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Dragon's Jazz Corner
「ライブ・レポート・2019、2018」
注:詳しいライブ・レポートは下↓へスクロールしてご覧下さい。
■故・辛島文雄・トリビュート・バンド
池田篤(as)、原朋直(tp)、菊池太光(p)、楠井五月(b)、小松伸之(ds)
2019/03/09
■故・辛島文雄・トリビュート・ライブを聴いてきました。
池田篤(as)、原朋直(tp)、
菊池太光(p)、楠井五月(b)、小松伸之(ds)
脂の乗り切ったベテラン二人、充実の中堅一人、注目の若手二人の組み合わせです。
久々に血脇肉躍るライブを見ました。
辛島文雄さんの名前を冠した以上、絶対間違いないライブになると思いました。
結果は予想以上でした。
やっぱりジャズ・ファンは目ざといですね。
誰でもがそう思うのか、ライブ・ハウスは超満員の盛況でした。
ライブは1セット4曲、2セット4曲、アンコール1曲の構成でした。
辛島さんのオリジナルが中心でその他はキャノンボール・アダレイ(as)がヒットさせた
デューク・ピアソン(p)の「Jeannine」とアンコールで演奏したモンクの「'Round Midnight」です。
まず驚いたのは若手3人のピアノ・トリオです。
若手といっても菊池太光(p)さんと楠井五月(b)さんの実力は知れ渡っていて注目度も高いです。
小松伸之(ds)さんは辛島文雄・トリオで鳴らしたドラマーでこれからの日本ジャズ・ドラム界を背負う中堅の一人です。
なにしろこの3人が凄かった。
パワフルかつエネルギッシュに飛ばす飛ばす、菊池さんを中心にドラム、ベースとの阿吽の呼吸が素晴らしかった。
3者が変幻自在に展開する、特に菊池&小松の打楽器二人の演奏には度肝を抜かれました。
これでもか、これでもか、と叩き煽りまくります。
対する2人のベテラン勢はどうか。
リーダーの池田篤さんのアルトの音色がいいです。
やわらかなジョニー・ホッジス系は最近は珍しいかもしれません。
原朋直さんのコントロールの利いたテクニシャン振りは見事でこちらはフレディ・ハバードを彷彿とさせました。
若手3人に圧倒されるかと思いきやバラードになると俄然生き返ってくるのが面白かったです。
バラード表現は経験がものをいう、概してベテランのエンジンのかかりは遅いと思います。
そのクライマックスは後半にやってきました。
圧巻は辛島さんがジャック・デジョネット(ds)に贈ったという「Like Blues For J.D」という曲でした。
各人の火の出るようなインプロビゼーションが素晴らしく、バース・チェンジには背中がゾクゾクとしました。
まさに「興奮のるつぼと化す」とはこういうことだと思います。
観客はみんなその熱気に圧倒されて呆然としていました。
実力者同士がぶつかり合う渾身のライブは本当に素晴らしかった。
ジャズは一瞬に生まれ、一瞬に消える音楽です。
同じ場所にいる人しか共有できない。
ここにはジャズ・ライブの醍醐味がありました。
本当に凄いライブを聴いて大満足です。
At The "Sometime" Kichijoji On 2019/03/09
■ケニー・ワシントン
ケニー・ワシントン(vo)、ジョナサン・カッツ(p)、安ヵ川大樹(b)、アキラ・タナ(ds)
2018/11/23
■「ケニー・ワシントン(vo)&ジョナサン・カッツ・トリオ」を聴いてきました。
ケニー・ワシントン(vo)、ジョナサン・カッツ(p)、安ヵ川大樹(b)、アキラ・タナ(ds)
久々のライブ・レポートになります。
2年振りかな。
ケニー・ワシントン(vo)が来るということで楽しみにしていました。
中々にアメリカの旬の男性ヴォーカルを聴く機会がなかったからです。
以前にも来日公演しているようですがその時はまったくのノー・マークでした。
私がケニー・ワシントンの歌を意識したのはジョー・ロック(vib)盤のゲストで聴いてからです。
* Joe Locke Quartet / For The Love Of You (2010)
最初はてっきりあのベテラン・ドラマー(Kenny Washington)が歌っていると思っていました。
本職はだしのグラディ・テイトをはじめドラマーにも歌が上手い人はたくさんいるから。
でも同姓同名の全くの別人でした。
こちらはニューオリンズ出身の知る人ぞ知るヴォーカリストです。
休日の夜だったけど店内は満員でした。
つくづく日本のジャズ・ファンは目ざといと思いますよ。
みんな聴きたかったんですね。
普通は歌手が登場する前に前座で演奏がありますが今夜はいきなりの登場で驚きました。
ケニーさんは思ったよりずっと小柄な人でした。
でもね、歌いだしたらぐっと大きくなる感じがしました。
ライブは1曲目の「バードランドの子守唄」から始まりました。
その歌声はやさしくて、やわらかくて、まろやかで、よく通る美声です。
声量豊かに端正にゆったりと歌い上げる歌声に店内はシーンとなりました。
加えてスキャットも凄く上手くて、まるで楽器のソロを聴いているようでした。
曲目は「ララバイ・オブ・バードランド」、「トゥ・クロス・フォー・コンフォート」、「ジンジ」、
「オールド・デヴィル・ムーン」、「チーク・トゥ・チーク」、「マイ・フェバリット・シングス」、
「ムーンライト・イン・バーモント」、「ハニー・サックル・ローズ」、「ルート66」、
「イエスタデイ」、「キャラバン」など。
ベストは4人が一丸となって盛り上がった「マイ・フェバリット・シングス」でした。
慣れ親しんだ曲・・・多分みんなが好きな曲でよく演奏しているんだと思います。
バラードの「バーモントの月」もしっとりと歌い上げて雰囲気がありました。
全体的に「イエスタデイ」を除いては古典的なスタンダードが多い印象を受けました。
個々の共演があってもこの4人が一緒に演るのは多分初めてだと思います。
でもなんとか出来てしまうのがジャズの良さでもあります。
ジョナサン・カッツさんは長い間東京を中心に活躍しているピアニストで日本語も上手いです。
アキラ・タナさんはアメリカ西海岸で長く活躍してきた日系二世のドラマーです。
ルーファス・リード(b)とのコンビ、「タナ・リード」が知られています。
1年に何度か来日して演奏しているので見る機会は多いです。
笑顔が優しくて素敵で、いつも演奏を楽しんでいるようにドラムを叩いています。
なんかその笑顔を見ると癒されるんですよ。
安ヵ川大樹さんは日本を代表するベーシストの一人です。
その強靭で確実なベース・プレイにはいつも感心されられます。
今回のライブでも安ヵ川さんが一番安定していました。
ケニーさんも安ヵ川さんが居て心強かったのではないかな。
ただ一つ残念なことがありました。
歌う前に必ず「何をやるか?」をカッツさんとケニーさんで相談してました。
これはね、演奏曲目を休憩時間に打合せしておいて欲しかったです。
1曲が終わるたびにライブの流れが分断されて余韻が消えてしまいました。
At The "Sometime" Kichijoji On 2018/11/23