶好のアルバムになっています。
3人のコンビネーションは最高でやさしくて、甘くて、切なくてアコースティックな美しさに満ち溢れています。
いつでも柔らかくスイングする・・・刺激がないのが最大の魅力になっています。
たまらなく上品で静かな演奏が聴けます。

全10曲は全てスタンダードで占められています。
(1)「I Left My Heart In San Francisco」はトニー・ベネット(vo)の大ヒット曲として知られています。
でもジャズ・メンに演奏されことは意外に少ないと思います。
ソニー・ロリンズの演奏で知られるフランク・レッサーの(4)「Slow Boat To China」も久し振りに聴きました。
究極の癒し系サウンドをどうぞ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(893) BEN PATERSON TRIO / LIVE AT VAN GELDER'S

ben paterson(org), ed cherry(g), jason tiemann(ds)
2018/Cellar Live/


 1  F.S.R (R.Brown)
 2  EDDA (W.Shorter)
 3  Frame For The Blues (S.Hampton)
 4  Green Geans (G.Green)
 5  Enchantment (H.Siver)
 6  The Vibrator (J.Mcduff)
 7  I Remember Clifford (B.Golson)
 8  The Hustler (S,Turrentine)
 9  Easy Time (L.Bellson)
 10  Sweatin' (R.Holmes)


オルガンのベン・パターソンはシカゴ出身でピアノとの二刀流です。
以前、シカゴ・ジャズの大御所のヴォン・フリーマン(ts)との共演盤を聴いたことがあります。
ここはエド・チェリー(g)の参加が決め手になりました。
エド・チェリーはベテラン・ギタリストですが主流派とはちょっと外れたところに位置しています。
そんなこともあって先週のジョシュア・ブレイクストーンと同様にいまひとつ知名度は低いかもしれませんね。
こちらはブラック系のソウルフルなジャズ・ギタリストです。

全10曲は全てジャズ・メンの曲で自身のオリジナルやスタンダードは1曲もありません。
それだけこだわりのある選曲だと思います。
レイ・ブラウン(b)、ウエイン・ショーター(ts)、スライド・ハンプトン(tb)、グラント・グリーン(g)、
ホレス・シルバー(p)、ジャック・マクダフ(org)、ベニー・ゴルソン(ts)、スタンリー・タレンティン(ts)、
ルイ・ベルソン(ds)、リチャード・ホルムズ(org)と多岐にわたっています。
特にハンプトンやベルソンは珍しいかな・・・それだけに色んなジャズを聴き込んできている。

ベン・パターソンはピアノもオルガンも聴かせる多彩な才能の持ち主だと思います。
オルガン・ジャズ特有のブルージーでファンキー&ソウルなサウンドを醸し出しています。
まとわりつくようなベタベタ感を感じさせないのは好みの分かれるところだと思うけど。
共演者にエド・チェリーを選んだことだけでも好センスを感じました。
近年のオルガン盤としては出色の出来で久々のオルガンのニュースター登場になって欲しいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(892) MICHEL LEGRAND TRIO / PARISIAN BLUE

michel legrand(p), mark michel le bevillon(b), andre ceccarelli(ds)
1991/Alfa/



 1  What Are You Doing The Rest Of Your Life
 2  The Summer Of '42
 3  You Must Believe In Spring
 4  Once Upon A Summertime
 5  Golden Sun
 6  A Yourself Why
 7  Brians Song
 8  His Eyes - Her Eyes
 9  I Was Born In Love With You
 10  I Will Wait For You
 11  After The Rain
 12  Parisian Blue
 13  I Will Say Goodbye


フランスのミシェル・ルグラン・トリオの作品はジャケットもお洒落です。
フリー系ピアニストとは対象的でオーソドックスなピアニストも面白いのではと選びました。
両極端を味わう・・・「こんな聴き方もあるか」としばらく続けようかと思っています。
ルグランは作曲家、アレンジャー、コンポーザーとして有名ですがジャズ・ピアニストとしての実力も持っています。
多くの映画音楽を作曲していてスタンダード化している名曲も多いです。

全13曲は全て自身のオリジナルで占められていてジャズ・メンが好む曲も多い。
(2)「邦題:思い出の夏」と(10)「邦題:シェルブールの雨傘」が有名ですね。
(3)「You Must Believe In Spring」と(4)「Once Upon A Summertime」もよく演奏されています。
作曲者自身がどんな解釈で弾くのか・・・そこが最大の興味で聴きどころだと思います。
ルグランはなんなくジャズをもこなしてしまう・・・物凄いテクニシャンでそのピアノは流麗、華麗です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(891) JOSHUA BREAKSTONE TRIO / CHILDREN OF ART
A Tribute To Art Blakey's Jazz Messengers

joshua breakstone(g), martin wind(b), eliot zigmund(ds)
2017/Capri/


 1  The Witch Dovter (L.Morgan)
 2  Splendid (W.Davis Jr)
 3  Holy Land (C.Walton)
 4  El Toro (W.Shorter)
 5  Lonely Woman (H.Siver)
 6  Stablemates (B.Golson)
 7  Breakthrough (H.Mobley)
 8  Children Of Art (J.Breakstone)


ジョシュア・ブレイクストーンはベテラン・ギタリストではあるけれどいまひとつ知名度は低いかもしれませんね。
ウエスト・コースト系の洗練されたジャズ・ギタリストです。
加えて「ベンチャーズ」や「ビートルズ」のトリビュート・アルバムも出しているのでポップス系の味もあります。
今作はジャズ・メッセンジャーズで馴染んだ曲に焦点を合わせてきました。
ちなみにブレイクストーンは熱心な親日家として知られていて1年に数回来日してはライブ活動を行っています。
ライブに行くとバラードのゆったり感が心地良いギターが聴けます。

全8曲は自身のオリジナル1曲を除いて全てジャズ・メッセンジャーズの愛奏曲になっています。
作曲者にはリー・モーガン(tp)、ワルター・デイヴィス(p)、シダー・ウォルトン(p)、ウエイン・ショーター(ts)、
ホレス・シルバー(p)、ベニー・ゴルソン(ts)、ハンク・モブレイ(ts)とメッセンジャーズで活躍した錚々たるメンバーが並んでいます。
私は近年シダー・ウォルトンを再評価しているので(3)「Holy Land」が一番の聴きどころになりました。
ウォルトンもまた良い曲を書いています。
ブレイクストーンは慌てず騒がずの落ち着いたプレイぶりで安定感は十分です。
マーティン・ウィンド(b)とエリオット・ジグモンド(ds)とのトリオ・メンバーもシブい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(890) SARAH MORROW QUINTET / THE AMERICAN ALL STARS IN PARIS

sarah morrow(tb), hal singer(ts), rhoda scott(org),
wayne dockery & peter giron(b), john betsch & jeff boudreaux(ds),
gary carney(arr),
2005/O+ Music/



 1  And The Angels Sing
 2  All Star Boogie
 3  Blue Monk
 4  Worksong
 5  You've Changed
 6  Sweet And Lovely
 7  Simone
 8  Love For Sale
 9  I Got It Bad And That Ain't Good
 10  Honeysuckle Rose


ちょっと前にトロンボーンが聴きたくて購入したアルバムです。
サラ・モロウは初見、女性トロンボーン奏者です。
「アメリカン・オール・スターズ」って銘打っているけど勉強不足でほとんど知らない人ばかりだった。
でも内容は中々のもので楽しめました。

全10曲は自身のオリジナル(2)を除いては全てジャズのスタンダード・ナンバーの構成です。
基本的にクインテット編成だけど重厚なサウンドになっています。
ソウルフルで重量級のオルガン&テナー&トロンボーンの絡みがそう感じさせるのかもしれません。
時々音程やコンビネーションがあやしくなるけどその不安定さがまた魅力になっているかな。
アレンジはいいと思います。
(4)「Worksonng」〜(5)「You've Changed」の流れが良かった。
特に(5)におけるサラのトロンボーンのバラード・プレイが秀逸でした。
フランク・フォスター(ts)の名曲(7)「Simone」の選曲がシブいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(889) PHIL STEWART TRIO & QUARTET & QUINTET / MELODIOUS DRUM

phil stewart(ds), sacha perry(p), paul sikivie(b),
grant stewart(ts,as)(2,4,6,7), chris byars(ts)(2,5,7,9),
joe magnarelli(tp)(1,2,7)
2017/Cellar Live/


 1  Manteca (D.Gillespie)
 2  Dance Of The Infidels (E.Powell)
 3  Far Sure (S.Perry)
 4  The Sumo (J.Benko)
 5  Erratic (S.Perry)
 6  This Is All I Ask (J.Jenkins)
 7  Spache (G.Coleman)
 8  Eronel (T.Monk)
 9  The Doctor Is In (C.Byars)
 10  Livin With Hobson (S.Perry)


今作はハード・バップ・ドラマー、フィル・スチュワートの初リーダー・アルバムです。
フィル・スチュワートはテナー奏者のグラント・スチュワートの弟です。
近年は名前を見る機会が多くなりました。

全10曲はメンバーのオリジナル4曲とその他6曲の構成です。
特に3曲を提供しているサシャ・ペリー(p)は共演歴も長く黒幕的な存在だと思います。
つまりサシャ・ペリー・トリオに管楽器が乗った形になっています。
兄のグラント・スチュワート(ta,as)が4曲、クリス・バイヤーズ(ts)が4曲、ジョー・マグナレリ(tp)が3曲です。
注目はやはりサシャのピアノになりました。
触れ込みではバド・パウエル〜バリー・ハリスということですが私はセロニアス・モンクの影を強く感じました。
フィルのドラムスはいまひとつかな・・・益々の精進を期待しています。
ベストはモンク的アプローチを見せる(4)「The Sumo」です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(888) AZAR LAWRENCE QUINTET / ELEMEMTALS

azar lawrence(ts), benito gonzales(p),
jeff littleton(b), martin"smitty"smith(ds), munyungo jackson(per)
2018/HighNote/


 1  La Bossa (A.Lawrence)
 2  Eye Of The Needle(A.Lawrence)
 3  Elememtals (A.Lawrence)
 4  Brazilian Girls(B.Gonzales)
 5  Solar Winds (A.Lawrence)
 6  Koko (A.Lawrence)
 7  African Chant (B.Gonzales)
 8  Sing To The World (B.Gonzales)
 9  It's Easy To Remember(R.Rodgers/L.Hart)
 10  Karma Sutra (A.Lawrence)


エイゾー・ローレンス(ts)の新譜です。
ジョン・コルトレーン(ts)直系のサックス奏者は数多く存在するけどこのエイゾーもその一人です。
最近はそんなサックス奏者を聴くことが多くなりました。
アーチー・シェップ、ファラオ・サンダース、ゲイリー・バーツ、カルロス・ガーネットなど。

エイゾー・ローレンスが知られるようになったのはマッコイ・タイナー(p)との共演からだと思います。
* McCoy Tyner / Enlightenment (1973/Milestone)

ウディ・ショウ(tp)の名盤にも参加している。
* Woody Shaw / The Moontrane (1974/Muse)

マイルス・デイビス(tp)との共演盤もあるようですが記憶に残っていません。

全10曲は自身のオリジナル6曲とメンバーのベニト・ゴンザレス(p)が3曲、その他1曲の構成です。
ただ1曲のスタンダード「It's Easy To Remember」も心憎い演出だと思います。
共演のベニト・ゴンザレスはマッコイそのものなので相性は抜群です。
基本はラテン&アフリカ・サウンドですが曲想も豊かでバランスのとれた作品になっています。
リズムが強烈でマッコイ直系を感じさせるパワフルでうねくるサウンドにガツンときました。
やはりブラック系のサックス奏者は力強く求心力がある・・・エイゾー・ローレンスの才能が満開です。
今作が良かったのでさかのぼって聴いてみたいと思っています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(887) VON FREEMAN QUARTET / GOOD FOREVER

von freeman(ts),
richard wyands(p), john webber(b), jimmy cobb(ds)
2006/Premonition/



 1  Why Try To Change Me Now
 2  An Affair To Remember
 3  A Night In Paris
 4  Smile
 5  I'll Never Be Free
 6  Didn't We


ヴォン・フリーマン(ts)の2006年の作品です。
なんとこの時フリーマンは83歳、かくしゃくとしたプレイ振りからはとても信じられません。
共演者がリチャード・ワイアンズ(p)にジミー・コブ(ds)というんだから垂涎盤の一枚です。
フリーマンはシカゴ・ジャズの大物だけどローカル・ミュージシャンなので知名度はいまひとつかも。
特にバラード奏法が素晴らしくてその野太い音色と時折混じるフリー・トーンに引き付けられてしまいます。

全6曲は自身のオリジナル1曲(3)とその他5曲の構成です。
(1)「Why Try To Change Me Now」はシブい選曲・・・フランク・シナトラのヒット曲として知られています。
(2)「An Affair To Remember」がロマンティックで良かった。
この曲は映画「めぐり逢い」の主題歌、ケーリー・グラントとデボラ・カーの美男美女が主演でした。
チャップリンの(4)「Smile」も小品ですが心に沁みました。
全体を通して寄り添うようなワイアンズのピアノがまた心憎いばかりです。
バーのカウンターに座ってグラスを傾けながらBGMでそっと聴いたら最高だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)」



(886) JEREMY LEDBETTER TRIO / GOT A LIGHT ?

jeremy ledbetter(p), rich brown(b), larnell lewis(ds)
eliana cuevas(vo)(3), leila ledbetter(vo)(3), reimundo sosa (bata)(6)
2018/Alma/


 1  Amanecer
 2  Got A Light ?
 3  Her New Wings
 4  About Climbing Mountains
 5  Mais Um
 6  Suspirito
 7  Gift Shop (R.Baker/G.Downie)
 8  The Pepper Drinker
 9  The Tightrope Walker


ジャケ買い、ジェレミー・レドベター(p)はは初見、先週に引き続いてのカナダ盤です。
聴いてみるとフュージョン系のピアノ・トリオでした。
クロスオーバーとかフュージョンが流行ったのは1970年前後でもう50年前になります。
今の若い人からみたらすでに古典なんだけどバップ・ジャズよりは目新しいのかもしれませんね。
ピアノとキーボード、ウッド・ベースとエレキ・ベースの両刀遣いでヴォーカルも入っています。
スタイルとしてはクインシー・ジョーンズ(p,arr)、ボブ・ジェームス(p)、ラムゼイ・ルイス(p)、
ハービー・ハンコック(p)、チック・コリア(p)、ジョー・サンプル(p)などがやり尽くしています。
でも久々に聴くと爽やかで清冽な感じがしました。

全9曲は1曲を除いて全てレドベタ−のオリジナルです。
面白かったのは最もフュージョンぽい(3)「Her New Wings」です。
歌手のエリアーナ・クエヴァスは南米ベネズエラ生まれ、カナダ・オンタリオ在住。
この人がとても良い雰囲気を出しているので他でも聴いてみたいと思いました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(885) SLIDING HAMMERS / A PLACE TO BE
This CD is dedicated to the memory of JJ Johnson

mimmi pettersson hammar(tb.vo), karin hammer(tb,arr),
mathias algotsson(p), tommy johnson(b), ronnie gardiner(ds),
2001/Gazell/



 1  Chega De Saudade (No More Blues)
 2  If I Should Lose You
 3  All My Tomorrows
 4  Our Love Is Here To Stay
 5  Israel
 6  Theme Fom Picnic
 7  I Love Being Here With You
 8  Jenny Song
 9  Getxo Blues
 10  Softly As In A Morning Sunrise
 11  Blame It On My Youth


この猛暑に参ってしまって「何か癒し系の作品はないだろうか?」と思いました。
それで選んだのがこれです。
「スライディング・ハマーズ」はミミ・ぺターソン・ハマーとカリン・ハマーの姉妹トロンボーン奏者です。
2本のトロンボーンといえばJJ・ジョンソンとカイ・ウインディングの「J&K」がつとに有名です。
そう、この二人のお手本はここにありました。
今作の副題には「JJ・ジョンソンに捧げる」とあります。

ただここは女性が二人なのでソフトでしなやかさに溢れています。
姉妹のコンビネーションは抜群で特にミミのヴォーカルとカリンのトロンボーンの絡みが好きです。
ゆる〜くボワ〜ンとしている、ノンビリ感とルーズ感が最大の魅力だと思います。
ボサノバのリズムとやさしいヴォーカルが心を癒してくれます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(884) JOANI TAYLOR / IN A SENTIMENTAL MOOD

joani taylor(voice),
pj perry(as,ts), miles black(p), neil swainson(b)
2018/Cellar Live/


 1  This Can't Be Love (R.Rodgers/L.Hart)
 2  In A Sentimental Mood (E.Ellington/M.kurtz)
 3  Embraceble You (I&G.Gershwin)
 4  Alfie (B.Bacharach/H.David)
 5  Undecided (C.Shavers)
 6  Sentimental Journey (B.Green/L.Brown)
 7  Lover Man (J Davis)
 8  Love Walked In (I&G.Gershwin)
 9  A Ghost Of A Cgance/I Can't Get Started
(V.Young/B.Crosby & N.Washington/V.Duke&I&G.Gershwin)
 10  More Than You Know (V.Youmans/B.Rose/E.Eliscu)
 11  Be My Love (S.Cahn/N.Brodszky)
 12  I Just Had To Hear Your Voice (O.Adams)


ジョアニ・テイラー(voice)は初見、カナダ盤です。
最初にCD裏のメンバーを見た時、ヴォーカルじゃなくてヴォイスになっているのに興味を引かれた。
ジョアニ・テイラーは歌じゃなくて語りか?と思いました。
PJ・ペリー(ts)やニール・スウェインソン(b)のバックも気になるところです。

全12曲はよく知られたスタンダードのバラード集です。
聴いてみるとインパクトがありました。
予想通りというか、歌と語りの中間で声に力があります。
こういう歌い方をする人はけっこういると思いました。
主には舞台俳優や映画俳優出身で感情の盛り上げ方が上手い劇場型ヴォーカリストです。
このタイプは歌より味で勝負します。
ジョアニとサックス、ジョアニとピアノ、ジョアニとベースのデュオに聴こえるところもある。
特にスウェインソンのベースの存在感は抜群です。
聴きどころが多いですがマイ・ベストはバカラックのヒット曲の(4)「Alfie」になりました。
(7)「Lover Man」も良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(883) DAVID MATTHEWS SEXTET / IMPRESSIONS

david matthews(p,arr,cod),
ryan kisor(tp), jim pugh(tb), aaron heick(ts),
chip jackson(b), jimmy madison(ds)
2002/Videoarts/



 1  Impressions
 2  Whisper Not
 3  Li'l Darling
 4  The Moldau
 5  These Foolish Things
 6  Rachmanioff Symphony #2
 7  Concorde
 8  Piano Concierto #1
 9  Blue Monk
 10  I Can't Get Started


いやぁ〜、これは良かったです。
デヴィッド・マシューズ(p)といえば「マンハッタン・ジャズ・クインテット」なんだけどこんな作品がポツンとあるなんてね。
M・J・Q(モダン・ジャズ・カルテット)と紛らわしいM・J・Q(マンハッタン・ジャズ・クインテット)は1984年の結成です。
M・J・Qじゃないこの作品がどんな経緯で出されたのか・・・ちょっと見逃がしてしまうアルバムです。
これはピアニストとしてのマシューズよりアレンジャーとしてのマシューズに焦点を当てたものだと思います。
アレンジャーとして、コンダクターとしてのマシューズの実力が十二分に発揮されています。
私は聴き始めてからグイグイと引き込まれていく自分に気付きました。

全10曲はジョン・コルトレーン(ts)の(1)、ベニー・ゴルソン(ts)の(2)、ジョン・ヘンドリックス(vo)の(3)、
ジョン・ルイス(p)の(7)、セロニアス・モンク(p)の(9)など、モダン・ジャズの名曲が並んでいて圧巻です。
特に(6)、(8)のクラシック曲がこれほど上手くジャズ化されているのは聴いたことがありません。
ラフマニノフやチャイコフスキーがこんなジャズになっちゃうなんて・・・マシューズは凄いです。
ちなみに私はクラシックのジャズ化が好きじゃないのでCDに入っていても普段は飛ばしてしまいます。
ライアン・カイザーの鋭いトランペットの響きとチップ・ジャクソンの強靭なベース・プレイも聴きどころです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(882) NICKI PARROTT / STOMPIN' AT THE SAVOY

nicki parrott(vo,b), byron stripling(tp,vo),
john di martino(p), alvin atkinson(ds)
2018/Venus/


 1  It Ain't Necessarily So (I&G.Gershwin)
 2  Gee, Baby, Ain't I Good To You (A.Razaf/D.Redman)
 3  They Can't Take That Away From Me (I&G.Gershwin)
 4  It Don't Mean A Thing (I.Mills/D.Ellington)
 5  Cheek To Cheek (I.Berlin)
 6  Everytime We Say Goodbye (C.Porter)
 7  Dream A Little Dream Of Me (G.Kahn)
 8  Stompin' At The Savoy (A.Razaf/B.Goodman)
 9  Mr Paganini (S.Coslow)
 10  Summertime (I&G.Gershwin)
 11  Tea For Two (I.Caesar/V.Youmans)
 12  Our Love Is Here To Stay (I&G.Gershwin)
 13  Evil Gal Blues (L.Feather/L.Hampton)
 14  This Time The Dream's On Me (J.Mercer/H.Arlen)


ニッキ・パロット(vo,b)の新譜を買ってみました。
帯中には「エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロングに捧ぐ」とありました。
パロットは人気があるので枚数も多く「手を替え品を替え」の手法を取らねばなりません。
相手はトランペットとヴォーカルのバイロン・ストリップリングです。

全14曲は古いスタンダードが中心でガーシュイン兄弟の4曲が目を引きます。
どうも今作は企画先行だったような気がします。
私にはパロットとストリップリングは合わなかった・・・ムード不足かな。
ストリップリングの張り切り過ぎもあったと思います。
というわけでトランペット抜きのソロで歌われた4曲が聴きどころになりました。
(6)「Everytime We Say Goodbye」、(9)「Mr. Paganini」、(11)「Tea For Two」、
(14)「This Time The Dream's On Me」がそうです。
特に「Everytime We Say Goodbye」は好きな曲なので入っているとつい手が伸びてしまいます。

(くつろぎ系)



(881) JAVON JACKSON QUARTET / EXPRESSION

javon jackson(ts),
orrin evans(p), corcoran holt(b), mcclenty hunter(ds)
2014/Smoke Sessions/



 1  One By One
 2  Don't You Worry 'bout a Thing
 3  T.J
 4  When I Fall In Love
 5  Think On Me
 6  Mr.Taylor
 7  Where Is The Love
 8  Lelia
 9  Richard's R.A.P.
 10  88 Strong


ジャヴォン・ジャクソン(ts)も50代になりました。
ジャヴォンはデビュー時から知っていて気になるテナー奏者の一人です。
ジャズ・メッセンジャーズの最後のテナー奏者としても知られています。

全10曲は自身のオリジナルが5曲とその他5曲の構成でバランスがいいです。
(1)「One By One」はウェイン・ショーター(ts)の作品でジャヴォンの思いが伝わってきました。
やはりメッセンジャーズ時代が彼のルーツになっているという訳ですね。
(2)「Don't You Worry 'bout a Thing」はスティービー・ワンダーの曲でソウル・ファンクの味わいがあります。
ジャヴォンは一時期その路線に乗ったこともありました。
ジャヴォンは爽やかで澄んだテナー・サックスの音色を持っています。
それは(4)「When I Fall In Love」や(8)「Lelia」のバラードでその魅力が満喫出来ました。
(7)「Where Is The Love」はラルフ・マクドナルド(per)の作品でラテン・リズムに乗っています。
(8)「Richard's R.A.P」のラップ・サウンドも入っている。
つまり今回のライブ作品はジャヴォンの集大成のアルバムになっていると思います。

共演のコーコラン・ホルト(b)は付き合いも長く盟友の間柄、マックレンティ・ハンター(ds)とのコンビネーションもいいです。
オーリン・エヴァンスのクリアでしっとりとしたピアノも聴きどころになりました。
ジャヴォンはソニー・ロリンズ(ts)とジョン・コルトレーン(ts)のミックス・タイプでテナーの王道を行く一人です。
でも残念ながら今まで作品には恵まれていなかった。
過小評価されているジャズ・メンの一人だと思っていました。
今作はそんな不満を一掃した一枚でジャヴォン・ジャクソンの代表作になるのは間違いないです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(880) EDUARDO BLANCO QUARTET / CHILDHOOD MEMORIES

eduardo blanco(tp),
dirk balthaus(p), jean louis rassinfosse(b), rene de hilster(ds)
2018/CAR BOP SA Records/


 1  Larambebere's Message (E.Blanco)
 2  The Lamp Is Low (P.Derose)
 3  Antigua (A.C.Jobim)
 4  For Enternity (E.Blanco)
 5  Childhood Memories (E.Blanco)
 6  Blues For You (E.Blanco)
 7  King Solomon And Princess Isabella (E.Blanco)


またも出ました”チェット・ベイカーの再来”トランぺッターです。
相変わらずのキャッチフレーズで少々食傷気味になってます・・・が、そのフレーズには弱い。
結局、チェット風のジャケットに惹かれて買ってしまいました。
エデュアード・ブランコ(tp)は初見、アルゼンチン出身で現在はオランダで活躍中だそうです。
今CDの録音はギリシャなのでギリシャ盤ということになるのかな。

全7曲は自身のオリジナル5曲にその他2曲の構成です。
聴いてみるとこれが素晴らしかったです。
若かりし頃の溌溂として超クールなチェット・ベイカーを彷彿とさせる演奏でした。
チェット・ファンは必聴だと思いますよ・・・これにはハマる人も多いんじゃないかな。
無名でも時々こういう人が現れてくれるのでCDショップ通いは止められません。
自分の感性で買ったアルバムが大当たりなのは競馬の大穴的中にも通じる。
デローズの名曲、(2)「The Lamp Is Low」は最高です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(879) JIM SNIDERO & JEREMY PELT QUINTET / JUBILATION !
Celebrating Cannonball Adderley

jim snidero(as), jeremy pelt(tp),
david hazeltine(p), nat reeves(b), billy drummond(ds)
2018/Savant/


 1  Party Time (J.Pelt)
 2  Del Sasser (S.Jones)
 3  Wabash (J.Adderley)
 4  Saudade (W.Booker)
 5  Stars Fell On Alabama (M.Parish/F.Perkins)
 6  Sack o' Woe (J.Adderley)
 7  Ball's 90th (J.Snidero)
 8  Work Song (N.Adderley)


ジャズ盤には先人のトリビュート盤も多いですね。
先週はマッコイ・タイナー(p)だったけど今週はキャノンボール・アダレイ(as)です。
ジム・スナイデロ(as)とジェレミー・ペルト(tp)のフロント2管とピアニストはデヴィッド・ヘイゼルタインです。
ナット・リーヴス(b)とビリー・ドラモンド(ds)が脇を固めています。

全10曲はスナイデロとペルトのオリジナルが1曲づつと8曲のキャノンボールのヒット曲が並んでいます。
まぁね、こういう企画は本物に優るものはないけれどやりたくなる心情は分かります。
ここでの聴きどころは(5)「Stars Fell On Alabama」(邦題:星降るアラバマ)です。
このバラードは曲自体がキレイで良いですがキャノンボール・アダレイに決定的な名演があります。
だからこそみんなが取り上げるんだけど足元にも及びません。

* Cannonball Adderley Quintet In Chicago (1959/Emarcy)

上記のアルバムでで聴けるのでまだの方は是非聴いてみて下さい。

全体的によく出来た仕上がりで(6)「Sack o' Woe」や(8){Work Song」も聴きどころになりました。
特に「Work Song」は名演だと思います。
キャノンボール・トリビュート盤としてはお勧めの一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(878) KIM BARTH & MICHAEL P. MOSSMAN SEXTET / LATE NIGHT COFFEE

kim barth(as,fl), michael mossman(tp), paulo morello(g),
dudu penz(b), cliff almond(ds), heinrich klingmann(cong),
2014/Enja/



 1  Late Night Coffee
 2  Spanish Fire
 3  Song For My Little Daughter
 4  Temple Of Dendur
 5  Boda En Grinon
 6  A Song For Horace
 7  Eu Vou Voltar
 8  Down In Dumbo
 9  Quiero Ir Contigo
 10  Blues For Barretto
 11  Partido Blue


マイケル・フィリップ・モスマン(tp)の懐かしい名前を見たので手が伸びました。
モスマンは1980年代に大活躍したトランぺッターです。
ジャズ・メッセンジャーズやホレス・シルバー・クインテットに在団しました。
OTB(Out Of The Blue Note)も新生BNの大注目バンドで人気があったのをよく覚えています。
ここのメンバーはマイケル・モスマン(tp)、ケニー・ギャレット(as)、ラルフ・ボウエン(ts)、
ハリー・ピッケンス(p)、ロバート・ハースト(b)、ラルフ・ピーターソン(ds)が名前を連ねていました。
ギャレットやピーターソンのその後の活躍は知られていますね。

さてここはドイツのサックス奏者のキム・バースとモスマンのフロント2管。
熱い熱いブラジリアン・ラテン・サウンドが聴けました。
全11曲は全て二人のオリジナルで占められていて定番のボサノバ曲がないのも面白かったです。
今作は同時にホレス・シルバー(p)に捧げるアルバムにもなっているようです。
こういったサウンドに欠かせないのがギターでパウロ・モレロのプレイにも注目しました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(877) BENITO GONZALEZ TRIO / PASSION REVERENCE TRANSCENDENCE
The Music Of McCoy Tyner

benito gonzalez(p), essiet essiet(b), gerry gibbs(ds)
2018/Wailing City Sound/


 1  Fly With The Wind
 2  Just Feelin'
 3  Rotunda
 4  Festival In Bahia
 5  Blues On The Corner
 6  The Greeting
 7  You Taught My Heart To Sing
 8  Atlantis
 9  Inner Glimpse
 10  Naima (J.Coltrane)
 11  Tyner Trane Express (E.Essiet)
 12  Between Friends (G.Gibbs)
 13  Brazilian Girls (B.Gonzalez)


今作は「The Music Of McCoy Tyner」の文字に引かれました。
現代のジャズ・ピアニストのルーツは大きく分けて4つあると思っています。
キース・ジャレット、ハービー・ハンコック、チック・コリア、マッコイ・タイナーです。
ここのベニト・ゴンザレス(p)はマッコイに心底から傾倒しているようですね。

全13曲はマッコイのオリジナル1〜9とその他4曲の構成です。
変な話、マッコイ以上にマッコイらしいアルバムです。
私はお腹がいっぱいになってしまいました。
ここまで徹底してやられたら何も言うことはありません。

(中間系)



(876) MICHAEL KANAN & DAVID SILLS DUO / THE SWEETEST MELODY

michael kanan(p), david sills(ts)
2012/Gut String/



 1  Wrap Your Troubles In Dream
 2  All The Things You Are
 3  Gone With The Wind
 4  Get Out Of Town
 5  Blues In Ten
 6  Sweet And Lovely
 7  I Let A Song Go Out Of My Heart
 8  I'll Be Seeing You
 9  How Little We Know
 10  Stairway To The Stars
 11  Milestones


「The Sweetest Melody」の表題に惹かれて入手しました。
それに中堅プレイヤーのマイケル・カナン(p)とデヴィッド・シルズ(ts)の組み合わせにも興味を引かれた。
デュオ・アルバムも数多く存在するけれど私は刺激的であるほど面白いと思っています。
ガチンコ勝負のぶつかり合いがいいです。

全11曲は(5)のシルズのオリジナルを除いてスタンダード曲の構成です。
思ったよりずっと大人しい仕上がりでした。
淡々と流れていく・・・二人は多分、同じような感覚を持つミュージシャンだと思います。
優等生的で調和重視型は刺激を求める私にはちょっと合わなかったです。

(くつろぎ系)



(875) SEBASTIEN CHAUMONT QUARTET / MOONGLOW

sebastien chaumont(as),
marc devine(p), hassan shakur(b), fukushi tainaka(ds)
2015/ITI/


 1  Moonglow (W.Hadson/I.Mills/E.Delange)
 2  Tuesday's Rain (S.Chaumont)
 3  Sunflowers and Butterflies (S.Chaumont)
 4  Short Cut (S.Chaumont)
 5  What's This All About (M.Devine)
 6  Time Is Yours (K.A.Briscoe)
 7  There Is A Small Hotel (Rodgers & Hart)
 8  We'll Be Together Again (Fischer & Lane)
 9  Slama's (O.Slama)
 10  Busted (H.Harlan)


セバスティン・チャウモントと発音すればいいのかな?・・・フランス出身のアルト奏者です。
初めて聴いた時に驚いてしまいました・・・今時こんな演奏が聴けるなんて・・・。
ジャケットを見た時に以前どこかで見たことがあると思いました。
そう、1950年代のシブいモノトーンと佇まいのジャケットはソニー・スティット(as,ts)にそっくりですね。
内容がまたスタイルもサウンドもスティットにそっくりなんです。
つまりチャウモントのお手本はスティットでとても分かり易く、加えて若い頃のアート・ペッパー(as)の味もあります。

全10曲は自身のオリジナル3曲、メンバーが1曲、その他6曲の構成です。
(7)「There Is A Small Hotel」〜(8)「We'll Be Together Again」と続くスタンダードは雰囲気抜群。
オリジナルでは(5)「What's This All About」が良かったです。
このアルト・サックスの音色が素晴らしくて古き良き時代を彷彿とさせます。
まさに掘り出し物の一枚で私は参ってしまいました。
みなさんにも是非一度この音色を聴いてもらえればと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(874) NICKI PARROTT & KEN PEPLOWSKI / LIKE A LOVER

nicki parrott(vo,b), ken peplowski(ts,cl)
2011/Venus/



 1  Blue Moon
 2  Everything I Love
 3  Hey There
 4  Sway/Whatever Lola Wants
 5  I've Grown Accustomed To His Face
 6  Sleepin'Bee
 7  In The Wee Small Hours Of The Morning
 8  When I Grow Too Old To Dream
 9  Like A Lover
 10  Mad About The Boy
 11  Here, There, And Everywhere
 12  What'll~I Do ?
 13  How Could You Do A Thing Like That To Me
 14  For No One


ニッキ・パロットもまた日本で人気のある女性ジャズ・ヴォーカリストですね。
女性のベーシストは珍しいけれどさらに歌手というのはこのニッキ・パロットしか知りません。
声質はセクシーながらクセがなく、ストレートでオーソドックスな歌い方が魅力です。
本人がベーシストだということが大きく影響していると思います。

全14曲はスタンダード中心だけど(11)、(14)のレノン&マッカートニーの作品が新味です。
基本的にベース1本で作りたかったヴォーカル盤だと思います。
でもいくら何でもそれでは重いかとケン・ぺプロウスキーのサックスとクラリネットが加わった感じがしました。
パロットとペプロウスキーのデュオ・アルバムとして聴いても面白いのでその狙いは成功です。
つまりベース&ヴォーカル/ベース&サックス、クラリネット/サックス、クラリネット&ヴォーカルの3つが楽しめます。
パロットとしてもヴォーカル異色盤になりました。

私はヴォーカルと楽器1本という組み合わせがけっこう好きです。
ヴォーカル&ピアノ、ヴォーカル&ギターは定番だけど、デュオだとヴォーカリストの力量がそのまま伝わってくるから。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(873) RONNIE CUBER TRIO / RONNIE'S TRIO

ronnie cuber(bs), jay anderson(b), adam nussbaum(ds)
2018/Steeplechase/


 1  Silver's Serenade (H.Silver)
 2  What Is This Thing Called Love (C.Poter)
 3  St.Thomas (S.Rollins)
 4  Jean-Marie (R.Mathews)
 5  Body And Soul(J.Green)
 6  The Jody Grind (H.Silver)
 7  Just Squeeze Me (D.Ellington)
 8  Bernie's Tune (B.miller)
 9  So Danco Samba (A.C.Jobim)
 10  Honeysuckle Rose (F.Waller)
 11  All The Things You Are (J.Kern)
 12  Lover Come Back To Me (S.Romberg)


ロニー・キューバー(bs)・・・バリトン・サックスのピアノレス・トリオは珍しいので手が伸びました。
前回のキューバーの作品紹介で私はこんなことを書いていました。

・・・思うにバリトン・サックス奏者のワン・ホーン・アルバムって本当に少ないですね。
アメリカのクールなジェリー・マリガン〜ニック・ブリグノラのラインは消えたような気がします。
ペッパー・アダムス〜ロニー・キューバー〜ゲイリー・スマリアンの線はかろうじて残っているか。
でも若手?のスマリアンになるといささか趣が違ってきます。
あとはハミエット・ブルーイェットですがフリー系、ジェームス・カーターも専門家じゃないしね。

若い頃のキューバーのパワフルなバリトンは凄いですよ。ハミエットといい勝負です。
以前、バリトン・オフ会を開いた時に大音量で聴いたらみんなぶっ飛んでしまいました。
バリトンのフュージョン盤を作っているのも彼だけで中々にユニークなバリトン奏者です。
年齢は68歳でハミエットと同年代です。・・・

全12曲はオリジナルなしの全曲がスタンダード・ナンバーと言ってもいいと思います。
ホレス・シルバー(p)が2曲入っていて特に(6)「The Jody Grind」は大好きな曲です。
キューバーは現在76歳になりました。
年齢を感じさせないほど元気なプレイを聴かせてくれているのは嬉しい限りです。
味わい深いバリトン・サックスを聴く・・・ただそれだけで満足です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(872) GENE JACKSON TRIO / POWER OF LOVE

gene jackson(ds), gabriel guerrero(p), carlo de rosa(b)
2018/Agate/


 1  I Love You (C.Porter)
 2  Great River (G,Jackson)
 3  Peaceful Tremor (C.D.Rosa)
 4  Lighting (G.Guerrero)
 5  Played Twice(T.Monk)
 6  Land Of The Free (G.Guerrero)
 7  Neptune (C.D.Rosa)
 8  Ugly Beauty (T.Monk)
 9  Before Then (G,Jackson)
 10  Lapso (G.Guerrero)


ジーン・ジャクソン(ds)の初リーダー・アルバムを買ってみました。
ジャクソンのキャリアからすると意外というか遅すぎる初リーダーアルバムではありますね。
ジーン・ジャクソンは日本在住のドラマーでライブ・ハウスのスケジュールでも見かけることが多いです。
私も何度か見る機会がありました。
ジャクソンは1961年生まれ、バークリー出身でハービー・ハンコック(p)のグループ入りで知られるようになりました。
ハンコックに選ばれたようにその実力は高く評価されています。

全10曲は自身のオリジナルが2曲とメンバーのオリジナル5曲、その他3曲の構成です。
メンバーに選んだのはガブリエル・ゲレロ(p)とカルロ・デ・ローザ(b)のラテン系の二人です。
ゲレロはコロンビア出身のピアニストで新感覚を持っています。
ここでも刺激的な演奏を繰り広げていて中々に魅力的なピアニストです。
今作ではセロニアス・モンク(p)が2曲取り上げているのが興味深かったです。
ジャクソンが意図したものは何か?
つまりジャクソンが目指したのはラテン・ピアノ・トリオによるモンク・サウンドだったと思います。
ジャクソンのドラミングもさることながらゲレロのピアノが印象に残る作品です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(871) JOE MAGNARELLI QUINTET / MAGIC TRICK

joe magnarelli(tp), andy fusco(as),
john hart(g), ben wolfe(b), byron landon(ds)
2018/SteepleChase/


 1  Akira's Riff (J.Magnarelli)
 2  2nd Anniversary (J.Magnarelli)
 3  Vercelli (J.Magnarelli)
 4  Polkadots And Moonbeams (J.V.Heusen)
 5  If I love Again (B.Oakland)
 6  Remember (I.Berlin)
 7  Theme For Ernie (F.Lacey)
 8  Magic Trick (J.Magnarelli)
 9  L.O.V.E (B.Kaempfer)
 10  Along Came Betty (B.Golson)


ジョー・マグナレリ・・・ちょっとトランペットが聴きたいと思って手が伸びました。
比較的地味なトランぺッターだと思うけど、かといってそれほど知名度が低いわけでもありません。
先週の中堅ピアニストのビリー・チャイルズに続いて今週は中堅トランぺッターの作品になりました。

全10曲は自身のオリジナル4曲とその他6曲の構成です。
(4)「Polkadots And Moonbeams」はチェット・ベイカーの名演以来トランぺッターの愛奏曲になっています。
デュオ・・・ここでマグナレリはギター一本をバックに味わい深い演奏を聴かせてくれました。
続くジョン・ハートのギター・プレイにも注目しました。
オリジナルではやはり表題曲になった(8)「Magic Trick」が聴きどころになります。
コンテンポラリーなテーマと曲想を持っていて今の時代にはピッタリな感じがしました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(870) BILLY CHILDS QUARTET / REBIRTH

billy childs(p),
steve wilson(as,ss), hans glawischnig(b), eric harland(ds)
claudia acuna(vo)(2), ido meshulam(tb)(2), rrogerio boccato(per)(2),
alicia olatuja(vo)(3)

2017/Mack Avenue/


 1  Backwards Bop (B.Childs)
 2  Rebirth (B.Childs)
 3  Stay (B.Childs)
 4  Dance Of Shiva (B.Childs)
 5  Tightrope (B.Childs)
 6  The Starry Night (B.Childs)
 7  The Windmills Of Your Mind (M.Legland)
 8  Peace (H.Silver)


中堅ピアニストのビリー・チャイルズの作品。
ジャズ友のMさんがチャイルズのライブを見て絶賛していたので買ってみました。
聴いたらこれが素晴らしかったです。
今までのイメージがまるで変ってしまった・・・前作ではグラミー賞も取ったようです。
あわてず騒がずの控えめで地味なピアニストだと思っていたのでこの変化に驚いてしまいました。
まぁ、それほど聴いていたわけでもないので私が知らなかっただけかも知れませんが・・・。
それにしても短期間にこれ程の変貌を遂げるというのも珍しいとは思います。
まさに一皮むけた気がします。
題名の「Rebirth」というのもピッタリです。

全8曲は自身のオリジナル6曲とその他2曲の構成です。
1曲目のオリジナルを聴いてガツンときました。
チャイルズの強力なタッチとエリック・ハーランドの疾走するドラミングが抜群のコンビネーションを生み出しています。
さらにスティーヴ・ウィルソンの泣きのアルト・サックスの響きが緊張感に溢れています。
2曲目にクラウディア・アクーニャ、3曲目にアリシア・オラトゥージャのヴォーカルが入り新味が加わっています。
この(1)〜(3)の流れが最高で今作の聴きどころになると思います。
その他の2曲がミッシェル・ルグランとホレス・シルバーというのも面白かったです。
ある意味両極端にあるピアニストだけどチャイルズは二人共好きなんだろうね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(869) HARRY ALLEN & JOE TEMPERLEY QUINTET / COCKTSAILS FOR TWO

harry allen(ts), joe temperley(bs),
john bunch(p), greg cohen(b), jake hanna(ds)
2006/Sackville/



 1  Cocktails For Two
 2  Blues In The Closet
 3  My Romance
 4  I've Got The World On A String
 5  Tangerine
 6  Everything Happens To Me
 7  Polka Dots & Moonbeams
 8  In A Mellotone
 9  Sweet & Lovely
 10  Jumpin' At The Woodside


未紹介だったハリー・アレン(ts)の2006年作品です。
ベテラン・バリトン・サックス奏者のジョー・テンパーレイとの共演盤です。
アレンが40歳でテンパーレイが76歳時の録音、ちなみにテンパーレイは86歳で亡くなりました。

全10曲は全てスタンダード作品です。
ジャム・セッション的雰囲気もあるのでみんなが知っている曲になったと思う。
アットホームでリラックスした演奏を聴くことが出来ました。
マット・デニスの(6)「Everything Happens To Me」とエリントンの(8)「In A Mellotone」は大好きな曲です。
(2)「Blues In The Closet」や(4)「I've Got The World On A String」、(9)「Sweet & Lovely」も良かった。
こういうスイング系の演奏をやらせたらアレンの横に出る人はいませんね。
抜群の安定感を誇る・・・だからベテラン・ジャズメンとの相性も抜群です。

つくづくアレンは貴重なテナー・サックス奏者だと思います。
レスター・ヤング〜スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、アル・コーンの系図を見事に受け継いでいます。
同時にベン・ウェブスター〜スコット・ハミルトンのラインも持っています。
ハリー・アレンにはこの系統を守っていってほしいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(868) HARRY ALLEN QUARTET / RECADO BOSSA NOVA

harry allen(ts),
joe beck(g), hassan shaker(b), adriano santos(ds)
2006/Swing Bros/



 1  He Loves And She Loves
 2  I Wish I Were (In Love Again)
 3  Corcovado
 4  Manha De Carnaval
 5  Recado Bossa Nova
 6  Do I love You (Because You're Beautiful)
 7  Ela E Carioca
 8  Bim-Bom
 9  The Windmills Of Your Mind
 10  E Luxo So
 11  The Girl From Ipanema
 12  So Danco Samba


あまりに寒いのでせめてボサノバでも聴いて夏の雰囲気を出そうか。
ということでハリー・アレン(ts)のボサノバ盤を一枚選びました。
一応、ハリー・アレンは収集対象の一人ですが多作家なのでとても追いかけ切れません。
多分、現役のジャズ・メンの中では一番じゃないでしょうか・・・まぁ、それだけ人気のある証拠ですが。
ぼちぼちと集めていて紹介していない作品も何枚か持ってます。

アレンのボサノバはポスト・スタン・ゲッツ(ts)の大本命で定評があります。
まぁね、どれを聴いても金太郎飴的ではあるけれど有名曲やリズムが同じではしょうがないです。
でもこの心地良い調べからはどうしても離れることが出来ません。
今作もいいですよ・・・アレンのボサノバ盤の上位にあげてもいいと思う。
ここはジョー・ベック(g)が新味だけどベックのシブいギター・プレイが聴きどころです。
ベックはフュージョン・シーンで一時代を築いた名手ですが2008年に62歳で亡くなっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(867) ELIOT ZIGMUND QUARTET / LIVE AT SMALLS

eliot zigmund(ds),
matt garrison(ts,ss), allen farnham(p), david kingsnorth(b)
2018/Smalls Live/


 1  9 Doyers Street (M.Garrison)
 2  Tenderly (W.Gross)
 3  The Glide (R.Towner)
 4  The Remembered (B.Evans)
 5  Remediation (E.Zigmund)
 6  For Heaven's Sake (E.Bretton/S.Edwards/D.Meyer)
 7  Re: Person I Knew (B.Evans)
 8  You'll Know When You See Herr (M.Garrison)


エリオット・ジグムンド(ds)の懐かしい名前を見かけたので手が伸びました。
元ビル・エヴァンス・トリオのドラマーで「アフィニティ」(1979)はエヴァンスの後期名盤として知られています。

全8曲はメンバーのオリジナル3曲とエヴァンスが2曲、その他3曲の構成です。
マット・ギャリソンのワン・ホーン・アルバムでエヴァンス派のアラン・ファーナム(p)の起用はピッタリだと思います。
ジグムンドは多弁になってもどうるさくない・・・端正で趣味の良いドラミングが聴けました。
ライブとは感じさせない落ち着いてシットリとした作品に仕上がっています。
スタンダードの(2)「Tenderly」とギャリソンのソプラノが熱い(3)「The Glide」がお気に入りになりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(866) EVA FERNANDEZ QUINTET / THAT DARKNESS

eva fernandez(vo,as), david pastor(tp),
josep lluis guart(p), miquel angel cordero(b), toni pages(ds)
2015/Taller De Musics/


 1  My Favorite Things (R.Rogers/Oscar Hammerstein)
 2  Love Is A Losing Game (A.Winehouse)
 3  Dream A Little Dream (F.Andre/W.Schwandt/G.Kahn)
 4  Never Will I Marry (F.Loesser)
 5  That Darkness (E.Fernandez)
 6  Diz Que Eu Fui Por Ai (Z.Keti/H.Rocha)
 7  El Dia Que Me Quieras (C.Cardel/A.L.Pera)
 8  Nadir (D.Pastor)


エヴァ・フェルナンデス(vo,as)は初見、スペイン期待の若手ジャズ・ミュージシャンだそうです。
初めて耳にした時に「どこかで聴いたことがあったような気がする」と思いました。
2曲目にエイミー・ワインハウス(vo)の曲が入っていました。
・・・そうだワインハウスだった。
ワインハウスは若くして非業の死を遂げたイギリスの女性ヴォーカリスト。
破滅型の人生だったけれど若い女性ミュージシャンに与えた影響は大きかった。
サウンド的にエヴァの持つ雰囲気はワインハウスにそっくりです。

エヴァの初リーダー・アルバム
全8曲はメンバーのオリジナルが2曲とその他6曲の構成です。
メンバーで知られているのはデヴィッド・パストール(tp)ですね。
前述したけど歌い方はエイミー・ワインハウスによく似ています。
エヴァのオリジナリティが出てくるのはもう少し先になるかな。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(865) ALAIN JEAN-MARIE TRIO & QUARTET / FRIENDS MEETING

(1,3,5,7,9,11) : alain jean-marie(p), gus nemeth(b), al levitt(ds),
(2,4,6,8,10,12) : alain jean-marie(p), andre condouant(g), patrice caratini(b), oliver johnson(ds)
1982/Disque Debs/



 1  Short Play
 2  Groovin Up
 3  Bongo Bop
 4  Island Song
 5  Skylark
 6  Hubb's Bag
 7  Al's Groove
 8  Kako
 9  Cosmaunaute
 10  Bubble Gum
 11  Jeanine
 12  Tranes Mirror


最近のピアノ聴きのお気に入りは先日紹介したビル・メイズとこのアラン・ジェーン・マリーです。
今作はピアノ・トリオとギター入りカルテットの両方が楽しめる徳用盤です。

全12曲はメンバーのオリジナル7曲にその他5曲の構成です。
トリオはスタンダードが中心でカルテットはアンドレ・コンデュアント(g)のオリジナルが中心になっています。
つまり一粒で二度美味しい作品ということですね。
マリーはカリブ海出身のビギンの名手で切れ味鋭い華麗なピアノを聴かせてくれます。
当然ここに参加の友人達もカリブ海の香りがするけどみんながテクニシャンなので驚きました。
独特のリズム感と明るさを持った作品です。
特にアンドレ・コンデュアントに注目しました・・・流麗なギターさばき素晴らしいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(864) SADAO WATANABE
LIVE AT THE JUNK / HOW'S EVERYTHING


 渡辺貞夫(as),増尾好秋(g), 鈴木良雄(b), 渡辺文男(ds)
1969/Sony/
        渡辺貞夫(as,ss,fl),
dave grusin(key,arr), richerd tee(key), eric gale(g),
jeff mironov(g), anthony jackson(elb), steve gadd(ds),
ralph mcdonald(per), jon faddis(tp),
the tokyo philharmonic orchestra
1980/Sony/
         
 1 Cheryl        1 Up Country
 2 If I Said The Sky Was Fallin'        2 Mzuri
 3 Georgia On My Mind        3 Tsumagoi
 4 This Guy's In Love With You        4 All About You
 5 No More Blues        5 Nice Shot
 6 Here's That Rainy Day        6 Seeing You
 7 Granny's Samba        7 No Problem
         8 Boa Noite
         9 Sun Dance
         10 M&M Studio
         11 My Dear Life


渡辺貞夫(as)さんのライブ復刻廉価盤を2枚購入しました。
ここは帯中の解説で十分だと思うので転載↓させてもらうことにしました。
特に前者は圧倒的な演奏で身震いするほどの素晴らしさです。
間違いなく貞夫さんが日本のジャズ界を背負っていたと実感しました。
後者は日本がバブル絶頂期を迎えようとしていた時代で何も恐れるものはなかった。
もう二度とは出来ない豪華絢爛盤です。

■渡辺貞夫/ライブ・アット・ザ・ジュンク

銀座にあった伝説のジャズ・クラブ「ジャンク」を熱狂の渦にまきこんだ渡辺貞夫・カルテットのライブ・レコーディング。
充実の一途をたどっていた渡辺のサックス、
後年の大成を予感させる若き増尾好秋や鈴木良雄の快演がビ・バップやボサノバ・ナンバーに映える。
渡辺の代表作ひとつであるばかりではなく、日本のジャズ史上に輝くマスト・アイテム。
(帯中よりの転載)

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」


■渡辺貞夫/ハウズ・エヴリシング

渡辺貞夫(as)さんジャズ・フュージョン界の快挙として今なお語られる
1980年の日本武道館公演のエッセンスを収めたライブ・アルバム。
音楽監督はデイヴ・グルーシンが担当し、スティーヴ・ガッド、エリック・ゲイル等を軸としたバンドに加え、
東京フィルハーモニーも参加。これまで以上に雄大なフュージョン・サウンドが展開される。
ここに収録されている「マイ・ディア・ライフ」を同曲のベストとする声も高い。
(帯中よりの転載)




(863) MARC MOMMAAS & NIKOLAJ HESS DUO / BALLADS AND STANDARDS

marc mommaas(ts), nikolaj hess(p),
thomas morgan(b)(2,3,6), vic juris(g)(5)
2015/Sunny Side/


 1  The Peacocks (J.Rowles)
 2  Ask Me Now (T.Monk)
 3  The Shadow Of Your Smile (J.Mandel)
 4  In A Sentimental Mood (D.Ellongton)
 5  Somewhere Over The Rainbow (H.Arlen)
 6  Never Let Me Go (J.Livingston)
 7  Body And Soul (J.Green)


先週の「マイケル・カナン(p)とデヴィッド・シルズ(ts)のデュオ」に続いてもう1枚買ってみました。
こちらはオランダ出身のマーク・モマース(ts)とデンマーク出身のニコライ・ヘス(p)のデュオです。
先週の題名が「The Sweetest Melody」なら、こちらは「Ballads And Standards」です。
2枚は似たような企画ですが中身は全然違っていました。
一方はストレートでハート・ウォームな作品、もう一方は超クールで静謐な作品です。

全7曲は良く知られたスタンダードをバラードで演奏しています。
3曲にベーシストのトーマス・モーガンと1曲にギタリストのヴィック・ヨリスが加わっています。
1曲目の「The Peacocks」はピアニストのジミー・ロウルズの作品でジャズ・メンが好んで演奏している名曲です。
モマースとヘスのデュオは緊張感に溢れていてギュッと胸を締め付けられる思いがしました。
どれも素晴らしい演奏が詰まっていてテナー&ピアノのデュオ名盤の1枚になります。
特にジェイ・リビングストンの(6)「Never Let Me Go」はこの曲のベスト・プレイが聴けました。
今作は良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(862) BILL MAYS TRIO / LIVE AT JAZZ STANDARD

bill mays(p), martin wind(b), matt wilson(ds)
2005/Palmetto/



 1  Have You Met Miss Jones ?
 2  Squeeze Me
 3  How Are Things In Glocca Morra ?
 4  Darn That Dream
 5  Music House
 6  Let's Call This
 7   Euterpe
 8   Willow Weep For Me
 9   When Will The Blues Leave ?
 10   Smile


究極の癒し系ピアニスト、ビル・メイズの2005年作品です。
ライブ盤ですがその優しさや美しさのタッチは相変わらずで完成度の高いアルバムになっています。
メンバーもマーティン・ウィンド(b)とマット・ウィルソン(ds)というシブい組み合わせです。

全10曲は自身のオリジナル2曲にその他8曲の構成です。
1曲目の「Have You Met Miss Jones ?」を聴けばこのトリオの良さが一目瞭然です。
アルバム全体を包むスイング感がなんともたまりませんよ・・・これこそがメイズの持ち味だと思います。
これだけのゆったり感とくつろぎ感は中々に味わうことが出来ません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(861) GIOVANNI MIRABASSI QUARTET / NO WAY OUT

giovanni mirabassi(p), gianluca renzi(b), lukmil perez herrero(ds),
stefon harris(vib)
2015/Cam Jazz/


 1  No Way Out
 2  The Snow While Syndrome
 3  Two Finger Snaps
 4  L'Audace
 5  Palm'air
 6  What Was That Dream About
 7  Canzone
 8  UBandolero Stanco


そろそろヴィブラフォン聴きも終わりにしたいと思っています。
最後を飾るのはステフォン・ハリス(vib)です。
ステフォンは自己のアルバムでは一ひねりあるので他に何かないかと探しました。
で、見つけたのがこれです。
ストレートなジョヴァンニ・ミラバッシ(p)との共演盤なら間違いないと思いました。

ミラバッシもまた先々週に紹介したウラジミール・シャフラノフ(p)と同様にサワノが見出したジャズ・ピアニストです。
私のサワノのピアノ・ベスト3はこの二人にヨス・ヴァン・ビースト(p)を加えた3人です。
3人の中で一番刺激的な音を聴かせてくれるのが今回のミラバッシでさすがにイタリア・ジャズ界は層が厚い。

全8曲は全てミラバッシ自身のオリジナルで占められています。
スタンダードが1曲もないですがミラバッシは作曲能力にも秀でているので飽きさせません。
つくづくミラバッシのピアノは凄い・・・変幻自在に展開するフレーズは新鮮で刺激的です。
ステフォンも美しく華麗なミラバッシのピアノに触発されて幻想的なヴァイブ演奏を聴かせてくれました。
こんなにストレートで熱いステフォンを聴くのは初めてだと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(860) ALINA ENGIBARYAN / DRIVING DOWN THE ROAD

alina engibaryan(vo),
alex sipiagin(tp), seamus blake(ts), sergej avanesov(ss)(6,10),
misha tsiganov(p), boris kozlov(b), donald edwards(ds),
jd walter(vo)(2)
2016/N.C Music/


 1  Driving Down The Road (M.Tsiganov/A.Engibaryan)
 2  Love Song (A.Engibaryan/J.Walter)
 3  Make Sure You're Sure (S.Wonder)
 4  Hope And Despair (M.Tsiganov/A.Engibaryan)
 5  Creepin' (S.Wonder)
 6  Snova (P.Metheny/A.Engibaryan)
 7  Sound Advice (J.Bergonzi/A.Engibaryan)
 8  Another Rainy Day (M.Tsiganov/A.Engibaryan)
 9  All Or Nothing At All (A.Altman/J.Lawrence)


「Alina Engibaryan(vo)」は初見、「アリーナ・エンギバーヤン」と読めばいいのかな。
ロシア出身の若手ジャズ・ヴォーカリストです。
ジャズ友でヴォーカル通のTさんが「ジャズ度が高いヴォーカル盤」として紹介してくれました。

いいですね、この人は・・・久々にガツンときた女性ジャズ・ヴォーカリストです。
声質はちょっとかすれたハスキー・ボイスだけど生々しさを感じさせないのが特徴かな。
アレックス・シピアギン(tp)をはじめロシア出身の強力プレイヤーが脇を固めています。
加えて注目のシーマス・ブレイク(ts)やドナルド・エドワーズ(ds)まで参加しています。

全9曲は自身のオリジナル1曲とその他8曲の構成ですが5曲は自身が作詞しています。
エンギバーヤンはシンガー・ソングライターの一面も持っているようですね。
それはスティービー・ワンダーが2曲含まれていることに繋がっているかも。
パット・メセニー(g)はともかくジェリー・バーゴンジ(ts)の曲は珍しいと思います。
ただ1曲のスタンダードの(9)「All Or Nothing At All」のバックにはキーボードが起用されました。
1曲目の「Driving Down The Road」のドライブ感とノリにグイと引き込まれることは確実です。
2曲目の自作曲「Love Song」は男性ヴォーカリストとのデュオです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(859) ELIANE ELIAS / DANCE OF TIME

Eliane Elias(p,vo),
Amilton Godoy(p), Marcus Teixeira(acg), Conrado Goys(elg),
Toquinho(g,vo), Marcelo Mariano(elb),Celso De Almeida(ds),
Edu Ribeiro(ds), Gustavo Di Dalva(per), Marivaldo Dos Santos(per),
Joao Bosco(vo,g), Mike Mainieri(vib), Randy Brecker(flh)
Mark Kibble (backb),etc
2017/Concord/


 1  O Pato (Jayme Silva/Neuza Teixeira)
 2  You Are Getting Tio Me A Habit With Me (Harry Warren)
 3  Copacabana (Joao de Barro/Al Dubin)
 4  Coisa Feita (Joao Bosco)
 5  By Hand (Eliane Elias)
 6  Sambou Sambou (Joao Donato)
 7  Little Paradise (Eliane Elias)
 8  Speak Low (Kurt Weill)
 9  Samba De Orly (Toquinho)
 10  Na Batucada da (Ary Barroso/Luiz Peixoto)
 11  An Up Dawn (Eliane Elias)
 12  Not To Cry (Toquinho/Eliane Elias)


遅ればせながらイリアーヌ・イリアス(vo,p)の新作を入手しました。
イリアーヌの声質は好みです。
イリアーヌはこのところ好アルバムを連発していて絶好調だと思います。
前作の「メイド・イン・ブラジル」はグラミー賞を獲得しました。
女性の50代もまたジャズ・プレイヤーとして旬を迎えている気がします。
今作もブラジルの名人達との共演でその持ち味を十分に発揮しています。
さすがにブラジル出身だけにリズムのノリは抜群でイリアーヌ独特のものです。

全12曲は自身のオリジナル4曲とその他8曲の構成です。
ベストには男性ヴォーカルとのデュオを2曲上げたいと思います。
ジョアン・ボスコの(4)「Coisa Feita」とトッキーニョの(9)「SambaDe Orly」です。
ボスコとトッキーニョのブラジリアン・リズムに心底参った・・・何とも味わい深いヴォーカルは格別です。
ただ1曲のスタンダードの「Speak Low」は異色だけどこの曲のボサノバは珍しいかも。
ランディ・ブレッカーのフリューゲル・ホーンが効果的です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(858) LAURENCE HOBGOOD TRIO / HONOR THY FATHERS

laurence hobgood(g), john patitucci(b), kendrick scott(ds)
2015/Circumstantial/



 1  Sanctuary (Hobgood)
 2  Straighten Up And Fly Right (I.Mills)
 3  Triptich (Hobgood)
 4  Give Me The Simple Life (H.Ruby)
 5  The Waltz (Hobgood)
 6  The Road Home (Hobgood)
 7  If It's Magic (S.Wonder)
 8  Shirakumo No Michi (Whiteb Cloud Way) (Hobgood)


いや〜、これは出だしのピアノの音に参ってしまった。
抜群の雰囲気を持っています。
ローレンス・ホブグッド(p)は初見、聞けばチャーリー・ヘイデン(b)とのデュオが話題だったらしい。
CDショップのお勧めコーナーにあったので買ってみました。
共演のジョン・パティトゥッチ(b)とケンドリック・スコット(ds)にも興味を惹かれました。
メンバー的にも間違いのないピアノ・トリオということです。

全8曲は自身のオリジナル5曲とその他3曲の構成です。
スティーヴィ-・ワンダーの(7)「If It's Magic」が異色でしょうか。
(8)「白雲の道」は日本での印象を書いたものでしょうね。
ホブグッドは物凄いテクニシャンでキッチリとクラシックを勉強したのがよく分かります。
余裕十分のタッチとよどみのないフレーズには魅力あります。
何といっても滋味に溢れて深みのあるピアノ音が素晴らしいと思いました。

後記
ホブグッドは初めてと思っていましたが一時期よく聴いていたカート・エリング(vo)のピアニストでした。
エリングのヴォーカルばかりに耳が向いていて気が付きませんでした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(857) FABRIZIO BOSSO QUARTET / FOUR FRIENDS IN BARI

fabrizio bosso(tp),
guido di leone(g), giuseppe bassi(b), mimmo campanale(ds)
2012/Fo(u)r/



 1  King Dorian (Di.Leone)
 2  Wide Green Eyes (Bosso)
 3  Bernie's Tune (Miller)
 4  E La Chiamano Estate (Martino)
 5  But Not For Me (Gershwin)
 6  Awing ? (Bassi)
 7  Nostalgia Di Cuba (Di Leone)
 8  Just Friends (Klenner)
 9  The Nearness Of You (Carmichael)
 10  Mack The Knife (Weill)
 11  But Not For Me (Gershwin)


ファブリジオ・ボッソ(tp)の2012年の作品です。
先日、CDショップに新譜を買いに出かけたけどめぼしいものがなくてこれを買ってきました。
ボッソのワン・ホーンのスタンダード作品集なら間違いないだろうと思いました。
バックがギター・トリオというのが新味かも知れませんね。
ボッソのことだから刺激的ではあるけれどリラックスしたボッソが聴けました。
ふと気が付くとボッソはやわらかくまろやかな音色になってました。
ボッソももう40代半ばになっているんですね。
(9)「The Nearness Of You」は大好きな曲でこれが入っていると大抵買ってしまう。
ライブでも時々リクエストする時がありますよ。
トランペットの(10)「Mack The Knife」は珍しいんじゃないかな。
ここでのボッソが凄い・・・自由自在にラッパを操るテクニシャン振りに驚いてしまいました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(856) JOE LOCKE QUARTET / LAY DOWN MY HEART/
Blues & Ballads Vol 1

joe locke(vib),
ryan cohan(p), david finck(b), jaimeo brown(ds)
2013/Motema/



 1  Ain't No Sunshine (B.Withers)
 2  Broken Toy (J.Locke)
 3  Bittersweet (S.Jones)
 4  I Can't Make You Love Me (M.Reid/A.Shamblin)
 5  The Meanibg Of The Blues (B.Troup)
 6  Simone (F.Foster)
 7  This New October (J.Locke)
 8   Makin' Whoopee (W.Donaldson/G.Kahn)
 9   Dedicated To You (S.Cahn/S.Chaplin)


ヴィブラフォン聴きの14枚目はジョー・ロックです。
先週、スティーヴ・ネルソンを聴いたのでロックも聴かないと片手落ちになりますね。
ロックも久し振りでしたがこれを聴いた時、正直「ジョー・ロックってこんなに良かったっけ」という感想です。
ロックは幅広い音楽性の持ち主で器用過ぎるというか一貫性に欠けると思っていました。
今作は副題になった「ブルース&バラーズ」と決め打ちしたのが功を奏した気がします。

全9曲は自身のオリジナルが2曲とその他7曲の構成です。
ビル・ウィザーズ(vo)の(1)、フランク・フォスター(ts)の名曲(6)の選曲は凝ってます。
サム・ジョーンズの(3)はプロデューサーとして名を連ねているベーシストのデヴィッド・フィンクの選曲かな。
ボビー・トゥループの代表作の(5)「The Meaning Of The Blues」は大好きな曲です。
ライアン・コーアンは初めて聴くピアニストですが切れ味鋭い瑞々しいタッチが良かった。
ベストは全員が一丸となった素晴らしいプレイを聴かせる前述の(6)「Simone」です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(855) STEVE NELSON QUARTET / BROTHERS UNDER THE SUN

steve nelson(vib),
danny grissett(p), peter washington(b), lewis nash(ds)
2017/HighNote/



 1  The More I See You (H.Warren/M.Gordon)
 2  Eastern Joy Dance (M.Miller)
 3  Grew's Tune (M.Miller)
 4  Soul-Leo (M.Miller)
 5  It Never Entered My Mind (R.Rodgers/L.Hart)
 6  Samba D'blue (M.Miller)
 7  Brother's Under The Sun (M.Miller)
 8   For Those Who Do (M.Miller)
 9   New Wheels (M.Miller)
 10   Melody For Mulgrew (D.Grissett)


ヴィブラフォン聴きの12枚目は10年振りに出たスティーヴ・ネルソンの新譜です。
ピアノ入りのカルテット編成でマルグリュー・ミラー(p)のトリビュート作品になっています。
ミラーは2013年に57歳で亡くなりました・・・まだまだこれからだったのに早過ぎますよ。
ミラーが知られるようになったのはジャズ・メッセンジャーズへの参加からです。
私はトニー・ウィリアムス(ds)・クインテットが一番印象に残っています。
サイドマンとしての力量には定評がありました。
ネルソンとミラーは同世代で共演も多く、気心の知れた仲でジャズ盟友だったと思います。

全10曲はミラーの曲が7曲とその他3曲の構成です。
ネルソンはミルト・ジャクソン〜ボビー・ハッチャーソンの流れを汲む主流派、いわば王道をいくヴァイブ奏者です。
暑くもなく寒くもなく、気取ったところや尖がったところもなく、最もオーソドックスなスタイルを持っています。
重量感と広がりのあるサウンドはクリアで美しく、刺激にはやや欠けるけれど、その分安定感と安心感は十分です。
年は下ですがちょっとひねた感のあるジョー・ロック(vib)とは好対照だと思います。

共演者ではダニー・グリセットに注目しました・・・ネルソンがミラーの代わりに選んだピアニストです。
グリセットは瑞々しい感覚の持ち主でネルソンとのコンビネーションが今作の決め手になりました。
ルイス・ナッシュ(ds)とピーター・ワシントンのリズムセクションも満点です。
ベストは全員が一丸となって突っ込んでくる(9)「New Wheels」を上げておきます。
続くグリセットのオリジナル(10)「Melody For Mulgrew」も良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(854) HOUSTON PERSON SEXTET / RAIN OR SHINE

houston person(ts), warren vache(cor)(1,2,4,6,8), rodney jones(g)(except7),
lafayette harris(p), matthew parrish(b), vincent ector(ds)
2017/High Note/


 1  Come Rsain Or Come Shine (J.Mercer/H.Arlen)
 2  132nd And Madison (O.A.Gumbs)
 3  Everything Must Change (B.Ighner)
 4  Learnin' The Blues (D.V.Silvers)
 5  I Wonder Where Our Love Has Gone (B.Johnson)
 6  Soupbone (R.Jones)
 7  Never Let Me Go (J.W.Scott)
 8  Our Day Will Come (M.Garson/B.Hilliard)
 9  Danny Boy (Public Domain)


ヒューストン・パーソン(ts)は83歳になりました。
まだ意欲は十分に感じる・・・この年でのリーダー・アルバムは凄いです。
多少の衰えは感じるけれどもしょうがない・・・むしろここまで現役でいることだけでも立派です。
パーソンより年上で頑張っているのは84歳になったウェイン・ショーター(ts)以外には思い浮かびません。
どこまで現役でいられるのかには興味があります。
ピアニストだとハンク・ジョーンズの91歳、ジョン・ルイスの90歳が記憶に残っています。

全9曲はメンバーのオリジナル1曲にその他8曲の構成です。
共演者での注目はウォーレン・バシェ(cor)とロドニー・ジョーンズ(g)です。
バシェは意外な組み合わせ・・・ソウル色の強い演奏は初めて聴きました。
同じコルネット奏者のナット・アダレイやルビー・ブラフの影響下にあるのがよく分かりました。
ロドニー・ジョーンズはファンキー&ソウルなギタリストなので相性ピッタリの組み合わせです。
ベストはワン・ホーンでじっくりと聴かせる(3)「Everything Must Change」です。
ここではジョーンズの艶やかでユニークな素晴らしいギター・プレイが聴けました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(853) ILLINOIS JACQUET QUARTET / LIVE AT SCHAFFHAUSEN SWITZERLAND

illinois jacquet(ts),
hank jones(p), george duvivier(b), j.c.heard(ds)
1978Rec/Storyville/



 1  What Is This Thing Called Love ?
 2  Body And Soul
 3  Wee Dot
 4  Doctor's Blues
 5  Exactly Like You
 6  A Night In Tunisia
 7   Cute
 8   The Very Thought Of You
 9   Oh, Look At Me Now
 10   Blue And Sentimemtal
 11   In A Sentimental Mood
 12   George's Blues
 13   Things Ain't What They Used To Be
 14   I Wanna Blow Now
 15   On The Sunny Side Of The Styreet


イリノイ・ジャケーの1978年のライブ盤。
ジャケー56才時の録音です。
ジャケーは典型的なテキサス・テナー奏者で、どでかい音でサックスを吹くホンカーの元祖といえるジャズ・マンです。
この系統にはアーネット・コブやバディ・テイトが知られているかな。
その他にもキング・カーティス、ウィリス・ジャクソン、スタンリー・タレンティン、エディ・ロックジョー・デイビス、
デヴィッド・ファトヘッド・ニューマン、デクスター・ゴードン、ジョニー・グリフィン等々、影響を受けたサックス奏者が数多くいます。
ジャケーの場合は一般のジャズ・ファンよりもプロのミュージシャンに人気があるような気がします。
多分あんな風に吹きたいと思うんだろうね。
でもそう簡単には吹けないから魅力があるんだと思います。
変な言い方ですが「ジャケーの美しいだみ声」はそう簡単にはマネできません。

全15曲はスタンダードが中心です。
共演者がハンク・ジョーンズ(p)にジョージ・デュヴィヴィエ(b)、J.C.ハード(ds)というトリオです
特にジョージ・デュヴィヴィエはこういったテナー奏者にはぴったりのベーシストです。
ジャケーが相手ではとてもじゃないが、がっちりとしたベーシストじゃないともちませんよ。
ところどころでフューチュアーされますが強靭で素晴らしいベース・プレイを聴かせます。
ハンク・ジョーンズのいつになくパワフルなピアノ・タッチにも注目しました。
なお司会はジャケー本人が務めているのでその声が聞けるのも貴重だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(852) BLUE NOTE ALL-STARS / OUR POINT OF VIEW

ambrose akinmusire(tp), marcus strickland(ts), lionel loueke(g),
robert glasper(p), derrick hodge(b), kendrick scott(ds)
wayne shorter(ss)(disk2-1), herbie hancock(p)(disk2-1)
2017/Blue Note/


Disk1
 1  Bruce's Vibe (R.Glasper)
 2  Cycling Through Reality (K.Scott)
 3  Meanings (M.Strickland)
 4  Henya (A.Akinmusire)
 5  Witch Hunt (W.Shorter)
 6  Second Light (D.Hodge)

Disk2
 1  Masquelero (W.Shorter)
 2  Bayyinah (R.Glasper)
 3  Message Of Hope (D.Hodge)
 4  Freedom Dance (L.Loueke)
 5  Bruce, The Last Dinosaur (A.Akinmusire)


たまには最新のジャズ・サウンドも聴かないといけないと思っています。
「BLUE NOTE ALL-STARS」・・・これならその狙いにピッタリかと購入してみました。
まぁ、凄いメンバーですね・・・これだけのメンバーが揃えば悪かろうはずがない。
特に聴いてみたかったのはデビュー時以来遠ざかってしまったロバート・グラスパー(p)です。
なお1曲だけウェイン・ショーター(ts)とハービー・ハンコック(p)がゲスト共演しています。
ファンへのサービスと考えたのでしょうがこれは必要なかったと思います。

CD2枚組、全11曲はショーターの2曲を除いてメンバーのオリジナルです。
全体的に重量級の演奏が聴けました。
変拍子とドラムスが前面に出てくるサウンドは近年の流行でそれはここでも変わりません。
Disk1の方が聴き易く、Disk2の方が挑戦的という印象を受けました。

Disk1のベストは(2)「Cycling Through Reality」で全員の強烈で弾ける演奏が聴けました。
Disk2のベストは最も注目した(4)「Freedom Dance」でした。
作者は西アフリカのベナン共和国出身のリオーネル・ルエケ(g)です。
今作のサウンドの決め手はグラスパーもさることながらこのルエケではないかと思いました。
彼の演奏は同じアフリカのカメルーン出身のマルチ奏者のリチャード・ボナの影響が大きいです。
アフリカ的リズムの凄いところは自然に身体が揺れてきます。
2017年の最後を飾るにふさわしい作品でした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(851) WARNE MARSH QUARTET
THE UNLSSUED 1975 COPENHAGEN STUDIO RECORDING / I GOT A GOOD ONE FOR YOU


 warne marsh(ts),
dave cliff(g), N-H orsted pedersen(b), alan levitt(ds)
1975/Storyville/
        warne marsh(ts),
kenny drew(p), bo stief(b), aage tanggaard(ds)
1980/Storyville/
         
 1 Blues In G Flat        1 I Got A Good One For You
 2 After You've Gone        2 Sophisticated Lady
 3 The Song Is You        3 On Green Dolphin Street
 4 Lennie Bird        4 Siooin' At Bells
 5 It's You Or No One        5 Ev'rytime We Say Goodbye
 6 God Bless The Child        6 Little Willie Leaps
 7 The Way You Look Tonight        7 Easy To Love
 8 Without A Song        8 Body And Soul
 9 You Don't Know What Love Is        9 Ornithology
 10 Be My Love        10 Star Eyes
 11 Lennie Bird (Alternate Take)        11 Softly As In A Morning Sunrise


ワーン・マーシュ(ts)のストリーヴィル復刻廉価盤を2枚購入しました。
ここで買っておかないと入手困難になるのは確実と思ったからです。
マーシュは日本のジャズ・ファンに人気があるので売り切れるのは時間の問題。
「LP、CDは見つけた時に買え」はジャズ・ファンの鉄則です。
「肩越しからそれを狙っている人がいる」のは事実で私も何度か痛い目に合いました。
日本はジャズ天国なので長いスパンで見ればほとんどのジャズ・アルバムは入手可能です。
でもひとたび見逃してしまえば何年も何十年も待つことになります。
そういえば最近CDショップの中古LPコーナーで外国人を見かけることが多くなりました。
在庫の豊富さと日本人は丁寧なので中古LPの程度が良いというのがその理由だと思います。

ギター・トリオとピアノ・トリオをバックにマーシュのワン・ホーンが堪能できるレア盤です。
クールでかすれたような音色はたまりませんねぇ〜。
レニー・トリスターノ派の優等生のマーシュが奏でるスタンダード作品集に惹かれるファンも多いと思います。
トリスターノ派のサックス奏者の良さはクールな中に情熱を秘めているところ。
我慢して我慢してグッと熱情を抑え込んでいるところにある。
切ない気持が伝わってくるんです。
前者はオルステッド・ペデルセン(b)が後者はケニー・ドリュー(p)が聴きどころになりました。
後者の(5)「Ev'rytime We Say Goodbye」はマーシュとドリューのデュオですが息が詰まりそうになりました。
2枚共に素晴らしい演奏を聴くことが出来ます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(850) PJ PERRY QUARTET / ALTO GUSTO

pj perry(as),
jon mayer(p), steve wallace(b), quincy davis(ds)
2017/Cellar Live/


 1  Ease It (P.Chambers)
 2  Close Your Eyes (B.Petkere)
 3  After The Morning (J.Hicks)
 4  We'll Be Together Again (C.Fischer)
 5  Stablemates (B.Golson)
 6  Two Bass Hit (J.Lewis)
 7  Quasimodo (C.Parker)


カナダ出身のベテラン・アルト奏者のPj Perryのライブ作品です。
実に落ち着いた手慣れた演奏でいぶし銀の如くという表現がピッタリだと思います。
ジョン・メイヤーのピアノも聴きどころになりました。

全7曲はジャズマンの曲5曲とスタンダードが2曲の構成です。
ジャズ・マンではポール・チェンバース(b)、ジョン・ヒックス(p)、ベニー・ゴルソン(ts)、
ジョン・ルイス(p)、チャーリー・パーカー(as)といったところの曲を取り上げています。
チェンバース、ヒックス、ルイスといったところは珍しいかもしれませんね。
つくづくみんないい曲を書いていると思いますよ。
ベストはカール・フィッシャーの名曲(4)「We'll Be Together Again」です。
じっくりと熟練のバラード・プレイを聴かせてくれました。
この曲の作詞者はフランキー・レインで「ハイ・ヌーン」や「ローハイド」のヒット曲があります。

完成された端正なジャズ・・・。
これがいまひとつ物足りなさを感じさせるのでジャズはむずかしいです。
もっと弾けて欲しかった、色気というか艶っぽさも欲しい気がします。
なお洒落たジャケットのイラストは日本人イラストレーター・藤岡宇央氏

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(849) YASUSHI NAKAMURA TRIO / A LIFETIME TREASURE

yasushi nakamura(b), lawrence fields(p), clarence penn(ds)
2016/Sawano Kohboh/


 1  On My Way (Y.Nakamura)
 2  Stablemates (B.Golson)
 3  A Lifetime Treasure (Y.Nakamura)
 4  But Beautiful (J.Burke)
 5  Viva o Rio de Janeiro (H.Pascoal)
 6  Stalla By Starlight (V.Young)
 7  When Mr.Gut Stays (Y.Nakamura)
 8  Naima (J.Coltrane)
 9  Burden Hand (Bird In The Hand) (Y.Nakamura)
 10  Language Of Flowers (Y.Nakamura)
 11  Yasugaloo (Y.Nakamura)
 12  The Nearness Of You (H.Carmichael)


ニューヨークを起点に活躍している気鋭のベーシスト、中村恭士さんの初リーダー・アルバムです。
中村さんは1982年東京生まれの米シアトル育ち、現在35歳の逸材です。
バークリーからジュリアードに進むというジャズ・エリート・コースを歩みました。
現在、日本でも人気の「New Century Jazz Quintet」や「J-Squad」のメンバーとしても活躍中です。

全12曲は自身のオリジナル6曲とその他6曲の構成です。
30歳半ばでの初リーダー・アルバムというには彼のキャリアからみると遅いかもしれませんね。
それだけに満を持した作品でオリジナルも練りに練られています。
作曲家としての能力も知らしめることになりました。
モダン・ジャズの名曲の(2)と(8)、良く知られたスタンダードの(2)、(6)、(12)と選曲も申し分ありません。
なお(12)はベース・ソロです。

普段は縁の下の力持ちに徹した感のある中村さんもリーダー作ともなればグンと表舞台に飛び出してきます。
中村さんのよく伸びるスインギーなベースとクリアで抜群の安定感を誇るベース・ラインを満喫できました。
これがニューヨーク先進のピアノ・トリオなんでしょうね・・・素晴らしいピアノ・トリオが聴けました。
何しろ中村&クラレンス・ペン(ds)のリズム・ラインが凄い・・・ブンブン・ビシバシきています。
飛ばす飛ばす・・・疾走感に溢れ切れ味鋭いローレンス・フィールズのピアノもいいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)


余談
私が初めて中村さんと出会ったのは2006年の新宿ピット・インでのライブでした。
西藤大信(g)さんのライブにドミニク・ファリナッチ(tp)などと共演したものです。
まだ弱冠24歳でした。
私はライブ・レポートでこんな感想を書いています。

すでに5枚をリリースしている天才肌のファリナッチのトランペットはやっぱり良かった。
”Body And Soul”をベースだけのバックで演奏しましたが、これがまた素晴らしかったです。
特筆したいのは中村恭士さんのベースです。
ぶっとい音色の上に切れもある、なによりも若さに任せて突っ走る勢いを感じます。
強烈なスイング感の持ち主で、これには驚かされましたよ。
私は一瞬、若い頃のチャーネット・モフェット(b)を思い浮かべました。
”要注目株は中村恭士”・・・必ず頭角を現すベーシストなのでこの名前は忘れないでいてほしいです。

その後、中村さんと何度かライブで会って話をする機会もありました。
驚いたことに私のこのライブ・レポートを読んでくれていたんですよ。
「注目されて嬉しかった」と言ってくれました。




(848) ERIC ALEXANDER QUINTET / SONG OF NO REGRETS

eric alexander(ts), jon faddis(tp)(1,2),
david hazeltine(p), john webber(b), joe farnsworth(ds), alex diaz(conga,bongos)
2017/High Note/


 1  But Here's The Thing (D.Hazeltine)
 2  These Three Words (S.Wonder)
 3  Grinder (E.Alexsander)
 4  Corazon Perdido (E.Alexsander)
 5  Mas Que Nada (J.Ben)
 6  Boom Zoom (E.Alexsander)
 7  Song Of No Regrets (S.Mendes)
 8  Cade's Shack (J.Farnsworth)
 9  Up, Up,And Away (J.Webb)


エリック・アレキサンダー(ts)の出たばかりのホヤホヤの新譜です。
エリックは私の収集対象なので新譜が出るのをいつも楽しみにしています。
ピアノ・トリオを含めた4人はいつものレギュラー・メンバーなのでコンビネーションは抜群です
ここで興味深いのは久々に名前を見たジョン・ファディス(tp)の参加にありました。
ファディスはディジー・ガレスピー直系のトランぺッターでビック・バンドを中心に活躍しています。
(1)ではビック・バンド特有の抜群のハイノートを聴くことが出来ました。

全9曲はメンバーのオリジナル5曲とその他4曲の構成です。
コンガ、ボンゴ入りとくればラテン・サウンドであることは一目瞭然です。
(5)「マシュケナダ」や表題曲にもなったセルジオ・メンデスの(7)が目玉になっています。
エリックのテナー奏法は益々凄みを増していてその表現力の多彩さには驚かされます。
ゆったりとしたラテン・リズムに乗った表題曲の(7)「Song Of No Regrets」が素晴らしいです。
当然ながら(5)「Mas Que Nada」も聴きどころになりました。
オリジナルではひと休み感のある3分ほどの小品ですが(4)「Corazon Perdido」が良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(847) JEAN-MICHEL PILC QUINTET / CARDINAL POINTS

jean-michel pilc(p), sam newsome(ss),
james genus(b), ari hoenig(ds), abdou m'boup(per),
francois moutin(b)(Trio Sonata)
2003/Dreyfus/



 1  Fred's Walk
 2  South
 3  West
 4  North
 5  East
 6  Ari's Mode
 7  Mood Indigo
 8  Cardinal Points
 9  Trio Sonata-Part 1
 10  Trio Sonata-Part 2
 11  Trio Sonata-Part 3
 12  Trio Sonata-Part 4
 13  BBB


久々にジャン−ミシェル・ピルク(p)を聴いてみようかと手が伸びました。
前回聴いた時は才気がほとばしる先鋭的な演奏を聴かせてくれました。
まぁ〜、あまりに刺激的でちょっと疲れたけれど・・・

ジャン-ミシェル・ピルクは1960年フランス生まれ、今作の録音時は43歳でした。
ピアノは独学というんだから凄い・・・天才肌のジャズ・ピアニストです。
ルーツはセシル・テイラーやマッコイ・ターナーにあると思います。
特にセシルの影響が強くて強靭なタッチと幾何学模様のサウンドが特徴です。
ピルクは強力な左手を持っています。

全12曲は1曲を除いて全て自身のオリジナルです。
それも(2)〜(5)と(9)〜(12)が組曲風になっています。
どの曲も一筋縄ではいきません・・・縦横無尽な展開で予想外の音が飛び出てきます。
前衛的かつ即興性に富むジャズそのもののサウンドは貴重です。
軟弱なピアノ・トリオに不満があるならこのジャン−ミシェル・ピルクを聴いてみたらどうかな。
それほど斬新で鋭角的な音を持っています。
いつも聴きたいとは思わないけれど、たまに聴くと心が洗われるような気がします。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(846) PAT MARTINO TRIO & QUINTET / FORMIDABLE

pat martino(g), pat bianchi(org), carmen intorre jr(ds),
adam niewood(ts)(1,2,3,5,7,9), alex norris(tp)(1,2,3,5,7,9)
2017/High Note/


 1  El Mino (J.Calderazzo)
 2  Hipsippy Blues (H.Mobley)
 3  Homage (G.Niewood)
 4  Duke Ellington's Sound Of Love (C.Mingus)
 5  El Hombre (P.Azzara)
 6  In Your Own Sweet Way (D.Brubeck)
 7  Nightwings (P.Azzara)
 8  In A Sentimental Mood (D.Ellington)
 9  On The Stairs (P.Azzara)


パット・マルティーノ(g)の新譜です。
「恐るべし、パット・マルティーノ」のライオン・ジャケットにも惹かれました。
マルティーノはいくつになったんだろう?・・・調べたら73歳でした。
古き良き時代を知る最後のギタリストといってもいいかもしれませんね。
当時はコルトレーンと同様にインドや中近東の複合リズムに傾倒していた最先端のギタリストでした。
30代後半に病魔に倒れ、40代に復活してからは吹っ切れたように思い切りのいいプレイを展開しています。
ハード・バップの熱いギタリストとしてジャズ・シーンに確固たる地位を築いています。

全9曲は自身のオリジナルが3曲とその他6曲の構成です。
なお作曲者名のパット・アッツァーラはマルティーノの本名です。
パット・ビアンチとアレックス・ノリスは近年注目のオルガン奏者とトランペット奏者。
その他の共演者もマルティーノに起用されるのは実力のある証拠になりますね。
今作の一番の聴きどころはトリオで演奏される(4)、(6)、(8)の3曲になりました。
それぞれ曲も良いけれどオルガンをバックにマルティーノのギター・プレイが堪能できます。
オリジナルではやはり(5)「El Hombre」がカッコ良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(845) RICHARD WYANDS TRIO / REUNITED

richard wyands(p), peter washington(b), kenny washington(ds)
1995/Criss Cross/



 1  Moment To Moment
 2  Easy Living
 3  The Lady In Love With You
 4  Estate
 5  Afternoon In Paris
 6  How Long Has This Been Going On
 7  Blues For Pepper
 8  I'm Just A Lucky So And So
 9  Moon And Sand
 10  Yesterdays
 11  Alone Together


先日、ヒュー・ローソン(p)を紹介したので今度は似た者同士のリチャード・ワイアンズ(p)の作品です。
ずっと以前に入手したものだけどタイミングがずれてしまいました・・・実はこういうものがかなりあります。
1995年、ワイアンズが67歳時のアルバムです。
60代ならまだまだ元気で当時の売れっ子リズムセクションの両ワシントンを従えての堂々たるトリオ盤です。
いつもはちょっと大人しく感じる演奏もここでは切れ切れのピアノを聴かせてくれました。
この日のワイアンズは絶好調でノッていた・・・ピーター(b)とケニー(ds)の演奏も申し分ありません。
素晴らしいピアノ・トリオ作品・・・感覚的にはワイアンズのベスト・プレイではないかと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(844) JORGE ROSSY QUINTET / STAY THERE

jorge rossy(vib,mar),
mark turner(ts), peter bernstein(g), doug weiss(b), al foster(ds)
2016/Pirouet Records/


 1  Who Know About Tomorrow
 2  Port Rait
 3  Artesano (G.Klein)
 4  Blessed
 5  Mark's Mood
 6  The Newcomer (M.Rossy)
 7  W Waltz
 8  Pauletta (A.Foster)
 9  Mmmyeah
 10  Stay There


ヴィブラフォン聴きを始めたので新しいのも聴かなくてはと手が伸びました。
ホルヘ・ロッシーはドラマーとして知られているけどヴァイブもアルバムを出すほど達者だったとは知らなかった。
共演者がマーク・ターナー(ts)、ピーター・バーンステイン(g)なら申し分ありません。
年代的に異質と思えるベテランのアル・フォスター(ds)のドラミングも魅力があるかも・・・。

全10曲は自身のオリジナル7曲とその他3曲の構成でスタンダードはありません。
全体を包む雰囲気はコンテンポラリーな浮揚感のあるサウンドでした。
超クールに展開する・・・先進のヴィブラフォンがこんな感じなのはよく分かりました。
私的ベストはアップテンポの(4)「Blessed」で独特のリズム感が面白かったです。
表題曲の(1)「Stay There」はゆったりとした流れでぼんやり感がなんとも不思議な感覚でした。

やはりターナーのサックスが入ると彼の演奏にサウンド全体が支配されてしまいます。
ライブでも何回か見ているけど実に個性的です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(843) GENE DINOVI'S GENERATIONS TRIO / BRAND NEW MORNING

gene dinovi(p), dave young(b), andrew scott(g)
2008/Marshmallow/



 1  Will You Still Be Mine
 2  Lisa
 3  Stardust
 4  Brand New Morning
 5  Flower Of The Night
 6  Sleep
 7  No Moon At All
 8  Move
 9  Red Dragon Fly


ジーン・ディノヴィはカナダ在住で「ジャズ・ピアノの詩人」と呼ばれています。
そのスインギーで美しいピアノに魅せられるファンも多いです。
日本で大人気を博したエディ・ヒギンス(p)のルーツになる人かもしれませんね。
日本のマシュマロ・レーベルから多くのアルバムを出しています。

ギター入りのピアノ・トリオはある意味伝統的な組み合わせだけど最近はあまり見ないような気がします。
ナット・コール・トリオ〜オスカー・ピーターソン・トリオと続く流れがありました。
共演のデイヴ・ヤングはピーターソン・トリオのベーシストを務めていたし、アンドリュー・スコットも達者なギタリストです。
全9曲は自身のオリジナル3曲とその他6曲の構成で、(9)「Red Dragon Fly」は日本の童謡の「赤とんぼ」です。

ジーン・ディノヴィはいつでも聴く人の心を癒してくれます。
彼の持つやさしさがピアノの音に沁み込んでいるんです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(842) ROBI BOTOS QUARTET & TRIO / MOVIN' FORWARD

robi botos(p,org,nord,rhodes,clavinet), robert leslie hurst V(b), jeff "tain" Watts(ds)
seamus blake(ts,ewi)
2015/A440 Entertainment/


 1  Eurorleans
 2  Captain Kirkland
 3  Figure 8
 4  Violet
 5  Close To You (B.bacharach)
 6  Unanswered
 7  Softly As In A Morning Sunrise (O.Hammerstein)
 8  Heisenberg
 9  Yes I Don't
 10  Romungro


ロビ・ボトスはハンガリー生まれで現在はカナダで活躍しています。
その評判はジャズ友から聞いていたし、カナダ・ジャズ・シーンの期待のピアニストです。
これまた期待のテナー奏者のシーマス・ブレイクとの共演盤とあれば見逃がすわけにはいきません。

全10曲は自身のオリジナル8曲とその他2曲の構成です。
(2)「Captain Kirkland」は故ケニー・カークランド(p)に捧げた曲。
オリジナルではサウンドのあちこちにハンガリーの地方色が出ているのが面白かったです。
そしてこれがボトスの個性であり最大の魅力だとも思いました。
ユニークな音遣いとリズム感はボトス独自のもので色んな楽器を駆使して表現力を高めています。
スタンダードの2曲(5)、(7)は管楽器抜きのトリオで演奏されていますがここの展開も興味深いものでした。
ハースト三世の野太く唸るベースとワッツの多彩なドラミングも聴きどころになりました。
マイケル・ブレッカー(ts)を彷彿とさせるブレイクのプレイも強烈です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(841) HUGH LAWSON TRIO / PRIME TIME

hugh lawson(p), bob cranshaw(b), ben riley(ds)
1977Rec/Storyville/



 1  The Highest Mountain
 2  Blue Bones
 3  The Need To Smile
 4  The Duke Ellington Sound Of Love
 5  Rip-Off
 6  I Fall In Love Too Easily
 7  I'll Keep Loving You
 8  Make Me Rainbows
 9  Falling For You
 10  The Highest Mountain
 11  The Need To Smile


ヒュー・ローソンの初リーダーアルバムはピアノ・トリオの「幻の名盤」の一枚でした。
ローソンはユゼフ・ラティーフ(ts)との共演で知られていますがキャリアのわりに地味な人です。
私はジョージ・アダムス(ts)の「NIGHTINGALE」(1989/Somethin'else)をよく聴いていました。
リーダー作はたった3枚しかなくて寡作家の代表みたいなピアニストです。
リチャード・ワイアンズ(p)と似た感じだけれどワイアンズにはリーダー作が10枚位あるので希少性はこちらが上です。

今作はデンマークの「Jazzcraft」が原盤ですがレーベルが短命だったので幻化しました。
それを同じデンマークのストリーヴィルが買い取って(9)、(10)、(11)の3曲を追加してCD化したものです。
うち2曲は別テイクなので余計・・・でも形はどうあれ容易に入手できるようになったのは良かったと思います。

全11曲は自身のオリジナル3曲とその他8曲の構成です。
クリフォード・ジョーダン(ts)、チャールス・ミンガス(b)、バド・パウエル(p)などの曲が入っています。
聴いてみるとキッチリと音が出てくるパワフルなタッチと硬質の佇まいが素晴らしいです。
「なるほど、評判は伊達ではなかった」
共演のボブ・クランショウ(b)とベン・ライリー(ds)もシブい組み合わせなので通好みのピアノ・トリオに仕上がっています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)