(840) LEO RICHARDSON QUARTET & QUINTET / THE CHASE
leo richardson(ts),
rick simpson(p), mark lewandowski(p), ed richardson(ds)
guests:quentin collins(tp)(2,3,4), alan skidmore(ts)(8)
2017/Ubuntu Music/
1 |
Blues For Joe |
2 |
Demon E |
3 |
The Curve |
4 |
The Chase |
5 |
Elisha's Song |
6 |
Mambo |
7 |
Siver Lining |
8 |
Mr.Skid |
ジャケ買い・・・レオ・リチャードソン(ts)は初見、イギリス盤です。
ジャケットの写真を見るとベテランのようだけど期待の若手で今作がデビュー作だそうです。
キッチリとスーツを着こなしての演奏スタイルは1950〜60年代初めのハード・バップ・ジャズを踏襲しています。
解説にはデクスター・ゴードン、ジョン・コルトレーン、ジョー・ヘンダーソンの名前が出ていました。
全8曲は全て自身のオリジナルで曲想も豊かで飽きさせず、作曲家としての能力にも秀でています。
うち4曲がワン・ホーン・カルテットで4曲がゲストを含むクインテット演奏になっています。
(2)、(3)、(4)の3曲がトランペットとの王道2管で(8)がテナー2本の構成です。
私的ベストはいかにもホレス・シルバー(p)・クインテットを彷彿とさせる(3)「The Curve」です。
聴いていてついニヤリとしてしまいました・・・私はシルバー・コンボも大好きだったからね。
バラードでは(5)「Elisha's Song」で圧巻の演奏を聴かせてくれました。
(8)「Mr.Skid」における強烈なテナー・バトルも聴き応えがありました。
なおプロデューサーはゲスト・トランペッターとして参加している「Quentin Collins」です。
自らがプロデュースしなくて良かったと思います。
近年は演奏者自身がプロデュースすることも多いけどやはり自分と他人では見る目が違います。
レオ・リチャードソンの名前は覚えておきたいです。
いずれ注目のテナー奏者になるのは間違いありません。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(839) SMELL TRIO / SWINGIN'
gianni cazzola(ds), nico menci(p), paolo benedettini(b)
2010(2001〜2005Rec)/RadioSNJ Records/
1 |
I Got Rhythm |
(2005) |
2 |
Summertime |
|
3 |
Laverne Walk |
|
4 |
Alone Together |
|
5 |
Milestones |
|
6 |
Autumn In New York |
(2003) |
7 |
On The Trail |
(2001) |
8 |
I'll Remember April |
|
9 |
Somebody Loves Me |
(2001) |
先日、Aさんが紹介してくれたアルバムを入手しました。
なるほど確かにこれは良かった・・・「SWINGIN'」の看板に偽りなしです。
先入観なしで聴いたらこれがイタリアのトリオ盤だとは気が付かなかったと思います。
アメリカの1950〜60年代の王道をいくソウルフルなピアノ・トリオと言われても納得です。
事実、最初に浮かんだのはオスカー・ピーターソン(p)〜ウィントン・ケリー(p)・トリオでした。
ケニー・ドリュー(p)・トリオやデューク・ジョーダン(p)・トリオの黒っぽさも持っています。
全9曲は全てモダン・ジャズのスタンダードです。
2001年〜2005年の4つのライブから抜粋した作品集になっています。
リーダーはベテランのハード・バップ・ドラマーの「ジャンニ・カッツォーラ」です。
加えて若手ピアニストの「NICO MENCI」とベーシスの「PAOLO BENEDETTI」の組み合わせ。
特に「NICO MENCI」のピアノは素晴らしいと思いました。
疾走感あり、スイング感あり、切れ味あり、抜群のテクニックの持ち主です。
私的ベストは(7)「On The Trail」〜(8)「I'll Remember April」と続く2曲でした。
年を経るにつれて3人が練れてパワフルで骨太なトリオになってきています。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(838) JON METZGER QUARTET / OUT OF THE DARK
jon metzger(vib),
fred hersch(p), marc johnson(b), joey baron(ds)
1985/V.S.O.P/
1 |
Out Of The Dark
|
2 |
Summersong |
3 |
Sherwood's Party |
4 |
Belizean Bump |
5 |
Remembering Goofar |
6 |
Mirage |
7 |
Linda's Back |
しばらくオルガンを聴いてきたので今度はヴィブラフォンをきいてみようかと思っています。
オルガンが濁音ならヴィブラフォンは清音で対極にある楽器ですね。
思うに私は今までヴァイブを意識して聴いたことはなかったです。
ライオネル・ハンプトン、ミルト・ジャクソン、ゲイリー・バートン、ボビー・ハッチャーソンが四天王になるかな。
その他、テディ・チャールス、レム・ウィンチェスター、カル・ジェイダー、デイブ・パイク、ロイ・エアーズなどを思い出します。
近年ではスティーブ・ネルソン、ジョー・ロック、さらにステフォン・ハリス、ウォーレン・ウルフといったところか。
さて今作はそのヴァイブ聴きを決定的にしたアルバムです。
とても新鮮な思いできくことが出来ました。
ヨン・メッツガー(vib)の1985年作品です。
ここはメンバーが素晴らしい・・・フレッド・ハーシュ(p)、マーク・ジョンソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)は魅力あります。
今や現代のジャズ・シーンを引っ張っている面々です。
全7曲はメッツガー自身のオリジナルが5曲とハーシュの2曲の構成です。
スタンダードは入っていません。
聴いた途端にあまりの美しさと爽やかなサウンドに痺れてしまいました。
一瞬で虜になりました・・・「ヴァイブっていいなぁ〜」と思いましたよ。
オルガン聴きが続いていた反動かもれませんね。
ジョンソン、バロンのリズムに乗ってメッツガーとハーシュが自在に展開していきます。
瑞々しく清廉です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(837) NEW CENTURY JAZZ QUINTET / SOUL CONVERSION
benny Benack III(tp), tim green(as,ss),
takeshi ohbayashi(p), yasushi nakamura(p), ulysses owens jr(ds)
2017/Spice Of Life/
1 |
Soul Conversion (Ohbayashi/Ulisses) |
2 |
Mochi Melon Man (T.Green/Ohbayashi) |
3 |
Not For The "Hip Impaired" (T.Green) |
4 |
Soul Conversation (Ohbayashi/Ulisses) |
5 |
Tinder Madness (B.Benack) |
6 |
James (P.Metheny) |
7 |
Blue Dahlia (B.Benack) |
8 |
Afro-Centric (J.Henderson) |
9 |
Chan's Song (H.Hancock) |
10 |
Spontaneous Combustion (C.Adderley) |
「New Century Jazz Quintet」は2014年に結成されました。
ユリシス・オーウェンズ・ジュニア(ds)と大林武司(p)さんが中心となる双頭バンドです。
毎年1枚づつの作品を出していて今作が4枚目になります。
トランペットとサックスのフロント2管の王道クインテットは益々まとまりを強めています。
スピード感に溢れ、切れ味鋭く、爽快なサウンドが特徴です。
特にピアノ、ベース、ドラムスのリズムセクションの素晴らしさは特筆ものです。
ちなみに大林さんと中村さんはテレビの「報道・ステーション」のテーマ音楽を演奏している「J Squad」にも参加しています。
全10曲はメンバーのオリジナル6曲とその他4曲の構成です。
キャノンボール・アダレイ(as)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ハービー・ハンコック(p)の曲が入っています。
パット・メセニー(g)が選ばれたところにいかにも若い世代の感性だと思いました。
全体的にクリアでスマートな演奏はとても聴き易いです。
メンバーがいわゆるジャズ・エリートの集まりなので優等生的ではあります。
もう少し荒っぽく弾けて欲しいと思うのはないものねだりかもしれません。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(836) JERRY BERGONZI QUINTET / DOG STAR
jerry bergonzi(ts), phil grenadier(tp),
carl winther(p), johnny aman(b), anders mogensen(ds)
2017/Savant/
1 |
Pleiades |
2 |
Dog Star |
3 |
Vertigo (C.Winther) |
4 |
Live Stream |
5 |
Repore-Pa-Int |
6 |
Darkness (C.Winther) |
7 |
Separated |
8 |
Darf |
ジェリー・バーゴンジ(ts)の新譜です。
バーゴンジ(1947年生)ももう古希(70歳)なんですね。
思うにバーゴンジは今までワン・ホーン・カルテットばかりを聴いてきました。
それでトランペットとの2管クインテットは新鮮な感じがして手が伸びました。
ラッパのフィル・グレナディアは御存じラリー・グレナディア(b)の兄弟だそうです。
全8曲は自身のオリジナル6曲と共演のカール・ウィンザー(p)の2曲の構成です。
スタンダードは1曲も入っていません。
ウィンザーはデンマーク出身の若手ピアニストでバーゴンジのお気に入りのようです。
聴いてみると実に刺激的なコンテンポラリーなハード・バップ・ジャズが詰まっていました。
バーゴンジもまったく年齢を感じさせないエネルギッシュなプレイを聴かせてくれました。
ゴリゴリ感のある男性的なテナー・サックスは個性的でグイグイと迫ってくるものがあります。
ベストは10分を超える(5)「Repore-Pa-Int 」で全員が一丸となった熱い演奏が聴けます。
ここではラッパ抜きのカルテットなんだけどウィンザー〜バーゴンジと続くソロに圧倒されました。
クインテットではジワジワと沁み込むプレイを聴かせる(7)「Separated」が良かった。
温故知新の王道ハード・バップの見本みたいなアルバムです。
現代風ハード・バップはドラマーが繰り出す多彩なリズムが一番の特徴だと思っています。
ドラムスだけを聴いていても面白いと感じるのは以前にはなかったことです。
期待にたがわぬ仕上がりで大満足でした。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(835) JARED GOLD QUARTET / SOLIDS & STRIPES
jared gold(org),
seamus blake(ts), randy napoleon(g), mark ferber(ds)
2008/Posi-Tone Records/
1 |
Black |
2 |
O-O-H Child |
3 |
The Nest |
4 |
On The Cusp |
5 |
Angela |
6 |
Queen's Gambit |
7 |
Isn't It Romantic ? |
8 |
Splat |
9 |
It Ain't Necessarily So |
10 |
Moonstone |
ジェアド・ゴールド(org)を聴くのは2枚目になります。
前回の「INTUITION」(2013)はドラ盤になりました。
前回はトリオでしたが今作は気鋭のテナー奏者のシーマス・ブレイクを加えたカルテット編成です。
先進のオルガン奏者は突っ走る・・・多弁、多彩な表現方法を持っています。
ラリー・ヤング(org)の影響下にあるけれどタイトなリズムに乗ったロック調のサウンドが特徴です。
全10曲は自身のオリジナル4曲とその他6曲の構成です。
ここはシーマス・ブレイクの参加に最大の魅力があります。
シーマスは幅広い音楽性を持っているのでそう単純ではないけれど期待のテナー奏者です。
以前シーマスをライブで見た時には普通のサラリーマン風で真面目で端正な感じがしました。
ジャズマンらしくなく、とても先進のテナー奏者には見えなかったのが面白かったです。
緊張していて人見知りするタイプかもと思いました。
シーマスはマイケル・ブレッカー(ts)〜ボブ・バーグ(ts)を継承するのではと思っていた時もあります。
サウンド的にジェアド&シーマスの相性はバッチリでスピード感溢れる演奏が聴けました。
ランディ・ナポレオン(g)とマーク・フェーバー(ds)も好演していてこの二人のプレイにも注目です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(834) ALAIN JEAN-MARIE TRIO / SERENADE
alain jean-marie(p), eric vinceno(b), claude montreon(ds)
1998/Declic/
1 |
Bibuine The Be-Bop
|
2 |
Serenade |
3 |
Vallee Heureuse |
4 |
Antilope |
5 |
Retour Au Pays Natal |
6 |
AJM Blues |
7 |
Children |
8 |
Doubou't Ti Manmaye |
9 |
Resolution |
10 |
The River |
11 |
Going Down To The Market |
12 |
Enjoy Life Blazinec |
ブライアン・シャレットは初見、オルガンとピアノの両刀遣いのようです。
セクステットは4管+オルガン+ドラムスの組み合わせで珍しいと思います。
それもフルートとバス・クラリネットが入っているという意外性もありました。
全11曲は(11)を除いて全て自身のオリジナルです。
聴いた途端にこれは面白いと思いました。
アレンジとアンサンブルがキッチリとしていて1曲1曲の構成力が素晴らしいです。
実に魅力的なサウンドなのでギュッと心をつかまれてしまいました。
特にフルートの存在感があります。
同時に以前どこかで聴いたことがあるような気がしたのも事実です。
私はすぐにジョージ・ラッセル(p,comp)の「Ezz-Thetics」を思い浮かべました。
最近のオルガン聴きの一環でそれほど期待していたわけでもありません。
でも思いのほかの好盤で掘り出し物の一枚になりました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(833) BRIAN CHARETTE SEXTET / THE QUESTION THAT DRIVES US
brian charette(org), itai kriss(fl), mike dirubbo(as),
joel frahm(ts), john ellis(bcl), jochen rueckert(ds)
2014/SteepleChase/
1 |
Blazinec |
2 |
The Question That Drives Us |
3 |
Medium Up |
4 |
Answer Me |
5 |
Labor Day |
6 |
Svichkova |
7 |
5th Base |
8 |
#9 |
9 |
Denge Merenge |
10 |
I Came So Far To See You |
11 |
Moose The Mooche (C.Parker) |
ブライアン・シャレットは初見、オルガンとピアノの両刀遣いのようです。
セクステットは4管+オルガン+ドラムスの組み合わせで珍しいと思います。
それもフルートとバス・クラリネットが入っているという意外性もありました。
全11曲は(11)を除いて全て自身のオリジナルです。
聴いた途端にこれは面白いと思いました。
アレンジとアンサンブルがキッチリとしていて1曲1曲の構成力が素晴らしいです。
実に魅力的なサウンドなのでギュッと心をつかまれてしまいました。
特にフルートの存在感があります。
同時に以前どこかで聴いたことがあるような気がしたのも事実です。
私はすぐにジョージ・ラッセル(p,comp)の「Ezz-Thetics」を思い浮かべました。
最近のオルガン聴きの一環でそれほど期待していたわけでもありません。
でも思いのほかの好盤で掘り出し物の一枚になりました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(832) DAVID "FATHEAD" NEWMAN QUINTET / THE GIFT
david "fathead"newman(ts,as,ss,fl), john
hicks(p),
bryan carrott(vib), buster williams(b), winard
happer(ds)
2003/HighNote
Records/
1 |
The Gift |
2 |
Don't Let The Sun Catch You Crying
|
3 |
Off The Hook |
4 |
Unspeakable Times |
5 |
Little Sonny's Tune |
6 |
Lady Day |
7 |
Unchain My Heart |
8 |
Ksue |
「David "Fathead" Newman」
の2003年作品です。
先日紹介した「THE
BLESSING」(2009)が良かったので、同じHighNoteレーベルをもう一枚買ってみました。
もう少しソフトで甘めを予想したけどキッチリと演奏しています。
ニューマンはここでテナー、アルト、ソプラノ、フルートを駆使してマルチ・プレイヤーとしての実力を見せてくれました。
特に驚かされたのがフルートの上手さで、今までじっくりと聴いたことがなかった。
(1)、(7)で聴けますが「Unchain
My
Heart」のフルート版は面白かったです。
ハービー・マン(fl)も真っ青かも知れませんよ。
共演者ではヴァイブのブライアン・キャロットが聴きどころになりました。
こちらは洗練された爽やかな印象で久々のヴァイブラホンの音色は新鮮な感じがしました。
ジョン・ヒックス(p)も2006年には亡くなってしまったので晩年のヒックスを聴くことが出来ます。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(831) TETE MONTOLIU TRIO / LIVE AT THE KEYSTONE CORNER
tete montoliu(p), herbie lewis(b), billy higgins(ds)
1979Rec/Timeless Records/
1 |
Autumn In New York / Scrapple From The Apple
|
2 |
I'll Remember April |
3 |
You've Changed |
4 |
Lady Bird |
1960年代、私が知っているヨーロッパ・ジャズ・ピアニストはテテ・モントリューくらいのものでした。
それほどに知名度が高く、素晴らしいピアニストでした。
初めて聴いたのは「Piano For Nuria」だったか・・・続く「TeTe!」、「Catalonian Fire」には圧倒されました。
今作はテテがアメリカに乗り込んでハービー・ルイス(b)とビリー・ヒギンス(ds)と組んだライブ盤です。
強力で切れのあるタッチと斬新なフレージングは健在です。
ルイス&ヒギンスとのコンビネーションも抜群で、もの凄いピアノ・トリオが聴けました。
熱い、熱い・・・観客も大熱狂の大興奮です。
3人が絶好調のライブなんてそうそう聴けるものではありません。
デジタルリマスタリングの録音も良くて大満足です。
テテの代表作でお勧めの一枚になります。
オランダの「TIMELESS」レーベルの復刻廉価盤が発売されています。
どれも入手困難だったので大歓迎です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(830) BOB HANLON & MARK MINCHELLO / CAMARADERIE
bob hanlon(ts), mark minchello(org),
andy watson(ds)(1,2,3,4,5,6), pete macdonald(ds)(7,8,9),
vic juris(g)(1,2,3), bob devos(g)(4,5,6), charlie sigler(g)(7,8),
anton denner(as)(9)
2017/SteepleChase/
1 |
Will You Still Be Mine (M.Dennis) |
2 |
Lovessence (B.Hanlon) |
3 |
Sambesque (M.Minchello) |
4 |
Jazz Orbits (B.Hanlon) |
5 |
Close Your Eyes (B.Petkere) |
6 |
Everything Happens To Me (M.Dennis) |
7 |
A Sound For Sore Ears (J.Heath) |
8 |
Young And Foolish (A.Hague) |
9 |
Flat Tire Blues (B.Hanlon) |
今回のオルガン聴きの一環で買ってみました。
リーダーの二人は初めてですがギターのヴィック・ユリスとボブ・デヴォスに惹かれました。
特にデヴォスは好きなギタリストの一人でソウル&ファンキーな味わいを持っています。
加えて大好きな曲(6)「Everything Happens To Me」が入っていたので決まりです。
全9曲はメンバーのオリジナル4曲とその他5曲の構成です。
マット・デニス(vo,p)が2曲、ジミー・ヒース(ts)の曲があるのはボブ・ハンロン(ts)のこだわりかな。
ここはオリジナルよりスタンダードに耳が向きました。
私的ベストは前述の(6)「Everything Happens To Me」です。
10分を超える名演で一番の聴きどころになりました。
ドイツ出身の作曲家、Albert Hagueの有名曲(8)「Young And Foolish 」の聴き味も良いです。
やっぱりメロディがいいと演奏も引き立ちます。
控え目でスマートなオルガンとややゴツゴツとして朴訥なテナー・サックスのコントラストが面白いです。
あとはギター好きなら3人のギタリストが一度に聴けるので大徳用盤と言えます。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(829) TED BROWN QUARTET / LIVE AT TRUMPETS
ted brown(ts),
jon easton(p), don messina(b), bill chattin(ds)
2016(2006&2010Rec)/Cadence Jazz Records/
1 |
Somebody Loves Me |
2 |
Relaxin' At Camarillo |
3 |
Love Me Or Leave Me |
4 |
Sweet And Lovely |
5 |
Broadway |
6 |
When You're Smiloing |
7 |
The Best Thing For You Would Be Me |
8 |
Pennies From Heaven |
9 |
Anthropology |
テッド・ブラウン(ts)の名前を見たので手が伸びました。
近年気になるテナー奏者の一人になりました。
ご存知レニー・トリスターノ派のテナー・奏者です。
テッドは2000年代になってカムバックしてきましたが未だに色褪せない音色とスタイルを持っていました。
何しろ一回聴いたら忘れないほどの個性があります。
超クールでかすれたような、くぐもった音色はワン・パターンではあるけれど独特の味わいがあります。
熱情をグッと押し込めてどこまでもクールな演奏を聴いているとかえってこちらの心が熱くなってきます。
「いつでも冷静過ぎるぜ・・・もっとバンバン吹いたらどうだ」ってイライラさせられてしまうから。
それがトリスターノ・サウンドの最大の魅力でもあるけれど・・・。
。
今作は2006年と2010年のライブ音源をカップリングしたものです。
2006年は79歳、2010年は83歳時の録音です。
ジャケットの写真を見ると椅子に腰かけて演奏していますね。
年齢的には当然だと思います。
でも年齢による衰えはほとんど感じさせないのは見事だと思います。
全9曲はよく知られたスタンダード作品集です。
チャーリー・パーカー(as)の難曲、(2)「Relaxin' At Camarillo」や(9)「Anthropology」も軽くこなしています。
バックの3人は中央ではほとんど無名のローカル・ミュージシャンだと思います。
でも雰囲気は抜群でつくづくアメリカの層の厚さには驚かされます。
特にベーシスト、Don Messinaの存在感が光っていて安定感のあるベース・ラインが素晴らしいです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(828) BILL MAYS TRIO / SUMMER SKETCHES
bill mays(p), martin wind(b), matt wilson(ds)
2001/Palmetto Records/
1 |
Summer Night
|
2 |
Estate |
3 |
Fireflies |
4 |
Indian Summer |
5 |
Summer Sketch |
6 |
(Gotta Go To) Summer School |
7 |
Early August |
8 |
The Things We Did Last Summer |
9 |
Summer Serenade |
10 |
Once Upon A Summertime |
そろそろオルガン聴きに一区切りをつけて次に進もうかと考えています。
私はサックス系が好きなのでそれが一番かと思えばやはりピアノの数には負けている。
それだけピアニストの作品が多いということですね。
新譜も中古も見る時にはまずはテナー・サックス〜アルト・サックスの順になります。
それでも気になるピアノ・トリオのアルバムが徐々に増えてきています。
まだ未紹介の作品が何枚かあるので、しばらくはそれを紹介しようと思いました。
今作はビル・メイズ・トリオの2001年の作品です。
全10曲は夏にちなんだ曲が並んでいて自身のオリジナルは(3)の1曲だけです。
ちょっと季節外れのような気がしますが夏の思い出を偲ぶには秋がちょうど良いかもしれませんね。
メイズのタッチはとても優しくて柔らかくて美しい、また格調高く上品でもあります。
心が洗われるような清らかで滑らかな旋律・・・メイズの良さはそれに尽きると思います。
いつでも穏やかで落ち着いたひと時を与えてくれます。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(827) ARI AMBROSE QUINTET / RETROSPECT
ari ambrose(ts), alex norris(tp),
jeremy manasia(p), jay anderson(b), donald edwards(ds)
2016/SteepleChase/
1 |
Last Stand (A.Ambrose) |
2 |
Sophisticated Lady (D.Ellington) |
3 |
Back Road (K.Dorham) |
4 |
Retrospect (A.Ambrose) |
5 |
Gone With The Wind (A.Wrubel) |
6 |
Escapade (K.Dorham) |
7 |
Just One Of Those Things (C.Poter) |
アリ・アンブローズ(ts)を聴くのは2枚目で最初はステフェン・リレイ(ts)とのピアノレス・双頭バンドでした。
そういうことでアンブローズの純粋なリーダー作を聴くのは初めてです。
初めてじっくりと聴いてみましたが「これは〜、いいぞ〜」と思いました。
1曲目からグイグイと引き込まれていく自分がそこにいました。
アンブローズがいかに「SteepleChase」の看板テナー・サックス奏者になったのかの理由がよく分かりました。
ジョン・コルトレーン〜ファラオ・サンダースのパワフル&スピリチュアルの王道を踏襲しています。
深くて重いテナー・サックスの音色、バラードの表現力も秀逸です。
メンバーがまた良くてアレックス・ノリスのトランペット、ジェレミー・マナシアのピアノにも痺れました。
今年の「ベスト3」の有力候補になるのは間違いありません。
全7曲は自身のオリジナル2曲とその他5曲の構成です。
バランスも良く、よく考えられた選曲だと思います。
ちなみにケニー・ドーハム(tp)の曲は近年再評価されているようで演奏する人が多くなりました。
テナー奏者のサングラス・ジャケは多いけど絶対にハンク・モブレイ(ts)を意識していると思います。
「俺もいつかはやってみたい」・・・なんてね。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(826) IDEA6 / METROPOLI
gianni basso(ts), dino piana(tb), guido pistocchi(tp),
andrea pozza(p), luciano milanese(b), stefano bagnoli(ds)
2007/Djavu Records/
1 |
Metropoli (G.Ferrio) |
2 |
New Born (F.Piana) |
3 |
Minor Mood (F.Piana) |
4 |
Pittura (Intra) |
5 |
Traoin Up (Brugnolini) |
6 |
Windly coast (R.Pistocchi) |
7 |
Vivacita' (F.Piana/E.Va;ldambrini) |
8 |
Marmaris (R.Pistocchi) |
9 |
Autumn In Milano (G.Basso) |
10 |
Tokyo Lullaby (R.Pistocchi) |
イタリアの「IDEA6」の初アルバムです。
2枚目の「STEPPIN' OUT」が良かったので気になっていながら忘れてしまったアルバムです。
ジャンニ・バッソ(ts)、ディノ・ピアナ(tb)、グイド・ピストッキ(tp)の3人はイタリア・ジャズの歴史そのもののミュージシャンです。
それを3人の若手?リズムセクションが支える構図になっています。
それぞれ好演していますが特にアンドレア・ポッツア(p)が聴きどころです。
まさに60年代の3管サウンドはノリノリのハード・バップが詰まっていました。
サウンドの決め手はトロンボーン・・・ピアナはバルブ・トロンボーンの名手でボブ・ブルックマイヤーと双璧です。
曲目やアレンジも練られていてこの完璧なサウンドを聴いていると心がウキウキと弾むような気になります。
明るくて軽快で爽快なサウンドはイタリア独特のサウンドと言えます。
アメリカの東海岸でも西海岸でもないイタリア・ジャズのルーツが聴けました。
この年、2007年に「IDEA6」の日本公演があったのですが見逃してしまいました。
なんとも残念でなりません。
大御所のバッソが2009年78歳で亡くなりました。
もう二度と見ることは出来ないのです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(825) TOM HARRELL QUINTET / SOMETHING BLUE
tom harrell(tp,flh), ambrose akinmusire(tp),
charles altura(g), ugonna okegwo(b), johnathan blake(ds)
omer avital(b)(4only)
2016/HighNote/
1 |
Circuit |
2 |
Travelin' |
3 |
Trances |
4 |
Delta Of The Nile |
5 |
Keep On Goin' |
6 |
View |
7 |
Body And Soul (E.Heyman/R.Sour/F.Eyton/J.Green) |
8 |
Sound Image |
9 |
The Vehicle |
トム・ハレル(tp)を久々に買ってみました。
ハレルは内向的で控えめな性格、真摯で端正なスタイルの持ち主です。
遊び心がなく超真面目が持ち味なので損をしている部分もあるかもしれませんね。
今作は注目のトランぺッター、アンブローズ・アキンムシーレとの共演に興味がありました。
フロントにトランペットが2本というのも珍しいと思いました。
一般的に年を取ってくると演奏スタイルが穏やかに丸くなってくるものです。
でもハレルはまったく違います。
まぁ、同楽器のバリバリのプレイヤーとは共演を避けたいと思うのが普通でしょうね。
でもあえてそれをやってしまうところにハレルの神髄がありました。
二人はサックスによくあるバトル・スタイルではなくて協調重視の姿勢です。
アレンジは秀逸だしつくづくハレルの作編曲能力は高いと思います。
トランペット同士が絡み合うサウンドは意外に新鮮な感じがしました。
これは新しい発見でしたよ。
ハレルは間違いなく生涯現役を貫き真摯にジャズに向き合っていくと思います。
全9曲は自身のオリジナルが8曲とその他1曲の構成です。
多彩な曲想で飽きさせません。
1曲だけバラードの有名スタンダード(7)を入れたのも上手いやり方です。
ベストは中近東の香りがする(4)「Delta Of The Nile 」になりました。
ウゴンナ・オケグウォ(b)、ジョナサン・ブレーク(ds)のリズムはハレルのお気に入りです。
今作ではCharles Alturaのギターにも注目しました・・・新感覚のギタリストの一人です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(824) BOB MINTZER QUARTET / BOP BOY
bob mintzer(ts,bcl),
steve kuhn(p), eddy gomez(b), steve gadd(ds)
2002/Leafage Jazz/
1 |
Blue Bossa |
2 |
Bop Boy |
3 |
Embraceable You |
4 |
Francisca |
5 |
Invitation |
6 |
Re-Re |
7 |
Runferyerlife |
8 |
Speak Low |
9 |
St.James Infirmary |
10 |
Why Did I Choose You |
ベテランのサックス奏者のスタンダード作品集が気になるのは私の病気です。
今作は多彩な音楽性を持つボブ・ミンツァー(ts)のスタンダード作品です。
ミンツァーは「イエロージャケッツ」のサックス奏者として知られていて、ビックバンド畑にも強い。
作編曲者としての能力も高いです。
演奏スタイルは同系統のマイケル・ブレッカー(ts)やボブ・バーグ(ts)に比べても遜色ありません。
スムーズな音色と変幻自在に変化する実力の持ち主です。
ここはメンバーにも興味を惹かれました。
ジャズ主流派の二人とフュージョン系中間派の二人の組み合わせです。
スティーブ・キューン(p)、エディ・ゴメス(b)&ミンツァー(ts)、スティーブ・ガッド(ds)は興味深いです。
キューンとガッドは初顔合わせとありました。
ちなみに今作のプロデューサーはニューヨーク在住のベーシストの中村照夫さんです。
全10曲は自身のオリジナル3曲とその他7曲の構成です。
異質の組み合わせはある種の緊張感が漂っているけどそれがまた魅力になっています。
4ビート・ジャズにおけるミンツァーとガッドの演奏に注目しました。
ミンツァーはまた管楽器シンセのウィンド・シンセサイザーやバス・クラリネットの名手でもあります。
表現の幅がグンと広がるのでコンテンポラリー・シーンのサックス奏者には必需品になりつつある楽器です。
そのバスクラの独特の音色は(9)、(10)で聴けました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(823) LYMAN WOODARD ORGANIZATION / DON'T STOP THE GROOVE
lyman woodard(org), marcus belgrave(tp), ron jackson(tp),
kerry cambell(ss), allan barnes(ts), robert lowe(g,vo),
leonard king(ds), lorenzo brown(per,vo), leroy emmanuel(vo)
1979Rec/Corridor Records/
1 |
Don't Stop The Groove
|
2 |
Disco Tease |
3 |
Ron's Song |
4 |
Theme In Search Of A Sportspectacular |
5 |
Down Lowe |
6 |
Kimba |
7 |
Djarum |
ライマン・ウッダード・オーガニゼーションの作品は初めて聴きました。
オルガン・ジャズ・ファンやファンク・ジャズ・ファンには有名な作品らしいです。
まぁ〜、聞きしに勝る凄い熱気です。
ここは帯中の解説を転載したいと思います。
全てが語られています。
オルガンだから「ORGANIZATION」。
70年代のデトロイトを代表するオルガン奏者、ライマン・ウッダード率いる8人編成の大型コンボが熱く燃え上がった伝説の夜が今蘇る!
チョッパー・ベースがうなるヘビーなファンク・ビートの上をオルガンとテナーが乱舞する「Don't Stop The Groove」、
ダンサブルでファンキーなタテ乗りジャム「Disco Tease」、
疾走する高速16ビートにマーカス・ベルグレイヴのトランペットが火を噴く「Theme In Search 」、
バウンシーなブギー・ファンク「Down Lowe」など、鬼グルービーなナンバー揃い。
いずれもジワジワとヒート・アップし、エキサイティングなカタルシスを迎える様はまさにライヴならではの醍醐味に溢れている。
ジャズ・ファンク・マニアはもちろんファンキー・フュージョン・ファンも即死のキラー・ライヴ!!
オルガン奏者、ライマン・ウッダードはデトロイトを拠点に70年代初頭に自身のバンドを結成、当地の人気バンドとなる。
今作は同じくデトロイトを代表するトランぺッター、マーカス・ベルグレイヴをゲストに迎えた最高傑作であり、
レア・グルーヴ・シーンでも人気の高いダンス・ジャズ.・クラシック。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(822) GIDON NUNES VAZ SEXTET / CARRY IT ON !
gidon nunes vaz(tp), jasper van damme(as), casper van wijk(ts),
floris kappeyne(p), tijs klaassen(b), jean-clair de ruwe(ds)
2017/Tritone/
1 |
Night Train Nostalgia (G.Nunes Vaz) |
2 |
Carry It On ! (G.Nunes Vaz) |
3 |
On A Clear Day (Lerner/Lane) |
4 |
Fifth Image (G.Nunes Vaz) |
5 |
Honeybee's Lament (G.Nunes Vaz) |
6 |
Renkon (G.Nunes Vaz) |
7 |
Steeplechase (C.Parker) |
ギドン・ヌネス・ヴァズは初見、オランダの若手トランぺッターです。
全7曲は自身のオリジナル5曲にその他2曲の構成です。
特に「On A Clear Day 」は大好きな曲なので迷わず手が伸びました。
第一印象は「爽やかなジャズ」でした。
分厚い3管編成ながらスマートで爽やかなハード・バップ・ジャズが詰まっていました。
それぞれのソロには粘っこいところがあっても全体的にはヌネス・バズの清冽色に染まっています。
それは取りも直さず彼の才能の高さを示すものです。
先述の「On A Clear Day 」はトランペットのワン・ホーンで演奏されていました。
これには参ってしまいました。
テンポが素晴らしくてとても20代半ばの演奏とは思えません。
この心地良さは何だろうか?と考えてみた。
ヌネス・バズのアイドルはケニー・ドーハムらしい・・・なるほどと納得しました。
彼のワン・ホーン・アルバムが聴いてみたいです。
なおジャケットのカッコ良いイラストは藤岡宇央(ふじおかたかお)氏です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(821) HARRY VERBEKE & ROB AGERBEEK QUARTET / GIBRALTAR
harry verbeke(ts),
rob agerbeek(p), herbie lewis(b), billy higgins(ds)
1979/Timeless/
1 |
Gibraltar |
2 |
It Could Happen To You |
3 |
Laura |
4 |
Holy Land |
5 |
No Problem. |
6 |
Soul Sister |
7 |
Stardust |
8 |
No Me Esqueca (Recorda Me) |
ジャズ仲間のNさんが名盤だと絶賛していたアルバムです。
それならというので入手してみました。
結果は「素晴らしかった」です。
タイムレスはオランダのレーベルですね。
私は1970〜80年代にかけて仕事と子育てに忙しく、ほとんどジャズを聴かない時期がありました。
いわば空白の時間です。
そんな時にタイムレスが発足しているのでほんの数枚のLPを持っているだけです。
今作はオランダのハリー・バーヴェク(ts)とロブ・アフルベーク(p)に
アメリカのハービー・ルイス(b)とビリー・ヒギンス(ds)の組み合わせです。
フレディ・ハバード(tp)の(1)、シダー・ウォルトン(p)の(4)、デューク・ジョーダン(p)の(5)、
ホレス・シルバー(p)の(6)、ジョー・ヘンダーソン(ts)の(8)などのモダン・ジャズの名曲と
スタンダードのバラード3曲の構成で選曲も申し分ありません。
特にヴァーベクの自由自在に展開するテナー・プレイに注目しました。
本当に上手いです。
そのテクニシャンぶりと激しく艶やかな音色には驚いてしまいました。
テナー・サックス本来の魅力に溢れています。
どれも良いけれど私的ベストには(5)「No Problem.」を上げたいと思います。
この曲でのバックの3人がまた素晴らしくてアフルベーク〜ルイス〜ヒギンスの演奏にも痺れました。
確かにオランダ・ジャズの最高峰が聴けました。
まさに名盤と呼ぶにふさわしい作品です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(820) STANLEY TURRENTINE QUINTET / T TIME
stanley turrentine(ts), dave stryker(g),
kenny drew jr(p,org,key), dwayne dolphin(b), mark johnson(ds)
alfredo mojica(per)(2,6)
1995/MusicMasters/
1 |
Don't Mess With Mr.T |
2 |
A Little Sweetness |
3 |
I Haven't Got Anything Better To Do |
4 |
Impressions |
5 |
TerribleT. |
6 |
The Island |
7 |
Touching |
8 |
Side Steppin' |
秋にはのんびりゆったりとしたジャズが聴きたい。
昼下がりのコーヒー・タイム。
こんな時はベテラン・テナー・サックス奏者のスタンダード作品集が一番です。
先週のデヴィッド・ニューマンに続いて今週はスタンリー・タレンティンです。
表題名もそのまんまの「T・タイム」なら間違いないと思いました。
ところがこれは予想が大外れで「ティー・タイム」にしては激し過ぎました。
思ったよりずっと内容が濃くて思わずニンマリの掘り出し物の一枚です。
ここは共演者も面白かったです。
まずはケニー・ドリュー・Jrに注目しました・・・一時期よく聴いていたことがあります。
彼は物凄いテクニシャンで、まさにオスカー・ピーターソン級の実力の持ち主です。
でも父親を超えるのはむずかしい・・・技巧派にありがちな弾き過ぎる傾向にあります。
今回はオルガンとキーボードも聴くことが出来ました。
ギターのデイヴ・ストライカーはあちこちで名前を見かける実力者です。
驚いたのがドラマーのマーク・ジョンソンです。
同姓同名の有名ベーシストがいるので紛らわしいですがこの人のドラムも聴きどころになりました。
タレンティンのCTI盤でのヒット作でマーヴィン・ゲイの(1)「Don't Mess With Mr.T」も入っています。
自身のオリジナルではよく知られた(5)「TerribleT」や(7)「Touching」などの3曲。
コルトレーンの(4)「Impressions」では全員が一丸となった熱いプレイを繰り広げています。
これが凄かったです・・・何度も聴き直してしまいました。
バラードではイヴァン・リンスの(6)「The Island」など選曲も申し分ありません。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(819) NIGEL PRICE ORGAN TRIO / HIT THE ROAD
nigel price(g), pete whittaker(org), matt home(ds)
vasilis xenopoulos(ts)(9)
2013/33Jazz/
1 |
Hit The Road
|
2 |
Up Jumped Spring |
3 |
Chelsea Bridge |
4 |
Lover Man |
5 |
Dreamsville |
6 |
Go ! |
7 |
Detour Ahead |
8 |
Bizzy Bee |
9 |
Hot Seat |
何かテーマを決めて聴いていると思わぬ掘り出し物に出会うことがあります。
今回のオルガン聴きではこれです。
ニゲル・プライスはイギリスのギタリストですが初見です。
チャーリー・クリスチャン〜ウエス・モンゴメリー〜ハーブ・エリスの王道を歩んでいます。
上手いです。
今作は聴くほどに素晴らしい作品だと思いました。
オルガン・トリオでこれ程完成度の高いのものはめったに聴けません。
クリアで切れのあるギターとスイング感溢れるオルガンに参ってしまいました。
ギタリストによるオルガン・トリオは狙い目だと思います。
思わぬ名品が隠れている・・・。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(818) DAVID "FATHEAD" NEWMAN SEXTET / THE BLESSING
david "fathead"newman(ts,fl), steve nelson(vib), peter bernstein(g),
david leonhardt(p), john menegon(b), yoron israel(ds)
2009/High Note/
1 |
SKJ |
2 |
Someone To Watch Over Me |
3 |
As Time Goes By |
4 |
Manha De Carnival |
5 |
Smile |
6 |
Romantic Night |
7 |
Chelsea Bridge |
8 |
Whispers Of Contentment |
9 |
The Blessing |
秋にはのんびりゆったりとしたジャズが聴きたい。
昼下がりのコーヒー・タイム。
こんな時はベテラン・テナー・サックス奏者のスタンダード作品集が一番です。
パッと思い浮かぶのはスコット・ハミルトンやヒューストン・パーソンだけどちょっと食傷気味になっています。
他に誰かいないか思ったらデヴィッド・ニューマンの名前が出てきました。
ニューマンはレイ・チャールス・バンドで活躍していたのでソウル色は十分です。
でも年を取ってもストレートアヘッドな作品が多くて意外に甘いものは少ないですね。
ニューマンのこれほどくつろいだ作品は珍しいと思います。
なぜならヒューストン・パーソンがプロデューサーに名前を連ねていました。
私が大好きなムード・ジャズの一枚です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(817) FRODE KJEKSTAD QUARTET / A PIECE OF THE APPLE
frode kjekstad(g),
eric alexander(ts), mike ledonne(org), joe farnsworth(ds)
2017/Losen Records/
1 |
A Piece Of The apple (F.Kjekstad) |
2 |
Malala (F.Kjekstad) |
3 |
The Three Musketeers (F.Kjekstad) |
4 |
Not While I'm Around (S.Sondheim) |
5 |
That's All (A.Brandt/B.Haymes) |
6 |
Cold Duck Time (E.Harris) |
7 |
My Shining Hour (Mercer/Arlen) |
8 |
Invitation (P.F.Webster/B.Kaper) |
9 |
The Lone Ranger (F.Kjekstad) |
ノルウェーのギタリスト、フローデ・ヒェクスタ ?は初見です。
エリック・アレキサンダー(ts)の名前に惹かれて手が伸びました。
エリック+オルガン・トリオには興味あります。
共演がマイク・ルドン(org)にジョー・ファーンズワーズ(ds)ときたらそのまんまエリックの作品ですね。
逆にギター奏者がゲストと言ってもおかしくありません。
全9曲は自身のオリジナル4曲にその他5曲の構成です。
聴いてみるとフローデ・ヒェクスタ は名手でした。
ヨーロッパのギタリスト特有のテクニックに加えてアメリカのソウル&ファンキーの味わいもありました。
先週紹介したピーター・バーンステイン級の実力の持ち主です。
そのクリアな音色と確実性に私は驚いてしまいました。
オリジナルでは(3)「The Three Musketeers」が、その他ではエディ・ハリス(ts)の(6)「Cold Duck Time」が秀逸です。
バラードの(4)「Not While I'm Around」も良かった。
以前にも書いたことがあるけどルドンのオルガンはピアノよりも面白いと思います。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(816) JOHN PATTON QUINTET / BOOGALOO
vincent mcewan(tp), harold alexsander(ts,fl),
john patton(org), george edward brown(ds), richard "pablo"landrum(cong)
1968Rec/Blue Note/
1 |
Boogaloo Boogie |
2 |
Milk & Honey |
3 |
Barefootin' |
4 |
Shoutin' But No Poutin' |
5 |
Spirit |
6 |
B & J (Two Sisters) |
今回のオルガニストはジョン・パットンです。
ブルーノート4番目のオルガン奏者です。
ジミー・スミス〜ベイビー・フェイス・ウィレット〜フレディ・ローチ〜ジョン・パットンの順になります。
パットンのいわゆるBN正規盤は10枚でジミー・スミスに次いで多く、後発盤も何枚かあります。
今作はお蔵入りになっていた発掘盤の一枚です。
聴きながらお蔵入りになった理由は何だろうかと考えてしまいました。
結論はジャズ度が高く刺激的でオルガン・ジャズらしくないということです。
当時はこういう雰囲気をオルガンに求めてはいなかった。
私はパットンの最高傑作じゃないかと思いましたけど・・・。
パットンは先進性を持つオルガン奏者でラリー・ヤングの音楽性に通じるものがあります。
ここではハロルド・アレキサンダー(ts,fl))が異質の存在です。
コルトレーン派、アヴァンギャルドで強烈な演奏を聴かせてくれました。
(5)「Spirit」は最高のパフォーマンスで続くパットンのオルガンも聴きどころになりました。
ドラムス&コンガのリズム陣が繰り出すグルーヴ感も凄いです。
全体を通してパットンの刺激的なオルガンも魅力的で素晴らしいと思いました。
定番のギターを外してソウル&ファンキーからは一歩踏み出している作品です。
オルガン・ジャズの傑作の一枚です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(815) PETER BERNSTEIN QUARTET / SINGS LIVE !
peter bernstein(g),
brad mehldau(p), christian mcbride(b), gregory huthinson(ds)
2017/Smoke Sessions Records/
Disk1
1 |
Blues For Bulgaria |
17:59 |
2 |
Hidden Pockets |
11:37 |
3 |
Dragonfly |
18:42 |
4 |
Jive Coffee |
19:03 |
5 |
Pannonica (T.Monk) |
8:47 |
Disk2
1 |
Useless Metaphor |
11:51 |
2 |
Let Loose |
15:22 |
3 |
All Too Real |
13:19 |
4 |
Resplendor |
8:41 |
5 |
Crepuscule With Nellie / We See (T.Monk) |
14:34 |
6 |
Cupcake |
13:49 |
ピーター・バーンステインは現在世界で最も多忙なジャズ・ギタリストですね。
それこそどこにでも出ているので寝るヒマがあるのかと思います。
それだけジャズメンの信頼が厚いということでしょうか。
確かに何でも出来る実力の持ち主で確実性があり、安心感、安定感は十分です。
今作は2015年1月に行われたリンカーン・センターのライブ2枚組です。
発売までに時間がかかったのはメンバーの契約問題だと思います。
ここはやはりメンバーが魅力的で手が伸びました。
バーンステイン、ブラッド・メルドー(p)、クリスチャン・マクブライド(b)、グレゴリー・ハッチンソン(ds)。
このメンバーなら見逃すことは出来ません。
全11曲はセロニアス・モンク(p)の2曲を除いて全て自身のオリジナルです。
そのほとんどが10分を超える長丁場になっています。
20分近い曲もいくつかあるので気合を入れて聴かねばなりませんよ。
バーンステインのクリアで切れ味鋭いギター・プレイが満喫出来ます。
各人にも十分なソロ・スペースが与えられていて聴き応えは十分です。
ただ愛聴盤にするには1曲づつが長いのでちょっと厳しいかも知れません。
そんなに緊張感は続かないから・・・。
それよりも現在の最高峰のメンバーによるライブという記録盤としての価値が出るような気がします。
やはりメルドーの存在が大きいと思います。
今作がバーンステインの代表作になるのは間違いないです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(814) THE LONNIE PLAXICO GROUP / LIVE AT JAZZ STANDARD
lonnie plaxico(b), marcus strickland(ts), alexander norris(tp),
martin bejerano(p), lionel cordew(ds), kahlil kwame bell(per)
2003/Village Records/
1 |
The Sidewinder (L.Mogan) |
2 |
Jumping Jacks (L.Plaxico) |
3 |
Deticated To You (S.Cahn) |
4 |
A Shorter Take (L.Plaxico) |
5 |
Summer Time (G.Gershwin) |
6 |
Along Came Benny (L.Plaxico) |
7 |
You Don't Know What Love Is (D.Raye) |
8 |
Cachao's Dance (L.Plaxico) |
9 |
Senor Silver (L.Plaxico) |
ロニー・プラシキコ(b)の名前には馴染みがあります。
色んな作品で名前を見たり演奏を聴いたりしていたからです、
でもリーダー作を買うのは初めてで発売時には気付かずスルーしてしまいました。
私は「ジャズ・スタンダード」という響きに弱いのでそんなジャケットがあれば必ず手が伸びるのに・・・。
それもマーカス・ストリックランド(ts)とマーティン・ベジェラーノ(p)という気になる二人の共演者もいました。
リーダーの音楽性を探るのにどんな曲を演奏しているか、作曲しているかがヒントになりますね。
ここではリー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ホレス・シルバー(p)の名前が出てきました。
つまりプラシキコはバリバリのハード・バップ信仰者ということだと思います。
演奏内容も素晴らしいと思ました。
それぞれの力量を見極め認めて確実な場面でソロ・スペースを与えている。
バラードは2曲で(3)はストリックランド、(7)はアレキサンダー・ノリス(tp)がフューチュアーされています。
この2曲は両者の代表的なバラード・プレイになったのではないかな。
全体を通してライオネル・コーデュー(ds)の多彩なドラミングとベジェラーノの切れ味鋭いピアノも聴きどころです。
プラキシコ自身はそれほど目立ってなく共演者を立てている。
こういうアルバムはいいですね。・・・プラシキコのコンポーザーとしてに力量も大したものです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(813) PETER AND WILL ANDERSON QUINTET / BLUES FOR JOE
peter anderson(ts), will anderson(as),
peter bernstein(g), pat bianchi(org), kenny washington(ds)
2017/Gut String Records/
1 |
Blue For Joe (P.Anderson) |
2 |
The Royal Standard (P.Anderson) |
3 |
Exceptional Elegance (W.Anderson) |
4 |
Lush Life (B.Strayhorn) |
5 |
Relaxed Beauty (W.Anderson) |
6 |
Minor Joe (P.Anderson) |
7 |
Vitality (P.Anderson) |
8 |
Body And Soul (J.Green) |
9 |
The Truth Will Prevail (W.Anderson) |
10 |
Few And Far Between (W.Anderson) |
最近ピーター&ウィル・アンダーソン兄弟の作品を見かけることが多いです。
前回はクラリネット作品だったけど今回はサックスに戻りました。
ただバックがオルガン・トリオというのが新味です。
先日紹介した白人オルガニストのパット・ビアンチと絶好調のピーター・バーンステイン(g)の組み合わせ。
ドラマーは安定感十分のベテラン、ケニー・ワシントンです。
全10曲は二人のオリジナルが8曲とスタンダード2曲の構成です。
二人はクインシー・ジョーンズを尊敬しているようですね。
クインシーのコメントが掲載されていました。
また今作はバリトン・サックス奏者のジョー・テンパーリーに捧げる作品になっています。
テンパーリーに6年間師事したとありました。
ジャケットのようにブルージーに演奏しようという意図はよく分かります。
でもね、そうなり切れなかったのが面白いです。
いかにも彼ららしい軽快で爽やかなオルガン・ジャズになっています。
曲想そのものはファンキー&ソウルなんだけど二人の持ち味はそうは変われません。
「Lush Life」と「Body And Soul」・・・2曲のスタンダードはくつろげました。
相変わらず二人のコンビネーションは抜群です。
オルガン=ファンクは私が持つイメージだけど最近はそのイメージが崩れつつあります。
アメリカやヨーロッパの若いオルガニストを聴いていると現代のオルガン・ジャズはスマートです。
それにしてもバーンステインは超売れっ子のギタリストになりましたね。
寝るヒマがあるんだろうか。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(812) PAT BIANCHI TRIO & QUARTET / BACK HOME
pat bianchi(org)
A
wayne escoffery(ts), terell stafford(tp), ralph peterson(ds)
B
gilad hekselman(g), carmen intorre(ds)
2010/Doodlin' Records/
1 |
Fifth House (J.Coltrane) : B |
2 |
Midnight Mood (J.Zawinul/B.Raleigh) : B |
3 |
Litha (C.Corea) : A |
4 |
Back Home (P.Bianchi) : A |
5 |
Blues Connotation (O.Coleman) : A |
6 |
Portrait Of Jenny (G.Burdge/R.J.Robinson) : B |
7 |
Just In Time (B.Comden/A.Green/J.Styne) : B |
8 |
Hammer Head (W.Shorter) : A |
9 |
Fifth House (alt) : B |
オルガン・ジャズを聴いていたら新しいタイプのオルガン奏者も聴いてみたくなりました。
パット・ビアンチ(org)を聴くのは2枚目になります。
ビアンチはニューヨーク出身の1975年生まれで現在41歳です。
バークリー出身ですが元々はピアニストなので多分オルガンとの両刀遣いだと思います。
聴いてみるとすぐに分かりますがピアノ・タッチのオルガン・サウンドが特徴です。
オルガンをオルガンとしてあまり意識していないところが新感覚なのかな。
ジャケットを見てもいかにもスマートでオルガン奏者という感じはないですね。
当然ながらオルガンにコテコテ感を求める人には向いていません。
全8曲ですが選曲が興味深いですね。
ジョンコルトレーン、ジョー・ザビヌル、チック・コリア、オーネット・コールマン、ウエイン・ショーターとあります。
全部乗り越えてきています・・・いかにも現代のジャズ・マンだと思いました。
テレル・スタッフォード(tp)とウェイン・エスコフェリー(ts)のフロント2管とラルフ・ピーターソン(ds)を迎えたカルテットと
オーソドックスなギター入りオルガン・トリオの2セットが聴ける徳用盤です。
Aでは(3)「Litha」が、Bでは(7)「Just In Time」が聴きどころになりました。
表題曲の(4)「Back Home」はビアンチのオリジナルで典型的なハード・バップ曲です。
オルガンをピアノのように弾く新鮮さはあるけれど、明らかにベース・ラインが弱いと思います。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(811) TAWARAYAMA MASAYUKI QUINTET / BLACK COFFEE
松島啓之(tp)、岡淳(ts,fl)、
納屋嘉彦(p)、俵山昌之(b)、小山太郎(ds)
2017/Mock Hill Records/
Disk1
1 |
Fifthy McNasty (H.Silver) |
2 |
Driftin' (H.Hancock) |
3 |
You Stepped Out Of A Dream (N.H.Brown) |
4 |
Black Coffee (S.Burke) |
5 |
One Finger Snap (H.Hancock) |
Disk2
1 |
Brilliant Corners (T.Monk) |
2 |
Golden Earrings (V.Young) |
3 |
Just In Time (J.Styne) |
4 |
I Fall In LoveToo Easily (J.Styne) |
5 |
Bass Introduction (T.Masayuki) |
6 |
Berimbau (B.Powell) |
7 |
Monky Dance (T.Masayuki) |
俵山昌之(b)さんは年に何回かライブ・ハウスで出会う機会があります。
「タワー・ステーション」というグループを率いていて、熱心なファンが多いのも知っています。
ここはメンバーが魅力的で「どうしても見たい」と思って出かけていきました。
松島啓之(tp)さんと岡淳(ts)さんのフロントに納屋嘉彦(p)さんと小山太郎(ds)さんの組み合わせです。
まさに現在の日本のジャズ・シーンで最も脂の乗り切ったメンバーです。
これだけのメンバーを集めるだけでも俵山さんはさすがというか、好センスを感じました。
ライブ・ハウスには女性の姿が多くて、それぞれに女性ファンが付いているそうです。
お客さんが多ければプレイヤーも張り切る・・・全員がノリノリで大いに盛り上がりました。
私は特に小山さんの煽りに煽るドラミングに注目したけど皆さん素晴らしかったです。
さて、今作は先日のそのライブで入手しました。
そこで初めて知りましたがライブそのものが今作の発売記念ライブという位置付けでした。
CDは2016年5月の長野県松本市におけるライブ録音2枚組です。
ホレス・シルバー、ハービー・ハンコック、セロニアス・モンク、バド・パウエルなどのモダン・ジャズの名曲や
ソニー・バーク、ヴィクター・ヤング、ジュール・スタインなどのスタンダードなどの選曲も申し分ありません。
やはりベスト・トラックは表題にもなったD1(4)「Black Coffee」かな・・・ブルージーな雰囲気がたまりません。
バラードのD2(2)「Golden Earrings」や(4)「I Fall In Love Too Easily」もシブい。
このメンバーなら良くて当たり前だけど予想通りのスリリングで熱い演奏が詰まっていました。
ジャズは一瞬にして消え去る運命にある・・・このライブ音源がCD化されて本当に良かったです。
日本における現在のハード・バップの名盤・・・グルーブ感に溢れる文句なしの快演です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(810) TED BROWN & BRAD LINDE SEXTET / TWO OF A KIND
ted brown(ts), brad linde(ts),
michael kramer(g), dan roberts(p), tom baldwin(b), tony martucci(ds)
2012/Bleebop Records/
1 |
Smog Eyes (T.Brown) |
2 |
Slippin' And Slidin' (T.Brown) |
3 |
Opus #42, Third Movement (Tchaikovsky) |
4 |
Pound Cake (L.Young) |
5 |
My Melancholy Baby(E.Burnett) |
6 |
Background Music (W.Marsh) |
7 |
Preservasion (T.Brown) |
8 |
Body And Soul (J.Green) |
9 |
Lennie's (L.Konitz) |
テッド・ブラウン(ts)の年齢を見て驚いてしまいました。
1927年12月生まれとあるので現在89歳、今作の録音時には85歳でした。
「え〜、嘘でしょう」
余りに元気なので信じられません。
テッド・ブラウンはレニー・トリスターノ門下生です。
リー・コニッツやワーン・マーシュの後ろに隠れていてまったく目立っていません。
1950年代に1枚のリーダー作を残しただけで表舞台から消えてしまいました。
それが2000年代になってヨーロッパのクリス・クロスやスティープル・チェース・レーベルから突然の復活です。
半世紀ぶりに70歳を過ぎてからの再登場ですね。
何年前だったか?・・・CDショップでテッド・ブラウンの名前を見た時に驚いたのを思い出します。
「まだ演ってたんだ・・・」ってね。
相手役のブラッド・リンデ(ts)は初見ですがテッドと互角に渡り合っています。
聴きどころは二人のテナー奏者の競演にあります。
トリスターノ派独特のかすれたような、くぐもったようなサックスの音色も楽しむことが出来ます。
今作の狙いはハッキリしています・・・名盤「コニッツ&マーシュ」のリメイク版です。
敬意を表してコニッツとマーシュの曲も取り上げていますね。
さて今作は掘り出し物の一枚です。
知的でクール・・・トリスターノ派そのものの音楽が詰まっていました。
ここにギター奏者が一枚加わったのが大きいです。
マイケル・クラマー=ビリー・バウアーです。
今になっても色褪せないサウンドはトリスターノの先進性と偉大さを物語っています。
以後の多くのジャズ・メンに与えた影響は図り知れません。
素晴らしい一枚だと思います。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(809) TETE MONTOLIU TRIO / BODY AND SOUL
tetemontoliu(p), george mraz(b), joe nay(ds)
1971Rec/Enja/
1 |
Sweet Georgia Fame |
2 |
Old Folks |
3 |
Blues |
4 |
A Nightingale Sang In Berkeley Square |
5 |
Body And Soul |
6 |
Lament |
テテ・モントリュー(p)の1971年のライブ作品です。
中古盤コーナーで見つけました。
テテは好きなピアニストの一人ですが意識して収集してはいません。
CDショップで見かければ買うと感じでずっと来ています。
若い頃はアメリカばかりに目が向いていてヨーロッパのジャズ・メンには見向きもしませんでした。
そんな中でもテテ・モントリューの名前だけは耳に入ってきていました。
スペインの盲目の天才ピアニスト。
テテはいわゆる平均点が高いピアニストでどれを聴いても素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
ここでの興味は若きジョージ・ムラツ(b)の参加にありました。
演目も好きな曲が並んでいます。
↓のビリー・ハート・トリオでもそうでしたがこの頃のムラツは凄いです。
その強靭さはペデルセンも真っ青という感じでしょうか。
ブンブンと弦を引きずり回していますよ。
テテは相変わらずの強烈なスイング感と力強いタッチで迫力満点です。
テテのこの強力無比な演奏スタイルはミシェル・ペトルチアーニに引き継がれました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(808) CHARNETT MOFFETT TRIO & QUARTET / MUSIC FROM OUR SOUL
charnett moffett(b,elb), stanley jordan(g)(1,2,4,5-10,12,13), cyrus chestnut(p,Key)(2,3,5,8,9,10),
jeff "tain" watts(ds)(1,2,7,8,9,10,12,13), victor lewis(ds)(3,5), mike clark(ds)(4,6),
pharoah sanders(ts)(1,7,13)
2016/Motema Music/
1 |
Music From Our Soul |
2 |
Freedom |
3 |
Mood Indigo (D.Ellington) |
4 |
So What ? (M.Davis) |
5 |
Come And Play |
6 |
Love In The Galaxies |
7 |
We Are Here To Play |
8 |
Mediterranean |
9 |
For Those Who Know |
10 |
Just Need Love |
11 |
Celestial Dimentions |
12 |
Sound world Suite |
13 |
Freedom Swing |
14 |
Love For The People |
これまた久し振りにチャーネット・モフェット(b)の名前を見たので手が伸びました。
1967年ニューヨーク生まれの現在50歳、ジュリアード出身のエリート・ジャズ・ベーシストです。
抜群のテクニシャンで強烈な演奏を聴かせてくれます。
若い頃のモフェットはエネルギッシュに動き、そのパワフルな奏法は一度見たら忘れられません。
最初に名前を見たのはブランフォード・マルサリス(ts)のアルバムでした。
スタンリー・ジョーダン(g)、マルグリューミラー・(p)、ケニー・ギャレット(as)、マッコイ・タイナー(p)などと共演しています。
その他ウィントン・マルサリス(tp)、ウォレス・ルーニー(tp)、マンハッタン・ジャズ・クインテットなどで名を上げました。
全14曲は2曲を除いて自身のオリジナルです。
ファラオ・サンダース(ts)が参加したカルテットが3曲(1,7,13)、サイラス・チェスナット(p)とのトリオが2曲(3,5)、
盟友スタンリー・ジョーダン(g)とのトリオが2曲(4,6)、その他カルテット、デュオ、ベース・ソロなどがあります。
曲想や組み合わせに変化があって、モフェットもアコースティックとエレキ・ベースを使い分けているので飽きさせません。
曲数が多く比較的短い構成になっているのはモフェットの音楽性の全てを出したかったのかも知れませんね。
やはり、長い付き合いのジョーダンが一番しっくりきました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(807) WALLACE RONEY QUINTET & SEXTET / A PLACE IN TIME
wallace roney(tp), ben solomon(ts), gary bartz(as)(3,5,6,7)
patrice rushen(p), buster Williams(b), lenny white(ds)
2016/HighNote/
1 |
Around And Through (P.Rushen) |
2 |
Elegy (T.Williams) |
3 |
Air Dancing (B.Williams) |
4 |
Observance (W.Roney) |
5 |
Ardeche (B.Solomon) |
6 |
L's Bop (L.White) |
7 |
Clair De Lune (C.Debussy) |
8 |
My Ship (K.Weill) |
久々にウォレス・ルーニー(tp)を買いました。
1960年生まれの現在57歳、フィラデルフィア出身でバークリーにも通っています。
マイルス・デイビスに最も近いですが元々はクラーク・テリー派のトランぺッターです。
トニー・ウィリアムス・クインテットへの入団で知られるようになったのでトニーが恩人かな。
ここでもちゃんとトニーの曲を取り上げていますね。
メンバーのオリジナルを1曲づつ採用しているのもいかにもルーニーは真面目で律儀な感じがします。
自己のアルバムでは自身のクールで静に対してホットで動なサックス奏者を選ぶことが多いです。
印象に残っているのは80〜90年代のゲイリー・トーマス(ts)との共演盤です。
さて今作でもその傾向は踏襲されていて動のベン・ソロモン(ts)やゲイリー・バーツ(as)が起用されています。
でも私が惹かれたのはバックのピアノ・トリオです。
パトリース・ラッシェン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、レニー・ホワイト(ds)とくればフュージョン・サウンドを予想します。
でも中身は違っていて至極オーソドックスなハード・バップ・サウンドが詰まっていました。
一番の聴きどころは(6)「L's Bop」でパトリースの瑞々しいピアノ・ソロとレニーの多彩なドラミングです。
(8)「My Ship」をはじめルーニーのミュート・トランペットの素晴らしさは群を抜いていると思います。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(806) JD ALLEN QUARTET / RADIO FLYER
jd allen(ts),
liberty ellman(g), gregg august(b), rudy royston(ds)
2017/Savant/
1 |
Sitting Bull |
2 |
Radio Flyer |
3 |
The Angelus Bell |
4 |
Sancho Panza |
5 |
Heureux |
6 |
Daedalus |
7 |
Ghost Dance |
JD・アレン(ts)を聴くのも久し振りです。
ちょっとは重たいものも聴かないといけないかなと思って手が伸びました。
アレンは硬派のテナー奏者でベースとドラムスの不動のピアノレス・トリオを率いています。
今回は新たにギターが加わったワン・ホーン・アルバムに興味を引かれました。
ジョン・コルトレーン〜ファラオ・サンダースにプラス、ソニー・ロリンズはギンギンの主流派と言えると思います。
それにオーネット・コールマンやアルバート・アイラーといったところのアプローチもあります。
全7曲は全てアレンのオリジナルで1曲目から彼の世界が広がっていました。
テーマはあってもないようなもので基本的にはフリー・スタイルを貫き通しています。
ソロイストの主張にメンバーが即座に反応する・・・即興性のジャズの魅力が詰まった作品と言えます。
特にルディ・ロイストンのドラムとの絡みが素晴らしくて、ここが一番の聴きどころになるかな。
リバティ・エルマンのギターがまた長年のレギュラーのようにメンバーに馴染んでいるのにも驚かされました。
まったく違和感がありません。
先の展開の見えないスピリチュアルな演奏が魅力です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(805) BILLY HART TRIO / THE TRIO
billy hart(ds), walter bishop jr(p), george mraz(b)
1978Rec/Progressive/
1 |
This Thing |
2 |
There Will Never Be Another You |
3 |
Nancy |
4 |
Minority |
5 |
Night In Tunisia |
6 |
Waltz For Zweetie |
7 |
Every Time We Say Goodbye |
8 |
For All We Know |
9 |
Anthropology |
10 |
This Thing |
11 |
For All We Know |
12 |
Once I Love |
ビリー・ハート(ds)の1978年作品の復刻盤です。
ここで目を惹かれたのはウォルター・ビショップ(p)の名前です。
これを見たらどうしても聴きたくなってしまいました。
演目には馴染みのスタンダードが並んでいるし、どうにも手が止まりませんでした。
ビリー・ハートのドラムスを中心にした切れ味の良いピアノ・トリオの作品です。
特筆すべきはジョージ・ムラツ(b)の強靭さでしょうか。
ヨーロッパのベーシストは60年代にニールス・ペデルセンの登場で一気に注目されることになりました。
最初は超絶技巧ばかりが目立ちましたが徐々にアメリカの伝統的なベース奏法も取り入れていくことになります。
ここでのムラツはまだその成長途上にあるようでブンブンと鳴らす強力なヨーロッパ系ベースを聴かせています。
この存在感が凄いです。
ハートもビショップもそれに扇られてか、いつもよりは激しいプレイを聴かせてくれました。
全体的にはちょっと粗いかもしれませんが寡作のビショップのトリオ盤が聴けることで貴重です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(804) MIGUEL ZENON QUARTET / TIPICO
miguel zenon(as),
luis perdomo(p), hans glawischnig(b), henry cole(ds)
2016/Song X Jazz/
1 |
Academia |
2 |
Cantor |
3 |
Ciclo |
4 |
Tipico |
5 |
Sangre De Mi Sangre |
6 |
Corteza |
7 |
Entre Las Raices |
8 |
Las Ramas |
9 |
La Novia Que Nunca Tuve |
ミゲール・ゼノン(as)の新作はジャケ買いです。
ある種一抹の不安を抱えながら13年振りにリーダー作品を買いました。
ゼノンはバークリーの出身、キューバのダニーロ・ペレス(p)や先輩格のデヴィッド・サンチェス(ts)等と共演して頭角を現してきました。
ユニークで強力なアルト奏者として注目していましたが余りにシリアスでダークな世界・・・聴いていて疲れるので離れてしまいました。
これはゴンザロ・ルバルカバ(p)や前述のデヴィッド・サンチェスにも同様の思いがあります。
今作は原点であるプエルトリコに回帰する曲想で全9曲中8曲が自身のオリジナルです。
ジャケットの雰囲気が良くて、もう1回「買ってみようか」という気になりました。
結果は買って良かった・・・これはゼノンの最高の一枚になったと思います。
超クールな音色のゼノンの特徴もよく出ているし、盟友ルイス・ペルドモ(p)の素晴らしいピアノも聴けます。
思うにジョニー・ホッジス〜ポール・デスモンド〜マリオン・ブラウン〜ミゲール・ゼノンの流れが出来ました。
このラインはサウンド的にとても重要で、アルト・サックスの特徴的な高音部の奏法が受け継がれています。
細く、薄く、繊細でクール、透明感のある美しい音色を持っています。
私的ベスト・トラックは感動的な(2)「Cantor」、ハイセンスなリズム感の(6)「Corteza」にも注目しました。
表題曲の(4)「Tipico」や(3)「Ciclo」も良かった、フリー・フォームで演奏される(7)「Entre Las Raices」も入ってます。
相も変わらず日本盤のみのボーナス・トラックの(9)ですがこの先進のラテン・サウンドも聴きどころになりました。
全体を通してペルドモの存在感が光っていて、ペルドモ居ればこそのゼノンという感じがしました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(803) THE KIRK LIGHTSEY TRIO / IF YOU'RE NOT HAVING FUN BY NOW...
kirk lightsey(p), steve watts(b), dave wickins(ds,per)
guest:lee goodall(as,fl)
2006Rec/NBT Records/
1 |
Escapade (K.Dorham) |
2 |
Estate (Martino/Brigetti) |
3 |
Punjab (J.Henderson) |
4 |
Tarde (M.Nascimento) |
5 |
Golden Legacy (S.Debriano) |
6 |
Vappalia (K.Jarrett) |
7 |
Fresh Air (K.Lightsey) |
カーク・ライトシーは1937年デトロイト生まれ、現在79歳になりますが健在のようです。
ゴリゴリのようだけど実はオーソドックスなスタイルの持ち主です。
ライトシーは60年代半ばにチェット・ベイカーのグループ入りで知られるようになりました。
30歳近く、いわゆる遅咲きのピアニストです。
それだけに実力は十分で、もう少し早く活躍の場があればもっと有名になっていたと思います。
さて、今作は2006年作品でライトシー69歳時の録音です。
ケニー・ドーハム、マルティーノ、ジョー・ヘンダーソン、ミルトン・ナシメント、デブリアーノ、
キース・ジャレット、オリジナルなど・・・構成も凝った選曲で聴きどころが多いです。
ゲストの管楽器が入るのは(5)と(7)の2曲です。
今作は力強く、豪放磊落でライトシーの実力を余すところなく伝えています。
強烈で個性的で味わい深く、ライトシーのピアノはホントにいいです。
1曲目から引き込まれることは確実です。
重厚でキッチリとしたピアノ・トリオが聴けました。
私的ベストはヘンダーソン(ts)の(3)「Punjab」です。
スティーヴ・ワッツのよく伸びるベースに乗ってライトシーが疾走する。
唯一のオリジナル(7)は中近東系、オリエンタルなムードと相まって聴き味十分です
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(802) FRANCO D'ANDREA TRIO / TRADITIONS TODAY
franco d'andrea(p), daniele d'agaro(cl), mauro ottolini(tb)
2017/Parco Della Musica Records/
CD1-Live Session
1 |
The Telecasters/Afro Abstraction/I Got Rhythm |
2 |
Basin Street Blues |
3 |
Via Libera |
4 |
Naima |
5 |
Muskrat Rumble/King Poters Stomp/Grapes |
6 |
Saint Louis Blues/I've Found A New Baby |
7 |
Staccato 1 |
CD2-Studio Session
1 |
m2+M3 |
2 |
Savoy Blues |
3 |
I Got Rhythm |
4 |
Lychees |
5 |
Staccato 2 |
6 |
m2+M3 (Alternate Take) |
7 |
Savoy Blues (Alternate Take) |
8 |
Lychees (Alternate Take) |
イタリアのベテラン・ピアニストのフランコ・ダンドリアを久々に聴きました。
ピアノ、クラリネット、トロンボーンの組み合わせって珍しいですね。
それでどんなものかと思って手が伸びました。
ダンドリアが考えるジャズの伝統とはこういうものか。
それを具体的に表現した作品になっています。
ライブ録音とスタジオ録音の2CDです。
1920年代、30年代、うらぶれた小さな酒場のホンキー・トンクなピアノでこんなジャズが演奏されていた。
ブルース、ブギウギ、チャールストン、スイング、特にブルースは古典的な3曲が選曲されています。
ダンドリアのストライド・ピアノが聴きどころで表題の「Tradition Today」がピッタリです。
でもやっぱり私はハード・バップ以降のモダン・ジャズの方が好きだけど・・・回帰型ジャズは向いていません。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(801) WOODY SHAW QUINTET / THE TOUR VOLUME ONE
woody shaw(tp), junior cook(ts),
ronnie mathews(p), stafford james(b), louis hayes(ds)
1976Rec/HighNote/
1 |
The Moontrane (W.Shaw) |
2 |
Obsequious (L.Young) |
3 |
Book's Bossa (W.Booker/C.Walton) |
4 |
Ichi-Ban (R.Mathews) |
5 |
Sun Bath (P.Stern) |
6 |
Invitation (B.Kaper/P.Webster) |
ウディ・ショウ(tp)の音源発掘盤です。
1976年3月のライブ盤でショウの息子さんが持っていた録音です。
最近こういう発掘された音源の初CD化も多いですね。
この何ヶ月かでウェス・モンゴメリー(g)とジェリー・マリガン(bs)も入手しています
内容は凄いのひと言です。
熱い!熱い!熱い!、まさに圧倒的な迫力で迫ってきます。
何もかも巻き込んで疾走する感じがしました。
ライブにおけるウディ・ショー・クインテットの真の姿がここにありました。
全員が一丸となって強力無比な演奏を繰り広げています。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(800) EDDY LOUISS TRIO / RECIT PROCHE
eddy louiss(org,p), jean-marie ecay(g), paco sery(ds)
daniel huck(as), xavier cobo(ts,fl)
2001/Dreyfus/
1 |
Pour Toi |
2 |
Incertitudes |
3 |
Marilyn & Bronsky |
4 |
Au Soleil Avec Toi |
5 |
Comment Dites-Vous ? |
6 |
Pour Toujours |
7 |
Summertime (G.Gershwin) |
8 |
Recit Proche |
9 |
Un Grand Feu |
フランスのオルガニストのエディ・ルイスの作品です。
ミシェル・ペトルチアーニ(p)との共演が素晴らしかったのでリーダー作を聴いてみたかった。
優しげで印象的なジャケットなのでチェックしていたのに延び延びになってしまいました。
1曲を除いては全てルイスのオリジナルですが曲想も多彩で作曲者としての能力も高いです。
ペトの競演盤ではけっこうゴリゴリ弾いていたのでイメージが狂ってしまいました。
美しいメロディ・ラインとスマートなサウンドでフュージョン・テイストを持つ作品でした。
フランス風なオシャレな感覚もあるけど、これがルイス本来の姿なのかもしれませんね。
一口にいうと「穏やかな作風」です・・・心地良い風が吹き抜ける感じがします。
ベストは(4)かな、(6)も良かった、その美しいサウンドに参ってしまいました。
昼下がりのコーヒー・タイムに聴きたい。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(799) NAJPONK TRIO / AND TENER TITANS
ondrej stveracek(ts), osian roberts(ts),
najponk(p), taras voloschuk(b), marek urbanek(ds)
2017/Gats/
1 |
Introdiction By Glenn Spicker |
2 |
All Crean (D.Gordon) |
3 |
Rhythm-a-Ning (T.Monk) / dedicated to Hans Groiner |
4 |
Take The Coltrane (D.Ellington) |
5 |
Blue Monk (T.Monk) / dedicated to Hans Groiner |
6 |
Impressions (J.Coltrane) |
7 |
All Crean (D.Gordon) - afternoon rehearsal take |
もう10年位前になるのかな、チェコのナイポンク・トリオが大きな話題になったのは。
ナイポンクが紹介されるや否や確かな実力と個性的な名前で日本のピアノ・ファンを席巻してしまった。
バド・パウエル系のジャズの王道をいくピアニストで、メリハリのある切れ味鋭い演奏が素晴らしいです。
どれを聴いても間違いないという安定感と安心感があって聴き味がとても良いです。
やはり大人気のようで毎年新作も次々に発売されています。
ジャケットを見た途端に「これはいいぞ」という予感がありました。
3週間前に紹介したばかりのチェコのOndrej StveracekとイギリスのOsian Robertsの2テナーの競演です。
企画は日本の「ガッツ・プロダクション」なので演出もバッチリと決まりました。
テナー二人の個性がハッキリしているので聴いていて面白かったです。
共にコルトレーン系でパワフルであるけれどOndrej Stveracekは切れ味、Osian Robertsはうねるテナーが特色です。
デクスター・ゴードン(ts)を彷彿とさせる豪快さも持っています。
そのデックスの1曲目の「All Crean」でギュッと心を鷲づかみにされました。
(7)「Impressions」では二人の個性が浮き上がる・・・ナイポンク・トリオの素晴らしいバッキングにも注目です。
チェコ・ジャズの最高峰が聴けたと思います。
テナー・バトルの作品は数多く存在しているけれど、これもまた記憶に残る一枚になりました。
最後にリラックスしたリハーサルの1曲が加えられているのもプロデューサーの心の中が見えるようです。
雰囲気がいいので「どうしてもお蔵入りにしたくはなかった」という気持が・・・。
なお(3)と(5)の2曲はモンク研究のオーストリアのピアニスト、ハンス・グロイナーに捧げるものになっています。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(798) GRANT STEWART TRIO / ROLL ON
grant stewart(ts), paul sikivie(b), phil stewart(ds)
2017/Cellar Live/
1 |
Thinking Of You (H.Ruby/B.Kalmar) |
2 |
Here I'll Stay (K.Will) |
3 |
After You've Gone (T.Layton/H.Creamer) |
4 |
Just As Though You Were Here (J.B.Brooks/E.Delange) |
5 |
Un Poco Loco (B.Powell) |
6 |
End Of A Love Affair (E.C.Redding) |
7 |
Fats Flats (F Navarro) |
8 |
Do You Know What It Means To Miss New Orleans (E.Delange/L.Alter) |
9 |
Roll On (E.Hope) |
グラント・スチュアート(ts)のピアノレス・トリオ盤です。
グラント・スチュアートについてはあまり興味がなかったのでほとんど情報を持っていませんでした。
テナー奏者にしては茫洋としていてちょっとぼやけた感じがしたからです。
グラントは1971年生まれの現在46歳です。
ちなみにエリック・アレキサンダー(ts)は48歳でハリー・アレン(ts)は50歳なので一番若いです。
解説を読んでみるとグラントはカナダ出身、トロントでパット・ラバーレラ(sax)とボブ・ムーバー(sax)に師事したとありました。
今作のルーツはソニー・ロリンズ(ts)のトリオ盤で「Way Out West」(1957)、「Village Vanguard」(1957)、「Freedom
Suite」(1958)だそうです。
サックス奏者がある程度のキャリアを積んでくるとピアノレス・トリオをやりたくなる傾向にあるようですね。
そんなこともあって有名サックス奏者のほとんどにピアノレス・トリオ盤が出ています。
グラントとっては2枚目のピアノレス・トリオになります。
改めて私がグラントのテナーにピンとこないのはなぜだろうと考えてみました。
落ち着き過ぎている・・・抑揚がないというか、どうも一本調子に聴こえてしまうのです。
くねる奏法・・・音域も狭いような気がするし、無理してない、冒険していない感じがします。
私はテナー・サックスが大好きだけど突き抜ける鋭い音色と切れ味が欲しいです。
まあね、最後はやはり好みの問題だと思います。
ピアノがないとなればサックスに歌心が欠かせませんね。
で、ここではサラ・ヴォーンとフランク・シナトラをイメージしたと書いてありました。
私は今作でのグラントは今まで聴いた中で一番良いと思いました。
特に(4)、(6)、(8)のバラードが聴きどころになりました。
マイペースでのんびり、ゆったりと歌う感じがぼんやりとした音色に合っています。
グラントは牧歌的、演歌的歌い方をするサックス奏者だと認識しました。
表題曲はエルモ・ホープ(p)の曲ですがホープには作曲の才もあったので取り上げられたのは嬉しいです。
なおドラマーのフィル・スチュワートはグラントの弟だそうです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(797) ATSUSHI KANNO TRIO / ATSUSHI KANNO TRIO
atsushi kanno(tp), takashi ohashi(p), nobuyuki yano(b)
2017/YPM/
1 |
Swing That Music (1936/H.Garland&L.Armstrong) |
2 |
Black And Tan Fantasy (1927/D.Ellington) |
3 |
Liza (1929/G&I.Gershwin) |
4 |
Lotus Bloosom (1967/B.Strayhorn) |
5 |
You're Getting To Be A Habit With Me (1932/H.Warren&A.Dubin)
|
6 |
It Don't Mean A Thing (1932/D.Ellington&I.Mills) |
7 |
Should It ? (1930/N.H.Brown&A.Freed) |
8 |
Under A Blanket Of Blue (1933/J.Livingston&M.Symes, A.J.Neiburg) |
9 |
Riverboat Shuffle (1924/H.Carmichael) |
10 |
Do You Know What It Means To Miss New Orleans (1944/E.De.Lange&L.Alther) |
11 |
Panama (1912/W.H.Tyers) |
12 |
There's A Small Hotel (1936/R.Rodgers&L.Hart) |
13 |
West End Blues (1928/J.K.Oliver) |
帯中の”ほろ苦い大人のトラッドジャズ”に惹かれました。
トランぺッターの菅野淳史さんの名前は初めて聞きました。
中堅のジャズ・マンで名前を知らないというのも珍しいです。
私はモダン・ジャズが中心ですが菅野さんはデキシー&ニューオリンズ畑なので接点がなかったかも。
ここはトラディショナルな選曲が魅力だと思います。
1920年代と30年代が中心でめったに聴けない曲も入っていました。
大橋高志(p)さんと矢野伸行(b)さんとのドラムレス・トリオでのんびり、ゆったりとした気分になりました。
心地良いトランペットの音色と軽やかなスイング感の雰囲気は昼下がりのコーヒー・タイムにピッタリです。
静かに時間が流れていきます。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(796) ONDREJ STVERACEK QUARTET / SKETCHES
ondrej stveracek(ts),
klaudius kovac(p), tomas baros(b), gene jackson(ds)
2016/Stvery Records/
1 |
Song Nr.226 (O.Stveracek) |
2 |
I Want To Talk About You (B.Eckstine) |
3 |
Bunch Of Gypsies (T.Baros) |
4 |
Sketches (O.Stveracek) |
5 |
It Could Happen To You (J.V.Heusen) |
6 |
Three Card Molly (E.Jones) |
7 |
Before Then (G.Jackson) |
8 |
Lullaby-dedicated to my daughter Anna (O.Stveracek) |
ondrej stveracekは初見ですが何と読めばいいんでしょうか。
チェコのベテラン・テナー奏者だそうです。
サングラスにテナー・サックスとくればブルー・ノートのハンク・モブレー(ts)を思い出します。
いかにも1960年代のジャケットが気に入って手が伸びました
馴染み深いジーン・ジャクソン(ds)の名前があるのも安心感がありました。
聴いてみると中身はモブレーではなくてジョン・コルトレーンそのものでした。
1曲目からグイグイと飛ばす飛ばす、その圧倒的なスピード感に引き込まれてしまいました。
2曲目になるとまるでコルトレーンの「バラード」を聴いているみたいに錯覚してしまうほどです。
サウンド的に一番面白かったのは(3)「Bunch Of Gypsies」で独特のお国柄が出ていました。
表題曲の(4)「Sketches」はピアノとドラムスのコンビネーションが凄いです。
アルバム全体を覆う重量感があります・・・コルトレーン・カルテット風味がする。
全員が一丸となって切れ味鋭く強靭なタッチで迫ってくるという表現が一番ピッタリときます。
チェコのジャズ・シーンの底力を見た思いがしました。
ジーン・ジャクソンの名前は東京のライブ・ハウスでもよく見かけます。
大の親日家のようでしょっちゅう日本にも来ているようです。
私も何度か聴く機会がありました。
当然ながら彼の多彩なドラミングも聴きどころになります。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(795) JOEY DeFRANCESCO + THE PEOPLE / PROJECT FREEDOM
joey defrancesco(org,key,tp),
jason brown(ds), troy roberts(ts,ss), dan wilson(g)
2017/Mack Avenue/
1 |
Imajine (Plelude) (J.Lennon) |
2 |
Project Freedom (J.Defrancesco) |
3 |
The Unifier (J.Defrancesco) |
4 |
Better Than Yesterday (J.Defrancesco) |
5 |
Lift Every Voice And Sing (J.W.Johnson&J.R.Johnson) |
6 |
One (J.Defrancesco) |
7 |
So Near, So Far (T.Crombie&B.Green) |
8 |
Peace Bridge (J.Defrancesco) |
9 |
Karma (J.Defrancesco) |
10 |
A Change Is Gonna Come (S.Cooke) |
11 |
Stand Up (J.Defrancesco) |
最近オルガンが聴きたくなったこともあってチャールス・アーランドにハマっています。
そんな中で久々にジョーイ・デフランチェスコを買ってみました。
オルガンに関してはどうしてもジミー・スミスやジャック・マクダフのイメージが強過ぎます。
それでデフランチェスコにしてもスマートさがネックになってほとんど聴いてなかったです。
色んな楽器が演奏できるマルチプレイヤーの器用さもマイナスだったかもしれません。
今作はいわゆる有名なスタンダードが1曲も入っていなかった。
それが「かえっていいかな」と思って手が伸びました。
全11曲は自身のオリジナルが7曲とその他4曲の構成です。
予想は正解だったです。
サウンド的に最先端のオルガン・ジャズが聴けました。
題名が「Project Freedom」です。
デフランチェスコはこういうものがやりたかったんですね。
広がりのあるサウンドでデフランチェスコのスタイルにはピッタリだと思いました。
サックスのトロイ・ロバーツは初めて聴いたけど中々いいと思いました。
私的ベストは最もジャズっぽい雰囲気を持つ(9)「Karma」でこれはカッコ良かったです。
ジャズ・オルガニストの層は薄いけれどデフランチェスコは経験、実力も十分です。
知名度も高いのでやはりこの人にはオルガン・ジャズの先頭に立って引っ張ってもらいたい。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(794) YOICHI KOBAYASHI & GOOD FELLOWS / TAKE THE YELLOW TRAIN
vincent herring(as), eric alexander(ts), erena terakubo(as)(2,6,7),
anthony wonsey(p), motoi kanamori(b), yoichi kobayashi(ds)
2017/Monky's Records/
1 |
Manteca (D.Gillespie) |
2 |
Sweet Clifford (C.Brown) |
3 |
Just Squeeze Me (D.Ellington) |
4 |
Take The Yellow Train (Y.Kobayashi) |
5 |
You Don't Know What Love Is (G.D.Paul) |
6 |
Two Bass Hit (D.Gillespie) |
7 |
Franks Tune (F.Strozier) |
8 |
Giant Steps (J.Coltrane) |
9 |
Good Morning Heartache (D.Fisher) |
小林陽一&グッドフェローズの新譜です。
日本人はJJM(ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズ)と外国人が入るとグッドフェローズになるようです。
小林さんが率いるグループのライブは楽しめるので機会があれば見に行くようにしています。
長年若手の登竜門にもなっているので新人のプレイ振りが一番の楽しみです。
ここから巣立って行った一線級のプレイヤーがいったい何人になるのか?
以前小林さん本人に聞いたことががあるけど、数が多過ぎて「もう、分からない」そうです。
さて今作はライナー・ノーツを小林さん自身が書いています。
80年代ニューヨークでストリート・ミュージシャンとして知り合ったのがヴィンセント・へリング(as)なので盟友ですね。
以前、小林さんに「ストリートの稼ぎは凄く良かった」と聞いたことがあります。
その後ヴィンセントはメジャーへの道を歩むことになります。
ストリート出身のジャズ・ミュージシャンは貴重で実戦向きの強力で独特の雰囲気を持っていると思います。
そのヴィンセント・へリングつながりでエリック・アレキサンダー(ts)との共演も多くなりました。
ここは話題の寺久保エレナ(as)さんが参加していてフレッシュな演奏を聴かせてくれました。
さらに日本で演奏することも多いアンソニー・ウォンジー(p)と才能溢れる金森もとい(b)さんが共演です。
聴きどころはまずエリックとヴィンセントのワン・ホーンになるかな。
エリックの(5)「You Don't Know What Love Is」はボサノバで演奏されますがこの曲のボサは珍しいかも。、
ヴィンセントの(9)「Good Morning Heartache」のバラード奏法も素晴らしいです。
(7)「Franks Tune」ではヴィンセントと寺久保さんのアルトの競演が聴けました。
フランク・ストロジャー(as)は近年再評価されているような気がするけどこの曲もいいです。
唯一の3管アレンジは(6)「Two Bass Hit」で聴けました。
やはり寺久保さんの参加が大きいと思う・・・初共演ということもあって緊張感が漂っています。
なお今までヴィンセント・ハーリングと書いていましたが正しくはヴィンセント・へリングのようです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(793) PETER & WILL ANDERSON / CLARINET SUMMIT
peter anderson(cl)(solo1), will anderson(cl)(solo2),
ken peplowski(cl)(solo3), paquito d'rivera(cl)(solo4)
tardo hammer(p), david wong(b), kenny washington(ds)
2016/Storyville/
1 |
How About You ? (B.Lane) (solo1,3,2) |
2 |
When You Wish Upon A Star (L.Harline) (solo2,3,1) |
3 |
Very Saxy (Eddie.L.Davis) (solo1,3,2) |
4 |
Prelude To A Kiss (D.Ellington) (solo1) |
5 |
I'll Never Be The Same (M.Malneck) (solo2) |
6 |
Cry Me A River (A.Hamilton) (solo3) |
7 |
Make Someone Happy (J.Styne) (solo2,3,1) |
8 |
How Insensitive (A.C.Jobim) (solo2,1,3) |
9 |
Groovin' High (D.Gillespie) (solo4,2,1,3) |
10 |
Creole Love Call (D.Ellington) (solo4,2,3,1) |
11 |
A Night In Tunisia (D.Gillespie) (solo3,4,2,1) |
ピーター&ウィル・アンダーソン、兄弟(双子)サックス奏者のクラリネット作品です。
普段はピーターがテナー・サックスでウィルがアルト・サックスを吹いています。
二人は軽快でスイング感溢れるクラシカルなジャズ・スタイルを持っています。
柔らかく優しい音色、スマートで優等生、爽やかなウエスト・コーストの風を感じる。
そんな二人のクラリネットならピッタリじゃないかと思いました。
その上共演がケン・ペプロウスキーとパキート・デ’リヴェラときたら興味津々です。
ペプロウスキーはベニー・グッドマンを彷彿とさせる名手でパキートはキューバ出身のアルト奏者。
久々にパキートのクラリネットが聴けるのは嬉しかったです。
ライブ盤ですが4人のクラリネット奏者が並んだステージは壮観だったでしょうね。
つくづく「見てみたいなぁ〜」と思いました。
今時、スイング系のクラリネット作品は珍しいのではないかと思います。
でもオールド・スタイルはいつの時代でも一定の支持があるのは確かです。
全11曲は良く知られたスタンダードが中心です。
唯一の例外は(3)「Very Saxy」でエディ”ロックジョウ”デイヴィス(ts)の曲です。
”ロックジョウ”の曲が取り上げられるのは珍しいけどバトル曲としてはピッタリかな。
各曲のソロの順番を書いてくれているのも親切ですね。
ベテランのペプロウスキーとパキートの上手さはすでによく知られています。
ピーター&ウィルの兄弟もそれに勝るとも劣らない好演を聴かせてくれました。
複数のクラリネットによるユニゾンやアンサンブルがまた新鮮です。
クラリネットが堪能出来るジャズ・アルバムとして貴重な作品になると思います。
疲れている時に最適な癒し系・・・4人のクラリネットが一度に聴ける大徳用盤です。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(792) JESPER LUNDGAARD TRIO / 2016
jesper lundgaard(b), hans ulrik(ts), niclas knudsen(g)
2016/Storyville/
1 |
K.B.Blues (J.Lundgaard) |
2 |
Walking In Circles (H.Urlik) |
3 |
The Meeting (H.Urlik) |
4 |
The Meaning Of The Blues (B.Troup) |
5 |
Three Birds In Paris (H.Urlik) |
6 |
Doug (J.Lundgaard) |
7 |
Stafet (H.Urlik) |
8 |
Vals Fra Norrebro (N.Knudsen) |
9 |
Naima(J.Coltrane) |
10 |
Waltz For K (J.Lundgaard) |
イェスパー・ルンゴーはデンマークを代表するベーシストです。
特にアレックス・リール(ds)とのコンビには定評があってこの二人の共演は間違いありません。
昨年のベスト3にはエンリコ・ピエラヌンチ(p)とのトリオ盤を上げました。
さてハンス・ウーリック(ts)とニクラス・クヌーセン(g)とのこのトリオは2004年に結成されたようです。
もう10年以上になるのでお互いの気心は知れています。
ベース、テナー・サックス、ギターの組み合わせは珍しいかもしれませんね。
ルンゴーは柔らかくフレキシブルな奏法でどんなサウンドにも自在に反応します。
ウーリックとクヌーセンはゴリゴリの硬派なプレイヤーなので「どんなもんか?」と手が伸びました。
全10曲はメンバーのオリジナル8曲とその他2曲の構成です。
全体的に強いブルース・フィーリングが漂っています。
3人3様に「これでもか!」とグイグイとくるところがあって3者のぶつかり合いが刺激的です。
トリオにしては至極重厚な仕上がりになっています。
強靭なベース・プレイを聴かせるルンゴーはアルコ・プレイも凄いです。
これほど豪快なルンゴーを初めて見ました。
まず聴きどころはよく知られたボビー・トループの(4)とジョン・コルトレーンの(9)になると思います。
オリジナルではウーリックの(5)とルンゴーの(6)がお気に入りになりました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(791) DAVID GILMORE QUINTET / TRANSITIONS
david gilmore(g), mark shim(ts),
victor gould(p), carlo derosa(b), e.j.strickland(ds),
gregoire maret(harmonica)(4), bill ware(vib)(8)
2017/Criss Cross/
1 |
End Of Daze (D.Gilmore) |
2 |
Beyond All Limits (W.Shaw) |
3 |
Blues Mind Matter (B.Hutcherson) |
4 |
Blusette (T.Thielemans) |
5 |
Both (A.Peacock) |
6 |
Spontanuity (D.Gilmore) |
7 |
Kid Logic (V.Bailey) |
8 |
Farralone (B.Hutherson) |
9 |
Nem Un Talvez(H.Pascoal) |
デヴィッド・ギルモア(g)はM-Base派ですね。
スティーヴ・コールマン(as)&ファイブ・エレメンツの一員でした。
共演のマーク・シム(ts)もその流れのサックス奏者です。
ちなみにその一派で重要なのは前述のスティーブ・コールマン(as)、グレッグ・オスビー(as)、
ジェリ・アレン(p)、ゲイリー・トーマス(ts)、カサンドラ・ウィルソン(vo)らがいます。
私が一番好きなのはゲイリー・トーマスです。
久々にM-Base派のジャズを聴きましたが面白かったです。
未だに新鮮さは失っていないと同時に聴き易くなっていると思います。
先進的で頭でっかちなところもあったけれどだいぶ丸くなってきています。
最近は聴き易いものばかりを聴いていたのでもの凄く新鮮で毎日愛聴していました。
今週のもう一枚もサム・リバース(ts)なのでジャズにどっぷり浸かった気がします。
待望の春を迎えて気分も元気になっているのかもしれません。
どの曲も良かったけれど好みではボビー・ハッチャーソン(vib)の(3)と(8)が出色でした。
展開やリズムに工夫が見られる(6)や(7)もお気に入りになりました。
ゲストがハーモニカとヴァイブというのもよく考えられた選択だと思います。
アルバムの流れに変化が出て曲想も多彩で飽きさせません。
演奏内容も素晴らしく構成もよく考えられている・・・今年聴いた中では一番いいかな。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(790) GERRY MULLIGAN / NATIONAL JAZZ ENSEMBLE
Directed By Chuck Israels
conducter & music director: chuck israels
guest soloist: gerry mulligan(bs)
reeds: arnie lawrence, lawrence feldman, greg herbert, dennis anderson, kenny berger
trumpets: jimmy maxwell, wayman reed, mike lawrence, david berger
trombones: jimmy knepper, rod levitt, sam burtis
rhythm section: steve brown, bill dobbins, steve gilmore, bill goodwin
vocal: margot hanson
2016(1977Rec)/Dot Time Records/
1 |
Back At The Barn (Mulligan) |
2 |
Walkin' Shoes (Mulligan) |
3 |
Israel (Carisi) |
4 |
Evidence (Monk) |
5 |
Bird Tapestry (Parker) |
6 |
Creole Love Call (Ellington) |
7 |
Thruway (Mulligan) |
8 |
Idol Gossip (Mulligan) |
9 |
Ballade (Mulligan) |
1977年録音の発掘音源盤です。
チャック・イスラエル(b)が率いた「ナショナル・ジャズ・アンサンブル」にジェリー・マリガン(bs)が客演したもの。
イスラエルが録音していたので日の目を見ることが出来ました。
正直、いまさらという思いもしましたが結局マリガンという名前に引かれました。
私はジェリー・マリガンからモダン・ジャズの世界に入ったのでマリガンには特別の思い入れがあります。
16歳の高校2年生・・・マリガンからウエスト・コースト・ジャズにどっぷりとハマりました。
2年くらいは東方面のレコードは買わなかったほどです。
そんなこともあってマリガンのLPとCDを合わせると個別プレイヤーでは一番多いと思います。
マリガンは1927年生まれ、17歳ですでにクロード・ソーンヒル楽団に楽曲やアレンジを提供していて、
当時のジャズ・天才少年の一人です。
1940年代末にはマイル・デイビス・コンボで名盤「クールの誕生」に参加しています。
先進のジャズメンの一人だったわけですね。
1950年代には西海岸に移りチェット・ベイカー(tp)とのピアノレス・カルテットで大人気になりました。
映画「真夏の夜のジャズ」のマリガンは本当にカッコ良かったです。
それまでは裏方だったバリトン・サックスを表舞台に出した功績もあります。
マリガンは1996年、68歳で亡くなっています。
さて今作はマリガンが50歳の時の録音でまさに脂がのっている時の作品です。
マリガン自身が5曲を提供していて水を得た魚のように堂々と演奏しています。
マリガン自身がビック・バンドを結成したほどマリガンのビック・バンドに対するこだわりは凄い。
まぁ〜、お手のものというか、この時とばかりにという感じですかね。
(2)「Walkin' Shoes」はマリガン初期の傑作で手慣れたプレイを聴かせてくれました。
ソロはもちろんですが絶妙なバッキングにも注目しました。
マリガン抜きの(4)、(5)、(6)の3曲は斬新なアレンジが聴きどころになります。
ビル・エバンス(p)・トリオで名を上げたチャック・イスラエルの才能も大したものです。
ビック・バンド・ファンにもお勧めです。
録音はちょっとこもるというか遠い感じがしました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(789) DOMINICK FARINACCI QUARTET & QUINTET / SOUNDS IN MY LIFE
dominick farinacci(tp),
片倉真由子(p), 中村恭士(b), carmen intorre jr(ds)
stacy dillard(ts)(1,4,7,10)
2006/M&I/
1 |
The Thing To Do (J.Heath) |
2 |
Flamenco Sketches (M.Davis) |
3 |
What Is This Thing Called Love (C.Poter) |
4 |
The Pursuit (D.Farinacci) |
5 |
I Can't Get Started (V.duke) |
6 |
Visions (D.Farinacci) |
7 |
Peyote (B.Maupin) |
8 |
My Funny Valentine (R.Rodgers) |
9 |
Memories (C.Intorre.Jr) |
10 |
Mona's Mood (J.Heath) |
ドミニク・ファリナッチ(tp)も収集対象です。
ライアン・カイザー(tp)と対で聴くことが多いかな。
ちょうどテナー・サックスにおけるエリック・アレキサンダーとハリー・アレンのような関係。
片方を聴くとなぜかもう一方も聴きたくなります。
Hot&Cool、硬と柔、動と静、暴れん坊と優等生・・・みたいな感じで興味深いです。
ファリナッチは抜群のテクニックの持ち主で柔らかく高らかに鳴り響く音色が素晴らしいです。
ここでのファリナッチも相変わらず実に端正で真面目です。
キッチリと一音も外していない感じがしました。
良くも悪くもこれがファリナッチの持ち味で個性と言えます。
そんなリーダーの意向を汲んでメンバーも確実にプレイしています。
演目を見てみると最初と最後にジミー・ヒース(ts)の曲を配しているのが目に付きました。
なんかこれだけで「いいアルバムに違いない」と思ってしまいました。
ファリナッチにはバラードがよく似合う・・・(8)「My Funny Valentine」のミュート・プレイに痺れた。
(4)「What Is This Thing Called Love」も良かった。
随所で輝きを見せる片倉真由子さんのピアノにも注目です。
余談ですがジャケットの片倉さんの名前が「Miyako Katakura」になっています。
先日ライブ・ハウスで片倉さんに聞いてみたところ単なる間違いだそうです。
日本人なら「まゆこ」を「みやこ」に間違えないけど外人には同じように聞こえるのかもしれませんね。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
ちなみに先日のオフ会「CD聴きの会」にファリナッチを持っていきました。
*DOMINICK FARINACCI QUARTET & QUINTET / DAWN OF GOODBYE (2012)
柔らかなトランペットの音色が素晴らしくて癒されます。
ジャズ仲間の評判も上々でした。
(788) LORENZO TUCCI TRIO & QUARTET / SPARKLE
lorenzo tucci(ds), luca mannutza(p), luca Fattorini(b),
flavio boltro(tp)(3,6,9,10), karima(vo)(10)
2016/Jando/
1 |
Sparkle Suite |
2 |
Past |
3 |
So One |
4 |
Grow |
5 |
Keep Calm |
6 |
L & L (A Sorgini) |
7 |
Two Years |
8 |
Seven Days (Sting) |
9 |
Tari |
10 |
E Po' Che Fa (P.Daniele) |
ロレンツォ・トゥッチは「ハイ・ファイブ」のドラマーとして知られているかな。
そんな関係でファブリジオ・ボッソ(tp)のアルバムでもよく名前を見ます。
ピアノのルカ・マヌッツアもそうですね。
そんなドラマーの作品も面白いかもと思って手が伸びました。
フラヴィオ・ボルトロ(tp)も参加しています。
全10曲は自身のオリジナル7曲にその他3曲の構成です。
ハード・バップ・テイストの「ハイ・ファイブ」とはまったく違った顔を見せてくれました。
ヨーロッパ・ドラマーの一つの行き方である特徴的なドラミングを聴かせています。
これが現在のヨーロッパの流行りのサウンドになんでしょうね。
ドラム、ピアノ、ベースが一体になって曲を盛り上げていく感じがします。
一種独特のリズムとサウンドを持っていて不思議感があります。
多重録音方式を取っているせいで音の厚みに違和感が出てきます。
最初はピアノを録音して次はそのピアノを聴きながらドラムを足していく。
最後にそれを聴きながらベースというように音を積み上げていく方法です。
もちろん順番は色々とあるし、同じ楽器を重ねるということもあると思います。
この方法はミュージシャンがよく使いますが、ライブではこれが出来ないので物足りなくなってしまうのです。
CDとライブが違う・・・CDの方がずっといいとの評価にもなります。
シャシャシャっと細かくリズムを刻んでパタパタと多弁なドラミングはメロディも感じさせる。
このスイング感がなんとも心地いいんですよ。
ジャズの発展性を見ているようで面白いと思いました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(787) RYAN KISOR QUARTET / BATTLE CRY
ryan kisor(tp),
sam yahel(org), peter bernstein(g), brian blade(ds)
1997/Criss Cross/
1 |
Battle Cry (R.Kisor) |
2 |
It Happens (R.Kisor) |
3 |
Falling In Love With Love (Rodgers/Hart) |
4 |
I'm Old Fashioned (Kern/Mercer) |
5 |
Birdlike (H.Hubbard) |
6 |
Sweet Pumpkin (R.Bright) |
7 |
If Ever I Would Leave You (Lerner/Loewe) |
ライアン・カイザー(tp)は収集対象です。
のんびりと集めているので見かけた時に買っています。
今作はオルガン・トリオをバックした作品でトランペットでは珍しいかもしれません。
カイザーにしても異色の編成といえます。
オルガン入りはよりソウル色が強まって泥臭くなるのは自明の理ですね。
カイザーがここでどんな演奏を聴かせてくれるのか?・・・興味津々でした。
カイザーの魅力は突っ込んでくる鋭い音色にあります。
いかにもジャズっぽい音とスタイルの持ち主です。
オルガン・トリオだとそれが十分に生かされました。
サム・イエール(org)、ピーター・バーンステイン(g)、ブライアン・ブレイド(ds)も好演。
いかにも現代的なオルガン・トリオでスマートなのも幸いしました。
カイザーは瑞々しく水を得た魚・・・面目躍如の演奏を聴かせてくれました。
(3)「Falling In Love With Love」〜(4)「I'm Old Fashioned」の流れが素晴らしいです。
ベストは鋭く突き抜けたフレディ・ハバードの(5)「Birdlike」かな。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(786) RUSSELL MALONE QUARTET / LOVE LOOKS GOOD ON YOU
russell malone(g),
rick germanson(p), gerald cannon(b), willie jones V(ds)
2015/Highnote/
1 |
Soul Leo (M.Miller) |
2 |
Love Looks Good On You (R.Malone) |
3 |
The Elder (T.Jones) |
4 |
Ellie's Love Theme (I.Hayes) |
5 |
Your Zowie Face (L.bricusse/J.Goldsmith) |
6 |
Mirrors (J.Chambers) |
7 |
Amsterdam After Dark (G.Coleman) |
8 |
Lift Ev'ry Voice And Sing (J.W.Jhonson/J.R.Jhonson) |
9 |
Suite Sioux (F.Hubbard) |
ラッセル・マローンは現在のギタリストでは一番好きです。
オーソドックスなスタイルで尖がったところがなくて安心感があります。
ギタリストに関してはロック系よりもジャズ系、ソウル系の方がしっくりきます。
これは私の好みや年齢が影響していると思います。
聴くジャズも先鋭的で過激なものより安らぎを求める保守的なものになってしまったから。
疲れそうなものは避けて通っています。
ここはまたメンバーや選曲もシブいです。
いかにもマローンの好みが表れているようで微笑ましく思いました。
リック・ジャーマンソン(p)、ジェラルド・キャノン(b)、ウィリー・ジョーンズ(ds)の起用はセンス抜群です。
今ひとつ地味な感じがするメンバー構成ですが彼らなら確実にスイングしてくれますから。
隠れたモダン・ジャズの名曲にも陽を当てていますね。
マルグリュー・ミラー(p)、サド・ジョーンズ(tp)、ジョー・チェンバース(ds)、ジョージ・コールマン(ts)、フレディ・ハバード(tp)など。
個人的にはアイザック・ヘイズの(4)「Ellie's Love Theme」は嬉しかった。
(5)、(8)もめったに聴けない曲だけどマローンのこだわりを感じます。
表題曲になった(2)「Love Looks Good On You」はマローンのオリジナルです。
これがまた凄くいいんだなぁ〜・・・やさしくて柔らかくて美しい・・・私は一発で参ってしまいました。
落ち着いたギター・カルテットでお勧めです。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(785) CHARLES McPHERSON QUARTET / LOVE WALKED IN
charles mcpherson(as),
bruce barth(p), jeremy brown(b), stephen keogh(ds)
2015/Quadrant/
1 |
Love Walked In (G.Gershwin/I.Gershwin) |
2 |
The Song With You (J.Kern/O.Hammerstein) |
3 |
I'll Take Romance (B.Oakland/O.Hammerstein) |
4 |
Nature Boy (E.Abhez) |
5 |
Someone To Watch Over Me (G.Gershwin) |
6 |
Bud Like (C.Mcpherson) |
7 |
Embraceable You (G.Gershwin) |
8 |
Lover (R.Rodgers/L.Hart) |
9 |
Dancing In The Dark (A.Swartz/H.Dietz) |
チャールス・マクファーソン(as)の新譜を見つけました。
珍しいスペイン盤です。
マクファーソンはチャーリー・ミンガス・バンドで腕を磨いたジャズ・レジェンドの一人です。
今年で78歳になりますがまだ現役で頑張ってくれているのが嬉しいです。
チャーリー・パーカー直系のアルト奏者としては最後の年代になるかな。
ミンガス出身者としては比較的穏やかな演奏スタイルを持っているけどもちろん単純じゃありません。
1960年代から現在まで第一線で活躍していて、激動のジャズの世界を潜り抜けてきています。
「衣の下から鎧が見える」というか、「牙を隠している」というか、そんな感じですね。
ベテラン・サックス奏者のスタンダード作品集を買うのは私の病気なので止まるわけがありません。
マクファーソンならなおさらです。
聴いていると一音一音が心に沁みてきます。
体に馴染んでるというか、懐かしい音色なのでしっくりとくるんです。
若い頃の元気や鋭さは望むべきもないけれど年齢に熟成された切ない音がたまりません。
刺激的なフレーズとかすれたような泣きアルトにジーンとしてしまいました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(784) FUMIO KARASHIMA QUINTET / ジャズに生きる
辛島文雄(p), 楠井五月(b), 小松伸之(ds),
池田 篤(as,ss), 岡崎正典(ts,ss)
2015/ats-music/
1 |
Brilliant Darkness |
2 |
I Should Care |
3 |
Open The Gate |
4 |
Riverside Nobody |
5 |
'Round Midnight |
名実共に日本を代表するジャズ・ピアニストの辛島文雄さんが亡くなりました。
2月24日、膵臓がん、68歳でした。
辛島さんはエルヴィン・ジョーンズが率いる「ジャズ・マシーン」に起用されて一気に人気ピアニストになりました。
ジャズの荒波を超えてきた顔付きというか、一見天才的な容貌で近寄りがたい感じがします。
でも実際は気さくな人でとてもファンを大事にする人でした。
私も何度か話をする機会がありましたがホントにやさしく接してくれたものです。
そんな辛島さんですが一旦ピアノに向けば物凄い圧倒的な演奏を聴かせてくれました。
私が一番好きだったのは2000年代初めのピアノ・トリオです。
天才ドラマーの呼び声が高かった奥平慎吾さんと実力ナンバー・ワン・ベーシストの井上陽介さんの組み合わせ。
このトリオが素晴らしかったです。
さて今作は闘病中の辛島さんを支援するために急遽作られたCDです。
収益金は全て辛島さんの治療費に充てられるというものです。
そういうことならと私もお付き合いさせてもらいました。
老舗ライブ・ハウスのピットインの2013〜2014におけるライブ盤です。
メンバー編成には特にうるさい辛島さんが選んだジャズ・メンに間違いはありません。
急ごしらえとはいえ充実した内容が詰まっていました。
たった5曲ですがトータル73分にも及ぶ熱演です。
各メンバーの好演もあり、辛島さんの気を抜くところがなく、いつでも全力投球の姿勢が垣間見えます。
熱烈なファンも数多くいる本当に素晴らしいミュージシャンでした。
カムバックしてつい最近まで演奏されていたので復活を期待しましたが残念ですね。
ご冥福をお祈りいたします。
涙なくしては聴けないアルバムになるかもしれません。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(まじめ系)
(783) GIOVANNI MAZZARINO LATIN SEXTET / RETRATO
feat. Francesco Cafiso
giovanni mazzarino(p), francesco cafiso(as,fl), dino rubino(tp,flh),
riccardo fioravanti(b), stefano bagnoli(ds), mimmo cafiero(per)
2013/Jazzy Records/
1 |
Cansado |
2 |
Descanso |
3 |
La Vida y la Muerte Bailan con la Cerveza en la Mano |
4 |
Fiesta, Vida y Suerte |
5 |
Beatriz (Edu Lobo) / Obilivion (A.Piazzolla) |
6 |
Pablo (D.Rubino) |
7 |
Mehace el Faver _Pues |
8 |
Laguna de Cocha |
9 |
Retrato |
10 |
Una Noche a Medellin |
11 |
Besame Mucho (C.Velasquez) |
イタリアのベテラン・ピアニストのジョバンニ・マッツァリーノは初見です。
フランチェスコ・カフィーソ(as)の名前に引かれました。
カフィーソは収集対象ですがラテン・セクステットも面白そうです。
全11曲はマッツァリーノのオリジナル8曲とその他3曲の構成です。
アフロ・キューバン・サウンドですが全体的にちょっと硬いかなと思いました。
アフロ・キューバンのバラードは甘く切なくロマンティックなサウンドです。
でもイタリアのラテンは明るく爽やかな感じがします。
もっとやさしくやわらかな色気が欲しかったです。
もっとも録音時22歳のカフィーソでは仕方がないかもしれませんね。
ないものねだりというか、そこまで望むのは酷かな。
いかんせん、まだ若いですから。
でもそれを考慮してもカフィーソのソロは素晴らしいと思います。
鋭く突っ込んでくる音色は彼独自のもので、まるでキリのように鋭利なんだよね。
緩急自在な表現力も凄いです。
カフィーソには何としてもリー・コニッツを継ぐ存在になって欲しいと願っています。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(中間系)
(782) MATTEO RAGGI TRIO / DREAM DANCING
matteo raggi(ts), davide brillante(g), aldo zunino(b)
2016/Music Center/
1 |
Prospecting (C.Wayne) |
2 |
Isn't Romantic (R.Rodgers) |
3 |
Mr.George (A.Cohn) |
4 |
Dream Dancing (C.Poter) |
5 |
Doodle Oodle (B.Byers) |
6 |
Wonder Why (N.Brodszky) |
7 |
Singin' The Blues (J.R.Robinson/C.Conrad) |
8 |
Take Four (A.Cohn) |
9 |
Awful Lonely (ACohn) |
10 |
Tangerine (V.Schertzinger) |
マッテオ・ラッギ(ts)は初見・・・イタリア盤です。
最初はジャケットが気になり、次にドラムレス、ピアノレスの組み合わせに興味を惹かれました。
さらに選曲を見てみるとアル・コーン(ts)が3曲も入っていてラッギのスタイルも一目瞭然ですね。
これで決まりです。
テナー・サックス、ギター、ベースのトリオです。
予想通り、ウエスト・コーストの香りがする、上品な雰囲気を持つアルバムでした。
クールで爽やかなジャズ・テイストを持っていてリラックスするには最適だと思います。
表題曲の(4)「Dream Dancing」の粋でソフトなサウンドがたまりません。
でも、このトリオの神髄は最後の曲にありました。
(10)「Tangerine」がなんとも素晴らしかった。
この心地良いノリとスイング感にはいつまでも浸っていたいと思ってしまいました。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)
(781) MIKE MELITO QUINTET AND QUARTET / NEW YORK CONNECTIONS
jerry weldon(ts)(except3,9), peter bernstein(g)(1,3,4,6,10,11),
jeb patton(p), neal miner(b), mike melito(ds),
2016/Weebop Records/
1 |
Jet Stream (P. Bernstein) |
2 |
Theme For Ernie (F.Lacey) |
3 |
Wives And Lovers (B.Bacharach/H.David) |
4 |
Five Will Get You Ten (S.Clark) |
5 |
Up Over And Out (H.Mobley) |
6 |
I Wished I Knew (B.Smith) |
7 |
If Ever I Would Leave You (A.J.Learner/F.Loewe) |
8 |
Indian Summer (V.Herbert) |
9 |
Bolivia (C.Walton) |
10 |
The Knife (O.Roberts) |
11 |
Blues Okura (N.Miner) |
ニューヨークで活躍中のマイク・メリト(ds)の新譜作品です。
メリトを聴くのは2枚目です。
前作はグラント・スチュアート(ts)とジョン・スワナ(tp)のフロント2管でした。
オーソドックスなハード・バップをやっていたのでここも手が伸びました。
メリトは特にフィリー・ジョー・ジョーンズ、ビリー・ヒギンス、アート・テイラーに影響を受けたとありました。
狙いが50〜60年代のブルー・ノート盤となれば明らかにジャズ・メッセンジャーズのラインだと思います。
今作はテナー・サックスとギターのフロントで新味を出しています。
近年はこのようにピアノとギターの2コード楽器をぶつける編成も多いですね。
ぶつからないようにするのが腕の見せどころにもなりますね。
選曲を見ても分かるようにハード・バップ路線は歴然としています。
ソニー・クラーク(p)、ハンク・モブレイ(ts)、シダー・ウォルトン(p)が選ばれていました。
(2)、(5)、(7)、(8)はテナー・カルテット、(3)はギター・カルテット、(9)はピアノ・トリオです。
安心感のある4ビート・ジャズはリズムもハッキリしているので聴き易いです。
ピーター・バーンステイン(g)とジェブ・パットン(p)は安定感十分です。
テナーのジェリー・ウェルドンは新人かな・・・まだやや甘い所もあるけれど精進を期待しています。
「ドラ流目立たないけどいいアルバム」
(くつろぎ系)