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(780) THE COOKERS QUINTET / MEETS JOHNNY O'NEAL

ryan oliver(ts), tim hamel(tp),
johnny o'neal(p,vo), alex coleman(b), joel haynes(ds)
2016/Do Right Music/


 1  Meridian (R.Oliver)
 2  Dream Blues (Traditional)
 3  Honeycomb Soul (T.Hamel)
 4  These Foolish Things (E.Maschwitz/J.Strachey/H.Link)
 5  Deed I Do (F.Rose)
 6  Whisle Stop Hop ) (A.Coleman)
 7  The More I See You (H.Warren/M.Gordon)


「Cookers」といえば、あのもの凄いメンバーの「Cookers」だと思っていました。
「Cookers」にジョニー・オニールなら面白い。
でも違っていました。
こちらはカナダの「Cookers Quintet」で今作は3枚目になります。
紛らわしいですね。
ゲストにジョニー・オニール(p,vo)を迎えて新味を出しています。
オニールは70年代から活躍、レイ・ブラウン(b)やミルト・ジャクソン(vib)などと共演、
ジャズ・メッセンジャーズにも在籍したそうですが私は聴いたことがないと思います。
アート・テイタム(p)、オスカー・ピーターソン(p)系の名手ですがここではその上手さを感じさせません。
体調がいまひとつだったのかもしれませんね。
4曲で渋いボーカルも披露してくれています。

スマートなカナダのジャズ・クインテットにソウルフルなオニールのコラボが聴きどころになります。
全体的にオニールの存在感が大きくて引き締まった作品になったと思います。
ブルージーなオニールの魅力がいっぱい詰まっています。
寡作なオニールなので貴重です。
ただ収録時間の7曲で37分はいかにも短か過ぎて物足りません。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(779) TERELL STAFFORD QUINTET / FORGIVE AND FORGET

terell stafford(tp), tim warfield(ts),
kevin hays(p), greg williams(b), rodney green(ds)
2016/Herb Harris Music/


 1  No,No,No (That Ain't The Way It Go)
 2  A Two-Per To Fill
 3  Forgive And Forget
 4  The Owl Express
 5  The Tint Train
 6  Please Rest My Soul
 7  No,No,No (That Ain't The Way It Go) Take 2
 8  The Owl Local (No Passengers)
 9  Some Many Second Chances


テレル・スタッフォード(tp)のリーダー・アルバムを買うのも久し振りです。
ジャズ仲間のGAKOさんが一押しだったので知るのは案外早かったと思います。
その後何枚かのシブい作品で聴いているし、日本公演のライブで見たこともあります。
真面目、端正、クールな佇まいですがラッパはよく鳴っていました。

そんなスタッフォードの王道をいくテナーとのフロント2管のクインテット作品です。
ここでの最大の興味は時代を担うピアニストの一人、ケヴィン・ヘイズの参加にありました。
先進のヘイズがストレートなネオ・ハード・バップでどんな演奏を聴かせてくれるのか?ってね。

ところで今作はハーブ・ハリス・レーベルで全曲ハーブ・ハリス作曲・アレンジになっています。
ハーブ・ハリスって誰?
ウィントン・マルサリス一派のサックス奏者でマーカス・ロバーツ(p)やリンカーン・センター・オーケストラの一員でした。
で、このハーブ・ハリスの作曲が素晴らしかったです。
多彩な曲想を持つ印象的な曲が続いたので「恐れ入り谷の鬼子母神」っていう感じで作曲能力に秀でています。
自分でやらないで人にやらせるところがいかにも自信ありげですね。
ウェイン・ショーター(ts)並みと言ったら大げさだけど、このハーブ・ハリスの曲って面白いです。

スタッフォードやティム・ワーフィールド(ts)も生き生きとして飛ばしています。
それにも増してやはりヘイズが素晴らしかったです。
ひと味違うバッキングとピアノ・ソロが聴きどころになりました。
ヘイズのリーダー作はいまひとつと思っている方々にも是非聴いてもらいたいと思います。
バップ・ピアニストとしての実力も確かで抜群の存在感を示しています。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(778) ALESSIO MENCONI TRIO / PLAYS ELLINGTON AND STRAYHORN

alessio menconi(g), alberto gurrisi(org), alessandro minetto(ds)
2016/Abeat Records/


 1  Upper Manhattan Medical Goup (B.Strayhorn)
 2  Lush Life (B.Strayhorn)
 3  It Don't Mean A Thing (D.Ellington)
 4  Sophisticate Lady (D.Ellington)
 5  Isfahan (B.Strayhorn)
 6  Day Dream (B.Strayhorn)
 7  Things Ain't What They Used To Be (D.Ellington)
 8  Chelsea Bridge (B.Strayhorn)
 9  Caravan (D.Ellington/J.Tizol)


アレッシオ・メンコニ(g)は初見です。
イタリア人ギタリストによるエリントン&ストレイホーン作品集です。
ジャケットに惹かれたのと馴染みの曲が多かったので手が伸びました。
初めて聴く人でヨーロッパのオルガン・トリオなのでどうかなと半信半疑だったです。
でもね、聴いてみると意外に良かったです。
パソコンをやりながらずっとBGMで聴いていたけどすんなりと耳に馴染んできました。
ベタベタ感が全くなくて、クリアなギターの音色に滑らかな音色のオルガンがピタリと合っていました。
オルガン入りでも無理にソウル色を演出していないのが良かったと思います。
反面、オルガンに粘っこさを求める人には向いていません。

フランスのエディ・ルイス(org)盤もそうでしたがヨーロッパのオルガンは一般的にスマートなのかも。
スイング感に溢れるストレートな演奏なので安心して聴くことが出来ました。
安定感のあるギタリストですが(3)「It Don't Mean A Thing」における速弾きは見事です。

私はほとんどの場合、CDショップで実際に目で見て手に取って買う作品を選んでいます。
それが私の聴き方ですが今作は落ち着いた作風で当たりでした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(777) RAY McMORRIN QUARTET & QUINTET / RAY MACK

ray mcmorrin(ts), josh evans(tp)(1,2,4),
david bryant(p), dezron dougras(b), curtis torian(ds)
2016(2012Rec)/Truth Revolution/


 1  All Of A Sudden
 2  Bald Head
 3  Genki's Groove
 4  Procrastination
 5  For My Brother Andy
 6  Only By The Grace
 7  Teers
 8  Komuro Blues


レイ・マクモーリン(ts)は現在東京を中心に活躍中です。
私も何度か見ています。
生きのいい期待の若手サックス奏者が日本を地盤にするって珍しいですね。
もちろん、奥さんが日本人です。

全8曲は全てレイさんのオリジナルです。
組み合わせや曲想が変化に富んでいて飽きませんでした。
カルテットが4曲、クインテットが3曲、最後の(8)はドラムとのデュオです。
最初に聴いた時にスタイルが誰かに似ていると思いました。
聴き馴染んだサウンドだったんですね。
「そうだ、ビリー・ハーパーだった」

ビリー・ハーパー系って案外珍しいんじゃないですかね。
ストレートでエネルギッシュに熱くパワフルにグイグイと迫ってきます。
レイさんは個性的で刺激的な音色を持っています。
ここはリズム・セクションも素晴らしかったです。
デズロン・ダグラス(b)は先週のエリック・アレキサンダーに続き登場です。
ぶっといベース音は物凄い存在感でドラムスとカーティス・トリアンと共に暴れまくります。
全員が元気いっぱい、強烈なネオ・ハード・バップ・サウンドが聴けました。
聴き応えあり、今作は良かったです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(776) ERIC ALEXANDER TRIO / JUST ONE OF THOSE THINGS

eric alexander(ts), dezron dougras(b), neal smith(ds)
2016/Venus/


 1  You'd Be So Nice To Come Home (C.Poter)
 2  Just One Of Those Things (C.Poter)
 3  Wise One (J.Cortrane)
 4  Beahutiful Love (V.Young)
 5  You Say You Care (J.Styne/L.Robin)
 6  We've Only Just Begun (P.Williams)
 7  Stardust (H Carmichael)
 8  Russian Lullaby (I.Berlin)
 9  Bessie's Blues (J.Cortrane)


新年の初聴きはこれに決めていました。
私が知る限りエリック・アレキサンダーのピアノレス・トリオは初めてです。
これを知った時に早く聴いてみたいと思いました。
年末に入手して年が明けるまで聴くのを我慢していました。

メンバーがまたいいですね。
デズロン・ダグラス(b)にニール・スミス(ds)というフレッシュな組み合わせです。
1曲目を聴いた時の感想はジョン・コルトレーンにそっくりだと思いました。
エリックはやはりコルトレーンの影響が大きいです。
このままでは今一つかなと思っていましたが聴き続けていると段々良くなってきました。
曲が進むにつれてエリックらしさが出てきたからです。
何といっても(5)「You Say You Care」が素晴らしかった。
続く(6)「We've Only Just Begun」〜(7)「Stardust」」のバラードも良かった。
(8)「Russian Lullaby」の超高速な展開も聴きどころになりました。
エリックの豊かな音色、刺激的なフレージングが冴えわたり、
初共演の緊張感が漂う3人のコンビネーションにも注目です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(775) BILL MOBLEY DUO/TRIO/QUARTET / HITTIN' HOME

bill mobley(tp,flh),
kenny barron(p)(1,4), steve nelson(vib)(2,3,7,10,11), russell malone(g)(3,5,9),
essiet okon esiiet(b)(2,3,5,7,9,10,11), phil palombi(b)(6,8),
heather bennett(p)(7), clint mobley(per)(10), kevin norton(marimba)(8)
2016/Space Time/


 1  The Very Thought Of You (R.Noble)
 2  Walkin' (M.Davis)
 3  Hittin' Home (B.Mobley)
 4  My Romance (R.Rogers/L.Hart)
 5  Jewel (B.Watson)
 6  Old Milestones (M.Davis)
 7  Lil' Red (H.Bennett)
 8  Apex (M.Miller)
 9  Peace (H.Silver)
 10  Scene On Seine (X.Felgeyrolles)
 11  Waltzin' Westward (H.Mebern)


ビル・モブレイ(tp)は初見、久々に新しいトランぺッターを聴いてみたいと思いました。
共演者にケニー・バロン(p)、スティーヴ・ネルソン(vib)、ラッセル・マローン(g)が名を連ねているのも興味を惹かれた。

全11曲は自身のオリジナルは1曲だけで選曲もかなり凝っています。
マイルス・デイビスが2曲含まれていることは彼がマイルスに傾倒していることを意味していますね。
聴いてみると確かにマイルスの影響も大きいけれど、感じとしてはチェット・ベイカーに近いのではと思いました。

ピアノ、ヴァイブ、ギターの三者三様のバッキングが楽しめ、さらにデュオ、トリオ、カルテットの演奏が楽しめます。
大徳用盤と言えます。
特にベース・ラインを重要視しているのか、ベーシストの存在感が大きく目立つ仕上がりになっています。
ベース・ラインが強調されているのでこれもまた今作の魅力の一つだと思います。
曲想豊かで変化に富んでいるので飽きずに一枚を聴き通すことが出来ました。
ビル・モブレイの音色はちょっとかすれるところがあって、暖かく、やさしい感じがします。
聴いていて疲れないのがいいです。
中々にシブいトランペット作品で隠れた名盤といえると思います。
「Space Time」というレーベルも初めてかも。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(774) ELIANE ELIAS / BOSSA NOVA STORIES

eliane elias(vo)
2009/Blue Note/


 1  The Girl From Ipanema (A.C.Jobim)
 2  Chega De Saudade (A.C.Jobim)
 3  The More I See You (H.Warren)
 4  They Can't Take That Away From Me (G&I.Garshwin)
 5  Desafinado (A.C Jobim)
 6  Estate (summer) (B.Martino)
 7  Day In Day Out(R.Bloom)
 8   I'm Not Alone (Who Loves You ?) (I.Lins)
 9  Too Marvelous For Words (R.Whiting)
 10  Superwoman (S.Wonder)
 11  Falsa Baiana (G.Pereira)
 12  Minha Saudade (J.Donato)
 13  A Ra (The Frog) (J.Donato)
 14  Day By Day (A.Stordahl)


私はイリアーヌ・イリアスの歌が好きです。
重くもなく軽くもなく声質も好みで感性にピッタリと合うんです。
聴いているとなんか、ほっとしますよ。

近年よく古いスタンダードをユーチューブで聴いています。
ここでは色んな歌手やプレイヤーの聴き比べが出来るからです。
以前なら聴き比べるのにLPやCDを買うか、聴かせてもらうしかなかった。
それが今ではユーチューブで簡単に聴くことができます。
ジャズの聴き方も変わってきますね。
つくづくCDが売れなくなるはずだと思いました。

そんな中の1曲の「Too Marvelous For Words」を検索した時にこのアルバムを見つけました。
2009年のイリアーヌ作品・・・なんで見逃したのか不思議でした。
やっぱりどっか抜けてるんでしょうね。
気になる曲の「The More I See You」や「Day By Day」も入っています。
好きなスタンダードを心地良いボサノバのリズムで聴く・・・文句なしの癒し系です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(773) TAKESHI OHBAYASHI TRIO / MANHATTAN

takeshi ohbayashi(p,synth), yasushi nakamura(b), nate smith(ds), (1,5,6,7)
takeshi ohbayashi(p,synth), tamir shmerling(b), terrilyne carrington(ds), (2,3,4,8)
2016/Somethin'cool/


 1  World Peace
 2  Cill My Landlord
 3  Heart
 4  Cyclic Ridge 2
 5  In Walked Bim
 6  One For Sonny
 7  Untitled Bossa
 8  Steal Heel


注目の若手ピアニストの一人、大林武司さんの作品です。
大林さんは「ニュース・ステーション」のテーマ曲でお馴染みですね。
ここの「ニュー・センテュリー・ジャズ・クインテット」をユリシス・オーエンス・Jr(ds)と共に率いています。
そんな彼が初めて出したトリオ作品ということで手が伸びました。

全8曲は全て自身のオリジナルです。
中村恭士(b)さんとネイト・スミス(ds)&タミール・シュマーリング(b)とテリリン・キャリングトン(ds)の2組。
4曲づつ2セットのトリオが聴ける徳用盤です。
今作は大林さんがアメリカで生活した10年間のまとめ的作品と位置付けられています。
それだけに多種多様な音楽的要素が含まれていて興味深く聴くことが出来ました。

あくまで中心は大林さんでそのピアノの音が際立つように録音されています。
クリアで鋭い音色を持っています。
私は弾き過ぎないのがいいと思いました。
私のお気に入りは(5)「In Walked Bim」と(6)「One For Sonny」と続く2曲です。
最もジャズっぽい雰囲気が味わえました。
ここの「Sonny」はソニー・クラーク(p)をイメージしたとのことです。
その他にも聴きどころが満載でお勧めの一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(772) BRAD MEHLDAU TRIO / BLUES AND BALLADS

brad mehldau(p), larry grenadier(b), jeff ballard(ds)
2016/Nonesuch/


 1  Since I Fell For You (B.Johnson)
 2  I Concentrate On You (C.Poter)
 3  Little Parson (J.Brion)
 4  Cheryl (C.Parker)
 5  These Foolish Things (J.Strachey/H.Marvell)
 6  And I Love Her (J.Lennon/P.McCartney)
 7  My Valentine (P.McCartney)


現代ジャズ・ピアノ・トリオの最高峰を聴く。
気になっていたブラッド・メルドー(p)の新作をようやく入手しました。
スタンダード作品集ですがさすがにメルドー・トリオはひと味、ふた味違います。
3人のコンビネーションが絶妙で文句なしに素晴らしいと思います。
特にパーカーの(4)「Cheryl」が気に入って何度も繰り返し聴いてしまいました。
ゆったりとしたテンポで展開するビートルズの(6)「And I Love Her」も良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(771) OLEGARIO DIAZ QUINTET & SEXTET / ALEPH IN CHROMATIC

alex sipiagin(tp), bobby franceschini(ts,fl),
olegario diaz(p), james genus(b), nate smith(ds),
nene quintero(per)(1,3,7,8)
2016/Smoke Sessions/


 1  Glolnick (O.Diaz)
 2  Run Tino Fun (O.Diaz)
 3  Aleph (O.Diaz)
 4  Ivonne (O.Diaz)
 5  Yours Is My Heart Alone (F.Lehar)
 6  Samba Ghandi (O.Diaz)
 7  Broadway And 96th (O.Diaz)
 8  Pra Vose (O.Diaz)
 9  Thinking Of You (H.Ruby / B.Kalmar)


オレガリオ・ディアス(p)は初見、ベネズエラ出身のラテン・ジャズ・ピアニストです。
CDショップではラテン系ハード・バップの大推薦盤とありました。
面白そうだと手が伸びましたが聴いてみると予想以上に聴き応えがありました。
全体を覆う切れ味鋭くスピード感溢れる演奏はまさにラテン系ハードバップの好盤です。
今作はディアズのスティープルチェースにおける4枚目のアルバムだそうです。

全9曲は自身のオリジナル7曲とその他2曲の構成です。
ラッパ&テナーのフロント2管はモダン・ジャズの王道で私が一番好きな組み合わせです。
アレックス・シピアギンはお馴染みのトランぺッターですがボビー・フランチェスチーニ(ts)は初見。
これが中々に新鮮な組み合わせでコンビネーションも良く聴き耳を立ててしまいました。
ディアスのピアノはゆったりとしたスイング感を持ち重量級で安定感があります。
ネイト・スミスの存在感のあるドラミングにも注目しました。

私的ベストはパーカッションが入りのいかにもラテン系の曲想を持つ(3)「Aleph」です。
同系統の(8)「Pra Vose」も良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(770) THE COOKERS / THE CALL OF THE WILD AND PEACEFUL HEART

eddie henderson(tp), david weiss(tp),
donald harrison(as), billy happer(ts),
george cables(p), cecil mcbee(b), billy hart(ds)
2016/Smoke Sessions/


 1  The Call Of The Wild And Peaceful Heart (B.Harper)
 2  Beyond Forever (G.Cables)
 3  Third Phase (C.McBee)
 4  Teule's Redemption (B.Hart)
 5  If One Could Only See (B.Harper)
 6  Blackfoot (G.Cables)
 7  Ocearn Of Time (B.Hart)
 8  Thy Will Be Done (B.Harper)


「THE COOKERS」の2枚目のアルバムです。
1枚目は見逃してしまいました。
超ベテラン7人のセプテットです。
エディ・ヘンダーソン(tp)、デヴィッド・ウェイス(tp)、
ドナルド・ハリソン(as)、ビリー・ハーパー(ts)、
ジョージ・ケイブルス(p)、セシル・マクビー(b)、ビリー・ハート(ds)です。
みんな現役で元気に頑張っているのが嬉しいです。

メンバーを見ただけでお腹がいっぱいになる感じがしましたが予想通りでした。
全8曲は全てメンバーのオリジナルでトータル74分の長丁場です。
アレンジャーはハーパーとウェイスの二人・・・重厚なサウンドです。
最も気合が入っているのは表題曲の(1)だけど今の私には少々重たい感じがした。
全体的にほぼ同じような傾向の曲目が続くので疲れてしまいました。

私的ベストは(5)のバラードでここでのヘンダーソンとケイブルスが素晴らしい。
次点はストレートでスマートに展開する(6)でケイブルスとハートが聴きどころになりました。
(7)ではウェイスの突き抜けるトランペットとモーダルなソロを聴かせるハリソンが良かった。
最初と最後の曲でハーパー節が満喫出来ました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(769) HARRY ALLEN QUARTET / SOMETHING ABOUT JOBIM

harry allen(ts),
helio alves(p), odolfo stroeter(b), tutty moreno(ds)
guest:joyce (vo,g) (2,5,10)
2015/Stunt/


 1  Dinzi
 2  Chovendo Na Roseira
 3  Captain Bacardi
 4  Sue Ann
 5  Theme For Jobim
 6  Mojave
 7  Falando De Amor
 8  Antigua
 9  Angela
 10  Voce Vai Ver
 11  Tema Jazz


ずっと気になっていたハリー・アレン(ts)の作品です。
加えて鮮やかな黄色のジャケットも印象に残っていました。
共演にヘリオ・アルヴェス(p)、ゲストはジョイス(vo,g)、とくればどうしても聴いてみたかった。
ジョビンを取り上げた作品ですが聴き易いボサノバ盤とは一線を画してそう甘くないです。
ハリーの上手さが際立つ硬質なジョビン作品集に仕上がました。
ゲストのジョイスは3曲に参加してしていて独特の味をを持つヴォーカルが心に響きます。
さらに特筆すべきは才人ヘリオ・アルヴェスのピアノが各所で輝きを放ちます。
特に(6)「Mojave」におけるプレイが聴きどころでハリーとのコラボレーションも素晴らしいです。
ハリー、ヘリオ、ジョイス・・・3人の名手が織りなす究極のジョビンが聴けました。
名盤だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(768) TERRASSON & BELMONDO / MOTHER

jacky terrasson(p), stephane belmondo(tp,flh),
2016/Impulse/


 1  First Song (C.Heden)
 2  Hand In Hand (J.Terrasson)
 3  Lover Man (J.Davis/R.Ramirez/J.Sherman)
 4  La Chanson D'he'le'ne (P.Sarde/J-L.Dabadie)
 5  In Your Own Sweet Way (D.Brubeck)
 6  Pic Saint-Loup (J.Terrasson/S.Belmodo)
 7  Mother (J.Terrasson)
 8  Fun Keys (J.Terrasson)
 9  Les Valseiuses (S.Grappelli)
 10  Souvenirs (S.Belmondo)
 11  You Don't Know What Love Is (D.Raye/G.Depaul)
 12  Pompignan (J.Terrasson/S.Belmondo)
 13  You Arev The Sunshine Of My Life (S.Wonder)
 14  Que Reste-T-Il De Nos Amours (L.Chauliac/C.Trenet)


ジャッキー・テラソン(p)を聴くのも久し振りです。
ベテラン・トランぺッターのステファン・ベルモンドとのデュオ作品に興味を惹かれました。
トランペット&ピアノはルビー・ブラフ(cor)とエリス・ラーキンス(p)以来気になる組み合わせです。

内容はほぼ予想が付きました。
予想通り、しっとりとした落ち着いた流れです。
全14曲は多彩な選曲で1分前後が3曲、長くても5分ほどで変化に富んでいて飽きさせません。
テラソンとベルモンドの濃密なコラボレーションが聴きどころになりました。
秋の夜長にじっくりと聴くには最適なアルバムだと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(767) DUSKO GOYKOVICH & SCOTT HAMILTON / SECOND TIME AROUND

dusko goykovich(tp', scott hamilton(ts),
bernhard pichi(p), rudi engel(b), michael keul(ds)
2015/Oganic/


 1  A Baptist Beat (H.Mobley)
 2  Recardo Bossa Nova (D.Ferreira)
 3  You're My Everything (H.Warren/J.Young/M.Dixon)
 4  Lotus Blossom (K.Dorham)
 5  I Faall In Love Too Easily (J.Styne/Sammy Cahn)
 6  Blues For Gianni B (D.Goykovich)
 7  Pra Machucar Meu Coracao (A.Brroso)
 8  Love For Sale (C.Porter)
 9  Luicy Lucy (H.Silver)


ダスコ・ゴイコビッチ(tp)とスコット・ハミルトン(ts)の共演は2枚目になるようですね、
この二人の共演となれば内容はほぼ予想がついてしまいます。

予想通り、全編を覆うゆったりとしたノリはまさに大人の味です。
全9曲は二人の共演が7曲、ゴイコビッチとハミルトンのワン・ホーンが各1曲づつ。
つまり1枚で3度美味しい優れものに仕上がりました。
ベストはハミルトンのワン・ホーンのバラード(7)でこれが実に素晴らしい。
2番手がゴイコビッチのワン・ホーンのバラード(5)です。
この2曲の為に買っても惜しくないと思います。
他にも魅力的な曲が並んでいるのでベテランの味を楽しむには最適のアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(766) VITTORIO GENNARI QUARTET / THE SOUND

vittorio gennari(as),
rroberto bachi(p), massimiliano tonelli(b), joe pagnoni(ds)
2007/Red/


1 Bye Bye Blackbird (M.Dixson/R.Henderson) 2 Tangerine (J.Mercer/V.Schertzinger)
3 Lullaby Of Birdland (G.Shearing) 4 Old Folks (W.Robinson)
5 Out Of Nowhere (Green/Heyman) 6 Everything Happen To Me (T.Adair/M.Dennis)
7 In Cerca Di Te (E.Sciorilli/G.C.Testoni) 8 I Ricordi Della Sera (A.V.Savona)
9 Softly As A Morning Sunrise (S.Romberg/O.Hammerstein) 10 There's No You (H.Hopper)
11 Bachi's Blues (R.Bachi) 12 Nostalgia In Times Square (C.Mingus)
13 I Don't Know (V.Gennari)    


「楽器は言葉、サックスが歌っている」
そんな感じのベテランの味、イタリアのアルト・サックス奏者、ヴィットリオ・ジェンナーリの作品です。
スタンダード中心ですがイタリアの曲も混じっていて楽しめます。

イタリアのジャズ・シーンも奥が深いですね。
先進のジャズメンが活躍していると思えばジェンナーリのような小粋で洒落たベテランも健在です。
クラシカル・スタイルは郷愁を感じさせて安心感と安定感は抜群です。
まさにアルト・サックスの「Sound」を楽しむアルバムです。
(4)「Old Folks」は絶品の味わい。
じっくりと聴き込むには少々軽いですが癒しのジャズ聴きにはピッタリだと思います。
小唄風サックス作品の逸品です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(765) ERIC ALEXANDER QUARTET / SECOND IMPRESSION

eric alexander(ts),
harold mabern(p,fender rhodes), bob cranshaw(b), joe Farnsworth(ds)
2016/HighNote/


 1  Second Impression (E.Alexander)
 2  So Many Stars (S.Mendez)
 3  Blues For Mo (E.Alexander)
 4  Jennie's Dance (J.Farnsworth)
 5  Secret Love (S.Fain/P.Webster)
 6  T-Bone Steak (J.Smith)
 7  Frenzy (E.Alexander)
 8  Everything Happens To Me (T.Adair/M.Dennis)
 9  Full House (W.Montgomery)


エリック・アレキサンダー(ts)の出たばかりの新譜です。
私はエリックが大好きで収集対象の一人です。
正直なところ、この2、3年はエリックに突き抜けたところがなくてイマイチと思っていました。
今作はベーシストにボブ・クランショウを迎えて、久々にエリック節を堪能出来る快作になりました。
全9曲は自身のオリジナル3曲、盟友ファーンズワーズ1曲、その他5曲の構成です。
演目も好きな(8)「Everything Happens To Me」をはじめ、メンデスの(3)「So Many Stars」、
ウェスの(9)「Full house」と申し分ありません。
目先を変えるハロルド・メイバーンのフェンダー・ローズ使用は(4)、(5)、(9)の3曲です。
ここではクランショウもエレクトリック・ベースを使用しているか。

表題曲の(1)「Second Impression」を聴けば今のエリックの実力がよく分かると思います。
伸びのある艶やかな音色、よどみない魅力的なフレージング、文句なしの快演です。
ボブ・クランショウといえばソニー・ロリンズ(ts)のお気に入りベーシストとして知られていますね。
ベーシストが替わるだけでこれだけサウンドの切れが良くなるとは・・・。
メイバーンのピアノもファーンズワーズのドラムスも絶好調です。
全体を通して「もう、素晴らしい〜!」のひと言です
エリックはやはり現代テナー・サックス奏者の最高峰の一人だと断言します。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(764) JERRY BERGONZI TRIO / SPOTLIGHT ON STANDARDS

jerry bergonzi (ts), renato chicco(org), andrea michelutti(ds)
2016/Savant/


 1  Witchcraft (C.Coleman/C.Leigh)
 2  Bi-Solar (J.Bergonzi)
 3  Blue Cube (J.Bergonzi)
 4  First Lady (J.Bergonzi)
 5  Gabriella (J.Bergonzi)
 6  Dancing In The Dark (A.Schwartz/H.Dietz)
 7  Out Of Nowhere (E.Heyman/J.Green)
 8  Come Rain Or Come Shine (J.Mercer/H.Arlen)
 9  Stella By Starlight (N.Washington/VYoung)


ゴリゴリ・テナー・サックス奏者の代表格、ジェリー・バーゴンジの新譜です。
ベテランサックス奏者の「スタンダード作品集」収集は病気なので見逃すわけにはいきません。
テナー、オルガン、ドラムスのトリオ編成にも興味がありました。
全9曲は自身のオリジナル4曲とスタンダード5曲の構成です。
もっともオリジナル曲といっても聴いたことのあるテーマばかりなのでパクリに近いと思う。

強烈で個性的なバーゴンジにはオルガンがしっくりときています。
オルガン入りのコテコテジャズ路線とは一線を画しますが相性は悪くありません。
レナト・チッコはイタリアのオルガン奏者ですがスマートなスタイルの持ち主です。
ベトベトしたコッテリ感には欠けます。
でもその分、バーゴンジがまとわりつくようなファンキー&ソウル感を持っています。
ビック・トーンで実に味わい深い演奏・・・このブルージーなグルーブ感が凄くいいです。
聴けば聴くほどに味が出てくるスルメ盤です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(763) HARRY ALLEN NEW YORK SAXOPHONE BAND / THE CANDY MEN

harry allen(ts), gary smulyan(bs), eric alexander(ts), grant stewart(ts)
rossano sportiello(p), joel forbes(b), kevin kanner(ds)
2016/Arbors/


 1  Four Brothers (J.Jiuffre)
 2  The One For You (H.Allen/J.Carmichael)
 3  How Are Things In Glocca Morra ? (E.Y.Harburg/B.Lane)
 4  After You've Gone (H.Creamer/T.Layton)
 5  I Wished On The Moon (D.Parker/R Rainger)
 6  Blues In The Morning (H.Allen)
 7  I Can See Forever (H.Allen/J.Carmichael)
 8  The Red Door (G.Mulligan/Z.Sims)
 9  The Candy Man (L.Bricusse/A.Newley)
 10  So There (H.Allen)
 11  Nobody's Heart (L.Hart/R.Rodgers)
 12  The Party's Over (B.Comden/A.Green/J.Styne)


私は常々ハリー・アレン(ts)とエリック・アレキサンダー(ts)の共演が聴きたいと言ってきました。
それが図らずもこんな形で実現するとは思わなかったです。
ゲイリー・スマリアン(bs)とグラント・スチュアート(ts)を加えたサックス4本の作品。
狙いは明らかに1940年代に人気を博したウディ・ハーマン楽団の「Second Herd」です。
ウェスト・コースト・ジャズのクール・サウンドをビックバンドで演奏した。
4人のサックス奏者はスタン・ゲッツ(ts)、ズート・シムズ(ts)、ハービー・スチュワード(ts)、サージ・チャロフ(bs)。
テナー・サックス3本にバリトン・サックス1本の組み合わせ。
それを現代に再現しようという試みです。

内容は申し分ありません。
それぞれが実力者なので安定した仕上がりです。
スマリアンのバリトン・サックスが決め手になってアンサンブルやハーモニーが重厚になりました。
私的ベストは何といっても(8)「The Red Door」です。
ジェリー・マリガンのビック・バンドにズート・シムズが客演したのが初演で思い入れが深いです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(762) CHRIS CHEEK QUINTET / SATURDAY SONGS

chris cheek (ts), steve cardenas (g)
david soler (pedal steel g), jaume llombard (b), jorge rossy (ds,vib&marimba)
2016/Sunny Side/


 1  String Finger
 2  Ginger Something
 3  Eye Factory
 4  Bucky's Blues
 5  Either Way
 6  Slow Ships
 7  Saturday Song
 8  Alhambros
 9  Foreever Green (A.C.Jobim)
 10  Strawberry Jam
 11  While You Sleep
 12  Windmill Hill


先日聴いた「シーマス・ブレイク&クリス・チーク」が良かったのでもう一枚チークを聴いてみようと思いました。
全12曲、1曲を除いてはチークのオリジナルです。
前作とはだいぶイメージが違う作りになっています。
まずはスティール・ギターの起用が新鮮でした・・・多分、ジャズで聴くのは初めてじゃないかな。
私にとってスティール・ギターといえばハワイアンで、「和田弘とマヒナスターズ」しか思い浮かびません。
これが新しい感覚のサウンドを生み出している。

聴いてみると独特のリズム感を持つ楽曲が並んでいました。
リズム感重視でポップス、ロック、カントリー、民族音楽、現代音楽などの要素などが含まれています。
ある意味ロバート・グラスパー(p)らが提唱するジャズとヒップ・ホップやロックを融合させる試みに似ているかも知れません。
どの曲も従来のジャズの感覚からずれていてつかみどころがなく面白いです。
ただ新しいだけじゃない良き古さを合わせ持っている・・・温故知新。
チークの異色作ということになるのかな、とてもジャズの範疇には収まり切れない。
こういう枠にとらわれない幅広い音楽性が魅力で、一筋縄ではいかないチークの才能を感じました。
好みがハッキリと分かれると思うので肌に合わない人も多いかも・・・聴く人を選ぶアルバムだと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(761) MATT KANE & THE KANSAS CITY GENERATION SEXTET / ACKNOWLEDGEMENT

matt kane(ds), ben leifer(b), andrew oullette(p),
michael shults(as), steve lambert(ts), hermon mehari(tp)
2015/Bounce-Step/


 1  In Case You Missed It (B.Watson)
 2  Timeline (For Elvin) (P.Metheny)
 3  The Burning Sand (A.Alaadeen)
 4  ASR' (A.Alaadeen)
 5  And The Beauty Of It All (A.Alaadeen)
 6  Wheel Within A Wheel (B.Watson)
 7  Midwestern Nights Dream (P.Metheny)
 8  Jewel (B.Watson)
 9  Question And Answer (P.Metheny)


マット・ケーン(ds)は初見、メンバーも知られていないのでローカル・ミュージシャンだと思います。
カンサスは東西の融合地で「カンサス・シティ・ジャズ」と呼び名があるほどにジャズの盛んな所です。
全9曲は現存のカンサス出身の3人の名プレイヤーの曲を演奏しています。
キッチリと3曲づつです。
ボビー・ワトソン(as)とパット・メセニー(g)はジャズ・ファンならもちろん知っていますね。
でもアーマッド・アラディーン(ts)は初めて聞いた・・・カンサスからほとんど出なかったと思われます。
地元のジャズ・シーンでは良く知られたミュージシャンで尊敬されている人物。
どんなプレイヤーかと検索したらYouTubeで何曲か聴けました。
コルトレーン派・・・バラード奏法に独特の雰囲気を持ったテナー奏者でした。
けれど作品はほとんど入手不可能のようです。

3管編成のハード・バップ・アルバムです。
内容はやはりこの地方が持つ独特の風土があります。
粘っこく絡みつくというか、土の香りがするブルース色の強い演奏が聴けました。
ベストは音の広がりを持つ曲、メセニーの(7)で分厚いアンサンブルが魅力です。
アラディーンの(4)の曲想も面白かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(760) YOICHI KOBAYASHI JAPANESE JAZZ MESSENGERS / NO! NO! NO! NO!

谷殿明良(tp)、原川誠司(as)、
田窪寛之(p)、金森もとい(b)、小林陽一(ds)

2015/MKY/


 1  Grand Central (J.Coltrane)
 2  Social Call (G.Gryce)
 3  Coisa n'10 (M.Santos)
 4  Take Your Pick (H.Mobley)
 5  Between The Devil & The Deep Blue Sea (H Arlen)
 6  Simple Pleasure (C.Walton)
 7  Dat Dere (B.Timmons)
 8  Blues For Kesennuma (Y.Kobayashi)
 9  NoNoNoNo (Y.Kobayashi)
 10  Day Dream (D.Ellington)


先日のライブ会場(ライブ・レポート参照)で入手しました。
小林陽一・JJMの作品です。
オリジナル・クインテット結成39周年とありましたが40周年といってもいいと思います。
小林陽一・クインテット〜グッドフェローズ〜ジャパニーズ・ジャズ・メッセンジャーズと続く。
消長の激しいジャズ・シーンのおいて長い間自己のクインテットを継続していることにただただ頭が下がります。
谷殿明良(tp)さんと原川誠司(as)さんのフロント2管、田窪寛之(p)さんと金森もとい(b)さんのリズム・セクション。
才能溢れる若手4人を小林さんが引っ張る構図になっています。

内容は小林さんの終始一貫変わらないハード・バップ路線。
だからいつ聴いても気持が良いです。
全10曲は自身のオリジナル2曲にその他8曲の構成です。
コルトレーン、グライス、モブレイ、アーレン、ウォルトン、ティモンズ、エリントンは文句ありません。
全員が一丸となって軽快に飛ばします。
どれを聴いても小林陽一さんのジャズ・スピリットが叩き込まれているような気がする。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(759) SEAMUS BLAKE & CHRIS CHEEK QUINTET / LET'S CALL THE WHOLE THING OFF

seamus blake(ts), chris cheek(ts),
ethan iverson(p), matt penman(b), jochen rueckert(ds)
2016/Criss Cross/


 1  Let's Call The Whole Thing Off (G.Gershwin)
 2  Choro Blanco (S.Blake)
 3  Lunar (C.Cheek)
 4  La Cancion Que Falta (G.Klein)
 5  Limehouse Blues (P.Braham)
 6  Surfboard (A.C.Jobim)
 7  Count Your Blessings (J.Berlin)
 8  A Little Evil (Snook)


シーマス・ブレイク(s)とクリス・チーク(ts)の競演盤です。
CDショップでこれを見た時、聴き逃せないと思いました。
特にチークを聴くのは久し振りなので興味津々でした。
後で調べてみるとこの二人の共演盤は何枚かあるようですね。
エリック・アレキサンダーとグラント・スチュアートの2テナー・ユニットの「Reeds & Deeds」の
向こうを張ってブレイク&チークの「Reeds Ramble」を結成するつもりかな。

聴いていてふと思いました。
これはブラッド・メルドー(p)やカート・ローゼンウィンケル(g)のテナー版ではないかと。
かすれるような音色、浮揚感のある超クールなサウンド、細かく音をつなぐ奏法。
変拍子、一瞬タイミングを外して半音を多用する・・・それが緊張感を生んでいます。
古典の(5)「Limehouse Blues」を聴くとよく分かります。
(6)「Surfboard」における二人の掛け合いにも注目しました。
ボサノバ・テイストはどこかに吹っ飛んでしまいました。
バラードの(7)「Count Your Blessings」における二人の表現力も素晴らしいです。
面白いですね。
今までにはない感じがします・・・やはり新感覚のテナー奏者はちょっと違う。
サックスを自在に操る・・・二人のテクニシャンぶりも凄いです。
たまには現代の先進主流派テナー奏者を聴かないといけませんね。
やはりジャズは現在進行形です。
二人はいつの間にかマイケル・ブレッカー(ts)を超えていた。

バックの3人にも注目しました。
随所できらめくピアノを聴かせるイーザン・イヴァーソンの存在感は十分です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(758) YASUMASA KUMAGAI TRIO / J-STRAIGHT AHEAD

熊谷ヤスマサ(p)、井上陽介(b)、大坂昌彦(ds)

2015/Jazzy Bear/


 1  Draft Beer
 2  Moonlight
 3  Eternity
 4  Chill Out
 5  Sunset
 6  Thank You Load Word Up !
 7  Summer Vacation
 8  Perfidia (Alberto Dominguez)


熊谷泰昌(p)さんとの最初の出会いは小林陽一(ds)・カルテットのライブでした。
2009年だったのでもう7年前になりますね。
当時は29歳だったか、新進期待の若手ピアニストでした。
それからも何回か小林陽一・J.J.Mで演奏を聴く機会がありました。

今作は先日、鈴木道子(vo)さんのライブで見かけました。
手に取ってみると共演が井上陽介(b)さんと大坂昌彦(ds)さんという日本を代表するジャズ・メン・・・。
これはどうしても聴いてみたいと思いました。
今作が4枚目のリーダー作のようです。
熊谷さんは1979年生まれの現在37歳、出身は茨城県水戸市です。
1998年渡米、2000年にバークリーを卒業後、ニューヨークでロバート・グラスパー(p)に師事したとのこと。
グラスパーは今や最も影響力のある先進のピアニストの1人です。
熊谷さんは切れ味よりもメロディ・メーカーとして勝負するタイプです。
美しいメロディ・ラインが特徴ですがグラスパー流のトリッキーな一面を持ち、そのスタイルに魅力があります。
全8曲は1曲を除いて全て自身のオリジナルです。
(1)、(7)がアップ・テンポの曲で疾走感があり3人の絡みがより刺激的に聴こえました。
(2)は最も現代風なテーマと雰囲気を持っていて井上さんのソロ、続く熊谷さんのソロが素晴らしいです。
(4)では熊谷さんのピアノと大坂さんのドラムスとのコンビネーションが聴きどころになりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(757) GEORGE COLEMAN QUARTET / A MASTER SPEAKS

george coleman(ts),
mike ledonne(p), bob cranshaw(b), george coleman jr(ds)
peter bernstein(g)(3)
2016/Smoke Sessions Records/


 1  Invitation (B.Kaper)
 2  The Shadow Of Your Smile (J.Mandel)
 3  Blues For B.B (G.Coleman)
 4  Blondie's Waltz (G.Coleman)
 5  You'll Never Know What You Mean To Me (M.LeDonne)
 6  Darn That Dream (J.V.Heusen)
 7  Sonny's Playground (G.Coleman)
 8  These Foolish Things (J.Strachey/H.Link)
 9  Time To Get Down (G.Coleman)


ジョージ・コールマン(ts)のリーダー作を買うのも久しぶりです。
コールマンはジャズ・シーンを代表する名コンボ「マイルス・デイヴィス・クインテット」に在籍しました。
別格のジョン・コルトレーン(ts)とウエイン・ショーター(ts)の間に挟まれ損をしていますが、
超一流のジャズ・マンであることは間違いありません。
1964年の在籍時に吹き込んだ「My Funny Valentine」と「Four And More」はマイルスの代表作です。
私にとっても「My Funny Valentine」には特別の思い入れがあります。
それこそレコード盤が擦り切れるほど聴きました。

コールマンは1935年生まれなので現在81歳、今作録音時は80歳です。
自身のオリジナル4曲に共演のマイク・ルドン(p)が1曲、その他スタンダード4曲の構成です。
ソニー・ロリンズ(ts)・コンボで活躍したボブ・クランショウ(b)の名前が見えるのも嬉しい。
クランショウも元気なんですね・・・録音時は82歳でした。
1曲だけピーター・バーンステイン(g)が参加しています。

80歳でこれだけ吹ければもう十分です・・・余りの元気さに驚きました。
刺激的なフレージングと力強く艶のある音色はとても80歳とは思えません。
まずは(1)「Invitation」でぶっ飛びました。
12分超の一番の長丁場ですがコールマンの面目躍如たる演奏を聴かせてくれました。
ボサノバの(2)、バラードの(6)と(8)のスタンダードも聴きどころになります。
オリジナルではワルツの(4)、ブルース奏法が聴ける(3)、印象的なテーマを持つルドンの(5)に注目です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(756) DOMINICK FARINACCI / LOVERS, TALES & DANCES

dominick farinacci(tp,fhn),
kenny barron(p), james genus(b), lewis nash(ds), jamey haddad(per),
joe locke(vib), marc johnson(b), hilary cole(vo), etc
2009/Koch/


1 Don't Explain (A.Herzog/B.Holiday) 2 Libertango (A.Piazzolla)
3 Estate (B.Martino) 4 Vision (D.Farinacci)
5 Ne Me Quitte Pas (J.Brel) 6 E Lucevan Le Stelle (G.Puccini)
7 Erghen Diago (P.Lyondev) 8 Silent Cry (D.Farinacci)
9 Love Dance (I.Lins) 10 Bibo No Aozora (R.Sakamoto)
11 Lonely Woman (O.Coleman) 12 The Theme From The Pawnbroker (Q.Jones)


現在私には収集対象のトランぺッターが二人います。
一人はライアン・カイザーで、もう一人はこのドミニク・ファリナッチです。
カイザーは1973年生まれの今年42歳、ファリナッチは1983年生まれの32歳です。
10歳差があるのでライバルとは言えないけれど対照的な持ち味を持っています。
不良っぽいのがカイザーで優等生がファリナッチかな。
テナー・サックスのエリック・アレキサンダーとハリー・アレンにもそんな感じがしています。

ファリナッチはジュリアード出身の逸材で実に上手いです。
技術的には文句なし、端正でキッチリとしたトランペット奏法を聴かせてくれます。
ウィントン・マルサリス系統。
マルサリスと同様に余りに上手過ぎて面白くないという評価もあると思います。

さて今作はそんなファリナッチが歌い上げた究極のロマンティック・バラード集です。
ケニー・バロン・トリオがバックで、曲によりオーケストラやストリングスが加わる一大抒情歌です。
ファリナッチならではの上品でクールで穏やかな世界が広がっています。
「Libertango」、「Estate」など、スムーズなフレージングと柔らかな音色が素晴らしいです。
こういう企画構成はファリナッチ以外には無理かもしれませんね。
プロデューサーが見事・・・ファリナッチにとっても異色作品になったと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(755) VINCENT HERRING QUARTET & QUINTET / NIGHT AND DAY

vincent herring(as), jeremy pelt(ts)(1,3,4,6,8,10),
mike ledonne(p), brandi disterheft(b), joe Farnsworth(ds)
2015/Smoke Sessions Records/


 1  Grind Hog's Day (G.Fisher)
 2  Night And Day (C.Poter)
 3  The Adventures Of Hyun Joo Lee (V.Herring)
 4  Walton (M.LeDonne)
 5  The Gypsy (B.Reid)
 6  Fly, Little Bird, Fly (D.Byrd)
 7  Wabash (C.Adderley)
 8  Theme For Jobim (C.Walton)
 9  There Is Something About You (A.Allen)
 10  Smoking Paul's Atash (V.Herring)


久々にヴィンセント・ハーリング(as)のリーダーアルバムを買ってみました。
共演はジェレミー・ペルト(tp)とマイク・ルドン・トリオです。
ハーリングはストリート・ミュージシャン出身で力強いアルトの音色が特徴です。
自他共に認めるキャンボール・アダレイ(as)の崇拝者です。

突き刺さるようなアルトの音色は健在でハーリングは鋭さを増しています。
ペルトとは共演の機会も多くいわば盟友の関係にあります。
力強く鳴り響くトランぺッターのペルトとは似たもの同士といえるでしょうか。

ここはワン・ホーンの出来が良いと思います。
ベストはテーマが印象的な(9)「There Is Something About You」です。
ルドンはエレピを使用、ハーリングとルドンのソフトな演奏が聴きどころになりました。
アップテンポで強烈にスイングする(2)「Night And Day」は新鮮でした。
バラードの(5)「The Gypsy」も良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(754) HEADS OF STATE / SEARCH FOR PEACE

gary bartz(as), larry willis(p), buster williams(b), al foster(ds)
2015/Smoke Sessions Records/


 1  Impressions (J.Coltrane)
 2  Uncle Bubba (G.Bartz)
 3  Search For Peace (McCoy Tyner)
 4  Capuchin Swing (J.McLean)
 5  Soulstice (G.Bartz)
 6  Crazy She Calls Me (C.Sigman/B.Russell)
 7  Summer Serenade (B.Carter)
 8  Lotus Blossom (B.Strayhorn)
 9  I Wish I Knew (H.Warren/M.Gordon)


「HEADS OF STATE」・・・あれ〜、こんなグループがあるのかと思いました。
ゲーリー・バーツ(as)、ラリー・ウィリス(p)、バスター・ウィリアムス(b)、アル・フォスター(ds)がメンバーです。
私にとっては懐かしい名前と顔です・・・ちょっと重たい気もするけど・・・
裏を見てみると「Impressions」が最初に入っていたので決まりです。
私はコルトレーンのこの曲が入っていると必ず買うことになります。
もっともこのメンバーなら間違いないと思いましたが・・・。

全9曲はトレーン、マッコイ、マクリーン、ベニー・カーターの曲が取り上げられていました。
その他バーツが2曲、スタンダード3曲の構成です。
予想通り、がっちり、ずっしりとした重厚なサウンドを聴かせてくれました。
バーツの枯れてかすれた感じのアルトの音色がいいです。
ウィリスのマッコイライクなピアノ、バスターはエレキとアコースティック・ベースの両刀遣いか、
フォスターの堅実かつ確実なドラミングも聴きどころになりました。

ベストはオリジナルの(5)「Soulstice」かな・・・バーツ、ウィリスが軽快に飛ばします。
マクリーンの(4)「Capuchin Swing」(お猿ジャケで有名)も面白かったです。
手慣れている感じで、これを聴いているとコルトレーン〜マクリーン〜バーツの流れもあったと思います。
スタンダードの(6)「Crazy She Calls Me」ではバーツのバラード奏法が満喫出来ました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(753) RYAN KISOR QUARTET / POWER SOURCE

ryan kisor(tp), chris potter(ts),
james genus(b), gene jacson(ds)
2001(1999Rec)/Criss Cross/


1 Power Source (R.Kisor) 2 Salome's Dance (C.Potter)
3 Duke Ellington's Sound Of Love (C.Mingus) 4 New Picture (J.Heath)
5 Boogie Stop Shuffle (C.Mingus) 6 Pelog (C.Potter)
7 Bird Food (O.Coleman)


ライアン・カイザー(tp)は収集対象です。
今作は最も気になっていた一枚でカイザーの代表作との呼び声も高かった。
入手が遅れたのはクリスクロス・レーベルは比較的入手し易く急ぐことはないと思ったからです。
もう15年も前になるんですね。

カイザーとクリス・ポッター(ts)のフロント2管のガチンコ勝負。
それもピアノレス・カルテットなら見逃せませんね。
もちろん、熱い演奏が聴けるのは十分予想していました。

演目は全7曲、二人のオリジナル3曲とその他4曲の構成です。
チャーリー・ミンガス(b)やオーネット・コールマン(as)の曲を取り上げています。
やはり意欲作だと思います。
二人の息もピッタリ・・・演奏は滑るように滑らかで変幻自在に変化する。
切れ味鋭いフレージングを聴いているとここに一つのピークがあったような気がします。
カイザーは1973年生まれなので弱冠26歳、ポッターは1971年生まれの28歳。
若いだけに創造力は豊かで体力も十分、突っ込んでくる勢いがあります。
オーネットの(7)「Bird Food」は名演です。

ジャズの魅力を満喫できる名盤の一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(752) JOEL PRESS QUARTET / LIVE AT SMALLS

joel press(ts),
michal kanan(p), chris haney(b), fukushi tainaka(ds):(1,3,4,6,8,9,10)
spike wilner(p), boots maleson(b), steve little(ds):(2,5,7)
2014/Smalls Live/


 1  There Will Never Be Another You (H.Warren)
 2  I Never Knew (Merkin/Schwartz)
 3  All Of Me (G.Marks/S.Simons)
 4  I Hear A Rhapsody (G.Fragos/J.Baker/D.Gasparre)
 5  Lover Man (J.Davis/R.ramirez/J.Sherman)
 6  All The Things You Are (J.Kern)
 7  On A Slow Boat To China (F.Loesser)
 8  That Old Feeling (S.Fain)
 9  Sunrise (J.Press)
10  It's You Or No One At All (S.Cahn/J.Styne)


ジョエル・プレス(ts)は初見、ジャケ買い、シブい佇まいに引かれました。
熟年のサックス奏者のスタンダード作品集に手が伸びるのはもう病気だと思っています。

ベテランの良さは自己のスタイルが確立されていること。
人まねではない自分の歌い方を持っていることだと思います。
このジョエル・プレスもそうでした。
とつとつとした独特のノリ、ゆったりとしたスイング感、雰囲気抜群でなんともたまりません。
演目はよく知られたスタンダードばかり、実に味のある歌い方で「いいなぁ〜」と思いました。

ベストは唯一のオリジナル、(9)「Sunrise」です。
このバラードが素晴らしくて一発でノックアウトされてしまいました。
プレスの円熟のバラード奏法と続くマイケル・カナンのピアノに参った。
もう最高!・・・この1曲のために買っても惜しくないと思います。

マイケル・カナンとスパイク・ウィルナーの二組のトリオが楽しめるのもお徳用です。
スモールズの音楽監督でもあるウィルナーの存在感のあるピアノも聴きどころになりました。


「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(751) DONATELLA LUTTAZZI & AMEDEO TOMMASI TRIO / I LOVE YOU CHET

donatella luttazzi(vo),
amedeo tommasi(p), giovanni tommaso(b), marco valeri(ds)
2016/Donatella Lutazzi/


 1  I Love You Chet (D.Luttazzi)
 2  Body And Soul (Heyman/Sour/Eyton/Green)
 3  All The Things You Are (Kern/Hemmerstein)
 4  My Funny Valentine (Rogers/Hart)
 5  Like Someone In Love (Van Heusen/Burke)
 6  Angel Eyes (Dennis/Brent)
 7  My Romance (Rogers/Hart)
 8  Stella By Starlight (V.Young)
 9  Just Friends (Klenner/S.M.Lewis)
10  I Fall In Love Too Easily (Styne/Washington)
11  My Foolish Heart (Young/Washington)
12  Alone Together (Schwartz/Dietz)
13  The Touch Of Your Lips (R.Noble)


Donatella Luttazzは初見、イタリアの自主制作盤、ジャケ買いです。
迷ったんですが結局表題の「I Love You Chet」に惹かれました。
チェット・ベイカー(tp,vo)の中性的な声質は男性よりも女性ヴォーカリストに多くの影響を与えたと思います。
特に有名な「My Funny Valentine」の唱法は古典的なバイブルになっているかもしれませんね。

聴いてみるとけっこう面白かったです。
なんていうのかな?・・・意外性がありました。
ジャケットのイメージと違って可愛らしい声で端正に歌っています。
タイミングがちょっとずれる独特のノリで、一見ヘタウマ風なんだけどなんか心に響いてくるんですよ。

トリオのバックが7曲、オーケストラのバックが6曲の構成でバランスはいいです。
シットリとしたトリオの演奏も聴きどころになりました。
超有名曲ばかりなので安心して聴いていられます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(750) MARIKO KAJIWARA / PITTER PATTER

梶原まり子(vo)、
橋本信二(g)、大口信一郎(p)、小杉敏(b)、村上寛(ds)
2016/Gate One/



 1  When Sunny Gets Blues (J.Segal/M.Fisher)
 2  Good Morning Heartache (E.Drake/E.Drake, D.Fisher, I.Higginbotham)
 3  Exactry Like You (D.Fields/J.McHugh)
 4  East Of The Sun (B.Bowman)
 5  Bewitched (L.Hart/R.Rodgers)
 6  Come Rain Or Come Shine (J.Mercer/H.Arlen)
 7  I Fall In Love Too Easily (S.Cahn/J.Styne)
 8  Everything Happens To Me (T.M.Adair/ M.Dennis)
 9  The Way We Were (A.Bergman, M.Bergman/M.Hamlisch)
 10  Everytime We Say Goodbye (C.Poter)


現在私には好きな3人の日本人女性ジャズ・ヴォーカリストがいます。
鈴木道子さん、清水秀子さん、とこの梶原まり子さんです。
3人の持ち味は違いますがそれぞれに個性的で素晴らしい歌手です。
道子さんはソウル、秀子さんはポップ、まり子さんはジャズ度が一番高いと思っています。
3人共に若い女性ヴォーカリストに人気があるのも共通しています。
今までまり子さんのCDだけ持っていなかったので今回入手出来て嬉しかったです。

さて今作の共演者は現在「昭和子供バンド」としてライブ活動を行っています。
私も何度か見に行っています。
遊び心があるやんちゃな「大人のジャズ」で聴きながらつい微笑んでしまうことも多い。
付き合いも長く気心が知れている、いわば盟友のジャズ・マン達なので阿吽の呼吸です。
まり子さんと夫君の橋本信二(g)さん、まり子さん&大口純一郎(p)さん、まり子さん&小杉敏(b)さん、
まり子さん&村上寛(ds)さんのコンビネーションも聴きどころになります。

以前、まり子さんのライブ・レポートで私はこう書いています。

「やっぱり梶原まり子(vo)さんのグルーブ感とスイング感は凄かったです。
強弱や緩急が微妙に変化するのでまるでアドリブを聴いているようなボーカル。
だからこそ大口さんとの掛け合いも面白かったです。
独特の間とタイミングは梶原さん独自のものでしょうね。
誰にも似ていない個性と味わいがあります。
グイと心に踏み込まれる感じもその通りでした。
これは麻薬みたいなもので時々は聴きたくなると思います。
梶原さんの「インプロビゼーションの世界」はそのままジャズの魅力でもあります。
やっぱり自分の世界を持っているのは最大の強みです。」

ベストは(5)「Bewiched」でまり子&信二の夫婦ならではのコンビネーションが聴けました。
(7)「I Fall In Love Too Easily」の絶妙なノリにも注目
その他の曲も安定感十分、聴き味が良くて聴きどころも多いです。
現在私のお気に入りの曲「Everything Happens To Me」」と「Everytime We Say Goodbye」が入っているのも良かった。

まり子さんは今でも歌うたびに「ドキドキ」すると言っていました。
それで題名をそのまま「Pitter Patter」にしたそうです。
まり子さんと信二さんのお店、高田馬場のライブ・スポット「Gate One」へ是非足を運んでみて下さい。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(749) BILL CHARLAP TRIO / NOTES FROM NEW YORK

bill charlap(p), peter washington(b), kenny Washington(ds)
2016/Impulse/


 1  I'll Remember April (G.Depaul/P.Johnston/D.Raye)
 2  Make Me Rainbows (J.T.Williams/A.Bergman/M.Bergman)
 3  Not A Care In The World (V.Duke/J.Latouche)
 4  There Is No Music (H.Warren/I.Gerswhin)
 5  A Sleepin' Bee (H.Arlen/T.Capote)
 6  Little Rascal On A Rock (T.Jones)
 7  Too Late Now (B.Lane/A.J.Lerner)
 8  Tiny's Tempo (L.Grimes/C.Hart)
 9  On The Sunny Side Of The Street (J.McHugh/D.Fields)


先日リニー・ロスネス(p)を聴いたので今度は夫君のビル・チャーラップを選びました。
幾何学的でアヴァンギャルドなジャケットにも惹かれました。
実にチャーラップを買ったのは久し振りで9年振りです。
イメージがだいぶ変わっていると思いました。

ロスネスとはピアニスト同士ということもあり互いに影響しあっているでしょうね。
ロスネスは独特のタッチとタイミングの持ち主でカチッとした硬派のピアニストで個性的です。
そんなところがチャーラップの味わいとして加わったと思います。

結論から言えばこれは素晴らしいアルバムです。
贅肉をそぎ落として一音一音を際立てる、引き締まった硬質な演奏を繰り広げています。
90年代から20年以上続くこのピアノ・トリオは稀有な存在です。
ピーター(b)&ケニー(ds)の両ワシントンとのビル・チャーラップ・トリオはなお現在進行形。
その完成度の高さに驚きました・・・凄いです。
現在、世界最高クラスのレギュラーのジャズ・ピアノ・トリオではないかな。

まぁ〜、どれを聴いても非の打ちどころがない感じがします。
まずは1曲目の「I Remenber April」を聴いてみて下さい。
聴き慣れている曲ですがグイと引き寄せられてしまいました。
ベストは(2)「Make Me Rainbows」かな、このノリ、絶妙なタッチとタイミングに参りました。
(3)はアップ・テンポで(4)はスロー・バラードで演奏されます。
(5)「A Sleepin' Bee」の三位一体となったスイング感も凄いです。
超スロー・テンポで演奏される(9)「On The Sunny Side Of The Street」は斬新です。
ピアノ・ソロですがまったく別の曲に聴こえます。

久々に背筋がゾクゾクした一枚です。
ジョン・コルトレーン(ts)で名を上げた再生インパルス・レーベルも久しぶりでした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(748) CHRISTIAN WINTHER QUARTET / REFUGE in SOUND

christian winther(ts),
allyn Johnson(p), reuben rogers(b), billy williams jr(ds)
guest:mike moreno(g)(1,2,4), christie dashiell(vo)(3)
2016/Sound Perspective Music/


 1  Refuge In Sound
 2  Looking Back
 3  On For Mulgrew
 4  Outsider
 5  Tell Me Your Truth
 6  Blues Life
 7  The Sleeping Giant
 8  Tune For Trane


クリスチャン・ウィンザー(ts)は初見です。
ウィンザーはデンマーク生まれで現在はニューオリンズを中心に活動しているようです。
表題曲の「Refuge In Sound」もそんなところに起因しているのかもしれません。
全8曲は全て自身の「オリジナルです。
(4)にマルグリュー・ミラー、(8)にジョン・コルトレーンの名前が見えますね。
つまりここいら辺がウィンザーのルーツになると思われます。
マイク・モレノ(g)が3曲にヴォーカリストが1曲にゲスト出演しています。
ただヴォーカリストはテーマのユニゾンに入るだけで歌は歌っていません。

聴き始めてまず特徴的なのはテナー・サックスのクリアな音色でしょうか。
端正に真面目にキッチリと音を出す・・・アルト・サックスに近い感触を持ちました。
よどみないフレージングと展開でウィンザーの能力は相当に高いです。
メンバーとの相性も良く、特にオーリン・ジョンソン(p)の好演が光ります。
モレノの味付けも効果的で完成度の高いアルバムに仕上がりました。
全体的にサウンドが大人しいので刺激的ではないけれど中身は相当に濃いです。
ベストはストレート・アヘッドに展開する(4)「Outsider」かな。
ウィンザーは中々いい感じのテナー奏者でもう一枚聴いてみたいと思いました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(747) LOGAN RICHARDSON QUINTET / SHIFT

logan richardson(as), pat metheny(g),
jason moran(p), harish raghavan(b), nasheet waits(ds)
2015/Blue Note/


 1  Mind Free
 2  Creeper
 3  In Your Next Life
 4  Locked Out Of Heaven
(B.Mars/A.Levine/P.Lawrence)
 5  Slow
 6  When I Wake
 7  Imagine
 8  Alone
 9  In Between
 10  Time
 11  Untitled


ローガン・リチャードソン(as)は初見です。
2枚目のリーダー・アルバムになるのかな。
ジャケットもカッコいいしスタイルもヒップです。
もちろんローガンの評判は耳に入っていました。
このところ聴き易いものを選んで聴いていたのでたまには骨っぽいところを聴きたいと思いました。
共演がパット・メセニー(g)とジェイソン・モラン(p)なら申し分ありません。

全11曲は1曲を除いてローガンのオリジナルです。
現在のニューヨーク・ジャズ・シーンの主流はこういったサウンドなんでしょうか。
ダーク・アンド・ディープで音の広がりを持つ浮揚感のあるサウンド。
ジョージ・コールマン(ts)やグレグ・オズビー(as)が提唱したニューヨーク・Mベース派の流れを汲んでいます。
この系統にはゲイリー・トーマス(ts)やミゲール・ゼノン(as)、グレゴリー・ターディ(ts)などの名前も見えます。

エレクトリック・サウンドを効果的に使った刺激的なサウンドが聴けました。
やっぱりメセニーの存在感が凄いと思います。
この人の才能は底知れない。
強烈なオーラを放っていてさすがのモランも霞んでしまうほどです。
ローガンやモランも好演、メンバーが一丸となったニューヨーク最先端のジャズが聴ける一枚。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(746) LOU DONALDSON QUARTET / LIVE IN BOLOGNA

lou donaldson(as),
herman foster(p), jeff fuller(b), victor Jones(ds)
1984Rec/Timeless/


1 Stella By Starlight 2 Groovin' High
3 Summertime 4 Lou's Blues
5 St.Thomas 6 Star Eyes


ルー・ドナルドソン(as)は1926年、ノースカロライナ州生まれ。
50年代はチャーリー・パーカー直系のアルト奏者としてフレッシュな演奏を聴かせてくれました。
その神髄はアート・ブレイキーの名盤「バードランドの夜」で聴くことができます。
この日のクリフォード・ブラウン(tp)との2管はハード・バップの夜明けとして燦然と輝いています。
まさに歴史的名盤の一枚ですね。

その後R&B系の演奏が多くなって次第にソウル、ファンキー路線に転じていくことになります。
ルーはブルー・ノート・レコードの看板アーティストの一人で根強い人気がありました。
1967年に発売された大ヒット盤、「Alligator Bogaloo」がその頂点になるかな。
70年代まではBNに作品があるようです。

ルーは2010年代まで活躍している息の長いプレイヤーです。
「70年代、80年代のジャズ・低迷期にはどうしていたのかな?」と思っていました。
アメリカの多くのジャズ・メンがヨーロッパに渡っていたのでルーもその一人だったかもしれませんね。
今作はそんな時にオランダのタイムレス・レーベルに残した一枚です。
有名ジャズ・スタンダード作品集でルーの純ジャズ路線が聴けるのではと期待して入手しました。

録音時は58歳、ノリも良くスピード感も十分で艶のある音色は健在です。
実にリラックスしたプレイを聴かせています。
MCでくぐもったルーの肉声が聞けるのも貴重かな。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(745) STEVE KALDESTAD QUARTET / NEW YORK AFTERNOON

steve kaldestad(ts),
renee rosnes(p), peter washington(b), lewis nash(ds)
2015/Cellar Live/


 1  Punjab (J.Henderson)
 2  O Bebado E A Equilibrista (J,Bosco/A.Blanc)
 3  Put On A Happy Face (C.Strouse)
 4  Wishful Thinking (R.Rosnes)
 5  Beatriz (E.Lobo/F.Buarque)
 6  Yeah ! (S.Kaldestad)
 7  I've Just Seen Her (C.Strouse/L.Adams)
 8  Icelight (R.Rosnes)
 9  Blues For David (C.Montgomery)


スティーヴ・カルデスタッド(ts)を聴くのは2枚目です。
前回聴いたのは「STRAIGHT UP」(2014)でバックは中堅のマイク・ルドン・トリオでした。
ブルーノート風のジャケットに惹かれたけど今回もジョー・ヘンダーソンの「ページ・ワン」のパクリです。
なんか狙いが分かり易くて1曲目にそのヘンダーソンの「Punjab」が入っています。

同時にここはメンバー構成に惹かれました。
久々のリニー・ロスネス(p)とピーター・ワシントン(b)、名手ルイス・ナッシュ(ds)の組み合わせ。
ロスネスは女性にしてはカチッとした硬派のピアニストで個性的です。
独特のタッチとタイミングの持ち主ですがここでもその特徴を十分に発揮しています。

カルデスタッドも柔らかい音色でクールに展開していて安定感は十分です。
まるでライブであることを忘れてしまいそうな落ち着きです。
究極のバラード(5)「Beatriz」はピアノとのデュオ、続く(6)「Yeah !」はピアノレス・トリオで聴かせる。
ボサノバの(2)、スピード感溢れる(8)など、構成も練られていて聴きどころも多いです。
改めてこの人は上手いと感じました。

オーソドックスで上品なテナー・サックスのワン・ホーン・アルバムに仕上がりました。
聴き味は最高でいつまでも聴いていたい気がします。
まさに「目立たないけどいいアルバム」の一枚です。

お詫びと訂正
リニー・ロスネスの夫君はビル・チャーラップ(p)で前夫はビリー・ドラモンド(ds)でした。
お詫びして訂正します。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(744) HARRY ALLEN QUARTET / LONDON DATE

harry allen(ts),
andrea pozza(p), simon woolf(b), steve brown(ds)
2016/Trio Records/


 1  This Is My Lucky Day (Allen/Carmichael)
 2  ATime For Love (Mandel/Webster)/You Are There (Mandel/Frishberg)
 3  June Song (Allen/Carmichael)
 4  Where No Man Has Gone Before (Theme From Star Trek) (Courage)
 5  Here's That Rainy Day (Van Heusen/Burke)
 6  (Back Home Again In) Indiana (Macdonald/Hanley)
 7  Our Love Is Here To Stay (Gershwin)


ハリー・アレン(ts)のライブ盤を聴くのは久し振りです。
アレンはエリック・アレキサンダーと対で聴くことが多いので一応収集対象ではあります。
でも数が多いので追いかけきれないでいます。
エリックほど思い入れがないのも事実ですが。

今作はしっとりとしたシックな仕上がりです。
余りの心地良さに私は眠くなってしまいました。
ゆるやかに流れるスイング感に包まれるような感じがします。

ライブということもあって1曲の時間が長いです。
その分、じっくりとアレンやメンバーの演奏を聴くことができました。
ピアノはイタリアの名手アンドレア・ポッザ、プロデューサーはベーシストのサイモン・ウールフです。
(2)のスロー・バラードではアレンの安定したサックスの音色が素晴らしい。
ゆったりとしたテンポをやわらかく吹き切る・・・この人は本当に上手いと思います。
逆にそれが仇になって器用貧乏に陥っていることがあるかもですね。
ボサノバのハリー・アレンという評価も片手落ちで純ジャズ路線でも十分聴き応えがあります。
そのボサノバは(4)で聴けるけど手慣れたものです。
(5)のビブラート奏法なんて現代テナーの最高峰が聴けます・・・正に絶品です。

私は常々「エリックと共演させたいなぁ〜」と思っています。
どういう展開になるんだろうか?
興味は尽きませんが誰か企画してくれませんかね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(743) KEN FOWSER QUINTET / STANDING TALL

ken fowser(ts), joshua bruneau(tp),
rick germanson(p), paul gill(b), jason tiemann(ds)
2016/Positone/


 1  Head Start
 2  Lucid Dreaming
 3  Filling InnThe Blanks
 4  Off The Path
 5  Mode For Red
 6  The Fade Away
 7  Patience And Optimism
 8   Standing Tall
 9  Hanging On
 10  Brick's Tune
 11  Timeless
 12  Somebody Got To Do


Ken Fowser(ts)は初見、ジャケットに惹かれました。
全曲自身のオリジナルなので迷いましたがテナーとラッパのフロント2管が決め手になりました。
聴いてみると全員一丸となった熱い演奏が詰まっていました。
ネオ・ハードバップの好盤というところでこれが中々良かったです。

全12曲、Fowserには作曲の才能があるようで、曲想も変化に富んでいて飽きさせません。
50〜60年代のジャズをよく研究していて、どれもどこかで聴いたことがある感じになっています。
それでもやはり全曲オリジナルは辛いと思うので1、2曲のスタンダードが欲しかったです。
ルーツは明らかにウエイン・ショーターだと思います。
こういうのを聴くと改めてショーターの存在は大きいと感じます。

メンバーには現在のニューヨークのハード・バップ・シーンの俊英が揃っています。
まとまりも良くスムーズかつスマートに展開されているのはその実力の現れです。
難曲をいとも簡単にやってのける・・・つくづく現代のジャズマンは凄いと思う。
Ric Germansonはこういったサウンドにはぴったりのバップ系ピアニストでシダー・ウォルトンを、
Josh Bruneauはリー・モーガンを、JasonTiemannはトニー・ウィリアムスをイメージしました。

ジャズ・メッセンジャーズ、マイルス・デイビス、ホレス・シルバーなどの黄金のジャズ・クインテットを彷彿とさせる。
1960年代の古き良き時代を思い起こさせる一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(742) ALASTAIR LAURENCE TRIO / TIME REMEMBERD

alastair laurence(p), arne brunvoll(b), trond gunderson stuve(per)
1999//


1 Time Remembered(B.Evans) 2 Blue Rond A La Turk(D.Brubeck)
3 Naima(J.Coltrane) 4 Skating In Central Park(J.Lewis)
5 Quiet Girl(B.Childs) 6 Black Orpheus(L.Bonfa)
7 Autumn Leaves(J.Kosma)


アレスター・ローレンス(p)は初見。
レア盤にはあまり興味がないけれどこれは気になりました。
CDの裏表を見ただけでは何を演奏しているのか、内容がまったく分からなかったから。

ローレンスは50年以上のキャリアを持つイギリスのピアニスト。
今作は激レア盤らしいです。
なぜそうなのか?・・・ジャケットを開けてみてすぐに納得しました。
まずは演目に目が向いた・・・日本人好みの超スタンダードが並んでいます。

加えて弾いているピアノが素晴らしいんです。
track1 Michael Rosenberger (1795)
track2 John Broadwood (1801)
track3-7 Erard (1866)
とありました。

クラシックのコンサートを彷彿とさせる品格の高い演奏が詰まっていました。
美しいピアノの音に浸るのも一興だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(741) FABRIZIO BOSSO QUARTET With Ensemble / DUKE

fabrizio boss(tp,flh),
julian oliver mazzariello(p), luca alemanno(b), nicola angelucci(ds)
with paolo silvestri ensemble
fernando brusco(tp), claudio corvini(tp), mario corvini(tb),
gianni oddi(as), michele polga(ts,ss), marco guidolotti(bs)
2015/Verve/


 1  I Let A Song Go Out Of My Heart
 2  Caravan
 3  In A Sentimental Mood
 4  It Don't Mean A Thing
 5  Medrey:
Black And Tan Fantasy
Jeep's Blues
 6  Solitude
 7  Perdido


久々にファブリジオ・ボッソ(tp)を買ってみました。
Paolo Silvestriのアンサンブルをバックにしたデューク・エリントン作品集です。
ボッソもキャリアを重ねてきてやりたいことはほとんどやってきていると思われます。
それで今回はこういった企画になったのかもしれませんね。
でもこれが大当たり・・・重厚なアンサンブルと斬新なアレンジが楽しめます。

自己のカルテットに6人のホーン奏者が加わります。
アレンジと指揮はPaolo Silvestriです。
このアレンジがまた素晴らしくてボッソの水を得た魚のような生き生きとしたソロがたまりません。
バックのプレイヤーも各々が実力者揃いでアンサンブルの為だけに集められたのではないのは明白です。
それが証拠にあちこちでソロ・パートが与えられています。

エリントンの代表作が並んでいてエリントン特有のジャングル・ムードは(5)で味わえました。
(3)や(6)のバラードを挟んで全体の構成もよく考えられています。
私的ベストは(7)かな、1曲だけエリントンじゃないけれどこの切れ味が凄いです。
ボッソもいつになく意欲的でこの編成に刺激を受けているのは間違いありません。
今作はいわばボッソの異色作なんですがこれが新鮮な余韻を残す作品になりました。

少し大きめの音量で鳴らすと良かった。
ビック・バンド・ファンにもお勧めです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(740) RYAN KISOR THE QUINTET / A NIGHT IN TUNISIA
Plays "A Night At Birdland"

ryan kisor(tp), grant stewart(ts),
sam yahel(p), james genus(b), victor lewis(ds)
2004/Videoarts Music/


1 Quick Silver (H.Silver) 2 A Night In Tunisia (D.Gillespie)
3 Confirmation (C.Parker) 4 If I Had You (J.Campbell)
5 Sprit Kick (H.Silver) 6 Mayreh (H.Silver)
7 Now's The Time (C.Parker) 8 Once in A While (D.Edwards)
9  Wee Dot (J.J.Johnson)


私には見つけたら買おうと思っているジャズ・マンが何人かいます。
ここのライアン・カイザー(tp)もその一人です。
グラント・スチュアート(ts)とのフロント2管、「ザ・クインテット」の2枚目の作品です
サム・ヤヘルはオルガンとの両刀遣いですがピアノにも注目しました。

今作はアート・ブレイキー・クインテットの歴史的名盤「バードランドの夜」(1954)の演目を再演したものです。
バップの名曲が並んでいますね。
スピード感溢れる切れ味鋭いハード・バップが聴けました。
気分は爽快・・・文句なしの快演だと思います。
つくづく現代のジャズ・メンの実力は凄いです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(739) JANCY KOROSSY & NICOLAS SIMION QUARTET / LIVE IN BRASOV

nicolas simion(ts,ss),
jancy korossy(p), james singteton(b), peter perfido(ds)
2014(2001Rec)/7dreams Records/


1 Blues For Garay (J.Korossy) 2 You Wouldn't Believe (R.Oschanitzky)
3 Shuffle In Graz (N.Simion) 4 For Oscar (J.Korossy)
5 Meditation (J.Korossy) 6 The Game With The Ball (J.Korossy)
7 Sweet Home (N.Simion) 8 Romanian Boogie(N.Simion)


ピアニストにヤンシー・キョロシーを迎えたニコラス・シミオン(ts)のワン・ホーン作品です。
先日のリー・コニッツ入りが良かったのでもう少し聴いてみたいと思いました。

全8曲は1曲を除いてシミオンとキョロシーのオリジナルです。
ジャズ王道をゆく重厚なカルテットが聴けました。
自由自在かつスムーズに展開するシミオンのサックスとトリッキーなキョロシーのピアノ、
野太い音色で存在感抜群のベースと堅実なドラムスが織りなすサウンドについ聴き惚れてしまう。
13分を超す長丁場の(3)「Shuffle In Graz」がベスト・プレイか。
(4)「For Oscar」はピアノ・トリオで、それこそオスカー・ピーターソン張りのピアノが聴けました。
ソプラノ・サックスとピアノの絡みが面白い(7)「Sweet Hopme」、
ピアノレス・トリオで演奏される(8)「Romanian Boogie」の凝った構成など聴きどころも多いです。

これがライブ盤ということを考えるとその完成度の高さに驚いてしまいます。
あっという間に時間が過ぎてしまった。
ルーマニア・ジャズの実力を示した一枚です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(738) BERNT ROSENGREN QUARTET / BALLADS

bernt rosengren(ts),
stefan gustafson(p), hans backenroth(b), bengt stark(ds)
2015/Pb7/


1 Time Waits(B.Powell) 2 Lush Life(B.Strayhorn)
3 Crazy She Calls Me(C.Sigman/B.Russell) 4 If I Should Lose You(R.Rainger/L.Robin)
5 I Loves You Porgy(G&I.Gershwin) 6 God Bless The Child(A.Herzog/B.Holiday)
7 I'll Be Seeing You(S.Fain/I.Kahal) 8 The Things We Did Last Summer(J.Styne/S.Cahn)
9 'Tis Autumn(H.Nemo) 10 Spring Is Here(R.Rodgers/L.Hart)
11 A Nightingale Sang In Berkeley Square(M.Sherwin/E.Maschwitz) 12 Willow Weep For Me(A.Ronell)


先週に続いてスウェーデン発の熟年のスタンダード集です。
「Bernt Rosengren」は初見かな・・・名前は知っているのでどこかで聴いたかも。
先週はドラム・レス・トリオでしたが今週はピアノ・トリオがバックのカルテットです。
熟年のスタンダード作品集を見かけると、いつも「今更なぁ〜」と思います。
内容も雰囲気も分かっているから・・・。
でも馴染みのある曲を「どう演奏しているのか」が気になって結局買ってしまいます。

しごくオーソドックスなテナー・サックスのワン・ホーン・アルバムです。
題名はずばり「Ballads」と銘打ってきました。
手慣れた感じは落ち着いていてBGMで流すにはピッタリです。
選曲もシブい曲が並んでいて憎いですね。
しっとりとした演奏とスイング感がたまりません。
ワン・パターンではあるけれど、題名そのものの円熟のバラードが聴けました。
車のHDDに入れて聴きたいと思っています。

なおベーシストは先週と同じハンス・バッケンロスです。
こういった作品には欠かせないプレイヤーかもしれませんね。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(737) HACKE BJORKSTEN TRIO / TOP THREE

hacke bjorksten(ts,ss), ulf johansson werre(p,vo), hans backenroth(b)
2014/Do Music Records/


1 Don't Get Around Much Anymore(D.Ellington) 2 After You've Gone(T.Layton/H.Creamer)
3 The Swan / Le Cygne(C.S.Saens) 4 Tricotism(O.Pettiford)
5 Don't Get Sloppy(U.Johansson) 6 Yesterdays(J.Kern)
7 Badinerie(J.S.Bach) 8 What Is This Thing Called Love(C.Poter)
9 Polska Fran Gemala(H.Bjorksten) 10 Fine And Dandy(K.Swift)
11 Adagio(T.Albinoni) 12 Come Rain Or Come Shine(H.Arlen)


スウェーデン発の熟年ドラムレス・トリオの作品です。
「Hacke Bjorksten」は何と読むのか、むずかしいですね。
コールマン・ホーキンスの流れを汲む骨太な音色を持つ中間派のテナー奏者です。
ノスタルジックな味わいを持つ、よく歌うトリオと言ったら良いでしょうか。
全12曲はジャズ・スタンダードが7曲、クラシックが3曲、オリジナルが2曲の構成です。

(2)「After You've Gone」ではピアニストのシブいヴォーカルも聴けます。
(6)「Yesterdays」はこのトリオにはピッタリの選曲か。
(8)「What Is This Thing Called Love」は凝ったアレンジで楽しめました。
サン=サーンスの(3)「The Swan/Le Cygne」では詩的な演奏が聴きどころ、
クラシックは他にバッハの(7)「Badinerie」とアルビノーニの(11)「Adagio」が入っています。

ずばり、安定感や安心感を味わう作品だと思います。
刺激は少ないですがじんわりと耳に馴染んできます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(736) DMITRY BAEVSKY QUARTET / SOMETHIN' SPECIAL

dmitry baevsky(ts),
fabio miano(p), ignasi gonzalez(b), joe strasser(ds)
2015/Blau Records/


1 Somethin' Special(S.Clark) 2 Fools Rush In(Mercer/Bloom)
3 Cheescake(D.Gordon) 4 Lament(J.J.Johnson)
5 Eclypso(T.Flanagan) 6 The End Of A Love Affair(E.Redding)
7 I Thought About You(J.V.Heusen)    


ドミトリー・バエブスキーの名前は知っていましたが聴いたのは今回が初めてです。
名前からロシア系ということは分かります。
予想したよりゴツゴツした感じのサックスだと思いました。
演目の中にある(3)のデクスター・ゴードンや(5)のカリプソを見て納得しました。
つまりバエブスキーのルーツはデックスやソニー・ロリンズにあるというわけですね。
現代のテナー・サックスの主流がコルトレーン派にあるとすればそれだけで個性的です。
バラードのJ.Jの名曲(4)「Lament」も端正にキッチリと吹き切っています。
音色もクリアでテクニックも申し分ありません。
軽い感じで飛ばす(2)「Fools Rush In」も聴きどころになりました。

男性的で豪快とはちょっと違うけれど独特のアクセントを持っていて面白いです。
もう一枚聴いてみたいと思いました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(735) B-EDGE / EASY LOVING YOU

ウォーネル・ジョーンズ(b,vo)、後藤輝夫(ts,ss,fl,per)、
マーティ・ブレイシー(ds,cho)、羽仁知治(p,key)、西山HANK史翁(g)、
Guest: CHAKA(vo)

2015/Vivid Sound/


1 Take Out To Go(T.Goto) 2 Hama Love(T.Hani)
3 Ain't It Funky(J.Brown) 4 Sukiyaki(H.Nakamura)
5 When I Was A Boy(F.H.Nishiyama) 6 Tokyo 11(T.Hani)
7 Easy Loving You (W.Jones) 8  Piero/Crown(B-Edge)
9 Easy Loving You With Chaka  


B-EDGEの初アルバムです。
先日の大橋純子さんとの共演ライブで入手しました。
B-EDGEはソウル・フュージョン・バンド。
ウォーネル・ジョーンズ(b,vo)とマーティ・ブレイシー(ds)の強力なリズム・セクションが売りです。
そこに後藤輝夫(sax)さん、西山HANK(g)さん、羽仁知治(key)が乗ります。
熟年おじさんバンドなんだけどそのノリは強烈です。

ウォーネルさんは鬼才原田真二さんのグループ、羽仁さんは上田正樹さんのグループなどで活躍。
後藤さんは自己のソウル・ファンキー・バンドの「ごめんね」を率いています。
メンバーそれぞれが幅広い音楽性の持ち主でスタジオ・ミュージシャンとしての特性も高いと思います。
思うに60年代にジャズが行き詰まった時に現れたのがスタジオ・ミュージシャンを中心にした「クロスオーバー」でしたね。

ジャケットは鮮やかな浮世絵でドッキリ、日本在住のアメリカ人は日本人以上に日本の文化に親しんでいるかも。
内容は推して知るべしでソウル・ファンキー度満載で聴き易いです。
超グルービーなリズム感なんだけど、どこか控えめで上品な味わいがたまりません。
ストレートな若い人には出せない味です。
羽仁さんの(2)「Hama Love」、西山さんの(5)「When I Was A Boy」のバラードが素晴らしい。
タイトル曲の(7)、(9)の「Easy Loving You」も印象に残りました。
ライブ・ハウスでも「Easy Loving You」の大合唱が起こったのを思い出しました。

CDも良いけれど、あくまでこのグループの神髄はライブにあります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(734) WES MONTGOMERY QUARTET / ONE NIGHT IN INDY

wes montgomery(g),
eddie higgins(p), unknown(b), walter perkins(ds)
2015(Rec1959)/Resonance Records/


1 Give Me The Simple Life(H.Ruby/R.Bloom) 2 Prelude To A Kiss(Ellington/Gordon/Mills)
3 Stonpin' At The Savoy(Webb/Goodman/Sampson) 4 Li'l Darling(N.Hefti)
5 Ruby, My Dear(T.Monk) 6 You'd Be So Nice To Come Home To(C.Poter)


ウェス・モンゴメリー(g)の未発表、発掘盤です。
今頃になって発見、発売されるのは珍しいと思います。
ウェスがリバーサイドと契約するちょっと前の録音でオクターブ奏法はすでに完成されています。
観客がその驚異的な演奏に耳をそばだてているのがよく分かります。

まずは抜群の雰囲気を持つアルバムです。
ライブ・ハウス全体が熱気に溢れ、プレイヤーと聴衆の一体感が素晴らしい。
いかにもジャズが時代の先端を走っていた頃の感じが伝わってきます。

録音も良く、臨場感も十分なスタンダード作品集です。
4人が織りなすこのノリ、絶妙なスイング感はたまりません。
一音も聴き逃すまいとする聴衆の緊張感も感じさせます。
この頃のエディ・ヒギンスのピアノが聴けるのも嬉しいですね。
(5)「Ruby, My Dear」・・・格調高く上品で美しいピアノは変わっていません。
なおベーシストはノークレジットですがいずれ名のあるベースマンだと思います。

どの曲の演奏も楽しく聴きどころになりました。
ウェス・ファンはもちろんのこと、ヒギンス・ファンもギター・ファンも必聴だと思いますよ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(733) MICHAEL DEASE QUARTET / LET'S GET REAL

michael dease(tb),
xavier davis(p), kengo nakamura(b), ulysses owens jr(ds)
2015/Spice Of Life/


1 Birdlike(F.Hubbard) 2 Broadway(W.H.Bird/T.McRae/H.Woodel)
3 Fuller Up(M.Dease) 4 My Funny Valentine(R.Rodgers)
5 Blues For Eijiro(M.Deease) 6 Say When(J.J.Johnson)
7 Entitlement(M.Deease)  8 You Are Not Alone(M.Ozone) 
9 Donna Lee(C.Parker)  10 Trinkle Tinkle(T.Monk) 
11 For Miles(M.Deease)


近年時々耳にしていた注目のトロンボーン奏者、マイケル・ディーズを買ってみました。
ジュリアード出身の逸材です。
衝撃のトロンボーンのワン・ホーン・アルバム。
いや、凄いですね・・・至難の楽器トロンボーンをいとも簡単に駆使しています。
稀にみるテクニシャンで全てがスムーズに展開します。
実はこれが良いのか悪いのかをどう判断するかで今作品の評価が決まると思います。

私はテクニックを表面に出した速い曲はいまひとつでバラード〜ミディアム・テンポに惹かれました。
バラードの(4)「My Funny Valentine 」、小曽根真さんの(8)「You Are Not Alone」、
ミディアム・テンポの(2)「Broadway」、自作では(7)「Entitlement」が聴きどころになりました。
特に(4)は名演だと思います。

ザビエル・デイヴィスのピアノ・プレイも各所で輝きを放っていました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(732) JESPER LUNDGAARD TRIO / 60 OUT OF SHAPE
feat. Enrico Pieranunzi & Alex Riel

jesper lundgaard(b), enrico pieranunzi(p), alex riel(ds)
2015/Storyville/


1 Autumn Leaves(J.Kosma) 2 All The Thing You Are(J.Kern)
3 I Can't Get Started(V.Duke) 4 My Funny Valentine(R.Rodgers)
5 What Is This Thing Called Love(C.Poter)
Everything I Love(C.Poter)
Round Midnight(T.Monk)
6 Oleo(S.Rollis)


ヨーロッパを代表するベーシスト、デンマーク出身のイェスパー・ルンゴーのライブ作品。
ドラマーは同じくデンマークの名手アレックス・リールでこの二人のリズムには定評があります。
それにイタリアの名ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンチの共演となればスッと手が伸びました。
CD裏の演目を見ると超スタンダードが並んでいて、これは聴き逃せません。

この3人なら悪かろうはずがないですが予想通りに素晴らしい演奏が詰まっていました。
1曲目の「枯葉」を聴いて驚いた・・・原曲のイメージがほとんどありません。
(4)「My Funny Valentine」もそうで即興の妙を味わうことが出来ます。
スイング感、テンポ、切れ味、まとまりも良く、3人が織りなす最高のピアノ・トリオが聴けました。
特にピエラヌンチの創造力が凄い・・・やはり現代を代表するピアニストの一人だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(731) NICOLAS SIMION GROUP / LIVE IN GRAZ & BRASOV
feat. Lee Konitz & Jancy Korossy

nicolas simion(ts,ss,bcl), lee konitz(as),
jancy korossy(p), james singteton(b), peter perfido(ds)
2014(2001Rec)/7dreams Records/


1 Concertino (N.Simion) 2 Body & Soul (J.Green)
3 Stella By Starlight (V.Young) 4 What's New (B.Haggart)
5 Impressions From Brasov (N.Simion/L.Konitz) 6 It's You (L.Konitz)
7 Thingin' (L.Konitz)


ルーマニアのニコラス・シミオン(ts)の名前は知っていたけど聴くのは今回が初めてです。
リー・コニッツ(as)とヤンシー・キョロシー(p)との共演とあっては見逃せません。
どんなサウンドが飛び出してくるのか?・・・久々に期待でドキドキしました。

全7曲はオリジナル4曲とスタンダード3曲です。
コニッツはきっちりとハマっていました。
というよりヨーロッパでのコニッツ・サウンドそのものと言っても過言ではありません。
それほどにコニッツがヨーロッパの先進ジャズ・メンに与えた影響が大きかったといえます。
(1)「Concertino」はピアノレス・カルテットで(4)「What's New」はコニッツのワン・ホーン・カルテットです。
バス・クラリネットは(1)と(6)で使用しています。
(2)「Body & Soul」でコニッツのソロからシミオンのソロへの繋がりはまったく違和感がありません。
続くキョロシーの緊張感をたたえたピアノ・ソロなど、もうたまりませんよ。
刻々と表情を変える(3)「Stella By Starlight」、コニッツのバラード・プレイが堪能出来る(4)「What's New」、
一番の長丁場15分強の(7)「「Thingin'」も聴かせます。

ピアノレス、ドラムスやベースとのデュオなど、各曲の中で編成が自在に変化していきます。
これが独特の表情を与えていて底辺には強力なスイング感もある。
各人の実力と相まって重厚かつスリリングな第一級のジャズ・アルバムに仕上がりました。
まったく素晴らしいと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(730) ANDREAS HERTEL TRIO / KEEPIN' THE SPIRIT
feat. Dusko Goykovich / Tony Lakatos

andreas hertel(p), lindy huppertsberg(b), jens biehl(ds)
dusko goykovich(tp,fhn)(1,2,4,5,7,8,12), tony lakatos(ts)(1,2,4,5,7,8,12)
2015/Laika/


1 Ratz-Fatz(A.Hertel) 2 Id Like To Know(A.Hertel)
3 Blues For H.G(O.Peterson) 4 Timelessness Remembered(AHertel)
5 Avanti(A.Hertel) 6 Waltz For Bill(A.Hertel)
7 Uh Muh(H.Mobley) 8 All My Life(A.Hertel)
9 Blues For Lindy(A.Hertel) 10 Never Let Me Go(R.Evans/J.Livingston)
11 One For Charlie(A.Hertel) 12 I'm Getting Sentimental Over You(G.Bassman)


アンドリース・ハーテル(p)・トリオは初見、ドイツ盤です。
ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)とトニー・ラカトス(ts)のフロント2管に惹かれました。
ゴイコヴィッチは久し振り、ラカトスは以前ライブで見たことがあります。

全12曲はハーテル自身のオリジナル8曲とその他4曲の構成です。
オスカー・ピーターソン(p)やハンク・モブレイ(ts)の曲が取り上げられてるのは今作の方向性を示しているか。
変幻自在に味わい深いピアノを聴かせるハーテルは名手、トリオも手慣れています。
端正で美しいゴイコヴィッチのトランペットとベニー・ゴルソン張りのラカトスのテナー・サックスが絡みます。
自作のバラード(8)「All My Life」、軽快な(1)「Ratz-Fatz」、(7)「Uh Muh」が聴きどころかな。
典型的なハード・バップ・アルバムで気持ちがいいです。
刺激には欠けるけれど、どこか郷愁を誘うサウンドで癒されました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(729) NEW CENTURY JAZZ QUINTET / IN CASE YOU MISSED US

benny benack(tp), tim green(ts),
takeshi ohbayashi(p), yasushi nakamura(b), ulysses owens jr(ds)
guest:braxton cook(as)
2015/Spice Of Life/


1 In Case You Missed Us(B.Watson) 2 Revolution
3 Swag Jazz 4 Upon Closer Look
5 Burden Hand 6 Kaze No Torimiti(久石譲)
7 Uprising 8 View From Above
9 Naima(J.Coltrane) 10 Light That Grew Amongst Us
11 Eleventh Hour(M.Miller) 12 Love's In Need Of Love Today(S.Wonder)


アメリカの若手ハード・バップ・バンド「New Century Jazz Quintet」の第二弾です。
ユリシス・オーウェンス(ds)と大林武司(p)さんをリーダーとする次世代バンド。
中村恭士(b)さんを加えた二人の日本人が参加しているのも嬉しいです。

デビュー作の「TIME IS NOW」ほどのインパクトはないけれどご機嫌な演奏を聴かせてくれました。
一番の聴きどころは天才の呼び声が高いユリシス・オーウェンスのドラミングになります。
特にアップ・テンポにおける突っ込んでくるドラミングが素晴らしいです。
オリジナルの(4)「Upon Closer Look」とマルグリュー・ミラー(p)の(11)「Eleventh Hour」が良かった。
久石譲さんの(6)「風の通り道」なども取り上げています。
全体的にリズム・セクションの健闘が目立ちます。
各曲におけるピアノ・トリオの演奏部分に耳が向きました。

今年も日本公演があったけれどタイミングが合わずに見逃してしまいました。
次回こそはと思っている。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(728) SCOTT HAMILTON & JEFF HAMILTON TRIO / LIVE IN BERN

scott hamilton(ts),
jeff hamilton(ds), tamir hendelman (p), christoph luty (b)
2015/Capri/


1 September In The Rain (A.Dubin/H.Warren)) 2 All Through The Night (C.Poter)
3 Watch What Happens (M.Legrand) 4 Soul Eyes (M.Waldron)
5 This Can't Be Love (R.Rodgers) 6 There'll Be Some Cjhanges Made (W.Benton)
7 Sybille's Day (J.Hamilton) 8 Key Largo (B.Carter)
9 Woody'n You (D.Gillespie) 10 The Champ (A.Hawkshaw)
11 Ballad For Very Tired And Very Sad Lotus Eaters (Strayhorn) 12 You And The Night And The Music (A.Schwartz)
13 Centerpiece (H.Edison)    


久々にスコット・ハミルトン(ts)を聴いてみようかと思いました。
それも西海岸屈指のドラマー、ジェフ・ハミルトンとの共演です。
スイスのBernのライブ盤。
もっともライブ盤にはなっていますがその雰囲気はほとんど感じることが出来ません。
私的な演奏会の録音という感じです。

スタンダード作品集。
二人のコラボレーションを中心にしたリラックスした演奏が聴けました。
スコットのこれほど穏やかな自然体の演奏を今まで聴いたことがないような気がします。
どこにも力が入っていないような感じで、その分、音に伸びがあり音色も美しいです。

ベストはバラード、ゆったりと流れるベニー・カーター(ts)の名曲(8)「Key Largo」が素晴らしい。
ミシェル・ルグランの(3)「Watch What Happens」も好きな曲で思い出深いです。
色んな人の歌や演奏を聴いていた時期があります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(727) ISABELLA LUNDGREN / ISABELLA SINGS THE TREASURES OF HAROLD ARLEN

isabella lundgren(vo),
peter asplund(tp), carl bagge(p), niklan fernqvist(b), daniel fredriksson(ds)
2015/Spice Of Life/


1 Last Night When We Were Young 2 That Old Black Magic
3 A Sleepin Bee 4 Let's Fall In Love
5 I'll Wind 6 Come Rain Or Come Shine
7 Over The Rainbow 8 Stormy Weather
9 As Long As I Live 10 The Man That Got Away
11 I've Got The World On A String 12 One For My Baby And One More For The Road


スウェーデンのイザベラ・ラングレン(vo)は初見。
2014年に発売された前作は2015年度アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞したとありました。
たしかにジャケットのイメージと違ってジャズ度は高いと思います。
歌声はクリアで若々しく美しく、歌も上手いですね。

今作は多くのジャズ・メンが愛奏しているハロルド・アーレン作品集です。
特に(7)「Over The Raibow」と(6)「Come Rain Or Come Shine」は必修曲といえるかな。
その(6)はベースとのデュオで聴かせてくれました。

イザベラは独特のジャズ・フィーリングを持っていて甘さは控えめです。
ただまだ若いので艶っぽさとかしっとり感には欠けます。
それだけにこれからどのように成長していくかが楽しみです。
バックのペーター・アスプルンドは雰囲気抜群・・・哀愁漂うトランペットの響きが心に沁みます。
加えてアスプルンドは(4)と(11)の2曲でデュエットしていて達者なヴォーカルも披露しています。
この2曲も聴きどころになりました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(726) KLAS LINDQUIST QUARTET / THE SONG IS YOU

klas lindquist(as,cl),
erik soderlind(g), svante soderqvist(b), jesper kviberg(ds)
2015/Do Music/


1 I Let A Song Go Out Of My Heart (D.Ellington) 2 Tangerine (V.Schertzinger)
3 I Got It Bat (D.Ellington) 4 At The Mambo In (M.Bauza)
5 Sweet Like You(K.Lindquist) 6 Broadway (B.Bird)
7 Doce De CoCo (J.D.Bandolim) 8 Grandmother's Dream (E.Soderlind)
9 Invitation (B.Kaper) 10 The Song Is You (J.Kern)
11 Nilsie (A.Babs) 12 Minha Saudade (J.Donato)


クラス・リンドクイストはスウェーデンのアルト奏者。
前に聴いたことがあるような気もしましたが初見でした。
ちょうどギター・トリオをバックにしたサックスのワン・ホーン・アルバムが聴きたかった。
そんなことでCDショップですっと手が伸びました。
スタンダード作品集なので安心感もありました。

実に落ち着いた心地良い作品です。
オーソドックスで端正な仕上がりは心に響いてきます。
いかにも北欧風のクールな透明感がありました。
リンドクイストの最大の魅力は美しく澄んだ音色だと思います。
加えてエリク・ソダーリンドのギターが抜群の効果を上げています。
微妙に絡み合うギターとサックスのコラボレーションが聴きどころになるでしょうか。
なおクラリネット使用は(5)、(7)、(9)の3曲です。

やはりバラードがいいと思います。
(8)「Grandmother's Dream」は感動的、(9)「Invitation」、(3)「I Got It Bad」が秀逸かな。
エリントンの(1)「I Let A Song Go Out Of My Heart」も良かった。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(725) ED BICKERT TRIO / ED BICKERT

ed bickert(g), don thompson(b), terry clarke(ds)
2013(1975Rec)/pm/


1 Come Rain Or Come Shine 2 Where Are You
3 When Sunny Gets Blue 4 It Might As Well Be Spring
5 Nancy With The Laughing Face 6 Manha De Carnaval


エド・ビッカート(g)の作品を探してみました。
寡作の上にどれも入手困難になっていて現在入手し易いのは今作品のみでした。
共演はカナダを代表するドン・トンプソン(b)とテリー・クラーク(ds)です。
この1975年作品はビッカートの代表作のようです。

シンプルなトリオ編成でスタンダードを演奏・・・トンプソンとクラークも好演しています。
「真夜中のビッカート」という副題が付いていてシブいギターを堪能するには最適のアルバムかな。
本当に独特の雰囲気を持っていてムード満点です。
これを言葉で表現するのはむずかしくて、はやり聴いてもらうのが一番の早道だと思います。
1曲目の「Come Rain Or Come Shine」を聴いただけできっと虜になりますよ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



エド・ビッカートをポール・デスモンド(as)のCTI盤↓で知った人も多いと思います。
かくいう私もその一人です。

*PAUL DESMOND QUARTET / PURE DESMOND
Paul Desmond(as), Ed Bickert(g), Ron Carter(b), Connie Kay(ds),
1974/CTI/

ピアノレス・カルテットの軽い音調を活かした、優しさに満ちたデズモンドの淀みないフレージングが堪能できる作品。
テーマの歌わせ方ひとつを取ってみても、ニュアンスに富んでいて、清らかで美しい。
(CDジャーナル データベースより)

カルテット編成でポールの持味が生かされたCTI作品。
エド・ピッカート(g)のセンスの良さに注目。
(帯中よりの抜粋)

CTIのフュージョン盤の一枚です。
ポール・デスモンドはいつでもそのスタイルは変わりません。
名手エド・ビッカート(g)のプレイと珍しいMJQのコニー・ケイ(ds)にも注目です。



(724) PEREZ PATITUCCI BLADE / CHILDREN OF THE LIGHT

danilo perez(p,key), john patitucci(b,elb,cello), brian blade(ds,chekere)
2015/Mack Avenue/


1 Children Of The Light 2 Sunburn And Mosquito
3 Moonlight On Congo Square 4 Lumen
5 Within Everything 6 Milky Way
7 Light Echo/Dolores 8 Ballad For A Noble Man
9 Looking For Light 10 Luz Del Alma
11 African Wave    


ダニーロ・ぺレス(p)、ジョン・パティトゥッチ(b)、ブライアン・ブレイド(ds)のトリオ作品。
この3人はウェイン・ショーター(ts)・バンドのメンバーです。
ショーター抜きのトリオがどんな演奏をしているのかが最大の興味でした。
もちろん、各人の実力は折り紙付きです。

メンバーのオリジナル11曲にショーターの「Dolores」の構成です。
三位一体のトリオは素晴らしいコンビネーションを聴かせてくれました。
調和の取れた独特のサウンドは長い間の共演のたまものだと思います。
3人による広大、深遠な音の世界・・・現代の最高峰の演奏が聴けました。

面白いのはあちこちでもう一人いるような仕掛けがあります。
演奏はどれも素晴らしいですが一番のお気に入りは(4)「Lumen」かな。
エレピとピアノの絡みがなんとも新鮮でした。
多くを語ることもない・・・まぁ〜、文句なしのアルバムです。

ショーターも今年で82歳になりました。
チャーリー・パーカー(as)〜マイルス・デイビス(tp)〜ウェイン・ショーター(ts)〜・・・
こうしてジャズのスピリッツが受け継がれていきます。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)



(723) RUBY BRAFF & GEORGE BARNES QUARTET / SALUTES RODGERS and HART

ruby braff(cornet), george barnes(g), wayne wright(b), michael moore(ds)
1975Rec/Concord/


1 Mountain Greenery 2 Isn't It Romantic
3 The Blue Room 4 There's A Small Hotel
5 Thou Swell 6 I Wish I Were In Love Again
7 Lover 8 You Took Advantage Of Me
9 Spring Is Here 10 The Lady Is A Tramp


最近図らずもシブいギタリストの作品を聴きました。
エド・ビッカートとポール・メイヤーズです。
それでふとジョージ・バーンズを思い出しました。
同じような感覚を持つギタリストです。

今作はコルネット奏者のルビィ・ブラフとの双頭カルテットで1970年代に人気を博しました。

ルビィ・ブラフは中間派のトランぺッター・・・1927年、ボストン生まれ、2003年に75歳で亡くなっています。
1950年代、ピアニストのエリス・ラーキンスと出したデュオ盤↓は名盤です。
80年代はスコット・ハミルトン(ts)との共演では好盤↓を連発しました。

*RUBY BRAFF AND ELLIS LARKINS / DUETS



ruby braff(cornet), ellis larkins(p)
1956/Vanguard/

*RUBY BRAFF AND SCOTT HAMILTON / A SAILBOAT IN THE MOONLIGHT
ruby braff(cor), scott hamilton(ts),
john bunch(p), phil flanigan(b), chuck riggs(ds), chris flory(g)
1986/Concord/


ラルフ・バーンズはチャーリー・クリスチャン系のよくスイングするオーソドックスなギタリスト。
1921年、シカゴ生まれ、1977年に56歳で亡くなっています。
以前はバーンズのジャズ・マンとしての情報はほとんどなかったです。
ソウル系歌手のバックやスタジオ・ミュージシャンとしての働きが長かったからだと思います。

さて、今作はリチャード・ロジャース&ロレンツ・ハート作品集・・・スイング感溢れる演奏は心地良いです。
私的ベストは(4)「There's A Smoll Hotel」で二人の息の合ったコラボレーションが素晴らしい。
(2)「Isn't It Romantic」と(10)「The Lady Is A Tramp」も好きな曲です。
全体を流れる端正で落ち着いた雰囲気を味わいたいアルバムです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(722) CHRISTIAN MCBRIDE TRIO / LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD

christian mcbride(b), christian sands(p), ulysses owens.jr(ds)
2015/Mack Avenue/


1 Fried Pies (W.Montgomery) 2 Band Introduction
3 Interlude (J.J.Johnson) 4 Sand Dune (C.Sands)
5 The Lady In My Life (R.Temperson) 6 Cherokee (R.Noble)
7 Good Morning Heartache (I.Higginbotham) 8 Down By The Riverside (Trad)
9 Car Wash (N.Whitfield)    


このクリスチャン・マクブライド(b)のニュー・トリオは気になっていました。
クリスチャン・サンズ(p)とユリシス・オーエンス・ジュニア(ds)との組み合わせはどうか。
前作の「Out Here」(2013)も買い物リストに入れていたんですが買いそびれてしまいました。

今作はヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤です。
1曲目の「Fried Pies」を聴いただけでぶっ飛んでしまいました。
このスピード感と切れ味は凄い・・・ライブとは思えないほど完成度は高いです。
全体を通してそれぞれのテクニックが聴きどころになるかな。
「これでもか、これでもか」と3人の技量がぶつかり合う音が聞こえる感じがします。

バラードよりアップ・テンポがいいです。
時に弾き過ぎのところもあるけどそれを超越する凄みがあります。
気分は爽快・・・圧倒的な疾走感を味わうことができました。

マイケル・ジャクソンの(5)「The Lady In My Life」やモータウン・サウンズの(9)「Car Wash」など。
エンターテイメント性も十分で、特に(9)では手拍子も入って聴衆との一体感もあります。
こういう楽しさはまさにアメリカ的ピアノ・トリオの神髄だと思います。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(721) RYAN KISOR QUINTET / LIVE AT SMALLS

ryan kisor(tp), sherman irby(as),
peter zak(p), carlos henriquez(b), ali jackson(ds)
2010/Small Live/


1 Cool And Hot (Kisor) 2 You Steped Out Of A Dream (Brown)
3 Enigma (Johnson) 4 Con Alma (Gillespie)
5 Blues For Worm (Kisor)


先日のドミニク・ファリナッチに続いてトランぺッターが聴きたくなりました。
今回選んだのがライアン・カイザーです。
カイザーを見出したのはジャック・ディジョネット(ds)でリーダー・デビュー作が18歳という天才児でした。
今作は2008年録音のライブ盤・・・カイザーは34歳になりました。

カイザーのラッパの音色はまろやかでやわらかな感じがします。
系統的にはクラーク・テリー〜アート・ファーマー〜ケニー・ドーハム〜ルー・ソロフの流れになると思います。
もちろん、ここでも演奏しているディジー・ガレスピーやクリフォード・ブラウンも大好きでしょうね。

シャーマン・アービー(as)とのフロント2管は十分刺激的です。
アービーを最初に聴いたのはロイ・ハーグローブ(tp)の作品でした。
ピーター・ザックはマッコイ・タイナー系のピアニストでカイザーの盟友ともいえる存在です。
アービーもザックもオーソドックスなスタイルを持ち合わせています。
カルロス・エンリケス(b)とアリ・ジャクソン(ds)のリズム・セクションもそつがありません。

J.J.ジョンソン(tb)が書いた美しく切ないバラード(3)「Enigma」が素晴らしいです。
めったに取り上げられることがない曲なので新鮮でした。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(まじめ系)


ちなみに今作品のちょっと前に↓が発売されています。

*RYAN KISOR QUINTET / CONCEPTION
ryan kisor(tp), sherman irby(as),
peter zak(p), john webber(b), willie jones
V(ds)
(2008/Birds)

1 Cool And Hot
2 Line For Lyons
3 Conception
4 You Stepped Out Of A Dream
5 Enigma
6 I Remember You
7 All The Things You Are


メンバーはライブ盤でも共演しているアービーとザック、それにジョン・ウィーバー(b)、ウィリー・ジョーンズV(ds)です。
演目には同じ「Cool And Hot」、「You Stepped Out Of A Dream」、「Enigma」などが含まれているので今ライブの前哨盤になりました。


カイザー捜索中にちょうどもう一枚気になるアルバムを見かけたので入手しました。

*RYAN KISOR QUINTET / AWAKENING
ryan kisor(tp), grant stewart(ts),
peter bernstein(g), sam yahel(org), willie jones V(ds)

2002/Criss Cross/

1 Awakening
2 Sioux City
3 UFO
4 Harlem Moon
5 Effing Blues
6 What Can I Say ?
7 Free As A Bird

こちらはオルガン・トリオをバックにグラント・ステュアート(ts)とのフロント2管です。
全7曲は全てカイザーのオリジナルで気合が入っています。
カイザー28歳、この頃ひとつのピークにあったと思います。
元気溌剌として鋭さ十分、やや間延びした感のあるスチュアートとの相性もいいです。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)