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(720) BOB McCHESNEY QUARTET & QUINTET / SCHEZ SEZ

bob mcchesney(tb), bob mintzer(ts)(1,5,8,9,10),
larry goldings(p,org), derel oles(b), bill stewart(ds)
2015/Moco Records/


1 YOU MAY HAVE IT WRONG (B.McChesney) 2 NATURALLY (N.Adderley)
3 THE PREAKNESS (L.Goldings/B.McChesney) 4 YESTERDAYS (J.Kern)
5 CHEZ SEZ (B.McChesney) 6 AWARENESS (L.Goldings)
7 IN YOUR OWN SWEET WAY (D.Brubeck) 8 THIS THING (B.McChesney)
9 GOING BACK (B.McChesney/L.Goldings) 10 I SHOULD CARE (A.Stordahl)
11 LOVE FOR SALE (C.Poter)    


ジャケ買いです。
ボブ・マッチェスニー(tb)は初見・・・トロンボーン奏者の作品は久し振りです。
ここはメンバーにも興味を惹かれました。
ボブ・ミンツァー(ts)、ラリー・ゴールディングス(p,org)、ビル・スチュアート(ds)などが共演しています。

マッチェスニーのトロンボーンはウエスト・コースト・ジャズの流れを汲むクール・スタイルです。
まろやかでやさしく、実にスムーズに展開します。
ソフトに包み込むような音色の持ち主で名手だと思います。
至難の楽器トロンボーンをここまでコントロール出来る・・・私は驚いてしまいました。
こんな名手が隠れていたとは本当に世の中は広いですね。

全11曲はメンバーのオリジナル6曲とその他5曲の構成です。
曲想も多彩で選曲のバランス感覚にも優れています。
表題曲の(5)「Chez Sez」はピアノレス・カルテットで、その他ピアノやオルガン入りなど変化に富んでいます。
(2)「Naturally」はナット・ナダレイの美しいバラード曲、低音楽器によく似合う(4)「Yesterdays」、
ブルーベックの(7)「In Your Own Sweet Way 」はオルガン入りで、クインテットの(10)「I Should Care」、
ワンホーン・カルテットの(11)「Love For Sale」など聴きどころも多い。
オリジナルの各曲もそれに勝るとも劣らない仕上がりで特にゴールディングスの存在感が光る。

まぁ、素晴らしいです。
落ち着いていて安定感があります。
ベテラン・プレイヤー達による極上のハード・バップ・ジャズが聴けました。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(719) OHISHI MANABU PIANO TRIO / JUST TRIO

大石学(p)、米木康志(b)、則武諒(ds)

2015/Gekkasosha/


1 TIME REMEMBERED(B.Evans) 2 THE WAY YOU LOOK TONIGHT (J.Kern)
3 CLOUDY (M.Ohishi) 4 MUSCAT (M.Ohishi)
5 NEBULA (M.Ohishi) 6 WREATH (M.Ohishi)
7 FRASCATI (M.Ohishi)


大石学さんのニュー・トリオの作品です。
大石さんはドラマーで盟友のセシル・モンローさんを4年前に不慮の事故で亡くしました。
以来、米木康志さんとのデュオやソロ活動が多くなりました。
私は次にどんなドラマーが起用されるのか?・・・気になっていました。
大石さんのお眼鏡にかなったのが31歳の若手則武諒さんです。

全7曲はオリジナル5曲とその他2曲の構成です。
1曲目から独特の大石ワールドが広がります。
起承転結の物語性があって広大で深遠な世界です。
大石さんは美しく、力強く、また抜群のリズム感を持っています。
スタンダードの(2)「The Way You Look Tonight」が聴きどころ。
オリジナルでは代表作の(5)「Nebula」、どこまでも美しい(6)「Wreath」が印象に残りました。
大石さんのこのニュー・トリオがどのように昇華していくのかが楽しみです。

つい先日、淵野繁雄(ts)さんのライブで大石さんと則武さんを見ました。
その時のライブ・レポートにこう書きました。

「大石学さんは私の周りのジャズ仲間でも評判の高いピアニストです。
大石さんも楽しそうでした。
シンセサイザーとピアノを駆使してガンガンと飛ばしていました。
大石さんの強烈な演奏を聴いているとピアノが打楽器であることを再認識します。
大石さんは美しいメロディ・メーカーとして知られていますが、
実はその神髄はパワフルかつ強靭なタッチにあるのではないかと思っています。」

「もう一つの目的に若手ドラマーの則武諒さんを見ることにありました。
則武さんは新たに大石学・トリオに迎い入れられた名古屋出身の逸材です。
バークリーにも留学したと言っていました。
相手なりに合わせるフレキシブルな感覚と安定したリズムを繰り出す才能を持っています。
細かくリズムを刻み、パルス波を発生させる・・・静かでしなやかな感性の持ち主です。
私としてはもう少し突っ込んで欲しかったですがこのバランス感覚の良さが則武さんの持ち味なんでしょうね。」

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(718) GRAHAM DECHTER QUARTET / RIGHT ON TIME

graham dechter(g), tamir hendelman(p), john clayton(b), jeff hamilton(ds)
2009/Capri Records/


1 Low Down (Thad.Jones) 2 Wave (A.C.Jobim)
3 The Nearness Of You (H.Carmichael) 4 I Ain't Got Nothin' But The Blues (D.Ellington)
5 Broadway (H.Woode/T.McRae) 6 Right On Time (B.Dechter)
7 Squatty Roo (J.Hodges) 8 With Every Breath I Take (C.Coleman)
9 Lined With A Groove(R.Brown) 10 In A Mellow Tone(D.Ellington)


グラハム・デクター(g)の23歳のデビュー作を見つけました。
2枚目のリーダー・アルバム↓はドラ盤にしたのでこれも聴いてみようを思いました。

*GRAHAM DECHTER QUARTET / TAKIN' IT THERE
graham dechter(g),
tamir hendelman(p), john clayton(b), jeff hamilton(ds)
2012/Capri Records/

メンバーは上記の2枚目と同じです。
デクターは西海岸で活躍中のクレイトン・ハミルトン・ジャズ・オーケストラに入団。
その時は若干19歳という天才肌のギタリスト。
親分格のジョン・クレイトン(b)とジェフ・ハミルトン(ds)はここでも脇を固めてくれています。
名手タミール・ヘンデルマン(p)を含めたバックのピアノ・トリオも聴きどころになります。

演目を見てみるとジョビンはともかく、デューク・エリントン、ホギー・カーマイケル、
ジョニー・ホッジス、レイ・ブラウン、サド・ジョーンズなど若さに似合わぬシブい選曲です。

デクターのギター・プレイはストレート・アヘッド・・・端正でクリアな音色が特徴です。
スイング感に溢れ切れ味も鋭い。
ごまかしがなくきっちりと弾いてるのが印象的・・・とても美しいです。
特に(3)「The Nearness Of You」が素晴らしくて、これには心底痺れました。
(2)「Wave」や(6)「Right On Time」、(10)「In A Mellow Tone」も良かった。
いかんせんまだ若いので情緒には欠けますが才能豊かで将来性は十分です。
これからどれだけ伸びていくのか?・・・楽しみな逸材です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(717) BENNY SHARONI QUINTET / SLANT SIGNATURE

benny sharoni(ts), joe barbato(p), todd baker(b), steve langone(ds),
jim rotondi(tp)(1,2,6,8), mike mele(g)(1,3,5,7)
2014/Papaya Records/


1 MINOR CITY (B.Sharoni) 2 DOWN UNDER (F.Hubbard)
3 SUBTERRANEAN SAMBA (B.Sharoni) 4 CEORA (L.Morgan)
5 SLANT SIGNATURE (B.Sharoni) 6 THE BODEGA (B.Sharoni)
7 BITTER DROPS (B.Sharoni) 8 TONK (R.Bryant)


ベニー・シャロニ(ts)は初見、ボストンを中心に活躍中です。
今作は5年ぶりの2枚目のリーダー・アルバムのようですがこれはいいですよ。
全8曲は自身のオリジナル5曲とその他3曲の構成です。
フレディ・ハバード(tp)、リー・モーガン(tp)、レイ・ブライアント(p)が選ばれました。
レギュラー・カルテットの実力は十分でバランスも取れています。
ゲストにジム・ロトンディ(tp)とマイク・メレ(g)がそれぞれ4曲に参加しています。

奇をてらったところがない軽快なサウンドとリズム、オーソドックスなスタイルでリズムも乗れる。
なんか耳に馴染んでくるんです。
なんだろうね・・・なんとなく懐かしい感じがしてハマりました。
ソニー・ロリンズ(ts)派といわれてますが私はハンク・モブレイ(ts)を思い浮かべました。
大好きなリー・モーガンの名曲「Ceora」は唯一ワン・ホーン・カルテットで演奏されます。
ロトンディやメレとの相性もピッタリでサウンドも変化に富んでいて面白かったです。
印象的なテーマとリズムを持つ(3)「Subterranean Samba」がオリジナルのベスト・プレイか。
ギターとのユニゾンがバッチリと決まる(5)「Slant Signature」もいい。
ラッパとのコンビでは軽快に飛ばす(1)「Minor City」や(6)「The Bodega」が光る。
全体を通してスムーズな展開・・・何といっても気分良く乗れるのが一番です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(716) MIKE MURLEY TRIO / LIVE AT THE SENATOR

mike murley(ts), ed bickert(g), steve wallace(b)
2000/Cornerstone Records/


1 I Should Care (Cahn) 2 It's All Right With Me (Poter)
3 Every Time We Say Goodbye (Poter) 4 On The Spot (Murley)
5 Golden Earrings (Young) 6 Just In Time (Noble)
7 The Touch Of Your Lips (Noble) 8 Can't You See ? (Murley)


テナー・サックスのドラムレス・トリオも気になります。
今作はカナダのサックス奏者、マイク・マーレイのドラムレス・トリオです。
マーレイは初聴きですがカナダのジャズシーンには欠かせない実力者と聞いています。
ここでの注目は名手エド・ビッカート(g)の参加にありました。

全8曲はマーレイのオリジナル2曲とスタンダード6曲の構成です。
コール・ポーターとレイ・ノーブルが2曲づつ入っているのが目を引きました。
購入のきっかけは大好きな曲「Every Time We Say Goodbye」が入っていたことです。

ライブ盤でありながらしっとりとした落ち着いた演奏が聴けました。
演奏はどれも素晴らしくて甲乙つけがたいですがベストは(5)「Golden Earrings」か。
そのゆったりとしたスイング感がなんともニクい。
予想通り(3)「Every Time We Say Goodbye」も良かったです。
切なく歌うテナー・サックスの響きがたまりません

ビッカートのプレイはなんと表現したらいいのか?
バッキングでは後ろに下がり、ソロではグンと前に出てくる。
出しゃばるわけでもなく、控えめでもなく、出し入れがまさに職人芸です。
抜群の雰囲気を持っていてその存在感が凄い。
野太く堅実なスティーヴ・ウォレスのベースと共に三位一体の演奏をどうぞ。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(715) ADAM HARRIS QUINTET / LIVE AT THE JAZZ STATION

adam harris(ts), tony glausi(tp,flh),
george colligan(p), jon lakey(b), jason palmer(ds)
2014/Adam Harris/


1 HUBCAP (T.Glaus) 2 BLUES FOR MY BROTHER (T.Glaus)
3 LONELY WANDERER (A.Harris) 4 GONZI SCHEME (A.Harris)
5 AROUND THE CIRCUIT (A.Harris) 6 GOOD OLD DAYS (A.Harris)


アダム・ハリス(ts)は初見、オレゴン州ユージーンのジャズ・クラブでのライブ盤です。
ハリスの自主制作盤。
メンバーで知られているのはジョージ・コリガン(p)のみです。
あとの4人はローカル・ミュージシャンのようで知名度は低いと思います。
全6曲(50分)は全てメンバーのオリジナルですがやや一本調子の感あり。
やはりあと1、2曲のスタンダードが欲しいところかな。

演目から探るとハリスはジェリー・バーゴンジ系、トニー・グラウシ(tp)はフレディ・ハバード系といえるか。
スムーズな展開でまったくストレスはありません。
それぞれの実力は相当なものでローカルでもアメリカの底力を感じる一枚になりました。
ベストはメンバーが一丸となった(5)「Around The Circuit」でハリス、コリガンの強烈なソロが聴けます。
全体を通してテナーとラッパのフロント2管の活きのいいハード・バップ・ジャズが聴けました。
元気溌剌として止まらない・・・ただただ気持ち良い・・・これくらい突っ走ってくれると気分爽快です。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(中間系)



(714) PETER AND WILL ANDERSON QUINTET / DEJA VU

peter anderson(ts), will anderson(as),
jeb patton(p), david wong(b), albert "tootie" heath(ds)(1-4,7,9),
phil stewart(ds)(5,6,10,11)
2015/Gutstring Records/


1 DEJA VU (P.Anderson) 2 PRESQUE VU (W.Anderson)
3 BELFAST BLUES (P.Anderson) 4 DEVIL'S ADVOCATE (W.Anderson)
5 A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE (Sherwin/Maschwitz) 6 DEJA INTENDU (W.Anderson)
7 RACHEL (P.Anderson) 8 JAMAIS VU (W.Anderson)
9 LOVER MAN (Davis/Ramirez/Sheman) 10 CATS IN NEW YORK CITY (P.Anderson)
11 JUST ONE OF THOSE THINGS (C.Poter)    


ピーター&ウィル・アンダーソン、兄弟サックス奏者の作品。
この二人の作品は何度か目にしていましたが聴くのは今回が初めてです。

全11曲はオリジナル8曲とスタンダード3曲の構成です。
先週に引き続き今一番興味ある曲、コール・ポーターの(11)「Just One Of Those Things」も入っています。
(5)「A Nightingale Sang In Berkeley Square」と(9)「Lover Man」も好きな曲です。
それぞれに美しいメロディ・ラインを持っています・・・オリジナルよりもやっぱりこの3曲が良かった。
ベテラン・ドラマーのアル・ヒースが6曲に参加しています。

二人は軽快でスイング感溢れるクラシカルなジャズ・スタイルを持っています。
技術的には文句なし。
ピーター・アンダーソン(ts)はレスター・ヤング派、ウィル・アンダーソン(as)はチャーリー・パーカー派です。
実に心地良いサウンド・・・オールド・スタイルはいつの時代でも一定の支持があります。

柔らかく優しい音色、スマートで優等生、爽やかなウエスト・コーストの風を感じる。
二人の息の合ったアンサンブルが聴きどころでオリジナルでは(4)がベストか。
疲れている時に最適な癒し系・・・何より安心して聴いていられる良さがあります。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(713) PAUL MEYERS QUARTET / FEATURING FRANK WESS

paul meyers(g), frank wess(ts,fl), martin wind(b), tony jefferson(ds)
andy bey(vo)(5)
2009(2007Rec)/Miles High Records/


1 SNIBOR (B.Strayhorn) 2 BLUE LANTURN (P.Meyers)
3 IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING (D.Mann/B.Hillard) 4 ONE FOR MISS D. (P.Meyers)
5 LAZY AFTERNOON (J.Latouche/J.Moross) 6 MENAGE A BLEU (F.Wess)
7 JUST ONE OF THOSE THINGS (C.Poter) 8 MY ONE AND ONLY LOVE (R.Mellin/G.Wood)
9 WHO CARES (G&I.Gershwin) 10 I COVER THE WATERFRONT (J.Green/E.Heyman)


ジャズ友のNさんが絶賛していたアルバムです。
私も気になったので購入しました。
ギタリストのポール・メイヤーズは初見、フランク・ウェス(ts,fl)がどんな演奏を聴かせてくれるのか。

全10曲は二人のオリジナル3曲とスタンダード7曲の構成です。
ヴォーカリスト好みの曲が多いのはある種のこだわりが感じられます。
ちなみに今一番興味ある曲がコール・ポーターの「Just One Of Those Things」なんです。
色んな演奏や歌を聴いています・・・これが入っているのも幸いしました。

全体的にバランスが取れた好アルバムだと思います。
しっとりと落ち着いた心地よいサウンドを演出している。
マーティン・ウィンド(b)とトニー・ジェファーソン(ds)の好センスなバッキングも光る。
ただちょっとイメージの違うアンデイ・ベイのヴォーカルは余計だったかも。

メイヤーズはナイロン弦のアコースティック・ギターを使用・・・ギターの音色も素晴らしい。
この心地良さのルーツは誰だろうかと考えてしまいました。
ジョニー・スミスやチャーリー・バードを思い浮かべたけどそれよりずっといい感じがします。
ウェス・モンゴメリーのオクターブ奏法やケニー・バレルの夜のムードもある。
先日紹介したエド・ビッカートといい、隠れた名手はそれこそいくらでもいますね。
(9)「Who Cares」のスイング感溢れるギター・プレイはもう最高です。

フランク・ウェスは1922年生まれ、2013年に91歳で亡くなっています。
カウント・ベイシー・オーケストラでは10年以上にわたってソロイストとして活躍。
フルートをソロ楽器として認識させた功績もあります
録音時は85歳でした・・・それでこれだけ吹ければ大したものです。
バラードの(8)「My One And Only Love」は聴かせます。
(2)「Blue Lanturn」の突っ込んでくる力強いフルート・プレイにも驚きました。

雰囲気、味わい共に最高、まさにメイヤーズとの相性は抜群でした。
どの曲も素晴らしい出来で目移りしてしまいます。

こういうのを隠れた名盤というんでしょうね。
ふつうは85歳のフランク・ウェスをそう聴きたいとは思わないでしょう。
そこに落とし穴があります。
ウェス晩年のベスト・プレイが聴けました。
Nさん、どうもありがとう。

「ドラ流目立たないけどいいアルバム」

(くつろぎ系)



(712) ELIANE ELIAS / MADE IN BRAZIL

eliane elias(vo,p,key),
take 6(vo)(3), mark kibble(vo)(3,6,9), amanda brecker(vo)(5),
ed motta(vo)(7), roberto menescal(vo)(2),(g)(2,10),
marcus teixeira(g)(1,3,6,7,8,9,12), marcelo mariano(elb)(1,3,6,7,9,12),
edu rrribeiro(ds)(1,3,6,7,8,9,12), marc johnson(b)(2,4,5,8,10,11),
rafael barata(ds)(2,4,5,10), mauro reosco(per)(1,3,5,7,9), marivaldo dos santos(per)(5,9)
2015/Concord/


1 BRASIL (A.Barroso) 2 VOCE (R.Menescal/R.Gilbert/R.Boscoli)
3 AGUAS DE MARCO (WATER OF MARCH) (A.C.Jobim) 4 SEACHING (E.Elias)
5 SOME ENCHANTED PLACE (E.Elias/M.Johnson) 6 INCENDIANDO (E.Elias/M.johnson)
7 VIDA (IF NOT YOU) (E.Elias) 8 ESTE SEU OLHAR / PROMESSAS (A.C.Jobim)
9 DRIVING AMBITION (E.Elias/M.Johnson) 10 RIO (R.Menescal/R.Boscoli)
11 A SORTE DO AMOR (THE LUCK OF LOVE) (E.Elias) 12 NO TABULEIRO DA BAIANA (A.Barroso)


イリアーヌ・イリアス(p,vo)の新譜です。
イリアーヌはこのところ好盤を連発していて今が旬の絶好調だと思います。
女性の50歳代はまだまだ元気です。

今作はボサノヴァのカバー集と思いきやイリアーヌのオリジナルが6曲も含まれていました。
まずはこれが意外でした。
その他アリ・バロゾが2曲、アントニオ・カルロス・ジョビンが2曲、ロベルト・メネスカルが2曲の構成です。
特にボサノヴァの黎明期を支えたメネスカルはここで共演しています。
(2)「Voce」では雰囲気抜群の歌声とギターを披露していて、これが私的ベスト・トラックです。
テイク6が参加の(3)「Water Of March」では素晴らしいハーモニーを聴くことができました。
続く(4)「Seaching」は自作のバラード・・・しっとりとした歌とピアノが聴きどころになります。
この(2)〜(3)〜(4)の流れが最高です。
エド・モッタ(vo)との(7)「If Not You」も良かった。
もちろん夫君のマーク・ジョンソン(b)も参加していて3曲で詩を書いています。
なお(5)に参加のアマンダ・ブレッカー(vo)は前夫のランディ・ブレッカー(tp)とイリアーヌの娘です。

ジャケットには賛否両論があるようです。
「もう無理じゃないのか」と「まだまだイケてる」・・・さて、あなたはどっちかな?

(中間系)



(711) DOMINICK FARINACCI QUARTET & QUINTET / DAWN OF GOODBYE

dominick farinacci(tp,flh),
dan kaufman(p), yasushi nakamura(b), carmen intorre(ds),
keita ogawa(per), guilherme monteiro(g)(3), jonathan batiste(p)(4,7,11),
ernie krivda(ts)(5), ben williams(b)(4,7,10,11)
2012/Cendi Music/


1 YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS (D.Raye) 2 IT'S ALL RIGHT WITH ME (C.Poter)
3 I CONCENTRATE ON YOU(C.Poter) 4 DOMS BLUES (D.Farinacci)
5 MIDNIGHT EMBRACE (D.Farinacci) 6 LOVER MAN (J.Davis/R.R.Ramirez/J.Sherman)
7 WILLOW WEEP FOR ME (A.Ronell) 8 WINDSHADOW (D.Kaufman)
9 DAWN OF GOODBYE (D.Farinacci) 10 YOU MADE ME LOVE YOU (P.D.Rose/J.Trent)
11 MOANIN'(B.Timmons)    


CDの聴き直しをしていて最近ハマっているのがトランペッターです。
個人的にテナー・サックスが一番好きなのでどうしてもサックス作品を聴く機会が多くなります。
それで時々思い出したようにトランペットが聴きたくなるんです。
今一番のお気に入りがこのドミニク・ファリナッチです。

ファリナッチは1983年3月、オハイオ州クリーブランド生まれの現在32歳です。
10代から注目されていた逸材ですがウィントン・マルサリスも絶賛するトランぺッターです。
音楽名門校の「ジュリアード」が創設した”ジャズ・スタディーズ」第一期生に選ばれました。
このこと自体がジャズ・ミュージシャンとしての資質と才能を表しています。
ちなみにここで共演している中村恭士(b)さんや東京で活躍中の片倉真由子(p)さんが同窓になります。


まずは柔らかい音色が素晴らしい・・・聴いていて疲れないのがいいです。
確かな技術に裏打ちされたクールでまろやかな音色は決して熱くならずに美旋律を吹き切る。
まさに「トランペットで歌う」という表現がピッタリだと思います。
全11曲はオリジナル4曲とコール・ポーターなどのラブ・バラードが中心になっています。
お気に入りはギター入りの(3)「I Concentrate On You」と切なくほろ苦い(6)「Lover Man」。
自作の(5)「Midnight Embrace」のチャカポコ・リズムも心地良い。

なお輸入盤と国内盤ではジャケットが違います。
国内盤は2曲のボーナス・トラック(10,11)付きですが、いつも「どうかな?」という販売手法です。

(中間系)



(710) DAYNA STEPHENS QUARTET & QUINTET & SEXTET / TODAY IS TOMORROW

dayna stephens(ts),
aaron parks(p), kiyoshi kitagawa(b), donald edwards(ds),
michael rodriguez(tp)(2,6), julian lage(g)(4,6,7), raffi garabedian(ts)(3)
2012/Criss Cross/


1 Skylark(H.Carmichael) 2 Kwooked Street(Stephens)
3 Radio-Active Earworm(Stephens) 4 De Pois Do Amor, O Vazio(R.C.Thomas)
5 Loosy Goosy(Stephens) 6 Black Narcissus(J.Henderson)
7 Haden's Largo(Stephens) 8 Hard-Boiled Wonderland(A.Parks)
9 The Elite(Stephens) 10 Cartoon Element(A.Parks)


先週紹介したダイナ・ステフェンズの「PEACE」が良かったのでもっと聴いてみたいと思いました。
今作は2枚目のリーダー・アルバムでジャズ・メジャー・レーベルからの初登場になります。
ステフェンズは1978年ニューヨーク生まれというから34歳の作品です。
デビュー作が2007年の「TIMELESS NOW」(CTA)は29歳の時、それから5年が経っています。
やや遅咲きのプレイヤーといえるでしょうか。

全10曲は自身のオリジナルが5曲、メンバーのオリジナル2曲とその他3曲の構成です。
スタンダードはカーマイケルの「Skylark」、ジョー・ヘンの「Black Narcissus」を取り上げるのは珍しいかな。

まずはステフェンズが持つ柔らかな音色は素晴らしいと思います。
決して熱くならず超クールな印象・・・まるで包み込まれるような気がする。
アーロン・パークス(p)とコンビネーションは抜群の雰囲気を醸し出します。
超クールの二人の組み合わせは何とも憎い。
アーロン作の(8)「Hard-Boiled Wonderland」と(10)「Cartoon Element」は最高です。
自身のオリジナルではバラードの(7)「Haden's Largo」が聴きどころになりました。
パークスやジュリアン・レイジ(g)との絡みに痺れた。
(2)「Kwooked Street」やセクステットの(6)Black Narcissus」も凝った展開です。
(5)「Loosy Goosy」では北川潔(b)さんの存在感が光ります。

改めてこのダイナ・ステフェンズは面白いと思いました。
ちょっと追いかけてみたい気がする。

(中間系)



(709) LEE KONITZ NEW QUARTET / AT THE VILLAGE VANGUARD
Standard's Live

lee konitz(as),
frorian weber(p), jeff denson(b), ziv ravitz(ds)
2009Rec/Enja/


1 CHEROKEE (R.Noble) 1 THE SONG IS YOU (J Kern) 
2 SUBCONSCIOUS-LEE (L.Konitz) 2 SKY LARK (H.Carmichael)
3 I REMEMBER YOU (V.Schertzinger) 3 IN YOUR OWN SWEET WAY (D.Brubeck)
4 POLKA DOTS AND MOONBEAMS (J.V.Heusen) 4 JUST FRIENDS (J.Klenner)
5 COLOR (F.Weber) 5 STELLA BY STARLIGHT (V.Young)
6 KARY'S TRANCE(L.Konitz) 6 I LOVE YOU(C.Poter)
THINGIN(L.Konitz)


リー・コニッツは1927年、イリノイ州シカゴ生まれ、15歳でプロ入りなのでこの頃の超早熟なジャズ・マンの一人です。
最初はクラリネットでその後テナー・サックスに転向しましたが、最後はアルト・サックス奏者になりました。
当時の楽器の持ち替えは在団したバンドの都合が多いようです・・・空きがあるかどうか。
20歳以降はクロード・ソーンヒル楽団〜マイルス・デイビス九重奏団〜レニー・トリスターノ〜スタン・ケントン楽団〜
自己のコンボ〜60年代半ば頃からはヨーロッパで活躍することが多くなりました。

コニッツはチャーリー・パーカー以降、最も重要なアルト・サックス奏者の一人でその影響力は計り知れません。
意気投合したレニー・トリスターノ派の第一人者で、その流れを汲むクール・スタイルの代表格でもあります。
特に多くの白人アルト奏者に影響を与えています。
ポール・デスモンド、アート・ペッパー、バド・シャンク、チャーリー・マリアーノ、フィル・ウッズなど。

今作は2009年3月31日〜4月1日のヴィレッジ・ヴァンガード、コニッツ81歳の時のライブ盤です。
1枚目が出た時にチェックしましたが「コニッツも80歳を過ぎているし今更スタンダードも・・・」と思ってパスしてしまいました。
そのまま忘れていたんですが去年2枚目が出たので「やっぱり聴こう」と思い直しました。
「コニッツの新しいカルテットはどんなものか」との興味もありました。

聴いていてみると想像以上に良かったです。
コニッツもこれだけ吹ければ立派、やはり怪物ジャズ・メンの一人でした。
経験豊富で引き出しの多さは特筆もの、一筋縄ではいかないフレーズがポンポン飛び出してきます。
まぁ、先進のアルト奏者として多くの修羅場をくぐり抜けてきているので当然といえば当然ですが・・・。
さらにドイツ出身のピアニスト、フロリアン・ウィーバーが素晴らしいです。
コニッツが高齢なので自ずとピアノ・トリオの出番が多くなりますが、これがまた聴きどころになりました。
さすがにコニッツの見る目は確かです。
このピアノ・トリオの魅力は1曲目の「Cherokee」で一目瞭然です。
キラリと光るトリオは強力かつ斬新な印象を残します・・・特にピアノとドラムスのコンビネーションが素晴らしい。
バップの名曲をこんな風に展開させるのはコニッツ・カルテットならではと思います。
コニッツの代表曲(2)「Subconscious-Lee」はパーカーの「Confirmation」と並んで多くのアルト奏者のバイブル曲。
(6)「Kary's Trance」の転調具合はどうか…私的ベストはこれかな。
Vol.2ではブルーベックの(3)「In Your Own Sweet Way」がお気に入りです。
とにもかくにもコニッツが元気でいてくれて嬉しいです。

Vol.1はオリジナル3曲とスタンダード4曲、Vol.2はスタンダード6曲の構成です。
やはりVol.1の出来がいいので、1枚だけならこちらがお勧めです。

(中間系)



(708) BILL CROW QUARTET / FROM BIRDLAND TO BROADWAY

billcrow(b),
carmen leggio(ts), joe corn(g), david jones(ds),
1996/Venus/


1 From Birdland To Broadway(B.Crow) 2 Share A Key(B.Crow)
3 Okay, Bug(C Leggio) 4 News From Blueport(B.Crow)
5 Autumn Leaves 6 Fools Rush In
7 Just Friends 8 Tricrotism(O.Pettiford)
9 My Funny Valentine 10 Night Lights(G.mulligan)
11 Broadway    


発売時に「買わなきゃ」と思ってそのままになってしまったアルバムも数多いです。
ビル・クロウ(b)の初リーダー・アルバムになる今作もそんな中の1枚です。
ジェリー・マリガン・カルテットやスタン・ゲッツ等と共演、西海岸の名ベーシストの一人です。
目立たず騒がすの地味なベーシストですが安定感十分の演奏で知られています。

ビル・クロウが書いた名著「さよならバードランド」を村上春樹氏が翻訳しました。
そんな関係でしょうか・・・解説をその村上氏が書いています。
CDの定価が3600円というのも高いけど・・・。

全11曲はクロウのオリジナル3曲とその他8曲の構成です。
選曲が中々に興味深いですね。
尊敬するオスカー・ペティフォード(b)とジェリー・マリガン(bs)が1曲づつ含まれています。
お馴染みのスタンダードが選ばれているのも嬉しい。
肩の凝らないジャズ・アルバムはいかにも穏やかなクロウの持ち味そのものです。

共演者ではカーメン・レッジオ(ts)の名前が珍しいと思います。
レッジオはベニー・グッドマンやメイナード・ファーガソンのグループで活躍。
男性的なトーンの持ち主ですがここではムード溢れる演奏が聴けました。
デヴィッド・ジョーンズ(ds)は所見ですがローカル・ミュージシャンの一人で露出度は少ないです。
ジョー・コーン(g)は著名なサックス奏者、アル・コーンの息子です。
近年はハリー・アレン・グループで活躍しています。

(くつろぎ系)

このメンバーのアルバムはもう一枚出ています。
取りあえず2枚揃ったのでホッとしました。

*BILL CROW QUARTET / JAZZ ANECDOTES
bill crow(b), carmen leggio(ts), joe cohn(g), david jones(ds)
1997/Venus/



(707) CORY WEEDS QUARTET / CONDITION BLUE
The Music Of Jackie McLean

cory weeds(as),
mike ledonne(org), peter bernstein(g), joe farnsworth(ds)
2015/Cellar Live/


1 CONDITION BLUE (J.McLean) 2 SLUMBER (L.Morgan)
3 CAPUCHIN SWING (J.McLean) 4 MY OLD FLAME (S.Coslow)
5 'SNUFF (J.McLean) 6 MARILYN'S DILEMMA (B.Higgins)
7 DAS DAT (J.McLean) 8 JACKNIFE (C.Tolliver)
9 BLUESANOVA (L.Morgan) 10 BLUES IN A JIFF (S.Clark)


コリー・ウィーズ(as)は所見、バックのオルガン・トリオとジャッキー・マクリーンの名前に惹かれました。
マイク・ルドン(org)、ピーター・バーンステイン(g)、ジョー・ファーンズワーズ(ds)がメンバーです。

全10曲中スタンダードは1曲だけであとはジャズ・メンのオリジナルが並んでいます。
マクリーンが4曲、リー・モーガン2曲、ビリー・ヒギンス1曲、チャールス・トリバー1曲、ソニー・クラーク1曲です。
まぁ〜ね、そのままブルーノートの濃い香りがします。
「私と同じ時期に同じようなジャズを聴いていたんだ」と思ってついニヤリとしてしまいました。

内容にはウィーズの熱き想いが詰まっていました。
1960年前後を彷彿とさせるパワフルでエネルギッシュな演奏が聴けます。
鋭角に尖がったようなアルト・サックスの音色がたまりません。
オルガン・トリオ独特のファンキーな味わいもあります。
全体を包む”揺れ具合”が今作の最大の魅力だと思います。
私的ベストはソニー・クラークの(10)「Blues In The Jiff」です。
4ビートに乗ったブルージーな演奏がなんともカッコ良くて痺れました。

ちなみにこのコリー・ウィーズさんは「Cellar Live」のレーベル・オーナーとのことです。
今作は記念すべき100作目になりました。

(中間系)



(706) FRANCESCO CAFISO & RICCARDO ARRIGHINI TRIO
/ CONCERTO FOR MICHEL PETRUCCIANI

francesco cafiso(as),
riccardo arrighini(p), amedeo ronga(b), stefano rapicavoli(ds),
2004/Philology/


Disk1

1 Chloe Meets Gershwin 2 Why
3 Pasolini(A.Romano) 4 Our Tune
5 Hidden Joy 6 She Did It Again

Disk2
1 Brazilian Like 2 Even Mice Dance
3 Montelimar 4 You Are My Waltz
5 Cherokee(R.Noble) 6 Body And Soul(J.Green)


今年の初聴きはフランチェスコ・カフィーソ(as)に決めていました。
カフィーソは収集対象の一人です。
2枚組は中々に買いにくいですが今回ようやく入手しました。
今作はミシェル・ペトルチアーニの作品に焦点を当てたものです。
2枚組全12曲中、9曲がペトの作品、その他3曲の構成です。
2004年の録音なのでカフィーソが14歳か15歳の時の録音です。
まぁ〜、凄いです・・・天才の天才たる所以の演奏が詰まっていました。

圧倒的な存在感を放つ音が飛び出てきました。
甲高く硬質的な音色が特徴です。
突き抜けてくるというか、心に刺し込まれるような気がします。
「Cherokee」の超高速演奏、「Body And Soul」のバラード奏法も聴きどころになります。
これがライブ演奏ということを考えるとまさに驚異的というしかありません。

共演のリッカルド・アリギーニ(p)・トリオも素晴らしいです。
アリギーニ名義の作品は持っていいないのでちょっと聴いてみたくなりました。

(中間系)




(705) HARRY ALLEN & JAN LUNDGREN QUARTET / QUIETLY THERE

harry allen(ts), jan lundgren(p), hans backenroth(b), kristian leth(ds)
2014/Stunt/


1 SURE AS YOU ARE BORN 2 EMILY
3 THE SHING SEA 4 QUIETLY THERE
5 A TIME FOR LOVE 6 CINNAMON AND CLOVE
7 THE SHADOW OF YOUR SMILE 8 JUST ACHILD
9 SUICIDE IS PAINLESS


ハリー・アレン(ts)とヤン・ラングレン(p)・カルテットのジョニー・マンデル作品集です。
ジョニー・マンデルはコンポーザー、アレンジャー、トロンボーン奏者です。
1958年の映画「私は死にたくない」の楽曲を書いて注目されることになりました。
この映画には当時の人気バンドのジェリー・マリガン・セクステットも出演していました。
マンデルの代表曲は言わずと知れた「The Shadow Of Your Smile」ですね。
永遠の大スタンダード・ナンバー・・・もちろんここでも演奏されています。
(2)「Emily」や(5)「A Time For Love」もジャズ・マン好みの曲でよく耳にします。

ハリー・アレンとヤン・ラングレンとくればある程度の予想はつきます。
予想通りしっとりと落ち着いた作品で、美しいバラードが詰まっていました。
特に前述の(7)「The Shadow Of Your Smile」が素晴らしいです。
テーマ部分ではラングレンのピアノにアレンのテナーが絡み、続く二人のソロが聴きどころになります。
ラフさは微塵もなくてやや面白味には欠けるけれど実にきっちりとして真面目な作品です。
丁寧、端正な仕上がりでいかにもこの二人ならではという感じがしました。

(くつろぎ系)



(704) NIKOLETTA SZOKE / I THOUGHT ABOUT YOU

nikoletta szoke(vo),
robert lakatos(p), jozsel horvath barcza(b), jimmy wormworth(ds),
gabor bolla(ts),(3,4,8,9), strings(2,4)
2015/Gats Pro/


1 WHY DON'T YOU DO RIGHT ? (J.McCoy) 2 THE SHADOW OF YOUR SMILE (J.Mandel)
3 STOMPIN' AT THE SAVOY (B.Goodman) 4 NATURE BOY (E.Ahbez)
5 EAST OF THE SUN (B. Bowman) 6 I'VE GOT THE WORLD ON A STRING (H. Arlen)
7 IT'S ALL RIGHT WITH ME (C.Poter) 8 I THOUGHT ABOUT YOU (J.V.Heusen)
9 IF I SHOULD LOSE YOU (R.Rainger) 10 ESTATE (B.Martino)
11 OLD DEVIL MOON (B.Lane)


ハンガリー出身のニコレッタ・セーケは初見ですがヴォーカル・ファンにはすでに知られた存在のようです。
1983年生まれなので今年32歳になります。
ピアノ・トリオとテナー・サックスをバックスにしたスタンダード作品集です。

セーケは独特の節回しとコブシを持っています。
ハンガリーといえばジプシー音楽なのでその影響があるかもしれませんね。
これが一風変わった雰囲気を醸し出していて面白いです。
なまりというか、方言というか・・・変化球の曲がりが微妙でちょっと突っかかる感じがしました。
声質はクリアで可愛らしいですがジャズ度はけっこう高いと思います。
加えてバックのロバート・ラカトス・トリオがシブい演奏を聴かせてくれて、その存在感は十分です。
一番のお気に入りは崩し具合が絶妙な(5)「East Of The Sun」、(7)「It's All Right With Me」のノリにも注目。
甘さ控えめのストレートなジャズ・ヴォーカル・アルバムに仕上がりました。

(中間系)



(703) ALBERT HEATH TRIO / PHILADELPHIA BEAT

albert "tootie" heath(ds), ethan iverson(p), ben street(ds)
2015/Sunnyside/


1 BAG'S GROOVE (M.Jackson) 2 REETS AND I (B.Harris)
3 I WILL SURVIVE (F.Perren) 4 CONCORDE (J.Lewis))
5 MEMORIES OF YOU (E.Blake) 6 CON ALMA (D.Gillespie)
7 WACHET AUF (Bach) 8 BYE-YA (T.Monk)
9 EVERYTHING MUST CHANGE (B.Ighner) 10 SPEAK LOW (K.Weill)
11 PENTATONIC ETUDE (Y.Lateef) 12 BAKAI (C.Massey) 


アルバート・ヒース(ds)は1935年5月生まれ、ペンシルベニア州フィラデルフィア出身、今年で80歳になります。
ジャズ界で有名なパーシー・ヒース(b)、ジミー・ヒース(ts)のヒース3兄弟の末弟です。
次兄のジミーとは10歳の年の差があります。
並び称されるのがハンク・ジョーンズ(p)、サド・ジョーンズ(tp)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)のジョーンズ3兄弟。

アル・ヒースは50年代にJJ・ジョンソンのグループや「ジャズテット」に参加して一躍脚光を浴びることになりました。
その後現在まで第一線で活躍する稀有なドラマーの一人です。
何年か前にジミー・ヒースとのヒース・ブラザーズのライブを見に行った時に握手してもらったのを思い出しました。

今作はジャケットの鋭い目に惹かれました。
「BAD PLUS」で知られる先進のイーザン・イヴァーソン(p)に売れっ子ベーシスト、ベン・ストリートとのトリオ盤。
1曲目の「Bag's Groove」を聴いただけでぐっと引き込まれてしまいました。
ジャズの原点にあるブルース・フィーリングに溢れています。
こういう粘っこさはいかにもアメリカ的でヨーロッパのピアノ・トリオとは一線を画します。
演目はモダン・ジャズのスタンダードですが多彩なリズムで飽きさせません。
(4)「Concorde」や(9)「Everything Must Change」の雰囲気は最高です。

イヴァーソンのモンク的アプローチとストリートの安定感十分のベース・プレイも見事です。
このトリオは2年前にもアルバムを出しているようでそれも聴いてみたくなりました。

(中間系)



(702) GIANNI BASSO QUARTET

gianni basso(ts),
andrea pozza(p), luciano milanese(b), gege munan(ds),
2007/Penta Flower/


1 MISTER DU 2 MISS BO
3 FILL BOSSA 4 JACK LA MONELLA
5 TO LOVE 6 JA JAZZ
7 THREE SONG 8 SONNY SIDE
9 SVETLANA 10 OSCAR MY FRIEND


ジャンニ・バッソ(ts)のレア盤を入手しました。
バッソについては多くを語る必要はありませんね。
イタリア・ジャズ界の大御所、テナー奏者ではフランスのバルネ・ウィランと並んで知名度が高いです。
テナー・サックスならではの豪快かつ男性的なトーンは魅力があります。
朴訥でゴツゴツとした奏法も味わい深いです。

ここはアンドレア・ポッツア(p)の参加が興味深いですね。
今はイタリアの売れっ子ピアニストですが当時はまだそれほど知られていなかったと思います。
バッソの王道をいくテナー・サックスとポッツアの瑞々しいピアノが聴きどころになります。
バップにバラード、ボサノバとバッソのワン・ホーンが満喫できました。

(中間系)



(701) DON MENZA QUINTET / VERY LIVE AT GROOVY

don menza(ts), markku johansson(tp,fhn),
esko linnavalli(p), jesper lundgaardt(b), esko rosnell(ds)



1 A NIGHT IN TUNISIA(D.Gillespie) 2 MY ONE AND ONMLY LOVE(Wood/Mellin)
3 HIP POCKET(F.Strazzeri) 4 IF WE WERE IN LOVE(J.Williams))
5 BODY AND SOUL(J.Green) 6 EL CAPITANO(Menza)
7 DEXTERITY(C.Parker) 8 TRANE'S BLUES(J.Coltrane)


テナー・サックス奏者、ドン・メンザのフィンランドでのライブ盤です。
メンザは長くビックバンドで活躍していたテナー、フルート奏者ですがその実力は確かです。
豪快な音色と共に多彩な表現力を持っています。
1936年生まれ、1983年の録音時は47歳のまさに脂の乗りきっている年齢です。
今作はヘルシンキのジャズ・クラブでのライブ盤でレア盤の一枚といえるでしょうか。
トランペットとのフロント2管のクインテット編成はモダン・ジャズの王道です。
真正ハード・バップ・ジャズを聴かせてくれました。
共演者は北欧の名手達でデンマークのベーシスト、イェスパー・ルンゴーの参加も嬉しい。
ルンゴー、29歳の時です。
フィンランドのピアニストのエスコ・リンナバリは何度か耳にしたことがあります。
マルク・ヨハンソン(tp)は初見ですがその実力は十分です。
メンザとの共演でもまったく遜色はありません。

全8曲は自身のオリジナル1曲を除いてはジャズ・スタンダード7曲の構成です。
メンザのクネクネ、引きずりテナーはここでも全開で個性溢れる演奏を繰り広げています。
独特のフレージングはパワフルで刺激的、実に魅力的です。
圧倒的な存在感を放つ・・・ライブにおける真のメンザがここにいました。
圧巻はそのバラード奏法です。
特に(2)「My One And Only Love」は素晴らしいと思う。
ヨハンソンは(5)「Body And Soul」や(6)「El Capitano」が」聴きどころ。
バラードでもフューチュアーされますがしっかりとしたテクニックを持っています。
続くメンザのソロにも注目しました。
(7)のパーカー、(8)のコルトレーンはサックス奏者としては外せないところか。

楽器がよく鳴っています・・・白熱のライブ盤でお薦め。

(中間系)



(700) DAYNA STEPHENS DUO & TRIO & QUARTET & QUINTET / PEACE

dayna stephens(sax), julian lage(g),
brad mehldau(p), larry grenadier(b), eric harland(ds)
2014/Sunnyside/



1 PEACE(H.Silver) 2 I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO(Cory/Cross)
3 ZINGARO(A.C.Jobim) 4 THE GOOD LIFE(Distel/Reardon))
5 THE DUKE(D.Brubeck) 6 BROTHERS(E.Morricone)
7 DEBORAH'S THEME(E.Morricone) 8 OBLIVION(A.Piazzolla)
9 BODY AND SOUL(Green/Jeyman/Sour) 10 TWO FOR THE ROAD(H.mancini)
11  MOONGLOW(Hudson/Mills/Delange)    


気になっていたサックス奏者、ディナ・ステファンズをようやく入手しました。
実際、これほどいいとは思いませんでした。
一気に3回も聴いてしまった。
2日間で10回ほどは聴いたでしょうか。

メンバー的にも申し分ありませんね。
ブラッド・メルドー(p)、ラリー・グレナデァ(b)、エリック・ハーランド(ds)のトリオにジュリアン・レイジ(g)ですよ。

全11曲はデュオ、トリオ、カルテット、クインテットが楽しめる大徳用盤です。
スタンダード作品集ですが興味深い曲目が並んでいます。
ディナ・ステファンズにスタンダードを演奏させる。
テーマは美しいメロディ・ラインを持つ名曲ということになりますか。
狙いは見事に当たりました・・・プロデューサーのマット・ピアソンはさすがです。

ベースとのデュオ・・・(11)
ベース、ドラムスとのトリオ・・・(9)
ギター、ベースとのトリオ・・・(4)
ピアノ、ギターとのトリオ・・・(6)
ピアノ・カルテット・・・(1)、(2)
ギター・カルテット・・・(5)、(8)、(10)
クインテット・・・(3)、(7)

表題曲の(1)「Peace」はホレス・シルバーの名曲、
続くトニー・ベネットの大ヒット曲(2)「I Left My Heart In San Francisco」はメルドー・トリオがバック、
ジョビンのボサノバ(3)「Zingaro」はクインテットで、(4)「The Good Life」はレイジのギター・トリオで、
ピアソラの(8)「Oblivion」でステファンはソプラノ・サックスを使用、
哀愁の漂うメロディと共にここでのレイジには心底痺れました。
(9)「Body And Soul」はピアノ、ギターレスのトリオで演奏されます。
マンシーニの(10)「Two For The Road」も素晴らしい展開です。

何といってもステファンズの音色がいいです。
音量豊かで余裕十分、抑揚を抑えた超クールなスタイルに一発で参ってしまいました。
想像以上の大物かもしれませんね。
もっと聴いてみたいので早速一枚注文していまいました。

メルドーはさすがの演奏ですが5曲では物足りないかな・・・もう少し聴いてみたいと思いました。
ラリー・グレナディア(b)も大きくフューチュアーされる場面があるので聴きどころになります。

(中間系)




(699) TOMMY SMITH QUARTET / SPARTACUS

tommy smith(ts),
kenny barron(p), james genus(b), clarence penn(ds),
2000/Spartacus/

トミー・スミス(ts)の珍しい名前を見つけたので購入しました。
今作もまた2000年の発売時にチェックしながらそのまま忘れてしまった一枚です。
トミー・スミスは繊細でユニークな音色を持つテナー・サックス奏者です。
1980年代後半にブルーノートにも作品を残しています。
ジョン・スコフィールド(g)、エディ・ゴメス(b)、ジャック・デジョネット(ds)等との共演。
プロデュースはゲイリー・バートン(vib)でした。

全8曲はスタンダード7曲と自身のオリジナル1曲の構成です。
バックがケニー・バロン(p)・トリオ。
スタンダード作品集なんですがスミスの感性と相まってひと味違う仕上がりになっています。
繊細でか細く、テナー・サックスらしくない奏法が聴きどころの一つです。
そんな特徴がピッタリとハマったのが美しいメロディを持つ(5)「It Never Enterd My Mind」、
自作の(7)「When I'm All Alone」も良かった。
アップテンポの(6)「The Lady Is A Tramp」が一番ジャズ度が高いと思います。

端正で落ち着いた作品は深夜にBGMで流すのが一番いいような気がします。
もちろん、フューチュアーされるケニー・バロンも素晴らしい。
どんな状況にも合わせられるバロンのフレキシブルな感性には脱帽です。

(中間系)



(698) BJORN SOLLI QUINTET & SEXTET / AGROW : THE LYNGOR PROJECT VOLUME 1

bjorn vidar solli(g), seamus blake(ts,ss), ingrid jensen(tp)(3,4,8,9),
aaron parks(p), matt clohesy(b), bill stewart(ds)
2014/Lyngor/


ビヨーン・ソリと読むのかな、ノルウェー出身のギタリストです。
ここはメンバーが魅力的なので手が伸びました。
ニューヨークの最先端サックス奏者のシーマス・ブレイクと超クールなピアニストのアーロン・パークス、
それにカナダ出身の女性トランぺッターのイングリット・ジェンセンも久々に聴いてみたいと思いました。

全9曲は全てソリのオリジナルですが曲想も豊かなので飽きさせません。
変に小難しくもなく、かと言って単純でもなく、中々味わい深いアルバムに仕上がりました。

ソリは端正でクリアな響きを持ち清涼感のある演奏で、浮揚感も感じさせるので新感覚のギタリストの一人です。
ニューヨークの最先端のプレイヤーとの共演でもまったく違和感を感じさせずに溶け込んでいました。
予想通り、アーロンとシーマスのプレイも冴え渡っています。
アーロンの心に染み入るようなピアノ・タッチが素晴らしい。
シーマスはマイケル・ブレッカー(ts)を継承する存在になれるかどうか。
つくづくブレッカーの存在も大きかったと思います。
ジェンセン参加の2管フロントは3,4,8,9の4曲です。
久々に聴いたけれどだいぶ鋭角的な音色になっていました。
経験を積むほどに表現力を増して力強い演奏を聴かせてくれました。

一番のお気に入りは(6)「Rabalder」でクールなスイング感がなんとも心地良かった。
現代風ハード・バップの(1)「Windjammer」も聴きどころになります。

(中間系)




(697) YANCY KOROSSY TRIO / INDETIFICATION

yancy korossy(p), j.a.rettenbacher(b), charly antolini(ds),
1969Rec/MPS/


中古盤コーナーで見つけた一枚です。
ルーマニア出身のピアニスト、ヤンシー・キョロシーの作品。
ドイツのMPSに吹き込んだものでキョロシーの代表作になっています。
キョロシーは個性的な名前と相まってピアノ・トリオ・ファンにはよく知られた存在だと思います。

全8曲はメンバーのオリジナル3曲とスタンダード5曲の構成です。
静謐で美しいヨーロッパ・ピアノ・スタイルとは一線を画します。
ヨーロッパらしくないアグレッシブかつパーカッシブなタッチが強烈です。
飛び跳ねるようなトリッキーなアプローチが新鮮でした。

今作はなんといっても表題曲の(5)「Identification」が素晴らしい。
スピード感ある演奏が次第に熱を帯びてくる。
個性が全開・・・フリー・トーンを交えた斬新なフレーズに驚かされました。
これを聴いたら誰もキョロシーの才能を疑わないと思います。

この一枚にはキョロシーの魅力が全て詰まっています。
やはりピアノ・トリオ・ファンには見逃せない一枚だと思う。

(中間系)




(696) TERUO GOTO & JUN SATSUMA / BUT BEAUTIFUL

後藤輝夫(ts)、佐津間純(g))
2014/Kamekichi/

後藤輝夫(ts)さんと佐津間純(g)さんのデュオ作品です。
全曲、よく知られたスタンダードが並んでいます。
語りかけてくるようなしっとりとしたバラード集です。

後藤さんはオルガン入りグループの「ごめんね」を率いるソウル、ファンキーなサックス奏者。
名手の一人でこういったバラードも一級品です。
サブトーンを多用するけど感情過多にならずに比較的あっさり吹いているのがいいと思います。
デュオ作品はどうしても入れ込みが強く重たくなる傾向にあるから・・・。
佐津間さんは初見、オーソドックスで落ち着いた演奏を聴かせてくれました。
丁寧で端正な趣きはカチッとした印象を与えます。

いわゆる優等生と不良生徒の組み合わせですが心が通い合いました。
聴き味の良い作品です。

なお今作は第20回日本プロ音楽録音賞、ベストパフォーマー賞 受賞曲
「Teach Me Tonight」が収録されています。
オーディオ・ファンには気になるところかな。

(くつろぎ系)



(695) MAX IONATA QUARTET / DIECI

max ionata(ts),
luca mannutza(p), nicola muresu(b), nicola angelucci(ds),
guest : fabrizio bosso(tp)(1,2,7)
2011/Via Veneto/

先日マックス・イオナータ(ts)を久々に聴いて良かったのでもっと聴いてみたいと思いました。
今作は2011年作品、ファブリジオ・ボッソ(tp)が3曲にゲスト参加しています。
全8曲はメンバーのオリジナル7曲とその他1曲の構成です。

ジャズの王道を行くオーソドックスな作品です。
いみじくもルカ・マヌッツァ(p)の(2)「Coltrane Meets Evans」の題名がそれを表しています。
イオナータのジョン・コルトレーン(ts)にマヌッツァのビル・エヴァンス(p)です。
全体的に熱気や派手さはあまり感じないけれどクールな作品。
先述の(2)はそれぞれの実力を示したベスト・トラック。
イオナータがワン・ホーンで聴かせる5曲はどれも重厚で安定感は抜群です。
お酒を飲みながらバックにこれを流せば落ち着けると思います。

(中間系)



(694) GEORGE MRAZ & DAVID HAZELTINE TRIO / YOUR STORY

george mraz(b), david hazeltine(p), jason bown(ds)
2013/Cube Metier/


ジョージ・ムラツは1944年、当時のチェコスロバキア出身のベーシストです。
68年に渡米してバークリーに留学、今年で70歳になりました。
多分、チェコ出身のジャズ・マンとしては最も知られていると思います。
オスカー・ピーターソン(p)やトミー・フラナガン(p)に起用されたことにより有名になりました。
クラシックに裏打ちされた堅実で安定感のあるベース・テクニックには定評があります。

ピアニストのデヴィッド・ヘイゼルタインは1958年生まれ56歳です。
現在最も油の乗っているピアニストの一人と言えます。
この二人の共演盤は日本のヴィーナス盤が最初のようです。

全9曲はムラツとヘイゼルタインのオリジナルが3曲とその他6曲の構成です。
ビル・エヴァンスが2曲、バリー・ハリス1曲、スタンダード3曲の選曲のバランスも良い。
ムラツの良く伸びるベース・ラインに支えられてヘイゼルタインのピアノが冴えます。
ジェイソン・ブラウンの控え目で趣味の良いドラミングもピッタリとハマっています。
コール・ポーターの(9)「Every Time We Say Goodbye」は大好きな曲。
ヴォーカルでは聴くことが多いけどインストでは珍しい・・・特にピアノ・トリオ。
ムラツとヘイゼルタインの対比も際立っていて聴き味の良いトリオ作品に仕上がりました。
デュオに近いかも・・・天才肌の二人のプレイが楽しめる好盤です。

(中間系)




(693) JIMMY COBB QUARTET / THE ORIGINAL MOB

jimmy cobb(ds), peter bernstein(g), brad mehldau(p), john webber(b)
2014/Smoke Sessions/

ジミー・コブ(ds)は1929年、ワシントン生まれ、今年85歳になりました。
堅実なドラマーとして、ヴォーカルのバッキングの名手としても知られています。
マイルス・デイヴィス・クインテット〜ウィントン・ケリー・トリオのジャズ主流派で活躍。
ジャズの黄金期を知る貴重なドラマーの一人です。
こうして元気な姿を見られるのは嬉しい限りです。

ちなみに先頃紹介したルイス・ヘイス(77歳)よりも8歳も年上です。
怪物ロイ・へインズが1925年生まれ89歳、アル・ヒースが1935年生まれの79歳。
もうこの4人くらいしか思い浮かばなくなりました。

今作は先日のジャズ仲間の集まりでKさんが聴かせてくれました。
なんといってもブラッド・メルドー(p)の参加が目を引きます。
ギターにピーター・バーンステインの2コード楽器の組み合わせ。
オーソドックスなジョン・ウィーバー(b)とジミー・コブとの相性は抜群です。

全10曲はメンバーのオリジナル5曲にその他5曲の構成です。
超ベテランのコブと先進のメルドーのコラボレーション。
接着剤の役割がウィーバーとバーンステインというところか。
今作はピアノ・トリオ、ギター・トリオ、カルテットの3つの味わいがある徳用盤です。
1曲目の「Old Devil Moon」で早くもこのグループの魅力が全開します。
コブがリーダーならではの濃いバップ・テイスト・・・聴き易く安心感と安定感があります。
明るく爽やかなバーンステインとクールに沈み込むメルドーの対比も面白いです。
湧き出ずる魅力的なフレーズと絶妙なタッチ・・・やはりメルドーはひと味違います。
メルドーのこういう演奏は珍しいと思う。

(中間系)



(692) YUKA DEGUCHI / JUST FROM NOW

出口優日(vo)、久米雅之(ds)、
岡淳(ts)、片岡雄三(tb)、松島啓之(tp)、
佐野聡(harm)、井上智(g)、関根敏行(p)、高瀬裕(b)

2014/Kidman/

期待のヴォーカリスト、出口優日さんの初リーダー・アルバムです。
プロデュースはベテラン・ドラマーの久米雅之さん。
一般的にプロのミュージシャンが発掘、プロデュースした新人は実力者が多いです。
今回もその例に漏れず出口さんはユニークな感性と表現力を持っています。
私はヴォーカルを聴く時、まずは声質それから雰囲気を大事にしています。

1曲目の歌が流れると美しく透明感のある歌声とノスタルジックなジャズの世界に引き込まれます。
全10曲は出口さんと久米さんオリジナルとその他8曲の構成です。
サイモン&ガーファンクルの(4)とビートルズの(10)と(5)以外はあまり馴染みがない曲が多い。
知られていなくてもいい曲はいっぱいあるとのメッセージとこだわりが感じられます。
自作の(3)「虹」は日本語、久米さんの代表作の(7)「21」は出口さんが英語の詩を付けました。

久米雅之(ds)さん、高瀬裕(b)さん、関根敏行(p)さんのトリオを中心にバック陣も豪華です。
管楽器3本とギター、ハーモニカが加わります。
今作はアレンジの力も大きいです。
それぞれの曲がどうアレンジされているかも聴きどころになります。
(1)の3管、(2)、(3)のピアノ、(4)のギターとハーモニカが醸し出す雰囲気は素晴らしい。
(5)のミュート・トランペット、(6)のハーモニカ、(7)のギター、(8)のトロンボーン、
(9)のテナー・サックス、ジョージ・ハリソンの(10)はニーナ・シモンの歌が忘れられません。

出口さんは可愛らしくもあり歌も上手いです。
初アルバムでありながら堂々として端正で落ち着いた仕上がりになっています。
クリアな音作りも良かった。
将来性は十分、益々の精進を期待しています。

(くつろぎ系)




(691) LOUIS HAYES QUINTET / RETURN OF THE JAZZ COMMUNICATORS

louis hayes(ds),
steve nelson(vib), abraham burton(ts), david bryant(p), dezron douglas(b)
2014/Smoke Sessions/


ルイス・ヘイス(ds)は1937年、ミシガン州デトロイト生まれ、今年77歳になりました。
15歳でプロ入りなんて、この頃のジャズ・メンはみんな早熟です。
NYに出てホレス・シルバー・クインテット〜キャノンボール・アダレイ・クインテットに加入。
当時の絶頂期にある人気バンドで活躍しました。
ジャズの黄金期を知る貴重なドラマーの一人です。
こうして元気な姿を見られるのは嬉しい限りです。

ルイス・ヘイスの「ザ・ジャズ・コミュニケイターズ」というのは知りませんでした。
1967年に結成されたそうです。
メンバーはフレディ・ハバード(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ケニー・バロン(p)、
ハービー・ルイス(b)、ルイス・ヘイス(ds)という垂涎ものの組み合わせです。
ジャズにとっては厳しい時代、残念ながらレコーディングの機会はなかったようです。

ハード・バップ・バンドの一般的な組み合わせはトランペット&サックスですね。
ここではスティーブ・ネルソンのヴァイブ入りが新味です。
全11曲には昨年相次いで亡くなったマルグリュー・ミラーとシダー・ウォルトンの曲もあります。

ライブ盤なんだけど内容は思ったよりずっと大人しくてスマートだったです。
メンバーが高齢のルイに気を遣ったのかもしれませんね。
それぞれのオリジナル、スティーブ・ネルソン(vib)の(2)「Shape Shifting」、
エイブラハム・バートン(ts)の(6)「It's To You」がいい感じで聴きどころになりました。
ベストはバラードの(10)「Portrait Of Jennie」でバートンのテナーが心に沁みた。
ピアノのデヴィット・ブライアント、ポール・チェンバース張りのデズロン・ダグラス(b)にも注目しました。

(中間系)




(690) YELENA ECKEMOFF QUINTET / A TOUCH OF RADIANCE

yelena eckmoff(p), mark turner(ts),
joe locke(vib), george mraz(b), billy hart(ds)
2014/L&H/


エレナ・エケモフは初見、ロシア、モスクワ出身のピアニストです。
エケモフは以前気になった作品もあったけれど、その時はパスしてしまいました。
今作はメンバー構成に引かれたところがあります。
マーク・ターナー(ts)にジョー・ロック(vib)、ジョージ・ムラツ(b)にビリー・ハート(ds)です。
ちょっと面白そうと思いました。

全10曲は全て自身のオリジナルです。
エケモフには独特の音楽観がありました。
どんよりと曇ったモスクワの空・・・暗く冷たいよどんだ空気を感じさせた。
しかしそんなモノトーンを背景に端正で透明感のあるソロが乗ります。
そのコントラストが幻想的な場面を生み、それが最大の魅力だと思います。
マーク・ターナーの飛び跳ねる浮揚感のあるテナー、ジョー・ロックのひと癖あるクリスタルなヴァイブ。
ジョージ・ムラツとビリー・ハートは一見バラバラのようでありながら絶妙なリズムを刻みます。
エケモフの雨音のような清冽で美しいピアノも素晴らしいです。
私的ベストは(9)「Encouragement」です。
絡み合う楽器はまるでクルクルと踊っているように聴こえました。

今作はエケモフのコンポーザーとしての実力も聴きどころになります。
ここには計算された10枚の絵、あるいは一連の時間の流れを感じさせる映像がありました。
どれを聴いても心地良いです。
落ち着いた一日の終わりを演出するには最適なアルバムだと思います。

(まじめ系)




(689) NIR NAAMAN QUARTET & QUINTET / INDEPENDENCE

nir naaman(ts,as,ss), marcus printup(tp)(1,8,10)
geroge cables(p)(1,3,5,6,8,9,10), roy assaf(p)(2,4,7)
dezron douglas(b),
gregory hutchinson(ds)(1,3,5,8,10), ulysses owens jr(ds)(2,4,6,7)
2014/Naaman/

ニア・ナーマンは初見、イスラエル出身の新進テナー・マンです。
近年、ジャズ・シーンではイスラエル出身のジャズ・メンの活躍が目覚ましい。
ここは共演者に引かれたところがあります。
ジョージ・ケイブルス(p)とマーカス・プリンタップ(tp)です。
普段演っているのはロイ・アサフ(p)、デズロン・ダグラス(b)、ユリシス・オウエンス(ds)あたりか。
つまり2セットの演奏が聴けるお徳用盤なんです。
注目のベーシスト、デズロン・ダグラスは先週のルイス・ヘイス盤に続いての登場です。

今作のキーはジョージ・ケイブルス(p)の参加にあると思います。
ナーマンはケイブルスとの共演を強く望んだのかな。
経験豊かなケイブルスがプロデュースしているのでソツがありません。
全10曲中、7曲が自身のオリジナルでその他3曲の構成です。
2曲のスタンダードと母国イスラエルの曲が入りました。
よく考えられた選曲と並びになっていて興味深いです。
さらに曲によってメンバーを変え、曲想も豊かで飽きさせません。

ナーマンはやさしくてやわらかな音色の持ち主です。
根っこにバップ・テイストやジョン・コルトレーンがいるので安心感もありました。
ベストは(3)「Eshai Elohai」で中近東サウンドが色濃く出ました。
クインテットによるバップ風ブルース、(1)「Ohali blues」からスタート、
スタンダードの(4)「The Very Thought Of You」、(9)「Polka Dots And Moonbeams」はバラード、
(5)「Dilemma」の疾走感、コルトレーン風味の(6)「Fall」も聴きどころになりました。
バックのケイブルスのノリと切れ味は抜群で随所でメリハリのある演奏が聴けました。
ナーマンと同じイスラエル出身のピアニスト、ロイ・アッサフにも注目です。
面白いのはベテランのケイブルスのほうが若いアッサフよりずっと激しかったことです。

(中間系)



(688) WALT WEISKOPH SEXTET / OVERDRIVE

walt weiskoph(ts), behn gillece(vib), yotam silberstein(g),
peter zak(p), david wong(b), donald edwards(ds)
2014/Positone/


好漢ウォルト・ワイスコフ(ts)の新譜です。
ストレートなハード・バッパーのワイスコフを聴くのも久し振りです。
師匠格はルー・タバキン(ts)と秋吉敏子(p)さん。
若い頃にトシコ&タバキン・ビック・バンドで腕を磨いた逸材です。

リーダー作を買ったのはほぼ10年ぶりです。
ここはメンバー構成が面白いと思いました。
3コード楽器・・・ヴァイブ+ギター+ピアノの組み合わせは珍しいですね。
どんな風にまとめているのか?に興味がありました。
聴いてみるとやはり3つが絡むというのはなかったです。
曲によりバックが変化します。
全10曲はミシェル・ルグランの1曲を除いては全て自身のオリジナルです。

表題の「Over Drive」通りにドライブ感溢れる演奏が聴けました。
突っ走る演奏を聴いていると実に気持が良く、もちろんコンテンポラリーな雰囲気も持っています。
全体的にリズムがはっきりとしてメリハリの効いた演奏です。
アンサンブルやハーモニーにも興味があるようなのでいずれ大編成にも挑戦するかもしれませんね。
私的ベスト・トラックは(7)「Four Horsemen」で4ビートの疾走感が素晴らしいです。
オリジナルが続くのでルグランの(9)でホッとしました。


(中間系)




(687) VIKTORIA TOLSTOY / BLAME IT ON MY YOUTH

viktoria tolstoy(vo),
jacob karlzon(p), mattias svensson(b), rasmus kihlberg(ds)
2001/EMI/

今作もまた先日の中古盤漁りで見つけた一枚です。
ヴィクトリア・トルストイの2001年作品。
発売時に話題になりましたが買うまでは至らなかった。
ジャケ買い・・・美形に見つめられると弱い。
ジーンズにTシャツのシンプルながら抜群のプロポーション。
余計なお世話ですが10年以上経過した今でもこの体系を保っているのかな。

彼女は文豪レオ・トルストイを曾祖父に持つスウェーデン出身の歌手。
語りを含めた独特の歌唱法を持っています。
メロディはあまり重視していません。
私はジミー・スコットの影響が強いと思いました。
ややワン・パターンではあるけれどジャズ度は高いです。
選曲も中々に興味深く、感情を抑えたクールなサウンドが広がります。
BGMで流していてもジャズ好きには案外にしっくりきました。
ベストはそんな中で唯一熱気を感じる「Summer Night」です。
ヤコブ・カールソンのピアノ・プレイにも注目。

なお(11)、(12)は日本盤のみのボーナス・トラックです。
全体を通してバックのヤコブ・カールソン・トリオが素晴らしい。
話題先行型を予想しましたが予想したよりもずっといいと思いました。

(くつろぎ系)



(686) JUNJI HIROSE & SOUND OF JAZZ / GRATITUDE

広瀬潤次(ds)、
太田朱美(fl)、堀秀彰(p)、本川悠平(b)

2012/BQ/


ベテラン・ドラマーの広瀬潤次さんの初リーダー・アルバムです。
広瀬さんは日本のハード・バップ・シーンには欠かせないドラマーの一人だと思います。
好センスでスマート、相手なりに合わせるフレキシブルなスタイルの持ち主です。
繊細で柔らかなドラミング・・・その心地良いスイング感には女性ファンも多い。
表題の「GRATITUDE」もいかにも広瀬さんらしい奥ゆかしさです。

今作はそんな広瀬さんが率いる「SOund of JAzZ」の作品で、もう結成5年目になるそうです。
メンバー構成もよく考えられていて魅力的ですね。
いまひとつ層の薄い日本フルート界に颯爽と現れたユニークな太田朱美さんをフロントに配し、
ピアノには幅広い音楽性を持つ華麗な堀秀彰さん、ベーシストは真っ黒な感覚の本川悠平さんです。

全9曲は全て広瀬さん自身のオリジナルです。
ここは「SOund of JAzZ」の名前通りにサウンドとリズムが最大の魅力だと思います。
なにしろ気持が良くて一気に一枚が通り過ぎていく感じがしました。
4者が一体となって繰り広げるスイング感と疾走感が素晴らしいです。
私的ベストは印象的なテーマを持つ(2)「Swing Like Monk」でスリル満点、
最後を飾る流麗で美しい(9)「The Happiest Day」も良かった。
各所で存在感を見せる本川さんのベース・プレイが聴きどころです。
広瀬さんと本川さんの相性がいいなぁ〜。
改めてジャズにおけるリズム・セクションがいかに大事かを再認識させてくれました。

(中間系)




(685) JOHNATHAN BLAKE QUARTET / GONE, BUT NOT FORGOTTEN

johnathan blake(ds),
chris potter(ts,afl), mark turner(ts,ss), ben street(b)
2014/Criss Cross/


ここはメンバー構成が魅力。
現代テナーの雄、クリス・ポッターとマーク・ターナーの組み合わせは見逃せない。
リーダーは先進のドラマーの一人、ジョナサン・ブレイクです。
ピアノ、ギターレスのカルテット編成。
テナー2人のガチンコ勝負が聴きどころで硬質で重量級なのは覚悟していました。

全11曲は自身のオリジナル2曲とその他9曲の構成です。
いわゆるスタンダードは1曲もありません。
最も二人の特徴が出たのは(1)「Cryin' Blues」だと思います。
エディ・ハリス(ts)の作品でファンキー&ソウルなブルース曲です。
いくら先進のテナー奏者でもその根っこにはファンキー&ソウル&ブルースがある。
ユニゾンでテーマが示され、先行はクリス・ポッター・・・熱くスリリングなソロが展開されます。
続くマーク・ターナーはクールで浮揚感のあるソロを展開して二人の特徴が際立ちます。
シダー・ウォルトン(p)のバップの名曲(2)「Firm Roots」ではターナーが先行、ポッターが続く。
(3)「Maracas Beach」は美しいテーマを持つラテン調・・・ここではポッターのアルト・フルートが聴けます。
(5)「Broski」は急速調、ストレートな展開の(8)「New Wheels」、(9)「Anysha」はバラードです。
(10)「The Shadower」はドラム・ソロ、重厚なブルース曲(11)「Two For The Blues」で閉じる。

つかみどころがない茫洋としたターナーのテナーと切れ味鋭く踏み込んでくるポッターのテナー。
対照的で持ち味の違う二人の相性は抜群です。
バックを支えるブレイクのドラミングも多彩・・・選曲も変化に富んでいて飽きさせません。
そんな中での私的ベスト・トラックはジム・ホール(g)の(4)「All Across The City」です。
バラード・・・切なく響くのテーマと続くテナー・ソロがなんとも心に沁みました。
どことなく懐かしさを感じるテーマを持つブレイクのオリジナル(6)「Born Yesterday」も良かった。
ここではターナーのソプラノ・サックスとベン・ストリート(b)もフューチュアーされます。
基本的にドラマーの書く曲は美しくやさしいのはここでも証明されました。
(7)「Circle Dance」・・・題名どおりクルクルと回転するように舞う曲想が面白かった。
ポール・モチアン(ds)の曲ですがブレイクが尊敬しているのがよく分かりますね。

絡み合うテナー・サックス・・・二人の個性が相まって興味深い作品に仕上がったと思います。
最近はこれほど真面目に向き合った作品はなかった。
いつも聴きやすいものばかりだったから・・・。

(まじめ系)



(684) STEVE GROSSMAN QUARTET / LOVE IS THE THING

steve grossman(ts),
cedar walton(p), david williams(b), billy higgins(ds)
1985/Red/


今作もまた先日の中古盤漁りで見つけた一枚です。
スティーヴ・グロスマンも一時期よく聴いていました。
20歳ソコソコでマイルス・デイビスに見出された天才肌のテナー奏者です。
グロスマンの根っこにはソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンがいます。
この二人はジャズの王道・・・実にオーソドックスなスタイルの持ち主です。
グロスマンの作品はけっこう聴きましたが選曲はバップの名曲とスタンダードが多い。
いつもストレートな真っ向勝負、変化球はないので思い切りの良さが光ります。

グロスマンのアルバムは10枚以上持っています。
枚数も10枚以上にもなると意識的に集めているということになるでしょうね。
私には何人くらいいるだろうか?・・・ちょっと気になってしまった。
20人〜30人というところかな。

グロスマンの作品はワン・ホーン・カルテットとピアノレス・トリオが多いです。
トリオもいいですが特に私はカルテットで共演しているピアニストに興味があります。
バリー・ハリス、マッコイ・タイナー、ミシェル・ペトルチアーニ、本田竹広など。
珍しいところではヒュー・ローソンなんて名前も出てきます。
これはいずれまとめてプログに掲載しようかと思っています。

さてここでの共演ピアニストはシダー・ウォルトンです。
内容は言うまでもなく申し分ありません。
選曲もお決まりのバップの名曲とスタンダードです。
グロスマンは1985年〜1995年にひとつのピークを迎えています。
ウォルトンをバックに朗々としたテナー・サウンドを聴かせてくれました。

(中間系)




(683) JAKOB DINESEN QUARTET / P.S.I LOVE YOU

jakob dinesen(ts),
darin pantookomol(p), anders ac christensen(b), jakob hoyer(ds),
per mollehoj(g), hugo rasmussen(b), magnus hiorth(p)(6)
2014/Cloud/Stunt/


デンマークを代表するテナー奏者、ヤコブ・ディネセンのバラード作品集です。
2003年のカート・ローゼンウィンケル(g)との共演盤はベスト3に上げました。
それから早10年が過ぎ、「どんな感じになったのか?」・・・楽しみにトレイに乗せました。
音数は少なく静かにグッと凝縮されてはいるけれど根っこには熱い思いが溢れています。
これが思わぬ緊張感を生んでひと味違うバラード・アルバムになっています。

全9曲はよく知られたスタンダード4曲に自身のオリジナル4曲、その他1曲の構成です。
クールでビブラートを効かせた奏法はスタン・ゲッツやベン・ウェブスターの影を感じます。
でもディネセンのルーツはジョン・コルトレーン〜ウェイン・ショーターにあるのでよりモダンな展開。
ピアノとの共演が1、3、5、6、7、9の6曲、ギターが2、4、8の3曲、曲によりストリングスも入っています。
日本盤のみのボーナス・トラックが(6)のマグナス・ヨルト(p)との共演です。
ボーナス・トラックが真ん中に入っているのも珍しいですね。

共演のダリン・パントゥコモルはタイのピアニストでディネセンと意気投合したとのこと。
付かず離れず、でも寄り添うように・・・見事な間合いと絶妙なタイミングを持っています。
ディネセンがデュオ・アルバムを出したいと思ったのも当然ですね。
表題曲の(4)「P.S. I Love You」や(7)「Tenderly」が良かった。
自作の(2)「Yasmin」は「バークリースクエアのナイチンゲール」のテーマが入っていました。
ギターやストリングスの効果も抜群で極上のテナー・サックス・バラードを楽しめる逸品です。

(中間系)



(682) CHIE NISHIMURA / MY IDEAL

西村知恵(vo)、
高瀬龍一(tp)、大山日出男(as)、
続木徹(p)、高瀬裕(b)、小山太郎(ds)

2014/EN/

今、巷で話題の西村知恵(vo)さんを聴いてみました。
「彗星のごとく現れた」とありますが一度は挫折を味わっているようです。
鹿児島出身、2000年に上京するも音楽活動を中止したとあります。
ジャケットでは若く見えるのでまったくの新人なのかと思ってしまいました。

西村さんのデビュー作は全12曲のスタンダード作品集です。
アレンジャーはクールなトランペッターの高瀬龍一さん。
このアレンジが良くてバックのクインテットとのアンサンブルが最大の魅力です。
特に高瀬さんと大山日出男さんとのユニゾンやハーモニーが新味で聴きどころになりました。
つまり西村さんのボーカルが楽器の一部として参加している感じがします。
アレンジの効果が抜群なので危うい部分もあるけれど全体的に適度な緊張感に包まれています。
つまりまったく自由に歌わせてもらえるわけではないんです。
ボーカル・アルバムとしては一味違っていて実に新鮮です。

西村さんの実力は十分です。
声質はやさしく、やわらかく、まろやかで申し分ありません。
根っこにはエラ・フィッツジェラルド(vo)がいるので安心感もあります。
私は1曲目の「Left Alone」でぐっと引き込まれてしまいました。
まじめ系で渋めのベテラン・ジャズ・メンを起用してどこか懐かしい味わいもあります。
バックの高瀬さんのトランペット、大山さんのアルト、続木徹さんのピアノにも注目しました。
「Very Cool」・・・しっとりとした仕上がりで、このジャズ・テイストがたまりません。
(2)「Just Friends」、(4)「Lullaby Of Birdland」、(7)「I Can't Give You Anything But Love」、
(10)「The Very Thought Of You」ではスイング感溢れる歌と演奏が聴けます。
アップ・テンポはもちろんですがバラードも良いです。
上記の(1)「Left Alone」や表題曲の(6)「MY Ideal」、(5)「It Never Entered My Mind」、
(8)「Yesterdays」など、特に(12)「My One And Only Love」はピアノ・トリオでじっくり聴かせる。

ジャズ・ヴォーカリストは40を過ぎてからが味が出ます。
西村さんの将来性は十分だと思います。

このアルバムを聴いてくださるあなたとのかけがいのない出会い、
そして私を支えてくださった方々との一期一会の出会い、
あふれ出る感謝を全ての曲に込めて、
--chie--

(中間系)




(681) HARRY ALLEN QUARTET / LIVE AT RENOUF'S

harry allen(ts),
john colianni(p), phikl flanigan(b), duffy jackson(ds)
1996/Mastermix/


先日の中古盤漁りで出会いました。
ジャケットの微笑ましさといい、なぜ発売時に見逃したのかと不思議でした。
思うにマイナー・レーベルということとバックが今ひとつ地味だったからかも知れません。
もっともハリー・アレンは多作家でもあり、ここまで手が回らなかったのかな。
ハリーの作品は企画ものが多いですがこのような自然体の作品は少ないと思います。
それもライブ盤なんてね、実に貴重です。

スタンダード作品集ですが、ここはまた曲目が良いです。
もうもう大好きな(6)「Every Time We Say Goodbye」をはじめ、(1)「In A Mellotone」、
(3)「A Nightingale Sang In Berkeley Square」、(4)「The Shadow Of Your Smile」も入っている。
収録時間が75分強の大徳用盤。
名手ハリー・アレンのテナー・サックスを満喫しました。
ジョン・コリアーニのピアノがまた渋いんだなぁ〜。

(中間系)



(680) SOPHIE MILMAN / IN THE MOONLIGHT

sophie milman(vo),
kevin hays(p), larry grenadier(b), lewis nash(ds),
gelald clayton(p)(1,13), gregoire maret(harmonica)(3,13),
romero lumanbo(g)(3,6), julian lage(g)(4,5,8,9,11),
gil goldstein(accordion)(5,8,9), randy brecker(tp)(6,12),
cris potter(ts)(10), etc
2011/Eone/


疲れてくると女性ヴォーカルが聴きたくなります。
人の声は心に直接響いてくるから癒し系にはちょうどいいです。
特にヴォーカルには絶対的な好みがあると思います。
声質や歌い方が自分の感性に合わないとダメなんです。

私にとってカナダのソフィー・ミルマンは波長が合う女性ヴォーカリストの一人です。
2004年に発売された本邦デビュー盤は今でも車のHDDに入れて愛聴しています。
久々に新しいのが聴きたくなって買いました。

今作のプロデュースはマット・ピアソン。
このプロデューサーの存在が大きいと思います。
バック・ミュージシャンを見れば一目瞭然ですね。
ケヴィン・ヘイズ(p)、ラリー・グレナディア(b)、ルイス・ナッシュ(ds)が中心です。
特にドラマーに好センスなルイス・ナッシュを起用したところにその意志を感じました。
ゲストにも魅力的なミュージシャンが揃いました。
先進のクリス・ポッター(ts)、ジュリアン・レイジ(g)、
伝統的なロメロ・ルマンボ(g)、ランディ・ブレッカー(tp)などが参加しています。

今作は各曲のアレンジも聴きどころで全体的にサウンドのバランスが素晴らしいです。
個人的にはマレットのハーモニカやゴールドステインのアコーディオン入りが新味でした。
(3)、(5)、(8)、(9)、(13)など、切ない感じがまた憎い味付けになっています。
特にフランス語で歌われた(8)「CES PETITS RIENS」は秀逸です。
その他(1)、(4)、(7)などのよく知られたスタンダードも聴き味が良くて選曲もよく考えられています。

(くつろぎ系)




(679) ART FARMER QUINTET / THE TIME AND THE PLACE

art farmer(tp), jimmy heath(ts),
cedar walton(p), walter booker(b), micky roker(ds)
1967/Columbia/


今作も再発廉価盤の一枚です。
コロンビアは最後に残ったジャズのメジャー・レーベルだと思います。
ついに廉価盤発売に踏み切りました・・・ここもまた珍盤、貴重盤の宝庫ですね
アート・ファーマーの今作はCD化を待ち望んでいた一枚です。
ほとんど話題にはならなかったけど、LPでは愛聴していた大好きなアルバムでした。
当時のファーマーらしくない作品です。
リリカルでクールなファーマーをイメージするとまったく違う姿がここにあります。
リズミカルでファンキー・・・ジャズ・ロックと呼ばれる一連の作品群に含まれます。
大ヒットを飛ばしたリー・モーガンやフレディ・ハバートを意識した企画盤でしょうね。

ここはジミー・ヒースが素晴らしいと思いました・・・このノリが最高です。
私はジョニー・グリフィンと共に「もう一人のリトル・ジャイアント」と呼んでいます。
作編曲能力にも秀でていて、ここでも表題曲を始めとして2曲を提供しています。
選曲も変化に富んでいて興味深い構成になっています。
特に映画の主題歌の(7)「On The Trail」はとても楽しく聴けました。
軽快な(2)「The Shadow Of Your Smile」も聴きどころです。
内容もファーマー、ヒース、ウォルトンの絶好調時の演奏が収められています。

原田和典さんの解説で謎が解けました。
このCDが欲しいと思って探していた時にジャケットは同じなのにピアニストが違うんですね。
シダー・ウォルトンじゃなくてアルバート・デイリーでした。
それがどうしても不思議だったんです。
最初デイリーで出そうとしたけど不発、その時点でジャケットも出来ていたので録り直し。
今作はスタジオ録音で拍手は重ねたものらしい。
内幕を聞くと興醒めなんだけど、単純に聴けば内容は素晴らしいと思います。

(くつろぎ系)



(678) EDDY LOUISS & MICHEL PETRUCCIANI / CONFERENCE DE PRESSE Vol.2

eddy louiss(org), michel petrucciani(p)
1995/Dreyfus/


ミシェル・ペトルチアーニ(p)は収集対象の一人です。
CD枚数ではエリック・アレキサンダー(ts)に次いで多いと思います。
この何年かでも最も数多く聴いたピアニストになります。
車の中でもしょっちゅう聴いているし・・・。
この強靭さ、この粘っこさはまさにペトのワン・アンド・オンリーの世界。
なんとも言えない・・・まったく素晴らしいピアノです。

今作は好評を博したエディ・ルイス(org)とのデュオ・ライブ作品の「Vol.2」です。
(1)、(3)、(8)など、ペトの愛奏曲が並んでいますね。
エディの好演もあって雰囲気抜群のライブ盤はつくづく名盤だと思います。
「Vol.2」がこんなに良いって詐欺じゃないのか?
取りあえず「1枚でもいいや」と思ってたけど、とんでもなかった。

(中間系)


ちなみに「Vol.1」はこれです。↓

*EDDY LOUISS & MICHEL PETRUCCIANI / CONFERENCE DE PRESSE

michel petrucciani(p), eddy louiss(org)

1994/Dreyfus/

ピアノとオルガンの組み合わせも珍しいですが強烈な印象を残します。
エディとペトのコンビネーションが聴きどころ。

「Les Grelots」、「All The Things You Are」、
「So What」、「These Foolish Things」などが聴けます。



(677) RICHARD GLASER TRIO / MEETS "THE LEGEND" CLARENCE WEBB

clarence webb(ts),
richard claser(p), geoff rakness(b), mark san filippo(ds)
2013//


ジャケ買い・・・雰囲気を感じた。
「Legend」という言葉にも弱いけど・・・。
渋みのあるオーソドックスなジャズが聴けると思いました。
リチャード・グラサー(p)、クラレンス・ウエッブ(ts)共に初見です。
両者共にロサンジェルスを中心に活躍しているタウン・ミュージシャンのようです。
ほとんどその地を動かないので全国区ではないけれど隠れた名手はたくさんいます。
西海岸のテナー奏者といえばテディ・ウィルソンやハロルド・ランドを思い出しました。

内容は予想通り渋々でした。
ウェッブの音色は野太くソウル色に溢れていて味わい深いです。
飛び跳ねるスイング感を持つホンキー・トンクな流れも感じました。
トツトツとしたスタイルはデクスター・ゴードンやベン・ウエブスターに通じるところがあります。
選曲もスタンダードやバップの名曲が並んでいて楽しめました。
特にバラード奏法がいいと思う。
じっくりと聴かせる(4)「Who I Can Turn To ?」がベスト・トラック・・・これには痺れました。
(7)「The Good Life」や(3)「I Could Write A Book」も聴きどころです。

(くつろぎ系)




(676) ATTILA ZOLLER / GYPSY CRY

attila zoller(g),
herbie hancock(p,elp), victor gaskin(b), reggie workman(b),
lew tabakin(tarogato)
1969Rec/Embryo/


ハンガリー生まれのギタリスト、
アッティラ・ゾラーのユニークな個性をたっぷり味わうことのできるアルバム。
ハンガリアン・フォークのメロディを借りたタイトル曲「ジプシー・クライ」をはじめ、
東欧のエキゾチックな感性が生み出してゆくオリジナルの数々。
はてはフリー・ジャズにもアプローチをみせた「ミート・イン・ベルリン」など、
多彩なサウンド・カラーの中にゾラーのアイデンティティが見事に凝縮されている。
録音から40年以上が経過した今でもまったく色褪せない。
(帯中よりの抜粋)

今作も再発廉価盤の一枚です。
帯中の解説が良かったのでそのまま転載しました。
ゾラーを知ったのはハービー・マン(fl)のアルバムです。
その個性的で存在感のあるギター・プレイに注目していました。
ハービー・マンは最もポピュラーなジャズ・マンですがゾラーはフリー・ジャズまで突っ込んでいます。
つまり両極端の音楽性を持つ特異なギタリストと言えます。
そんなゾラーが残した代表作です。

ここは共演者も面白いですね。
ハービー・ハンコック(p,elp)、レジー・ワークマン(b)といった当時の先進のプレイヤー、
ルー・タバキンはタロガトーと呼ばれるハンガリーのリード楽器を駆使して
独特のサウンドを生み出しています。

(中間系)



(675) MAX IONATE QUARTET / INSPIRATION LIVE

max ionata(ts,ss),
luca mannutza(p), guiseppe bassi(b), nicola angelucci(ds)
2014/Albore/


イタリアのマックス・イオナータ(ts)を聴くのも久し振りです。
イオナータは艶のある美しい音色を持っています。
よどみないフレージングで表現力も豊か・・・現代テナーの名手の一人です。
ジョン・コルトレーンとスタン・ゲッツのミックス・タイプ。
普通はどちらかに片寄るものですが上手に使い分けています。

ヨーロッパのテナー奏者といえば、まずフランスのバルネ・ウィラン、
それにイタリアのジャンニ・バッソが思い浮かびます。
イオナータがこのまま順調に活躍していけばそれに続くような可能性もありますね。
それほどに素晴らしいテナー奏者だと思います。

全8曲はメンバーのオリジナル4曲とその他4曲の構成です。
オーネット・コールマンの(6)「When Will The Blues Leave」が目を引きました。
イオナータは達者なソプラノ・サックスを披露しますが実にスムーズに展開します。
オリジナルでは凝ったテーマを持つ(2)「Blue Art」、バラードの(5)「Luiza」も聴きどころ。
これがライブ盤ということを考えると小憎らしいほどの落ち着きとスマートさです。
バックの好演も特筆もので特にルカ・マヌッツァのピアノにも注目しました。

(中間系)



(674) NEW CENTURY JAZZ QUINTET / TIME IS NOW

benny benack(tp), tim green(ts),
大林武司(p), 中村恭士(b), ulysses owens jr(ds)
special guest : michael dease(tb)
2014/Spice Of Life/


新進気鋭の「New Century Jazz Quintet」が登場しました。
ちょうど活きの良いグループ・サウンズ・ジャズが聴きたかったのでピッタリとハマった。
1曲目のベース音が出た途端に「これだよ、こでなくちゃいけない」と嬉しくなりました。
中心は期待のユリシス・オーエンス(ds)と大林武司(p)さんのようですね。

全10曲はメンバーのオリジナル7曲にその他3曲の構成です。
注目すべきはマルグリュー・ミラー(p)の曲(2)を取り上げていることです。
大林さんの狙いがミラーとなれば明らかに「ジャズ・メッセンジャーズ」の流れ、
さらに80年代の「テレンス・ブランチャード&ドナルド・ハリソン・クインテット」にも繋がっています。
そのブランチャード&ハリソンの曲は(9)で聴くことができました。

フロント2管&3管編成・・・全体を通して居心地の良いサウンドが聴けました。
リズム感がハッキリとしているので安心感、安定感があります。
ピアノ〜ベース〜ドラムスのリズム・セクションが実に魅力的です。
さらにアンサンブルやハーモニーが洗練されていて美しい。
アレンジが良く、計算されています。
私的ベストは前述のブランチャード&ハリソンの曲(9)とミラーの曲(2)です。
中村さんのアルコ・プレイから始まるバラードの(7)も聴きどころ。
これらを聴けば誰もこのグループの実力を疑わないと思います。
まさしく現代のハード・バップ・サウンドがここにありました。

デビュー作とは思えないまとまりで完成度は高いです。
この7月に早くも来日公演が予定されていますが時間が取れずに残念でした。
”見逃した魚は大きい”という感じがする。
早くも次作が楽しみなグループです。

(中間系)



(673) JEFF HACKWORTH QUARTET / SOUL TO GO !

jeff hackworth(ts),
ed cherry(g), radam schwartz(org), vince ector(ds)
2013/Big Bridge/


ジェフ・ハックワーズ(ts)は初見、「Soul To Go」の題名に引かれました。
久々にソウル・ジャズが聴きたかった。
バックがオルガン・トリオなら申し分なく、内容もほぼ予想がつきますね。

全9曲は自身のオリジナル4曲とその他5曲の構成です。
もう少しゴリゴリを期待したけど思ったよりスマートでストレートなソウル・ジャズでした。
ハックワーズのテナーは耳触りが良く、ソフトでクールな印象です。
ファンキー度はあまり感じないけれど心地良いスイング感とソウル感が持ち味です。
私的ベストはトレーンの(4)「Wise One」でバラードの(6)「Little Girl Blues」も聴きどころ。
雰囲気十分で大いにリラックス出来ました。

ギターのエド・チェリーとオルガンのラダム・シュワルツは以前聴いたことがあります。
前者はハミエット・ブルーイエット(bs)で後者はラッセル・ガン(tp)のアルバムでした。
特にここではエド・チェリーに注目しました。
ソウル&ブルージーでこういった作品にはぴったりハマる。
キッチリとしたギター・プレイが魅力で実に良い味を出しています。
今までまったくのノーマークだったけれど見直しました。

(くつろぎ系)




(672) CEDAR WALTON QUARTET / SECOND SET

cedar walton(p),
bob berg(ts), sam jones(b), billy higgins(ds)
1977Rec/SteepleChase/


中古盤コーナーで見つけました。
去年シダー・ウォルトンが亡くなったので手が伸びました。
メンバーはもう一人も残っていないんですねぇ〜・・・感慨深いです。
ウォルトン・トリオにボブ・バーグ(ts)が加わった新生カルテットのライブ盤3枚のうちの一枚です。
ウォルトン43歳、バーグ26歳時の作品です。

当然ながら全員元気溌剌としています。
特にボブ・バーグは伸び盛りでコルトレーン派の面目躍如の演奏を繰り広げています。
ウォルトンはバッキングの上手さや作曲家としての才能が目立ちます。
でもここではインプロヴァイザーとしてのウォルトンに注目しました。
自作の(3)「THE SUNDAY SUITE」は20分にも及ぶ長丁場です。
ジョン・コルトレーン・カルテットを彷彿とさせるスケールの大きな演奏が聴けました。

(まじめ系)



(671) TOSHIO OSUMI TRIO / CARRY ON

大隈寿男(ds)、
1/2:大野雄二(p)、金子健(b)、3/4:山本剛(p)、横山裕(b)
5/6:青木弘武(p)、横山裕(b)、7/8:石井彰(p)、佐瀬正(b)
9:吉岡秀晃(p)、金子健(b)、10:ハクエイ・キム(p)、金子健(b)
11/12:関根敏行(p)、佐瀬正(b)

2014/M&I/


ベテラン・ドラマー、大隈寿男さんは今年”古希”を迎えるそうです。
今作は大隈さんの活動45周年記念アルバムです。
7人のピアニストと3人のベーシストとの共演盤。
こんな企画は嬉しい・・・色んなピアニストを一度に聴けるのは楽しみが多い。
大野雄二さんとはなんと40年振りの共演だそうです。
選曲も変化に富んでいて、さてどれを聴こうかと目移りしてしまいます。
奇数番はテンポのある曲、偶数番はバラードという構成も分かりやすいです。
ビートルズの(5)「A Hard Day's Night」のジャズ化は珍しいかも。

大隈さんの慌てず騒がずのとても趣味の良いドラミングが聴けました。
近年はドラマーが前面に出てくる場面が多いのでなおさらそう感じます。
きっちりと支えてテンポをキープするのはドラマーの王道です。
それぞれに聴きどころが多いですが大野さんの(2)「Left Alone」が心に沁みた。
山本剛さんの(3)「The Girl From Ipanema」のボサノバは素晴らしい。
ただ一人の若手、ハクエイ・キムさんの才能を感じさせるプレイも光ります。

(中間系)




(670) STEVE KALDESTAD QUARTET / STRAIGHT UP

steve kaldestad(ts),
mike ledonne(p), john webber(b), joe farnsworth(ds),
2014/Cellar Live/


ジャケが良い・・・ブルーノート風のジャケットに惹かれた。
さらに曲目を見てみると1曲目に「Beautiful Friendship」が入っていた。
大好きな曲・・・これで決まりです。
カナダの「セラー・ライブ盤」を聴くのも久し振り。
予想通りのオーソドックスなハード・バップ・アルバムでした。

余談ですがみなさんはCD選びに順番はありますか。
私はメンバー〜曲目〜ジャケット〜レーベルの順かな。
時々順番が狂うけれど、まぁ〜そんな感じです。
たとえ試聴が出来ても、予想との意外性が面白いので試聴はしません。
外れても自己責任なので「しょうがない」とあきらめます。

スティーヴ・カルデスタッドは初見です。
きっちりとした端正で安定感のあるテナー奏者・・・根っこにはベニー・ゴルソンがいる。
バックが今や中堅になったマイク・ルドン・トリオなので間違いないと思いました。
全8曲は自身のオリジナル2曲とその他6曲の構成です。
ボサノバやブルースも入っていて選曲は申し分ありません。
スタンリー・タレンタイン(ts)やチャーリー・パーカー(as)の曲に彼のルーツを探ることが出来ます。
表題曲の(8)「Blues Straight Up」を聴くとカルデスタッドの実力の確かさがよく分かります。
このブルース・フィーリングと4ビートのノリが素晴らしい。
バラードは(5)「Warm Valley」、もちろん(1)「Beautiful Friendship」もよく唄っていました。
全体を引き締めるマイク・ルドン・トリオの好演にも注目しました。
突き抜けたところはないけれど安心して聴けるテナー・サックスのワン・ホーン・アルバムです。

(中間系)




(669) SILVANO BAZAN TRIO / I WISH I KNEW

silvano bazan(p), antoine ogay(b), philippe staehli(ds),
george robert(as)(2,4,6,8), phil collins(vo)(4)
2003/TCB/


CDの聴き直しを始めてAからSまできています。
今作もレビュー時に「ドラ盤」から外れていた作品。
これまた「失礼しました・・・何でなんだ?」と不思議に思うほどの快作です。
思うに、当時は新譜を数多く聴いていたので見逃した作品が多いのかも。
特に新人優先、先進のサウンドを重視していた。
多分、”オーソドックス”さを過小評価したんじゃないかと思います。

聴き直してみるとこれが素晴らしいです。
特にジョージ・ロバートの尖がったプレイに注目しました。
この頃ジャズ仲間ではジョージ・ロバートがよく話題になっていました。
しょっちゅう聴いていたので食傷気味だったのも事実です。
フィル・コリンズが1曲だけだったというのもマイナス要因だったかもしれません。
改めて「ドラ盤」入りです。

「レビュー時のコメント」
シルバノ・バザン・トリオのスイス盤です。
ジョージ・ロバート(as)が4曲、フィル・コリンズ(vo)が1曲にゲスト出演しています。
全11曲、自身のオリジナルは3曲、全員のリラックスした演奏が聴けます。
スムースで切れの良いタッチでトリオとしての安定度も高いです。
ジョージ・ロバートも好調だと思いました。
フィル・コリンズはもう1曲くらい聴いてみたいと思ったのは私だけではないでしょう。
この「ティーチ・ミー・トゥナイト」は良かったなー。

(中間系)




(668) ELVIN JONES QUINTET / MIDNIGHT WALK

elvin jones(ds), thad jones(tp), hank mobley(ts),
dollar brand(p), donald moore(b), steve james(elp), etc
1966Rec/Atlantic/


今作も再発廉価盤の一枚です。
エルヴィン・ジョーンスは1927年生まれ、2004年に76歳で亡くなっています。
ジャズ界で有名なジョーンズ3兄弟の末弟、兄はハンク・ジョーンズ(p)とサド・ジョーンズ(tp)。
ジョン・コルトレーン・カルテットのドラマーとして後世に与えた影響は大きいです。
コルトレーンのパワーに負けないドラマーなんてそうそう居るものでありませんよ。
その力強いドラミングと繰り出すパルス的複合リズムはドラマーの可能性を大きく広げました。
ジャズ・メンの中でも特に日本通として知られていて奥さんはタミコ・ジョーンズさんです。

今作は1966年の作品です。
エルヴィンがコルトレーンから離れてすぐの録音で当時の彼の心中が分かるような気がしますね。
ホント疲れた〜・・・もっと分かりやすいジャズがやりたい・・・でも単純ではイヤだ・・・てな感じかな。
フロントには次兄のサド・ジョーンズ(tp)とハンク・モブレイ(ts)を迎えてのハード・バップ盤。
ここが初共演というフロント2人も嬉しいけれど、リズムセクションにも一工夫あります。
ピアノが南アフリカ出身のダラー・ブランド、ベースがアヴァンギャルドなN.Y.C.5のドン・ムーア。
さらにエレクトリック・ピアノを起用してひと味違うサウンドを作り出しています。
ここはなんといってもダラー・ブランドの参加が貴重です。
まさに異色の存在で1曲目を聴いただけでその個性に驚かされると思います。
それほどに異彩を放っていてこの作品を価値あるものにしています。
バックが強烈なのでサドとモブレイも大張り切り、元気溌剌のプレイを聴かせてくれました。
思い切り良く、切れ味鋭く、この時期の二人のベスト・プレイと言えるんじゃないかな。
サド・ジョーンズとハンク・モブレイの相性はいいです。

全7曲は自身を含むメンバーのオリジナルが6曲とその他1曲の構成です。
演目は曲想豊か、それぞれの曲が個性的で聴きどころが多いです。
リズムが多彩で凝った内容だけどコンテンポラリーな味わいもあるので聴き易く面白いです。
ダラー・ブランドをフューチュアーした(3)「Tintiyana」、サド・ジョーンズの(6)「All Of Us」が秀逸。
この「オール・オブ・アス」はバップ・バンドの定番で魅力的なテーマを持つ名曲です。
サドは作曲家としても知られていますね、モダン・ジャズの名曲、「A Child Is Born」は代表曲。


今作も日本初CD化だそうです。

(中間系)



(667) AVISHAI COHEN & NITAI HERSHKOVITS / DUENDE

avishai cohen(b,p), nitai hershkovits(p)
2012/Blue Note/


先日のオフ会でGさんが聴かせてくれたアルバムです。
アヴィシャイ・コーエン(b)とニタイ・ハーシュコヴィツ(p)のデュオ。
イスラエル出身のアヴィシャイは「チック・コリア&オリジン」で名を上げました。
同姓同名のトランペッターがいるので紛らわしいですが売り出したのはこちらが先です。
アヴィシャイが繰り出す強靭なベース・プレイの存在感は抜群です。
共演のニタイは初見ですがアヴィシャイが選んだ相手となればその実力は折り紙つきです。

全9曲はアヴィシャイのオリジナル6曲にその他3曲の構成です。
セロニアス・モンク、コール・ポーター、ジョン・コルトレーンが選ばれました。
内容はしごくオーソドックスですが隠し味に中近東色も感じられます。
二人の繊細で緻密なインター・プレイ・・・
輪郭がくっきりとした素晴らしいデュオ作品だと思います。
(9)「Ballad For An Unborn」ではアヴィシャイの切ないソロ・ピアノが聴けます。

ただ収録時間の35分は極端に短いです。
最初に聴いた時には「えっ、もう終わりなの?」と思ってしまった。
1番短い曲は2分半、長くても5分弱で明らかに物足りない部分もあります。
その分くっきりとした印象を与えるんだけど惜しいなぁ〜。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」が狙いか。
でも、せめてあと4曲、トータル50分は欲しいところかな。

(中間系)




(666) ALEXIS COLE / CLOSE YOUR EYES

alexis cole(vo),
john di martino(p), james cammack(b), duduka da fonseca(ds)j
2013/Venus/


先日のオフ会でTさんが聴かせてくれたアルバムです。
アレクシス・コールの名前は知っていましたが聴いたのは初めてです。
ジャケットを見ればその話題になるのは当然の流れか。
本人がモデルと聞いて、「へぇ〜、そうなんだ」と手が伸びました。
バックがロマンチック・ピアノのジョン・ディ・マルティーノです。

スタンダード作品集ですが選曲はよく考えられています。
今作にはアレクシスの魅力が溢れていて素晴らしいと思いました。
声質良し、歌は上手いし、何より独特のノリと表現力を持っています。
ホーン的アプローチが新鮮かつ個性的で飽きさせません。
それぞれの曲に私が持つヴォーカル・イメージよりちょっとずれるところが実に魅力的です。
私的ベストはマルティーノとのデュオ・・・カーマイケルの(7)「Small Fry」です。
マルティーノ・トリオ全開の(5)「In The Still Of The Night」も良かった。
ゆったりと歌われた(2)「I've Got You Under My Skin」も好みの展開。
表題曲の(10)「Close Your Eyes」はもちろんのこと、全体的な雰囲気は抜群です。
トリオの好演も相まって、その他の曲も聴きどころが多くて目移りしました。

ワン・フォー・オールとの共演盤も聴いてみたくなったけど・・・。

(中間系)




(665) IRIO DE PAULA TRIO & QUARTET / LEMBRANDO WES MONTGOMERY

irio de paula(g), riccardo ballerini(org), petro jodice(ds),
claudio lo cascio(vib)(2,8)
2003Rec/Philology/


イタリアのフィロロジーのギタリスト、イリオ・デ・パウラの作品はウエス・モンゴメリーのトリビュート盤です。
発売時に話題になっていてチェックしていましたが忘れてそのままになっていました。
先日、CDショップで見つけたので購入しました。

それにしても多くのギタリストがウエスに捧げるアルバムを作っていますね。
今作もそんな中の一枚です。
それだけにウエスが現在のギタリストに与えた影響は大きいと言えます。
全11曲はウエスのオリジナル10曲とその他1曲の構成です。
10曲はオルガン・トリオ、2曲はヴィブラホンが入ったカルテット演奏になっています。
(3)「Four On Six」と(9)「Road Song」はお馴染みの曲、
初期の名曲(1)「Jingles」、(5)「West Coast Blues」も聴きどころになりました。
どうせなら全部ウエスの曲にして欲しかったけどねぇ〜。
最初はずいぶんと中途半端だと思ったけど・・・。
でも、ただ1曲のスタンダード(4)「For Heaven's Sake」がいいので苦笑してしまいました。
ヴィブラホン入りの2曲も明るい雰囲気に変わって良い気分転換になります。
録音時間が約70分と長くパウラのギター・プレイが満喫できました。

パウラは無骨で素朴でややスマートさには欠けますがウエスのブルージーな感じはよく出ています。
力強いギターの音色、彼の持つジャズ・フィーリングにはケニー・バレルやグラント・グリーンもいる。

(中間系)



(664) ERIC ALEXANDER QUARTET / CHICAGO FIRE

eric alexander(ts), jeremy pelt(tp)(1,2,7),
harold mabern(p), john webber(b), joe farnsworth(ds)j
2014/High Note/


エリック・アレキサンダーの新譜です。
ここは3曲にゲスト出演しているジェルミー・ペルトが聴きどころになります。
先日、ペルトのエレクトリック・サウンドを紹介したばかりですがここでは純なハード・バップが聴けます。
トランペットの艶やかで美しい音色と切れの良いフレージングが魅力です。
バップ色の濃い(2)「The Bee Five」ではフロント2管が弾けました。

エリックは相変わらずの安定感ですがあんまり続けて聴くと食傷気味になるのもたしか。
超高速の(4)「Just One Of Those Things」、会話入りが新鮮な(5)「Blueski For Vonski」に注目、
(8)「Don't Take Your Love From Me」はボサノバ、(6)「Mr.Stitt」が素晴らしく、これがベスト・プレイ。
全体を仕切る強烈なブルース・フィーリングを発するハロルド・メイバーンのピアノが印象的です。

(中間系)




(663) MAX ROACH TRIO / THE LEGENDALY HASAAN

max roach(ds), hasaan(p), art davis(b)
1964Rec/Atlantic/


今作も再発廉価盤の一枚です。
マックス・ローチは1924年生まれ、2007年に83歳で亡くなっています。
ビ・バップからフリーまでジャズの黄金時代を飾った天才の一人です。
強烈な個性を持ち、ジャズ・ドラムスの歴史そのものの存在でもあります。
ハサーン・イヴン・アリは1931年、フェラデルフィア生まれですがその情報は極端に少ないです。
これほどのピアニストがなぜほとんど無名で終わってしまったのか・・・謎に包まれています。
ローカルなミュージシャンにはこういう人も多いけど・・・・。

全7曲は全てハサーンのオリジナルです。
表題に「伝説のハサーン」とあるように当時のジャズ・シーンでは有名だったと思います。
聴いてもらえばすぐに分かりますが1曲目からその斬新な音楽性が全開です。
セシル・テイラーのパーカッシブなタッチとセロニアス・モンクの難解な曲想を合わせ持っています。
独特の和音構成と展開は実に刺激的なジャズを聴かせてくれました。
ハサーンに呼応するマックス・ローチのドラミングも聴きどころになります。
根底にあるのはハサーンとローチの対決魂・・・やっぱりローチのドラムスも凄いと思う。

今作も日本初CD化だそうです。
1000円ならずいぶんとお買い得。

(まじめ系)



(662) RED MITCHELL & GEORGE CABLES / LIVE AT PORT TOWNSEND

red mitchell(b), george cables(p)
2005(1992Rec)/Challenge/


CDの聴き直しを始めてから1年以上が経ちました。
Aから始めてRまできています。
全部を聴くというのは無理なので各CDの気になる曲を何曲か選んで聴いています。
今作はレビュー時に「ドラ盤」から外れていた作品。
聴き直してみて「失礼しました・・・何でなんだ?」と不思議に思うほどの快作です。
”ロクに聴いちゃいなかった”ということですね。
特にジョージ・ケイブルスの底力を感じた。
以前、「ドラさんのジャズ・ブログ」で紹介した時に手持ちのトリオ盤はイマイチと書きました。
ところがこのディオが素晴らしいです。
「ケイブルスってこんなに凄かったのか」と思いを新たにしています。
1曲目の「枯葉」を聴いてぶっ飛び、2曲目の「Don't Blame Me」で耳が立った。
改めて「ドラ盤」入りです。

(レビュー時のコメント)
1992年7月、ワシントンでのライブ盤です。
レッド・ミッチェル(b)はその年の暮れに亡くなっているのでラスト・レコーディングになりました。
ミッチェルは言わずと知れたウエスト・コーストの代表的なベーシストでアルバム参加は数が知れません。
私はジョージ・ケイブルス(p)に注目、デュオ・アルバムと言うことで興味を惹かれました。
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセジャーズに在団、フレディ・ハバード(tp)やアート・ペッパー(as)などと共演。
ケイブルスはキャリアも十分、主流派ピアニストの道を歩んでいる割りにはパッとしないところがありました。
しかし、最近のケイブルスを[FRANK MORGAN / CITY NIGHTS]で聴いてみると吹っ切れたのか、
ぐっと存在感が増してきたような感じがします。
結果的に晩成型のタイプだったと言えるかもしれませんね。
ここでも”そろそろと来るか”といった予感がするプレイが聴けます。

(中間系)




(661) NAT ADDERLEY QUINTET / LIVE AT MEMORY LANE

nat adderley(cor), joe henderson(ts),
joe zawinul(p), victor gaskin(b), roy mccurdy(ds)
1966Rec/Atlantic/


今作も再発廉価盤の一枚です。
ナット・アダレイは1931年生まれ、2000年に68歳で亡くなっています。
兄のキャノンボール・アダレイ(as)との共演、コルネット奏者として知られています。
作曲者としての才能もあって「ワーク・ソング」は大ヒットしました。

同時期のライブ盤にキャノンボールの人気盤「マーシー・マーシー・マーシー」(1966)がありますね。
今作はそれに劣らないエキサイティングで白熱した演奏が聴けました。
それもそのはず、キャノンボール以外はそのままのメンバーが参加しています。
もちろん、最大の聴きどころはジョー・ヘンダーソン(ts)の参加にあります。
ヘンダーソンはブルー・ノートから好盤を連発していて、時代を担うテナー奏者として注目されていました。
ヘンダーソンがコルトレーンの影響を受けてスピルチュアルなモード奏法に傾倒した時期に重なります。
(5)「PAINTED DESERT」ではそんなヘンダーソンのベスト・プレイを聴くことができました。
続くナット・アダレイのソロも凄い・・・ジョー・ザビヌルの曲想はコルトレーン・カルテットそのものです。


そのほか(2)「FUN」は前述の「マーシー・マーシー・マーシー」でも収録されていました。
ファンキーでノリのいいテーマなので、今でもバップ・バンドを聴きに行くと時々演奏されています。
ザビヌルのピアノ、ビクター・ガスキン(b)や煽りに煽るロイ・マッカーディのドラムスも聴きどころです。
特にザビヌルにはホレス・シルバーやボビー・ティモンズなどのファンキー&ソウルが根底にあります。

聴衆と一体となったライブ・ハウスの臨場感が味わえます。
これほどのアルバムが日本初CD化と聞いて驚きました。


(くつろぎ系)